JP7045228B2 - 成形品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、成形品の製造方法に関する。
ポリ塩化ビニルは、アクリル樹脂やポリカーボネートに比べ、耐久性、難燃性、透明性、高硬度、耐薬品性に優れており、建築部材や電子機器等に広く用いられている。ポリ塩化ビニルの成形方法としては、射出成形が知られている(特許文献1)。押出成形、圧縮成形、キャスト成形は成形品の形状や大きさの制限があり、大型の成形品や複雑な形状の成形品の場合は折り曲げ、熱融着、真空成形等の二次成形が施されることが多い。一方、射出成形は二次成形が不要で生産性に優れている。
しかし、ポリ塩化ビニルは流動性が低い。そのため、射出成形ではフローマークやウェルドラインが生じやすく、光沢感に優れた成形品を得ることも難しい。また成形中にヤケが生じやすく、成形品の透明性が低下しやすい問題もある。これらのことから、ポリ塩化ビニルを用いた射出成形では、特に薄肉の成形品や大型の成形品の成形において優れた外観を得ることが困難である。一方、流動性を高めるために射出温度を高めると、ポリ塩化ビニルの分解が起こり、成形品の物性が低下するおそれがある。
特開2004-263101号公報
本発明は、薄肉の成形品や大型の成形品であっても射出成形により外観に優れたポリ塩化ビニル製の成形品が得られる成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ポリ塩化ビニル及び滑剤を含む樹脂組成物を射出成形して成形品を得る成形品の製造方法であって、
前記樹脂組成物の190℃、6.08×10-1における粘度が1.12×10~2.50×10Pa・sであり、固定型及び可動型を備え、キャビティ容量が1000cm以上の射出成形金型を用いて、キャビティ面を70~180℃に加熱した状態で前記射出成形金型内に前記樹脂組成物を射出充填し、前記キャビティ面を10~50℃まで冷却して前記樹脂組成物を固化し、形成された成形品を脱型する、成形品の製造方法。
[2]前記可動型を型閉めした状態の前記固定型からわずかに後退させた状態で前記樹脂組成物を射出充填した後、型閉めして圧縮しつつ成形する、[1]に記載の成形品の製造方法。
[3]前記射出成形金型に設けられたスプールを成形中に60~100℃に温調する、[1]又は[2]に記載の成形品の製造方法。
本発明の成形品の製造方法によれば、薄肉の成形品や大型の成形品であっても高い生産性で外観に優れたポリ塩化ビニル製の成形品を得ることができる。
本発明の成形品の製造方法に用いる射出成形金型の一例を示した断面図である。 図1の射出成形金型における固定型の正面図である。 図1の射出成形金型により射出成形する様子を示した断面図である。 図1の射出成形金型による成形後に脱型する様子を示した断面図である。 図1の射出成形金型により射出圧縮成形する様子を示した断面図である。 図1の射出成形金型により射出圧縮成形する様子を示した断面図である。 射出成形金型の他の例を示した断面図である。
本発明の成形品の製造方法は、ポリ塩化ビニル及び滑剤を含む樹脂組成物を射出成形して成形品を得る方法である。
塩化ビニルと共重合可能な他の単量体としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンを例示できる。塩化ビニルと共重合可能な他の単量体は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
ポリ塩化ビニルの平均重合度は、400~1000が好ましく、400~700がより好ましい。ポリ塩化ビニルの平均重合度が前記範囲内であれば、流動性が良好な樹脂組成物が得られやすく、フローマークやウェルドラインが生じることを抑制しつつ、外観に優れた成形品を得やすい。
なお、ポリ塩化ビニルの平均重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される。
滑剤としては、特に限定されず、例えば、脂肪族炭化水素系滑剤、高級脂肪族アルコール系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、金属石鹸を例示できる。滑剤としては、樹脂組成物の流動性、成形品の透明性、ブリードアウトの抑制の点から、高級脂肪酸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤が好ましい。樹脂組成物に含まれる滑剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
脂肪族炭化水素系滑剤としては、例えば、低分子ワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、流動パラフィンを例示できる。
高級脂肪族アルコール系滑剤としては、例えば、ステアリルアルコールを例示できる。
高級脂肪酸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸を例示できる。
脂肪族アミド系滑剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビステアロアミドを例示できる。
脂肪酸エステル系滑剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジアミノステアリン酸エチル、ブチルステアレートを例示できる。
滑剤としては、樹脂組成物の粘度を低下させる内滑剤として機能するものと、射出成形金型のキャビティ面やスプールの内面に対する滑り性を向上させる外滑剤として機能するものを併用することが好ましい。特に後述のようにキャビティ面を特定の温度範囲に加熱した状態で樹脂組成物を射出充填し、キャビティ面を特定の温度範囲に冷却してから脱型する際に優れた外観の成形品が得られやすい点から、高級脂肪酸系滑剤と脂肪酸エステル系滑剤の併用が好ましい。
樹脂組成物中の滑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部がさらに好ましい。滑剤の含有量が前記範囲内の下限値以上であれば、流動性が良好な樹脂組成物が得られやすく、フローマークやウェルドラインが生じることを抑制しつつ、外観に優れた成形品を得やすい。滑剤の含有量が前記範囲内の上限値以下であれば、成形品表面への滑剤のブリードアウトを抑制しやすい。
樹脂組成物には、ポリ塩化ビニル及び滑剤以外の他の成分が含まれてもよい。他の成分としては、特に限定されず、例えば、錫系安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料(例えば酸化チタン等のフィラー)、可塑剤を例示できる。樹脂組成物に含まれる他の成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
樹脂組成物の熱安定性が向上し、成形品にヤケが生じにくい点では、樹脂組成物に錫系安定剤が含まれることが好ましい。
錫系安定剤としては、特に限定されず、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレートを例示できる。樹脂組成物に含まれる錫系安定剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
樹脂組成物の190℃、6.08×10-1における粘度は、1.12×10~2.50×10Pa・sであり、1.12×10~2.14×10Pa・sが好ましく、1.12×10~2.00×10Pa・sがより好ましい。樹脂組成物の粘度が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂組成物の流動性が優れるため、フローマークやウェルドラインが生じることが抑制され、外観に優れた成形品が得られる。樹脂組成物の粘度が前記範囲の下限値以上であれば、金型端部のバリを抑制できる。
樹脂組成物の粘度は、例えば、ポリ塩化ビニルの平均重合度や滑剤の含有量を調節することで調節できる。
なお、樹脂組成物の粘度は、キャピラリーレオメーターにより測定される。
本発明の製造方法における射出成形では、固定型及び可動型を有し、キャビティ容量が1000cm以上の射出成形金型を用いる。すなわち、本発明の製造方法は、体積が1000cm以上の大型の成形品を射出成形により製造する方法である。
以下、本発明の製造方法に用いる射出成形金型の一例を示して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本実施形態の射出成形金型100は、図1及び図2に示すように、固定型110と、可動型112とを備えている。固定型110の可動型112側の面には凹部110aが形成されている。可動型112の固定型110側には、固定型110の凹部110aに嵌まり込む凸部112aが形成されている。射出成形金型100では、固定型110と可動型112とを互いに近接させて型閉めした状態で内部に目的の成形品と相補的な形状のキャビティ114が形成される。
この例の射出成形金型100は、平板状の成形品を製造するためのものであり、平板状の成形品に相補的な形状のキャビティ114が形成されるようになっている。なお、本発明の製造方法で製造する成形品の形態は、平板状には限定されず、用途等に応じて適宜設定できる。
射出成形金型100のキャビティ114の容量は、1000cm以上であれば用途に応じて適宜設定でき、例えば、3,000~10,000cmとすることができる。
固定型110には、凹部110aを正面視したときの凹部110aの上側にゲート116が形成されている。このように、射出成形金型100ではサイドゲートが採用されている。固定型110において、ゲート116に繋がるスプール118における凹部110aの反対側の端部は、固定型110を凹部110a側から正面視したときの中央部近傍に位置している。スプール118における凹部110aの反対側の端部は、射出装置と接続されている。スプール118における、凹部110aの反対側からゲート116までの経路は、曲線状になっている。
サイドゲートを採用した射出成形金型は、透明性、外観に優れた成形品を製造しやすい点で有利である。なお、本発明の製造方法に用いる射出成形金型は、サイドゲートを採用したものには限定されず、例えばダイレクトゲートを採用した射出成形金型であってもよい。
固定型110における凹部110aの内面であるキャビティ面114aの近傍には、キャビティ面114aに沿うように複数の配管120が設けられている。射出成形金型100では、各配管120に蒸気と冷水とを切り替えて流すことで、キャビティ面114aを特定の温度に加熱したり冷却したりできるようになっている。
なお、射出成形金型のキャビティ面の温度を調節する態様は、この例のように配管に蒸気と冷水を流す態様には限定されず、例えば、加圧熱水と冷水を流す態様、加熱オイルと冷却オイルを流す態様等であってもよい。また、射出成形金型のキャビティ面の温度を調節する態様は、高周波誘導加熱、輻射加熱、通電加熱等を用いる態様であってもよい。
本発明では、射出成形金型のキャビティ面を70~180℃に加熱した状態で射出成形金型内に樹脂組成物を射出充填し、キャビティ面を10~50℃まで冷却して樹脂組成物を固化し、形成された成形品を脱型する。
射出成形金型において、樹脂組成物の射出充填時と固化時に前記温度範囲に温調するキャビティ面は、固定型側のキャビティ面のみであってもよく、可動型側のキャビティ面のみであってもよく、固定型側のキャビティ面と可動型側のキャビティ面の両方であってもよい。型を稼働させる機構がなくキャビティ面を温調する設備を設けやすい点では、固定型側のキャビティ面を温調することが好ましく、固定型側のキャビティ面のみを温調することがより好ましい。
射出成形金型100を用いる射出成形では、各配管120に蒸気を流し、キャビティ面114aを70~180℃まで加熱する。射出成形金型100を型閉めし、キャビティ面114aが前記温度範囲に加熱された状態で、図3に示すように、射出成形金型100内のキャビティ114に樹脂組成物Xを射出充填する。次いで、一定時間そのままの状態で保圧した後、各配管120に流している蒸気を冷水に切り替え、キャビティ面114aを10~50℃まで冷却して樹脂組成物Xを固化する。
次いで、可動型112を後退させて射出成形金型100を開き、形成された成形品を脱型する。具体的には、図4に示すように、可動型112を後退させて射出成形金型100を型開きし、成形品200を可動型112Aに密着させた状態で固定型110の凹部110aから抜き出しつつ、樹脂組成物Xがスプール118内で固化した部分210を引き抜く。成形品200を可動型112Aから取り外し、部分210を成形品200から切除する。
スプール118内で固化した部分210を脱型の際に引き抜くことで、スプール118内に残った樹脂組成物Xが次の成形に利用されないようにすることができ、外観に優れた成形品をより安定に製造できる。
キャビティ面114aを前記温度範囲に加熱した状態で樹脂組成物Xを射出充填することで、樹脂組成物Xの流動性が向上し、大型の成形品200であってもフローマークやウェルドラインが生じることが抑制される。キャビティ面114aを前記温度範囲に冷却して樹脂組成物Xを固化することで、表面の光沢感に優れた成形品200が得られる。また、樹脂組成物Xの射出充填時や固化時のキャビティ面114aを特定の温度に制御することで、優れた転写性を実現でき、微細形状を有する成形品も製造できる。
このように、特定の粘度範囲の樹脂組成物を用い、キャビティ面を特定の温度に加熱及び冷却して射出成形を行うことで、フローマークやウェルドラインが生じることを抑制して、大型であっても外観に優れた成形品を得ることができる。
射出成形金型のキャビティに樹脂組成物を射出充填する際に温調するキャビティ面の温度は、70~180℃であり、90~160℃が好ましく、120~140℃がより好ましい。射出充填時に温調するキャビティ面の温度が前記範囲の下限値以上であれば、成形品にフローマークやウェルドラインが生じることを抑制でき、また転写性が向上する。射出充填時に温調するキャビティ面の温度が前記範囲の上限値以下であれば、成形品にヤケが生じることを抑制できる。
樹脂組成物の射出温度、すなわちキャビティに射出充填する樹脂組成物の温度は、160~200℃が好ましく、170~190℃がより好ましい。樹脂組成物の射出温度が前記範囲の下限値以上であれば、樹脂の流動性が良好となりキャビティ内に樹脂を充填することができる。樹脂組成物の射出温度が前記範囲の上限値以下であれば、金型端部のバリを抑制できる。
樹脂組成物の射出充填後に保圧する時間は、3~20秒が好ましく、5~10秒がより好ましい。保圧時間が前記範囲の下限値以上であれば、転写性が向上する。保圧時間が前記範囲の上限値以下であれば、成形品にヤケが生じることを抑制しやすい。
樹脂組成物を固化する際に温調するキャビティ面の温度は、10~50℃であり、15~45℃が好ましく、20~40℃がより好ましい。固化時に温調するキャビティ面の温度が前記範囲内の下限値以上であれば、キャビティ面が樹脂に転写され、鏡面であれば光沢が向上し、エンボス面であればエンボスの転写性が良好となる。固化時に温調するキャビティ面の温度が前記範囲内の上限値以下であれば、成形品の取り出した後の形状保持が良好となる。
樹脂組成物を冷却する時間は、生産性を考慮しつつ樹脂組成物を充分に固化できる範囲で適宜設定でき、例えば、冷却開始から型開きするまでの時間を1~10分とすることができる。
本発明では、射出成形において、可動型を型閉めした状態の固定型からわずかに後退させた状態で樹脂組成物を射出充填した後、型閉めして圧縮しつつ成形することが好ましい。すなわち、射出成形金型をわずかに開いた状態で樹脂組成物を射出充填した後に、型閉めして圧縮しつつ成形することが好ましい。このような射出圧縮成形では、より低圧で成形でき、成形機のダウンサイジングが可能となる。また、成形品に反りや歪が生じることを抑制しやすく、薄肉成形や表皮インモールド成形に好適である。
例えば射出成形金型100で射出圧縮成形を行う場合、キャビティ面114aの温度を前記範囲に制御して、図5に示すように、固定型110と可動型112とを型閉めした状態から可動型112をわずかに後退させた状態とする。このようにキャビティ容量をわずかに大きくした状態で、キャビティ114に樹脂組成物Xを射出充填する。次いで、図6に示すように、可動型112を固定型110側に前進させて型閉めし、型閉め圧で樹脂組成物Xを圧縮しつつ、冷却して固化し、成形品200を形成する。
本発明では、射出成形金型に設けられたスプールを成形中に60~100℃に温調することが好ましい。これにより、キャビティに充填される樹脂組成物の流動性が向上し、外観に優れた成形品を得ることが容易になる。また、スプール内で樹脂組成物が固化した部分を脱型時に成形品とともに引き抜くことが容易になる。
成形中のスプールの温度は、60~100℃が好ましく、70~90℃がより好ましい。
スプールの温度がキャビティ表面の温度や金型温度と異なる場合、スプール部分を断熱することが好ましく、樹脂の流動性に合わせた温度とし、サイドゲートとした場合、金型を型開きした時にスプール部を安全に抜き取ることができる。
スプールの温度を調節する機構としては、特に限定されず、例えば、キャビティ面の温度を調節する機構と同じものを採用できる。
本発明の製造方法で得られる成形品の用途は、特に限定されず、例えば、建築部材、電子機器の配電ボックスを例示できる。
成形品の形状及びサイズは特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。例えば、平板状の成形品とする場合、縦30~100cm、横30~100cm、厚さ2~20mmとすることができる。
以上説明したように、本発明の成形品の製造方法においては、特定の粘度範囲の樹脂組成物を用い、かつ樹脂組成物の射出充填時や固化時に射出成形金型のキャビティ面を特定の温度範囲に制御しつつ射出成形を行う。これにより、樹脂組成物の流動性が優れたものとなり、フローマークやウェルドラインが生じることを抑制しつつ、大型であっても外観に優れた成形品を得ることができる。また、本発明では射出成形を用いるため、押出成形、圧縮成形、キャスト成形等に比べて二次成形の必要がなく生産性が高い。
なお、本発明の成形品の製造方法は、前記した射出成形金型100を用いる方法には限定されない。例えば、本発明の成形品の製造方法は、射出成形金型100の代わりに図7(A)及び図7(B)に例示した射出成形金型100Aを用いる方法であってもよい。図7(A)及び図7(B)における図1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
射出成形金型100Aは、可動型112の代わりに可動型112Aを備える以外は、射出成形金型100と同じ態様である。
可動型112Aは、突出ピン122が備えられている以外は可動型112と同様の態様である。突出ピン122は、型閉めしたときの固定型110のゲート116に対応する位置に設けられ、先端部がスプール118内に進入するように固定型110に向かって突き出るようになっている。
射出成形金型100Aを用いる場合、図7(A)に示すように樹脂組成物Xの射出充填が完了した後に、図7(B)に示すように突出ピン122を突き出し、突出ピン122の先端部をスプール118内に挿し込んだ状態で樹脂組成物Xを固化する。これにより、型開きの際に突出ピン122が引っ掛かることで、成形品を可動型112Aに密着させた状態で固定型110の凹部110aから抜き出しつつ、樹脂組成物Xがスプール118内で固化した部分を引き抜くことが容易になる。このように、成形品と樹脂組成物Xがスプール118内で固化した部分が固定型110の凹部110a内及びスプール118内に残ることを容易に抑制できることから、成形品の脱型が容易になる。
射出成形金型100,100Aは、1つの金型で1つの成形品を得るものであったが、本発明の成形品の製造方法は、1つの金型で複数の成形品を得るものであってもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[粘度]
樹脂組成物の190℃、6.08×10-1における粘度は、東洋精機製キャピログラフ1Dにより測定した。
[実施例1]
徳山積水化学株式会社製のSL-P40(ポリ塩化ビニル、平均重合度:400)100質量部に対し、滑剤としてステアリン酸とブチルステアレートを2.0質量部配合して樹脂組成物Aとした。得られた樹脂組成物Aの190℃、6.08×10-1における粘度は1.12×10Pa・sであった。
樹脂組成物Aを用いて、図1及び図2に例示した射出成形金型100(キャビティ容量:1800cm)により、縦300mm×横600mm×厚さ10mmの平板状の成形品を製造した。射出成形においては、固定型のキャビティ面を70℃に加熱した状態で樹脂組成物Aを射出充填し、5秒間保圧した後、固定型のキャビティ面を30℃まで冷却して樹脂組成物Aを固化した。
[実施例2]
徳山積水化学株式会社製のSL-P40(ポリ塩化ビニル、平均重合度:400)50質量部と信越化学工業株式会社製のTK-700(ポリ塩化ビニル、平均重合度:700)50質量部に対し、滑剤としてステアリン酸とブチルステアレートを5.0質量部配合して樹脂組成物Bとした。得られた樹脂組成物Bの190℃、6.08×10-1における粘度は1.76×10Pa・sであった。樹脂組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして成形品を製造した。
[実施例3]
徳山積水化学株式会社製のSL-P40(ポリ塩化ビニル、平均重合度:400)50質量部と信越化学工業株式会社製のTK-700(ポリ塩化ビニル、平均重合度:700)50質量部に対し、滑剤としてステアリン酸とブチルステアレートを2.0質量部配合して樹脂組成物Cとした。得られた樹脂組成物Cの190℃、6.08×10-1における粘度は2.00×10Pa・sであった。樹脂組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして成形品を製造した。
[実施例4]
信越化学工業株式会社製のTK-700(ポリ塩化ビニル、平均重合度:700)50質量部に対し、滑剤としてステアリン酸とブチルステアレートを2.0質量部配合して樹脂組成物Dとした。得られた樹脂組成物の190℃、6.08×10-1における粘度は2.14×10Pa・sであった。樹脂組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして成形品を製造した。
[実施例5]
樹脂組成物Aを用いて、図1及び図2に例示した射出成形金型100(キャビティ容量:1800cm)により、縦300mm×横600mm×厚さ10mmの平板状の成形品を製造した。射出成形においては、固定型のキャビティ面を140℃に加熱した状態で樹脂組成物Aを射出充填し、5秒間保圧した後、固定型のキャビティ面を30℃まで冷却して樹脂組成物Aを固化した。
[実施例6]
樹脂組成物Bを用いて、図1及び図2に例示した射出成形金型100(キャビティ容量:1800cm)により、縦300mm×横600mm×厚さ10mmの平板状の成形品を製造した。射出成形においては、固定型のキャビティ面を140℃に加熱した状態で樹脂組成物を射出充填し、5秒間保圧した後、固定型のキャビティ面を30℃まで冷却して樹脂組成物を固化した。
[実施例7]
樹脂組成物Cを用いて、図1及び図2に例示した射出成形金型100(キャビティ容量:1800cm)により、縦300mm×横600mm×厚さ10mmの平板状の成形品を製造した。射出成形においては、固定型のキャビティ面を140℃に加熱した状態で樹脂組成物Cを射出充填し、5秒間保圧した後、固定型のキャビティ面を30℃まで冷却して樹脂組成物Cを固化した。
[実施例8]
樹脂組成物Dを用いて、図1及び図2に例示した射出成形金型100(キャビティ容量:1800cm)により、縦300mm×横600mm×厚さ10mmの平板状の成形品を製造した。射出成形においては、固定型のキャビティ面を140℃に加熱した状態で樹脂組成物Dを射出充填し、5秒間保圧した後、固定型のキャビティ面を30℃まで冷却して樹脂組成物Dを固化した。
[実施例9、10、11、12]
わずかに型開きした状態で射出成形金型内に樹脂組成物を充填し、型閉め圧により圧縮しつつ成形する射出圧縮成形を行った以外は、実施例5、6、7、8と同様にして成形品を製造した。
[比較例1]
徳山積水化学株式会社製のSL-P40(ポリ塩化ビニル、平均重合度:400)100質量部に対し、滑剤としてステアリン酸とブチルステアレートを5.0質量部配合して樹脂組成物Eとした。得られた樹脂組成物Eの190℃、6.08×10-1における粘度は1.01×10Pa・sであった。樹脂組成物Eを用いた以外は、実施例1と同様にして成形品を製造した。
[比較例2]
信越化学工業株式会社製のTK-1000(ポリ塩化ビニル、平均重合度:1000)100質量部に対し、滑剤としてステアリン酸とブチルステアレートを2.0質量部配合して樹脂組成物Fとした。得られた樹脂組成物Fの190℃、6.08×10-1における粘度は2.64×10Pa・sであった。樹脂組成物Fを用いた以外は、実施例1と同様にして成形品を製造した。
[比較例3]
樹脂組成物Eを用いて、図1及び図2に例示した射出成形金型100(キャビティ容量:1800cm)により、縦300mm×横600mm×厚さ10mmの平板状の成形品を製造した。射出成形においては、固定型のキャビティ面を140℃に加熱した状態で樹脂組成物Eを射出充填し、5秒間保圧した後、固定型のキャビティ面を30℃まで冷却して樹脂組成物を固化した。
[比較例4]
樹脂組成物Fを用いて、図1及び図2に例示した射出成形金型100(キャビティ容量:1800cm)により、縦300mm×横600mm×厚さ10mmの平板状の成形品を製造した。射出成形においては、固定型のキャビティ面を140℃に加熱した状態で樹脂組成物Fを射出充填し、5秒間保圧した後、固定型のキャビティ面を30℃まで冷却して樹脂組成物Fを固化した。
[比較例5、6]
わずかに型開きした状態で射出成形金型内に樹脂組成物を充填し、型閉め圧により圧縮しつつ成形する射出圧縮成形を行った以外は、比較例3、4と同様にして成形品を製造した。
[外観]
各例で得た成形品におけるフローマーク、ウェルドライン及びバリの有無を目視にて確認し、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:フローマーク、ウェルドライン及びバリを目視で確認できない。
○:フローマーク、ウェルドライン及びバリのどれかがかすかに目視で確認できる。
△:フローマーク、ウェルドライン及びバリを目視でかすかに確認できる。
×:フローマーク、ウェルドライン及びバリを目視で確認できる。
[光沢感]
各例で得た成形品の表面を目視にて確認し、以下の評価基準に従って光沢感を評価した。
(評価基準)
◎:表面が平滑で反射光の強度がかなり強い。
○:表面が平滑で反射光の強度が強い。
△:表面が平滑で反射光の強度がやや強い。
×:表面が平滑ではなく反射光の強度が弱い。
結果を表1に示す。
Figure 0007045228000001
表1に示すように、実施例1~12で得られる成形品は、樹脂組成物の粘度が高い比較例1、3、5の成形品や、樹脂組成物の粘度が低い比較例2、4、6の成形品に比べて、フローマークやウェルドラインが抑制され、光沢感に優れ、外観に優れていた。
100,100A…射出成形金型、110…固定型、110a…凹部、112,112A…可動型、112a…凸部、114…キャビティ、114a…キャビティ面、116…ゲート、118…スプール、120…配管、122…突出ピン、X…樹脂組成物。

Claims (3)

  1. ポリ塩化ビニル及び滑剤を含む樹脂組成物を射出成形して成形品を得る成形品の製造方法であって、
    前記樹脂組成物の190℃、6.08×10-1における粘度が1.12×10~2.50×10Pa・sであり、固定型及び可動型を備え、キャビティ容量が1000cm以上の射出成形金型を用いて、キャビティ面を70~180℃に加熱した状態で前記射出成形金型内に前記樹脂組成物を射出充填し、前記キャビティ面を10~50℃まで冷却して前記樹脂組成物を固化し、形成された成形品を脱型する、成形品の製造方法。
  2. 前記可動型を型閉めした状態の前記固定型からわずかに後退させた状態で前記樹脂組成物を射出充填した後、型閉めして圧縮しつつ成形する、請求項1に記載の成形品の製造方法。
  3. 前記射出成形金型に設けられたスプールを成形中に60~100℃に温調する、請求項1又は2に記載の成形品の製造方法。
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