以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下で説明する図4~図10は、出力回転軸の貫通孔や詳細な形状等を省略、簡略化して図示している。また、図4~図10は、要部を分かり易くするためアンテナ位置(10.5時位置)が図中向かって上側に位置するように図示している。
[実施形態1]
図1、図2に示す本実施形態の電波時計1は、衛星電波等の時刻情報を含む電波を受信し、取得された時刻情報に基づいて自機の時計内部時刻を補正する機能を有する電子時計である。本実施形態の電波時計1は、典型的には、GPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)衛星から出力されるGPS電波を受信する。なお、GPS電波は、GPS時刻情報を含む電波であり、例えば、1.5GHz帯(1575.42MHz)と、1.2GHz帯(1227.60MHz)との2種類が使用される。ここでは、電波時計1は、物理的な指針6によって時刻を表示するアナログ式電子時計である。以下、各図を参照して電波時計1の各構成について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、電波時計1の時計中心軸線X1に沿った方向を「軸線方向X」といい、時計中心軸線X1と直交する方向を「径方向Y」といい、時計中心軸線X1を中心とする円周方向を「周り方向Z」という。軸線方向Xは、電波時計1の上下方向に相当し、一方側を「前面側」といい、他方側を「背面側」という。径方向Yは、時計中心軸線X1に近い側を「内側」といい、時計中心軸線X1から遠い側を「外側」という。ここでは、上記時計中心軸線X1とは、電波時計1に対して予め設定される基準となる軸線であり、電波時計1の主たる構成の中心軸線に相当する。時計中心軸線X1は、典型的には、ムーブメントMM1や外装ケース2の中心軸線に相当する。時計中心軸線X1は、ムーブメントMM1、外装ケース2の形状の幾何学的な重心位置を通る軸線に相当し、例えば、ムーブメントMM1の外形形状、外装ケース2の内形形状が円筒形状である場合には当該円筒形状の中心軸線に相当する。また、上記時計中心軸線X1は、典型的には、主たる指針(図1においては、後述の秒針61、分針62、時針63)の回転軸線と一致する。
具体的には、電波時計1は、外装ケース2と、風防3と、文字板4と、見返しリング5と、指針6と、操作部7と、ムーブメントMM1とを備える。電波時計1は、外装ケース2の内部に形成された収容空間部24にムーブメントMM1が収容されると共に文字板4、見返しリング5、指針6が組み付けられ、風防3によってこれら文字板4、見返しリング5、指針6等が保護される。
外装ケース2は、電波時計1の最外郭を構成するものである。外装ケース2は、例えば、チタンやチタン合金等の導電性材料によって形成される。また、外装ケース2は、セラミックスやガラス、樹脂などの非導電性材料によって形成されてもよい。外装ケース2は、本体部21、裏蓋22、及び、かん23を含んで構成される。本実施形態では、本体部21は、ベゼル部と胴部の組合せのように2部材による分割構造とされており、当該2部材が組み合わさることで時計中心軸線X1を中心とした略円筒形状に構成される。本体部21は、軸線方向Xの両端部が開口している。裏蓋22は、本体部21の軸線方向Xの背面側の開口を閉塞する部材である。裏蓋22は、本体部21とは別体で構成され、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成される。かん23は、本体部21の外周面から突出して形成される。かん23は、本体部21と一体で形成される。かん23は、複数設けられる。かん23は、ベルト25が連結される。ベルト25は、腕等に巻き回されて装着される部材である。
風防3は、本体部21に組み付けられ、本体部21の軸線方向Xの前面側の開口を閉塞する部材である。風防3は、光を透過する光透過性部材料、より詳細には、ガラス等の透明な材料によって形成される。風防3は、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成される。これにより、風防3は、本体部21(外装ケース2)の内部を視認させることができると共に、内部に配置される部品を保護することができる。
ここで、収容空間部24は、上述の外装ケース2(本体部21及び裏蓋22)と当該外装ケース2に組み付けられた風防3によって、外装ケース2の内部に形成される閉空間である。本実施形態においては、収容空間部24は、本体部21の内部に時計中心軸線X1を中心とした略円柱形状の空間部として形成される。収容空間部24は、軸線方向Xに沿って背面側(裏蓋22側)から前面側(風防3側)に向かって、各構成要素がムーブメントMM1、文字板4、見返しリング5、指針6の順で配置される。
文字板4は、軸線方向Xに対してムーブメントMM1の前面側で、かつ、風防3越しに視認できるように風防3と対向する位置に配置される。文字板4の形状は、本体部21の内周形状と同形状または相似形状であり、本実施形態においては、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成される。文字板4は、所定の透過率で光を透過する光透過性部材料によって形成される。また、文字板4は、合成樹脂等の絶縁性材料によって形成される。文字板4は、インデックス41、及び、日窓42を含んで構成される。インデックス41は、時刻を表し、指針6によって指し示される目盛りである。インデックス41は、文字板4の軸線方向Xの前面側の面に周り方向Zに沿って等間隔で複数配置される。各インデックス41は、突状部材でもよいし、文字板4に印刷されてもよい。各インデックス41は、それぞれ径方向Yに沿って延在して設けられる。日窓42は、後述する日車12上の文字の一部を視認可能にするための開口部である。日窓42は、文字板4を軸線方向Xに沿って貫通して形成される。
見返しリング5は、文字板4の周縁部を押え、当該文字板4を所定の位置で保持する部材である。見返しリング5は、時計中心軸線X1を中心とした略円環形状に形成される。見返しリング5は、文字板4の軸線方向Xの前面側に設けられ、ムーブメントMM1との間に文字板4を保持する。
指針6は、文字板4のインデックス41を指し示すことで時刻等の情報を表示する表示部材であり、時計動作部を構成する。指針6は、針状に形成され、文字板4の軸線方向Xの前面側に複数設けられる。複数の指針6は、秒針61、分針62、時針63、及び、小針64を含んで構成される。秒針61、分針62、時針63は、外装ケース2に主針回転軸線X2を回転中心として回転可能に設けられる主指針を構成する。主針回転軸線X2は、時計中心軸線X1と一致する。秒針61、分針62、時針63は、同軸上に配置されている。秒針61、分針62、時針63は、主針回転軸線X2を回転中心として回転する。一方、小針64は、外装ケース2に副針回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられる副指針を構成する。副針回転軸線X3は、主針回転軸線X2とは異なる軸線であり、時計中心軸線X1と平行でかつ当該時計中心軸線X1からずれて位置する。ここでは、小針64は、複数設けられており、2つが共通の副針回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられ、残りがそれぞれ異なる副針回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられる。またここでは、各小針64は、各副針回転軸線X3を回転中心として回転する。
操作部7は、外部操作を受け付ける部分である。操作部7は、外装ケース2の本体部21から外側に露出するようにして設けられる。本実施形態の操作部7は、リューズ71、プッシュボタン72、73等を含んで構成される。操作部7は、リューズ71に対する引き出し・回転操作やプッシュボタン72、73に対する押下操作に応じてムーブメントMM1内の機構と連動して種々の操作を受け付ける。
ムーブメントMM1は、収容空間部24に収容され、電波時計1を駆動させる動力機構である。ムーブメントMM1は、電池8、ソーラーセル9、モータ10、輪列11、日車12、基板13、アンテナ14、前面側耐磁板15、及び、背面側耐磁板16を含んで構成され、これらが種々の部材を介して相互に組み付けられることで1つの構造的なモジュールを構成する。ムーブメントMM1は、収容空間部24において、軸線方向Xに沿って背面側(裏蓋22側)から前面側(文字板4側)に向かって、背面側耐磁板16、基板13、前面側耐磁板15、日車12、ソーラーセル9の順で配置される。そして、ムーブメントMM1は、裏蓋22の軸線方向Xの前面側に隣接して電池8が配置される。また、ムーブメントMM1は、基板13の軸線方向Xの前面側の実装面にモータ10、アンテナ14が実装される。さらに、ムーブメントMM1は、モータ10と指針6との間に輪列11が介在し、当該輪列11を介してこれらが連結される。
電池8は、電波時計1の電力源であり、収容空間部24に設けられる。電池8は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池であり、後述するソーラーセル9が発電した電力によって充電される。本実施例においては、電池8は、略円板形状(ボタン形状)に形成され、裏蓋22の軸線方向Xの前面側の面に隣接する位置関係となるように配置される。電池8は、ソーラーセル9が発電した電力によって基板13(または図示しない他の基板)を介して充電される。電池8は、モータ10を含む電波時計1の各部に蓄電した電力を供給する。
ソーラーセル9は、電波時計1の発電源であり、光エネルギを電気エネルギに変換する。ソーラーセル9は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側、ここでは、文字板4とアンテナ14との間に設けられる。より詳細には、ソーラーセル9は、ムーブメントMM1において軸線方向Xの最前面側に位置し、軸線方向Xに対して文字板4と日車12との間に設けられる。ソーラーセル9は、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成された発電本体部91を有し、当該発電本体部91が光エネルギを電気エネルギに変換する。ソーラーセル9によって発電した電力は、電波時計1の各部に直接供給してもよいし、電池8に供給し当該電池8を充電してもよい。
モータ10は、電波時計1の動力発生源であり、各部を動作させるための動力を発生させる。モータ10は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。ここでは、モータ10は、基板13の軸線方向Xの前面側に配置される。モータ10は、例えば、ステッピングモータを用いることができ、電池8やソーラーセル9から供給された電力に応じてコイル部が発生させた磁界によって、ステータに対してロータを回転させることで回転動力を発生させ、指針6、日車12等を回転駆動する。モータ10は、複数の指針6、日車12に対して個別に設けられてもよいし、いくつかの指針6、日車12で兼用されてもよい。
輪列11は、モータ10が発生させた回転動力を回転駆動対象物に伝達する機構である。輪列11による回転駆動対象物は、典型的には、指針6であるが日車12を含んでいてもよい。輪列11は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。輪列11は、モータ10と指針6との間に介在しこれらを連結するようにして設けられる。輪列11は、ギヤ、回転軸等の動力伝達部材を含んで構成され、最終的な出力回転軸11aが軸線方向Xに沿って文字板4を貫通し指針6が設けられる。輪列11は、モータ10が発生させた回転動力を減速して指針6に伝達し回転させることで、当該指針6を運針する。輪列11は、複数の指針6に対して個別に設けられてもよいし、いくつかの指針6で兼用されてもよい。
日車12は、日付を表示する表示部材であり、時計動作部を構成する。日車12は、収容空間部24に時計中心軸線X1と平行な日車回転軸線を回転中心として回転可能に設けられる。日車12は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。より詳細には、日車12は、収容空間部24において軸線方向Xに対してソーラーセル9と前面側耐磁板15との間に設けられる。ここでは、日車12は、軸線方向Xに対して少なくとも一部がアンテナ14の範囲内に位置し、少なくとも一部が当該アンテナ14と略同層で配置される。日車12は、略円環板形状に形成される。日車12は、合成樹脂等の絶縁性材料によって形成される。日車12は、暦を識別する一連の文字群の複数の文字が周方向に等間隔でそれぞれ形成されている。日車12は、モータ10によって日車回転軸線を回転中心として回転駆動され日窓42から露出する位置が遷移することで日付を表示する。
基板13は、表面または内部に導電性部材による配線パターンを含み、電波時計1の各部を統括的に制御する電子回路、発振回路、モータ10、アンテナ14、受信回路(図3で後述する受信回路RX)等の各部品が配置される。ここでは、基板13は、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成され、電池8が配置される領域に対応した切欠き部を有する。基板13は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。より詳細には、基板13は、収容空間部24において軸線方向Xに対して前面側耐磁板15と背面側耐磁板16との間に設けられる。ここで、電子回路や受信回路は、基板13の前面又は背面のどちらに実装されてもよいが、モータ10及びアンテナ14は、前面側に配置されることが好ましい。電子回路は、時刻(時計内部時刻)を計時し、計時した時刻に基づいてモータ10を制御し、指針6、日車12を回転させ運針するための種々の回路を含んで構成され、計時された時刻を、現在時刻として指針6、日車12に表示させる。
アンテナ14は、外装ケース2の外部からの電波を受信するものである。アンテナ14は、空間の電磁波(電波)を受信する通信アンテナを構成する。アンテナ14は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側で基板13の前面側の実装面に実装される。ここでは、アンテナ14は、径方向Yに対して日車12の外側に配置される。本実施形態のアンテナ14は、一例として、平面モノポールアンテナであるものとして説明する。
具体的には、本実施形態のアンテナ14は、図3に例示するように、一例として、誘電体14a、放射電極14b、短絡部14c、及び、給電部14dを含んで構成される。本実施形態のアンテナ14は、平面モノポールアンテナを構成する。
誘電体14aは、アンテナ14の基部を構成する部分である。誘電体14aは、立体形状、ここでは、略直方体形状に形成される。誘電体14aは、導電性より誘電性が優位な物質、例えば、非導電性のセラミック等によって形成される。誘電体14aは、ジルコニアや酸化チタンなどの誘電率が高い材料を含んで構成されており、波長短縮効果を奏する。誘電体14aは、放射電極14bが受信する電波の実質的な波長λ’をGPS電波の周波数に応じた波長λよりも小さくすることができる。また、誘電体14aは、基板13と放射電極14bとの電気的な距離を離間させる効果がある。
放射電極14bは、電波を受信する部分である。放射電極14bは、誘電体14aの前面側の面(前面)である電極配置面14eに設けられる。放射電極14bは、金属等の導電性材料によって形成された略矩形平板形状の構成部である。放射電極14bは、電極配置面14eの大部分の領域を覆い、かつ、電極配置面14eの縁部をコの字形状に露出させるように当該電極配置面14eに配置される。より具体的には、放射電極14bは、電極配置面14eにおける径方向Yの一端側の領域、及び、幅方向Wの両端の領域を露出させるような位置関係で電極配置面14eに設けられる。ここで、アンテナ14における幅方向Wとは、軸線方向X、及び、径方向Yと直交する方向である。本実施形態の誘電体14aは、径方向Yが短辺に沿った方向、幅方向Wが長辺に沿った方向となるような略直方体形状に形成されている。放射電極14bの各辺は、電極配置面14eの各辺と平行である。なお、放射電極14bは、電極配置面14eが露出しないように、すなわち、電極配置面14eの全体を覆うように設けられてもよい。放射電極14bの各辺は、電極配置面14eの各辺と平行ではなく、所定の傾きをもっていてもよい。放射電極14bの各辺は、直線ではなく、メアンダ形状でもよい。
放射電極14bは、一対の第1の放射辺14f、及び、第2の放射辺14gを有する。放射辺14fは、アンテナ14の放射電極14bにおいて電流密度が集中するエッジ部分である。一対の放射辺14fは、それぞれ放射電極14bにおける径方向Yに沿った辺である。一対の放射辺14fは、相互に平行、又は、実質的に平行である。放射辺14gは、放射電極14bにおける放射辺14fと実質的に直交する辺、言い換えると幅方向Wに沿った辺である。放射電極14bの実質的なアンテナ長は、短絡部14cとの接続部14hから放射辺14gまでの辺の長さ、言い換えれば、放射辺14fの長さに相当する。放射電極14bは、例えば、アンテナ長が短縮後の実質的な波長λ’の1/4の長さとなるように形成されている。
短絡部14cは、放射電極14bの端部と基板13の前面側に設けられたグランド層GNDとを電気的に接続する部分である。ここで、グランド層GNDは、外装ケース2と直接的に接触もしくは容量結合により電気的に接続されている。グランド層GNDは、軸線方向Xに沿って放射電極14bと対向する位置に形成される。短絡部14cは、誘電体14aにおける径方向Yの一方側の側面14iに設けられる。当該側面14iは、アンテナ14が基板13に実装された状態で、誘電体14aにおいて径方向Yの内側を向く面である。短絡部14cは、金属等の導電性材料によって形成された略矩形平板形状の構成部である。本実施形態の短絡部14cは、側面14iにおいて幅方向Wの両端部を露出させるように一対で設けられる。一対の短絡部14cは、側面14iにおいて幅方向Wに沿って間隔をあけて設けられる。各短絡部14cは、軸線方向Xに沿って側面14iの上端(前面側の端)から下端(背面側の端)まで延在している。各短絡部14cは、上端が接続部14hを介して放射電極14bにつながっており、放射電極14bと電気的に接続されている。各短絡部14cは、下端がグランド層GNDに電気的に接続されている。
給電部14dは、放射電極14bに給電する部分であり、放射電極14bの端部と受信回路RXとを電気的に接続する部分である。本実施形態の給電部14dは、直接給電によって放射電極14bに給電する直接給電部を構成する。給電部14dは、誘電体14aにおいて各短絡部14cが設けられた面と同じ面、すなわち、側面14iに設けられる。給電部14dは、金属等の導電性材料によって形成された略矩形平板形状の構成部である。本実施形態の給電部14dは、幅方向Wに対して一対の短絡部14cの間に設けられる。つまり、上述の一対の短絡部14cは、側面14iにおいて幅方向Wに対して給電部14dを挟んで当該給電部14dの両側に並んで配置されている。給電部14dは、各短絡部14cと同様に、軸線方向Xに沿って側面14iの上端(前面側の端)から下端(背面側の端)まで延在している。一対の短絡部14c、及び、給電部14dは、仮想の平面S1に沿って延在している。仮想の平面S1は、外装ケース2の時計中心軸線X1と平行な平面である。給電部14dは、各短絡部14cと同様に、上端が接続部14hを介して放射電極14bにつながっており、放射電極14bと電気的に接続されている。ここでは、一対の短絡部14c、及び、給電部14dは、放射電極14b側の端部、すなわち、接続部14h側の端部において互いに接続されている。そして、給電部14dは、下端が受信回路RXに電気的に接続されている。給電部14dは、給電部14dと一対の短絡部14cによってそれぞれ形成されるスリットSLの深さ(図3の軸線方向Xに沿った長さ)と幅(図3の幅方向Wに沿った長さ)等が調整されることでインピーダンスのマッチングが図られている。また、アンテナ14と受信回路RXとの間には、マッチング回路を設けてもよい。特に給電部14dと受信回路RXとの接続に関しては、マイクロストリップラインで構成することが望ましい。
上記のように構成されるアンテナ14は、短絡部14c、給電部14dが径方向Yの内側を向き、かつ、誘電体14aの放射電極14b側とは反対側の面が基板13のグランド層GNDに接触するような位置関係で基板13に実装される。このとき、アンテナ14は、各短絡部14cとグランド層GNDとが導通する一方、給電部14dとグランド層GNDとが導通せず受信回路RXと接続されるように設けられる。この状態で、放射電極14bは、一対の短絡部14c、及び、給電部14dから径方向Yの外側に向けて延在している。言い換えると、放射電極14bは、一対の短絡部14c、及び、給電部14dから外装ケース2の内壁面に向けて径方向Yに沿って延在している。本実施形態の給電部14dと放射電極14bとは、上述の通り物理的に接続されている。つまり、本実施形態のアンテナ14は、放射電極14bに対して給電部14dを介して直接給電により給電がなされる。ここでは、放射辺14gの幅方向Wの中央部は、放射辺14fと近接する幅方向Wの端部と比較して電位の変動が小さい箇所であるため、当該幅方向Wの端部と比較して放射電極14bの受信感度に与える影響が相対的に小さい傾向にある。そしてここでは、アンテナ14は、放射電極14bの受信感度に与える影響が相対的に大きい傾向にある各放射辺14fが径方向Yに沿い、外装ケース2の内壁面に対して垂直に近い角度で交差するような位置関係で収容空間部24内に配置される(図4も参照)。この構成により、アンテナ14は、外装ケース2との容量結合を抑制することができ、受信感度の低下を抑制することができる。なお、グランド層GNDは、アンテナ14よりも径方向Yの内側まで延在している。言い換えれば、グランド層GNDは、径方向Yに対して短絡部14cを挟んで放射電極14b側とは反対側まで延在している。電波時計1は、上記のように構成されることでアンテナ14よりも径方向の内側がいわゆるイメージアンテナの領域となる。イメージアンテナは、仮想のアンテナであり、平面モノポールアンテナであるアンテナ14と対をなす。イメージアンテナは、各短絡部14cを挟んで放射電極14b側とは反対側に生成されると考えられている。イメージアンテナは、各短絡部14cに関してアンテナ14と対称な位置に対称な形状で生成される。電波時計1は、当該イメージアンテナによってアンテナ14の受信感度を向上させることができる。
上述の説明において、グランド層GNDは、基板13の前面側において放射電極14bと対向する位置に配置するとしたが、放射電極14bと対向する位置にグランド層GNDを設けなくてもよい。放射電極14bとグランド層GNDとを離間させることでアンテナ14の受信感度を向上させることができる。ただし、短絡部14cとグランド層GNDとの電気的接続のため、もしくは、アンテナ14を基板13に実装する上での実装強度を向上させるために、基板13において、放射電極14bに対向する位置であって短絡部14cが配置される近傍にはグランド層GNDを設けても良い。また、それ以外の箇所においてアンテナ14の実装エリアとしてグランド層GNDを設けてもよい。
図2に戻って、前面側耐磁板15、及び、背面側耐磁板16は、外装ケースの外部からの外部磁場を遮蔽しモータ10のコイル部等が磁束の影響を受けることを防止するための遮蔽板(シールド)である。前面側耐磁板15、背面側耐磁板16は、金属等の導電性材料によって板形状に形成される。前面側耐磁板15は、収容空間部24において軸線方向Xに対して日車12の背面側で、かつ、モータ10の前面側に設けられた第1の耐磁板を構成する。前面側耐磁板15は、軸線方向Xに対してアンテナ14の電極配置面14eより背面側に位置する。前面側耐磁板15は、軸線方向Xに沿って視て(以下、「軸線方向視」という場合があり、言い換えれば、「平面視」に相当する。)、アンテナ14と重ならない部分に設けられている。ここでは、前面側耐磁板15は、軸線方向Xに対して全体がアンテナ14の範囲内に位置し、当該アンテナ14と略同層で配置される。一方、背面側耐磁板16は、収容空間部24において軸線方向Xに対して裏蓋22の前面側に当該裏蓋22と隣接して設けられた第2の耐磁板を構成する。背面側耐磁板16は、軸線方向Xに対してアンテナ14の背面側に位置する。背面側耐磁板16は、軸線方向視にて、電池8と重ならない部分に設けられている。背面側耐磁板16は、軸線方向Xに対して全体が電池8の範囲内に位置し、当該電池8と略同層で配置される。前面側耐磁板15と背面側耐磁板16とは、軸線方向Xに対して、モータ10、基板13を挟んで対向して位置する。これらの構成により、電波時計1は、モータ10のコイル部等に対する外部磁場の影響を適正に抑制しつつ、薄型化が図られている。なお、前面側耐磁板15、及び、背面側耐磁板16は、上記の配置に限られない。例えば、背面側耐磁板16は、軸線方向視にて、電池8と重なる部分にも設けられ、電池8の軸線方向Xの背面側の全体を覆うように配置されてもよい。
上記のように構成される電波時計1は、発振回路及び電子回路によって時刻(時計内部時刻)が計時され、これに基づいてモータ10が制御されることで指針6、日車12の回転が制御される。この結果、電波時計1は、文字板4に対する指針6、日車12の相対的な位置関係に応じて時刻、日付等を表示することができる。また、電波時計1は、アンテナ14を介して衛星電波等の時刻情報を含む電波を受信し、受信回路及び電子回路によって当該受信した電波に基づいて時計内部時刻を補正することができる。
そして、本実施形態の電波時計1は、図4に示すように、ソーラーセル9に所定の形状の切り欠き部92が設けられることで良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保との両立が図られている。
具体的には、本実施形態のソーラーセル9は、上述した発電本体部91に加え、発電本体部91に設けられた切り欠き部92を有する。切り欠き部92は、軸線方向Xに沿ってアンテナ14と対向して位置する(図2も参照)。言い換えれば、切り欠き部92は、軸線方向視(平面視)にてアンテナ14と対向する位置に形成される。ここでは、アンテナ14は、文字板4における10.5時に相当する位置に配置されており、切り欠き部92は、当該10.5時に相当する位置に設けられる。
より具体的には、ソーラーセル9は、切り欠き部92が軸線方向Xに沿ってアンテナ14の放射電極14bと対向して位置する。つまり、切り欠き部92は、発電本体部91において軸線方向Xに沿ってアンテナ14の放射電極14bと対向する位置に形成される。切り欠き部92は、軸線方向Xに沿って放射電極14bの略全体と対向する大きさ、形状で形成される。ここでは少なくとも、切り欠き部92は、軸線方向Xに沿ってアンテナ14の放射辺14f、14gと対向し、軸線方向視にて発電本体部91がアンテナ14の放射辺14f、14gと重ならない大きさ、形状で形成される。
その上で、ソーラーセル9は、発電本体部91の切り欠き部92側の端部(後述する辺92aを構成する端部)が軸線方向Xに沿ってアンテナ14の給電部14d(図4中にも模式的に図示)と対向して位置することで、アンテナ14との重複部位93を形成する(図2も参照)。ソーラーセル9のアンテナ14との重複部位93は、軸線方向Xに沿って、アンテナ14の放射電極14bにおける短絡部14c、給電部14d側の端部と対向する位置に形成される。すなわち、ソーラーセル9のアンテナ14との重複部位93は、軸線方向Xに沿って、放射電極14bの接続部14h側の端部と対向する位置に形成される。つまり、当該重複部位93は、アンテナ14において比較的にアンテナ感度に対する影響が小さい短絡部14c、給電部14d側の端部に発電本体部91の切り欠き部92側の端部が重なるような位置関係とされることで形成される。言い換えれば、重複部位93は、アンテナ14の径方向Yの内側端部と、ソーラーセル9における切り欠き部92の径方向Yの内側端部(後述の辺92aの部分)とによって形成される。そして、切り欠き部92自体は、発電本体部91において、軸線方向視にて、アンテナ14と重ならない非重複部位94を構成する(図2も参照)。
そして、本実施形態の切り欠き部92は、時計中心軸線X1を中心とする周り方向Zに沿った辺92aが当該時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成される。当該辺92aは、切り欠き部92の径方向Yの内側の辺を構成する。切り欠き部92は、辺92aが時計中心軸線X1を中心とした円の一部を構成する。さらに言えば、当該辺92aは、時計中心軸線X1を中心として略円板形状に形成された文字板4等の同心円の一部を構成する。ここでは、当該辺92aは、文字板4における表示領域43(図1参照)内に位置する辺として形成される。文字板4における表示領域43とは、文字板4において見返しリング5の内径側に露出した領域であり、軸線方向Xの前面側から視認可能な領域である。
一方、切り欠き部92は、径方向Yに沿って当該辺92aと対向する側、すなわち、径方向Yの外側が径方向Yに沿って開放されており、辺が形成されていない。ソーラーセル9は、当該切り欠き部92において開放された部分が絶縁切断領域95を構成する。つまり、本実施形態のソーラーセル9は、切り欠き部92から時計中心軸線X1側とは反対側、すなわち、径方向Yの外側に延在して発電本体部91を貫通する絶縁切断領域95を有して構成される。
またここでは、切り欠き部92は、周り方向Zと交差する方向に沿った辺92bがアンテナ14の放射辺14fと略平行になるように形成される。辺92bは、辺92aの周り方向Zの両端にそれぞれ1つずつ、一対で形成される。一対の辺92bは、周り方向Zに沿って対向する。各辺92bは、辺92aの周り方向Zの各端と交わり、当該辺92aの各端から径方向Yの外側に延在する。これら各辺92bも辺92aと同様に文字板4における表示領域43(図1参照)内に位置する辺として形成される。
なお、ソーラーセル9は、発電本体部91に日窓96も設けられている。日窓96は、上述した文字板4の日窓42と同様に、日車12上の文字の一部を視認可能にするための開口部であり、軸線方向Xに沿って日窓42と対向する位置に形成される。
以上で説明した電波時計1は、外装ケース2の内部において文字板4の背面側に設けられたアンテナ14によって外部からの電波を受信することができる。また、電波時計1は、外装ケース2の内部において文字板4とアンテナ14との間に設けられたソーラーセル9によって光エネルギを電気エネルギに変換し発電することができる。この構成にあって、電波時計1は、ソーラーセル9において軸線方向Xに沿ってアンテナ14と対向する位置に切り欠き部92が設けられている。この構成により、電波時計1は、アンテナ14が導電性材料によって形成されたソーラーセル9の発電本体部91に遮られることなく、当該切り欠き部92を介して適正に外部からの電波を受信することができ、良好なアンテナ感度(受信感度)を確保することができる。その上で、電波時計1は、当該切り欠き部92において時計中心軸線X1を中心とする周り方向Zに沿った辺92aが当該時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成される。この構成により、電波時計1は、文字板4側から視認した際に、ソーラーセル9における切り欠き部92の境界線を構成する辺92aを目立ち難くすることができるので、良好な審美性を確保することができる。この結果、電波時計1は、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とを両立することができる。
例えば、電波時計1は、文字板4の目付模様やその他のデザインを、時計中心軸線X1を中心とする同心円をモチーフとしたデサインとすることで、辺92aをさらに目立ち難くすることができる。これにより、電波時計1は、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とをより好適に両立することができる。
また、電波時計1は、切り欠き部92の辺92aが円弧状に形成されることで、例えば、辺92aが直線状に形成されるような場合と比較して、ソーラーセル9の発電本体部91による発電面積(受光面積)を相対的に広く確保することも可能となる。この結果、電波時計1は、良好なアンテナ感度、良好な審美性、及び、良好な発電性能をバランスよく確保することができる。
さらに、以上で説明した電波時計1は、ソーラーセル9の切り欠き部92が軸線方向Xに沿ってアンテナ14の放射電極14bと対向して位置し、発電本体部91の切り欠き部92側の端部が軸線方向Xに沿って給電部14d等と対向して位置する。この構成により、電波時計1は、アンテナ14において比較的にアンテナ感度に対する影響が大きい放射電極14bと対向して切り欠き部92を位置させた上で、アンテナ14において比較的にアンテナ感度に対する影響が小さい部位に対して軸線方向Xにソーラーセル9の発電本体部91が重なることを許容した構成とすることができる。この結果、電波時計1は、アンテナ14の良好なアンテナ感度を確保しつつ、大型化を抑制した上でソーラーセル9の発電本体部91による発電面積を可能な限り広く確保することができる。したがって、電波時計1は、良好なアンテナ感度を確保した上で、大型化を抑制しつつさらに良好な発電性能を確保することができる。
さらに、以上で説明した電波時計1は、ソーラーセル9が絶縁切断領域95を有する。この構成により、電波時計1は、ソーラーセル9の切り欠き部92の部分が閉ループを構成することを阻止することができるので、アンテナ14によるアンテナ感度の低下を抑制することができる。この結果、電波時計1は、より良好なアンテナ感度を確保することができる。
ここでは、以上で説明した電波時計1は、平面モノポールアンテナを構成するアンテナ14において上記のように良好なアンテナ感度を確保することができる。
[実施形態2]
実施形態2に係る電波時計は、切り欠きの形状が実施形態1とは異なる。以下では、上述した実施形態と同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下、同様。)。
図5に示す本実施形態に係る電波時計1は、ムーブメントMM1にかえてムーブメントMM2を備える点で上述の電波時計1と異なる。ムーブメントMM2は、ソーラーセル9にかえてソーラーセル209を備える点で上述のムーブメントMM1と異なる。ムーブメントMM2のその他の構成は、当該ムーブメントMM1と略同様の構成である。本実施形態のソーラーセル209は、切り欠き部92にかえて切り欠き部292を備える点で上述のソーラーセル9と異なる。ソーラーセル209のその他の構成は、当該ソーラーセル9と略同様の構成である。
本実施形態の切り欠き部292は、辺292bの形状が上述の切り欠き部92と異なる。切り欠き部292のその他の構成は、当該切り欠き部92と略同様の構成である。切り欠き部292は、周り方向Zと交差する方向に沿った辺292bの少なくとも一部が時計中心軸線X1と直交する径方向Yに沿って形成される。ここでは、切り欠き部292は、辺292bの全体が径方向Yに沿って形成される。辺292bは、辺92aの周り方向Zの両端にそれぞれ1つずつ、一対で形成される。一対の辺292bは、周り方向Zに沿って対向する。各辺292bは、辺92aの周り方向Zの各端と交わり、当該辺92aの各端から径方向Yの外側に延在する。各辺292bは、それぞれ時計中心軸線X1を中心として径方向Yに沿って略放射状に形成される。これにより、本実施形態の切り欠き部292は、全体として、時計中心軸線X1から径方向Yの外側に向かうに従って周り方向Zに沿った幅が広くなるような扇帯形状に形成される。これら各辺292bも辺92aと同様に文字板4における表示領域43(図1参照)内に位置する辺として形成される。
この場合、切り欠き部292は、径方向Yに沿って形成される上記各辺292bが軸線方向Xに沿って文字板4のインデックス41(図5中にも一点鎖線で図示)と対向して位置することが好ましい。ここで、インデックス41は、上述したように、文字板4の軸線方向Xの前面側の面に、径方向Yに沿って設けられる。各辺292bは、軸線方向視にて、いずれかのインデックス41と重なる位置に形成されることが好ましい。例えば、インデックス41が文字板4における10.5時位置と時計中心軸線X1とを結んだ線L1を基準とし、時計中心軸線X1を中心として30°毎に等間隔で設けられているものと仮定する。この場合、各辺292bは、時計中心軸線X1を中心として線L1となす角度が30°×N(N=自然数)となる放射線上に位置するように形成されることが好ましい。
以上で説明した本実施形態の電波時計1は、実施形態1における電波時計1と同様に、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とを両立することができる。
そしてさらに、以上で説明した本実施形態の電波時計1は、切り欠き部292を形成する辺292bが径方向Yに沿って形成され、時計中心軸線X1を中心とする略放射状に形成される。この構成により、本実施形態の電波時計1は、文字板4側から視認した際に、ソーラーセル9における切り欠き部292の境界線を構成する各辺292bをより目立ち難くすることができるので、より良好な審美性を確保することができる。また、この構成により、本実施形態の電波時計1は、例えば、上述した辺92bと比較して、各辺292bをアンテナ14の放射辺14fからより離間させて位置されることができるので、より良好なアンテナ感度を確保することができる。この結果、本実施形態の電波時計1は、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とをより好適に両立することができる。
また、以上で説明した本実施形態の電波時計1は、切り欠き部292の各辺292bが軸線方向Xに沿って文字板4のインデックス41と対向して位置することが好ましい。この場合、本実施形態の電波時計1は、軸線方向視にて、各辺292bをインデックス41と重なるように位置させることができるので、文字板4側から視認した際に、各辺292bをさらに目立ち難くすることができ、さらに良好な審美性を確保することができる。この点でも、本実施形態の電波時計1は、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とをより好適に両立することができる。
ここで、上記のように構成される本実施形態の電波時計1は、図5中に二点鎖線で示すように、前面側耐磁板15の一部が切り欠き部292側に突出するようにして構成されてもよい。ここで、前面側耐磁板15は、上述したように、軸線方向Xに対して、アンテナ14の電極配置面14eより文字板4側とは反対側、すなわち、背面側で、かつ、アンテナ14の範囲内に位置する耐磁板である(図2参照)。この場合、本実施形態の電波時計1は、前面側耐磁板15の一部が切り欠き部292側に突出していても、当該前面側耐磁板15がアンテナ14に対して上記の位置関係で配置されていることで、当該前面側耐磁板15がアンテナ14による電波の受信の妨げになることを抑制することができる。この結果、本実施形態の電波時計1は、大型化を抑制しつつ良好なアンテナ感度を維持することができ、その上で適正な耐磁性能を確保することができる。
なお、以上の説明では、切り欠き部292は、各辺292bが軸線方向Xに沿って文字板4のインデックス41と対向して位置することが好ましいものとして説明したが、必ずしも対向して位置していなくてもよい。
また、以上の説明では、切り欠き部292は、各辺292bの全体が径方向Yに沿って形成されるものとして説明したがこれに限らない。
[実施形態2の変形例]
図6に示す実施形態2の変形例に係るムーブメントMM2Aのソーラーセル209Aは、切り欠き部292Aの形状が上述の切り欠き部292の形状と異なる。切り欠き部292Aは、周り方向Zと交差する方向に沿った辺292bAの一部だけが径方向Yに沿って形成される点で上述の切り欠き部292の形状と異なる。本変形例の各辺292bAは、時計中心軸線X1側、すなわち、径方向Yの内側の部分292baが径方向Yに沿って形成される。一方、各辺292bAは、時計中心軸線X1側とは反対側、すなわち、径方向Yの外側の部分292bbがアンテナ14の放射辺14fと略平行になるように形成される。
この場合であっても、本変形例の電波時計1は、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とを両立することができる。
ここでは、本変形例の電波時計1は、切り欠き部292の境界線を構成する各辺292bAにおいて部分292baが時計中心軸線X1を中心とする略放射状に形成されることで、当該部分292baをより目立ち難くすることができる。一方、本変形例の電波時計1は、切り欠き部292の境界線を構成する各辺292bAにおいて部分292bbがアンテナ14の放射辺14fと略平行になるように形成されることで、発電本体部91による発電面積をより広く確保することができる。この結果、本変形例の電波時計1は、良好な審美性の確保と良好な発電性能の確保とをバランスよく実現することができる。
[実施形態3]
実施形態3に係る電波時計は、切り欠きの形状が実施形態1、2とは異なる。
図7に示す本実施形態に係る電波時計1は、ムーブメントMM2にかえてムーブメントMM3を備える点で上述の電波時計1と異なる。ムーブメントMM3は、ソーラーセル209にかえてソーラーセル309を備える点で上述のムーブメントMM2と異なる。ムーブメントMM3のその他の構成は、当該ムーブメントMM2と略同様の構成である。本実施形態のソーラーセル309は、切り欠き部292にかえて切り欠き部392を備える点で上述のソーラーセル209と異なる。ソーラーセル309のその他の構成は、当該ソーラーセル209と略同様の構成である。
本実施形態の切り欠き部392は、径方向Yに沿って当該辺92aと対向する側、すなわち、径方向Yの外側の部分の形状が上述の切り欠き部292と異なる。切り欠き部392のその他の構成は、当該切り欠き部292と略同様の構成である。
本実施形態の切り欠き部392は、径方向Yに沿って当該辺92aと対向する側、すなわち、径方向Yの外側において一部だけが径方向Yに沿って開放されており、残りの部分に辺392cが形成されている。そして、本実施形態の切り欠き部392は、辺92aに加えて、周り方向Zに沿った当該辺392cも当該時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成される。当該辺392cは、切り欠き部392の径方向Yの外側の辺を構成する。
切り欠き部392は、辺392cが時計中心軸線X1を中心とした円の一部を構成する。さらに言えば、当該辺392cは、時計中心軸線X1を中心とした円弧状に形成された辺92aの同心円の一部を構成する。ここでは、当該辺392cは、辺92aと同様に、文字板4における表示領域43(図1参照)内に位置する辺として形成される。
そして、ソーラーセル309は、当該切り欠き部392の径方向Yの外側において径方向Yに沿って開放された一部分が絶縁切断領域395を構成する。つまり、本実施形態のソーラーセル309は、切り欠き部392から時計中心軸線X1側とは反対側、すなわち、径方向Yの外側に延在して発電本体部91を貫通する絶縁切断領域395を有して構成される。そして、この絶縁切断領域395は、上記辺392cを2つに分断するように形成されている。本実施形態の発電本体部91は、切り欠き部392の径方向Yの外側において、周り方向Zに沿って当該切り欠き部392の内方側に向けて突出する一対の円弧状延在部391aを有する。この一対の円弧状延在部391aは、時計中心軸線X1を中心として周り方向Zに沿って円弧状に突出して形成される。また、一対の円弧状延在部391aは、周り方向Zに沿って対向し、互いに接近するように形成される。そして、上述の2つの辺392cは、それぞれ当該一対の円弧状延在部391aの径方向Yの内側の辺を構成する。そして、ソーラーセル309は、周り方向Zに対して上記一対の円弧状延在部391aの間に絶縁切断領域395が形成される。ここでは、絶縁切断領域395は、文字板4における10.5時位置に相当する位置に形成されている。なおこの場合であっても、ソーラーセル309は、切り欠き部392が軸線方向Xに沿ってアンテナ14の放射電極14bと対向して位置し、軸線方向視にて、各円弧状延在部391aが放射電極14bの放射辺14f、14g等と重ならないように形成されている。
以上で説明した本実施形態の電波時計1は、切り欠き部392において時計中心軸線X1を中心とする周り方向Zに沿った辺92aに加えて、辺392cも当該時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成される。この構成により、本実施形態の電波時計1は、文字板4側から視認した際に、切り欠き部392の境界線を構成する辺92aに加えて、辺392cも目立ち難くすることができるので、良好な審美性を確保することができる。この結果、本実施形態の電波時計1は、上述した他の実施形態の電波時計1と同様に、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とを両立することができる。
さらに、以上で説明した本実施形態の電波時計1は、ソーラーセル309が絶縁切断領域395を有する。この構成により、本実施形態の電波時計1は、電波時計1等と同様に、ソーラーセル309の切り欠き部392の部分が閉ループを構成することを阻止することができるので、アンテナ14による受信感度の低下を抑制することができる。その上で、本実施形態の電波時計1は、絶縁切断領域95が切り欠き部392の一部のみに形成され、発電本体部91が切り欠き部392の径方向Yの外側に円弧状延在部391aを有するように構成される。この結果、本実施形態の電波時計1は、発電本体部91による発電面積をより広く確保することができるので、良好な審美性の確保と良好な発電性能の確保とをよりバランス良く両立することができる。
なお、以上の説明では、ソーラーセル309は、切り欠き部392において辺92a、及び、辺392cの双方が時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。
[実施形態3の変形例1]
図8に示す実施形態3の変形例1に係るムーブメントMM3Aのソーラーセル309Aは、切り欠き部392Aの形状が上述の切り欠き部392の形状と異なる。ここでは、切り欠き部392Aは、時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成された辺392cを備えるが、辺92aは備えず、全体として、時計中心軸線X1から径方向Yの外側に向かうに従って周り方向Zに沿った幅が広くなるような扇形状に形成される。ここでは、ソーラーセル309Aは、アンテナ14との重複部位93を形成しない。
この場合であっても、本変形例の電波時計1は、良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とを両立することができる。そしてこの場合、本変形例の電波時計1は、アンテナ14の誘電体14aとソーラーセル309Aとの間に重複部位が形成されているが、放射電極14bとソーラーセル309Aとの間には重複部位が形成されていないことから、より確実に良好なアンテナ感度を確保することができる。
また、以上の説明では、絶縁切断領域395は、文字板4における10.5時位置に相当する位置に形成されるものとして説明したがこれに限らない。また例えば、以上で説明した円弧状延在部391aは、一対で設けられなくてもよい。
[実施形態3の変形例2]
図9に示す実施形態3の変形例2に係るムーブメントMM3Bのソーラーセル309Bは、発電本体部91において円弧状延在部391aが1つ設けられており、切り欠き部392Bにおいて絶縁切断領域395Bが相対的に広く形成されている。図8に示した変形例1では、時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成された辺392cは、一対の円弧状延在部391aのそれぞれに備えられていたが、本変形例では、円弧状延在部391aが一箇所であるので、時計中心軸線X1を中心とする円弧状に形成された辺392cも1箇所のみである。この場合、本変形例の電波時計1は、例えば、アンテナ14が文字板4における10.5時位置に配置された場合には、時計装着時に文字板4における9時位置方向が天頂に向きやすい傾向にあるため、10.5時位置を基準として9時位置側に絶縁切断領域395Bが向くように当該絶縁切断領域395Bが形成されることが好ましい。このように構成されることで、本変形例の電波時計1は、アンテナ14による受信感度をさらに向上することが可能となる場合がある。なお、アンテナ14は、3時位置側のリューズ71等が設けられる領域から外れた6時位置-9時位置-12時位置の間に配置される傾向にあるが、このような場合にもアンテナ14の配置位置に配慮しつつ絶縁切断領域395Bが極力9時位置側を向くように構成されることが好ましい。
なお、上述した本発明の実施形態に係る電波時計は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る電波時計は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
以上の説明では、アンテナ14は、平面モノポールアンテナを構成するものとして説明したがこれに限らない。アンテナ14は、平面モノポールアンテナの形状として例示した以外の様々な形状が採用可能である。以上の説明では、給電部14dは、直接給電によって放射電極14bに給電する直接給電部を構成するものとして説明したがこれに限らない。例えば、アンテナ14は、いわゆる電磁結合型の平面モノポールアンテナを構成するものであってもよい。この場合、給電部14dは、電磁結合によって放射電極14bに給電する電磁給電部を構成する。つまり、アンテナ14は、給電部14dと放射電極14bとが物理的に接触しておらず、離間しており、給電部14dと放射電極14bとが電磁結合することで、放射電極14bに非接触方式の給電がなされる。
また、以上の説明では、給電部14dは、誘電体14aにおいて各短絡部14cが設けられた側面14iに設けられるものとして説明したがこれに限らない。給電部14dは、各短絡部14cが設けられた側面14iとは異なる面に設けられていてもよく、例えば、誘電体14aの側面14iと対向する面、すなわち、径方向Yの外側の側面に設けられていてもよい。また、短絡部14cと給電部14dとは、配置関係がこの逆でもよい。また、以上の説明では、誘電体14aは、略直方体形状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。また、以上で説明した放射電極14bは、誘電体14aにおける電極配置面14e以外の面まで延在していてもよい。
また、アンテナ14は、いわゆるパッチアンテナや逆F型アンテナ、コイルアンテナであってもよい。例えば、図10に示すアンテナの変形例に係るムーブメントMM2Bのアンテナ214Bは、いわゆるパッチアンテナ(平面アンテナ)を構成する点で、上述のアンテナ14と異なる。アンテナ214Bは、誘電体214aB、及び、放射電極214bBを有する。誘電体214aBは、略正方形板状に形成される。放射電極214bBは、略正方形板状に形成され、誘電体214aBにおける軸線方向Xの前面側の面(前面)である電極配置面214eBに設けられる。放射電極214bBは、径方向Yの内側に位置する給電部214dBを介して給電される。ここでも、ソーラーセル209は、発電本体部91の切り欠き部92側の端部(辺92aを構成する端部)が軸線方向Xに沿ってアンテナ214Bの給電部214dBと対向して位置することで、アンテナ214Bとの重複部位93を形成している。この場合であっても、本変形例の電波時計1は、パッチアンテナを構成するアンテナ214Bにおいて上記のように良好なアンテナ感度の確保と良好な審美性の確保とを両立することができる。
また、以上の説明では、アンテナ14、214Bの受信対象は、GPS電波であるものとして説明したがこれに限らない。アンテナ14、214Bの受信対象は、GPS衛星以外の衛星から出力される電波であってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)やNFCを利用した電波であってもよい。また、アンテナ14、214Bの受信対象は、地上の基地局等から出力される電波であってもよい。
また、以上の説明では、日車12は、時計中心軸線X1と平行な日車回転軸線X5を回転中心となるように配置すると説明したがこれに限らない。日車回転軸線は、時計中心軸線X1と同一としてもよい。また、軸線方向視において、アンテナ14と日車12の一部が重なるように配置されていてもよい。
以上の説明では、外装ケース2の本体部21は、時計中心軸線X1を中心とした略円筒形状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。本体部21は、例えば、略矩形筒形状、略樽型筒形状等であってもよい。この場合、時計中心軸線X1は、上述したように軸線方向視にてムーブメントMM1、MM2、MM2A、MM2B、MM3、MM3A、MM3B、外装ケース2の形状の幾何学的な重心位置を通る軸線として設定される。
以上の説明では、ソーラーセル9、209、209A、309、309A、309Bは、絶縁切断領域95、395、395Bを有して構成されるものとして説明したがこれに限らず、絶縁切断領域95、395、395Bを有さない構成であってもよい。また、電波時計1は、重複部位93を備えない構成であってもよい。
以上の説明では、電波時計1は、物理的な指針6によって時刻を表示するアナログ式電子時計であるものと説明したがこれに限らない。電波時計1は、例えば、液晶表示部等によって時刻を表示するデジタル式電子時計であってもよい。また、電波時計1は、ベルト25を介して腕に装着される腕時計であるものとして説明したがこれに限らない。電波時計1は、例えば、置き時計、掛け時計、懐中時計等であってもよい。また、電波時計1は、例えば、各種カメラ、ゲーム機器、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯可能な情報端末装置、家庭電化製品や自動車を含む電子機器に適用されるものであってもよい。