JP7047696B2 - 旋回歯車の潤滑剤循環構造 - Google Patents

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本発明は、旋回歯車の潤滑剤循環構造に関する。
従来、例えば、建設機械の基体としての走行体と、走行体の上に旋回自在に設けられた旋回体と、走行体の上面に設けられた内歯を有するリングギヤと、リングギヤの内歯と噛合するように旋回体に下方に延びるようにして設けられたピニオンと、を備える旋回歯車の潤滑剤循環構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のものでは、リングギヤの上面に流れ込んだ潤滑剤をリングギヤの径方向内側へ押し戻すスクレイパーをピニオン近傍に位置させて旋回体の下面に設けている。
特開2015-48701号公報
特許文献1のものによれば、リングギヤの上面に流れ込む潤滑剤をリングギヤの内側へ押し戻して潤滑剤を効率よく利用することができるが、潤滑剤がリングギヤの上面に流れ込むこと自体を抑制することが出来れば、更に効率的に潤滑剤を活用することができる。
本発明は、以上の点に鑑み、従来よりも更に潤滑剤を効率よく用いることができる旋回歯車の潤滑剤循環構造を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
基体と、
前記基体の上方に位置させて、前記基体に対して相対回転自在な旋回体と、
前記基体の上面に設けられた内歯を有するリングギヤと、
前記旋回体に設けられ、前記旋回体から下方の前記基体に向かって延び、前記リングギヤの前記内歯と噛合するピニオンと、
前記リングギヤと前記ピニオンとの少なくとも噛合部を潤滑する潤滑剤と、
を備える旋回歯車の潤滑剤循環構造であって、
前記旋回体には、前記内歯と前記ピニオンとの噛合い位置に対応させて、前記リングギヤの径方向外側から径方向内側へ向かうに従い次第に上方へ向かうように傾斜すると共に、前記ピニオンと前記内歯とが噛合うときに上方へ押し出される潤滑剤が径方向内側へ押し戻されるように傾斜する傾斜面が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、旋回体に設けられた傾斜面により、ピニオンとリングギヤの内歯とが噛合うことにより上方へ押し出される潤滑剤を傾斜面に沿うようにしてリングギヤの径方向内側へ案内して押し戻すことができる。従って、潤滑剤がリングギヤの上面に乗り上げ難くなり、従来よりも更に潤滑剤を効率よく用いることができる。
[2]また、本発明においては、傾斜面は、前記ピニオンの歯が隣接する前記内歯同士が形成する歯溝に入り込む領域である噛合い領域にのみ設けてもよい。
かかる構成によれば、ピニオンとリングギヤの内歯とが噛合う部分にだけ、傾斜面を設ければよいため、例えば傾斜面を環状に形成した場合と比較して、傾斜面を備える部品の小型化を図ることができ、材料費を抑えることができる。
[3]また、本発明においては、
前記旋回体から延び前記ピニオンに接続されるピニオンシャフトと、
前記ピニオンシャフトと前記旋回体との間に設けられた軸受と、
前記軸受の下方に位置させて、前記ピニオンシャフトと前記旋回体との間に設けられたシールと、
を備える場合には、
前記傾斜面は、前記シールの少なくとも一部を覆うように前記リングギヤの径方向内側へ延びていることが好ましい。
かかる構成によれば、傾斜面に沿ってリングギヤの径方向内側へ戻された潤滑剤がシールと接触することを抑制または防止することができ、潤滑剤と接触することによるシールの劣化を抑えることができる。
本発明の旋回歯車の潤滑剤循環構造を用いた実施形態の建設機械を示す説明図。 本実施形態のピニオンとリングギヤとを一部断面で示す斜視図。 本実施形態の傾斜面とシールを示す説明図。 本実施形態の傾斜面と噛合領域を示す説明図。 本発明の他の実施形態の傾斜面を示す説明図。
図を参照して、本発明の実施形態の旋回歯車の潤滑剤循環構造を用いた建設機械を詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の建設機械1は、油圧ショベルであり、無限軌道2を有する基体としての走行体3と、走行体3の上に旋回自在に設けられた旋回体4と、を備える。
旋回体4には、前方左側に設けられた運転室5と、運転室5の後方に隣接させて設けられた機械室6と、を備える。機械室6には、図示省略した電動機又は内燃機関などの動力源と当該動力源によって駆動されるオイルポンプとが設けられている。建設機械1は、このオイルポンプが出力する油圧を利用して油圧モータを駆動し、油圧モータから出力される動力を利用して走行体3の無限軌道2を駆動させる。動力源は、ディーゼルエンジンであってもよいし、ガソリンエンジンであってもよいし、内燃機関と電動機の両方を利用するものであってもよい。
旋回体4の前方右側には、運転室5の横であって、機械室6の前方に位置させて作業機7の基端部が接続されている。
作業機7は、基端が旋回体4に回動自在に連結されたブーム8と、ブーム8の先端に回動自在に基端部が連結されたアーム9と、アーム9の先端に回動自在に基端が連結されたバケット10とを備える。ブーム8の中間部分には、旋回体4から延びるブーム用油圧シリンダのロッド11aの先端が連結されており、ブーム用油圧シリンダのロッド11aを進退させることによって、ブーム8が回動する。アーム9の基端には、ブーム8から延びるアーム用油圧シリンダ12のロッド12aの先端が連結されており、アーム用油圧シリンダ12のロッド12aを進退させることによって、アーム9が回動する。バケット10の基端には、アーム9から延びるバケット用油圧シリンダ13のロッド13aの先端がリンク14を介して連結されており、バケット用油圧シリンダ13のロッド13aを進退させることによって、バケット10が回動する。
図2を参照して、走行体3には、内歯21aを内周面に備えるリングギヤ21が設けられている。旋回体4には、リングギヤ21の内歯21aに噛合するピニオン23がピニオンシャフト23aを介して設けられている。ピニオン23には、ピニオンシャフト23aを介して旋回体4の機械室6に設けられた動力源で回転駆動される。ピニオンシャフト23aと旋回体4との間には、軸受25が設けられている。リングギヤ21の径方向内側には、リングギヤ21とピニオン23との少なくとも噛合部を潤滑するための潤滑剤(グリス)が充填されている。
また、旋回体4の下面には、潤滑剤を循環させるための循環部材40が設けられている。循環部材40には、リングギヤ21の内歯21aとピニオン23との噛み合いによって内歯23aの上方に押し上げられた潤滑剤をリングギヤ21の径方向内側へ押し戻すように案内する傾斜面42が設けられている。傾斜面42は径方向内側へ向かうに従って次第に上方へ向かうように傾斜している。
図3に示すように、軸受25の下方には、ピニオンシャフト23aと旋回体4との間に位置させて、軸受25の軌道面への異物の侵入を防ぎ、且つ軸受25の上方に配置された減速機用潤滑剤の漏れを防ぐシール27が設けられている。循環部材40の傾斜面42は、シール27を覆うようにピニオンシャフト23a近傍まで延びている。
図4に示すように、本実施形態の循環部材40及び傾斜面42は、ピニオン23の歯がリングギヤ21の隣接する内歯21a同士の間に形成される歯溝の間に入り込む領域である噛合領域のみに位置するように扇形状に形成されている。
本実施形態の旋回軸受の潤滑剤循環構造によれば、旋回体4に設けられた循環部材40の傾斜面42により、ピニオン23とリングギヤ21の内歯21aとが噛合うことにより上方へ押し出される潤滑剤を傾斜面42に沿うようにしてリングギヤ21の径方向内側へ案内して押し戻すことができる。従って、潤滑剤がリングギヤ21の上面に乗り上げ難くなり、従来よりも更に潤滑剤を効率よく用いることができる。
また、ピニオン23とリングギヤ21の内歯21aとが噛合う部分(噛合領域)にだけ、傾斜面42を備える循環部材40を設ければよいため、例えば傾斜面を環状に形成した場合と比較して、傾斜面42を備える部品としての循環部材40の小型化を図ることができ、循環部材40の材料費を抑えることができる。
また、循環部材40の傾斜面42がシール27を覆うようにピニオンシャフト23a近傍まで延びているため、傾斜面42に沿ってリングギヤ21の径方向内側へ戻された潤滑剤がシール27と接触することを抑制または防止することができ、潤滑剤と接触することによるシール27の劣化を抑えることができる。
[他の実施形態]
図5に示す他の実施形態のように、循環部材40及び傾斜面42は、噛合領域を超えていてもよく、例えば、環状に形成してもよい。環状に形成することにより、循環部材をピニオン23に対応する位置に取り付ける必要がなく、傾斜面42を備える循環部材40の取り付けが容易となる。
また、傾斜面はシールの少なくとも一部を覆っていれば、潤滑剤と接触することによるシール劣化の抑制効果を得ることができる。
また、図4に示す循環部材40の傾斜面42は、循環部材40の全面に亘って形成されなくてもよい。例えば、循環部材40の傾斜面42をリングギヤ21の円周方向端部には設けないようにすることで、ピニオン23とリングギヤ21の内歯21aとが噛合うことにより上方へ押し出される潤滑剤がリングギヤ21の円周方向に向かうことを阻止することができ、確実にリングギヤ21の径方向内側へ案内して押し戻すことができる。
1 建設機械
2 無限軌道
3 走行体(基体)
4 旋回体
5 運転室
6 機械室
7 作業機
8 ブーム
9 アーム
10 バケット
11a ロッド
12 アーム用油圧シリンダ
12a ロッド
13 バケット用油圧シリンダ
13a ロッド
14 リンク
21 リングギヤ(内輪)
21a 内歯
23 ピニオン
25 軸受
27 シール
40 循環部材
42 傾斜面

Claims (3)

  1. 基体と、
    前記基体の上方に位置させて、前記基体に対して相対回転自在な旋回体と、
    前記基体の上面に設けられた内歯を有するリングギヤと、
    前記旋回体に設けられ、前記旋回体から下方の前記基体に向かって延び、前記リングギヤの前記内歯と噛合するピニオンと、
    前記リングギヤと前記ピニオンとの少なくとも噛合部を潤滑する潤滑剤と、
    を備える旋回軸受のシール構造であって、
    前記旋回体には、前記内歯と前記ピニオンとの噛合い位置に対応させて、前記リングギヤの径方向外側から径方向内側へ向かうに従い次第に上方へ向かうように傾斜すると共に、前記ピニオンと前記内歯とが噛合うときに上方へ押し出される潤滑剤が径方向内側へ押し戻されるように傾斜する傾斜面が設けられていることを特徴とする旋回歯車の潤滑剤循環構造。
  2. 請求項1に記載の旋回歯車の潤滑剤循環構造であって、
    前記傾斜面は、前記ピニオンの歯が隣接する前記内歯同士が形成する歯溝に入り込む領域である噛合い領域にのみ設けられていることを特徴とする旋回歯車の潤滑剤循環構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の旋回歯車の潤滑剤循環構造であって、
    前記旋回体から延び前記ピニオンに接続されるピニオンシャフトと、
    前記ピニオンシャフトと前記旋回体との間に設けられた軸受と、
    前記軸受の下方に位置させて、前記ピニオンシャフトと前記旋回体との間に設けられたシールと、
    を備え、
    前記傾斜面は、前記シールの少なくとも一部を覆うように前記リングギヤの径方向内側へ延びていることを特徴とする旋回歯車の潤滑剤循環構造。
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