JP7047023B2 - 乳加工品及びその製造方法並びにそれを利用したルウの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乳加工品及びその製造方法並びにそれを利用したルウの製造方法に関する。
カレー、シチュー、及びハヤシライスソースなどを調理するための調理材料としてルウが用いられている。一般に、ルウの特性は、使用する原料の種類及び量だけでなく、配合順序や熱処理方法などの様々な条件によって変化するので、ルウの風味を向上させるために、その製造方法に関して多くの研究が行われてきた。例えば、特許文献1には、水系原料と油脂との混合物を、油脂及び澱粉質原料を含む材料に添加するとともに、特定の条件で加熱処理することによって、所期の加熱調理感が向上した風味を有するルウを製造することができることが記載されている。他方、製品の製造工程においては、原料に何らかの加工を施した仕掛品を適宜使用して、最終的な製品を製造することがあるが、特許文献1には、脱脂粉乳などの乳素材を最終的な製品の製造前に予め加工することは記載されていない。
特開2019-97554号公報
脱脂粉乳などの乳素材に由来するコクを高めるために、当該乳素材を油脂と混合して高温で加熱処理したところ、ダマが発生してコクを十分に高めることはできなかった。そこで、本発明は、高温で加熱処理してもダマの発生が抑えられている乳素材の仕掛品を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粉末状乳素材及び油脂に澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料を混合して加熱処理することによって、ダマの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示す乳加工品及びその製造方法並びにそれを利用したルウの製造方法を提供するものである。
〔1〕粉末状乳素材と、油脂と、澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料とを含む混合物を加熱する工程を含む、乳加工品の製造方法。
〔2〕前記粉末原料が、澱粉質原料、澱粉分解物、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記乳素材の含有量が、前記乳加工品の全質量に対して20質量%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記混合物が、糖類をさらに含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔5〕粉末状乳素材と、油脂と、澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品であって、
等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過するものである、乳加工品。
〔6〕前記粉末原料が、澱粉質原料、澱粉分解物、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記〔5〕に記載の乳加工品。
〔7〕前記乳素材の含有量が、前記乳加工品の全質量に対して20質量%以上である、前記〔5〕又は〔6〕に記載の乳加工品。
〔8〕前記混合物が、糖類をさらに含む、前記〔5〕~〔7〕のいずれか1項に記載の乳加工品。
〔9〕前記〔5〕~〔8〕のいずれか1項に記載の乳加工品を含む調味料又は食品。
〔10〕ルウの製造方法であって、
(a)粉末状乳素材と、第1の油脂と、澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品を用意する工程;
(b)第1の澱粉質原料と、第2の油脂とを加熱して、澱粉質・油脂加熱処理物を調製する工程;及び
(c)前記澱粉質・油脂加熱処理物と、香辛料及び/又は調味料とを含むルウ原料混合物を加熱し、溶融状のルウを調製する工程
を含み、
前記乳加工品は、等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過するものであり、
前記乳加工品を、前記工程(b)において前記第1の澱粉質原料及び前記第2の油脂と一緒に加熱するか、前記ルウ原料混合物中に添加して他の原料と一緒に加熱するか、又は、前記溶融状のルウに添加して撹拌する、製造方法。
〔11〕前記工程(a)が、前記粉末状乳素材と、前記第1の油脂と、前記粉末原料とを含む混合物を加熱して、乳加工品を調製する工程を含む、前記〔9〕に記載の製造方法。
本発明に従えば、澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料を、粉末状乳素材及び油脂と混合することによって、その混合物を加熱してもダマの発生を抑制することができる。したがって、乳素材を効率よく加熱することができ、その風味を高めた仕掛品を提供することが可能となる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書に記載の「乳加工品」とは、種々の乳素材を加工して調製した仕掛品又は食品原料のことをいう。本発明の乳加工品の製造方法は、粉末状乳素材と、油脂と、澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料とを含む混合物を加熱する工程を含む。本発明の製造方法により製造された乳加工品は、ダマが少ないため、配合されている粉末状乳素材が効率よく加熱されており、その風味が十分に引き出されたものとなっている。
本明細書に記載の「粉末状乳素材」とは、調理品に乳感を与える粉末形態の食品原料のことをいう。前記乳素材としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく使用できるが、例えば、脱脂粉乳、全脂粉乳、及び豆乳粉末などの粉末状乳原料、チーズパウダー、バターミルクパウダー、クリームパウダー、クリームチーズパウダー、又は、植物性クリームパウダーなどを使用してもよい。前記乳素材の配合量は、特に限定されないが、例えば、前記乳加工品の全質量に対して、約20質量%以上であってもよく、好ましくは約25~約45質量%である。水分の少ない粉末状乳素材は、水分の多い液状乳素材などと比較すれば、油脂と混合して加熱してもダマの発生が少ないので有利ではあるが、依然としてダマが生じ得るため、前記澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料の混合が必要とされる。
本明細書に記載の「油脂」とは、食用に供される天然油脂又は加工油脂などのことをいう。前記油脂としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、バター、牛脂、及び豚脂などの動物油脂、マーガリン、パーム油、綿実油、及びコーン油などの植物油脂、これらの硬化油脂、並びにこれらの混合油脂などからなる群から選択される少なくとも1種を使用してもよい。前記油脂の配合量は、特に限定されないが、例えば、前記乳加工品の全質量に対して、約30~約70質量%であってもよく、好ましくは約40~約60質量%である。
前記澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、澱粉質原料、澱粉分解物、又は脱脂大豆などを使用してもよい。前記粉末原料に含まれているタンパク質成分が多いと旨味の増強効果が高くなる。
本明細書に記載の「澱粉質原料」とは、澱粉を主成分とする食品原料のことをいう。前記澱粉質原料は、特に限定されないが、例えば、小麦澱粉、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、くず澱粉、及び加工澱粉などの澱粉、並びに、小麦粉、コーンフラワー、米粉、ライ麦粉、蕎麦粉、あわ粉、きび粉、はと麦粉、及びひえ粉などの穀粉などからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
本明細書に記載の「澱粉分解物」とは、生澱粉を化学的又は酵素的な処理によって低分子化することによって得られる食品原料のことをいう。前記澱粉分解物は、特に限定されないが、例えば、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、多孔性デキストリン、還元デキストリン、及び還元マルトデキストリンなどからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。なお、前記澱粉分解物のデキストロース当量(DE)は、特に制限されない。
前記粉末原料の配合量は、特に限定されないが、例えば、前記乳加工品の全質量に対して、約5~約30質量%であってもよく、好ましくは約10~約20質量%である。あるいは、前記粉末原料の前記粉末状乳素材に対する質量比が、約0.2~約1.0、好ましくは約0.3~約0.5になるように、前記粉末原料を配合してもよい。特定の理論に拘束されるものではないが、前記粉末原料は、100℃付近で加熱しても前記粉末状乳素材よりもダマになりにくいため、前記粉末原料が前記粉末状乳素材の粒子間に適宜分散することによって、各粒子の凝集が抑制されるものと考えられる。
ある態様では、前記混合物が、糖類をさらに含む。前記糖類は、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、ショ糖、果糖、及び麦芽糖などからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。前記糖類の配合量は、特に限定されないが、例えば、前記乳加工品の全質量に対して、約1~約15質量%であってもよく、好ましくは約5~約10質量%である。前記糖類がこのような範囲の量で配合された前記混合物を加熱すると、製造される乳加工品において、加熱感及び旨味をより効果的に高めることができる。
本発明の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の調味料、香辛料、食品原料、及び/又は添加剤を添加する工程をさらに含んでもよい。また、本発明の製造方法で製造された乳加工品は、調味料や食品の原料、例えば、カレーやシチュー、ハヤシ、チャウダー、スープ、及び鍋などを調理するためのルウ(固形ルウ、フレークルウ、粉末ルウ、及びペースト状ルウなど)、レトルトカレーやレトルトシチュー、レトルトハヤシなどのレトルト食品、また、ラーメンやうどん、そば、パスタ、及び鍋などの粉末スープ、さらに、スナック菓子やシーズニングなどの製造に使用される原料として好適に利用できる。
別の態様では、本発明は、前記粉末状乳素材と、前記油脂と、前記粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品にも関している。本発明の乳加工品は、ダマが少ないため、それを等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過する。前記追加の油脂としては、80℃で液状である限り、当技術分野で通常使用される油脂を適宜採用することができる。
本発明の乳加工品は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の調味料、香辛料、食品原料、及び/又は添加剤をさらに含んでもよい。また、本発明の乳加工品は、調味料や食品の原料、例えば、カレーやシチュー、ハヤシ、チャウダー、スープ、及び鍋などを調理するためのルウ(固形ルウ、フレークルウ、粉末ルウ、及びペースト状ルウなど)、レトルトカレーやレトルトシチュー、レトルトハヤシなどのレトルト食品、また、ラーメンやうどん、そば、パスタ、及び鍋などの粉末スープ、さらに、スナック菓子やシーズニングなどの製造に使用される原料として好適に利用できる。換言すれば、本発明は、前記乳加工品を含む調味料又は食品にも関している。
また別の態様では、本発明は、前記乳加工品を使用したルウの製造方法にも関している。すなわち、前記ルウの製造方法は、
(a)粉末状乳素材と、第1の油脂と、澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品を用意する工程;
(b)第1の澱粉質原料と、第2の油脂とを加熱して、澱粉質・油脂加熱処理物を調製する工程;及び
(c)前記澱粉質・油脂加熱処理物と、香辛料及び/又は調味料とを含むルウ原料混合物を加熱し、溶融状のルウを調製する工程
を含み、
前記乳加工品は、等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過するものであり、
前記乳加工品を、前記工程(b)において前記第1の澱粉質原料及び前記第2の油脂と一緒に加熱するか、前記ルウ原料混合物中に添加して他の原料と一緒に加熱するか、又は、前記溶融状のルウに添加して撹拌することを特徴としている。すなわち、前記乳加工品を添加するタイミングは、特に限定されるものではない。
本明細書に記載の「ルウ」とは、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、ハッシュドビーフ、スープ、及びその他各種ソースを調理する際に使用する調理材料のことをいう。前記ルウを、肉や野菜などの食材を水と一緒に煮込んだところに投入することで、各料理を手軽に作ることができる。前記ルウの形態は、当技術分野で通常採用されるものであれば特に限定されないが、例えば、ブロック状(固形ルウ)、フレーク状、顆粒状、粉状、又はペースト状のいずれであってもよい。
前記工程(b)は、いわゆる小麦粉ルウなどの事前加熱混合物を調製するものである。この工程は、当技術分野で通常採用される条件により適宜実施することができるが、例えば約65℃以上、好ましくは約100℃~約170℃に達温するまで加熱してもよい。
前記第1の澱粉質原料は、前記ルウを製造することができる限り特に限定されず、上述した澱粉質原料を適宜採用することができる。前記第1の澱粉質原料の配合量は、特に限定されないが、例えば、前記ルウの全質量に対して、約10~約50質量%であってもよく、好ましくは約15~約45質量%であり、さらに好ましくは約20~約40質量%である。ある態様では、前記粉末原料は、第2の澱粉質原料、澱粉分解物、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種を含むが、前記第1の澱粉質原料及び第2の澱粉質原料は、同じであってもいいし、異なってもよい。
前記第2の油脂は、前記ルウを製造することができる限り特に限定されず、上述した油脂を適宜採用することができる。すなわち、前記第1の油脂及び前記第2の油脂は、同じであってもいいし、異なってもよい。また、前記油脂の融点は、特に制限されず、目的の形状のルウを製造するために適宜選択され得る。例えば、固体状のルウを製造するためには融点35℃以上の油脂が好ましい。前記油脂の含有量は、前記ルウの全質量に対して、約15質量%以上であってもよく、好ましくは約20~約50質量%であり、さらに好ましくは約25~約40質量%である。
前記香辛料としては、1種類の香辛料を単独で使用してもよく、複数種の香辛料を混合した混合香辛料を使用してもよい。前記香辛料としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、カレーパウダー、ガーリックパウダー、コリアンダー、クミン、キャラウェー、タイム、セージ、胡椒、唐辛子、マスタード、ターメリック、又はパプリカなどを使用してもよい。前記調味料は、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、砂糖、食塩、アミノ酸、核酸、又は酵母エキスなどを使用してもよい。
本発明のルウの製造方法は、前記香辛料及び前記調味料以外の風味原料を添加する工程をさらに含んでもよい。本明細書に記載の「風味原料」とは、前記ルウに対して所望の風味を付与する原料のことをいう。前記風味原料としては、当技術分野で通常採用されるものを、特に制限されることなく使用することができるが、例えば、水系原料、香辛料、オニオンパウダーなどの野菜パウダー、粉乳、クリーミングパウダー、カラメル、脱脂大豆、デキストリン、又はクエン酸などの有機酸などを使用してもよい。
前記水系原料は、ある程度の水分を含有する食品原料のことをいい、固体、液状、又はペースト状であり得る。前記水系原料の水分量は、特に限定されないが、例えば、当該水系原料の全質量に対して約10質量%以上であってもよい。前記水系原料は、前記ルウを製造することができる限り特に限定されないが、例えば、果実(リンゴ、バナナ、チャツネ)のペースト又はエキス、畜肉(ビーフ、チキン、ポーク)のペースト又はエキス、野菜(オニオン、ガーリック)のペースト又はエキス、チーズ及び生クリームなどからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
ある態様では、前記工程(a)は、前記粉末状乳素材と、前記第1の油脂と、前記粉末原料とを含む混合物を加熱して、乳加工品を調製する工程を含む。また、本発明のルウの製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料及び/又は添加剤を添加する工程をさらに含んでもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔試験例1〕
1.乳加工品の製造及び評価
以下の表1に記載の原料を混合して品温100℃になるまで70分間加熱混合し、乳加工品を製造した。ダマの発生を目視により以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
<ダマの発生>
×:ダマの発生あり(比較例1)
○:ダマの発生が抑えられている
◎:ダマがまったくない(実施例4)
Figure 0007047023000001
脱脂粉乳及び牛脂豚脂混合油を混合して加熱しただけでは、大量のダマが発生してしまった。一方、小麦粉、コーンスターチ、又は脱脂大豆を添加すると、ダマの発生が抑制され、特に小麦粉又は脱脂大豆を添加するとダマがまったく生じなかった。
ダマの状態をより詳細に評価するため、実施例1又は比較例1の乳加工品に、等量の牛脂を加えて80℃まで加温し、7.5メッシュの篩(目開き2.36mm)にかけた。この篩上に残ったものの質量を測定すると、実施例1の乳加工品では、全体の1質量%しか篩上に残らなかった(すなわち全体の99質量%が篩を通過した)が、比較例1の乳加工品では、全体の21質量%も篩上に残ってしまった。
2.ルウの製造及び評価
牛脂30質量部及び小麦粉25質量部を加熱釜に投入して加熱撹拌し、加熱釜内の原料の品温を50分かけて120℃まで昇温して、小麦粉ルウ(澱粉質・油脂加熱処理物)を調製した。この小麦粉ルウに、実施例1~4又は比較例1の乳加工品0.5質量部、砂糖10質量部、食塩10質量部、カレーパウダー7質量部、乳化剤1質量部、及び他の調味料16.5質量部を添加してルウ原料混合物を調製し、これを加熱撹拌して溶融状のルウを調製した。当該溶融状のルウを冷却固化してカレールウを製造した。また、上記乳加工品に代えて、未加熱の脱脂粉乳0.25質量部及び牛脂豚脂混合油0.25質量部を使用した以外は同様にして、参考例のカレールウを製造した。これらのカレールウを使用して常法によりカレーソースを調理し、その風味(加熱感及び旨味)を5名の専門のパネラーにより以下の基準で評価し、各パネラーの評点を平均した。結果を表2に示す。
<加熱感>
1:加熱感なし(参考例)
2:参考例に比べると加熱感が感じられるが不十分
3:実施例4ほどではないが加熱感あり
4:加熱感が高い(実施例4)
<旨味>
1:旨味なし(参考例)
2:参考例に比べると旨味が感じられるが不十分
3:実施例4ほどではないが旨味あり
4:旨味が高い(実施例4)
Figure 0007047023000002
参考例のルウで調理したカレーソースでは、加熱感も旨味も感じられなかったのに対して、比較例1の乳加工品を含むルウで調理したカレーソースでは、加熱感及び旨味の向上が感じられたが不十分だった。一方、実施例1~4の乳加工品を含むルウで調理したカレーソースでは、加熱感がさらに高まって、脱脂粉乳に由来するコクが向上していた。そして、実施例1又は3の乳加工品を含むルウで調理したカレーソースでは、旨味も高まっていた。小麦粉及び脱脂大豆はタンパク質を含んでいるため、旨味の向上に寄与したものと考えられる。加えて、実施例4の乳加工品を含むルウで調理したカレーソースでは、小麦粉を同じ量で含む実施例1の乳加工品を含むルウで調理したものよりも加熱感及び旨味の両方が向上していた。これはブドウ糖を乳加工品に添加したことによる顕著な効果だった。
以上より、澱粉及び/又はタンパク質を含む粉末原料を、粉末状乳素材及び油脂と混合することによって、その混合物を加熱してもダマの発生を抑制できることが分かった。したがって、乳素材を効率よく加熱することができ、その風味を高めた仕掛品を提供することが可能となる。

Claims (12)

  1. 粉末状乳素材と、油脂と、澱粉、穀粉、デキストリン、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種である粉末原料とを含む混合物を加熱する工程を含む、乳加工品の製造方法であって、
    前記油脂の配合量は、前記乳加工品の全質量に対して30~70質量%であり
    前記乳加工品は、乳化剤を含まない、製造方法。
  2. 粉末状乳素材と、油脂と、澱粉、穀粉、デキストリン、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種である粉末原料とを含む混合物を加熱する工程を含む、乳加工品の製造方法であって、
    前記油脂の配合量は、前記乳加工品の全質量に対して30~70質量%であり、
    記粉末原料の前記粉末状乳素材に対する質量比は、0.2~1.0であり、
    前記乳加工品は、乳化剤を含まない、製造方法。
  3. 前記粉末状乳素材の含有量が、前記乳加工品の全質量に対して20質量%以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記混合物が、糖類をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 粉末状乳素材と、油脂と、澱粉、穀粉、デキストリン、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種である粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品であって、
    前記油脂の配合量は、前記乳加工品の全質量に対して30~70質量%であり
    等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過するものである、乳加工品(ただし乳化剤を含むものは除く)。
  6. 粉末状乳素材と、油脂と、澱粉、穀粉、デキストリン、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種である粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品であって、
    前記油脂の配合量は、前記乳加工品の全質量に対して30~70質量%であり、
    記粉末原料の前記粉末状乳素材に対する質量比は、0.2~1.0であり、
    等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過するものである、乳加工品(ただし乳化剤を含むものは除く)。
  7. 前記粉末状乳素材の含有量が、前記乳加工品の全質量に対して20質量%以上である、請求項5又は6に記載の乳加工品。
  8. 前記加熱処理物が、糖類をさらに含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の乳加工品。
  9. 請求項5~8のいずれか1項に記載の乳加工品を含む調味料又は食品。
  10. ルウの製造方法であって、
    (a)粉末状乳素材と、第1の油脂と、澱粉、穀粉、デキストリン、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種である粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品を用意する工程;
    (b)第1の澱粉質原料と、第2の油脂とを加熱して、澱粉質・油脂加熱処理物を調製する工程;及び
    (c)前記澱粉質・油脂加熱処理物と、香辛料及び/又は調味料とを含むルウ原料混合物を加熱し、溶融状のルウを調製する工程
    を含み、
    前記第1の油脂の配合量は、前記乳加工品の全質量に対して30~70質量%であり
    前記乳加工品は、等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過するものであり、
    前記乳加工品は、乳化剤を含まず、
    前記乳加工品を、前記工程(b)において前記第1の澱粉質原料及び前記第2の油脂と一緒に加熱するか、前記ルウ原料混合物中に添加して他の原料と一緒に加熱するか、又は、前記溶融状のルウに添加して撹拌する、製造方法。
  11. ルウの製造方法であって、
    (a)粉末状乳素材と、第1の油脂と、澱粉、穀粉、デキストリン、及び脱脂大豆からなる群から選択される少なくとも1種である粉末原料とを含む加熱処理物を含む乳加工品を用意する工程;
    (b)第1の澱粉質原料と、第2の油脂とを加熱して、澱粉質・油脂加熱処理物を調製する工程;及び
    (c)前記澱粉質・油脂加熱処理物と、香辛料及び/又は調味料とを含むルウ原料混合物を加熱し、溶融状のルウを調製する工程
    を含み、
    前記第1の油脂の配合量は、前記乳加工品の全質量に対して30~70質量%であり、
    記粉末原料の前記粉末状乳素材に対する質量比は、0.2~1.0であり、
    前記乳加工品は、等量の追加の油脂と混合して80℃に加温した場合に、その95質量%以上が、目開き2.36mmの篩を通過するものであり、
    前記乳加工品は、乳化剤を含まず、
    前記乳加工品を、前記工程(b)において前記第1の澱粉質原料及び前記第2の油脂と一緒に加熱するか、前記ルウ原料混合物中に添加して他の原料と一緒に加熱するか、又は、前記溶融状のルウに添加して撹拌する、製造方法。
  12. 前記工程(a)が、前記粉末状乳素材と、前記第1の油脂と、前記粉末原料とを含む混合物を加熱して、乳加工品を調製する工程を含む、請求項10又は11に記載の製造方法。
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