JP7045527B2 - 肝機能障害の予測のためのマイクロrnaシグネチャ - Google Patents

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Description

本発明は、とりわけ肝切除の後に、肝機能障害に関する対象のリスクを判定するための方法、特にin vitroの方法であって、選別された1種または複数のmiRNAのレベルが前記対象からの試料において定量化される、方法を提供する。
肝切除は、多くの肝悪性腫瘍における唯一の根治的処置を代表する。肝切除後の不十分な肝再生は術後肝機能障害(LD)をもたらすことが示されたことから、切除後の肝再生は肝切除を受ける患者の臨床転帰の主要な決定要因であり(1)、この術後肝機能障害は大量肝切除(major hepatic resection)後の患者の最大30%で発生する(2)。重要なことに、術後LDの患者にとって現在利用可能な治療の選択肢は極めて限られており、大部分は対症療法的で目標指向的なものである(2、3)。したがって、肝臓手術前の最適化された患者選別に関するリスク層別化は、術後LDおよび付随する合併症の発病率を最小限に抑えるため重要である。さらに、肝機能障害を発症するリスクのある患者を特定すること、肝切除の後だけでなく、肝再生を刺激することを目標とする処置に対する患者の反応を監視することも、最適な患者ケアを提供するのに不可欠である。しかし、現在利用可能なマーカーは、多くの場合、費用を要し、時間を要し、しばしば侵襲的であり、肝機能障害を判定し術後肝機能回復を予測する容易に評価可能な検査の必要性が強調される。
新たに得られつつある証拠は、マイクロRNA(miRNA)シグネチャが、いくつかの疾患について有効な診断、予後および処置反応のバイオマーカーを代表することを示唆する(4)。miRNAは、様々な組織における複数遺伝子発現のマスター調節因子として、細胞の発生、増殖、遊走、生存、代謝、恒常性および再生を含めて、転写レベルであらゆる細胞プロセスを事実上制御することができる(5)。コンピューター解析に基づいた推定は、ヒトトランスクリプトームの50%超が少なくとも1種のmiRNAによって調節されることを示唆する(6)。したがって、異常なmiRNAの発現が、シグナル伝達経路に対して有害な影響を有する可能性があり、実際に広範囲の疾患と結びつけられてきたことは驚くべきことではない(7~9)。現在までに、ほぼ2000種のmiRNAが同定されており、一部は、種々の悪性疾患のin vitroでの診断および/または予後についてすでに検証され、その結果、臨床におけるバイオマーカーとしてのその可能性が実証されている(10~12)。
たとえば、WO2011/076141A1およびEP2196543A1は、肝細胞がんの診断向けのマイクロRNAバイオマーカーを提供する。WO2012/151736A1はマイクロRNAバイオマーカーを開示し、これは、肝細胞癌を診断するのにまたは肝細胞癌と慢性B型肝炎もしくは肝硬変とを区別するのに使用され得る。WO2016/036994A1は、たとえば、肝がんの診断向けに、発癌遺伝子などのさらなるバイオマーカーと組み合わせてマイクロRNAプロファイリングを使用する。
US20170166975A1は、患者試料中のマイクロRNAに特異的に結合することができる核酸を備える、肝がんを検出するためのキットまたはデバイスを開示する。
CN101418343Aは、原発性早期肝がん患者の術後肝がん再発を予測するためのキットを開示する。
マイクロRNAは、悪性腫瘍以外の疾患のバイオマーカーとしても発見されている。WO2018/231851A1は、たとえば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肝線維症を診断する方法を開示するが、この場合、1種または複数のマイクロRNAのレベルが、患者試料において検出される。
一部のmiRNAの高度に組織特異的な発現プロファイルの他にも、miRNAはバイオマーカーで非常に望まれる他の有益ないくつかの機能も提供する、たとえば、miRNAは、非侵襲的な方法を介して血液、尿および唾液などの生物流体から容易にアクセス可能である。さらに、miRNAは、高い安定性と比較的低い複雑性を呈し(たとえば、プロセシング後修飾なし)、シグナル増幅も可能とする高い特異性を持って種々の方法で容易に評価され得ることは、DNA、RNA、およびタンパク質を含めてその他のクラスのバイオマーカーと比較してmiRNAを優れたものとする。
マイクロRNAは、ターゲットmRNAの翻訳を調節するのにも使用されてきた。US2016089453A1は、たとえば、肝細胞のmRNAを修飾するガイドとしてmiR-122を使用したRNA調節剤を開示する。
このような進歩にもかかわらず、治療の選択肢ならびにとりわけ手術後に、LDを発症するリスクのある患者を判定する確実な予測マーカーは限られる。したがって、特に現在のマーカーは多くの場合、費用を要し、時間を要し、しばしば侵襲的であるため、肝機能障害を発症することに関するリスクを予測し、肝再生刺激に対する処置反応を監視する容易に評価可能な検査の差し迫った必要性がある。
とりわけ肝部分切除後の肝機能障害の予測のための、および、とりわけ肝部分切除または肝再生刺激の後の肝機能を監視するための、特異性および妥当性が高度である、確実なバイオマーカーを提供すること、が本発明の目的である。
上記問題は本発明によって解決される。
本発明者らは、特定のmiRNAの発現レベルが、肝機能障害を発症しなかった患者と比較して、肝部分切除後に肝機能障害を発症した患者において有意に変化することを示した。驚くべきことに、発現レベルのこういった変化は、手術前の患者から得られた血液試料で示されたが、それ故に、肝機能障害の発生の確実な予測を可能にする。さらに、肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関するリスクは、手術前でも正確に予測され得る。
本発明は選択された一セットのmiRNAを提供するが、このmiRNAは、特異的に上方制御または下方制御され、したがって価値のあるバイオマーカーとして有用であり、広範囲の肝疾患にわたり適用可能な診断シグネチャおよび予測シグネチャを表す。
本発明によれば、特に肝部分切除後の、肝機能障害に関する対象のリスクを判定するin vitroの方法であって:
a)前記対象から試料を用意するステップと、
b)前記試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAの発現レベルを決定するステップと、
i.b)の発現レベルを少なくとも1つのリファレンス発現レベルと比較するステップ、または
ii.b)で決定された発現レベルに基づいてmiR-151aとmiR-192の比および/またはmiR-122とmiR-151aの比を特定するステップおよび前記発現レベルの比をリファレンス発現レベルの比と比較するステップと、
ステップi)またはステップii)の比較の結果から試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するステップであって、それぞれのクラスは「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つである、分類するステップと、
を含む、in vitroの方法が提供される。
具体的には、本明細書で提供のin vitroの方法は、肝機能障害を発症することに関する対象のリスクを判定することを可能にする。好ましくは、本明細書で提供のin vitroの方法は、肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関する対象のリスクを判定することを可能にする。
具体的には、患者の試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAの発現レベルが決定される。具体的には、miR-151a、miR-192およびmiR-122のうちの少なくとも2種の発現レベルが決定される。具体的には、miR-151aおよびmiR-192の発現レベルが決定される。具体的には、miR-151aおよびmiR-122の発現レベルが決定される。具体的には、miR-192およびmiR-122の発現レベルが決定される。
特定の実施形態によれば、miR-151a、miR-192およびmiR-122の発現レベルが決定される。
具体的には、本明細書で使用されるmiRNAは、hsa-miR-151a-5p、hsa-miR-192-5pおよびhsa-miR-122-5pからなる群から選択される。
具体的には、miR-151aの発現レベルの低下は、肝機能障害のリスク上昇を示す。具体的には、miR-122および/またはmiR-192の発現レベルの上昇は、肝機能障害のリスク上昇を示す。
具体的には、肝機能障害のリスク上昇を有する患者の手術前試料では、miR-151aの発現レベルは下方制御される。具体的には、肝機能障害のリスク上昇を有する患者の手術前試料では、miR-122の発現レベルおよび/またはmiR-192の発現レベルは上方制御される。具体的には、手術前試料とは、肝部分切除の前に患者から提供された試料である。
特定の実施形態によれば、ステップi)またはステップii)の比較の結果は、「リスクなし」および「中リスク」のカテゴリのさらなるクラスに分類され得る。具体的には、対象の試料におけるmiRNAの発現レベルまたは発現レベルの比を、肝部分切除後に肝機能障害を発症しなかった対象の試料におけるmiRNAの発現レベルもしくは発現レベルの比とまたは健常な対象の試料と比較するステップは、対象の試料を「リスクなし」、「低リスク」、「中リスク」または「高リスク」のカテゴリのうちの1つに分類することを可能にする。
具体的には、試料が「リスクなし」のカテゴリに属すると分類される対象は、したがって、とりわけ肝部分切除後に、肝機能障害を発症することに関してリスクがないか、または極めて低いリスクを有する。好ましくは、リスクがないまたは極めて低いリスクとは、肝機能障害を発症することに関するリスク25%または25%未満を指す。試料が「低リスク」のカテゴリに属すると分類される対象は、したがって、肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して低リスクを有する。好ましくは、低リスクとは、肝機能障害を発症するリスク25%超および50%までを指す。試料が「中リスク」のカテゴリに属すると分類される対象は、したがって、肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して中リスクを有する。好ましくは、中リスクとは、肝機能障害を発症するリスク50%超および75%までを指す。試料が「高リスク」のカテゴリに属すると分類される対象は、したがって、肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して高リスクを有する。好ましくは、高リスクとは、肝機能障害を発症するリスク75%超を指す。
具体的には、リファレンス発現レベルとは、健常な対象もしくは術後肝機能障害のない対象またはその群もしくはプールのmiR-151a、miR-192、およびmiR-122からなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAの発現レベルである。
具体的には、リファレンス発現レベルの比は、健常な対象もしくは術後肝機能障害のない対象またはその群のmiR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比である。
具体的には、前記リファレンス発現レベルは、肝部分切除後に肝機能障害を発症しなかった対象における、特にこのような対象から得られる試料のプールにおける、相応するmiRNAの平均レベルとすることができ、ここで、1超の標準偏差での差、特に約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9での、特に約2の標準偏差またはそれ超での差は、肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関するリスク上昇を示す。具体的には、肝部分切除後に肝機能障害を発症しなかった対象における相応するmiRNAの発現レベルまたは発現レベルの比と比較して、少なくとも1.3倍でのmiRNA発現レベルまたはmiRNA発現レベルの比の差は、肝機能障害の発生に関してリスク上昇を示す。
具体的には、1.5超の標準偏差、好ましくは2超の標準偏差、特に約2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、または3での差は、特に肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して高リスクを示す。
具体的には、少なくとも1の標準偏差での差は、特に肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して中リスクを示す。
具体的には、1未満の標準偏差での差は、特に肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して低リスクを示す。
具体的には、相応するリファレンス発現レベルまたはリファレンス発現レベルの比に匹敵するmiRNAの発現レベルまたは発現レベルの比、特に、リファレンスレベルまたはリファレンス比から0.5以下の標準偏差で異なるレベルまたは比は、特に肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して極めて低いリスクを示す。したがって、このような試料は、「リスクなし」のカテゴリに属するものとして分類され得る。試料が「リスクなし」のカテゴリに属するものとして分類される対象は、試料が「低リスク」のカテゴリに属するものとして分類される対象よりも、肝部分切除後に肝機能障害を発症する可能性が低い。
LDリスクを判定することになる対象からの各試料と比較するために、健常な対象もしくは肝部分切除後に肝機能障害を発症しなかった対象からの単一のリファレンス試料、または健常な対象もしくは肝部分切除後に肝機能障害を発症しなかった対象から得られる試料のプールのいずれかを使用することは、本発明の実施形態の範囲内である。前記プールは、2、3、4、5、6、7、またはそれ超の試料、特に、異なる個人からの最大10、100または100超の試料からなることができる。
本発明の特定の実施形態によれば、「低リスク」として分類される対象は肝部分切除を受け、「中リスク」として分類される対象は肝部分切除の前に肝再生の刺激を受け、「高リスク」として分類される対象は肝部分切除を受けない。具体的には、「リスクなし」として分類される対象も、肝再生の事前の刺激なしで、肝部分切除を受ける。具体的には、「中リスク」として分類される対象は、肝部分切除の対象であるが、まず肝再生を刺激することを目的とする処置を受ける。好ましくは、肝再生の刺激に続いて、再生の成功を評価し、肝部分切除後の肝機能障害を発症することに関する対象のリスクが、対象が肝部分切除を受ける前に判定される。
具体的には、「中リスク」として分類される対象は、肝部分切除の前に処置を受け、この処置は、ネオアジュバント化学療法、門脈塞栓術、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(associating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy)(ALPPS)、運動介入(「プレハビリテーション」)または門脈高血圧を軽減する薬理学的療法、からなる群から選択される。具体的には、運動介入および/または食事の変化は、全体的な適合度と健康状態の改善によって肝再生に役立つことができる。具体的には、中リスクとして分類される対象へのさらなる選択肢とは、修正外科的戦略である。好ましくは、前記修正外科的戦略では、切除される肝臓部分の必要なサイズは、腫瘍中央部の凝固壊死治療との組合せによって縮小される。
具体的には、術後肝機能障害を発症することに関する患者のリスクが低い、肝部分切除の時点を判定するのに、本明細書に記載のmiRNAシグネチャが使用される。具体的には、「中リスク」として分類され、したがって、肝切除前にALPPSなどの処置を受ける対象の試料は、肝部分切除の最適な時点が判定され得るように、複数の時点で提供される。具体的には、試料が提供され、肝機能障害を発症することに関するリスクが、2週間に1回、週に1回、毎日、または少なくとも1日に2回判定される。具体的には、その試料が「低リスク」として分類されると、肝部分切除の時点は最適である。
具体的には、「高リスク」として分類される対象は、肝部分切除を受けない。具体的には、前記対象は、肝移植、緩和的化学療法、ラジオ波焼灼療法、または肝動脈化学塞栓療法(TACE)を代わりに受ける。具体的には、前記処置は、腫瘍量に応じて選択される。
本明細書でさらに提供されるのは、対象の肝再生刺激の再生の成功を監視するin vitroの方法であって、
a)前記対象から試料を用意するステップと、
b)前記試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップと、
c)リファレンス試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップであって、リファレンス試料は対象の早期の試料である、決定するステップと、
d)b)の発現レベルの比をc)の発現レベルの比と比較するステップと、
e)ステップd)の比較の結果から、前記対象の試料を「再生の成功」または「再生の成功なし」の2つのカテゴリのうちの1つに分類するステップと、
を含む、in vitroの方法である。
具体的には、再生の成功が本明細書で提供のin vitroの方法にしたがって判定されることになる肝再生刺激は、門脈塞栓術による肝肥大の誘導、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)による肝肥大の誘導、全体的な適合度を改善する運動介入(「プレハビリテーション」)、および門脈高血圧を軽減する薬理学的療法、からなる群から選択される。
具体的には、対象は、肝臓の悪性病変、好ましくは転移性結腸直腸がん、肝細胞癌もしくは胆管細胞癌を罹患する、または良性肝腫瘍、肝嚢胞および/もしくは肝寄生虫を罹患する。具体的には、対象は、肝臓において、良性または悪性の1つまたは複数の腫瘍を罹患する。腫瘍は、任意の組織に由来しても任意の臓器に由来してもよい。
特定の実施形態によれば、試料は、血液、血清、血漿、特に乏血小板血漿、リンパ液、尿および唾液ならびに生検プローブからなる群から選択される。具体的には、試料は無細胞血である。
さらに特定の実施形態によれば、試料の発現レベルまたは発現レベルの比は、分類モデルを使用して、リファレンスの発現レベルまたは発現レベルの比と比較される。
具体的には、分類モデルは、リファレンスとの比較の結果から対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類する。
具体的には、分類モデルは、ロジスティック回帰モデル、サポートベクターマシンモデル、および決定木モデルからなる群から選択される。
本明細書でさらに説明されるのは、とりわけ肝部分切除の後の、肝機能障害のリスクを予測する臨床的に有用なカットオフである。具体的には、確率スコア、0.59未満、特に0.58、0.57、0.56、0.55、0.54、0.53、0.52、051、または0.50未満を有する低ストリンジェンシーのカットオフは、肝機能障害を発症することに関して低リスクにある対象および低リスクで肝部分切除を受けることができる患者、を特定する。好ましくは、確率スコア0.58未満(P<0.58)は、患者を低リスクとして分類する。具体的には、確率スコア0.58超、特に0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、または0.65超を有するストリンジェントなカットオフは、肝機能障害を発症することに関して中リスクを有する患者を特定し、このような患者は、手術前に最適化される必要がある。好ましくは、確率スコア0.58超(P>0.58)は、患者を中リスクとして分類する。確率スコア、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、または0.75超は、対象を高リスク患者として特定し、これらの患者は、好ましくは外科的肝部分切除を受けるべきではない。好ましくは、確率スコア0.68超(P>0.68)は、肝機能障害を発症することに関して高リスクにある対象を特定する。
特定の実施形態によれば、発現レベルは、シーケンシングベースの方法、特に次世代シーケンシング、アレイベースの方法およびPCRベースの方法、特に定量的PCRベースの方法からなる群から選択される方法を使用して決定される。
具体的には、miRNAレベルの差は、定量的またはデジタルPCR、DNA/RNAシーケンシング、特に次世代シーケンシング、マイクロアレイ、Luminex(商標)発光に基づく核酸アッセイ、またはその他のハイブリダイゼーションベースの技法によって決定される。
本明細書でさらに提供されるのは、パーツのキットであって、
a)対象の試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される、少なくとも1種のマイクロRNAの発現レベルを検出することができる検出試薬と、
b)リファレンス発現レベルと、
a)の発現レベルをb)の発現レベルと比較するための、および対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するための分類モデルを含むソフトウェアであって、それぞれのクラスは肝部分切除後の肝機能障害に関する「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つである、ソフトウェアと、
を含む、パーツのキットである。
図1:肝切除を受ける患者の手術前マイクロRNAパターンの差。肝機能障害のある患者の手術前血漿中の差次的に調節されたマイクロRNAのボルケーノプロット。バイオマーカー候補を特定するために、血漿濃度(平均log2カウント毎100万(logCPM)>5)、効果量(倍率変化>1.3)および有意水準(生のp<0.2)に対してカットオフを意味付けた。一セットの19種のマイクロRNAが特定されたが、そのうちの12種が上方制御であり(赤)、7種が下方制御であった(青)。 図2:肝機能障害を予測するためのmiRNAペアの診断能の分析。(A)ランダムフォレスト分類モデルにおけるmiRNAペアの重要性(最も重要なものは、精度の平均低下が最も高い上部にある)。(B)miR151a-5p_192-5pの発見コホートにおいてqPCRによって測定された比の分布(箱ひげ図と両側ウィルコクソン順位和検定からのp値)。(C)miR122-5p_151a-5pの発見コホートにおいてqPCRによって測定された比の分布(箱ひげ図と両側ウィルコクソン順位和検定からのp値)。(D)発見コホートにおけるmiR122-5p_151a-5pを含めたロジスティック回帰モデルのROC曲線(一個抜き交差検証からの結果は灰色である)。(E)発見コホートにおけるmiR151-5p_192-5pを含めたロジスティック回帰モデルのROC曲線(一個抜き交差検証からの結果は灰色である)。(F)両方のmiRNAペアを含めたロジスティック回帰モデルのROC曲線(一個抜き交差検証からの結果は灰色である)。(G、H)診断能が曲線下面積(AUC)によって説明され、分類が無作為割当から有意に逸脱するかいなか(AUC=0.5)はp値によって示される。予測対照と予測LDでの真の術後LDの百分率について、モデルで定義したカットオフP>0.59とP>0.68の両方について分析した。 同上。 同上。 同上。 図3:上位2つのmiRNA比の予測能について、術後LDの独立した研究で検証した。miRNAについて24人の対象でRT-qPCRによって分析したが、そのうち5人(16.7%)が手術後に有害な転帰を経験した。(A)122-5p/151a-5pのmiRNAペア、及び(B)151a-5p/192-5pのmiRNAペアの術前調節が血漿で観察された。(C)先に定義の多変量ロジスティック予測モデルの予測能について、ROC分析を使用して検証した。予測能は曲線下面積(AUC)によって説明され、分類が無作為割当から有意に逸脱するかいなか(AUC=0.5)はp値によって示される。予測対照と予測LDでの真の術後LDの百分率について、モデルで定義したカットオフP>0.59とP>0.68(D、E)の両方について分析した。 同上。 図4:完全なデータセットに基づいたマイクロRNAモデルの性能評価。ロジスティック回帰モデルの出力に関する2つのカットオフ(低ストリンジェンシー、P=0.59;および高ストリンジェンシー、P=0.68)をそれらの性能について分析して、術後肝機能障害を予測した。性能については、感度(SN)、特異度(SP)、陽性適中率(PPV)、陰性適中率(NPV)、および、陰性の検査結果と比較した陽性の検査結果にともなう術後肝機能障害を罹患することのオッズの比であるオッズ比(OR)を使用して説明した。(A)低ストリンジェンシーのカットオフ(P=0.59)はバランスの取れたPPV値とNPV値(それぞれ0.80および0.81)をもたらしたが、一方、ストリンジェントなカットオフ(P=0.68)は、許容されるNPV 0.74とともに、完全なPPV 1.0という結果であった。これは、検査で陽性であった患者の100%が術後LDを罹患したが、一方、検査で陰性であった74%は術後LDを罹患しなかったことを意味する。逆に、検査で陰性であった26%は、実際に術後LDを罹患した(パネルAを参照されたい)。有害事象のORは、それぞれ15.92(p<0.0001)および無限(p<0.0001)であった。(B)マイクロRNAモデルについて受信者操作特性(Receiver operator characteristic)(ROC)曲線分析を実施して、その性能を標準的な肝機能パラメータの性能に対して比較した。モデルカットオフの両方:重度の罹患(C)と死亡(D)についてその他の有害な術後転帰のORを分析した。術後のICU在室が(E)、そして入院が(F)、本発明者らによる予測されたリスク群において有意に延長した(箱ひげ図を外れ値なしで示す;両側ウィルコクソン順位和検定からのp値)。ALT、アラニントランスアミナーゼ;AST、アスパラギン酸トランスアミナーゼ;GGT、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ;ICG-PDR、インドシアニングリーン(ICG)血漿消失率;ICG R15 ICG-15分血中停滞率;ICU、集中治療室。 同上。 同上。 図5:miRNAペアが、部分肝切除後の肝機能回復をフォローし、ALPPSの第2の段階後の術後LDを予測する。(A)は、このさらなる探索的研究の研究計画を例示し、さらにはALPPSの手技アルゴリズムを要約する。ALPPS手技は、Schnitzbauer et al.によって最初に記載されたが、残肝が不十分である切除可能境界である患者の迅速な肝再生を可能にするために開発されてきた。要約すると、ALPPS手技の第1の段階の過程では、担腫瘍肝葉に流れ込む門脈枝が選択的に結紮され、一方、動脈ならびに胆汁系の構造が保持され、手術のこの最初の段階過程で肝実質がさらに切離される。この手技は、数日の時間枠内で肝再生の改善につながる。なお、肝再生のこの実質的な獲得後、結紮した残肝葉を切除する必要がある場合、第2の外科的手技を実施しなければならない。miRNAの周術期ダイナミクスについて、通常の部分肝切除の7人の患者と8人のALPPS患者(詳細は表3に列記)の群で評価したが、この群については、繰り返し収集した血漿試料に基づいてmiRNAの縦断的測定を実施することができた。採血の時点を(A)に与える。(B)においては、miRNAペアならびに組合せペアの周術期ダイナミクスが例示される。(C)においては、例示されるように、ALPPSの第2段階の過程では萎縮性肝葉のみが切除されるので、ALPPSの第2段階の後に、miRNAペアについてさらに分析し、その結果、この第2の手術後、miRNA比の上昇がほとんど消失することを示している。(D)は、最終的には、術後LDおよび萎縮性肝葉の除去後の死亡によって層別化された、ALLPSの第2段階前での、組合せmiRNAペアの予測可能性を例示する。P<0.05、**P<0.005。 同上。 同上。 同上。
不十分な肝再生の結果としての術後肝機能障害(LD)は、大量肝切除を受ける患者の最大30%で発生し、この切除は患者の罹患と死亡を同時に高める。それでも、治療の選択肢ならびに手術後にLDを発症するリスクのある患者を判定する確実な予測バイオマーカーは限られている。したがって、特に現在のマーカーは多くの場合、費用を要し、時間を要し、しばしば侵襲的であるため、術後の肝機能回復を予測する容易に評価可能な術前検査の差し迫った必要性がある。マイクロRNA(miRNA)シグネチャとは、いくつかの疾患について有効な診断、予後および処置反応のバイオマーカーを表す。
血清や血漿などの無細胞血中の循環マイクロRNAとは、最小侵襲の検出、したがって、診療所や研究リポジトリでの幅広い適用性を可能にする、バイオマーカーの最小限のまたは非侵襲的な供給源である。
「試料」という用語は、全体として、組織または臓器の試料、血液、血清および血漿などの無細胞血液、乏血小板血漿、リンパ液、尿、唾液および生検プローブを指す。好ましくは、試料は血漿試料である。
特定の実施形態によれば、本明細書で使用の試料は、収集のプロセス過程で2回の遠心分離段階を受けた乏血小板血漿である。具体的には、第1の遠心分離段階は、低速で、たとえば約1,000重力加速度(g)で実施され、いっぽう、第2の遠心分離段階は、高速で、たとえば約10,000gで実施される。このような遠心分離は、マイクロRNAの測定を妨害する可能性がある、血小板およびアポトーシス小体などのより大きな細胞外小胞の完全な除去を確実にするのに役立つ。血小板の活性化を防止するのに使用される抗凝固剤の好ましいタイプはCTAD(クエン酸ナトリウム、テオフィリン、アデノシン、ジピリダモール)である。具体的には、CTAD、クエン酸ナトリウム、またはカリウム-EDTA(K2-EDTA)が使用されて、血小板の活性化を防ぐことができる。
具体的には、乏血小板血漿は、20,000g未満の遠心分離速度でペレット化する血小板ならびに中型および大型の細胞外小胞を本質的に含まない。
本明細書で使用する場合、「無細胞」という用語は、約90%の程度までいかなる細胞をも欠く試料を指す。
本明細書で使用する場合、「対象」または「個体」または「患者」という用語は、温血哺乳動物、とりわけヒトを指すものとする。
「患者」という用語は、予防的または治療的処置のいずれかを受ける、または、肝がんまたは転移性結腸直腸がんのような、これらに限定されないが、特定の疾患と診断される、ヒトおよびその他の哺乳動物対象を含む。
したがって、「処置」という用語は、予防的処置と治療的処置の両方を含むことを意味する。
本明細書で使用する場合、「個体のコホート」または「個体のプール」という用語は、健常な個体の群を指すものとし、前記個体から受け取った試料を特に指す場合がある。コホートの個体の数は様々であってもよく、すなわち、2、3、4、5、6、7またはこれ超の個体を含むことができるが、たとえば、限定されないが、少なくとも10、25、50、100またはこれ超の個体など、対象のより大きな群であってもよい。本発明の実施形態によれば、コホートはまた、500以上の個体の大きなコホートを含む場合もある。
本明細書で使用する場合、「約(about)」という用語は、明確に列挙した値ならびにそれからの小さな偏差を包含する。したがって、10%、好ましくは5%、好ましくは1%の列挙した値からの偏差が、「約」という用語によって包含される。
「マイクロRNAシグネチャ」という用語は、有効で堅牢な診断、予後、および処置反応のバイオマーカーを表す特定のマイクロRNA発現プロファイルを指す。本明細書で使用する場合、「マイクロRNAシグネチャ」または「miRNAシグネチャ」という用語は、肝部分切除後の肝機能障害のある患者とない患者との間の循環miRNAの発現プロファイルの差を指す。具体的には、本明細書に記載のmiRNAシグネチャは、マイクロRNAであるmiR-151a、miR-122およびmiR-192のうちの少なくとも1つを含む。
本明細書で使用する場合、「in vitroの方法」という用語は、生きた生物の外部で実施される方法を指す。具体的には、これは、分離された組織、器官または細胞、好ましくは血液、さらにより好ましくは血漿などの試料上で実施される方法を指す。したがって、かかるin vitroの方法は、生きた生物上では実施されない;これはヒト上ではとりわけ実施されない。
「LD」または「肝機能不全」と同義に使用される「肝機能障害」という用語は、肝臓の機能不良を指し、これは、急性または慢性の不顕性細胞障害として出現する可能性があるが、複数の臓器系の危殆化をともなって重篤な肝不全に進行するおそれがある。周術期の罹患率と死亡率は深刻となるおそれがある:肝機能(グルコースホメオスタシス、タンパク質と凝血原の合成、ビリルビン代謝、および薬物と内因性毒素の生体内変化)はすべて損なわれるおそれがある。障害の程度と肝外病変の重症度は様々である。肝切除後の不十分な肝再生は、術後LDをもたらすことが示されたが、これは、大量肝切除後の患者の最大30%で発生する。したがって、肝臓手術前の最適化された患者選別に関するリスク層別化は、術後LDおよび付随する合併症の発病率を最小限に抑えるため重要である。術後LDが高まると特定された対象は、手術前に肝再生を補助する処置を受けてもよく、LDのリスク上昇に対処するために対象の術後ケアが調整されてもよい。術後ケアの調整は、たとえば、対象の肝機能の厳重な管理を可能にするために集中治療室でのより長い在室を意味する場合がある。
「肝部分切除(partial liver resection)」または「部分肝切除(partial hepatectomy)」という用語は、肝臓の一部の外科的除去を指す。ほとんどの肝切除は、良性または悪性の肝新生物の処置のために実施される。良性新生物として、肝細胞腺腫、肝血管腫および限局性結節性過形成が挙げられる。肝臓の最も一般的な悪性新生物(がん)は転移である;結腸直腸がんに起因するものは最も一般的なものであり、外科的切除に最も適合するものである。肝臓の最も一般的な原発性悪性腫瘍は肝細胞癌である。肝切除はまた、肝内胆石および肝臓の肝嚢胞または寄生嚢胞を処置するのに選択される手技とすることができる。
原発性肝がんは、肝がんおよび原発性肝がんとしても知られるが、肝臓で始まるがんである。肝転移または続発性肝がんとして知られる、他の場所から肝臓に転移したがんは、肝臓で始まるがんよりも一般的である。本明細書で使用する場合、「肝臓の悪性病変」という用語は、原発性肝がんと続発性肝がんの両方を指す。すべての原発性肝がんのおよそ75%を占める最も頻度の高い肝がんは、肝細胞癌(HCC)(ヘパトーマとも称されるが、腺腫は通常良性であるため、これは誤称である)である。HCCは、悪性となるヘパトサイトとして知られる、肝臓細胞により形成されるがんである。肝臓細胞により形成されるがんの別のタイプは肝芽腫であり、これは未成熟な肝臓細胞により特異的に形成される。これは、稀な悪性腫瘍であり、主として小児において発症し、小児におけるあらゆるがんのおよそ1%および15歳未満のすべての原発性肝がんの79%を占める。ほとんどの肝芽腫は右葉で形成する。肝がんはまた、胆管、血管、および免疫細胞などの肝臓内の他の構造からも形成する場合もある。胆管のがん(胆管細胞癌および胆管細胞嚢胞腺癌)は、原発性肝がんのおよそ6%を占める。HCCと胆管細胞癌の両方から成る、HCCの変異型も存在する。肝臓血管の腫瘍(血管肉腫と血管内皮腫)、胚性肉腫および線維肉腫は、間葉として知られる結合組織の一タイプから生成する。肝臓の筋肉から生成されたがんは平滑筋肉腫および横紋筋肉腫である。その他のあまり一般的でない肝がんとして、がん肉腫、奇形腫、卵黄嚢腫瘍、カルチノイド腫瘍、およびリンパ腫が挙げられる。リンパ腫は、肝臓に対するびまん性浸潤を通常有するが、稀な場合で、肝臓腫瘤を形成する場合もある。
肝臓に見られる多くのがんは、真の肝がんではないが、肝臓に転移した、体内の他の部位からのがん(続発性肝がん)である。しばしば、起源の部位は胃腸管であり、なぜなら、肝臓が血管やリンパ節に接近した、多くのそういった代謝上活性で血液に富んだ臓器の近くにあるからである(たとえば、膵臓がん、胃がん、結腸がんおよび主に虫垂のカルチノイド腫瘍)。続発性肝がんは、乳がん、卵巣がん、肺がん、腎がん、前立腺がんに由来する場合もある。
肝がんの主因は、B型肝炎、C型肝炎、またはアルコールによる肝硬変である。その他の原因として、アフラトキシン、非アルコール性脂肪性肝疾患、および肝吸虫が挙げられる。最も一般的なタイプは、症例の80%を構成する肝細胞癌(HCC)および胆管細胞癌である。あまり一般的ではないタイプとして、粘液性嚢胞腫瘍および胆管内乳頭状腫瘍が挙げられる。
本明細書で提供の方法によれば、肝病変を罹患する患者の処置戦略を選択することができる。試料がリスクなしまたは低リスクのカテゴリに分類される対象は、肝部分切除後に肝機能障害を発症することに関して対象のリスクが低いので、肝部分切除の良好な候補である。前記対象は、LDリスクの評価の直後に肝部分切除を受けてもよく、肝部分切除の前に肝再生刺激を受けてもよい。
具体的には、試料が中リスクまたは高リスクとして分類される対象は、LDリスクの評価の直後に肝部分切除を受けない。好ましくは、中リスクとして分類される対象は、肝再生を補助する、外科的または薬理学的またはその他の療法を受ける。前記療法は、ネオアジュバント化学療法、門脈塞栓術、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)、運動介入(「プレハビリテーション」)または門脈高血圧を軽減する薬理学的療法とすることができる。具体的には、前記療法の再生の成功は、本明細書で提供の方法によって監視され得る。
好ましくは、試料が高リスクカテゴリに属すると分類される対象は、肝部分切除を受けない。好ましくは、高リスクの対象は、肝移植、緩和的化学療法、ラジオ波焼灼療法または肝動脈化学塞栓療法(TACE)を受ける。
具体的には、とりわけ肝部分切除後に、肝機能障害を発症することに関して対象のリスクは、本明細書で提供の方法にしたがって繰り返し評価され得る。
本明細書で使用する場合、「再生の成功」という用語は、肝部分切除後に肝機能を改善し、肝機能障害のリスクを低下させることと定義される。したがって、肝再生を監視するマーカーは、患者の臨床転帰、すなわち肝機能障害のリスクの減少に優先的に関連する必要がある。中度の再生の成功は、肝機能障害のリスクを約25%~最大約50%減少させる。高度の再生の成功は、50%超リスク減少をもたらす。肝機能障害を発症することに関してリスクに減少がないことおよび/または肝機能の改善がないことは、再生の成功がないことを示す。具体的には、肝機能は、たとえば、プロトロンビン時間(PT/INR)、aPTT、アルブミンおよびビリルビンを検出する(直接的および間接的)検査などの当技術分野で知られる肝機能検査を使用して、評価され得る。
具体的には、再生の成功は:
a)前記対象から試料を用意するステップと、
b)前記試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップと、
c)リファレンス試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップであって、リファレンス試料は対象の早期の試料である、決定するステップと、
d)b)の発現レベルの比をc)の発現レベルの比と比較するステップと、
e)ステップd)の比較の結果から、前記対象の試料を「再生の成功」または「再生の成功なし」の2つのカテゴリのうちの1つに分類するステップと、
の連続するステップを含むin vitroの方法によって監視される。
本発明は、肝部分切除後の肝機能障害の予測のための、および肝部分切除または肝再生刺激の後の肝機能を監視するための、または療法を受ける対象の処置、特に肝腫瘍量を縮小する処置を監視するための、方法に使用するための選別されたmiRNAを提供する。
具体的には、前記miRNAは、miR-151a、miR-122および/もしくはmiR-192、またはそれらのアイソフォームもしくはバリアントである。好ましくは、前記miRNAは、hsa-miR-151a-5p、hsa-miR-122-5pおよび/もしくはhsa-miR-192-5pまたはそれらのアイソフォームもしくはバリアントである。
肝機能障害のない対象のレベルと比較して、前記miRNAのうちの1種または複数のレベルの上昇または低下の検出は、対象の肝機能障害を発症することに関してリスクを予測するために使用され得る。
具体的には、hsa-miR-151a-5p、またはそのアイソフォームもしくはバリアントのレベルの低下、および/またはhsa-miR-192-5pもしくはhsa-miR-122-5p、またはそのアイソフォームもしくはバリアントのレベルの上昇を測定するステップは、肝機能障害を発症することに関してリスク上昇の特定の指標とすることができる。miRNAの前記上昇または低下は、肝部分切除後に肝機能障害を発症した対象の血中または血清レベルから得られるデータに特に基づく。
本明細書でさらに説明されるのは、とりわけ肝部分切除の後の肝機能障害のリスクを予測する臨床的に有用なカットオフである。具体的には、確率スコア、0.59未満、特に0.58、0.57、0.56、0.55、0.54、0.53、0.52、051、または0.50未満を有する低ストリンジェンシーのカットオフは、肝機能障害を発症することに関して低リスクにある対象および低リスクで肝部分切除を受けることができる患者、を特定する。好ましくは、確率スコア0.58未満(P<0.58)は、患者を低リスクとして分類する。具体的には、確率スコア0.58超、特に0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、または0.65超を有するストリンジェントなカットオフは、肝機能障害を発症することに関して中リスクを有する患者を特定し、このような患者は、手術前に最適化される必要がある。好ましくは、確率スコア0.58超(P>0.58)は、患者を中リスクとして分類する。確率スコア、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、または0.75超は、対象を高リスク患者として特定し、こういった患者は、外科的肝部分切除を受けるべきではない。好ましくは、確率スコア0.68超(P>0.68)は、肝機能障害を発症することに関して高リスクにある対象を特定する。
驚くべきことに、本明細書に記載の方法を使用すると、確率スコア0.68超の患者のうちの100%が、肝部分切除後に肝機能障害を発症した。いっぽう、確率スコア0.59超の患者のうちのわずか80%が肝機能障害を発症し、確率スコア0.59未満の対象のうちの約80%は肝機能障害を発症しなかった。
具体的には、肝部分切除後での肝機能障害を発症することに関するリスク上昇は、miR-151a、miR-122、およびmiR-192からなる群から選択されるマイクロRNAのペア間の発現レベルの比を測定して決定され得る。具体的には、マイクロRNAのペア(miR1、miR2)については、log(miR1/miR2)である発現値のlog比は、それらのCq値の差(ΔCq=CqmiR2-CqmiR1)によって計算された。具体的には、NGS分析からのマイクロRNAペアの結果(log2倍率変化)をqPCR分析の結果(ΔCq)と比較するために、線形回帰分析が実施され得る。具体的には、線形連関がそれぞれの係数の両側Wald検定によって検定され得、決定係数が計算され得る。対象の試料とリファレンス試料の間のΔCq値の分布と差が両側ウィルコクソン順位和検定を使用して検定され得る。
具体的には、対象の試料をリスクなし、低リスク、中リスクおよび高リスクまたは再生の成功および再生の成功なしのカテゴリのうちの1つに分類する場合、2組のマイクロRNAペアのそれぞれが単変量および多変量のロジスティック回帰モデルに含まれる。具体的には、一個抜き交差検証戦略が適用され得、適用される場合は、受信者操作特性(ROC)分析によって評価され得る。
具体的には、最適な(臨床的に適切な)分類カットオフを特定するために、分割表(TP、FP;FN、TN)、および、感度(SN)、特異度(SP)、陽性適中率(PPV)、陰性適中率(NPV)、精度(ACC)、F1スコア(F1)およびマシューズ相関係数(MCC)などの関連パラメータが使用され得る。カットオフは、2組のマイクロRNAペアを含めて多変量ロジスティック回帰モデルに基づいて計算され得る。好ましくは、カットオフ最大MCCおよびPPV=1(偽陽性FP=0)が使用される。
本明細書で使用する場合、「マイクロRNA」または「miRNA」または「miR」という用語は、コーディングメッセンジャーRNAにハイブリダイズしその発現を調節する、ヌクレオチド17~25個の間のノンコーディングRNA分子を指す。「miRNA分子」という用語は、天然のmiRNA分子、すなわち成熟miRNA、pre-miRNA、pri-miRNAを含めて、miRNAを表す任意の核酸分子を指す。
「miR前駆体」、「pre-miRNA」または「pre-miR」とは、miRNAを含有する、ヘアピン構造を有するノンコーディングRNAを指す。pre-miRNAは、ドローシャ(Drosha)として知られる二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼによる一次mi-RNA転写物または「pri-miR」の切断の産物である。前駆体は、それぞれのポリヌクレオチドの成熟過程で生じるので、それぞれのポリヌクレオチドの形態とすることができる。具体的には、前記前駆体の例が表1に列挙されており、特に、それらは配列番号4~6のものである。
Figure 0007045527000001
成熟miRNAのヌクレオチド配列(配列番号1~3)およびそれらのそれぞれの前駆体は当技術分野で知られており、mirbase.org/index.shtmlにてデータベースmiRBaseからまたはmicrorna.sanger.ac.uk/sequences/ftp.shtmlにてSangerデータベースから入手できる。ヌクレオチド配列はまた、それぞれのmiRBase受託番号への参照を含めて表1に具体的に開示される。
本発明の文脈で見いだされるポリヌクレオチドの文脈で本明細書で使用する場合、同一ポリヌクレオチドは、配列番号1~3のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むまたはそれからなるポリヌクレオチドに対して少なくとも90%、95%、97%、98%または99%の同一性を備える核酸配列を有することができる。具体的には、同一ポリヌクレオチドの配列は1、2または3個以下のヌクレオチドにおいて、表1の配列とは異なる。
さらに、本発明の文脈で見いだされるポリヌクレオチドの文脈で本明細書で使用する場合、同一ポリヌクレオチドは、それぞれのシード配列の5’末端および/または3’末端に相当するpre-miRNA配列の1、2、3個、またはそれ超のヌクレオチドを含めて配列番号4~6のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むまたはそれからなるポリヌクレオチドに対して少なくとも90%、95%、97%、98%または99%の同一性を備える核酸配列を有することができる。
本発明の目的のために、リファレンスmiRNAの「アイソフォームおよびバリアント」(「isomiR」とも称される)として、トリミングバリアント(5’ダイシング部位がリファレンスmiRNA配列から上流または下流にある5’トリミングバリアント;3’トリミングバリアント:3’ダイシング部位はリファレンスmiRNA配列から上流または下流にある)、または1つまたは複数のヌクレオチド修飾(リファレンスmiRNAの3’末端への3’ヌクレオチド付加;miRNA前駆体からのヌクレオチドの変化によるヌクレオチド置換)を有するバリアント、または相補的な成熟マイクロRNA鎖、そのアイソフォームおよびバリアントを含めて(たとえば、所与の5’成熟マイクロRNAの場合は相補的な3’成熟マイクロRNA、またはその逆)、が挙げられる。ヌクレオチド修飾に関して、RNA/RNA結合に適切であるヌクレオチド、すなわち5’-シード領域および切断/アンカー側でのヌクレオチドは修飾から排除される。
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「miRNA」という用語は、3p鎖および5p鎖、ならびにそのアイソフォームおよびバリアントも包含する。
具体的には、本明細書で使用する場合、「miR-それぞれの番号-5p」という用語はまた、その相補的な3p miRNAを包含し、逆もまた同様である。
特定の実施形態では、目的のmiRNAは、好ましくはストリンジェントな条件下で、目的の前記miRNAとハイブリダイズを形成するヌクレオチドを使用して、ハイブリダイゼーションシグナルを測定して、検出される。
好ましい実施形態では、目的のmiRNAのレベルは、次世代シーケンシングによって決定される。ハイスループットシーケンシングとしても知られる「次世代シーケンシング」(NGS)という用語は、サンガーシーケンシングなどの以前に使用されたシーケンシング法よりもはるかに迅速かつ安価にDNAおよびRNAのレベルをシーケンシングおよび定量化することを可能にするいくつかの様々な最新シーケンシング技術を説明するのに、本明細書で使用される。これは、マイクロテクノロジーおよびナノテクノロジーに基づいて、試料のサイズと試薬のコストを削減し、超並列シーケンシング反応を可能にする。これは、高度に多重化されることが可能で、このことが、無数の試料の同時シーケンシングおよび分析を可能にする。NGSとして、第1世代、第2世代、第3世代、ならびにそれに続く次世代シーケンシング技術が挙げられる。非限定的な例は、ナノポア技術または半導体技術(たとえば、Oxford Nanopore Technologies、英国)またはIllumina smallRNA-Seq Platform(Luo S.、2012、Methods Mol Biol.822:183~8)またはThermo Fisher’s Ion Torrentなどの電子検出ベースの方法、である。
具体的には、NGSとは、無数のシーケンシング反応を並行して実施するハイスループットシーケンシングテクノロジーを指す。様々なNGSプラットフォームが種々のアッセイ化学反応を使用するが、それらはすべて、多数のテンプレート上で同時に進行する多数のシーケンシング反応から配列データを作成し、この場合、特定のDNAまたはRNA、特にmiRNAから得られる配列の数は生物学的試料中のRNAレベルと相関する。通常、配列データはスキャナーを使用して収集され、次いで、バイオインフォマティクス的に(bioinformatically)組み立てられおよび分析される。したがって、シーケンシング反応は並行して実施され、読み取られ、組み立てられ、および分析される;たとえば、Behjati SおよびTarpey,P.、2013(Arch.Di.Child Educ Pract Ed 2013、98、236~238);Head S.ら、2015(Biotechniques、56(2)、61~諸所に)を参照されたい。
一部のNGS方法はテンプレート増幅を必要とし、一部は必要としない。増幅を必要とする方法として、パイロシーケンシング(たとえば、米国特許第6,258,568号;F. Hoffmann-La Roche Ltdによって商品化);Solexa/Illuminaプラットフォーム(たとえば、米国特許第6,833,246号、第7,115,400号および第6,969,488号);およびSupported Oligonucleotide Ligation and Detection(SOLiD)プラットフォーム(Applied Biosystems;たとえば、米国特許第5,912,148号および第6,130,073号)、が挙げられる。増幅を必要としない方法、たとえば、単一分子シーケンシング法として、ナノポアシーケンシング、HeliScope(米国特許第7,169,560号;第7,282,337号;第7,482,120号;第7,501,245号;第6,818,395号;第6,911,345号;および第7,501,245号);合成によるリアルタイムシーケンシング(たとえば、米国特許第7,329,492号を参照されたい);ゼロモード導波路(ZMW)を使用する単一分子リアルタイム(SMRT)DNAシーケンシング法;ならびに、米国特許第7,170,050号;第7,302,146号;第7,313,308号;および第7,476,503号、US20130274147;US20140038831;ならびにMetzker、Nat Rev Genet 11(1):31~46(2010)に記載のものを含めてその他の方法、が挙げられる。あるいは、ハイブリダイゼーションベースのシーケンシング法または他のハイスループット法も、たとえば、マイクロアレイ分析、NANOSTRING、ILLUMINAまたは他のシーケンシングプラットフォームも、使用され得る。
具体的には、small RNAシーケンシングライブラリーは、CleanTag SmalIRNAライブラリー調製キット(TriLink、米国)などの当技術分野で周知されているライブラリー調製キットを使用して作製され得る。通常、RNAは最初にDNAに逆転写され、これに続いてPCRによって増幅される。PCR増幅は、small RNAシーケンシング用のIllumina製のバーコードプライマーなどのバーコードプライマーを使用して実施され得る。シーケンシングの前に、PCR産物は当技術分野で周知されているプロトコルを使用して精製される。たとえば、PCR産物は、Qiagen製のQiaQuickプロトコルを使用して精製され得、その後、たとえば、キャピラリー電気泳動などの適切な方法によってサイズチェックされ得る。
具体的には、次世代シーケンシングは、たとえば、Illumina NextSeq 500などの適切な任意のプラットフォーム上で実施され得る。シーケンシングリードは通常、さらなる使用に用意するために、アダプタートリミングされ、品質チェックされ、当技術分野で周知されているバイオインフォマティクス法にしたがって編集される。
さらに好ましい実施形態では、目的のmiRNAのレベルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって決定される。PCR法は当技術分野で周知され、広く使用される。PCR法として、定量的リアルタイムPCR、半定量的PCR、マルチプレックスPCR、デジタルPCR、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。特に好ましい実施形態では、miRNAのレベルは、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)によって決定される。qRT-PCRを使用してmiRNAのレベルを決定する方法は当技術分野で知られており、通常、miRNAのcDNAへの逆転写によって先行される。
本発明で有用なPCR法では、プライマーは通常、成熟miRNA分子に基づくが、ハイブリダイゼーション挙動を最適化するために化学修飾を含み得る。
qRT-PCR法は、miRNAの発現の絶対レベルを決定することができる。あるいは、qRT-PCR法はmiRNAの相対量を決定することができる。miRNAの相対量は、miRNAのレベルを1つまたは複数の内部標準核酸配列のレベルに基準化することによって決定され得る。一般に、そのような内部標準核酸配列は、分析される血液または血清の試料において一定のレベルを有することが必要である。例を挙げると、内部標準核酸配列は、グリセルアルデヒド-3-リン酸-デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ベータ-アクチン(ACTB)のようなmRNAなどの恒常的に転写されるRNA核酸配列、または5Sおよび18SリボソームRNA、RNU48、RNU44、およびRNU6などのノンコーディングRNA、とすることができる。加えて、miR-23a-3p、miR-23b-3p、miR-15-5pまたはmiR-16-5pなどの血清または血漿中に一定かつ高レベルを有するmiRNAも、相対的定量化のリファレンスとして使用され得る。加えて、RNA分離またはcDNA合成過程に等モル量で添加される合成RNA配列も、特定のmiRNAの相対的定量化のリファレンスとして使用され得る。
あるいは、2種のmiRNA間の相対的な対数差が計算されて、自己基準化miRNAペアを形成することもできる。これにより、リファレンスmiRNAの必要性が回避され得る。
本発明において有用なリアルタイムPCR定量化法の概要は、Schmittgenら、2008、Methods.January;44(1):31~38によって与えられる。
miRNAの検出用のプライマーは、たとえば、Exiqon製のマイクロRNA LNA(商標)PCRプライマーセットとして市販されている。
miRNAは比較的短い分子であるので、逆転写および増幅の前に、アデノシンモノマーを鎖に付加することによって(ポリアデニル化として知られる技法)、miRNAを伸ばすことが有用であるとすることができる。要約すると、RNAは、適切な試薬(たとえばTrizol試薬)によって試料から抽出され、ATPおよびポリ(A)ポリメラーゼの存在下でポリアデニル化され、ポリ(T)アダプターおよび5’RACE配列を使用してcDNAに逆転写され、miRNAの3’末端から得られる順方向プライマーと逆方向RACEプライマーを使用して増幅され得る。この技法の改善は、3’末端にヌクレオチド(A、C、またはGを構成するが、Tは構成せず、したがって、polyA配列上のいずれかへのプライミングを排除し、miRNA配列上でのプライミングを実施する)を持つRACEプライマーまたは化学修飾の有無にかかわらず、2、3、4個、もしくはそれ超のヌクレオチドを使用した、特定のマイクロRNAの3’cDNA末端に係留されるRACEプライマー、を設計することを含む。
miRNAの検出はまた、当技術分野で知られる他の方法によって、たとえば、ディープシーケンシング法、ビーズベースの定量化、たとえばIlluminaビーズアレイ、ヒドロゲル粒子ベースの定量化、たとえばマイクロアレイ技術によるFirefly(商標)、たとえばInvitrogenより入手可能なNcode(商標)ヒトmiRNAアレイ、Affymetrix、Agilentより入手可能なチップアレイ、あるいはたとえばExiqonよりのLNAバックボーンキャプチャプローブを用いるマイクロアレイ(miRCURY LNA(商標)アレイ)によるなど、WO2011/14476に記載のものによって行われ得る。
miRNAレベルの差はまた、多重化学発光ベースの核酸アッセイ、たとえばPanomics、またはマイクロRNA相補的制御部位を含むレポータータンパク質を含有するレポータープラスミドアッセイ(「バイオセンサー」)、または当技術分野で知られる他のハイブリダイゼーションベースの技法を使用しても、決定され得る。
「リファレンスレベル」、「リファレンス比」、「リファレンス試料」、「対照」または「対照試料」とは、本明細書において互換可能に使用され得る用語であるが、実験試料、すなわち、LDを発症するリスクのある対象の試料、または対象の再生の成功が判定されることになる対象の試料、との比較に使用される試料または標準と理解されたい。対照は、健常な対象または肝部分切除後に肝機能障害を発症しなかった対象から得られた試料を含み得る。さらに、対照はまた、標準的なリファレンス値または値の範囲、すなわち、試料中で安定発現であるmiRNA、たとえば内因性対照U6 snRNAとすることができる。
参照レベルは、健常な対象、肝部分切除後にLDを発症しなかった対象、および/または外科的、薬理学的、食事療法、またはライフスタイルの介入後の対象の試料における相応するmiRNAの平均レベルとして決定され得る。別の方法として、試料のプールが使用されても、文献に開示のリファレンスが使用されてもよい。
miRNAレベルの差は、本明細書に記載の方法のいずれかによって決定され得る。
具体的には、試料の発現レベルまたは試料の発現レベルの比は、分類モデルを使用して、リファレンス発現レベルまたはリファレンス発現レベルの比と比較され得る。分類手法(または分類器)とは、肝部分切除後の肝機能障害のある患者とない患者のマイクロRNA発現レベルなどの、入力データセットから分類モデルを組み立てる体系的なアプローチである。例として、ロジスティック回帰モデル、サポートベクターマシンモデル、決定木モデル、ルールベースの分類器、ニューラルネットワークおよび単純ベイズ分類器が挙げられる。各技法は、学習アルゴリズムを用いて、入力データの属性セットとクラスラベルの間の関係にベストフィットするモデルを特定する。学習アルゴリズムによって作成されたモデルは、入力データに良好にフィットするとともにかつてないデータのクラスラベルを正確に予測する必要がある。したがって、学習アルゴリズムの主要目的は、良好な一般化機能を備えたモデル、すなわち、以前には未知であったデータのクラスラベルを正確に予測するモデル、を組み立てることである。
ロジスティック回帰モデルは、ロジスティックモデルのパラメータを推定することである。ロジスティックモデルとは、事象の確率の対数オッズが独立変数または予測変数の線形結合である、モデルである。これは、入力の観点から出力の確率をモデル化し、カットオフ値を選別することによっておよびカットオフよりも大きい確率を有するインプットを一クラスとして分類し、カットオフよりも低い確率を有するインプットをもう一方のクラスとして分類することによって、分類器を作成するのに使用され得る。
サポートベクターマシン(SVM)とは、分類および回帰分析に使用されるデータを分析する関連付け学習アルゴリズムを備える監修付き学習モデルである。それぞれが2つ以上のカテゴリのいずれか一方に属するとマークされた、一セットの訓練例を前提として、SVMトレーニングアルゴリズムは、新しい例を一方のカテゴリまたは他方のカテゴリに割り当てるモデルを組み立て、これを非確率的バイナリ線形分類器にする。サポートベクターマシンは、高次元または無限次元の空間に超平面または一セットの超平面を構築し、これは、分類、回帰、または外れ値の検出など他のタスクに使用され得る。直感的に、一般にマージンが大きいほど分類器の汎化誤差が低くなるので、任意のクラスの最も近い訓練データポイント(いわゆる関数マージン)までの最長の距離を有する超平面によって、良好な分離が達成される。
計算複雑性理論および通信複雑性理論では、決定木モデルとは、アルゴリズムまたは通信プロセスが基本的に決定木であるとみなされる、すなわち、一部の量の比較に基づく一連の分岐操作とみなされる、計算または通信のモデルであり、その比較は単位計算コストが割り当てられる。単一の比較の計算で許可される操作の複雑性と分岐の方法に応じて、決定木モデルのいくつかのバリアントが導入されてきた。決定木モデルは、ある特定のクラスの計算問題とアルゴリズムの計算複雑性の下限を確立する上で役立つ:最悪の計算複雑性の下限は、所定の計算問題に対して有り得るすべての入力の決定木のうちの最大の深さに比例する。決定木モデルによって表現された問題またはアルゴリズムの計算複雑性は、決定木の複雑性またはクエリの複雑性と呼ばれる。
さらなる実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、対象を監視するのに、特に肝再生の刺激に対する対象の反応を測定するのに有用である。
本明細書に記載の方法は、化学療法、免疫療法、門脈塞栓術、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)、または運動介入(「プレハビリテーション」)、門脈高血圧を軽減する食事療法または薬理学療法などのその他の療法選択肢といった療法および療法の処置成功を監視するのに使用され得る。
化学療法は、がん細胞を破壊する薬物による処置である。肝がんの全身化学療法として有効な薬物の例は、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、5-フルオロウラシル、およびシスプラチンである。しかし、これらの薬物でさえ腫瘍の少部分を縮小するだけで、反応は長くは続かないことが多い。薬物の組合せでも、ほとんどの研究では、全身化学療法は患者が長生きするのに役立たなかった。あるいは、化学療法は、肝動脈注入(HAI)と呼ばれるプロセスで肝臓に直接送達され得る。HAIは全身化学療法よりも腫瘍に対してより多くの化学療法を受けるが、副作用を増加しない。肝動脈注入を介して投与される化学療法の例として、フロクスウリジン(FUDR)、シスプラチン、マイトマイシンC、およびドキソルビシンが挙げられる。
門脈塞栓術(PVE)は、手術後に残ることになる肝臓セグメントのサイズを増大する、肝部分切除の前に使用される手法である。この療法は、予定残肝(FLR)のセグメントに門脈血を向け直し、その結果、肥大をもたらす。PVEは、FLRが本質的な機能を支えるには小さすぎるかサイズが限界であるかいずれかであり複雑な術後経過をともなう場合に必要である。適切に適用された場合、PVEは術後の罹患を低減し、根治的切除に適格な患者の数を増大することが示されてきた。術前の門脈塞栓術は、非担腫瘍肝臓に門脈の血液を向け直すことによってFLRの肥大を引き起こす安全な画像誘導手技である。
段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)は、伝統的に切除不可能な肝腫瘍のサルベージ療法として近年進展してきた。ALPPS手技は、Schnitzbauer et al.(27)によって最初に記載されたが、好ましくは、肝臓の患部の完全な先行切除を可能にするのに十分な残肝を持たない境界性の手術可能な患者において、迅速な肝再生を可能にするのに開発されてきた。具体的には、この手技は予定残肝(FLR)が不十分な状態の右肝葉腫瘍の患者に機会を与えた。本手技は2段階で実施される。具体的には、第1の段階で、担腫瘍肝に流れ込む門脈枝を選択的に結紮し、いっぽう、動脈ならびに胆汁系の構造が保持され、手術のこの最初の段階過程で肝実質がさらに切離される。成功した場合、この手技は数日以内に肝再生と肝成長につながる。具体的には、肝臓が十分に再生したら、結紮した残肝葉を切除するために第2の外科的手技が実施される。この手技の主たる欠点は、高い罹患と死亡率であり、肝機能障害のリスクが切除の第2段階を実施するのに十分低いときを判定するための確実な予測マーカーが緊急に必要とされる。
具体的には、本明細書に記載の用意される試料は、本明細書に記載のmiRNAシグネチャを使用するin vitroの方法を用いて、「治療成功」または「治療成功なし」に分類され得る。これによって、たとえば、ALPPS、PVEまたは化学療法などの方法の後の肝再生の成功は、肝部分切除の前に判定され得る。具体的には、肝部分切除の後の肝機能障害を発症することに関してリスクが低い時点が判定され得る。
門脈圧亢進とは、門脈系と呼ばれる静脈系内の血圧の上昇である。胃、腸、脾臓、および膵臓から来る静脈は門脈に併合し、次いで、門脈はより小さな血管に分岐し肝臓を通り抜ける。肝損傷に起因して肝臓の血管がブロックされると、血液は肝臓に適切に流れることができない。結果として、門脈系に高圧が発生する。門脈高血圧を軽減する治療の選択肢として、内視鏡的静脈瘤結紮(EVL)、プロプラノロールやナドロールなどの非選択的βブロッカー(NSBB)の使用が挙げられ、これらは、門脈血流の減少により門脈圧を低下させる。それらの作用メカニズムは、β-1受容体を介して心拍出量を低下させること、β-2受容体をブロックすることによる内臓血管収縮を引き起こすこと、その結果、拮抗されていない状態での(unopposed)α-1活性がもたらされること、を含む。後者は最も重要な効果であり、したがって、(選択的βブロッカーとは対照的に)NSBBが使用されることが不可欠である(KhurramおよびGuadalupe、World J Gastroenterol.2012 Mar 21;18(11):1166~1175)。
一般に、肝再生は、全体的な適合度を改善する運動の増加(「プレハビリテーション」)ならびにタンパク質、ナトリウムおよびアルコールの摂取量を減らす食事の変化などのライフスタイルの変化によっても刺激され得る。
本明細書でさらに提供されるのは、パーツのキットであって、
a)対象の試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される、少なくとも1種のマイクロRNAの発現レベルを検出することができる検出試薬と、
b)リファレンス発現レベルと、
c)a)の発現レベルをb)の発現レベルと比較するための、および対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するための分類モデルを含むソフトウェアであって、それぞれのクラスは肝部分切除後の肝機能障害に関する「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つである、ソフトウェアと、
を含む、パーツのキットである。
具体的には、本明細書で提供のパーツのキットは、RNA抽出、cDNA合成および特定のマイクロRNA標的配列、特に少なくともmiR-151a、miR-192またはmiR-122の蛍光ベースの増幅用の試薬を含むqRT-PCRキットとすることができる。蛍光レポータープローブは、プローブに相補的な配列を含有するDNAのみを検出する;したがって、レポータープローブの使用は、特異性を著しく向上させ、他のdsDNAの存在下でも技法を実施することを可能にする。色別のラベルを使用すると、蛍光プローブは、同じチューブ内のいくつかの標的配列を監視するためのマルチプレックスアッセイで使用され得る。これらの蛍光レポーター分子として、Molecular Beacons、FRET Hybridization Probes、Scorpion Primers(登録商標)またはTaqMan(登録商標)Probesなどの検出試薬としての配列特異的プローブが挙げられる。Aryaら(Expert Rev Mol Diagn.2005 Mar;5(2):209~19)およびNavarroら(Clin Chim Acta.2015 Jan 15;439:231~50)におけるなどの、qRT-PCRを使用してmiRNAを検出する種々の方法が当業者に知られる。
具体的には、本明細書で提供のパーツのキットは、特定のマイクロRNA配列用の捕捉プローブ、マイクロRNA標識およびハイブリダイゼーション用の化学物質、ならびにハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーおよび特異性を高める洗浄バッファを備える高密度または低密度のアレイを含むマイクロアレイキットとすることができる。マイクロRNA標識は、たとえばLucigen製のBiotin-16-UTPなどのビオチンプローブを使用して実現され得る。
具体的には、本明細書で提供のパーツのキットは、次世代シーケンシングに適したシーケンシングライブラリーを取得する、マイクロRNAへの5’および3’アダプターライゲーション、逆転写およびPCR増幅に必要な試薬を含む次世代シーケンシングキットとすることができる。
本発明は、以下の項目をさらに含む:
1.特に肝部分切除後の、肝機能障害に関する対象のリスクを判定するin vitroの方法であって:
a)前記対象から試料を用意するステップと、
b)前記試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAの発現レベルを決定するステップと、
i.b)の発現レベルを少なくとも1つのリファレンス発現レベルと比較するステップ、または
ii.b)で決定された発現レベルに基づいてmiR-151aとmiR-192の比および/またはmiR-122とmiR-151aの比を特定するステップおよび前記発現レベルの比をリファレンス発現レベルの比と比較するステップと、
c)ステップi)またはステップii)の結果から試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するステップであって、それぞれのクラスは「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つである、分類するステップと、
を含む、in vitroの方法。
2.miR-151a、miR-192およびmiR-122の発現レベルが決定される、項目1に記載のin vitroの方法。
3.「リスクなし」および「中リスク」のカテゴリのさらなるクラスを含む、項目1または2に記載のin vitroの方法。
4.リファレンス発現レベルは、健常な対象もしくは術後肝機能障害のない対象またはそれらの群の、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される、少なくとも1種のmiRNAの発現レベルである、項目1から3のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
5.リファレンス発現レベルの比は、健常な対象もしくは術後肝機能障害のない対象またはそれらの群の、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比である、項目1から3のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
6.「低リスク」として分類される対象は肝部分切除を受け、「中リスク」として分類される対象は肝部分切除の前に肝再生の刺激を受け、「高リスク」として分類される対象は肝部分切除を受けない、項目1から5のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
7.「中リスク」として分類される対象は、肝部分切除の前に処置を受け、この処置は、ネオアジュバント化学療法、門脈塞栓術、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)、運動介入(「プレハビリテーション」)または門脈高血圧を軽減する薬理学的療法、からなる群から選択される、項目6に記載のin vitroの方法。
8.「高リスク」として分類される対象は、肝移植、緩和的化学療法、ラジオ波焼灼療法、または肝動脈化学塞栓療法(TACE)を受ける、項目6に記載のin vitroの方法。
9.対象の肝再生刺激の再生の成功を監視するin vitroの方法であって、
a)前記対象から試料を用意するステップと、
b)前記試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップと、
c)リファレンス試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップであって、リファレンス試料は対象の早期の試料である、決定するステップと、
d)b)の発現レベルの比をc)の発現レベルの比と比較するステップと、
e)ステップd)の比較の結果から、前記対象の試料を「再生の成功」または「再生の成功なし」の2つのカテゴリのうちの1つに分類するステップと、
を含む、in vitroの方法。
10.肝再生刺激は、門脈塞栓術による肝肥大の誘導、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)による肝肥大の誘導、全体的な適合度を改善する運動介入(「プレハビリテーション」)、および門脈高血圧を軽減する薬理学的療法からなる群から選択される、項目9に記載のin vitroの方法。
11.対象は、肝臓の悪性病変、好ましくは転移性結腸直腸がん、肝細胞癌もしくは胆管細胞癌を罹患する、または良性肝腫瘍、肝嚢胞および/もしくは肝寄生虫を罹患する、項目1から10のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
12.試料は、血液、血清、血漿、特に乏血小板血漿、リンパ液、尿、唾液および生検プローブからなる群から選択される、項目1から11のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
13.試料の発現レベルまたは発現レベルの比は、分類モデルを使用して、リファレンスの発現レベルまたは発現レベルの比と比較される、項目1から12のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
14.分類モデルは、リファレンスとの比較の結果から対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類する、項目1から13のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
15.分類モデルは、ロジスティック回帰モデル、サポートベクターマシンモデルおよび決定木モデルからなる群から選択される、項目13または14に記載のin vitroの方法。
16.発現レベルは、シーケンシングベースの方法、特に次世代シーケンシング、アレイベースの方法およびPCRベースの方法、特に定量的PCRベースの方法からなる群から選択される方法を使用して決定される、項目1から15のいずれか1つに記載のin vitroの方法。
17.
a)対象の試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される、少なくとも1種のマイクロRNAの発現レベルを検出することができる検出試薬と、
b)リファレンス発現レベルと、
c)a)の発現レベルをb)の発現レベルと比較するための、および対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するための分類モデルを含むソフトウェアであって、それぞれのクラスは、特に肝部分切除後の、肝機能障害に関する「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つである、ソフトウェアと、
を含む、パーツのキット。
本明細書に記載の実施例は、本発明の例示であり、本発明で限定であることを意図するものではない。本発明の様々な実施形態を本発明にしたがって説明してきた。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載および例示の技法に対して多くの修正および変形を行うことができる。したがって、実施例は例示にすぎず、本発明の範囲に関する限定ではないことを理解されたい。
偏りのない体系的なアプローチとして次世代シーケンシングを使用して、肝切除後の術後LDを罹患する21人の患者と27人のマッチ化対照の術前血漿において554種のmiRNAを検出した。続いて、肝切除後に術後LDを発症する患者と高度に相関した、miRNAのシグネチャ(miRNA 151a-5p、192-5p、122-5pを含む)を検出した。その後、術後LDの予測可能性を、24人の患者の独立検証コホートにおいてリアルタイムPCRを使用して確認した。最終的に、151a-5pと192-5pおよび122-5pと151a-5pの2つのmiRNA比の回帰モデルは、術後LD、重度の罹患、集中治療室での長期在室ならびに入院、さらには手術前の死亡を、格段の精度で、確実に予測し、その結果、術後LDに関する既成のマーカーより性能が優れていた。
肝切除後の潜在的に致命的な術後臨床転帰を予測することの臨床的妥当性を考慮すると、このデータが実証するところは、部分肝切除を受ける患者の選別をサポートする新規miRNAベースのバイオマーカーの臨床的有用性である。これらのバイオマーカーは、個々の患者の特定のリスクプロファイルに処置および外科的戦略を適合させることを可能にする。
材料および方法
研究集団
最初に、Medical University of Viennaにて肝切除を受ける患者の発見コホートを、2012年2月から募集した。肝細胞癌(HCC)、胆管細胞癌(CCC)または転移性結腸直腸癌(mCRC)のいずれかの患者が組み入れに適格とされた。その後、術後LDおよび臨床転帰に対するmiRNAの有意な予測可能性を観察したので、肝切除を受ける患者の前向きセットにおいて本発明者らの探査的結果を検証した。
ベースライン特性、外科的切除の程度(<3セグメント=マイナー、≧3セグメント=メジャー、IHPBA Brisbane 2000の専門語(13)による)、術中の個別性、ならびに肝機能と損傷の術前変数を、すべての患者において前向きで記録した。
本研究は、機関倫理委員会によっておよびヘルシンキ宣言にしたがって承認され、すべての患者によって書面によるインフォームドコンセントが与えられたものである。加えて、治験は臨床試験登録(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01700231およびNCT02113059)に登録されたものである。
術後合併症の定義および分類
患者について、Medical University of Viennaにて90日の術後期間経過観察した。術後転帰について前向きに文書記録した。術後LDは、International Study Group of Liver Surgery(ISGLS)によって発行された基準にしたがって診断した(14)。要約すると、LDは、術後日(POD)5以降の血清ビリルビンとプロトロンビン時間の両方の異常値によって定義した。注目すべきことに、異常な術前血清ビリルビンまたはプロトロンビン時間の場合、POD 5のその後の2日での術後逸脱および悪化を術後LDと特定した。さらに、POD 5の前に正常な血清ビリルビンまたはプロトロンビン時間値に達する患者、または良好な臨床成績のために早期退院し、したがってさらなる採血がなかった患者を、「LDなし」とみなした。
術後罹患のある患者の分類の場合、Dindoら(15)によって与えられた概要を適用した。したがって、術後合併症の程度について記録し、IからVに等級分けした。多発的合併症の場合、最も深刻な合併症を分類に使用した。加えて、術後の入院の長さと集中治療室(ICU)での在室の長さを記録した。最終的に、手術後90日以内の死は、術後死亡として分類した(16)。
術前肝機能の評価
肝機能を、インドシアニングリーン(ICG)クリアランスを使用して肝切除の前にルーチン的に評価した(17)。ICG試薬25mgを等張液20mlに溶解し、用量0.25mg/kg体重を患者に静脈内投与した。循環中の着色試薬の濃度をパルス分光分析を使用して評価した。最終的に、最初の1分以内に除去されたICG試薬の量(=血漿消失率(PDR))、ならびに15分後に循環で検出された試薬の残量(R15)、を本患者コホートにおいて測定した。
循環miRNAの測定
手術の前に、血漿の注意深い調製について先に記載の通りに実施した(18、19)。要約すると、予冷CTADチューブに採血を行い、血液を30分以内に処理した。1000gおよび4℃で10分間の遠心分離、これに続いて10000gおよび4℃での10分間のさらなる遠心分離段階により、血漿を固形血液成分から分離した。最終的に、血漿はさらなる分析まで-80℃で保存した。
RNA抽出
miRNeasy Mini Kit(Qiagen、ドイツ)を適用して、血漿から、small RNAを含めて総RNAを分離した。凍結血漿試料を室温で解凍し、12000gで5分間遠心分離して、無細胞成分から潜在的なデブリを分離した。3つの合成スパイクインコントロール(Exiqon、デンマーク)の混合物を含有するQiazol 1mlとボルテックスすることにより、血漿200μlを混合した。室温で10分間インキュベートした後に、クロロホルム200μlを加え、ボルテックスにより激しく混合した。12000gで4℃で15分間、遠心分離した後、水相650μlを吸引した。グリコーゲン(Ambion、米国)を最終濃度50μg/mlまで添加した。次いで、試料をシリカカラムに移し、製造業者のプロトコルにしたがってQIAcube液体処理ロボットを使用してさらに処理した。RNAをエタノール750μlで沈殿させ、RPEバッファで3回洗浄し、これに続いて、ヌクレアーゼフリー水30μlでRNAを溶出し、-80℃で保存した。
small RNAシーケンシング
製造業者の推奨にしたがって、CleanTag SmallRNAライブラリー調製キット(TriLink、米国)を使用してsmall RNAシーケンシングライブラリーを作製した。28℃で1時間、これに続いて65℃にて20分間、3’および5’アダプターの連続ライゲーションに総RNA2μlを使用した。アダプターを1:12で予備希釈して、RNAの存在量が少ないことを考慮した。逆転写を50℃で1時間実施した。PCR増幅を、small RNAシーケンシング用のバーコード付きIlluminaプライマーを使用して実施した:熱変性(98℃、10秒)、アニーリング(60℃、30秒)、および鎖伸長(72℃、15秒)、26サイクルを使用した。PCR産物をQiaQuickプロトコル(Qiagen、ドイツ)を使用して精製し、DNA 1000 Chip(Agilent Technologies, Inc.、米国)を使用してキャピラリー電気泳動でサイズチェックを行った。等モル量のDNAをプールするための基準として、およそ145bpのピーク濃度を使用した。プールをゲル精製して、18~50bpの間をテンプレートインサート用に選択した。シーケンシングは、Illumina NextSeq 500、50サイクルのシングルエンドリード(Illumina, Inc.、米国)で実施した。fastq形式のシーケンシングリードを、アダプタートリミングし、品質チェックした(fastQCファイルの作成)。Bowtie2を使用したヒト成熟miRNA(miRBase v21)に対するアラインメントについては、クオリティーフィルタリングリード(phred>30)を使用した。マッピングされたリードを、ゲノムアラインメント(Bowtie2、GRCh37)によってクロスチェックした。成熟miRNAリードをカウントし(isomiRシーケンスを要約した)、マッピングされたリードの総数に対してカウント毎100万(CPM)として基準化した。CPM値を統計分析に使用した(下を参照されたい)。
qPCR分析
qPCR分析を先に記載の通りに実施した(20)。要約すると、Universal cDNA Synthesis Kit II(Exiqon、デンマーク)を使用して、総RNA2μlをcDNAに逆転写した。Exilent SYBR(登録商標)Green Master MixとLNA修飾プライマーペア(Exiqon、デンマーク)を使用して、qPCR増幅用にcDNAを1:50で予備希釈した。LC480-II(Roche Diagnostics、ドイツ)上で96ウェルまたは384ウェルフォーマット中でqPCR増幅を行った。二次導関数法を使用してCq値を決定した。合成スパイクインコントロール(Exiqon、デンマーク)の組合せを使用して、RNA抽出、cDNA合成およびqPCR増幅の堅牢性を評価した。miR-23a-3pとmiR-451aの比を使用して溶血を評価した(21)。注目すべきことに、溶血または高い分析上の分散性に起因して失敗した試料はなかった。
統計分析
カテゴリ変数について発見コホートと検証コホートの間の患者特性の差をカイ2乗検定によって、連続変数についてそれらの差をウィルコクソンの順位和検定によって、検定した。
RパッケージedgeRを使用して、LDのある患者群対LDのない患者群の間で差次的に発現するマイクロRNA(log2倍率変化)の基準化および計算を実施した。尤度比検定によって有意差を判定した。Benjamini-Hochberg法にしたがって、誤検出率に基づいて多重検定用にP値を調整した。平均存在量log2カウント毎100万(logCPM)>5、倍率変化>1.3および生のp<0.2を持つマイクロRNAを、可能性のあるバイオマーカー候補とみなした。qPCR分析については、マイクロRNAを対で自己基準化した:マイクロRNAのペア(miR1、miR2)について、発現値のlog比、log(miR1/miR2)を、これらのCq値の差によって計算した(ΔCq=CqmiR2-CqmiR1)。NGS分析(log2倍率変化)からのマイクロRNAペアの結果をqPCR分析(ΔCq)からの結果と比較するために、線形回帰分析を実施した。それぞれの係数について両側ワルド検定によって線形連関を検定し、決定係数(R)を計算した。対照群とLD群の間のΔCq値の分布と差を、箱ひげ図によって示し、両側ウィルコクソン順位和検定を使用して検定した。
ランダムフォレスト分析を実施して(標準設定および10,001ツリー生育によるRパッケージrandomForest)、LDのある患者対LDない患者の分類において最も重要な変数(マイクロRNAペア)を特定した。分類については、2組の最も有益なマイクロRNAペアのそれぞれを、単変量および多変量のロジスティック回帰モデルに含めた。一個抜き交差検証(LOOCV)戦略を適用し、これを、受信者操作特性(ROC)分析によって評価した(RパッケージROCR)。ROC曲線下面積(AUC)を決定し、無作為割当(AUC=0.5)からの有意な逸脱を検定した。これらのロジスティック回帰分類モデルの性能を、ROC分析を使用して独立検証コホートにおいて評価した。最適な(臨床的に適切な)分類カットオフを特定するために、異なるカットオフについて、分割表(TP、FP;FN、TN)および関連パラメータ(感度(SN)、特異度(SP)、陽性適中率(PPV)、陰性適中率(NPV)、精度(ACC)、F1スコア(F1)およびマシューズ相関係数(MCC)を含めて)を、発見コホートで学習した2組のマイクロRNAペアを含めて多変量ロジスティック回帰モデルに基づいて計算した。1)最大MCCおよび2)PPV=1(偽陽性FP=0)と最大MCCによって2つのカットオフを選択した。選択したモデルとこれらの基準を適用すると、発見セット、検証セット、および組合せセットについて同じカットオフがもたらされた。分類能を他の臨床パラメータと比較するために、組合せセットを使用した。ROC分析とAUCを使用して、この2組のマイクロRNAペアモデルの性能を他の肝機能パラメータと比較した。それぞれの2つのカットオフについて、予測対照と予測肝機能障害の間での、重度の罹患および死亡をともなう肝機能障害のある患者の部分の差を、両側フィッシャーの直接確率検定によって検定し、オッズ比(OR)を決定した。
分析は、SPSS(バージョン23.0)およびR(バージョン3.4.1)を使用して実施した;p値<0.05を有意であるとした。
実施例1
発見コホートにおける術後肝機能障害の予測miRNAパネルの確立
2012年2月~2016年4月の間に肝切除を受けたmCRC、HCC、またはCCCのいずれかの合計48人の患者を本発明者らの発見コホートに含めた。代表コホートを得るために、術後LDを罹患する21人の患者を、基本的特性、肝機能、および肝切除の程度に基づいて術後LDのない27人の患者にマッチ化させた。続いて、さらなる24人の患者を、前向きの、臨床的に適切な検証コホートとして利用した。患者特性を表2に示し、発見コホートと検証コホートの間で比較した。注目すべきことに、発見コホートの選別を考慮すると、発見コホートでは大量肝切除を受ける患者の数が有意に高かったが、この数は、ICGクリアランス値およびガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ値の有意な悪化と並行していた。
Figure 0007045527000002
Figure 0007045527000003
術後肝機能障害にともなうmiRNAの初期の特定については、次世代シーケンシングを使用して偏りのない体系的なアプローチを目標とした。したがって、手術前の発見コホート内のすべての患者の血漿中のmiRNAプロファイルを分析して、LDを発症する患者と肝回復の遅延がない患者との間でmiRNAプロファイルが異なるかどうかを判定した。分析したすべての血漿試料にわたって合計554種のmiRNAが検出された。可能性のあるバイオマーカー候補を特定するために、血漿存在量(平均log2カウント毎100万(logCPM)>5)、効果量(倍率変化>1.3)および有意水準(p<0.2)に対してカットオフを意味付けた。図1に示すように、一セットの19種のmiRNAが分析に残ったが、LD患者の術前血漿において、そのうち12種は上方制御であり(右側)、7種は下方制御であった(左側)。
続いて、次世代シーケンシングとqPCRベースのmiRNA検出の間の分析の変動について分析し、自己基準化miRNAペアを形成する2つのmiRNA間の相対的な対数差を計算し、その結果、リファレンスmiRNAの必要性を回避した。この分析については、上位のmiRNAのうち6種、したがって15組のmiRNAペアを考慮した。データセット間の高い一致(次世代シーケンシング対qPCRベースのmiRNA)を観察した。ネガティブな術後転帰の優れた予測能を得るためのmiRNAペアの重要性について、ランダムフォレストモデリングを使用して分析した(図2A)。LDを発症する個体と対照の間で術前に有意差がある、トップランクの2組のmiRNAペア(151a-5p/192-5p、122-5p/151a-5p)を特定した(図2B、C)。性能は曲線下面積(AUC)によって説明され、分類が無作為割当(AUC=0.5)から有意に逸脱するかどうかはp値によって示される。ROC分析によって測定した多変量モデルの診断能によって、miRNAペア122-5p_151a-5p(図2D)については0.66、miRNAペア151a-5p_192-5p(図2E)については0.75、両方のmiRNAペアの組合せを使用したロジスティック回帰モデル(図2F)については0.76のAUCが推定された。
次に、術後LDを予測する臨床的に有用な2つのカットオフを定義した。したがって、極めて低いリスクをもって肝切除を受けることができる患者を特定するために低ストリンジェンシーのカットオフを定義し(カットオフP>0.59)、さらには手術前に最適化する必要がある患者または肝切除を受けるべきではない患者を特定するためにストリンジェントなカットオフ(カットオフP>0.68)を定義した。予測対照と予測LDでの真の術後LDの百分率について、モデルで定義したカットオフP>0.59とP>0.68の両方について分析した。両方とも、術後LDの有意な上昇に関連付けられることがわかった(p=0.00045、図2Gおよびp=0.00054、図2H)。具体的には、確率スコア0.68超の患者の100%が、肝部分切除後に肝機能障害を発症した。いっぽう、確率スコア0.59超の患者の80%のみが肝機能障害を発症し、確率スコア0.59未満の対象の約80%は肝機能障害を発症しなかった。これらの結果が示すところは、確率スコアP>0.68は肝機能障害を発症することに関して「高リスク」として患者を分類するのに良好なカットオフであり、確率スコアP>0.59は肝機能障害を発症することに関して「中リスク」として患者を分類するのに良好なカットオフである、ことである。
実施例2
独立検証コホートにおいて発見されたmiRNA比の検証
特定されたmiRNA比の臨床的有用性を確認するために、2組のmiRNAペアの予測能について、術後LDのない19人と術後LDのある5人の24人の患者からなる独立した前向き検証コホートにおいて検証したが、手術後LD30%の自然発病率を示した。miRNAペア122-5p/151a-5pについて図3AにおよびmiRNAペア151a-5p/192-5pについて図3Bに示したように、対照と比較してLD患者では、すでにこの小さな試料サイズ内で、差次的に調節されたmiRNAへと向かう強い傾向が存在した。ROC分析によって測定した多変量モデルの診断能は、2組のmiRNAペアに対して優れたAUC0.80を示した(図3C)。さらに、2つのカットオフが、それぞれ、p=0.018でカットオフP>0.59(図3D)に対しておよびp=0.036でカットオフP>0.68(図3E)に対して、術後LDを予測できることを検証した。
実施例3
術後LDについて発見したmiRNA比との他の予測因子との比較
次に、miRNAに基づく予測モデルの性能を組合せデータセット(N=72)において評価した。したがって、2つのカットオフの診断能を、感度(SN)、特異度(SP)、陽性適中率(PPV)、陰性適中率(NPV)、およびオッズ比(OR)を使用して例示した。低ストリンジェンシーのカットオフ(>0.59)はバランスの取れたPPV値およびNPV値(それぞれ0.80および0.81)をもたらしたが、いっぽう、ストリンジェントなカットオフ(>0.68)は、許容されるNPV 0.74とともに、PPV 1.0という結果であり(図4A)、このことは、検査で陽性であったすべての患者が術後LDを罹患したが、いっぽう、検査で陰性であった患者の74%は術後LDに罹患しなかったことを示す。逆に、検査で陰性であった患者の26%は実際に術後LDを罹患した。有害事象のORはそれぞれ15.92(p<0.0001)および無限大(p<0.0001)であった。マイクロRNAモデルについて受信者操作特性(ROC)曲線分析を実施して、その性能を標準的な肝機能パラメータの性能と比較した。miRNAモデルについてROC曲線分析を実施し、標準的な肝機能パラメータのROC曲線と比較した(図4B)。miRNAモデルについてAUC0.76を観察したが、これは、ICGの血漿消失率および停滞率ならびにアラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)など標準血液パラメータを含めて、他のパラメータのAUCを上回った。最後に、他の有害な術後転帰のORについて、両方のカットオフモデルについて分析した。重度罹患のORは、両方のカットオフについて有意に達した(図4C)。死亡のORは低ストリンジェンシーのカットオフについて有意であることが見いだされたが、いっぽう、高ストリンジェンシーのカットオフは、同じ傾向を示したが、有意ではなかった(図4D)。さらに、本発明者らのカットオフを満たした患者は、ICUに有意により長く滞在し、長期間入院したままであることがわかった(図4E、F)。
偏りのない体系的なアプローチとして、次世代シーケンシングを使用して、肝切除前の患者の血漿中に554種のmiRNAを検出した。これらのうち、肝切除後に術後LDを発症した、手術前の患者を特異的に検出したシグネチャ(3種のmiRNA 151a-5p、192-5p、および122-5pからなる)を特定した。具体的には、151a-5pと192-5pおよび122-5pと151a-5pである2つのmiRNA比の回帰モデルは、格段の精度およびリファレンスmiRNAの必要性なしで手術前に、術後LD、重度の罹患、ICUの長期化ならびに入院およびさらには死亡を確実に予測することがわかった。肝切除後の潜在的に致命的な術後臨床転帰を予測することに関する臨床的妥当性を考慮すると、本明細書で提示のデータが実証するところは、第一回目に部分肝切除を受ける患者の選別をサポートするmiRNAベースのバイオマーカーの臨床的有用性である。
具体的には、肝疾患の初期段階では、肝機能の臨床評価と定量化は依然として難しい課題である。しかし、拡大肝切除などのある特定のストレッサーが作用する場合は、わずかに低下した肝機能でさえも大きな関与となるおそれがある。いくつかの侵襲的および非侵襲的検査が開発されてきたが、ルーチンの臨床応用へたどりついたのはごくわずかであった。利用可能な予測因子の主たる欠点は、利用可能性、高コスト、および侵襲性である(22)。肝静脈圧勾配(HVPG)は、HCC患者の術後臨床転帰を予測するのに価値があることを示してきたが(23~25)、その侵襲性に起因して高リスク患者にとっては依然として留保されたままである。肝機能を評価するその他のより低侵襲性かつ定着したマーカーは、肝臓の動的機能評価に依拠する。これに関連して、複数のグループが、ICGクリアランスが術後LDと罹患を予測するのに不可欠であること、を文書で記録した(26)。本明細書に提示のデータが示すところは、本明細書に記載のmiRNAシグネチャが診断精度の点ではるかにICGより性能が優れることである。重要なことに、ICGクリアランス検査および他のほとんどの肝機能評価は、miRNAシグネチャの評価と比較した場合、かなり費用および時間を要する。加えて、こういった患者における精密医療のツールとしての血漿の利点は、単純で最小限の侵襲で入手しやすい方法を可能にする。
まとめると、miRNAシグネチャを特定したが、これらは肝切除後の臨床転帰を格段の精度で予測し、その結果、術後LDの既成のマーカーより性能が優れる。
これら新規のマーカーは、手術から利益を受けることがない、または潜在的に致命的な合併症を罹患さえするおそれがある、患者を特定するのに改善された戦略を提供する。その結果、新規のマーカーは、簡便で費用効果が高く、非侵襲的な様式で、個々の患者の特定のリスクプロファイルに外科的戦略を適合させることを可能にする。このことは、肝腫瘍の患者に肝臓切除を個別化し、それによって治療効果、患者の生活の質を向上させ、医療費を劇的に削減する、道を開く可能性がある。
実施例4
手術の時点の選別をガイドするための、肝切除後の肝機能回復の動的監視
肝切除後の術後転帰に関するmiRNA比の予測可能性を検証した後、手術後のmiRNAペアの動的変化を決定して、肝機能との動的変化の関連を評価した。したがって、3つの患者群のマッチ化コホートを研究に含めた:1:術後肝機能障害がない通常の肝切除の患者(N=7);2:術後肝機能障害がある通常の肝切除の患者(N=8);3:増大術後肝再生とともにALPPS手技を受ける患者(N=8、図5Aおよび以下の説明の手技に関する詳細を参照されたい)。患者群の詳細を下の表3に提供する。
実施例1に記載の通りにmiRNAペアを評価し、miRNAシグネチャを術前ならびに術後1日目および5日目、それぞれPOD1およびPOD5、に決定した。すべての患者では、miRNAペアならびに組合せ肝機能障害確率(p)は肝切除後に同等のレベルまでに有意に変化したが(図5B)、それらのほとんどが通常の肝機能の回復と並行して術後5日目までに回復した、ことを観察した。
miRNAペアの動的変化に加えて、ALPPS手技の第2の段階の最適な時点を判定することは、手術後にそれらの絶対値を使用できるかどうかを判定することであった。ALPPS手技は、Schnitzbauer et al.(27)によって最初に記載されたが完全な先行切除を可能にするのに十分な残肝を持たない境界性の手術可能な患者において、迅速な肝再生を可能にするために開発されてきた。本手技の段階を図5Aに例示する。要約すると、ALPPS手技の段階1過程で、担腫瘍肝臓に流れ込む門脈枝を選択的に結紮し、いっぽう、動脈ならびに胆汁系の構造が保持され、手術のこの最初の段階過程で肝実質がさらに切離される。次いで、この手技は、数日内に大量に増大した肝再生にいたる。肝再生のこの実質的な獲得後、結紮した残肝葉を切除するために、第2の外科的手技を実施しなければならない(図5A、段階2に例示のように)。この手技の主たる欠点は、罹患と死亡率が高いことであり、再生が切除の第2段階を実施するほどに十分である場合を判定することは大きな議論の最中にある。したがって、miRNA比の動的変化についてALPPS手技を受ける8人の患者において分析し、この変化は段階1の過程および段階1の後で通常の肝切除におけるのと同様の挙動を示したが(上を参照されたい)、一方で、手術の第2の段階(結紮/萎縮葉の除去)の過程で、miRNAペアは、手術直後はほとんど未変化のままであった(段階2、PreとPOD1の間の差は有意ではない、図5C)、ことを観察した。
最終的に、図5の(D)に、術後LDと萎縮葉の除去後の死亡にしたがって層別化した、ALLPSの第2の段階に先立つ組合せmiRNAペアの予測可能性を例示する。注目すべきことに、ALPPS手技の段階2の後に術後LDを発症したすべての患者は、残りの患者と比較して、miRNAシグネチャの明瞭な変化および、結果として得られる肝機能障害の組合せ確率を示した(P=0.054、図5D)。さらに重要なことに、手技の段階2の後に死亡した2人の患者は、第2の手術の前に2人とも最高のmiRNA比を示した(図5D)。
要約すると、群(LD無し、LD、ALPPS)間のmiRNAペアの周術期の時間経過では小さな差のみが観察された。したがって、手術による外傷に対する急性反応として(術後1日目)、miRNAペアは、そのさらなる臨床展開に関係なく、すべての患者においてかなり均一に悪化するように思える。しかし、肝機能が手術後に回復するにつれて、miRNAペアは、肝機能障害に関して高リスクにある患者を除いて、術後5日目まで密接にフォローし正常化するようである。これに関連して、ALPPSモデルのデータは特に関心がある。肝臓組織の最も重大な破壊が生じる第1の手術過程と同じように、miRNAペアは深刻に悪化した。しかし、萎縮性肝葉が切除される場合(図5A)、手技の段階2の過程で、ほとんど差はなかった。これが示唆するところは、ALPPSの段階1の過程での肝機能の最初の著しい低下は、miRNAペアに反映されるが、いっぽう、段階2の過程では、限定された機能のみを備える葉の萎縮が切除される場合、マイナーな変化しか起こらないこと、である。
注目すべきことに、ALPPSモデルはまた、本明細書で使用されて、本研究のおそらく最も興味深く、臨床的に重要なデータも生み出した。具体的には、miRNAペアの術後レベルによって肝臓手術の最適な時点を定義できるかどうかが評価された。miRNAペアに関してALPPSの第1の段階の後で良好に回復しなかった患者は、miRNAペアがベースラインレベルに戻らなかったことを意味するが、実際、ALPPSの第2の段階の後で極めて不十分に回復した患者であることが、観察された。実際、第2の段階の後に肝機能障害を罹患した3人の患者は、最も高いmiRNAペア値を有し、さらに重要なことに、「過小グラフト症候群(too small for size syndrome)」に起因してその後死亡した2人の患者は、本発明者らのALPPSコホートのうちの最も高い2つの値を有した。
これらのデータが示すところは、本明細書に記載の循環miRNAのシグネチャは肝切除の最適な時点を判定するのに役立つことができることである。このことはALPPSに限定されない。本明細書に記載のmiRNAシグネチャはまた、門脈塞栓術/結紮後に、または高リスク患者における広範な術前化学療法後の手術の最適な時点を判定するのにも、役に立つことができる。
Figure 0007045527000004
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]特に肝部分切除後の、肝機能障害に関する対象のリスクを判定するin vitroの方法であって:
a)前記対象から試料を用意するステップと、
b)前記試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAの発現レベルを決定し、
i.b)の発現レベルを少なくとも1つのリファレンス発現レベルと比較するステップ、または
ii.b)で決定された発現レベルに基づいてmiR-151aとmiR-192との比および/またはmiR-122とmiR-151aとの比を特定し、前記発現レベルの比をリファレンス発現レベルの比と比較するステップと、
c)ステップi)またはステップii)の結果から試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するステップであって、それぞれのクラスは「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つである、前記分類するステップと、
を含む、上記方法。
[態様2]miR-151a、miR-192およびmiR-122の発現レベルが決定される、態様1に記載のin vitroの方法。
[態様3]「リスクなし」および「中リスク」のカテゴリのさらなるクラスを含む、態様1または2に記載のin vitroの方法。
[態様4]リファレンス発現レベルは、健常な対象の、もしくは術後肝機能障害のない対象の、またはそれらの群の、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される、少なくとも1種のmiRNAの発現レベルである、態様1~3のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様5]リファレンス発現レベルの比は、健常な対象の、もしくは術後肝機能障害のない対象の、またはそれらの群の、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比である、態様1~3のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様6]「低リスク」として分類される対象は肝部分切除を受け、「中リスク」として分類される対象は肝部分切除の前に肝再生の刺激を受け、「高リスク」として分類される対象は肝部分切除を受けない、態様1~5のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様7]「中リスク」として分類される対象は、肝部分切除の前に処置を受け、該処置は、ネオアジュバント化学療法、門脈塞栓術、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)、運動介入(「プレハビリテーション」)または門脈高血圧を軽減する薬理学的療法、からなる群から選択される、態様6に記載のin vitroの方法。
[態様8]「高リスク」として分類される対象は、肝移植、緩和的化学療法、ラジオ波焼灼療法、または肝動脈化学塞栓療法(TACE)を受ける、態様6に記載のin vitroの方法。
[態様9]対象の肝再生刺激の再生の成功を監視するin vitroの方法であって、
a)前記対象から試料を用意するステップと、
b)前記試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップと、
c)リファレンス試料において、miR-151aとmiR-192の発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aの発現レベルの比を決定するステップであって、リファレンス試料は対象の早期の試料である、前記決定するステップと、
d)b)の発現レベルの比をc)の発現レベルの比と比較するステップと、
e)ステップd)の比較の結果から、前記対象の試料を「再生の成功」または「再生の成功なし」の2つのカテゴリのうちの1つに分類するステップと、
を含む、上記方法。
[態様10]肝再生刺激は、門脈塞栓術による肝肥大の誘導、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)による肝肥大の誘導、全体的な適合度を改善する運動介入(「プレハビリテーション」)、および門脈高血圧を軽減する薬理学的療法からなる群から選択される、態様9に記載のin vitroの方法。
[態様11]対象は、肝臓の悪性病変、好ましくは転移性結腸直腸がん、肝細胞癌もしくは胆管細胞癌を罹患する、または良性肝腫瘍、肝嚢胞および/もしくは肝寄生虫を罹患する、態様1~10のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様12]試料は、血液、血清、血漿、特に乏血小板血漿、リンパ液、尿、唾液および生検プローブからなる群から選択される、態様1~11のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様13]試料の発現レベルまたは発現レベルの比は、分類モデルを使用して、リファレンスの発現レベルまたは発現レベルの比と比較される、態様1~12のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様14]分類モデルは、リファレンスとの比較の結果から対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類する、態様1~13のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様15]分類モデルは、ロジスティック回帰モデル、サポートベクターマシンモデル、および決定木モデルからなる群から選択される、態様13または14のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様16]発現レベルは、シーケンシングベースの方法、特に次世代シーケンシング、アレイベースの方法およびPCRベースの方法、特に定量的PCRベースの方法からなる群から選択される方法を使用して決定される、態様1~15のいずれか1に記載のin vitroの方法。
[態様17]a)対象の試料において、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される、少なくとも1種のマイクロRNAの発現レベルを検出することができる検出試薬と、
b)リファレンス発現レベルと、
c)a)の発現レベルをb)の発現レベルと比較するための、および対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するための分類モデルを含むソフトウェアであって、それぞれのクラスは、特に肝部分切除後の、肝機能障害に関する「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つである、前記ソフトウェアと、
を含む、パーツのキット。
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Claims (17)

  1. 肝部分切除後の、肝機能障害に関する対象のリスクを判定するin vitroの方法であって
    前記対象から調製された血液試料において、miR-151a及びmiR-192の発現レベルを決定し、
    i.)で決定された発現レベルに基づいてmiR-151aとmiR-192との比を特定し、前記発現レベルの比をリファレンス発現レベルの比と比較するステップ、または
    ii.miR-151a及びmiR-192の発現レベルをリファレンス発現レベルと比較するステップと、
    )ステップi)またはステップii)の結果から試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類するステップであって、それぞれのクラスは「高リスク」および「低リスク」の少なくとも2つのカテゴリのうちの1つであり、確率スコア0.58未満(P<0.58)は対象を「低リスク」として分類し、確率スコア0.68超(P>0.68)は対象を「高リスク」として分類する、前記分類するステップと、
    を含む、上記方法。
  2. ステップ()においてmiR-122の発現レベルをさらに決定し、
    ステップ()(i)においてmiR-122とmiR-151aとの比をさらに特定する、又は、ステップ()(ii)においてmiR-151a、miR-192及びmiR-122の発現レベルをリファレンス発現レベルと比較する、
    請求項1に記載のin vitroの方法。
  3. ステップ()(i)においてmiR-151a、miR-192およびmiR-122の発現レベルが決定される、請求項2に記載のin vitroの方法。
  4. 「中リスク」のカテゴリのさらなるクラスを含み、確率スコア0.58超(P>0.58)且つ0.68未満(P<0.68)は対象を中リスクとして分類する、請求項1~3のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  5. リファレンス発現レベルは、健常な対象の、もしくは術後肝機能障害のない対象の、またはそれらの群の、miR-151a、miR-192およびmiR-122からなる群から選択される、少なくとも1種のmiRNAの発現レベルである、請求項1~4のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  6. リファレンス発現レベルの比は、健常な対象の、もしくは術後肝機能障害のない対象の、またはそれらの群の、miR-151aとmiR-192との発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aとの発現レベルの比である、請求項2~4のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  7. 肝部分切除後の、対象の肝再生刺激の再生の成功を監視するin vitroの方法であって
    前記対象から調製された血液試料において、miR-151aとmiR-192との発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aとの発現レベルの比を決定するステップと、
    )リファレンス試料において、miR-151aとmiR-192との発現レベルの比およびmiR-122とmiR-151aとの発現レベルの比を決定するステップであって、リファレンス試料は対象の早期の試料である、前記決定するステップと、
    )の発現レベルの比を)の発現レベルの比と比較するステップと、
    )ステップ)の比較の結果から、前記対象の試料を「再生の成功」または「再生の成功なし」の2つのカテゴリのうちの1つに分類するステップであって、確率スコア0.58未満(P<0.58)は対象を「再生の成功」として分類し、確率スコア0.68超(P>0.68)は対象を「再生の成功なし」として分類する、前記分類するステップと、
    を含む、上記方法。
  8. 肝再生刺激は、門脈塞栓術による肝肥大の誘導、段階的肝切除のための会合肝区画化と門脈結紮(ALPPS)による肝肥大の誘導、全体的な健康状態を改善する運動介入(「プレハビリテーション」)、および門脈高血圧を軽減する薬理学的療法からなる群から選択される、請求項7に記載のin vitroの方法。
  9. 対象は、肝臓の悪性病変を罹患する、または良性肝腫瘍、肝嚢胞および/もしくは肝寄生虫を罹患する、請求項1~8のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  10. 肝臓の悪性病変が、転移性結腸直腸がん、肝細胞癌、又は胆管細胞癌である、請求項9に記載のin vitroの方法。
  11. 血液試料は、血清、血漿、及び乏血小板血漿からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  12. 試料の発現レベルまたは発現レベルの比は、分類モデルを使用して、リファレンスの発現レベルまたは発現レベルの比と比較される、請求項1~11のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  13. 分類モデルは、リファレンスとの比較の結果から対象の試料を少なくとも2つのクラスのうちの1つに分類する、請求項1~12のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  14. 分類モデルは、ロジスティック回帰モデル、サポートベクターマシンモデル、および決定木モデルからなる群から選択される、請求項12又は13に記載のin vitroの方法。
  15. 発現レベルは、シーケンシングベースの方法、アレイベースの方法およびPCRベースの方法からなる群から選択される方法を使用して決定される、請求項1~14のいずれか1項に記載のin vitroの方法。
  16. シーケンシングベースの方法が、次世代シーケンシングである、請求項15に記載のin vitroの方法。
  17. PCRベースの方法が、定量的PCRベースの方法である、請求項15又は16に記載のin vitroの方法。
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