JP7047798B2 - 合金薄帯片の製造方法 - Google Patents

合金薄帯片の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7047798B2
JP7047798B2 JP2019039287A JP2019039287A JP7047798B2 JP 7047798 B2 JP7047798 B2 JP 7047798B2 JP 2019039287 A JP2019039287 A JP 2019039287A JP 2019039287 A JP2019039287 A JP 2019039287A JP 7047798 B2 JP7047798 B2 JP 7047798B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amorphous alloy
strip
alloy strip
temperature
heat treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019039287A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020143317A (ja
Inventor
祐 高根沢
修 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2019039287A priority Critical patent/JP7047798B2/ja
Priority to US16/808,975 priority patent/US11473158B2/en
Publication of JP2020143317A publication Critical patent/JP2020143317A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7047798B2 publication Critical patent/JP7047798B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D1/00General methods or devices for heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering
    • C21D1/34Methods of heating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D2201/00Treatment for obtaining particular effects
    • C21D2201/03Amorphous or microcrystalline structure
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C45/00Amorphous alloys
    • C22C45/008Amorphous alloys with Fe, Co or Ni as the major constituent

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Description

本発明は、アモルファス合金薄帯片を結晶化した合金薄帯片の製造方法に関する。
従来、アモルファス合金薄帯片は軟磁性材料であるため、単ロール法、双ロール法等の方法で製造された連続したアモルファス合金薄帯片から打ち抜かれたアモルファス合金薄帯片が、例えば、モータのコア等に用いられている。また、アモルファス合金薄帯片を結晶化したナノ結晶合金薄帯片は、高い飽和磁束密度及び低い保磁力の両立が可能な軟磁性材料であるため、近年、ナノ結晶合金薄帯片が、それらのコアに用いられるようになっている。
アモルファス合金薄帯片を結晶化開始温度以上の温度に加熱することにより結晶化することで、ナノ結晶合金薄帯片を製造する際には、アモルファス合金薄帯片の結晶化反応による放出熱が原因となって、合金薄帯片の過剰な温度上昇を招く結果、結晶粒の粗大化や化合物相の析出が生じることにより、軟磁気特性が劣化するおそれがある。
このような問題に対処する方法として、例えば、特許文献1には、アモルファス合金薄帯片を挟んだプレートによりアモルファス合金薄帯片を加熱することで結晶化する方法において、結晶化反応による放出熱を両端のプレートに吸熱させる方法が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、アモルファス合金薄帯片を炉内で高速で昇温することにより、アモルファス合金薄帯片を結晶化する方法が記載されている。このような方法では、アモルファス合金薄帯片の各位置を均一に加熱できれば、結晶化反応による放出熱が原因となり、合金薄帯片の過剰な温度上昇が生じることを抑制できると考えられる。
特開2017-141508号公報 特開2018-125475号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法のように、別に準備した吸熱部材を用いて結晶化反応による放出熱を吸熱させる操作を行うことにより、過剰な温度上昇を防ぎ、結晶粒の粗大化等を抑制する方法では、ナノ結晶合金薄帯片を高い生産性で製造することができない。
また、特許文献2に記載されている方法のように、アモルファス合金薄帯片を炉内で昇温する方法では、実際には各位置を均一に加熱し結晶化することは困難である。このため、合金薄帯片では結晶化反応による放出熱を原因とする熱だまりが生じ、過剰な温度上昇を招く結果、軟磁気特性が劣化することがある。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アモルファス合金薄帯片を結晶化したナノ結晶合金薄帯片を高い生産性で製造できる合金薄帯片の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に係る合金薄帯片の製造方法は、アモルファス合金薄帯片を結晶化した合金薄帯片の製造方法であって、アモルファス合金薄帯片を準備する準備工程と、上記アモルファス合金薄帯片の一端から他端に至る途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、上記途中の箇所まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時に加熱を停止する第1熱処理工程と、上記アモルファス合金薄帯片の上記他端から上記途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する第2熱処理工程と、を備え、上記第2熱処理工程においては、上記第1熱処理工程で加熱を停止した後に、上記アモルファス合金薄帯片の上記途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することを特徴とする。
本発明によれば、アモルファス合金薄帯片を結晶化したナノ結晶合金薄帯片を高い生産性で製造できる。
本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法の一例を示す概略工程図である。 本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法の一例を示す概略工程図である。 従来の合金薄帯片の製造方法の例を示す概略工程図である。 示差走査型熱量分析計(DSC)により測定されるアモルファス合金のDSC曲線を示すグラフである。 本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法の他の例を示す概略工程平面図である。 本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法の他の例を示す概略工程側面図である。 実施例の合金薄帯片の製造方法の実験で使用されたアモルファス合金薄帯片の写真である。 実施例の合金薄帯片の製造方法の実験で結晶化した合金薄帯片の平面方向の各位置の保磁力Hcを示すグラフである。
以下、本発明に係る合金薄帯片の製造方法の実施形態について説明する。
本発明に係る合金薄帯片の製造方法は、アモルファス合金薄帯片を結晶化した合金薄帯片の製造方法であって、アモルファス合金薄帯片を準備する準備工程と、上記アモルファス合金薄帯片の一端から他端に至る途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、上記途中の箇所まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時に加熱を停止する第1熱処理工程と、上記アモルファス合金薄帯片の上記他端から上記途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する第2熱処理工程と、を備え、上記第2熱処理工程においては、上記第1熱処理工程で加熱を停止した後に、上記アモルファス合金薄帯片の上記途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することを特徴とする。なお、以下では、アモルファス合金薄帯片の一端から他端に向かう方向に垂直な方向を「幅方向」と呼ぶことにする。
まず、本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法について、例示して説明する。
ここで、図1(a)~図2(d)は、本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法の一例を示す概略工程図である。
本例においては、まず、一般的な方法で製造された連続したシート状のアモルファス合金薄帯片(図示せず)から、例えば、プレス加工により、モータのコアに用いられる形状の薄帯片を打ち抜くことによって、図1(a)に示されるように概略帯状のアモルファス合金薄帯片2Aを準備する(準備工程)。
次に、図1(b)及び図1(c)に示されるように、アモルファス合金薄帯片2Aを常温の大気雰囲気下に置いた状態で、高温ガス源GSをアモルファス合金薄帯片2Aに対し移動させることで、高温ガス源GSから送風される高温ガスGをアモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の一端2sから他端2eに至る途中の箇所2mまで順に当てた後に、高温ガスGを送風するのを停止する。このようにして、アモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の一端2sから他端2eに至る途中の箇所2mまで順に幅方向全域を結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、途中の箇所2mまで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時にアモルファス合金薄帯片2Aの加熱を停止する(第1熱処理工程)。これにより、アモルファス合金薄帯片2Aの一端2sから途中の箇所2mまでの領域の全体において、アモルファス合金Aを結晶化することでナノ結晶合金Cにする。
次に、アモルファス合金薄帯片2Aをそのまま常温の大気雰囲気下に置いた状態で、図2(d)及び図2(e)に示されるように、高温ガス源GSをアモルファス合金薄帯片2Aに対し移動させることで、高温ガス源GSから送風される高温ガスGをアモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の他端2eから途中の箇所2mの直前まで順に当てた後に、高温ガスGを送風するのを停止する。このようにして、第1熱処理工程で加熱を停止するタイミングよりも後のタイミングで、アモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の他端2eから途中の箇所2mの直前まで順に幅方向全域を結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、途中の箇所2mの直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時にアモルファス合金薄帯片2Aの加熱を停止する(第2熱処理工程)。これにより、アモルファス合金薄帯片2Aの他端2eから途中の箇所2mの直前までの領域の全体において、アモルファス合金Aを結晶化することでナノ結晶合金Cにする。以上により、アモルファス合金薄帯片2Aの全体を結晶したナノ結晶合金薄帯片2Cを製造する。
ここで、従来の合金薄帯片の製造方法について、例示して、本実施形態に係る一例と異なる点を中心に説明する。図3(a)~図3(c)は、従来の合金薄帯片の製造方法の例を示す概略工程図である。図4は、示差走査型熱量分析計(DSC)により測定されるアモルファス合金のDSC曲線を示すグラフである。
従来においては、図3(a)に示されるように、アモルファス合金薄帯片2Aを準備した後に、図3(b)及び図3(c)に示されるように、アモルファス合金薄帯片2Aを常温の大気雰囲気下に置いた状態で、高温ガス源GSをアモルファス合金薄帯片2Aに対し移動させることで、高温ガス源GSから送風される高温ガスGをアモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の一端2sから他端2eまで順に当てていき、他端2eまで高温ガスGを当てる。このようにして、アモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の一端2sから他端2eまで幅方向全域を順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する。これにより、アモルファス合金薄帯片2Aの一端2sから他端2eまで順にアモルファス合金Aを結晶化し、ナノ結晶合金Cにしようとする。この場合には、図4のDSC曲線からわかるように、一端2sから他端2eまで順に結晶化反応による熱が放出されることになる。この結果、最後に加熱された他端2eの結晶化反応による放出熱は、他端2eより前に加熱された部分が高温に維持されているので行き場がなくなる。このため、アモルファス合金薄帯片2Aの結晶化において、最後に加熱された他端2eで過剰な温度上昇を招くことになり、結晶粒の粗大化や化合物相の析出が生じることになる。
これに対し、本実施形態に係る一例においては、アモルファス合金薄帯片2Aを常温の大気雰囲気下に置いた状態で、第1熱処理工程において、アモルファス合金薄帯片2Aの一端2sから他端2eに至る途中の箇所2mまで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、途中の箇所2mまで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時に加熱を停止し、第2熱処理工程において、第1熱処理工程で加熱を停止するタイミングよりも後のタイミングで、アモルファス合金薄帯片2Aの他端2eから途中の箇所2mの直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する。これにより、第1熱処理工程の加熱でアモルファス合金薄帯片2Aの一端2sから途中の箇所2mまで順に結晶化反応による熱が放出される際に、一端2sから途中の箇所2mまでの結晶化反応による放出熱を加熱前の他端2e側に逃がすことができる。さらに、これによって、アモルファス合金薄帯片2Aの一端2sから途中の箇所2mまでが、例えば、結晶化開始温度未満の温度域にまで冷却されるので、第2熱処理工程の加熱でアモルファス合金薄帯片2Aの他端2eから途中の箇所2mの直前まで順に結晶化反応による熱が放出される際に、他端2eから途中の箇所2mの直前までの結晶化反応による放出熱を冷却された一端2s側に逃がすことができる。このため、アモルファス合金薄帯片2Aの結晶化において、別に準備した吸熱部材を用いて結晶化反応による放出熱を吸熱させる操作を行わなくても、過剰な温度上昇を防ぎ、結晶粒の粗大化や化合物相の析出を抑制できる。
本実施形態においては、本実施形態に係る一例のように、第1熱処理工程において、アモルファス合金薄帯片の一端から他端に至る途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、途中の箇所まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時に加熱を停止する。そして、第2熱処理工程において、アモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する場合には、第1熱処理工程で加熱を停止するタイミングよりも後のタイミングで、アモルファス合金薄帯片の途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱する。これにより、第1熱処理工程の加熱でアモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所まで順に結晶化反応による熱が放出される際に、一端から途中の箇所までの結晶化反応による放出熱を加熱前の他端側に逃がすことができ、第2熱処理工程の加熱でアモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前まで順に結晶化反応による熱が放出される際に、他端から途中の箇所の直前までの結晶化反応による放出熱を冷却された一端側に逃がすことができる。このため、アモルファス合金薄帯片の結晶化において、別に準備した吸熱部材を用いて結晶化反応による放出熱を吸熱させる操作を行わなくても、過剰な温度上昇を防ぎ、結晶粒の粗大化や化合物相の析出を抑制できる。よって、アモルファス合金薄帯片を結晶化したナノ結晶合金薄帯片を高い生産性で製造できる。
続いて、本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法について、その条件を中心に詳細に説明する。
1.準備工程
準備工程においては、アモルファス合金薄帯片を準備する。
ここで、「アモルファス合金薄帯片」とは、例えば、単ロール法、双ロール法等の一般的な方法で製造された連続したシート状のアモルファス合金薄帯片から、例えば、モータ等の最終製品におけるコア等の部品に用いられる所望の形状に打ち抜かれた薄帯片を指す。
アモルファス合金薄帯片は、所望の形状に打ち抜かれた薄帯片であれば特に限定されないが、例えば、モータにおけるステータコア又はロータコアを構成する薄帯、ステータコア又はロータコアを構成する薄帯がさらに周方向で分割された薄帯等が挙げられる。
アモルファス合金薄帯片の材質は、アモルファス合金であれば特に限定されないが、例えば、Fe基アモルファス合金、Ni基アモルファス合金、Co基アモルファス合金等が挙げられる。中でもFe基アモルファス合金等が好ましい。ここで、「Fe基アモルファス合金」とは、Feを主成分とし、例えば、B、Si、C、P、Cu、Nb、Zr等の不純物を含有するものを意味する。「Ni基アモルファス合金」とは、Niを主成分とするものを意味する。「Co基アモルファス合金」とは、Coを主成分とするものを意味する。
Fe基アモルファス合金は、例えば、Feの含有量が84原子%以上の範囲内であるものが好ましく、中でもFeの含有量がより多いものが好ましい。Feの含有量により、アモルファス合金薄帯片を結晶化した合金薄帯片の磁束密度が変わるからである。
また、例えば、材質がFe基アモルファス合金である場合には、矩形のアモルファス合金薄帯片のサイズ(縦×横)は、例えば、100mm×100mmであり、円形のアモルファス合金薄帯片の直径は、例えば、150mmである。
アモルファス合金薄帯片の厚さは、特に限定されないが、アモルファス合金薄帯片の材質等によって異なり、材質がFe基アモルファス合金である場合には、例えば、10μm以上100μm以下の範囲内であり、中でも20μm以上50μm以下の範囲内が好ましい。
2.第1熱処理工程
第1熱処理工程においては、上記アモルファス合金薄帯片の一端から他端に至る途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、上記途中の箇所まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時に加熱を停止する。具体的には、アモルファス合金薄帯片の一端から他端に至る途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し当該温度域に結晶化に要する時間保持し、途中の箇所まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱し当該温度域に結晶化に要する時間保持した時に、アモルファス合金薄帯片の加熱を停止する。これにより、アモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所までの領域において、アモルファス合金を結晶化することでナノ結晶合金にする。
ここで、「アモルファス合金薄帯片の一端」とは、アモルファス合金薄帯片の平面方向の一端を指し、「アモルファス合金薄帯片の他端」とは、アモルファス合金薄帯片の一端とは平面方向の反対側の端を指す。
また、「結晶化開始温度」とは、アモルファス合金薄帯片を加熱した場合にその結晶化が開始する温度を指す。アモルファス合金薄帯片の結晶化反応は、アモルファス合金薄帯片の材質等によって異なり、材質がFe基アモルファス合金である場合には、例えば、微細なbccFe結晶を析出させる反応となる。結晶化開始温度は、アモルファス合金薄帯片の材質等及び加熱速度によって異なり、加熱速度が大きいと結晶化開始温度は高くなる傾向があるが、Fe基アモルファス合金である場合には、例えば、350℃~500℃の範囲内となる。
結晶化開始温度以上の温度域は、特に限定されないが、化合物相析出開始温度未満の温度域が好ましい。化合物相の析出を抑制できるからである。ここで、「化合物相析出開始温度」とは、例えば、図4のDSC曲線に示されるような、結晶化開始後のアモルファス合金薄帯片をさらに加熱した場合に化合物相の析出が開始する温度を意味する。また、「化合物相」とは、例えば、Fe基アモルファス合金である場合におけるFe-B、Fe-P等の化合物相のように、結晶化開始後のアモルファス合金薄帯片をさらに加熱した場合に析出し、軟磁気特性を劣化させる化合物相を指す。
結晶化開始温度以上化合物相析出開始温度未満の温度域は、特に限定されないが、アモルファス合金薄帯片の材質等によって異なり、材質がFe基アモルファス合金である場合には、例えば、結晶化開始温度以上結晶化開始温度+100℃以下の範囲内が好ましく、中でも結晶化開始温度+30℃以上結晶化開始温度+50℃以下の範囲内が好ましい。これらの範囲の下限以上であることにより、アモルファス合金薄帯片をより速く結晶化できるからである。また、これらの範囲の上限以下であることにより、結晶粒の粗大化を効果的に抑制できるからである。
アモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する方法は、特に限定されないが、例えば、図1(b)に示されるように高温ガスを当てる方法の他、誘導加熱等が挙げられる。
高温ガスを当てる方法は、例えば、図1(b)に示されるように、高温ガス源をアモルファス合金に対し移動させることにより、高温ガスをアモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所まで順に当てる方法の他、例えば、後述する図5(b)に示されるように、アモルファス合金薄帯片の一端に対向する位置に固定された高温ガス源から高温ガスをアモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所に順に当てる方法等が挙げられる。
なお、高温ガス源は、例えば、工業用ドライヤー等が挙げられる。また、高温ガス源をアモルファス合金薄帯片に対し移動させる方法は、高温ガス源をアモルファス合金薄帯片に対し相対的に移動させる方法であれば特に限定されず、高温ガス源を移動させる方法でもよいし、アモルファス合金薄帯片を移動させる方法でもよい。
3.第2熱処理工程
第2熱処理工程においては、上記アモルファス合金薄帯片の上記他端から上記途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する。この場合において、上記第1熱処理工程で加熱を停止した後に、上記アモルファス合金薄帯片の上記途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱する。具体的には、アモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し当該温度域に結晶化に要する時間保持する。この場合おいて、第1熱処理工程で加熱を停止するタイミングよりも後のタイミングで、アモルファス合金薄帯片の途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱し当該温度域に結晶化に要する時間保持する。これにより、アモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前までの領域において、アモルファス合金を結晶化することでナノ結晶合金にする。
第2熱処理工程は、上記のような工程であれば特に限定されるものではないため、第1熱処理工程で加熱を停止した後に、アモルファス合金薄帯片の他端から結晶化開始温度以上の温度域に加熱することを開始する工程でもよいし、第1熱処理工程で加熱を停止する前に、アモルファス合金薄帯片の他端から結晶化開始温度以上の温度域に加熱することを開始し、第1熱処理工程で加熱を停止した後に、アモルファス合金薄帯片の途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱する工程でもよい。第1熱処理工程で加熱を停止する前に、アモルファス合金薄帯片の他端から結晶化開始温度以上の温度域に加熱することを開始する工程では、第1熱処理工程及び第2熱処理工程が並行して行われることになる。
結晶化開始温度以上の温度域は、第1熱処理工程と同様であるため、ここでの説明を省略する。
アモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する方法は、特に限定されないが、例えば、図2(d)に示されるように高温ガスを当てる方法の他、誘導加熱等が挙げられる。
高温ガスを当てる方法は、例えば、図2(d)に示されるように、高温ガス源をアモルファス合金に対し移動させることにより、高温ガスをアモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前まで順に当てる方法の他、例えば、後述する図5(c)に示されるように、アモルファス合金薄帯片の他端に対向する位置に固定された高温ガス源から高温ガスをアモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前まで順に当てる方法等が挙げられる。なお、高温ガス源及び高温ガス源をアモルファス合金薄帯片に対し移動させる方法は、第1熱処理工程と同様であるため、ここでの説明を省略する。
第2熱処理工程では、上記第1熱処理工程で加熱を停止してから1秒以上の時間が経過した後に、上記アモルファス合金薄帯片の上記途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することが好ましく、中でも3秒以上、特に5秒以上の時間が経過した後に加熱することが好ましい。アモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所までが効果的に冷却された後に、第2熱処理工程で途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することになるため、他端から途中の箇所の直前までの結晶化反応による放出熱を一端側に効果的に逃がすことができるからである。
また、第2熱処理工程では、第1熱処理工程で加熱を停止した後において、アモルファス合金薄帯片の途中の箇所が結晶化開始温度未満の温度域にまで冷却された後に、アモルファス合金薄帯片の途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することが好ましい。アモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所が効果的に冷却された後に、途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することになるため、途中の箇所の直前の結晶化反応による放出熱を一端側に効果的に逃がすことができるからである。結晶化開始温度未満の温度域は、特に限定されず、アモルファス合金薄帯片の材質等によって異なるが、材質がFe基アモルファス合金である場合には、結晶化開始温度-30℃以下の温度域であることが好ましく、特に結晶化開始温度-50℃以下の温度域であることが好ましい。
4.合金薄帯片の製造方法
本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法においては、アモルファス合金薄帯片を結晶化したナノ結晶合金薄帯片を製造する。
ここで、「ナノ結晶合金薄帯片」とは、化合物相の析出及び結晶粒の粗大化を実質的に生じさせずに微細な結晶粒を析出させることによって、所望の保磁力等の軟磁気特性が得られるものを意味する。ナノ結晶合金薄帯片の材質は、アモルファス合金薄帯片の材質等によって異なり、アモルファス合金薄帯片の材質がFe基アモルファス合金である場合には、例えば、Fe又はFe合金の結晶粒(例えば、微細なbccFe結晶等)及び非晶質相の混相組織を有するFe基ナノ結晶合金となる。
ナノ結晶合金薄帯片の結晶粒の粒径は、所望の軟磁気特性が得られるのであれば特に限定されないが、材質等によって異なり、材質がFe基ナノ結晶合金である場合には、例えば、25nm以下の範囲内が好ましい。粗大化すると保磁力が劣化するからである。なお、結晶粒の粒径は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた直接観察により測定できる。また、結晶粒の粒径は、ナノ結晶合金薄帯片の保磁力又は温度プロファイルから推定できる。
ナノ結晶合金薄帯片の保磁力は、ナノ結晶合金薄帯片の材質等によって異なり、材質がFe基ナノ結晶合金である場合には、例えば、20A/m以下であり、中でも10A/m以下が好ましい。保磁力をこのように低くすることにより、例えば、モータ等のコアにおける損失を効果的に低減できるからである。なお、保磁力は、例えば、VSM(振動試料型磁力計)を用いて測定できる。
合金薄帯片の製造方法において、準備工程、第1熱処理工程、及び第2熱処理工程を行う雰囲気は、特に限定されないが、例えば、大気雰囲気等を挙げることができる。
また、準備工程、第1熱処理工程、及び第2熱処理工程を行う雰囲気の温度は、加熱を停止することにより、アモルファス合金薄帯片における加熱された部分が冷却される温度であれば特に限定されず、アモルファス合金薄帯片の材質等によって異なるが、材質がFe基アモルファス合金である場合には、例えば、0℃~100℃の範囲内が好ましく、中でも15℃~25℃の範囲内が好ましい。これらの範囲の下限以上であることにより、アモルファス合金薄帯片の一端から途中の箇所まで順に結晶化することが容易となるからである。また、これらの範囲の上限以下であることにより、加熱を停止した時に、アモルファス合金薄帯片における加熱された部分が効果的に冷却されるからである。なお、雰囲気の温度は、常温でよい。「常温」とは、特に冷やしたり熱したりしない温度、すなわち屋内であれば室温、屋外であれば気温を指し、例えば、JIS Z 8703に規定されている20℃±15℃の範囲内の温度である。
ここで、図5(a)~図5(c)は、本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法の他の例を示す概略工程平面図である。図6(a)~図6(c)は、本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法の他の例を示す概略工程側面図であり、それぞれ図5(a)~図5(c)のI方向の矢視図である。
本例においては、まず、一般的な方法で製造された連続したシート状のアモルファス合金薄帯片(図示せず)から、例えば、プレス加工により、モータのステータコアを構成する環状の合金薄帯が分割された形状の薄帯片を複数枚打ち抜くことによって、図5(a)及び図6(a)に示される複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aを準備する。そして、図5(a)及び図6(a)に示されるように、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aを、治具30を用いて、隣接するアモルファス合金薄帯片2A間に隙間が空くように積層した状態で固定する(準備工程)。アモルファス合金薄帯片2Aは、ステータコアを構成する環状の合金薄帯が分割された形状を有し、内縁(一端)2s側がティース部2t、外縁(他端)2e側がバックヨーク部2bとなっている。ティース部2tの径方向に垂直な断面積は、バークヨーク部2bよりも小さくなっている。
次に、図5(b)及び図6(b)に示されるように、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aを常温の大気雰囲気下に置いた状態で、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sに対向する位置に固定された高温ガス源(図示せず)からアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sに向けて高温ガスを送風することで、高温ガスを隣接するアモルファス合金薄帯片2Aの間の隙間に入り込ませるようにして、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sから外縁2eに至るティース部2t及びバックヨーク部2bの境界(途中の箇所)2mまで順に当てた後に、高温ガスGを送風するのを停止する。このようにして、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sから境界2mまで順に幅方向全域を結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、境界2mまで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時にアモルファス合金薄帯片2Aの加熱を停止する(第1熱処理工程)。これにより、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sから境界2mまでのティース部2tの全体において、アモルファス合金を結晶化することでナノ結晶合金にする。
次に、図5(c)及び図6(c)に示されるように、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aをそのまま常温の大気雰囲気下に置いた状態で、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eに対向する位置に固定された高温ガス源(図示せず)からアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eに向けて高温ガスを送風することで、高温ガスを隣接するアモルファス合金薄帯片2Aの間の隙間に入り込ませるようにして、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eからティース部2t及びバックヨーク部2bの境界2mの直前まで順に当てた後に、高温ガスGを送風するのを停止する。このようにして、第1熱処理工程で加熱を停止するタイミングよりも後のタイミングで、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eから境界2mの直前まで順に幅方向全域を結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、境界2mの直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時にアモルファス合金薄帯片2Aの加熱を停止する(第2熱処理工程)。これにより、複数枚のアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eから境界2mの直前までのバックヨーク部2bの全体において、アモルファス合金を結晶化することでナノ結晶合金にする。以上により、複数のアモルファス合金薄帯片2Aの全体を結晶した複数のナノ結晶合金薄帯片を製造する。
アモルファス合金薄帯片2Aにおいて、内縁2s側のティース部2tの径方向に垂直な断面積が、外縁2e側のバックヨーク部2bよりも小さくなっている。よって、本例とは異なり、仮に、第1熱処理工程でアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eから境界2mまで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する場合には、第1熱処理工程の加熱で外縁2eから境界2mまで順に結晶化反応による熱が放出される際に、外縁2eから境界2mまでのバックヨーク部2bの結晶化反応による放出熱をバックヨーク部2bよりも断面積が小さい加熱前のティース部2tに逃すことになる。この結果、ティース部2tで結晶化反応に伴う過剰な温度上昇を招き、結晶粒の粗大化や化合物相の析出が生じるおそれがある。これに対し、本例によれば、第1熱処理工程でアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sから境界2mまで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱するため、第1熱処理工程の加熱で内縁2sから境界2mまで順に結晶化反応による熱が放出される際に、内縁2sから境界2mまでのティース部2tの結晶化反応による放出熱をティース部2tよりも断面積が大きい加熱前のバックヨーク部2bに逃すことができる。このため、過剰な温度上昇を防ぎ易く、結晶粒の粗大化や化合物相の析出を抑制し易い。なお、本例において、第2熱処理工程の加熱で外縁2eから境界2mまで順に結晶化反応による熱が放出される際には、バックヨーク部2bの結晶化反応による放出熱をバックヨーク部2bよりも断面積が小さいティース部2tに逃すことになるが、ティース部2tが既に結晶化しているため、結晶化反応に伴う過剰な温度上昇による結晶粒の粗大化等は生じにくい。
合金薄帯片の製造方法は、特に限定されないが、例えば、図5及び図6に示される例のように、上記アモルファス合金薄帯片の上記一端側の断面積が上記他端側の断面積よりも小さい方法が好ましい。アモルファス合金薄帯片の結晶化において、断面積が小さい一端側を結晶化した後に断面積が大きい他端側を結晶化することで、断面積が小さい部分の結晶化反応による放出熱を結晶化前の断面積が大きい部分に逃すことができるため、過剰な温度上昇を防ぎ易く、結晶粒の粗大化や化合物相の析出を抑制し易いからである。
また、合金薄帯片の製造方法は、特に限定されないが、例えば、図5及び図6に示される例のように、準備工程において、複数枚のアモルファス合金薄帯片を準備した後に、複数枚のアモルファス合金薄帯片を、治具を用いて、隣接するアモルファス合金薄帯片間に隙間が空くように積層した状態で固定し、第1熱処理工程において、複数枚のアモルファス合金薄帯片の一端から他端に至る途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、途中の箇所まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時に加熱を停止し、第2熱処理工程において、複数枚のアモルファス合金薄帯片の他端から途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、第1熱処理工程で加熱を停止した後に、複数枚のアモルファス合金薄帯片の途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱する方法が好ましい。量産に有利だからである。
本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法は、ナノ結晶合金薄帯片を製造できれば特に限定されないが、例えば、化合物相の析出及び結晶粒の粗大化を実質的に生じさせずに、アモルファス合金薄帯片の全体を結晶化し、ナノ結晶合金薄帯片の結晶粒を所望の粒径にする製造方法が好ましい。本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法においては、化合物相の析出及び結晶粒の粗大化を実質的に生じさせずに、アモルファス合金薄帯片の全体を結晶化し、ナノ結晶合金薄帯片の結晶粒を所望の粒径にするために、ここまでに説明した条件だけではなく他の条件も好適に設定することができる。また、各条件を独立に好適に設定するだけでなく、各条件の組み合わせを好適に設定することもできる。
以下、実施例を挙げて、本実施形態に係る合金薄帯片の製造方法をさらに具体的に説明する。
[実施例]
合金薄帯片の製造方法の実験を実施した。以下、具体的に説明する。
〈アモルファス合金薄帯片〉
図7は、実施例の合金薄帯片の製造方法の実験で使用されたアモルファス合金薄帯片の写真である。図7に示されるように、本実験で使用されたアモルファス合金薄帯片2Aは、モータのステータコアを構成する環状の合金薄帯が分割された形状を有する薄帯である。アモルファス合金薄帯片2Aは、Feの含有量が84原子%以上のFe基アモルファス合金から構成され、そのサイズは下記の通りである。
厚さT:0.025mm
全体の径方向の長さR1:50mm
バックヨーク部の径方向の長さR2:15mm
内縁の長さW1:28mm
外縁の長さW2:40mm
なお、結晶化前のアモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の各位置の保磁力Hcは、約8A/mであった。また、結晶化前のアモルファス合金薄帯片2Aの平面方向の各位置の磁束密度Bsは、1.6T以下であった。
〈実験条件〉
本実験は、アモルファス合金薄帯片2Aを室温(15℃)の大気雰囲気下に置いた状態で行った。本実験では、まず、工業用ドライヤー(BOSCH社製GHG 660LCD)(図示せず)を、アモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sに対向し内縁2sから20mm離れた位置に吹出口(BOSCH社製1 609 201 795)(図示せず)がくるように固定し、工業用ドライヤーからアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sに向けて440℃の高温ガスを1m/secの風速で送風することで、高温ガスをアモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sから外縁2eに至るティース部2t及びバックヨーク部2bの境界2mまで10秒間当てた後に、高温ガスを送風するのを停止した(第1熱処理工程)。これにより、アモルファス合金薄帯片2Aの内縁2sから境界2mまで順に結晶化した。
次に、工業用ドライヤーを、アモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eに対向し外縁2eから20mm離れた位置に吹出口がくるように固定し、第1熱処理工程で高温ガスを送風するのを停止してから5秒が経過した後に、工業用ドライヤーからアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eに向けて440℃の高温ガスを1m/secの風速で送風することで、高温ガスをアモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eから境界2mの直前まで10秒間当てて、その後に高温ガスを送風するのを停止した(第2熱処理工程)。これにより、アモルファス合金薄帯片2Aの外縁2eから境界2mの直前まで順に結晶化することで、アモルファス合金薄帯片2Aを結晶化した合金薄帯片を作製した。
〈実験結果〉
アモルファス合金薄帯片2Aを結晶化した合金薄帯片において、図7に示される平面方向のP1~P4の各位置の保磁力Hc及び磁束密度BsをVSM(振動試料型磁力計)により測定した。それらの結果を下記の表1に示す。また、図8は、実施例の合金薄帯片の製造方法の実験で結晶化した合金薄帯片の平面方向の各位置の保磁力Hcを示すグラフである。
Figure 0007047798000001
上記の表1及び図8に示されるように、結晶化した合金薄帯片の平面方向のいずれの位置においても、保磁力Hcは目標範囲の上限(10A/m)を超えることなく、目標範囲内となった。さらに、結晶化した合金薄帯片の平面方向のいずれの位置においても、磁束密度Bsは結晶化前よりも大きい1.7Tを超える値となった。
以上、本発明に係る合金薄帯片の製造方法の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
2A アモルファス合金薄帯片
2s アモルファス合金薄帯片の平面方向の一端
2e アモルファス合金薄帯片の平面方向の他端
2m アモルファス合金薄帯片の平面方向の一端から他端に至る途中の箇所
GS 高温ガス源
G 高温ガス

Claims (3)

  1. アモルファス合金薄帯片を結晶化した合金薄帯片の製造方法であって、
    アモルファス合金薄帯片を準備する準備工程と、
    前記アモルファス合金薄帯片の一端から他端に至る途中の箇所まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱し、前記途中の箇所まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱した時に加熱を停止する第1熱処理工程と、
    前記アモルファス合金薄帯片の前記他端から前記途中の箇所の直前まで順に結晶化開始温度以上の温度域に加熱する第2熱処理工程と、
    を備え、
    前記第2熱処理工程においては、前記第1熱処理工程で加熱を停止した後に、前記アモルファス合金薄帯片の前記途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することを特徴とする合金薄帯片の製造方法。
  2. 前記アモルファス合金薄帯片の前記一端側の断面積が前記他端側の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の合金薄帯片の製造方法。
  3. 前記第2熱処理工程においては、前記第1熱処理工程で加熱を停止してから1秒以上の時間が経過した後に、前記アモルファス合金薄帯片の前記途中の箇所の直前まで結晶化開始温度以上の温度域に加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の合金薄帯片の製造方法。
JP2019039287A 2019-03-05 2019-03-05 合金薄帯片の製造方法 Active JP7047798B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019039287A JP7047798B2 (ja) 2019-03-05 2019-03-05 合金薄帯片の製造方法
US16/808,975 US11473158B2 (en) 2019-03-05 2020-03-04 Method for manufacturing alloy ribbon piece

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019039287A JP7047798B2 (ja) 2019-03-05 2019-03-05 合金薄帯片の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020143317A JP2020143317A (ja) 2020-09-10
JP7047798B2 true JP7047798B2 (ja) 2022-04-05

Family

ID=72336169

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019039287A Active JP7047798B2 (ja) 2019-03-05 2019-03-05 合金薄帯片の製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US11473158B2 (ja)
JP (1) JP7047798B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7196692B2 (ja) * 2019-03-05 2022-12-27 トヨタ自動車株式会社 合金薄帯片の製造方法
US11609084B2 (en) * 2020-02-24 2023-03-21 The Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Navy 3D printed mechanical testing device for micro-scale material specimens

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120262266A1 (en) 2011-04-15 2012-10-18 Vacuumschmelze Gmbh & Co. Kg Alloy, magnetic core and process for the production of a tape from an alloy
US20140007989A1 (en) 2012-07-05 2014-01-09 Christopher D. Prest Selective crystallization of bulk amorphous alloy
WO2015016239A1 (ja) 2013-08-02 2015-02-05 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 ステータ加熱装置及びステータ加熱方法
JP2016145373A (ja) 2015-02-06 2016-08-12 Necトーキン株式会社 Fe基ナノ結晶合金の製造方法
JP2017110243A (ja) 2015-12-14 2017-06-22 新日鐵住金株式会社 モータコアの焼鈍装置
JP2017141508A (ja) 2016-02-09 2017-08-17 国立大学法人東北大学 アモルファス合金薄帯の積層体の熱処理装置および軟磁性コア
WO2018062310A1 (ja) 2016-09-29 2018-04-05 日立金属株式会社 ナノ結晶合金磁心、磁心ユニットおよびナノ結晶合金磁心の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2832731A1 (de) * 1978-07-26 1980-02-07 Vacuumschmelze Gmbh Magnetkern aus einer weichmagnetischen amorphen legierung
JPH03249152A (ja) * 1990-02-28 1991-11-07 Mitsui Petrochem Ind Ltd アモルファス金属の熱処理方法及び装置
US7540899B1 (en) * 2005-05-25 2009-06-02 Tini Alloy Company Shape memory alloy thin film, method of fabrication, and articles of manufacture
CN107043847B (zh) 2016-02-09 2021-06-18 株式会社东北磁材研究所 非晶态合金薄带的层叠体的热处理装置以及软磁芯
JP2018125475A (ja) 2017-02-03 2018-08-09 パナソニックIpマネジメント株式会社 積層鉄心とその製造方法およびその積層鉄心を用いた電磁部品
JP7196692B2 (ja) 2019-03-05 2022-12-27 トヨタ自動車株式会社 合金薄帯片の製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120262266A1 (en) 2011-04-15 2012-10-18 Vacuumschmelze Gmbh & Co. Kg Alloy, magnetic core and process for the production of a tape from an alloy
US20140007989A1 (en) 2012-07-05 2014-01-09 Christopher D. Prest Selective crystallization of bulk amorphous alloy
WO2015016239A1 (ja) 2013-08-02 2015-02-05 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 ステータ加熱装置及びステータ加熱方法
JP2016145373A (ja) 2015-02-06 2016-08-12 Necトーキン株式会社 Fe基ナノ結晶合金の製造方法
JP2017110243A (ja) 2015-12-14 2017-06-22 新日鐵住金株式会社 モータコアの焼鈍装置
JP2017141508A (ja) 2016-02-09 2017-08-17 国立大学法人東北大学 アモルファス合金薄帯の積層体の熱処理装置および軟磁性コア
WO2018062310A1 (ja) 2016-09-29 2018-04-05 日立金属株式会社 ナノ結晶合金磁心、磁心ユニットおよびナノ結晶合金磁心の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020143317A (ja) 2020-09-10
US11473158B2 (en) 2022-10-18
US20200283861A1 (en) 2020-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6263512B2 (ja) ナノ結晶合金の前駆体である広幅の鉄基非晶質合金
JP5455040B2 (ja) 軟磁性合金、その製造方法、および磁性部品
JP6867744B2 (ja) Fe基ナノ結晶合金の製造方法
CN107849629A (zh) 层叠磁芯及其制造方法
JP7047798B2 (ja) 合金薄帯片の製造方法
JPS5929644B2 (ja) 高透磁率アモルフアス合金の磁気特性改質方法
JP7034519B2 (ja) 合金組成物、Fe基ナノ結晶合金及びその製造方法、並びに磁性部品
JP7196692B2 (ja) 合金薄帯片の製造方法
JP2710949B2 (ja) 超微結晶軟磁性合金の製造方法
JP7234809B2 (ja) 合金薄帯片の製造方法
JP2021075752A (ja) 合金薄帯の製造方法
CN109880985A (zh) 软磁材料的制造方法
CN111101075A (zh) 铁基软磁合金及其制造方法
JP5724727B2 (ja) 高い{200}面集積度を有するFe系金属板の製造方法
JP7088057B2 (ja) 合金薄帯の製造方法
TW202035735A (zh) 非晶型金屬薄片、積層芯和非晶型金屬薄帶的衝孔加工方法
JP4217038B2 (ja) 軟磁性合金
JP7255452B2 (ja) 合金薄帯片およびその製造方法
US8778100B2 (en) Magnetic strip, sensor comprising a magnetic strip and process for the manufacture of a magnetic strip
JP2677405B2 (ja) 超微結晶合金薄帯磁心の磁気特性改善方法
JP2020111784A (ja) 合金薄帯の製造方法
JP2000144347A (ja) Fe基軟磁性合金及びその磁歪の調整方法
JPS5961004A (ja) 永久磁石薄帯及びその製造方法
JP2020084270A (ja) 磁性部品の製造方法
JP2022063033A (ja) ナノ結晶合金薄帯の積層体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220307

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7047798

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151