JP7048247B2 - Sofcの空気極用接合部材とこれに用いる導電性接合材料 - Google Patents

Sofcの空気極用接合部材とこれに用いる導電性接合材料 Download PDF

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Description

本発明は、SOFCの空気極とインターコネクタとを接合する空気極用接合部材とこれに用いる導電性接合材料とに関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell,以下、単に「SOFC」という。)は、種々のタイプの燃料電池の中でも、発電効率が高い、環境への負荷が低い、多様な燃料の使用が可能であるなどの利点を有することから、その需要が高まっている。SOFCの単セルは、本質的な構成として、酸素イオン伝導体からなる緻密な層状の固体電解質を基本とし、この固体電解質の一方の面に多孔質構造の空気極(カソード)が、他方の面に多孔質構造の燃料極(アノード)が形成されている。そして一般には、この単セルが複数個積み重ねられ(スタックされ)電気的に接続されて、SOFCスタックとして使用されている。単セルの接続には、インターコネクタと、このインターコネクタとSOFCとを電気的に接続する接合部材が使用される。例えば、特許文献1には、接合部材用の材料の粒径を調整することで、SOFCの単セルと金属製インターコネクタとの間に発生する熱応力差を抑制し、長期信頼性に優れたセルスタックを提供できることが開示されている。
特開2011-134538号公報
SOFCスタックの性能は、単セルの発電性能によるのはもちろんのこと、スタック構造によるところも大きい。したがって、燃料電池モジュールの発電性能を長期に亘り維持するために、スタック構造においては、接合性が良好で、かつ、接触抵抗が小さい接合部材が要求されている。また近年では、SOFCの作動温度が600℃~800℃程度にまで低減されている。そのため、製造された単セルは、できる限り低い温度でモジュール化し運転に供されることが求められている。
しかしながら、特許文献1の技術では、単セルと金属製インターコネクタとの接合に、SOFCの作動温度よりも高い1150℃での焼成が必要であった。また、単セルとインターコネクタとの接続についても、長期耐久性については何ら評価していなかった。例えば、SOFCスタックの耐久性に関する技術課題の一つである、金属製インターコネクタから拡散するクロムによる空気極の劣化(クロム被毒)については更なる対応が必要である。
本発明は上記の従来の問題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、例えば、SOFCの空気極とインターコネクタとを長期に亘って良好に接合することができる空気極用接合部材を提供することである。また、本発明の他の目的は、空気極とインターコネクタとを例えば900℃以下の低温で接合して空気極用接合部材を製造することができる導電性接合材料を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって、SOFCの空気極と金属製インターコネクタとを接合する空気極用接合部材が提供される。この空気極用接合部材は、一般式:ABOで表されるペロブスカイト型結晶構造を有する第1酸化物相と第2酸化物相とを含む。第1酸化物相は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトにLaと、SrおよびBaの少なくとも1つからなる第1クロム補足元素とを含み、Bサイトに少なくとも1種の遷移金属元素を含む。第2酸化物相は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトにLaと、SrおよびBaの少なくとも1つからなる第2クロム補足元素とを含み、Bサイトに少なくとも1種の遷移金属元素を含む。そして第2酸化物相における第2クロム補足元素の原子比は、第1酸化物相における第1クロム補足元素の原子比よりも少なく、第1酸化物相と第2酸化物相との合計に占める第2酸化物相の割合は、5質量%以上70質量%以下である。
上記構成において、空気極用接合部材中の第1酸化物相と第2酸化物相は、AサイトにLaと、第二元素としてクロム補足元素とを含む。ここで、クロム補足元素は、第1酸化物相に相対的に高い割合で、第2酸化物相に相対的に低い割合で含まれている。これにより、金属製インターコネクタから拡散されるクロム(Cr)を第1酸化物相で優先的に補足することができる。つまり、SOFCの空気極のクロム被毒を抑制することができる。また、第2酸化物相で空気極用接合部材全体の電子伝導性(以下、単に「導電性」という場合がある。)やイオン伝導性を確保することができる。さらに、第2酸化物相は焼結開始温度が低い組成であり、SOFCのスタックに際して900℃以下の低温での焼成を可能とする。これにより、低温焼成により作成された空気極用接合部材であっても、空気極および金属製インターコネクタと良好な接合を実現することができる。
ここに開示される空気極用接合部材の好ましい一態様において、空気極用接合部材の25℃から800℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion:CTE)は、19.3×10-6/K以下である。例えば、空気極材料として汎用されているランタンマンガナイトやランタンコバルタイトは、金属製インターコネクタよりもCTEが高い。したがって、空気極用接合部材のCTEが19.3×10-6/K以下であることで、例えば、SOFCの高温での運転時と運転休止時とにおける両者の接合を良好に維持することができる。
ここに開示される空気極用接合部材の好ましい一態様において、第1酸化物相を含む第1焼結粒子部と、第2酸化物相を含む第2焼結粒子部とを含み、顕微鏡観察において、第1焼結粒子部の平均径は、第2焼結粒子部の平均径よりも大きい。このような構成によって、第2酸化物相は、相対的に大きな第1酸化物相同士の接合を補助し、空気極用接合部材の全体のイオン電子複合伝導性を好適に高めることができる。
ここに開示される空気極用接合部材の好ましい一態様では、焼結助剤としての金属成分含有相をさらに含む。かかる構成によると、空気極用接合部材はより低温で製造された場合の接合性が高められたり、強度が高められたりするために好ましい。
ここに開示される空気極用接合部材の好ましい一態様において、第1酸化物相および第2酸化物相の少なくとも1つは、BサイトにCuを含む。かかる構成によると、空気極用接合部材はその製造時の焼成収縮が抑えられており、空気極や金属製インターコネクタとの接合部において内部応力を包含することが抑制される。これによって、長期に亘って安定した接合が実現されるために好ましい。
他の側面において、ここに開示される技術は、SOFCの空気極と金属製インターコネクタとを接合する空気極用接合部材のための導電性接合材料を提供する。この導電性接合材料は、一般式:ABOで表されるペロブスカイト型結晶構造を有する第1酸化物粉体と第2酸化物粉体とを含む。第1酸化物粉体は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトにLaと、SrおよびBaの少なくとも1つからなる第1クロム補足元素とを含み、Bサイトに少なくとも1種の遷移金属元素を含む。また、第2酸化物粉体は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトにLaと、SrおよびBaの少なくとも1つからなる第2クロム補足元素とを含み、Bサイトに少なくとも1種の遷移金属元素を含んでいる。そして第2酸化物粉体における第2クロム補足元素の原子比は、第1酸化物粉体における第1クロム補足元素の原子比よりも少なく、第1酸化物粉体と第2酸化物粉体との合計に占める第2酸化物粉体の割合は、5質量%以上70質量%以下である。上記の構成によると、例えば900℃以下の低温での焼結によって、上記空気極用接合部材を好適に形成することができ、空気極および金属製インターコネクタを良好に接合することができる。
ここに開示される導電性接合材料の好ましい一態様において、第2酸化物粉体の平均粒子径は、第1酸化物粉体の平均粒子径よりも小さい。このような構成によると、第1酸化物粉体を構成する相対的に大きな粒子同士の接合部に第2酸化物粉体を構成する相対的に小さな粒子を好適に配置させることができる。このことにより、焼成によって得られる空気極用接合部材において粒子同士の接合パスが拡大されて、空気極用接合部材のイオン電子複合伝導性を好適に高めることができる。
なお、本明細書において、粉体についての平均粒子径は、レーザー回折・光散乱法で測定した体積基準の粒度分布における、累積50%に相当する粒子径を意味する。
ここに開示される導電性接合材料の好ましい一態様において、第1酸化物粉体の平均粒子径は0.1μm以上15μm以下であって、第2酸化物粉体の平均粒子径は0.1μm以上10μm以下である。これにより、第1酸化物粉体と第2酸化物粉体の配合量と寄与とのバランスを好適に整えることができる。
ここに開示される導電性接合材料の好ましい一態様において、焼結助剤として、金属成分含有粉体をさらに含む。このことにより、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体がより低い温度から焼結を開始し、低温で接合性の良好な接合部材を作製することができる。
ここに開示される導電性接合材料の好ましい一態様において、焼結助剤として、Cu含有粉体を含み、第1酸化物粉体および前記第2酸化物粉体の少なくとも1つは、BサイトにCuを含む。このことにより、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体の焼結性がより一層改善されて、密着性、接合性に優れた接合部材を作製することができる。
ここに開示される導電性接合材料の好ましい一態様では、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体を分散させる分散媒を含み、ペースト状(スラリー、ディスパーションなどの形態を含む。以下同じ。)に調製されている。このことにより、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体の均一分散性を高めることができ、また、印刷や塗布などの供給手法を好適に採用できる導電性接合材料が提供される。
ここに開示される導電性接合材料の好ましい一態様において、ペースト状に調製された導電性接合材料であって、150℃で乾燥後に850℃で焼成したときの焼成収縮率が3%以下である。このことにより、焼成時の収縮を抑制して、金属製インターコネクタとの密着よく接合部材を作製することができる。
以上の通り、ここに開示される技術によると、SOFCの空気極と金属製インターコネクタとを密着性および接合性よく接合することができる導電性接合材料が提供される。したがって、ここに開示される技術は、燃料極と固体電解質と空気極とを備えるSOFCと、金属製インターコネクタと、上記空気極と上記金属製インターコネクタとを接合する空気極用接合部材と、を備えるSOFCスタックをも提供する。ここで上記空気極用接合部材は、上記のいずれかに記載の導電性接合材料の焼成物により構成されている。この導電性接合材料は、例えば900℃以下の低温で焼成することによって、上記空気極用接合部材を好適に形成することができる。したがって、SOFCのスタックに際し、SOFCを例えば1000℃以上の高温に晒す必要が無いため、SOFCの単セルにおける各種成分のマイグレーションや劣化が抑制されたものとして提供される。
ここに開示されるSOFCスタックの好ましい一態様において、空気極は、少なくとも一部が、上記の導電性接合材料の焼成物により構成されている。このことにより、空気極と空気極用接合部材との接合性がより一層高められ、SOFCスタックの耐久性が高められる。
一実施形態に係るSOFCスタックを模式的に示す分解斜視図である。 (a)は一実施形態に係る空気極用接合部材中の第1酸化物相についてのEDX分析領域を示すSEM像であり、(b)~(e)はそれぞれSr,La,Co,Oの元素マップである。 (a)は一実施形態に係る空気極用接合部材中の第2酸化物相についてのEDX分析領域を示すSEM像であり、(b)~(e)はそれぞれSr,La,Co,Oの元素マップである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、導電性接合材料および空気極用接合部材)以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けないSOFCの単セルの構成や、SOFCの製造および運転プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、本明細書において数値範囲を示す「X~Y」との表記は、特にことわりのない限り、「X以上Y以下」を意味する。
[SOFCスタック]
図1は、一実施形態に係るSOFCスタック1を模式的に示す分解斜視図である。ここに開示される技術により提供されるSOFCスタック1は、複数のSOFCの単セル10A、10Bと、複数の金属製のインターコネクタ50、50Aとを備えている。SOFCスタック1は、SOFCの単セル10A、10Bが、金属製インターコネクタ50、50Aを介して積み重ねられたスタック構造を有する。SOFCスタック1は、公知の製造方法に準じて製造することができる。
単セル10A、10Bの構成は従来と同様であってよく、特に限定されない。本実施形態では、単セル10A、10Bは、それぞれ、固体電解質層30を基本とし、この固体電
解質層30の一方の面に空気極(カソード)20を、他方の面に燃料極(アノード)40を備えている。
固体電解質層30は、空気極20と燃料極40との間に位置する。固体電解質層30は、酸素イオン(O2-)を選択的に透過する役割を有する。また、固体電解質層30は、空気極20を流れるガスと、燃料極40を流れるガスとを分離する役割を併せ持つ。この固体電解質層30は、酸素イオン伝導材料によって構成される緻密な薄層により構成される。酸素イオン伝導材料は、例えば、イットリア等の安定化剤で安定化されたジルコニア(例えば、YSZ:Yttria stabilized zirconia)や、ガドリニア等のドープ剤がドープされたセリア(例えば、GDC:Gadolinia doped ceria)等である。
空気極20は、固体電解質層30の一方の表面に、酸素イオンを相対的に高濃度に供給する役割を有する。空気極20には、酸素イオンの原料たる酸素を含む、酸素含有ガス(典型的には空気等)が供給される。空気極20は、酸素から酸素イオンを生成する。空気極20は、酸素イオンを効率よく生成するために、酸素イオン電子複合伝導材料から構成される多孔質体である。酸素イオン電子複合伝導材料は、固体電解質との反応性が低いとの観点から、例えば、ランタンコバルタイト(LaCoO)系やランタンマンガナイト(LaMnO)を主体とするペロブスカイト型酸化物である。
燃料極40は、固体電解質層30の他方の表面の酸素イオンの濃度を相対的に低くする役割を有する。燃料極40には、酸素イオンと反応して酸素イオンを消費することができる燃料ガスが供給される。燃料ガスは、典型的には、水素(H)または炭化水素(例えばメタン;CH)、アンモニア(NH)等である。燃料極40は、酸素イオンと燃料ガスとの反応を促進する役割を有する。また、燃料極40は、酸素イオンの消費により放出される電子を受け取り、外部負荷へと伝導する役割を有する。燃料極40は、例えば、触媒作用を有する触媒材料から構成される多孔質体である。触媒材料は、例えば、ニッケル系の金属材料(例えばNiやNiO)や、ニッケル系の金属材料と固体電解質材料(例えば、イットリア安定化ジルコニア)とのサーメットである。
金属製インターコネクタ50、50Aは、複数の単セル10A、10Bを相互に電気的に接続するためのものである。図1の中央に位置する金属製インターコネクタ50Aは、2つの単セル10A、10Bの間に介在して、単セル10A、10Bを直列に接続している。ただし、単セル10A、10Bは、並列に接続してもよい。
金属製インターコネクタ50Aは、セル対向面52が空気極20に対向するように、単セル10Aとスタックされる。金属製インターコネクタ50Aは、セル対向面54が燃料極40に対向するように、単セル10Bとスタックされる。金属製インターコネクタ50、50Aの空気極20に対向する側のセル対向面52には、複数の溝部が形成されており、酸素含有ガスが流れるための酸素含有ガス流路53を構成している。酸素含有ガス流路53は、図示しない酸素含有ガスの供給源に接続されている。また、金属製インターコネクタ50、50Aの燃料極40に対向する側のセル対向面54には、複数の溝部が形成されて、燃料ガスが流れるための燃料ガス流路55を構成している。燃料ガス流路55は、図示しない燃料ガスの供給源に接続されている。金属製インターコネクタ50、50Aと単セル10A、10Bとの間は、導電性接合部材によって気密に接合される。図1においては、金属製インターコネクタ50Aと単セル10Aの空気極20との間を空気極用接合部材60で接続する様子を示している。具体的には図示しないが、空気極用接合部材60は、例えば、金属製インターコネクタ50と単セル10Bの空気極20との間も同様に気密に接合することができる。
SOFCスタック1の発電時には、SOFCスタック1が、600℃以上、例えば600~900℃程度の高温域にまで昇温される。また、酸素含有ガス流路53には、酸素含有ガス、例えば空気(Air)が供給される。燃料ガス流路55には、燃料ガス、例えば水素(H)が供給される。固体電解質層30の一方の表面と他方の表面とに酸素分圧の異なるガスが供給されることにより、酸素濃度差が生じる。このことが起電力となって、空気極20では酸素が分解されて、酸素イオンが形成される。酸素イオンは空気極20から燃料極40に向けて、固体電解質層30の内部を移動する。燃料極40では、酸素イオンと燃料ガスとが反応して水(HO)が生成されるとともに、電子が放出される。これにより、SOFCによる電気エネルギーの生成が実現される。
なお、この実施形態では、単セル10A、10Bがそれぞれ3層構造である。しかしながら、単セル10A、10Bの構造はこれに限定されない。単セル10A、10Bは、上記以外の層を有していてもよい。例えば、固体電解質層30と空気極20との間に両者の界面を安定化させるための反応抑止層(図示せず)を備えていてもよい。反応抑止層は、例えばYSZやGDCからなる多孔質体により構成することができる。
また、単セル10A、10Bは、固体電解質層30や空気極20に比べて燃料極40を厚めに形成することができる。このような単セル10A、10Bは、燃料極40が支持体としての機能を併せ持つ、燃料極支持型(Anode-Supported Cell:ASC)のセルである。一方で、単セル10A、10Bは、例えば、固体電解質層30を厚くした、電解質支持型(Electrolyte-Supported Cell:ESC)のセルであってもよいし、空気極20を厚くした空気極支持型(Cathode-Supported Cell:CSC)のセルであってもよい。また、燃料極40の外側(固体電解質層30とは反対側)に多孔質の金属シートを備えたメタルサポートセル(Metal-Supported Cell:MSC)であってもよい。さらに、単セル10A、10Bの形態も特に限定されない。具体的には示さないが、単セル10A、10Bは、例えば、平板型(Planar)、MOLB型、縦縞円筒型(Tubular)、あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat tubular)、一体積層型等の種々の構造であってよい。
[金属製インターコネクタ]
ここで、SOFCスタック1に用いられる金属製インターコネクタ50、50Aは、高温の運転温度域における電子導電性、耐熱性、および、固体電解質層30に近いCTEが求められる。かかる観点から、金属製インターコネクタ50、50Aは、従来から一般的に、フェライト系ステンレス鋼によって構成されている。フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて、相対的に電気抵抗が低く、熱膨張性が小さい。フェライト系ステンレス鋼のCTEは、概ね7~12×10-6/Kである。かかるフェライト系ステンレス鋼は、SUS403に代表される、Crを約12%以上含有する鉄-クロム系合金(Fe-Cr合金)である。この合金材料は、良好な熱伝導度と機械的強度をもつため、セル内の温度勾配を緩和する働きも期待できる。しかしながら、金属製インターコネクタ50、50Aは、化学的安定性に問題があることが指摘されている。つまり、金属製インターコネクタ50、50Aを用いたSOFCスタック1は、運転温度においてクロム蒸気を発生し得るため、空気極20のクロム被毒の問題が切り離せない。例えば、金属製インターコネクタ50、50Aの表面に形成されるCr皮膜と空気極20との反応により生成されるSrCrOとが、SOFCの性能劣化の原因であると考えられている。
[空気極用接合部材]
ここに開示される空気極用接合部材60は、金属製インターコネクタ50、50Aに由来するCrを補足することで、空気極20のCr被毒を好適に抑制することができる。すなわち、ここに開示する空気極用接合部材60は、基本的な構成として、一般式:ABOで表されるペロブスカイト型結晶構造を有する第1酸化物相と第2酸化物相とを含んでいる。
(第1酸化物相)
第1酸化物相について、上記一般式中、Aは、ペロブスカイト型結晶構造におけるAサイトを占める元素であって、ランタン(La)と第1クロム補足元素とを含む限り、その割合やその他の元素の含有については制限されない。第1クロム補足元素とは、ストロンチウム(Sr)やバリウム(Ba)である。第1酸化物相は、第1クロム補足元素の少なくとも1つを含む。これらSrとBaは、SOFCの運転環境においてやや安定性が低く、Crが存在する場合にはCrと容易に反応して絶縁性の化合物(例えば、SrCrO)を形成する元素である。また、これらSrとBaは、第1酸化物相のCTEを低減する作用も有する。Laと第1クロム補足元素以外のAサイトを占める元素としては、原子番号57のランタン(Ln)から原子番号71のルテチウム(Lu)までのランタノイド元素(Ln)のいずれかであることが好ましい。ランタノイド元素としては、中でも、例えばセリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),プロメチウム(Pm),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd)等の比較的イオン半径の大きな元素であることが好ましい。
第1酸化物相について、上記一般式中、Bは、少なくとも遷移金属元素を含む。Bサイトに少なくとも遷移金属元素を含む限り、その割合やその他の元素の含有については特に制限されない。遷移金属元素としては、特に制限されるものではないが、第1遷移元素(3d遷移元素)であることが好ましく、中でも、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)からなる群から選択される1種または2種以上が含まれることが好ましい。特に、CoおよびMnの少なくとも1つを含むことで、優れた酸素還元能力を有する酸化物相となり得るために好ましい。
比較的低温で高い酸素還元能力を発現するとの観点からは、BサイトにはCoを含むことが好ましい。また、Bサイトは、Feを含むことが好ましい。Feを含むことで第1酸化物相の焼結開始温度は低減され、この空気極用接合部材60を比較的低温で作製することが可能となる。換言すると、単セル10A,10Bと金属製インターコネクタ50、50Aとを、比較的低温で接合することが可能であることを意味する。さらに、Bサイトは、Cuを含むことが好ましい。Cuを含むことで空気極用接合部材60は金属製インターコネクタ50、50Aとの密着性および接合性が長期の運転条件下においても良好に維持され、SOFCスタック1の耐久性が好適に高められる。
(第2酸化物相)
第2酸化物相について、上記一般式中、Aは、ペロブスカイト型結晶構造におけるAサイトを占める元素であって、ランタン(La)と第2クロム補足元素とを含む限り、その割合やその他の元素の含有については制限されない。第2クロム補足元素とは、ストロンチウム(Sr)やバリウム(Ba)である。また、上記一般式中、Bは、少なくとも遷移金属元素を含む。遷移金属元素としては、特に制限されるものではないが、第1遷移元素(3d遷移元素)であることが好ましく、中でも、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)からなる群から選択される1種または2種以上が含まれることが好ましい。すなわち、第2酸化物相は、本質的には、第1酸化物相と同様の組成であってよい。したがって、第2酸化物相が含み得る元素については、第1酸化物相と同様であるため、重ねての説明は省略する。
なお、第1酸化物相と第2酸化物相とは、いずれも空気極20と同等ないしは類似の組成を備えている。したがって、空気極用接合部材60が第1酸化物相と第2酸化物相とを含むことで、空気極20との接合性に優れた空気極用接合部材60を実現することができる。
ここで、空気極用接合部材60において、第2酸化物相で第2クロム補足元素がAサイトを占める原子比は、第1酸化物相で第1クロム補足元素がAサイトを占める原子比よりも、少ないことが肝要である。つまり、第2酸化物相は、クロム補足元素の割合が、第1酸化物相よりも相対的に少ない。第1酸化物相は、クロム補足元素の割合が、第2酸化物相よりも相対的に多い。このように、空気極用接合部材60は、本質的には同種ながらも、クロム補足元素の割合の異なる少なくとも二つの相を含む。このことにより、空気極用接合部材60は、クロム補足元素の割合が相対的に多い第1酸化物相によって、金属製インターコネクタ50、50Aに由来するCrを優先的に補足する。その結果、Crが金属製インターコネクタ50、50Aから空気極20へと移動(マイグレーション)するのを抑制することができる。また、空気極用接合部材60は、クロム補足元素の割合が相対的に少ない第2酸化物相によって、全体のCTEを低く抑えることができる。これによって、空気極用接合部材60と、相対的にCTEの低い金属製インターコネクタ50、50Aとの接合性を高めることができる。
空気極用接合部材60において、第1酸化物相と第2酸化物相との合計に占める第2酸化物相の割合は、上記効果を明瞭に発現させるとの観点から、5質量%以上であることが好ましい。第2酸化物相の割合は、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が得に好ましい。しかしながら、第2酸化物相が過剰に含まれると、系全体のクロム補足元素の割合が少なくなりすぎるために好ましくない。また、上記のクロム補足元素は、ランタン系ペロブスカイト酸化物の低温(例えば900℃以下)での焼結性を高める機能を有することから、空気極用接合部材60をより低温で製造した場合であっても優れた接合性を発揮できるものにする効果がある。そのため、過剰な第2酸化物相の存在は好ましくない。かかる観点から、第2酸化物相の割合は、おおよそ70質量%以下が適切であり、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が得に好ましい。例えば、第2酸化物相は35質量%以下とすることができる。
以上のことからバランスして、第1酸化物相と第2酸化物相とは、例えば、下記の組成を有することが好ましい。
<第1酸化物相>
La1-x1RE x1Coy1 1-y1 ・・・(1)
つまり、好適組成において、第1酸化物相はランタン系ペロブスカイト型酸化物であり、代表的には、ランタンコバルタイト系化合物である。ここで、式1中、REは第1クロム補足元素を示し、Sr、Baの少なくとも1種である。Mは遷移金属元素を示し、好ましくは、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの少なくとも1種である。
x1は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占める第1クロム補足元素の割合を示し、上記好適組成において、好ましくは0.1≦x1であり、より好ましくは0.2≦x1であり、さらに好ましくは0.3≦x1であり、特に好ましくは0.35≦x1である。また、上記好適組成において、好ましくはx1≦0.9であり、より好ましくはx1≦0.8であり、さらに好ましくはx1≦0.7であり、特に好ましくはx1≦0.6である。例えば、おおよその目安として0.4≦x1≦0.8とすることができる。
y1は、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを占めるCo以外の遷移金属元素の総割合を示す。遷移金属元素の種類にもよるため一概には言えないが、上記好適組成において、例えば、好ましくは0.1≦y1であり、より好ましくは0.2≦y1であり、さらに好ましくは0.3≦y1であり、特に好ましくは0.35≦y1である。また、上記好適組成において、好ましくはy1≦1であり、より好ましくはy1≦0.95であり、さらに好ましくはy1≦0.9であり、特に好ましくはy1≦0.85である。例えば、おおよその目安として0.4≦y1≦1とすることができる。
<第2酸化物相>
La1-x2RE x2Coy2 1-y2 ・・・(2)
また、好適組成において、第2酸化物相はランタン系ペロブスカイト型酸化物であり、代表的には、ランタンコバルタイト系化合物である。ここで、式2中、REは第2クロム補足元素を示し、Sr、Baの少なくとも1種である。Mは遷移金属元素を示し、好ましくは、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの少なくとも1種である。
x2は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占める第2クロム補足元素の割合を示し、上記好適組成において、好ましくはx2≦0.6であり、より好ましくはx2≦0.5であり、さらに好ましくはx2≦0.4であり、特に好ましくはx2≦0.3である。また、上記好適組成において、好ましくは0.01≦x2であり、より好ましくは0.03≦x2であり、さらに好ましくは0.05≦x2であり、特に好ましくは0.1≦x2である。例えば、おおよその目安として0.05≦x2≦0.4とすることができる。
y2は、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを占めるCo以外の遷移金属元素の総割合を示す。遷移金属元素の種類にもよるため一概には言えないが、上記好適組成において、例えば、好ましくは0.1≦y2であり、より好ましくは0.2≦y2であり、さらに好ましくは0.3≦y2であり、特に好ましくは0.35≦y2である。また、上記好適組成において、好ましくはy2≦1であり、より好ましくはy2≦0.95であり、さらに好ましくはy2≦0.9であり、特に好ましくはy2≦0.85である。ただし、y2は、0≦y2≦1とすることができる。
そしてさらに、第1酸化物相の第1クロム補足元素の割合x1は、第2酸化物相の第2クロム補足元素の割合x2よりも相対的に多い。したがって、第1クロム補足元素と第2クロム補足元素との原子比(x1/x2)は、1<(x1/x2)を満たす。ここに開示される技術の効果を明瞭に発揮させるには、x1/x2は、1.1≦(x1/x2)が好ましく、1.5≦(x1/x2)がより好ましく、2≦(x1/x2)がさらに好ましく、3≦(x1/x2)が特に好ましく、例えば4≦(x1/x2)とすることができる。x1/x2の上限は特に制限されず、5≦(x1/x2)であってよく、例えば10≦(x1/x2)とすることもできる。しかしながら、空気極20との整合性を考慮すると、空気極用接合部材60のCTEが空気極20のCTEよりも低いことが好ましい。かかる観点から、おおよその目安として、(x1/x2)≦20、(x1/x2)≦15、(x1/x2)≦10とするとよいと考えられる。なお、第1酸化物相と第2酸化物相の具体的な組成が上式(1)(2)から外れる場合であっても、第1クロム補足元素と第2クロム補足元素との原子比は、上記(x1/x2)で示される関係を満たすことが好ましい。
なお、後述するが、空気極用接合部材60は、粉体材料の焼結体として構成することができる。この場合、空気極用接合部材60は、粉体の焼結を補助する成分である焼結助剤成分を含み得る。焼結助剤は、第1酸化物相および第2酸化物相を構成する成分よりも融点の低い金属成分(典型的には遷移金属成分)である。そしてその焼成物は、典型的には、金属酸化物(典型的には遷移金属酸化物)等の金属含有成分である。このことから、空気極用接合部材60は、第1酸化物相および第2酸化物相の他に、焼結助剤に由来する金属成分含有相を含むことができる。
空気極用接合部材60において、第1酸化物相および第2酸化物相は、空気極用接合部材60を構成する主体であることが好ましい。第1酸化物相および第2酸化物相の合計は、空気極用接合部材60の50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上が特に好ましく、90質量%以上であってよい。第1酸化物相および第2酸化物相以外の結晶相を完全に排除することは困難であると予想されるが、空気極用接合部材60は、第1酸化物相および第2酸化物相のみから構成されていてもよい。その一方で、空気極用接合部材60が、焼結助剤に由来する金属成分含有相を含む場合は、金属成分含有相は、第1酸化物相および第2酸化物相の合計を100質量部としたときに、おおよそ20質量部以下の割合で含まれ得る。空気極用接合部材60は、本技術の本質が損なわれない限りにおいて、第1酸化物相、第2酸化物相および金属成分含有相以外の、その他の結晶相の含有が許容される。この場合、その他の結晶相の割合は、空気極用接合部材60全体の25質量%以下(好ましくは10質量%以下)であることが好ましい。
なお、例えば、上記の第1酸化物相および第2酸化物相の組成やその体積基準(原子%)の割合は、後述の実施形態4に示すようにEDX等の表面分析の結果により把握することができる。つまり、画像解析における各相の面積比は、概ね各相の体積比に相当する。したがって、例えば表面分析の結果から各相の比重を求めておくことで、第1酸化物相および第2酸化物相の上記質量基準の割合と、体積基準の配合とを換算することができる。具体的には、例えば、まず、SEM-EDX法等による表面分析に基づき、第1酸化物相および第2酸化物相の組成を特定し、その結果から第1酸化物相および第2酸化物相の比重を算出する。次いで、得られたSEM像等を画像処理することにより、第1酸化物相および第2酸化物相の面積割合を算出し、これを体積割合とする。そして、第1酸化物相および第2酸化物相の体積割合に、先に算出した各相の比重を乗じることにより、各相の質量割合を算出することができる。
なお、必ずしもこれに限定されるものではないが、第1酸化物相と第2酸化物相とは、第1クロム補足元素をより多く含む第1酸化物相の大きさが、第2クロム補足元素を相対的に少なく含む第2酸化物相の大きさと、同じであるか、より大きいことが好ましい。より具体的には、空気極用接合部材60が、第1酸化物相を含む第1焼結粒子部と、第2酸化物相を含む第2焼結粒子部とを含むとき、第1焼結粒子部の平均径は、第2焼結粒子部の平均径よりも大きいことが好ましい。なお、ここでいう平均径(大きさ)とは、例えば、空気極用接合部材60の任意の断面について顕微鏡観察したときに、元素分析等によって区別した第1酸化物相を含む第1焼結粒子部と第2酸化物相を含む第2焼結粒子部との、2軸平均径に基づき判断することができる。第1焼結粒子部および第2焼結粒子部の2軸平均径は、各相の焼結粒子部について、それぞれ10以上の2軸平均径を測定した結果の算術平均値を採用するとよい。観察に用いる顕微鏡は、特に制限されないが、空気極用接合部材60の組織観察をするに適した倍率での観察が可能な顕微鏡を用いることができる。例えば、高倍率のマイクロスコープ、走査型電子顕微鏡などである。より具体的には、例えば、第1酸化物相は、おおよそ0.1μm以上であることが好ましく、15μm以下であることが好ましい。また、第2酸化物相は、おおよそ0.1μm以上であることが好ましく、10μm以下であることが好ましい。特に制限されないが、第1酸化物相の大きさは、第2酸化物相の大きさの、1~20倍程度であることが好ましく、1~15倍程度であることがより好ましく、2~10倍程度であることが更に好ましい。
なお、空気極20は多孔質構造を有している。典型的には、空気極20は、気孔率が10~60%程度の多孔質構造を有している。一方で、金属製インターコネクタ50、50Aは原子レベルで緻密な金属組織からなる。したがって、これらを接合し、上記の通り空気極と同一ないしは類似に組成を有する空気極用接合部材60は、気孔率が10~60%程度の多孔質構造を有していることが好ましい。これにより、空気極用接合部材60は、空気極20と金属製インターコネクタ50、50Aとの間のCTEの差に伴う熱応力を緩和しやすくなるために好ましい。
また、空気極用接合部材60の25℃から800℃におけるCTEは、19.3×10-6/K以下であることが好ましい。例えば、クロム補足元素を含まないランタンコバルタイトのCTEは、約22×10-6/K程度である。これに対し、金属製インターコネクタ50、50Aを構成するCr-Fe合金のCTEは、上記の通り、7~12×10-6/Kと大幅に低い。本発明者らの検討によると、空気極用接合部材60は、CTEを19.3×10-6/K以下程度にまで低減させることで、Cr-Fe合金との運転環境における長期の接合性が高められるとの知見を得ている。空気極用接合部材60のCTEは、19.2×10-6/K以下がより好ましく、19×10-6/K以下が特に好ましい。なお、空気極用接合部材60のCTEは、第1酸化物相および第2酸化物相の組成に大きく依存する。例えば、第1酸化物相および第2酸化物相がBサイトにFeやCuを含む場合、CTEが大きく低減され得る。このような場合、CTEは、18.7×10-6/K以下がより好ましく、18.5×10-6/K以下が特に好ましい。CTEの下限は特に制限されず、例えば、12×10-6/K程度とすることができる。しかしながら、第1酸化物相および第2酸化物相の安定化を損なうまでにCTEを下げることは得策ではないと考えられる。
[導電性接合材料]
空気極用接合部材60は、上記の通りの気孔率とCTEとを備えることから、例えば、粉体の焼結体により構成されていることが好ましい。そこで、ここに開示する技術は、空気極用接合部材60を好ましく製造することのできる導電性接合材料を提供する。この導電性接合材料は、第1酸化物粉体と第2酸化物粉体とを含む。
(第1酸化物粉体、第2酸化物粉体)
第1酸化物粉体は、空気極用接合部材60における第1酸化物相を形成する。第2酸化物粉体は、空気極用接合部材60における第2酸化物相を形成する。換言すると、第1酸化物粉体が焼結されて第1酸化物相を形成する。第2酸化物粉体が焼結されて第2酸化物相を形成する。焼成によって原料と焼成体との組成は厳密には異なり得るが、ここに開示される第1酸化物粉体の組成は、上記の第1酸化物相の組成と同一とすることができる。また、第2酸化物粉体の組成は、上記の第2酸化物相の組成と同一とすることができる。さらに、第1、第2の酸化物粉体の組成に関し、第1酸化物粉体における第1クロム補足元素と第2酸化物粉体における第2クロム補足元素との原子比は、上記(x1/x2)で表される関係を満たすことが好ましい。したがって、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体の組成については、重ねての説明を省略する。
導電性接合材料において、第1酸化物粉体と第2酸化物粉体との割合は、空気極用接合部材60における第1酸化物相と第2酸化物相との割合に関係する。例えば、CTEの相対的に小さい第2酸化物粉体が多いほど、空気極用接合部材60のCTEを低減することができる。かかる観点から、第1酸化物粉体と第2酸化物粉体との合計に占める第2酸化物粉体の割合は、5質量%以上であることが好ましい。第2酸化物粉体の割合は、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が得に好ましい。しかしながら、第2酸化物粉体が過剰に含まれると、系全体のクロム補足元素の割合が少なくなりすぎるために好ましくない。また、第2酸化物粉体は焼成収縮率が高く、第2酸化物粉体が多いほど、導電性接合材料の焼成時に体積収縮を生じやすい。したがって、第2酸化物粉体の割合は、おおよそ70質量%以下が適切であり、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が得に好ましい。例えば、第2酸化物粉体は35質量%以下とすることができる。
第1酸化物粉体と第2酸化物粉体との平均粒子径は厳密には制限されないが、接合性の観点からは、接合する空気極20の原料粉体と凡そ同程度の大きさの粒子を含んでいることが好ましい。また、金属製インターコネクタ50、50Aとの接合の観点から、上記空気極用接合部材60の気孔率を好適に実現しうる大きさであることが好ましい。このような平均粒子径としては、例えば0.01μm以上15μm以下程度が好適な例として示される。また、第1酸化物粉体と第2酸化物粉体とは、平均粒子径が同じであってもよいし、異なっていてもよい。平均粒子径を異ならせる場合、第1酸化物粉体の方が大きく、第2酸化物粉体の方が小さいことが好ましい。第2酸化物粉体は、第1酸化物粉体に比べて焼成収縮率が大きい。また、第2酸化物粉体は、第1酸化物粉体に比べてCTEが小さい。したがって、第1酸化物粉体よりも第2酸化物粉体を小さくすることで、第2酸化物粉体に起因する焼成収縮率の増大を抑制することができる。また、第1酸化物粉体よりも第2酸化物粉体を小さくすることで、より少ない量でCTEを低減させたり、Crの補足効果を高めたりする効果を発揮することができる。
第1酸化物粉体の平均粒子径は、例えば、0.01μm以上であってよく、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上が特に好ましく、例えば0.8μm以上であってよい。第1酸化物粉体の平均粒子径は、例えば、15μm以下(未満)が好ましく、13μm以下がより好ましく、10μm以下が特に好ましく、例えば8μm以下であってよい。
第2酸化物粉体の平均粒子径は、例えば、0.01μm以上であってよく、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が特に好ましく、例えば0.5μm以上であってよい。第2酸化物粉体の平均粒子径は、例えば、10μm以下(未満)が好ましく、9μm以下がより好ましく、8μm以下が特に好ましく、例えば7μm以下であってよい。
必ずしもこれに特に制限されないが、第1酸化物粉体の大きさは、第2酸化物粉体の大きさの、1倍以上であることが好ましく、1.4倍以上がより好ましく、5倍以上が更に好ましく、7倍以上がより一層好ましく、例えば10倍以上としてもよい。第1酸化物粉体の第2酸化物粉体に対する大きさの上限は特に制限されないが、上記好適な粒子径の範囲を考慮すると、例えば30倍以下、好ましくは20倍以下、典型的には15倍以下程度とするとよい。
(焼結助剤)
また、上述したとおり、導電性接合材料は、任意成分として焼結助剤を含むことができる。焼結助剤は、粉体の焼結を補助する成分であり、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体よりも融点の低い金属成分により構成される。かかる焼結助剤としては、典型的には、遷移金属の単体またはその合金からなる粉体を好ましく用いることができる。具体的には、例えば、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)およびこれらの元素を含む合金(例えばAg-Pd合金)が挙げられる。焼結助剤としては、なかでもCu、Ag-Pd合金が好ましく、とりわけCuの使用が好ましい。
焼結助剤の平均粒子径は、主材料となる第1酸化物粉体の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。焼結助剤の平均粒子径は、例えば、10μm以下が適切であり、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。焼結助剤の平均粒子径は、第2酸化物粉体と同程度であってもよいし、第2酸化物粉体よりも大きくてもよい。焼結助剤の平均粒子径の下限は特に制限されないが、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体の平均粒子径の下限と同程度とすることができる。例えば、焼結助剤の平均粒子径は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上が好ましく、0.25μm以上が特に好ましい。
焼結助剤の割合は、第1酸化物粉体と第2酸化物粉体の合計を100質量部としたとき、おおよそ25質量部以下の割合で含まれ得る。焼結助剤の割合は、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましく、10質量部以下が特に好ましい。焼結助剤の割合の下限は特に制限されないが、焼結助剤の添加効果を発揮させるには、1質量部以上とすることが適切であり、例えば、3質量部以上とするとよい。
なお、本発明者らの検討によると、焼結助剤としてCu含有粉体を採用したときに、焼結の主体である第1酸化物粉体および第2酸化物粉体の少なくとも一方がBサイトにCuを含んでいると、得られる空気極用接合部材60の接合性と、抵抗特性、およびこれらの耐久性が顕著に改善されることを見出した。第1酸化物粉体および第2酸化物粉体は、いずれか一方がBサイトにCuを含んでいてもよいし、両方がBサイトにCuを含んでいてもよい。
(分散媒)
なお、ここに開示される導電性接合材料は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、上記の粉体材料の他に、分散媒等の他の構成成分を含むことができる。かかる他の構成成分については、SOFCの単セル10A、10Bの形成手法などの種々の基準に照らして調整することができる。
上記の粉体状の導電性接合材料は、そのまま圧縮成形する等して、SOFCの単セル10A、10Bと金属製インターコネクタ50Aとの接合に供してもよいし、あるいは、粉体状の導電性接合材料を分散媒中に分散したペースト(インク、スラリー、サスペンションなどを包含する)の形態に調製して用いるようにしてもよい。このとき用いる分散媒としては、上記の第1および第2の酸化物粉体および必要に応じて焼結助剤を良好に分散し得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられている各種の分散媒を特に制限なく使用することができる。典型的には、かかる分散媒としては、粘度調整のための有機バインダと有機溶剤との混合物を考慮することができる。
有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体(グリコールエーテル系溶剤)、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール(BC)、ターピネオール等の高沸点有機溶剤の1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、有機バインダとしては、粘性を示す種々の樹脂成分を含むことができる。かかる樹脂成分はペーストを調製するのに良好な粘性および塗膜形成能(例えば、印刷性や、基板に対する付着性等を含む)を付与し得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ロジン樹脂等を主体とするものが挙げられる。このうち、特にエチルセルロース等のセルロース系高分子が含まれているのが好ましい。なお、かかる分散媒には、分散剤や可塑剤等のこの種の分散媒に一般的に使用され得る任意の添加剤が含まれていても良い。
分散媒の割合は、導電性接合材料の使用目的に応じて適宜調整することができる。例えば、金属製インターコネクタ50Aのセル対向面52の形態や、その成形に採用する手法等に応じて、適宜調整することができる。一例として、ペースト状の形態の導電性接合材料は、印刷等の手法により金属製インターコネクタ50Aのセル対向面52に供給するのに好ましく用いることができる。この場合、分散媒が、ペースト状の導電性接合材料全体に占める割合は、5質量%以上60質量%以下程度とすることが好ましく、7質量%以上50質量%以下がより好ましく、10質量%以上40質量%以下が特に好ましい。また、ビヒクルに含まれる有機バインダは、例えば、ペースト全体の1質量%以上15質量%以下程度、好ましくは1質量%以上10質量%以下程度、より好ましくは1質量%以上7質量%以下程度の割合とすることが例示される。かかる構成とすることで、例えば、導電性接合材料の粉体成分を均一な厚さの層状体(例えば、塗膜)として形成(塗布)し易く、取扱いが容易であり、さらにかかる塗布物から分散媒を除去するのに長時間を要することがないために好適である。
なお、ペースト状に調製するに際し、上記粉体状の導電性接合材料および分散媒の混合には、例えば、公知の三本ロールミル等を用いることができる。これにより、第1酸化物粉体、第2酸化物粉体および焼成助剤を均一に混合することができる。また、これらの粉体材料を分散媒に均質に分散させることができる。その結果、ペースト状の導電性接合材料を得ることができる。ペースト状の導電性接合材料は、所望の用途に応じて適切な粘度に調整することによって、塗布または印刷等の形態で導電性接合材料を所望の位置に所望の形態にて簡便に供給することが可能となる。
導電性接合材料は、金属製インターコネクタ50Aのセル対向面52と、SOFCの単セル10Aの空気極20との間に供給される。つまり、例えば、金属製インターコネクタ50Aのセル対向面52に導電性接合材料を供給した後、単セル10Aの空気極20側が導電性接合材料に当接するように単セル10Aを重ねあわせる。このようにして単セル10A、10Bと金属製インターコネクタ50、50Aとをスタックした後、焼成する。この場合の焼成温度は、従来と同様に1000~1150℃程度とすることもできるが、ここに開示された技術によると、焼成温度は、900℃以下、例えば700~900℃程度とすることができる。焼成時間は、例えば、1~5時間程度とすることができる。これにより、導電性接合材料に含まれるバインダや分散媒等が消失し、第1酸化物粉体および第2酸化物粉体が焼結して、空気極用接合部材60が形成される。同時に、空気極用接合部材60によって、SOFCの空気極20と金属製インターコネクタ50Aとを強固に密着性よく接合することができる。
なお、上記の導電性接合材料の焼成温度は、SOFCの空気極20の焼成温度とほぼ同じである。また、導電性接合材料を構成する上記第1酸化物粉体および第2酸化物粉体は、空気極材料と共通の組成であり得る。そこで、ここに開示する技術は、かかる導電性接合材料を、空気極20の形成用材料としても提供する。
(空気極形成用材料)
空気極(カソード)20は、上記燃料極40と同様に多孔質構造を有している。一般に、空気極20は空気極用接合部材60よりも気孔率が大きい。空気極20の気孔率は特に限定されないものの、気孔率は、電気化学反応のための燃料ガス,固体電解質層,空気極等による3相界面の割合と適切な強度と両立するために、10%以上50%以下(好適には10%以上40%以下、例えば15%以上30%以下)であることが好ましい。
そこで、導電性接合材料を空気極形成用材料として用いる場合は、導電性接合材料に造孔材を加えるとよい。造孔材は、空気極20等の電極を多孔質構造に形成するために電極形成用材料に配合される材料であって、電極作製時(焼成時)に消失する各種の材料を用いることができる。例えば、造孔材としては、粒状の合成樹脂材料、炭素粉体、天然有機粉体等を好ましく用いることができる。
粒状樹脂材料としては、電極の焼成時(典型的には、700~900℃程度の焼成時)に消失することができる各種の合成樹脂からなる粒子状の材料を用いることができる。典型的には、いわゆる樹脂ビーズを好ましく用いることができる。かかる粒状樹脂材料は、粒子の粒径が揃ったものを容易に入手することができ、また表面形態も滑らかであるため、電極形成用のスラリーを調製したときの流動性を良好に保ち得るために好ましい。また、所望の多孔質構造(例えば、細孔径分布がシャープな多孔質構造等)の電極を形成し得る点においても好ましい。かかる粒状樹脂材料を構成する樹脂の種類は特に制限されず、例えば、代表的には、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン,スチレン・アクリロニトリル共重合体,アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー等のポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂およびこれらの複合体等が例示される。
造孔材として各種の炭素粉体を用いることもできる。かかる炭素粉体は700℃~900℃でほぼ焼失するため、電極の焼成時にほぼ全てが燃え抜けるために好適である。炭素粉体としては、その結晶構造や製造方法等は特に制限されず、黒鉛(天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)等に代表される各種の炭素材料を用いることができる。
天然有機粉体としては、例えば、澱粉を含む各種の植物のうち、澱粉を多く含む種子(胚乳)、塊根等の部位を粉体にしたものや、かかる部位か抽出した澱粉粉体であってよい。例えば、代表的には、もち米粉、米粉、大麦粉、小麦粉、オート(燕麦)粉、とうもろこし粉、えんどう豆粉、じゃがいも粉、さつまいも粉、キャッサバ粉、葛粉、サゴ粉、アマランス粉、バナナ粉、アロールート粉、カンナ粉などの食物粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ粉等の澱粉粉体を例示することができる。
空気極20の形成に際しても、導電性接合材料と造孔材の他に、分散媒等の他の構成成分を含むことができる。分散媒は、上記の通り、ペースト状の導電性接合材料を調製する場合と同様の材料を用いることができる。分散媒の割合は、空気極20の形成手法に応じて調整することができる。一般に空気極20は、ペースト状の空気極形成用材料を、スクリーン印刷やドクターブレード法等の手法により、SOFCのハーフセル(燃料極40と固体電解質層30からなる半セル)の固体電解質層30上に供給して焼成する。この場合、分散媒は、ペースト全体の5質量%以上60質量%以下程度とすることが好適である。空気極形成用材料の供給は、焼成後に得られる空気極20が所定の形状および寸法となるように適宜調整することができる。空気極20は、固体電解質層30の形状に応じてその形状を適宜変更することができる。空気極20の厚みは、典型的には1μm~200μm程度であり、好ましくは5μm~100μm程度、より好ましくは10μm~100μmであるが、かかる厚みに限定されるものではない。
なお、SOFCの製造方法は、従来公知の製造方法に準じればよく特別な処理を必要としないため、詳細な説明は省略する。これにより、SOFCの空気極20の少なくとも一部を、ここに開示される導電性接合材料(空気極形成用材料)の焼成物により構成することができる。この場合、空気極20の焼成と、SOFCのスタック時の焼成とは、同時に行うことも可能である。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
第1実施形態(例1~10)
[ペースト状導電性接合材料の用意]
導電性接合材料として、以下の一般式で表される2種類の組成のペロブスカイト型酸化物粒子(第1粒子および第2粒子)からなる粉体を用意した。これらのペロブスカイト型酸化物粒子におけるクロム補足元素は、ストロンチウム(Sr)である。
第1粒子:La0.6Sr0.4CoO
第2粒子:La0.9Sr0.1CoO
具体的には、出発原料として平均粒子径が5μmのLa,SrCOおよびCoの粉体を用い、これらを各粒子の組成の化学量論比に精密に秤量して湿式混合した後、大気雰囲気中、1100℃で焼成することで、当該組成の焼成物を得た。次いで、得られた焼成物をボールミルによって各々粉砕し、分級することで、平均粒子径(D50)が1μmの第1粒子および第2粒子を得た。第1粒子は、空気極材料として汎用されているランタンストロンチウムコバルタイトの代表的な組成の一つである。
用意した第1粒子および第2粒子を下記の表1に示す質量比で混合し、バインダとしてのエチルセルロースおよび有機溶剤としてのテルピネオールを添加し、三本ロールミルで混合することで、例1~10の接合用ペーストを調製した。なお、表1の配合比は、「第1粒子:第2粒子」として質量比で示している。バインダは、第1粒子および第2粒子の合計100質量部に対して、3質量部の割合で、有機溶剤は20質量部の割合で混合した。
[焼成収縮率]
ペースト状導電性接合材料(以下、接合用ペーストという。)を焼成することで、空気極用接合部材(以下、接合部材という。)が得られる。そこで、接合用ペーストの焼成時の収縮率について評価した。用意した10通りの接合用ペーストを試料成型ホルダに供給し、乾燥させた後、5mm×5mm×20mmの角柱状に成形することで、収縮率測定用の試験片を用意した。次いで、熱機械分析装置(株式会社リガク製、TMA8310)を用い、用意した試験片を、大気中、25℃(室温)から850℃まで10℃/分の焼成速度で焼成することで、各接合用材料の焼成収縮率を測定した。その結果を、表1に示した。なお、焼成収縮率は、次式:焼成収縮率(%)=-(焼成後長尺寸法-焼成前長尺寸法)÷(焼成前長尺寸法)×100;で定義される値である。
[熱膨張係数]
また、接合用ペーストを焼成して得られる接合部材の熱膨張係数(CTE)を調べた。具体的には、上記焼成収縮率を測定した後の試験片(接合部材)のCTEを測定した。まず、上記収縮率測定後の試験片を試料とし、上記と同じ熱機械分析装置を用い、大気中、25℃(室温)から800℃の温度範囲における平均線膨張率を示差膨張方式にて測定した。かかる熱膨張係数の測定は、JIS 1618:2002のファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法に準じて実施した。得られた熱膨張係数を表1の「CTE」の欄に併せて示した。
[接合強度]
接合用ペーストを焼成して得られる接合部材と金属製インターコネクタとの物理的(機械的)接合性について評価した。具体的には、用意した10通りの接合用ペーストをスピネルコートしたフェライト系ステンレス板の表面に約30μmの厚みに塗布し、850℃で焼成することで、薄層状の接合部材を作製した。そしてこの接合部材とステンレス板との接合強度を、JIS K5600-5-6:1999に規定されるクロスカット試験に準じて評価した。クロスカット試験では、まず、焼成後の薄層状の接合部材の端部から5mm以上離れた位置に、1mmの間隔で6本の平行なカットを入れることで、25マスの格子パターンを形成した。そして格子パターンを覆うように幅24mmの透明感圧付着テープ(付着強さ4.01N/mm)を貼り付け、テープのなす角が約60°となる方向に引き剥がしたのち、クロスカットの全面積(25マス)に占める剥がれた部分の面積割合(剥離面積率)P(%)を算出した。
そして下記に示すように、接合部材の剥離面積率Pに対応した評価記号を、表1の「接合強度」の欄に示した。なお、下記の評価記号は、日本塗料検査協会の碁盤目試験の評価点数と概ね対応しており、「×」は0点に、「△」は2点に、「〇」は4~6点に、「◎」は8~10点に相当する。
×:65<P
△:35<P≦65
○: 5<P≦35
◎: 0≦P≦5
[接触抵抗率]
接合用ペーストを焼成して得られる接合部材と金属製インターコネクタとの電気的接合性について評価した。具体的には、用意した10通りの接合用ペーストをスピネルコートしたフェライト系ステンレス板(25mm×25mm)の表面に約30μmの厚みに塗布し、850℃で焼成することで、薄層状の接合部材を作製した。そして得られた接合部材とステンレス板との間に生じる接触抵抗を測定することで、電気的接合性を評価した。接触抵抗は、抵抗率計(型式:ソーラトロン社製ポテンショスタット、SI1287)を用い、電圧を±10mVで掃引したときのIV曲線の傾きから算出した。そして得られた接触抵抗率を、表1の「接触抵抗」の欄に評価記号によって示した。なお、各評価記号は、以下の接触抵抗率に対応している。
×:0.1Ωcm
△:0.05Ωcm超0.1Ωcm以下
○:0.02Ωcm超0.05Ωcm以下
◎:0.02Ωcm以下
Figure 0007048247000001
[評価]
表1に示されるように、例10の第1粒子(La0.6Sr0.4CoO)のみからなる導電性接合材料と、例1の第2粒子(La0.9Sr0.1CoO)のみからなる導電性接合材料とでは、ペロブスカイトのAサイトに含まれるSrの割合が異なり、CTEおよび焼成収縮率にも有意な差が生じることがわかった。そして、第1粒子と第2粒子とを組み合わせて用いることで、導電性接合材料の焼成収縮率とCTEを調整できることも確認できた。第1粒子と第2粒子の混合割合を変化させたときに、Srの含有量の少ない第2粒子が多いほどCTEが小さくなり、第2粒子が少ないほどCTEが大きくなる。また、焼成収縮率については、Srの含有量の少ない第2粒子の割合の多いほど焼成収縮率は大きくなり、第2粒子の割合が少ないほど焼成収縮率は小さくなるとの関係があることがわかった。
例1~10の接合用ペーストを850℃の比較的低温で焼成して得られる接合部材と金属製インターコネクタとの機械的および電気的接合性を考慮したとき、第2粒子の割合が多い例1,2では、機械的および電気的接合性共に十分な強度が得られないことがわかった。これは、第2粒子の割合が過度に多くなると、焼成時の熱収縮率が大きくなりすぎてしまい、焼成時に接合部材が大きく収縮し、高温で膨張する金属製インターコネクタと良好に結合できなくなるためであると考えられる。このことから、接合用ペーストの乾燥物の焼成収縮率は、例えば、3%以下程度がよく、例えば2.5%以下程度がより好ましいことがわかった。また、混合粉における第2粒子の割合は、例えば70質量%以下とするのがよく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が特に好ましいことがわかった。
なお、組成にもよるが第1粒子(La0.6Sr0.4CoO)の焼結温度は1150℃程度と、第2粒子の焼結温度850℃程度に比べて大幅に高くなる。そのため、例10の第1粒子のみからなる接合用ペーストは、850℃の焼成では殆ど焼結しておらず、低温焼成では金属製インターコネクタに良好に接合できないことがわかった。例えば850℃とより低温での焼結性を確保するためには、Sr含有量の少ない第2粒子をある程度配合する必要がある。第2粒子の割合は、例えば5質量%程度以上とすることがよく、10質量%以上とすることがより好適であるといえる。また、SOFCの空気極と接合部材とのヒートサイクル時の接合性を考慮すると、接合部材のCTEは少しでも小さいほうが好ましい。このことから、接合部材のCTEは例えば19.3×10-6/K以下であることが好ましく、19.2×10-6/K以下がより好ましいといえる。
第2実施形態(例11~23)
[接合用ペーストの用意]
導電性接合材料として、第1実施形態と同じ組成の第1粒子(La0.6Sr0.4CoO)および第2粒子(La0.9Sr0.1CoO)を用意し、これらを質量比で、第1粒子:第2粒子=70:30となるように混合することで、例11~23の混合粉を用意した。ここで、第1粒子および第2粒子のからなる粉体は、それぞれ下記の表2に示す平均粒子径となるように粒度を調整した。なお、第1粒子および第2粒子の配合割合は、第1実施形態において、焼成収縮率、CTE、接合強度および接触抵抗の結果のバランスが良好であった例6に合わせたものである。これらの混合粉を用い、その他の条件は第1実施形態と同様にして、例11~23の接合用ペーストを調製した。
なお、表2に示されるように、例11~16は、第1粒子と第2粒子の大きさを同一として、その平均粒子径変化させた例である。例14は、第1実施形態の例6に一致する。また、例17は、第1粒子よりも第2粒子の平均粒子径を大きくした例であり、例18~23はその逆で、第1粒子よりも第2粒子の平均粒子径を小さくし、その組み合わせを変化させた例である。
用意した接合用ペーストを用い、第1実施形態と同じ条件で、接合用ペーストを焼成して得られる接合部材の接合強度および接触抵抗率を測定した。それらの結果を、下記表2の「接合強度」、「接触抵抗」の欄にそれぞれ示した。評価記号の示す内容は、第1実施形態と同じである。
[耐久性]
また、接合用ペーストを焼成して得られる接合部材と金属製インターコネクタとの電気的接合性の耐久性について評価した。具体的には、上記の接触抵抗率を測定した接合部材付きステンレス板を、SOFCの運転温度である700℃の空気雰囲気に1000時間静置した後、再度、上記と同様にして接触抵抗率を測定した。そして、接触抵抗の変化率を、次式:接触抵抗の変化率(%)=(耐久後接触抵抗率-初期接触抵抗率)÷(初期接触抵抗率)×100;に基づき算出した。なお、初期接触抵抗は、上記「接触抵抗率」として測定された1000時間耐久前の接触抵抗であり、耐久後接触抵抗率は、1000時間耐久後の接触抵抗である。
そして得られた接触抵抗の変化率を、表1の「耐久性」の欄に評価記号によって示した。なお、各評価記号は、以下の接触抵抗の変化率に対応している。
×:2%以上
△:1%以上2%未満
〇:0.5%以上1%未満
◎:0.5%未満
Figure 0007048247000002
[評価]
例11~16からわかるように、第1粒子と第2粒子の平均粒子径は同一であってよく、第1粒子と第2粒子の平均粒子径に大きく影響されることなく接合強度、接触抵抗、耐久性のいずれも良好な結果が得られることがわかった。ただし、平均粒子径が3μm(例15)程度に近づくにつれて接触抵抗が低くなる傾向が見られたことから、第1粒子および第2粒子の平均粒子径は、ある程度の大きさのある0.1μm以上とするとよく、1μm以上(例えば1μm以上7μm以下)がより好適であり、3μm程度(例えば3μm±2μm)が好ましいといえる。また、例22,23から、第1粒子と第2粒子の平均粒子径が大きすぎると、各粒子の界面における接点数が少なくなりすぎ、接合性が低下すると考えられる。このことから、第1粒子および第2粒子の平均粒子径の上限は、おおよそ10μm程度が良いと考えられる。
なお、例13および例16と例19、例14と例21などの比較から、第1粒子に対して第2粒子の平均粒子径を小さくすることがより好ましいことがわかった。これは、第1粒子の表面積が相対的に小さく第2粒子の表面積が相対的に大きくなったため、全体として第2粒子の組成の影響が強く反映されたことによるものと考えられる。つまり、接合部材においては、より少ない量の第2粒子部分によって、第1粒子部分(第1酸化物相)と第2粒子部分(第2酸化物相)との界面を多く形成することができ、クロム補足元素(Sr)の濃度差を広範囲で生じさせて、金属製インターコネクタから拡散してくるCrを第1粒子部分に効率よく補足しているものと考えられる。また、第1粒子部分がCrを補足すると、電子伝導性を確保するペロブスカイト型結晶構造が失われるが、第1粒子は配合量が多いために電気伝導性の低下(すなわち接触抵抗率の増大)を低く抑えることができると考えられる。このことから、クロム補足元素(Sr)の含有量を少なくした第2粒子は、第1粒子よりも平均粒子径の小さいものを用いることで、その効果をより明瞭に発現できることがわかった。また、接触抵抗は、耐久試験後も良好に維持できることが確認できた。
第3実施形態(例24~32)
導電性接合材料として、下記表3に示す組成を有する第1粒子からなる粉体と第2粒子からなる粉体とを混合することで、例24~32の混合粉を用意した。ここで、第1粒子からなる粉体の平均粒子径は7μmに、第2粒子からなる粉体の平均粒子径は0.7μmに調整した。また、第1粒子からなる粉体と、第2粒子からなる粉体との配合は、質量比で、第1粒子:第2粒子が80:20となるようにした。この配合割合は、第1実施形態において、焼成収縮率、CTE、接合強度および接触抵抗の結果のバランスが良好であった例7に合わせたものである。これらの混合粉を用い、その他の条件は第1実施形態と同様にして、例24~32の接合用ペーストを調製した。
なお、表3に示されるように、例24~26、28~31は、第1粒子よりも第2粒子のほうが、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトに含まれるクロム補足元素の割合を少なくした例である。例31は、クロム補足元素として、Srに代えてBaを用いた例である。また、例28~32では、ペロブスカイト型結晶のBサイトに、Co以外の1種又は2種の遷移金属元素を含有させた例である。
一方で、例27、32は、第1粒子と第2粒子の組成を同一にし、Srの含有量も同じにした例である。
用意した接合用ペーストを用い、第1実施形態と同じ条件で、接合部材のCTE、接合強度および接触抵抗率を測定した。また、第2実施形態と同じ条件で、接合部材の耐久性を測定した。それらの結果を、下記表3の「CTE」、「接合強度」、「接触抵抗」、「耐久性」の欄にそれぞれ示した。評価記号の示す内容は、第1、第2の実施形態と同じである。なお、参考のために、第1粒子からなる粉体と第2粒子からなる粉体の平均粒子径をいずれも1μmとした上記例7について耐久性試験を行い、その結果も併せて表3に示した。なお、これらの接合用ペーストの乾燥物の焼成時の収縮率は、いずれも2.5%以下であることを確認している。
Figure 0007048247000003
[評価]
例7と例24とを比較してわかるように、第1粒子と第2粒子の平均粒子径は同一にしなくても、第1実施形態と同様の効果が得られることが確認できた。しかしながら、例24は、例7に比べて、CTEがわずかに小さくなった。これは、例24の方が例7よりも、第1粒子の表面積が小さくなり第2粒子の表面積が大きくなったため、全体として第2粒子の組成の影響が強く反映されたことによるものと考えられる。このことからも、Srの含有量を少なくした第2粒子は、第1粒子よりも平均粒子径の小さいものを用いることで、その効果をより明瞭に発現できることがわかった。また、接触抵抗は、耐久試験後も良好に維持できることが確認できた。さらに、例24と第2実施形態の例19との比較から、この第1粒子と第2粒子の組み合わせの場合、第2粒子の割合を20質量%に少なくしても接合強度は向上するものの耐久性が低下することがわかった。
これに対し、例27に示されるように、第1粒子と第2粒子の組成を同一にすると、例7、24のような効果は得られなかった。つまり、導電性接合材料を850℃で焼成することで接合部材を作製することは困難であることがわかった。特に、例27では、耐久試験後の接触抵抗率特性の有意な上昇が確認された。これは、SOFCの運転温度において、金属製インターコネクタからCr成分が接合部材にマイグレーションして第1粒子および第2粒子の両方とムラなく反応し、Crの拡散経路に沿って絶縁性の反応生成物がムラなく形成されて導電経路を切断してしまうためであると考えられる。このことから、ペロブスカイト酸化物粉体を単純に平均粒子径の異なる粗粉と微粉とから構成するだけでは、本発明の効果は得られないことが確認できた。
例24~26に示されるように、第1粒子および第2粒子のランタンコバルタイト組成を変更しても、第1粒子に対する第2粒子のSr含有量を少なくすることで、接合強度が高く接触抵抗の低い良好な接合部材を作製できることがわかった。またこれらの接合材と金属製インターコネクタとの接触抵抗は、高温耐久後も維持され、耐久性も良好であることが確認された。なおここで、例24と例25の比較から、第1粒子に対する第2粒子のSr含有量が多くなると、CTEは増大し、接合性が若干低下する傾向があることから、第1粒子に対する第2粒子のSr含有量はより少ないほうが良好なことがわかった。また、例24~26の比較から、配合量の多い第1粒子のSr含有量が多くなると、CTEの増大の効果は高くなるが、第2粒子のSr含有量を十分に低減することで、良好な接合強度特性および接触抵抗特性等が得られることが確認できた。
なお、ランタンコバルタイトは、BサイトのCoの一部を他の遷移金属元素(例えばFe)で置換することで、焼結開始温度が大きく低下する。そのため、表3には明示的に表れていないが、例28~32では、金属製インターコネクタと空気極とを比較的低温で好適に接合できることがわかった。また、例28~31に示されるように、第1粒子および第2粒子を構成するランタンコバルタイトは、Bサイトに2種以上の遷移金属元素を含むとより好適であるが、3種以上の遷移金属元素を更に効果的であることがわかった。例29~31に示すように、遷移金属元素としてCuを含むことで、接合強度と接触抵抗の両方がバランスよく改善されることも確認できた。さらに、例31に示すように、クロム補足元素としてはSrに限られず、Baを用いても同様の結果が得られることが確認できた。
しかしながら、例32に示されるように、たとえ遷移金属元素を含んでいても、第1粒子と第2粒子のAサイトの組成を同一にすると、遷移金属の添加による接合性の向上効果は見られるものの、その耐久性を維持することができないことが確認された。
第4実施形態
上記第3実施形態の例24で作製した接合部材の表面を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察するとともに、その観察領域の一部について、エネルギー分散型X線分光分析(Energy Dispersive X-ray spectrometry:EDX)を行った。EDX分析装置としては、日本電子(株)製,JSM-6610LAを用い、走査型電子顕微鏡(SEM)による2000倍の観察領域(画像データ)について、SrのL線、LaのL線、CoのK線を検出することで、各元素の元素マップを得た。その結果を、図2および図3に示した。
図2および図3において、(a)は接合部材の表面のSEM像であり、(b)~(e)はそれぞれSr,La,Coについての元素マップである。図2(a)~(e)と、図3(a)~(e)とについて、ベースとなるSEM像領域および元素マップはそれぞれ同一であるが、図2と図3とは、四角で示したEDXによる各元素の原子比分析を行った分析領域が異なることを示している。
図2(a)および図3(a)に示したように、接合部材は第1粒子と第2粒子とが焼結することで構成されていることが確認できた。図2(a)~(e)に示したように、EDXでは、第1粒子が存在する領域Xを第1の原子比分析領域とした。また、図3(a)~(e)に示したように、第2粒子が存在する領域Yを第2の原子比分析領域とした。これら領域Xおよび領域Yについて、EDX結果から得られたLa,Sr,Coの各元素の原子比と、これらの結果から算出される各領域におけるランタンコバルタイト組成とを、下記の表4に示した。
Figure 0007048247000004
[評価]
SEM観察の結果から、接合部材においては第1粒子と第2粒子とが一体的に焼結しているものの、焼結温度が850℃と低めであることから、第1粒子と第2粒子とはおおよその形状を残したまま焼結体を構成していることがわかった。そしてEDXの結果から、接合部材の第1粒子部分と第2粒子部分とは、出発材料である第1粒子と第2粒子の組成とほぼ同じ組成を有していることが確認できた。つまり、接合部材には、相対的にSr比の多い第1ペロブスカイト相と、相対的にSr比の少ない第2ペロブスカイト相とが存在していることがわかった。また、SEM観察およびEDXの結果から、これら第1ペロブスカイト相と、第2ペロブスカイト相との割合も、出発材料である第1粒子と第2粒子の割合に一致することが合理的に理解される。
第5実施形態(例33~41)
導電性接合材料として、下記表5に示す組成を有する第1粒子からなる粉体と第2粒子からなる粉体とを混合することで、例33~41の混合粉を用意した。ここで、第1粒子からなる粉体の平均粒子径は7μmに、第2粒子からなる粉体の平均粒子径は0.7μmに調整した。また、第1粒子からなる粉体と、第2粒子からなる粉体との配合は、質量比で、第1粒子:第2粒子が80:20となるようにした。これらの混合粉と、表5に示す組成の焼結助剤とを用い、その他の条件は第1実施形態と同様にして、例33~41の接合用ペーストを調製した。焼結助剤の割合は、混合粉体を100質量部としたときに、5質量部とした。
なお、表5に示されるように、例33~36、41はBサイトにCoのみを含む組成であり、例37~40はBサイトにCoとFe、例39~40はさらにBサイトにCuを含む組成である。
用意した接合用ペーストを用い、第1実施形態と同じ条件で、接合部材のCTE、接合強度および接触抵抗率を測定し、これらの結果を、下記表5の「CTE」、「接合強度」、「接触抵抗」の欄にそれぞれ示した。評価記号の示す内容は、第1実施形態と同じである。なお、参考のために、焼結助剤を用いない上記例24、25、28~30の結果を、併せて表5に示した。なお、これらの接合用ペーストの乾燥物の焼成時の収縮率は、いずれも2.5%以下であることを確認している。
Figure 0007048247000005
[評価]
例24と例33、例28と例37、38の比較から、焼結助剤としてCuやAgPd合金を用いることで、接合強度および接触抵抗の少なくとも一方が改善されて、良好な接合部材を形成できることがわかった。また例34に示すように、ランタンコバルタイトの組成が変化しても、同様の傾向が得られることがわかった。例25と例35、36の比較から、焼結助剤としてNiやMnを用いた場合は、Cuと比較すると接合強度および接触抵抗の顕著な向上は見られなかったが、接合強度が若干改善されており、また良好な接触抵抗特性を示すことがわかった。
また、例29と例39に示されるように、BサイトにCuを含むランタンコバルタイトを用いた場合、焼結助剤としてCuを組み合わせて用いることで、接合強度および接着抵抗の両方が改善されて、良好な接合部材を形成できることがわかった。例30と例40の結果からは、評価結果には明示的に表れていないが、BサイトにCuを含むランタンコバルタイトを第1粒子および第2粒子の両方に用い、焼結助剤としてCuを組み合わせて用いることで、同様に、接合強度および接着抵抗の両方が改善されて、良好な接合部材を形成できることがわかった。しかしながら、例41に示されるように、第1粒子と第2粒子のSr量を同じにした系では、たとえ焼結助剤としてCuを用いた場合であっても、焼結助剤としてCuを用いたことによる接合強度および接着抵抗の向上効果は見られないことが確認された。
第6実施形態(例42~52)
第1実施形態の例6と同じ配合の接合用ペーストに対し、焼結助剤としてのCu粉を、下記表6に示す平均粒子径および配合で加えることで、例42~52の接合用ペーストを調製した。すなわち、第1粒子としては平均粒子径が1μmのLa0.6Sr0.4CoOを用い、第2粒子としては平均粒子径が1μmのLa0.9Sr0.1CoOを用いた。また、第1粒子からなる粉体と、第2粒子からなる粉体との配合は、質量比で、第1粒子:第2粒子が70:30となるようにした。表6に示す組成の焼結助剤の添加量は、第1粒子と第2粒子との混合粉体の総量を100質量部としたときの割合(質量部)を示している。
用意した接合用ペーストを用い、第1、第2の実施形態と同じ条件で、接合部材の接合強度、接触抵抗率および耐久性を測定した。これらの結果を、下記表6の「接合強度」、「接触抵抗」、「耐久性」の欄にそれぞれ示した。評価記号の示す内容は、第1、2実施形態と同じである。なお、これらの接合用ペーストの乾燥物の焼成時の収縮率は、いずれも2.5%以下であることを確認している。
Figure 0007048247000006
表6に示されるように、焼結助剤の平均粒子径は、第1粒子および第2粒子と比較して、小さくてもよいし、同じであってもよいし、大きくても良いことがわかる。ただし、第1粒子および第2粒子と比較して、平均粒子径が10倍と極端に大きい例43では、焼結助剤が第1粒子および第2粒子の焼結を阻害しているといえ、常識的に不適切であるといえる。焼結助剤の平均粒子径は、第1粒子および第2粒子と比較して、おおよそ1/10~5倍程度が適切であり、1/10~1倍程度(より好ましくは、1/10倍以上1倍未満)が好ましいといえる。また、焼結助剤の添加量については、たとえば1質量部以上25質量部以下、例えば5質量部前後が良好であるといえる。
第7実施形態(例53~60)
下記の表7に示す第1粒子と第2粒子とを用意し、第1実施形態と同様にして2通りの接合用ペーストを調製した。第1の接合用ペースト(例53~56)は、第1粒子としてLa0.9Sr0.1CoOを用い、第2粒子としてLa0.6Sr0.4CoOを用いている。第2の接合用ペースト(例57~60)は、その逆で、第1粒子としてLa0.6Sr0.4CoOを用い、第2粒子としてLa0.9Sr0.1CoOを用いている。第1および第2の接合用ペーストともに、第1粒子と第2粒子の平均粒子径および配合は同じとした。したがって、第1の接合用ペースト(例53~56)はここに開示される技術条件を満たさないが、第2の接合用ペースト(例57~60)はここに開示される技術条件を満たす。なお、例57は、第3実施形態における例24と同じ条件である。
これらの接合用ペーストを用い、焼成温度を表7に示すとおり変化させた以外は、第1実施形態と同じ条件で接合部材を用意し、その接合強度および接触抵抗率を測定した。これらの結果を、下記表6の「接合強度」、「接触抵抗」の欄にそれぞれ示した。評価記号の示す内容は、第1実施形態と同じである。
Figure 0007048247000007
表7の例53~56から明らかなように、第1の接合用ペーストを用いると、1000℃以上の高い温度で焼成したときに、良好な接合強度と接触抵抗とを実現する接合部材を形成できる。しかしながら、1000℃に満たない温度で焼成すると、得られる接合部材は十分に焼結が進んでおらず、基材との接合強度は弱く、また、接触抵抗は高くなってしまうことが解った。
これに対し、本技術条件を満たす第2の接合用ペーストを用いると、850℃以上1150℃以下の温度で焼成したときに、概ね良好な接合強度と接触抵抗とを実現する接合部材を形成できることが確認できた。特に、1000℃以下、好ましくは900℃以下の温度で焼成した場合に、接合部材の焼成が好適に行われ、基材との接合性および密着性に優れた接合部材の形成が可能であることが確認できた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 SOFCスタック
10A,10B 単セル
20 空気極(カソード)
30 固体電解質
40 燃料極(アノード)
50,50A 金属製インターコネクタ
52 ,54 セル対向面
53 空気流路
55 燃料ガス流路

Claims (12)

  1. 固体酸化物形燃料電池の空気極と金属製インターコネクタとを接合する空気極用接合部材であって、一般式:ABOで表されるペロブスカイト型結晶構造を有する第1酸化物相と第2酸化物相とを含み、
    前記第1酸化物相は、下記の組成:
    La 1-x1 RE x1 Co y1 1-y1 ・・・(1)
    で示されるランタン系ペロブスカイト型酸化物であり、
    ここで、式1における
    RE はSr、Baのうちの少なくとも1種である第1クロム補足元素を示し、
    はTi、Mn、Fe、Ni、Cuのうちの少なくとも1種である遷移金属元素を示し、
    x1は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占めるLaおよび前記第1クロム補足元素のうちの前記第1クロム補足元素の割合を示し、0.4≦x1≦0.8であり
    y1は、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを占めるCoおよび前記遷移金属元素のうちの前記遷移金属元素の割合を示しており、
    前記第2酸化物相は、下記の組成:
    La 1-x2 RE x2 Co y2 1-y2 ・・・(2)
    で示されるランタン系ペロブスカイト型酸化物であり、
    RE はSr、Baのうちの少なくとも1種である第2クロム補足元素を示し、
    はTi、Mn、Fe、Ni、Cuのうちの少なくとも1種である遷移金属元素を示し、
    x2は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占めるLaおよび前記第2クロム補足元素のうちの前記第2クロム補足元素の割合を示し、0.05≦x2≦0.2であり、
    y2は、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを占めるCoおよび前記遷移金属元素のうちの前記遷移金属元素の割合を示しており、
    前記第1クロム補足元素と前記第2クロム補足元素との原子比(x1/x2)は、
    2≦(x1/x2)≦15であり、
    前記第1酸化物相と前記第2酸化物相との合計に占める前記第2酸化物相の割合は、5質量%以上70質量%以下であり、
    25℃から800℃の温度範囲における平均線膨張率を示差膨張方式にて測定したときの熱膨張係数が17×10 -6 /K~19.3×10 -6 /Kであり、
    Mn、Ni、Cu、Ag、Pdおよびこれらの元素を含む合金のうちから選択される金属または合金で構成された焼結助剤に由来する金属成分含有相を、前記第1酸化物相および前記第2酸化物相の合計を100質量部としたときに20質量部以下の割合で含む、空気極用接合部材。
  2. 前記第1酸化物相を含む第1焼結粒子部と、前記第2酸化物相を含む第2焼結粒子部とを含み、
    顕微鏡観察において、前記第1焼結粒子部の平均径は、前記第2焼結粒子部の平均径よりも大きい、請求項1に記載の空気極用接合部材。
  3. 前記金属成分含有相としてCu含有層を含む、請求項1または2に記載の空気極用接合部材。
  4. 前記第1酸化物相および前記第2酸化物相の少なくとも1つは、前記BサイトにCuを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の空気極用接合部材。
  5. 固体酸化物形燃料電池の空気極と金属製インターコネクタとを接合する空気極用接合部材のための導電性接合材料であって、
    一般式:ABO3で表されるペロブスカイト型結晶構造を有する第1酸化物粉体と第2酸化物粉体とを含み、
    前記第1酸化物粉体は、下記の組成:
    La 1-x1 RE x1 Co y1 1-y1 ・・・(1)
    で示されるランタン系ペロブスカイト型酸化物であり、
    ここで、式1における
    RE はSr、Baのうちの少なくとも1種である第1クロム補足元素を示し、
    はTi、Mn、Fe、Ni、Cuのうちの少なくとも1種である遷移金属元素を示し、
    x1は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占めるLaおよび前記第1クロム補足元素のうちの前記第1クロム補足元素の割合を示し、0.4≦x1≦0.8であり
    y1は、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを占めるCoおよび前記遷移金属元素のうちの前記遷移金属元素の割合を示しており、
    前記第2酸化物粉体は、下記の組成:
    La 1-x2 RE x2 Co y2 1-y2 ・・・(2)
    で示されるランタン系ペロブスカイト型酸化物であり、
    RE はSr、Baのうちの少なくとも1種である第2クロム補足元素を示し、
    はTi、Mn、Fe、Ni、Cuのうちの少なくとも1種である遷移金属元素を示し、
    x2は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占めるLaおよび前記第2クロム補足元素のうちの前記第2クロム補足元素の割合を示し、0.05≦x2≦0.2であり、
    y2は、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを占めるCoおよび前記遷移金属元素のうちの前記遷移金属元素の割合を示しており、
    前記第1クロム補足元素と前記第2クロム補足元素との原子比(x1/x2)は、
    1.5≦(x1/x2)≦20であり、
    前記第1酸化物粉体と前記第2酸化物粉体との合計に占める前記第2酸化物粉体の割合は、5質量%以上70質量%以下であり、
    前記第1酸化物粉体の平均粒子径および前記第2酸化物粉体の平均粒子径は、それぞれ、0.01μm以上10μm以下であり、
    Mn、Ni、Cu、Ag、Pdおよびこれらの元素を含む合金のうちから選択される金属または合金で構成され、平均粒子径が前記第1酸化物粉体の平均粒子径および前記第2酸化物粉体の平均粒子径の1/10倍以上5倍以下である焼結助剤を、前記第1酸化物粉体および前記第2酸化物粉体の合計を100質量部としたときに1質量部以上20質量部以下の割合で含む、導電性接合材料。
  6. 前記第2酸化物粉体の平均粒子径は、前記第1酸化物粉体の平均粒子径よりも小さい、請求項に記載の導電性接合材料。
  7. 前記焼結助剤として、Cu含有粉体を含む、請求項5または6に記載の導電性接合材料。
  8. 前記焼結助剤として、Cu含有粉体を含み、
    前記第1酸化物粉体および前記第2酸化物粉体の少なくとも1つは、前記BサイトにCuを含む、請求項に記載の導電性接合材料。
  9. 前記第1酸化物粉体および前記第2酸化物粉体を分散させる分散媒を含み、ペースト状に調製されている、請求項のいずれか1項に記載の導電性接合材料。
  10. 前記ペースト状に調製された前記導電性接合材料であって、
    150℃で乾燥後に850℃で焼成したときの焼成収縮率が3%以下である、請求項に記載の導電性接合材料。
  11. 燃料極と固体電解質と空気極とを備える固体酸化物形燃料電池と、
    金属製インターコネクタと、
    前記空気極と前記金属製インターコネクタとを接合する空気極用接合部材と、
    を備え、
    前記空気極用接合部材は、請求項10のいずれか1項に記載の導電性接合材料の焼成物により構成されている、SOFCスタック。
  12. 前記空気極は、少なくとも一部が、請求項10のいずれか1項に記載の導電性接合材料の焼成物により構成されている、請求項11に記載のSOFCスタック。
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