JP7047321B2 - 積層構造体、及び積層構造体の製造方法 - Google Patents

積層構造体、及び積層構造体の製造方法 Download PDF

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本発明は、細胞培養容器などを製造するために好適に使用可能な積層構造体、及びその製造方法に関する。
近年、iPS細胞などの接着細胞を培養容器に接着させることなく、培養容器内で細胞を浮遊させて培養し、スフェア(凝集塊)を形成させることによって、細胞の培養効率を向上させることが行われている。
このような培養方法においては、細胞培養容器内の表面に細胞が接着しないように、細胞接着抑制剤を塗布(コーティング)しておく必要がある。
このため、細胞培養容器の製造に使用するフィルムやシート(以下、単にフィルムと称する場合がある)は、その表面に細胞接着抑制剤を塗布した後に、細胞培養容器の製造時まで保管する必要があった。
特開2013-70636号公報
ところで、このように細胞接着抑制剤を塗布したフィルムは、ロール状に巻き取って保管される場合があるが、使用に際してフィルムを平面状に展開すると、細胞接着抑制剤がフィルムから剥がれてしまうという問題があった。
具体的には、図12及び図13に示すように、フィルムをロール状に巻き取る際に、細胞接着抑制剤を培養基材100に塗布して形成されたコーティング層200が、培養基材100におけるコーティング層200と反対側の表面に密着する。
そして、フィルムを平面状に戻す際に、コーティング層200が培養基材100の表面から剥がれて、培養基材100の反対側の表面に裏移りするという問題があった。
そこで、本発明者らは鋭意研究し、可撓性を有する、フィルム又はシート状の培養基材の第一の面の親水性を、その反対側の第二の面の親水性よりも高くなるように処理し、第一の面にコーティング層を形成して培養基材をロール状に巻き取って積層構造体を形成することにより、コーティング層の裏移りが生じない積層構造体を製造することに成功し、本発明を完成させた。
ここで、特許文献1の実施例1には、培養基材の表面にプラズマ処理を行い、細胞低接着化処理を行うことが記載されている。
しかしながら、この培養基材は可撓性を有するものでなく、また培養基材の両面の親水性を考慮して、コーティング層の裏移りが生じない積層構造体を形成可能にするものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、培養基材をロール状に巻き取って形成された積層構造体において、培養基材の表面上に形成されたコーティング層が裏移りしない積層構造体、及びその製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の積層構造体は、可撓性を有する培養基材を重ね合わせた積層構造体であって、前記培養基材はフィルム又はシート状であり、ロール状に巻き取られて前記積層構造体を形成し、前記培養基材は、コーティング層が形成された第一の表面と、その反対側の第二の表面とを有し、前記第一の表面の親水性が前記第二の表面の親水性よりも高い構成としてある。
また、本発明の積層構造体の製造方法は、可撓性を有する培養基材を重ね合わせた積層構造体の製造方法であって、フィルム又はシートからなる前記培養基材の第一の表面の親水性が、前記第一の表面の反対側の第二の表面の親水性よりも大きくなるように、少なくとも前記第一の表面に親水化処理を施し、前記第一の表面上にコーティング剤を塗布してコーティング層を形成し、前記培養基材をロール状に巻き取る方法としてある。
本発明によれば、培養基材をロール状に巻き取って形成された積層構造体において、培養基材の表面上に形成されたコーティング層が裏移りしない積層構造体、及びその製造方法の提供が可能となる。
静的水接触角及び接触角ヒステリシスについての説明図である。 本発明の実施形態に係る積層構造体の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るその他の積層構造体の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る積層構造体の製造方法(第一の製造方法)を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る積層構造体の製造方法(第二の製造方法)を示す模式図である。 実施例1(培養基材:PE,第一の表面:コロナ処理1回,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)、実施例2(培養基材:PE,第一の表面:コロナ処理3回,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)、比較例1(培養基材:PE,第一の表面:無処理,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)における細胞接着抑制剤の裏移り状況を撮影した写真を示す図である。 比較例2(培養基材:PE,第一の表面:無処理,第二の表面:コロナ処理1回,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)、比較例3(培養基材:PE,第一の表面:コロナ処理1回,第二の表面:コロナ処理3回,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)、比較例4(培養基材:PE,第一の表面:コロナ処理3回,第二の表面:コロナ処理3回,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)における細胞接着抑制剤の裏移り状況を撮影した写真を示す図である。 実施例3(培養基材:COC,第一の表面:コロナ処理3回,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)、比較例5(培養基材:COC,第一の表面:無処理,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)における細胞接着抑制剤の裏移り状況を撮影した写真を示す図である。 実施例4(培養基材:PE,第一の表面:コロナ処理3回,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:ポリビニルアルコール)、比較例6(培養基材:PE,第一の表面:無処理,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:ポリビニルアルコール)における細胞接着抑制剤の裏移り状況を撮影した写真を示す図である。 実施例5(培養基材:PE,第一の表面:コロナ処理1回,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー,50℃7日間経過後)、実施例6(培養基材:PE,第一の表面:コロナ処理3回,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー,50℃7日間経過後)、比較例7(培養基材:PE,第一の表面:無処理,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー,50℃7日間経過後)における細胞接着抑制剤の裏移り状況を撮影した写真を示す図である。 実施例7(培養基材:PE,第一の表面:エキシマ処理1回,第二の表面:無処理,細胞接着抑制剤:リン脂質ポリマー)における細胞接着抑制剤の裏移り状況を撮影した写真を示す図である。 積層構造体を形成する様子を示す模式図である。 従来の積層構造体におけるコーティング層の裏移りを示す模式図である。
以下、本発明の積層構造体、及び積層構造体の製造方法の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態の具体的な内容に限定されるものではない。
本実施形態の積層構造体は、可撓性を有する培養基材を重ね合わせた積層構造体であって、培養基材はフィルム又はシート状であり、ロール状に巻き取られて積層構造体を形成し、培養基材は、コーティング層が形成された第一の表面と、その反対側の第二の表面とを有し、第一の表面の親水性が第二の表面の親水性よりも高いことを特徴とする。
すなわち、接触角ヒステリシスを前進接触角-後退接触角と定義した場合、第一の表面のヒステリシスが第二の表面のヒステリシスより大きくなっている。
また、第二の表面とコーティング層は、接着することなく密着した状態となっている。
本実施形態の積層構造体は、多層フィルムからなるものであってよく、培養容器などを形成するための包材として好適に使用することができる。
まず、静的水接触角と接触角ヒステリシスについて、図1を参照して説明する。
静的水接触角とは、静止した液体の表面が固体壁の表面に接するところで液面と固体面がなす角(図1のθs)を意味する。静的水接触角が大きいと、固体壁の表面の疎水性が相対的に強く、静的水接触角が小さいと、固体壁の表面の親水性が相対的に強いという関係がある。
接触角ヒステリシスとは、水滴が固体壁の表面を滑落するときの前進接触角(θa)と、後退接触角(θr)との差(滑落時ヒステリシス(θa-θr))を意味する。
すなわち、水平に支持した固体壁の表面に水滴を摘下し、固体壁を徐々に傾けて、液滴が転落を開始したときの前進接触角と後退接触角にもとづき算出される。この接触角ヒステリシスは、固体壁の表面の動的な親水性(濡れ性)を示す指標として用いられる。接触角ヒステリシスが大きいと、固体壁の表面の親水性が相対的に強く、接触角ヒステリシスが小さいと、固体壁の表面の疎水性が相対的に強いという関係がある。
本実施形態の積層構造体は、図2に示すように、表面にコーティング層2が形成された培養基材1が積層して形成されている。なお、図2には、本実施形態の積層構造体の一部のみが示されている。また、同図の積層構造体は、培養基材1を4層有しているが、これに限定されず、2層や3層有していても5層以上有するものであってもよい。
このような積層構造体は、表面にコーティング層2が形成された培養基材1をロール状に巻き取ることによって形成することができる。同図において最上層以外のコーティング層2は、その下の培養基材1の表面12に接着しているが、その上の培養基材1の下面には接着することなく密着している。
培養基材1の表面11(第一の表面)には、親水化処理が施されており、これによって、親水化処理を施さない場合に比較して、静的水接触角が相対的に減少し、接触角ヒステリシスが相対的に増加した状態となっている。親水化処理は、例えばコロナ処理やエキシマ処理などにより行うことができるが、これらに限定されるものではない。
そして、このように親水化処理を施された培養基材1の表面11上にコーティング剤が塗布されて、コーティング層2が形成されている。
本実施形態の積層構造体は、上記のように、培養基材1の表面11に親水化処理を施すことによって、培養基材1の表面11の接触角ヒステリシスが、培養基材1の表面12(培養基材1における、コーティング層2が形成された表面と反対側の表面)(第二の表面)の接触角ヒステリシスよりも相対的に大きい状態となっている。
このように、本実施形態の積層構造体は、培養基材1の表面11の接触角ヒステリシスが、培養基材1の表面12の接触角ヒステリシスよりも大きいため、使用に際して培養基材1を平面状に展開するにあたり、培養基材1の表面11上に形成されたコーティング層2が、培養基材1の表面12に裏移りすることを防止できる。
したがって、本実施形態の積層構造体によれば、培養基材1の表面11上に形成されたコーティング層2が、培養基材1の表面12に接着して表面11から剥がれることを防止することが可能となっている。
培養基材1を構成する材料としては、ポリオレフィンを用いることが好ましく、ポリエチレン(PE)、環状オレフィンコポリマー(COC)等を用いることがより好ましい。特に、少なくとも培養基材1の表面11側を、ポリオレフィンを用いて構成することが好ましい。
コーティング層2を形成するコーティング剤としては、特に限定されないが、例えば、細胞接着抑制剤とすることができる。この細胞接着抑制剤としては、リン脂質ポリマー、ポリビニルアルコール誘導体、リン脂質・高分子複合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、アルブミン等を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いても良い。
また、培養基材を同一又は異なる複数の基材の層からなるものとすることもできる。具体的には、図3に示すように、培養基材として、培養基材1と培養基材1aとを接着して形成したものとすることができる。また、より多く数の培養基材を接着して形成することもできる。このとき、培養基材1の表面11の接触角ヒステリシスは、培養基材1aの表面12a(又は最も下側の培養基材の底面)(第二の表面)の接触角ヒステリシスよりも大きい。
培養基材1a及びその他の培養基材を構成する材料としても、ポリオレフィンを用いることが好ましく、ポリエチレン(PE)、環状オレフィンコポリマー(COC)等を用いることがより好ましい。
培養基材をこのように複数の基材の層からなるものとした場合でも、コーティング層2が培養基材の第二の表面に接着して剥がれることを防止することができる。
本実施形態の積層構造体の製造方法は、可撓性を有する培養基材を重ね合わせた積層構造体の製造方法であって、フィルム又はシートからなる培養基材の第一の表面の親水性が、第一の表面の反対側の第二の表面の親水性よりも大きくなるように、少なくとも第一の表面に親水化処理を施し、第一の表面上にコーティング剤を塗布してコーティング層を形成し、培養基材をロール状に巻き取ることを特徴とする。
具体的には、図4に示すように、培養基材1の表面11に親水化処理を施して、培養基材1の表面11の接触角ヒステリシスが、培養基材1の表面12の接触角ヒステリシスよりも大きい状態とする。同図の例では、培養基材1の表面12には、親水化処理を施していない。次に、培養基材1の表面11上にコーティング層2を形成する。なお、培養基材を複数の基材の層からなるものとしてもよい。以下においても同様である。
そして、このようにして得られた培養基材1をロール状に巻き取ることによって、本実施形態の積層構造体を得ることができる。
また、図5に示すように、培養基材1の表面12に親水化処理を施すこともできる。この場合、培養基材1の表面12には、培養基材1の表面11に対する親水化処理Aよりも親水化力の小さい親水化処理Bが施される。すなわち、培養基材1の表面11の親水性よりも、培養基材1の表面12の親水性が小さくなるように、培養基材1の表面12に親水化処理が施される。
その結果、培養基材1の表面11の親水性の方が、培養基材1の表面12の親水性よりも高い状態の積層構造体が得られる。
これによって、培養基材1の表面11の方が、培養基材1の表面12よりもコーティング層2との密着性が強くなり、コーティング層2が表面12に接着して、表面11から剥がれることを防止することが可能となっている。
すなわち、図4及び図5に示す方法のいずれの場合でも、本実施形態の積層構造体の製造方法において、培養基材1の表面11の接触角ヒステリシスが、培養基材1の表面12の接触角ヒステリシスよりも大きくなるように、培養基材1の表面11に対して親水化処理が施される。具体的には、例えば以下の(A)~(F)ようにすることができるが、これらに限定されない。
(A)表面11にコロナ処理を1回行い、表面12には親水化処理を行わない。
(B)表面11にコロナ処理を3回行い、表面12には親水化処理を行わない。
(C)表面11にコロナ処理を3回行い、表面12にコロナ処理を1回行う。
(D)表面11にエキシマ処理を1回行い、表面12には親水化処理を行わない。
(E)表面11にエキシマ処理を3回行い、表面12には親水化処理を行わない。
(F)表面11にエキシマ処理を3回行い、表面12にエキシマ処理を1回行う。
また、本実施形態の積層構造体の製造方法では、以下の(a)~(i)ような親水化処理は行われない。その理由は、表面11の接触角ヒステリシスが、表面12の接触角ヒステリシスよりも小さくなるか、又は同じになるためである。
(a)表面11に親水化処理を行わず、表面12にも親水化処理を行わない。
(b)表面11に親水化処理を行わず、表面12にコロナ処理を1回行う。
(c)表面11にコロナ処理を1回行い、表面12にもコロナ処理を1回行う。
(d)表面11にコロナ処理を1回行い、表面12にコロナ処理を3回行う。
(e)表面11にコロナ処理を3回行い、表面12にもコロナ処理を3回行う。
(f)表面11に親水化処理を行わず、表面12にエキシマ処理を1回行う。
(g)表面11にエキシマ処理を1回行い、表面12にもエキシマ処理を1回行う。
(h)表面11にエキシマ処理を1回行い、表面12にエキシマ処理を3回行う。
(i)表面11にエキシマ処理を3回行い、表面12にもエキシマ処理を3回行う。
ここで、本実施形態においては、親水性を接触角ヒステリシスにより判断している。その理由は、静的水接触角は、空気と触れている時の最表層の親水性官能基の量と相関のあるものであるため、経時により官能基が樹脂に潜り込んでしまうと、その数値が疎水性側にまで変化すると考えられるためである。
一方、接触角ヒステリシスは、最表層と少し内側の親水性官能基の量と相関のあるものであるため、経時により官能基が樹脂に潜り込んでも、その数値にほとんど変化がないと考えられるためである。
本実施形態の積層構造体の製造方法において、複数の層からなる培養基材の形成方法としては、多層押出成形やラミネート法を用いることができる。
多層押出成形では、例えば、複数の種類の樹脂をそれぞれ独立した押出機に注入して、これらの押出機から多層Tダイへ複数の種類の樹脂を押出す。そして、多層Tダイにより溶融した樹脂を流し、これを巻き取ることによって複数の層からなる培養基材を得ることができる。
また、ラミネート法では、別途成形したフィルム同士を加熱しながら圧着することにより、複数の層からなる培養基材を得ることができる。なお、この場合、例えばPEとナイロンや、PEとPETのように種類が全く異なる樹脂を積層させる場合には、接着剤を使用するが、PEと親水化処理PEなどは同じ性質の樹脂同士であるため、接着剤は不要である。
以上説明したように、本実施形態の積層構造体、及び積層構造体の製造方法によれば、
培養基材をロール状に巻き取って形成された積層構造体において、培養基材の表面上に形成されたコーティング層が剥がれて、裏移りすることを防止することが可能となる。
さらに、上述の積層構造体からフィルムを送り出して、三方或いは四方をヒートシールすることで二枚のフィルムを貼り合わせた袋状容器形態とすることができる。
また、コーティング層は、表面11の全面にコーティングしてもよいし、未ヒートシール領域のみに選択的にコーティングしてもよい。積層構造体は包装材として好適に用いられる。
以下、本発明の本実施形態に係る積層構造体において、培養基材1のコーティング層が形成される表面の接触角ヒステリシスが、その表面の反対側のコーティング層が形成されない表面の接触角ヒステリシスよりも大きければ、コーティング層が形成された表面から剥がれて反対側の表面に裏移りすることがないことを確認するために行った実験について詳細に説明する。
(実施例1)
ポリオレフィンからなる長方形のフィルムを準備して、図6に示すように、その左半分側の正方形部分を培養基材1の表面11と想定し、その右半分側の正方形部分を培養基材1の表面12と想定した。そして、表面11に細胞接着抑制剤を塗布した後、表面12を表面11に重ね合わせて荷重をかけ、その後、表面12を表面11から剥離して、細胞接着抑制剤が表面12に裏移りしたか否かを目視により判定した。具体的には、以下のように行った。
まず、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面処理として、表面11に対してバッチ式コロナ処理装置(春日電機株式会社製、以下同様)を用いてコロナ処理を1回施した。また、表面12に対しては、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11の静的水接触角は71.9°であり、接触角ヒステリシスは43.6°であった。また、表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
静的水接触角及びヒステリシスの測定には、固液界面解析システムDropMaster 700(協和界面科学株式会社製)を使用した。
具体的には、静的水接触角(θs)は、フィルム上に純水3μlを滴下して測定した。また、接触角ヒステリシス(θa-θr)は、フィルム上に純水30μlを滴下し、1秒毎に1°ずつ測定台を傾け、滑落時の前進接触角(θa)と後退接触角(θr)を接線法により算出して得た。
次に、表面11に対して、細胞接着抑制剤として0.5%に調製されたリン脂質ポリマー(LIPIDURE(登録商標),日油株式会社)エタノール溶液をバーコーターで塗布して膜を形成した後、この細胞接着抑制剤の膜をクマシーブルーにて染色して乾燥させた。
そして、この表面11に対して表面12を貼り付けて、10g/cmの荷重をかけて1分静置した後、表面12を表面11から剥離した。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜(コーティング層)は、表面12に裏移りしていなかった。本実験では表面11を親水化したことにより、表面11の基材と細胞接着抑制剤の密着性が向上し、一方で表面12は疎水性のままであるため、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りせず、剥離しなかったと考えられる。
(実施例2)
表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面処理として、表面11に対してバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を3回施した。また、表面12に対しては、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11の静的水接触角は54.2°であり、接触角ヒステリシスは50.3°であった。また、表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、裏移りしていなかった。本実験では表面11をより強く親水化したことによって、表面11の基材と細胞接着抑制剤の密着性が一層向上し、一方で表面12は疎水性のままであるため、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りせず、剥離しなかったと考えられる。
(比較例1)
表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面11及び表面12に対して、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11及び表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に大きく裏移りしていた。本実験では表面11も表面12も共に疎水性のままであるため、表面11の基材と細胞接着抑制剤が十分に接着せず、表面12に裏移りして、表面11から剥離してしまったと考えられる。
(比較例2)
表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面11に対して、表面処理を行わなかった。一方、表面12に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を3回施した。
このとき、表面11の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。また、表面12の静的水接触角は54.2°であり、接触角ヒステリシスは50.3°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に大きく裏移りしていた。本実験では表面11が疎水性のままである一方、表面12が強く親水化されたため、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜が表面12に裏移りし、表面11から剥離してしまったと考えられる。
(比較例3)
表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面11に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を1回施し、表面12に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を3回施した。
このとき、表面11の静的水接触角は71.9°であり、接触角ヒステリシスは43.6°であった。また、表面12の静的水接触角は54.2°であり、接触角ヒステリシスは50.3°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に大きく裏移りしていた。本実験では表面11よりも表面12がより強く親水化されたため、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜が表面12に裏移りし、表面11から剥離してしまったと考えられる。
(比較例4)
表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面11及び表面12に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を3回施した。
このとき、表面11及び表面12の静的水接触角は54.2°であり、接触角ヒステリシスは50.3°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に大きく裏移りしていた。本実験では表面11も表面12も同様に強く親水化されたため、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜が表面12に裏移りし、表面11から剥離してしまったと考えられる。
このように、比較例2~4の結果から、表面12が強く親水化されていると、細胞接着抑制剤は表面11から剥離しやすくなることが分かった。
(実施例3)
フィルムの材料と表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、環状オレフィンコポリマー(COC)フィルムを使用した。そして、表面11に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を3回施した。また、表面12に対しては、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11の静的水接触角は55.2°であり、接触角ヒステリシスは48.8°であった。また、表面12の静的水接触角は97.0°であり、接触角ヒステリシスは22.6°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に裏移りしていなかった。本実験では表面11を親水化したことによって、表面11の基材と細胞接着抑制剤の密着性が向上し、一方で表面12は疎水性のままであるため、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りせず、剥離しなかったと考えられる。
(比較例5)
表面処理の条件を実施例3と異なるものとし、その他の条件については、実施例3と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、環状オレフィンコポリマー(COC)フィルムを使用した。そして、表面11及び表面12に対して、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11及び表面12の静的水接触角は、97.0°であり、接触角ヒステリシスは22.6°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12にわずかに裏移りしていた。本実験では表面11も表面12も共に疎水性のままであるため、表面11の基材と細胞接着抑制剤が十分に接着せず、表面12に裏移りして、表面11から剥離してしまったと考えられる。
(実施例4)
細胞接着抑制剤の種類とそのコーティング方法、及び表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。また、細胞接着抑制剤として、側鎖にアジド基を有するポリビニルアルコール(BIOSURFINE(登録商標)-AWP,東洋合成工業株式会社)を使用した。この細胞接着抑制剤を1%の水溶液に調製してバーコーターで表面11に塗布した後、波長254nmのUVを積算光量0.7J/cmで照射して硬化させた。そして、表面11に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を3回施した。また、表面12に対しては、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11の静的水接触角は54.2°であり、接触角ヒステリシスは50.3°であった。また、表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に裏移りしていなかった。本実験では表面11を親水化したことによって、表面11の基材と細胞接着抑制剤の密着性が向上し、一方で表面12は疎水性のままであるため、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りせず、剥離しなかったと考えられる。
すなわち、細胞接着抑制剤の種類を異なるものとした場合でも、表面11に親水化処理を施すことによって、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りすることを防止することができた。
(比較例6)
表面処理の条件を実施例4と異なるものとし、その他の条件については、実施例4と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。また、細胞接着抑制剤として、側鎖にアジド基を有するポリビニルアルコール(BIOSURFINE(登録商標)-AWP,東洋合成工業株式会社)を使用した。この細胞接着抑制剤を1%の水溶液に調製してバーコーターで表面11に塗布した後、波長254nmのUVを積算光量0.7J/cmで照射して硬化させた。そして、表面11及び表面12に対して、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11及び表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12にわずかに裏移りしていた。本実験では表面11も表面12も共に疎水性のままであるため、表面11の基材と細胞接着抑制剤が十分に接着せず、表面12に裏移りして、表面11から剥離してしまったと考えられる。
(実施例5)
実施例1と同じ条件でフィルムに表面処理を行った後、50℃で7日間経過後に、表面11及び表面12の静的水接触角と接触角ヒステリシスを測定した。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面11に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を1回施した。また、表面12に対しては、表面処理を行わなかった。
50℃で7日間経過後、コロナ処理を1回行った表面11の静的水接触角は87.8°であり、接触角ヒステリシスは43.9°であった。また、表面処理を行わなかった表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
すなわち、表面11に表面処理を施したフィルムを50℃で7日間保管した結果、表面11の静的水接触角は、表面処理を行っていない数値に近い、疎水性を示す数値にまで戻っていることが分かる。これに対して、表面11の接触角ヒステリシスは、実施例1と比較して大きな変化は見られなかった。
次に、実施例1と同様に、表面11に対して、細胞接着抑制剤を塗布して膜を形成した後、この細胞接着抑制剤の膜をクマシーブルーにて染色して乾燥させた。
そして、この表面11に対して表面12を貼り付けて、10g/cmの荷重をかけて1分静置した後、表面12を表面11から剥離した。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に裏移りしていなかった。
すなわち、表面11の静的水接触角が疎水性を示す数値にまで戻っていたが、表面11の接触角ヒステリシスは親水化された数値を示しており、表面11の基材と細胞接着抑制剤の密着性が向上し、一方で表面12は疎水性のままであるため、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りせず、剥離しなかったと考えられる。
ここで、静的水接触角は、空気と触れている時の最表層の親水性官能基の量と相関のあるものであるため、経時で官能基が樹脂に潜り込んでしまった結果、その数値が疎水性を示す値にまで変化したと考えられる。
これに対して、接触角ヒステリシスは、最表層と少し内側の親水性官能基の量と相関のあるものであるため、経時で官能基が樹脂に潜り込んでも、その数値がほとんど変化しなかったと考えられる。
そして、このように表面11の静的水接触角は疎水性の数値を示すものの、表面11の接触角ヒステリシスが親水化された数値を示す場合に、表面11は親水化されていると言えることが、上記の通り、明らかとなった。
(実施例6)
表面処理の条件を実施例5と異なるものとし、その他の条件については、実施例5と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面11に対して、表面処理としてバッチ式コロナ処理装置を用いてコロナ処理を3回施した。また、表面12に対しては、表面処理を行わなかった。そして、50℃で7日間経過後に、表面11及び表面12の静的水接触角と接触角ヒステリシスを測定した。
このとき、コロナ処理を3回行った表面11の静的水接触角は85.3°であり、接触角ヒステリシスは44.5°であった。また、表面処理を行わなかった表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
すなわち、表面11に表面処理を施したフィルムを50℃で7日間保管した結果、表面11の静的水接触角は、表面処理を行っていない数値に近い、疎水性を示す数値にまで戻っていることが分かる。これに対して、表面11の接触角ヒステリシスには、大きな変化は見られなかった。
次に、実施例1と同様に、表面11に対して、細胞接着抑制剤を塗布して膜を形成した後、この細胞接着抑制剤の膜をクマシーブルーにて染色して乾燥させた。
そして、この表面11に対して表面12を貼り付けて、10g/cmの荷重をかけて1分静置した後、表面12を表面11から剥離した。
その結果、実施例5と同様に、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に裏移りしていなかった。
すなわち、表面11の静的水接触角が疎水性を示す数値にまで戻っていたが、表面11の接触角ヒステリシスは親水化された数値を示しており、表面11の基材と細胞接着抑制剤の密着性が向上し、一方で表面12は疎水性のままであるため、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りせず、剥離しなかったと考えられる。
(比較例7)
表面処理の条件を実施例5と異なるものとし、その他の条件については、実施例5と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面11及び表面12に対して、表面処理を行わなかった。そして、50℃で7日間経過後に、表面11及び表面12の静的水接触角と接触角ヒステリシスを測定した。
このとき、表面11及び表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
次に、実施例1と同様に、表面11に対して、細胞接着抑制剤を塗布して膜を形成した後、この細胞接着抑制剤の膜をクマシーブルーにて染色して乾燥させた。
そして、この表面11に対して表面12を貼り付けて、10g/cmの荷重をかけて1分静置した後、表面12を表面11から剥離した。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に裏移りしていた。本実験では表面11も表面12も共に疎水性のままであるため、表面11の基材と細胞接着抑制剤が十分に接着せず、表面12に裏移りして、表面11から剥離してしまったと考えられる。
(実施例7)
表面処理の条件を実施例1と異なるものとし、その他の条件については、実施例1と同様にして、実験を行った。
具体的には、フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルムを使用した。そして、表面処理として、表面11に対してエキシマ照射装置(株式会社エム・ディ・コム製)を用いてエキシマ処理を1回施した。このとき、エキシマ処理の条件は12V、照射距離4mm、テーブル移動速度5mm/secとした。また、表面12に対しては、表面処理を行わなかった。
このとき、表面11の静的水接触角は76.2°であり、接触角ヒステリシスは41.8°であった。また、表面12の静的水接触角は96.7°であり、接触角ヒステリシスは18.0°であった。
その結果、表面11に形成された細胞接着抑制剤の膜は、表面12に裏移りしていなかった。本実験では表面11を親水化したことによって、表面11の基材と細胞接着抑制剤の密着性が向上し、一方で表面12は疎水性のままであるため、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りせず、剥離しなかったと考えられる。
すなわち、親水化処理の方法をコロナ処理とは異なるものとした場合でも、表面11に親水化処理を施すことによって、表面11から表面12に細胞接着抑制剤が裏移りすることを防止することができた。
以上の通り、培養容器内の表面11のみを親水化するか、又は表面11を表面12よりも強く親水化することによって、表面11の基材とコーティング層の密着性を表面12の基材とコーティング層の密着性よりも相対的に向上させることができ、表面11から表面12にコーティング層が裏移りせず、剥離を防止できることが明らかとなった。一方、培養容器内の表面12を強く親水化すると、コーティング層は表面11から剥離しやすくなることが明らかとなった。
また、コーティング層の種類を異なるものとした場合でも、培養容器内の表面11のみを親水化するか、又は表面11を表面12よりも強く親水化することにより、表面11から表面12にコーティング層が裏移りすることを防止できることが分かった。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施例では、培養容器の基材としてポリエチレンと環状オレフィンコポリマーを用いたが、ポリオレフィンであればその他の基材を用いても良い。また、表面処理としては、接触角ヒステリシスの値にもとづき親水化が示されるものであれば、コロナ処理やエキシマ処理に限定されず、その他の処理を用いることもできる。
本発明は、細胞培養容器を製造するための包材などに好適に利用することが可能である。
1、1a 培養基材
11 第一の表面
12、12a 第二の表面
2 コーティング層

Claims (11)

  1. 可撓性を有する培養基材を重ね合わせた積層構造体であって、
    前記培養基材はフィルム又はシート状であり、ロール状に巻き取られて前記積層構造体を形成し、
    前記培養基材は第一の表面と、その反対側の第二の表面とを有し、前記第一の表面の親水性が前記第二の表面の親水性よりも高く、前記第一の表面に細胞接着抑制剤からなるコーティング層を備えた
    ことを特徴とする積層構造体。
  2. 前記第二の表面と前記コーティング層が接着することなく密着していることを特徴とする請求項1記載の積層構造体。
  3. 接触角ヒステリシスを前進接触角-後退接触角と定義した場合、前記第一の表面のヒステリシスが前記第二の表面のヒステリシスより大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の積層構造体。
  4. 前記細胞接着抑制剤がリン脂質ポリマー又はポリビニルアルコール誘導体であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層構造体。
  5. 前記培養基材がポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層構造体。
  6. 前記第一の表面に親水化処理が施されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層構造体。
  7. 前記第二の表面に親水化処理が施されていないことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層構造体。
  8. 前記第二の表面の親水性が、前記第一の表面の親水性よりも小さくなるように、前記第二の表面に親水化処理が施されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層構造体。
  9. 前記培養基材が同一又は異なる複数の基材の層からなることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層構造体。
  10. 可撓性を有する培養基材を重ね合わせた積層構造体の製造方法であって、
    フィルム又はシートからなる前記培養基材の第一の表面の親水性が、前記第一の表面の反対側の第二の表面の親水性よりも大きくなるように、少なくとも前記第一の表面に親水化処理を施し、
    前記第一の表面上に細胞接着抑制剤を塗布してコーティング層を形成し、
    前記培養基材をロール状に巻き取る
    ことを特徴とする積層構造体の製造方法。
  11. 前記第一の表面の親水性よりも前記第二の表面の親水性が小さくなるように、前記第二の表面に親水化処理を施す
    ことを特徴とする請求項10記載の積層構造体の製造方法。
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