[第一実施形態]
<画像形成装置>
第一実施形態について説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の構成について、図1を用いて説明する。図1に示す画像形成装置10は、複数の画像形成部UY、UM、UC、UKを配列したタンデム構成の中間転写方式のフルカラープリンタである。本実施形態の場合、複数の画像形成部UY~UKの重力方向下方に、中間転写ユニット20が配設されている。
中間転写ユニット20は、ベルト部材として無端状の中間転写ベルト21と、一次転写ローラ22Y~22Kと、駆動ローラ23と、テンションローラ24及び二次転写内ローラ25とを備えている。中間転写ベルト21は、駆動ローラ23、テンションローラ24及び二次転写内ローラ25等のローラに掛け渡して支持され、駆動ローラ23に駆動されて図1の矢印R2方向に回転する。本実施形態において、二次転写内ローラ25は、中間転写ベルト21の内周側に回転自在に固定され、中間転写ベルト21を張架する。他方、駆動ローラ23は、中間転写ベルト21の内周側に回転自在に固定され、二次転写内ローラ25よりも中間転写ベルト21の移動方向下流で中間転写ベルト21を張架する。
画像形成部UY~UKは、中間転写ベルト21の移動方向(図1の矢印R2方向)に沿って配列されている。画像形成部UYでは、感光ドラム11Yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト21に転写される。画像形成部UMでは、感光ドラム11Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト21に転写される。画像形成部UC、UKでは、それぞれ感光ドラム11C、11Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト21に転写される。中間転写ベルト21に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材P(用紙、OHPシートなどのシート材など)へ一括転写される。本実施形態において、中間転写ベルト21はトナーとキャリア液とを含む液体現像剤を担持して回転する。
画像形成部UY~UKは、被供給部としての現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。そこで、以下では、画像形成部UY、UM、UC、UKの区別を表す符号末尾のY、M、C、Kを省略して、画像形成部UY~UKの構成及び動作を説明する。
画像形成部Uでは、感光体としての感光ドラム11を囲むように、一次帯電器12、露光装置13、現像装置4、ドラムクリーニング装置14が配置されている。画像形成部Uは、一次転写ローラ22によって感光ドラム11と中間転写ベルト21との間にトナー像の一次転写部T1が形成されるように、感光ドラム11が中間転写ベルト21を挟み一次転写ローラ22に対向する位置に配置されている。感光ドラム11は、アルミニウム製シリンダの外周面に感光層が形成されており、所定のプロセススピードで図1の矢印R1方向に回転される。
一次帯電器12は、例えばコロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム11を一様な負極性の暗部電位に帯電させる。露光装置13は、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON-OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム11の表面に画像の静電潜像を書き込む。この静電潜像は、現像装置4によりトナー像として現像される。
現像装置4には、分散媒であるキャリア液に分散質である粉体のトナーを分散させた液体現像剤が収容されている。現像装置4には、不図示のミキサから液体現像剤が供給される。ミキサから現像装置4へ供給された液体現像剤は、現像装置4内においてコートローラ4aによって、現像ローラ4bにコートされ(供給され)、現像に用いられる。現像ローラ4bは、表面に液体現像剤を担持して搬送し、感光ドラム11上に形成された静電潜像をトナーで現像する。こうしたコートローラ4aから現像ローラ4bへの液体現像剤のコート、及び現像ローラ4bから感光ドラム11上の静電潜像の現像は、それぞれ電界を用いて行われる。なお、現像に供されなかった液体現像剤は現像装置4からミキサに戻され再利用される。
一次転写ローラ22によって形成された一次転写部T1では、感光ドラム11上に形成されたトナー像が電界を用いて中間転写ベルト21に一次転写される。一次転写後に感光ドラム11上に残留した液体現像剤(トナーとキャリア液)は、ドラムクリーニング装置14によって回収される。
二次転写部T2は、二次転写内ローラ25に支持された中間転写ベルト21に二次転写外ローラ26を当接して形成される記録材Pへのトナー像転写部である。二次転写部T2では、転写部材としての二次転写外ローラ26に二次転写電圧が印加されることで、トナー像が中間転写ベルト21から二次転写部T2に搬送される記録材Pへ二次転写される。二次転写後に中間転写ベルト21に残留したトナー(残留トナー)は、ベルトクリーニング装置30によってキャリア液と一緒に除去される。ベルトクリーニング装置30については、後述する(図2(a)参照)。
二次転写部T2で四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、不図示の定着装置等へ搬送され、定着装置等によって記録材Pに転写されたトナー像が定着される。トナー像が定着した記録材Pは、装置本体外(機外)へ排出される。
<液体現像剤>
次に、現像装置4Y~4Kで用いる液体現像剤について説明する。液体現像剤としては、従来から使用されている液体現像剤を用いてもよいが、本実施形態では、紫外線硬化型の液体現像剤を用いる。
液体現像剤は、カチオン重合性液状モノマー、光重合開始剤、カチオン重合性液状モノマーに不溶なトナー粒子を含む紫外線硬化型液体現像剤である。また、カチオン重合性液状モノマーがビニルエーテル化合物であり、光重合開始剤が、次の一般式(化1)で表される化合物である。
より具体的に説明する。まず、トナー粒子は、色を発する色材をトナー樹脂で内包している。また、トナー樹脂と色材とともに、帯電制御剤等、他の材料を含有してもよい。トナー粒子の製造方法としては、色材を分散させ、樹脂を徐々に重合内包させるコアシェルベーションや、樹脂等を溶融させ、色材を樹脂内部へ内包させる内粉砕法などの公知技術を用いてもよい。トナー樹脂は、エポキシ、スチレンアクリル系等を用いている。色を発する色材は、一般有機無機顔料でよい。また、製造上、トナー分散性を高めるため、分散剤を用いているが、シナジストも可能である。
キャリア液である硬化性液体は、トナー表面の電荷をもたせる荷電制御剤と、紫外線であるUV照射で酸を発生する光重合剤、さらに酸により結合するモノマーで構成されている。モノマーは、カチオン重合反応により、ポリマー化するビニルエーテル化合物である。また、光重合剤とは別に、増感剤を含有してもよい。光重合により、保存性が低下するため、カチオン重合禁止剤を10~5000ppm入れてもよい。他に、帯電制御補助剤、他添加材等を用いる場合もある。
この現像剤の紫外線硬化剤(モノマー)は、化学式(化2)で表されるビニルエーテル基が一つある一官能モノマーが約10%(重量%)と、化学式(化3)で表されるビニルエーテル基が二つある二官能モノマーを約90%混合したものである。
光重合開始剤としては下記の(化4)で表されるものを0.1%混合している。この光重合開始剤を用いることにより、良好な定着を可能としつつも、イオン性の光酸発生剤を用いる場合と異なり、高抵抗な液体現像剤が得られる。
なお、カチオン重合性液状モノマーが、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジビニルエーテル、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジビニルエーテル、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル及び1,2-デカンジオールジビニルエーテルからなる群より選ばれる化合物であることが望ましい。
さらに、帯電制御剤としては、公知のものが利用できる。具体的な化合物としては、亜麻仁油、大豆油などの油脂;アルキド樹脂、ハロゲン重合体、芳香族ポリカルボン酸、酸性基含有水溶性染料、芳香族ポリアミンの酸化縮合物、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉄、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸ニッケル、オクチル酸亜鉛、ドデシル酸コバルト、ドデシル酸ニッケル、ドデシル酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸コバルトなどの金属石鹸類;石油系スルホン酸金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩などのスルホン酸金属塩類;レシチンなどの燐脂質;t-ブチルサリチル酸金属錯体などのサリチル酸金属塩類;ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアミド樹脂、スルホン酸含有樹脂、ヒドロキシ安息香酸誘導体などが挙げられる。
<ベルトクリーニング装置>
本実施形態のベルトクリーニング装置30の構成について、図2(a)及び図2(b)を用いて説明する。図2(a)に示すように、ベルトクリーニング装置30は、ケーシングを形成するクリーニング容器33、クリーニングローラ31、クリーニングブレード32、対向ローラ40などを備えている。
内ローラとしての対向ローラ40は、中間転写ベルト21の内周側に回転自在に設けられ、中間転写ベルト21の移動方向(矢印R2方向)に関し二次転写内ローラ25と駆動ローラ23(図1参照)との間で、中間転写ベルト21の内周面(裏面)に当接する。対向ローラ40は、中間転写ベルト21に従動して回転する。クリーニング容器33は中間転写ベルト21に対向した部分が開口しており、クリーニングローラ31はこの部分から外部に露出するようにして回転可能に設けられている。外ローラとしてのクリーニングローラ31は、対向ローラ40に対し中間転写ベルト21を挟んで配置され、中間転写ベルト21の外周面(表面)に当接している。これら対向ローラ40とクリーニングローラ31とがそれぞれ中間転写ベルト21の内周面と外周面とに当接して、接触部としてのクリーニングニップ部T3(以下、単にニップ部T3と記す)を形成する。本実施形態において、ニップ部T3は、図2(b)に示す物理ニップT3bとテンションニップT3aとを有するように、クリーニングローラ31に中間転写ベルト21を巻き付かせることにより形成される。本明細書において、第一接触部としての物理ニップT3bは対向ローラ40とクリーニングローラ31とが中間転写ベルト21に対し表裏で当接する領域(当接領域)を指す。クリーニングローラ31は当接領域の表面で、対向ローラ40は当接領域の裏面で中間転写ベルト21に対し当接する。第二接触部としてのテンションニップT3aは、対向ローラ40が非接触であり、クリーニングローラ31のみが当接する領域を指す。
本実施形態では、対向ローラ40とクリーニングローラ31とにより物理ニップT3bが確保されるように構成されている。この理由は、ニップ部T3の近傍で生じやすい放電をできる限り抑制するためである。即ち、ニップ部T3近傍で放電が生じてしまうと、中間転写ベルト21上のトナーをクリーニングするためにより強い電界が必要となり、それに伴って中間転写ベルト21へのダメージが大きくなることが懸念される。そして、本実施形態では、後述するように中間転写ベルト21に弾性層を有する弾性ベルトを用いている。そうした中間転写ベルト21は電気的な抵抗が高い故に、ニップ部T3の近傍で特に放電が生じやすい。
クリーニングローラ31は、駆動手段としてのモータ35により、中間転写ベルト21とのニップ部T3において中間転写ベルト21の移動方向と同一方向(矢印R3方向)に、中間転写ベルト21とほぼ同等の速度で回転駆動される。そして、クリーニングローラ31は、二次転写されずに中間転写ベルト21上に残ったトナーを電界の作用によって電気的に除去する(所謂、電気泳動)。本実施形態の場合、対向ローラ40がアースに、クリーニングローラ31が電源36に接続され、クリーニングローラ31に対し電源36によりトナーと逆極性の電圧が印加される。すると、中間転写ベルト21上(中間転写ベルト上)に残るトナーはニップ部T3において中間転写ベルト21とクリーニングローラ31との間に形成される液体現像剤の液層を介して、中間転写ベルト21からクリーニングローラ31に移動される。
クリーニングローラ31に移動したトナーは、液体現像剤と共にクリーニングブレード32により除去される。クリーニングブレード32は例えばステンレス鋼などの金属製の板状部材であり、クリーニングローラ31の移動方向に関しニップ部T3よりも移動方向下流側でクリーニングローラ31に当接している。クリーニングブレード32により除去されたトナーは、液体現像剤と共に重力に従ってクリーニング容器33内を流れ落ちる。クリーニング容器33の底面は傾斜状に形成されており、その傾斜した底面の最低部に排出口34が形成されている。そのため、クリーニングブレード32によって除去されたトナーを含む液体現像剤は、クリーニング容器33の底面を排出口34へと伝わって、排出口34からクリーニング容器33外に排出される。
<クリーニングローラ>
上記のクリーニングローラ31について説明する。液体現像剤を用いる画像形成装置では、液体現像剤に含まれる有機溶剤等と反応し難い材料で形成されたクリーニングローラ31を用いるのが望ましい。これは、キャリア液に使用される化合物に起因する溶解や変質による劣化を生じ難くして、ローラの耐久性を上げるためである。一般的に、ローラと有機溶媒それぞれの溶解パラメータ(SP:Solubility Parameter)値の差が2以上であると、ローラはSP値の差が2未満の場合よりも劣化しやすくなる(つまりローラの劣化が早まる)。本実施形態では、ローラの劣化を遅らせる観点から、クリーニングローラ31として例えばステンレス製あるいはアルミニウム製の金属ローラを用いている。金属ローラとして、変形による形状追従性が変わらない程度に、フッ素樹脂などで表面が薄くコーティングされた金属ローラを用いてよい。なお、対向ローラ40はクリーニングローラ31に比べて液体現像剤に触れる機会が小さい故に、必ずしも金属ローラを用いる必要がなく、ゴムローラを用いてよい。ただし、ローラの劣化を考慮すれば、対向ローラ40にも金属ローラを用いるのが好ましい。
ところで、乾式現像剤を用いる画像形成装置の場合、クリーニングローラ31として金属ローラを用いるのが難しい。即ち、乾式現像剤に含まれるトナーは絶縁体であり、クリーニングローラ31が電気的な抵抗の小さい金属ローラであると、ニップ部やその近傍のギャップで起きる放電により、極性が逆転したトナーが融着し得る。そうなると、クリーニング性能が低下してしまう。これに対し、液体現像剤を用いる画像形成装置の場合、放電が生じてもトナーの極性が実質的に逆転しない。そして、トナーは電気泳動により液体現像剤の液層を移動することから、金属ローラを使用することが可能である。ただし、金属ローラはゴムローラに比較すると、変形による形状追従性が非常に小さい。そこで、クリーニングローラ31に金属ローラを用いる場合は、トナーを電気泳動により確実に移動させるべく、ニップ部T3のニップ長さ(中間転写ベルト21の移動方向長さ)を確保する必要がある。詳しくは後述するように(図5参照)、本実施形態では、クリーニングローラ31に中間転写ベルト21を巻き付けるように、中間転写ベルト21に対しクリーニングローラ31をベルト内側に張り出して、ニップ部T3のニップ長さを確保している。
<中間転写ベルト>
中間転写ベルト21について説明する。中間転写ベルト21は、ポリイミドやポリアミド等の樹脂、それらのアロイにカーボンブラック等の帯電防止剤を適量含有させたものなどを用いて、一定の厚さでフィルム状に形成されている。例えば、中間転写ベルト21は表面抵抗率が1E+9~1E+13Ω/□であり、厚さが0.04~0.1mmの樹脂ベルトである。
また、中間転写ベルト21はヤング率の高い(例えば300MPa)樹脂を用いて形成される。ヤング率が低く変形しやすい中間転写ベルト21の場合には、クリーニングローラ31に金属ローラを用いても、物理ニップT3bのニップ長さを長くし得る。ただし、中間転写ベルト21の厚さが1mm以下である場合に、直径40mmより大径の金属ローラを用いなければ、ほとんどのトナーを除去するに足るだけの十分なニップ長さを確保することが難しい。ニップ長さは、例えば1.2mm以上に確保する必要がある。しかし、金属ローラは直径が増すと重みが二乗倍で重くなることに鑑みれば、クリーニングローラ31として直径40mm以下の金属ローラを用いる方が好ましい。
ここで、無端状のベルトに金属ローラを押し当てた場合に形成されるニップ部のニップ長さに関し、ベルトの厚さを変えてニップ長さを調べる実験を行った。その実験結果を図3に示す。図3では、横軸にベルトの厚さを示し、縦軸にニップ長さを示した。ベルトとして、厚さが0.1mmのポリイミドからなる樹脂ベルトと、その樹脂ベルトの上に厚さ0.8mm、1.2mmのウレタンスポンジからなる弾性層を有する弾性ベルトとを用い、それぞれニップ長さを測った。なお、ベルトと金属ローラとの接触圧は80N、ベルトの移動方向(長手方向)の長さは400mmとした。また、弾性層のヤング率は0.3(MPa)とした。なお、ヤング率は「FISCHERSCOPE HM2000S」(フィッシャー社製)によって測定可能である。
図3に示すように、ベルトの厚さが1mm以上でなければ、接触圧80Nでは、トナーを除去するに足るニップ長さ(例えば1.2mm)を確保することができない。そこで、トナーを除去するに足るニップ長さを確保するために、接触圧を80N以上にすることが考えられる。しかし、接触圧を高くしすぎると、ベルトに破断が生じやすくなる。本実施形態では、接触圧の上限を300Nとしている。特に、液体現像剤を担持する中間転写ベルトに弾性ベルトを用いると、金属ローラを押し当てることに起因するベルトの伸縮に伴って微小クラックが生じやすく、そこに液体現像剤が入り込んで、ベルトが膨潤したり、あるいはベルトの電気抵抗率が変化し得る。これを避けるために、中間転写ベルト21には、厚さが1mm以下の弾性層の薄いベルトを用いるのが望ましい。また、接触圧が低すぎる場合は、回転時にベルトの厚さムラや駆動ムラによって対向ローラ40あるいはクリーニングローラ31と、ベルトとの距離が離れることが考えられる。この場合、物理ニップ幅あるいはテンションニップ幅が失われ、クリーニング能力が低下してしまう。従って、接触圧は上記したニップ幅にぶれが生じない程度に、可能な限り低い方が望ましい(例えば30N)。本実施形態では、接触圧の下限値を30Nとしている。このように、本実施形態では接触圧を30N以上300N以下とした。
<トナーの電気泳動>
次に、ニップ部T3におけるトナーの電気泳動について、図4を用いて説明する。図4はトナーの電気泳動をモデル化して説明するための図であり、ここでは図示の都合上、中間転写ベルト21を直線状に示した。
上述したように、ベルトクリーニング装置30は、中間転写ベルト21上のトナーFを電界の作用によって電気的に除去する(所謂、電気泳動)。その際に、中間転写ベルト21からクリーニングローラ31に、トナーFを電気泳動により確実に移動させるべく、ニップ部T3のニップ長さLを確保する必要があり、そのニップ長さL(m)は以下に示す式1を満たす長さである。
(μ×E)×(L/P)>d ・・・ 式1
式1中のμ(m2/(V×s))はトナー移動度、E(V/m)はクリーニングローラ31への電圧の印加に伴いニップ部T3に生じる電界の強さ、P(m/s)は中間転写ベルト21の回転速度、d(μm)はニップ部T3における液体現像剤Gの液厚である。なお、ニップ長さLは、トナー画像として記録材の全面にトナーが載ったいわゆるベタ画像を二次転写した場合に、二次転写後に中間転写ベルト21上に残るトナーを電気泳動によりクリーニング可能な長さである。
そして、式1の左辺は、(μ×E)で表されるトナーの移動速度と、(L/P)で表されるニップ部T3を通過するのに係る通過時間との積、即ち中間転写ベルト21からクリーニングローラ31に向かってトナーが電気泳動により移動できる距離である。他方、式1の右辺は上記の通り、ニップ部T3における液体現像剤の液厚である。つまり、式1の左辺が右辺より大きくなるニップ長さLが確保されていれば、トナーはニップ部T3を通過する間に液体現像剤の液厚を介して中間転写ベルト21からクリーニングローラ31に移動可能である。一例として、トナー移動度は1.00-10~1.00-11(m2/(V×s))である。電界は、90(V/μm)である。中間転写ベルト21の回転速度は、600(mm/s)である。ニップ部T3における液体現像剤の液厚dは、2(μm)である。このような場合、ニップ長さLは1.5(mm)以上に確保すればよい。ただし、ニップ長さLを長くすると、中間転写ベルト21のクリーニングローラ31に対する巻き付き角が大きくなる。その場合、中間転写ベルト21が回転に伴って繰り返し屈曲しやすくなるので、ベルト寿命の観点から好ましくない。この点に鑑み、中間転写ベルト21のクリーニングローラ31に対する巻き付き角は、90°未満が好ましい。より好ましくは45°未満、さらに好ましくは20°未満が好ましい。
ここで、上記した式1中のトナー移動度、電界、ニップ長さ、液体現像剤の液厚の測定について説明する。トナー移動度μは、以下の式2で表すことができる。
μ=|v/E|=Q/(6π×η×α) ・・・ 式2
式2中のv(m/s)はトナーの移動速度、E(V/m)はクリーニングローラ31への電圧の印加に伴いニップ部T3に生じる電界の強さである。また、Q(C)は液体現像剤中のトナーが有する電荷量、πは円周率、ηは液体現像剤の粘度(Pa・s)、α(μm)はトナーの直径である。一例として、液体現像剤の粘度は4.0(Pa・s)、トナーの外径は1.0(μm)であり、トナー移動度はこれらのパラメータから算出できる。また、トナーの移動速度は、本実施形態の場合、約9~90(m/s)である。トナーの電荷量については、上記の定量化された各種のパラメータから算出することが可能である。なお、トナー移動度は、ゼータ電位計測定装置Zeta‐APS(Matec applied science社製)などの測定器によって測定することで、定量化が可能である。
電界は、一般的に以下の式3によって求められる。β(V)はクリーニングローラ31に印加した電圧値であり、d(μm)はニップ部T3における液体現像剤の液厚である。
E=β/d ・・・ 式3
なお、電界に関しては、クリーニングローラ31から液体現像剤及び中間転写ベルト21の抵抗体を介して対向ローラ40に至るまでの経路を直列回路によりモデル化し、その回路計算によって求めることができる。一例として、クリーニングローラ31に印加した電圧値は1000(V)、液体現像剤の電気抵抗率は6.0E+6(Ω・cm)、液体現像剤の液厚は2(μm)である。また、中間転写ベルト21の電気抵抗率は1.0E+10(Ω・cm)、中間転写ベルト21の厚さは100(μm)である。この場合、電界は約90(V/μm)と算出される。
ニップ長さは、画像形成中に主電源を切るなどして瞬停を起こさせ、停止した状態でニップ部T3の長さを測ればよい。ここで、ニップ長さはクリーニングローラ31と対向ローラ40の直径、及び中間転写ベルト21の変形量によって決まる。本実施形態において、クリーニングローラ31の直径は28mmであり、対向ローラ40の直径は21mmである。なお、クリーニングローラ31及び対向ローラ40の表面粗さは、JIS B 0031:2003規格で0.2μmより小さいものである。これらローラの表面粗さは、PU‐OS400(小坂研究所製)によって測定可能である。
液体現像剤の液厚は、ニップ部T3を通過した中間転写ベルト21の表面からスクレーパーなどで液体現像剤の一部を剥ぎ取り、共焦点顕微鏡などを用いて液体現像剤を剥ぎ取った箇所と剥ぎ取っていない箇所との高低差を実測する。そして、実測した高低差の2倍の値を液体現像剤の液厚とする。即ち、ニップ部T3における液体現像剤はニップ部T3を通過すると、中間転写ベルト21とクリーニングローラ31とになき別れる。それ故、ニップ部T3を通過した中間転写ベルト21の表面上の液体現像剤の液厚は、ニップ部T3における液体現像剤の液厚の半分となる。そこで、上記のように実測した高低差を2倍することで、ニップ部T3における液体現像剤の液厚を求めることができる。なお、共焦点顕微鏡は、例えば共焦点顕微鏡VK8700(キーエンス社製)を用いればよい。
<クリーニングニップ部>
上述したように、本実施形態では、電気泳動により中間転写ベルト21からクリーニングローラ31に液体現像剤を介してトナーを移動させるために、上記した式1を満たすニップ長さLでニップ部T3を形成する必要がある。そうするために、本実施形態では、中間転写ベルト21をクリーニングローラ31に巻き付かせるようにして、クリーニングローラ31と対向ローラ40とが配置される。図5を用いて説明する。
図5に示すように、本実施形態の場合、クリーニングローラ31は中間転写ベルト21を外側から内側に押し込むように、中間転写ベルト21をベルト内側に屈曲させている。クリーニングローラ31は、二次転写内ローラ25と駆動ローラ23の共通外接線のうち中間転写ベルト側(ベルト部材側)の共通外接線Zよりも内側に中間転写ベルト21を張り出している。駆動ローラ23と二次転写内ローラ25の少なくとも一方のローラは、対向ローラ40の回転中心とクリーニングローラ31の回転中心とを結ぶ直線Hと対向ローラ40との交点Jを通る接線Iに対して、クリーニングローラ31と同じ側に設けられる。言い換えれば、接線Iを基準に対向ローラ40と逆側の領域Yに侵入する位置に設けられる。ここでは、駆動ローラ23と二次転写内ローラ25の両方共が領域Yに侵入するように設けられている。本実施形態の場合、駆動ローラ23は、クリーニングローラ31及び対向ローラ40よりも移動方向下流側で中間転写ベルト21を最初に張架する第一ローラである。他方、二次転写内ローラ25は、クリーニングローラ31及び対向ローラ40よりも移動方向上流側で中間転写ベルト21を最初に張架する第二ローラである。
クリーニングローラ31は、中間転写ベルト21を外側から内側に向け押圧するように回転自在に固定されている。他方、対向ローラ40は、加圧ばね41によって中間転写ベルト21を内側から外側に向け押圧するように、対向ローラ40を両端で支持する軸受け(不図示)が加圧ばね41によって付勢されている。なお、ここではクリーニングローラ31を固定する一方で対向ローラ40を加圧ばね41によってばね付勢させるようにしたが、クリーニングローラ31と対向ローラ40の少なくとも一方が回転自在に固定されており、他方がばね付勢されていればよい。
中間転写ベルト21を屈曲させた場合、中間転写ベルト21を屈曲させない場合に比べて、クリーニングローラ31に対する中間転写ベルト21の巻き付き量が増す。上述したように、ニップ部T3は物理ニップT3bとテンションニップT3aとを有し(図2(b)参照)、中間転写ベルト21の巻き付き量が増えるに伴いテンションニップT3aは長くなる。こうしてテンションニップT3aを長くすることで、ニップ部T3のニップ長さを上記式1を満たす長さにすることができ、もって中間転写ベルト21上のトナーを電気泳動により十分に除去させ得る。
本実施形態において、トナーが電気泳動するのに必要なニップ長さLと電界Eとの関係は、上記の式1を変形した式4で表すことができる。
E>(d×P/μ)/L ・・・ 式4
ここで、ニップ長さと電界の強さ(電界強度)との関係を図6に示す。図6では、トナー移動度が1.00-11(m2/(V×s))である場合を実線で示し、トナー移動度が1.00-10(m2/(V×s))である場合を点線で示している。このグラフによって示されるのは、ニップ長さ毎に必要とされる最低の電界強度である。例えば、トナー移動度が1.00-10(m2/(V×s))である場合に、ニップ長さが1.5mmであれば、約1.0E+1(V/μm)より大きい電界強度が得られなければ、電気泳動によりトナーが移動し得ない。従って、それぞれの線が示す電界強度以上の電界が得られれば、ニップ部T3において電気泳動によりトナーが移動し得る。ただし、電界強度には上限がある。これは、電界強度が強すぎると、ニップ部T3近傍で放電が発生してしまい、クリーニング性が低下するからである。本実施形態の場合、1.0E+2(V/μm)より大きい電界強度で放電が生じてしまうので、電界強度は1.0E+2(V/μm)以下である。
なお、本実施形態の場合、トナー移動度は1.00-11(m2/(V×s))であるとしてよい。なぜなら、使用に伴ってトナー移動度は低下し得るが、トナー移動度が下限値を満たしている場合には、ベルトクリーニング装置30によるクリーニング性が保証されるからである。
次に、クリーニングローラ31、対向ローラ40に金属ローラ又はゴムローラのいずれかを用いて、上記のように中間転写ベルト21を屈曲させた場合と中間転写ベルト21を屈曲させない場合とに関して、クリーニング性能を比較する実験を行った。その実験結果を表1に示す。実験で用いたクリーニングローラ31は直径が28mm、対向ローラ40は直径が21mmである。また、ゴムローラはウレタンゴムからなる弾性層の厚さが2mmであり、そのヤング率は0.3(MPa)である。なお、以下で説明する第一例、第二例、第四例は比較例であり、第三例、第五例が本実施形態に相当する。
第一例として、クリーニングローラ31と対向ローラ40とが共にゴムローラであって、クリーニングローラ31の張り出し量が「0mm」の場合には、ニップ長さ「1.5mm」のニップ部T3が形成される。ここで、クリーニングローラ31の張り出し量は、中間転写ベルト側の共通外接線Zと、ニップ部T3のうちクリーニングローラ31と中間転写ベルト21との当接位置のうち共通外接線Zから最遠の当接位置との距離である(図5に符号Wで示す)。つまり、中間転写ベルト21を屈曲させない場合、クリーニングローラ31の張り出し量は「0」である。この場合、表1に示すように、電界強度が85(V/μm)で良好なクリーニング性能が得られる。
第二例として、クリーニングローラ31が金属ローラであり、対向ローラ40がゴムローラであって、クリーニングローラ31の張り出し量が「0」の場合には、ニップ長さ「0.8mm」のニップ部T3が形成される。この場合、表1に示すように、第一例よりも電界強度を上げても(115(V/μm))、良好なクリーニング性能が得られなかった。これは、金属ローラはゴムローラに比べて変形し難く、第一例に比較して短いニップ長さしか得られず、電気泳動によりトナーを移動させるのに十分な液体現像剤の液層を形成できるだけのニップ部T3を確保できないからである。そこで、第三例として、クリーニングローラ31の張り出し量を「5mm」つまりは中間転写ベルト21を屈曲させることにより、第一例と同等の「1.5mm」のニップ長さを確保した。「1.5mm」のニップ長さを確保することで、表1に示すように、電界強度が85(V/μm)で良好なクリーニング性能が得られる。
第四例として、クリーニングローラ31と対向ローラ40とが共に金属ローラであって、クリーニングローラ31の張り出し量が「0」の場合には、ニップ長さ「0.3mm」のニップ部T3が形成される。この場合、表1に示すように、第一例よりも電界強度を大幅に上げても(300(V/μm))、良好なクリーニング性能が得られなかった。これは、金属ローラ同士であると、より短いニップ長さしか得られず、電気泳動によりトナーを移動させるのに十分な液体現像剤の液層を形成できるだけのニップ部T3を確保できないからである。また、電界強度が大き過ぎて、放電が生じ得るからである。そこで、第五例として、クリーニングローラ31の張り出し量を第三例より大きい「7mm」とする。こうすることにより、第一例と同等の「1.5mm」のニップ長さを確保することができ、もって、表1に示すように、電界強度が85(V/μm)で良好なクリーニング性能が得られる。
以上のように、本実施形態は、電気泳動によりトナーを移動させるのに十分な液体現像剤の液層を形成できるだけのニップ部T3を確保すべく、クリーニングローラ31により中間転写ベルト21を外側から内側に押し込ませて中間転写ベルト21を屈曲させる。こうすると、クリーニングローラ31に対する中間転写ベルト21の巻き付き量が増すので、テンションニップT3aを長くし得る。テンションニップT3aを長くして、ニップ部T3のニップ長さを中間転写ベルト21上のトナーを電気泳動により十分に移動させ得る長さ(上記式1参照)にできる。このように、本実施形態では、中間転写ベルト21上のトナーを電気泳動によって十分に移動させるに足るニップ部T3を確保することが容易にできる。これにより、クリーニングローラ31の耐久性の向上とクリーニング性能の向上とを両立させることが実現できる。
[第二実施形態]
第二実施形態について、図7(a)乃至図8を用いて説明する。ここに示す第二実施形態は上述の第一実施形態と異なり、クリーニングローラ31と対向ローラ40とがオフセットして配置されることで、第一実施形態に比較して、より長いニップ長さのニップ部T3を形成しようとするものである。以下、上述の第一実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明及び図示を省略又は簡略にし、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図7(a)に示すように、本実施形態においても第一実施形態と同様に、クリーニングローラ31は、二次転写内ローラ25と駆動ローラ23の共通外接線Zのうち中間転写ベルト側の共通外接線Zよりも内側に中間転写ベルト21を張り出させている。駆動ローラ23と二次転写内ローラ25の少なくとも一方のローラは、対向ローラ40とクリーニングローラ31の回転中心を結ぶ直線Hと対向ローラ40との交点Jを通る接線Iに対して、対向ローラ40とは逆側の領域Yに侵入する位置に設けられている。ここでは、二次転写内ローラ25が領域Yに侵入する位置に設けられている。
また、第一実施形態と異なり、クリーニングローラ31と対向ローラ40とはオフセットして配置されている。即ち、クリーニングローラ31は、共通外接線Zとクリーニングローラ31の回転中心Mを通る垂線の第一交点Nと、共通外接線Zと対向ローラ40の回転中心Oを通る垂線の第二交点Qとが、移動方向にずれるように配置されている。ただし、本実施形態の場合、物理ニップT3bの移動方向中央位置がニップ部T3の移動方向中央位置よりも下流側に配置されている(図7(b)参照)。そして、クリーニングローラ31は中間転写ベルト21を外側から内側に向け押圧し、対向ローラ40は加圧ばね41によって中間転写ベルト21を内側から外側に向け押圧している。なお、クリーニングローラ31と対向ローラ40は、物理ニップT3bが形成される範囲でオフセットしている。物理ニップT3bを形成することで、放電を抑制できる。
クリーニングローラ31と対向ローラ40とをオフセットして配置することで、上述した第一実施形態に比べクリーニングローラ31の張り出し量を大きくせずとも、上記した式1を満たすニップ長さのニップ部T3を形成することができる。即ち、図7(b)に示すように、オフセット配置によりクリーニングローラ31に対する中間転写ベルト21の巻き付き量が増し、テンションニップT3aを長くすることができる。テンションニップT3aを長くして、ニップ部T3のニップ長さを上記式1を満たす長さにすることで、中間転写ベルト21上のトナーを電気泳動により十分に除去させ得る。このような第二実施形態は、クリーニングローラ31と対向ローラ40とが共に金属ローラである場合に特に有効である。
そして、図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施形態の場合、クリーニングローラ31が対向ローラ40よりも中間転写ベルト21の移動方向上流で中間転写ベルト21に当接するように配置されるのが好ましい。即ち、クリーニングローラ31は対向ローラ40に対し、第一交点Nが第二交点Qよりも中間転写ベルト21の移動方向上流に位置するように配置されるのが好ましい。これは、放電が生じることによるクリーニング性能の低下を抑制するためである。
上記の放電について、図7(b)を参照しながら図8を用いて説明する。なお、図8には、クリーニングローラ31が対向ローラ40に対しオフセット配置されていない場合(図5参照)についても図示した。本実施形態では、上述したように、クリーニングローラ31と対向ローラ40とをオフセットして配置することで、テンションニップT3aを長くしている。そうすると、クリーニングローラ31から中間転写ベルト21へ流れる電流の経路は広がるものの、対向ローラ40の位置によっては電流の経路が絞られる。そして、図8に示すように、クリーニングローラ31が対向ローラ40aよりも移動方向下流側にオフセット配置されている場合には、放電が生じやすくなる。即ち、この場合には、クリーニングローラ31から中間転写ベルト21への電荷注入が少ない状態で中間転写ベルト21から対向ローラ40aに向かって電流が集中する。特に、中間転写ベルト21の移動方向上流側の物理ニップT3bで、クリーニングローラ31表面と中間転写ベルト21表面間の電位差が大きくなり、移動方向上流側で放電が生じ得る。この場合、移動方向上流側は未だトナーがクリーニングローラ31側に多く残っている状態であるから、放電がクリーニング性能に与える影響は大きい。
他方、クリーニングローラ31が対向ローラ40bよりも移動方向上流側にオフセット配置されていると、移動方向上流側で放電が生じ難くなる。即ち、この場合には、クリーニングローラ31から中間転写ベルト21への電荷注入がテンションニップT3aで起きてから、物理ニップT3bで中間転写ベルト21から対向ローラ40bに向かって電流が集中する。そうなると、中間転写ベルト21の移動方向上流側で、クリーニングローラ31表面と中間転写ベルト21表面間の電位差が大きくならず、放電が生じ難い。また、この場合には、例え中間転写ベルト21の移動方向下流側の物理ニップT3bで放電が生じたとしても、ほとんどのトナーは既にクリーニングローラ31側に移動した後であるので、クリーニング性能に与える影響は軽微である。
表2に、クリーニングローラ31と対向ローラ40とを移動方向上流側、移動方向下流側それぞれにオフセット配置した場合について、クリーニング性能を比較した結果を示す。また、参考のために、クリーニングローラ31が対向ローラ40に対しオフセット配置されていない場合についても、クリーニング性能を示した(表2中の中央)。
表2から理解できるように、クリーニングローラ31と対向ローラ40とをオフセットして配置する場合、クリーニングローラ31が対向ローラ40bよりも移動方向上流側にオフセット配置される方が、クリーニング性能が良好である。反対に、クリーニングローラ31が対向ローラ40bよりも移動方向下流側にオフセット配置されると、上述したとおり移動方向上流側で放電が生じてしまい、若干のトナー残りが発生する。トナー残りの濃度はX-rite社の濃度計で計測し、約0.008程度であった。これは、トナー残りの濃度が約0.003以下である、クリーニングローラ31が対向ローラ40bよりも移動方向上流側にオフセット配置された場合に比べて、クリーニング性能が低下していることを表している。
以上のように、第二実施形態では、クリーニングローラ31と対向ローラ40bとをオフセット配置することで、中間転写ベルト21上のトナーを電気泳動によって十分に移動させるに足るニップ部T3を確保することが容易にできる。特に、クリーニングローラ31を対向ローラ40bよりも移動方向上流側にオフセット配置すると、クリーニング性能をより良好にし得る。従って、第二実施形態においても、クリーニングローラ31の耐久性の向上とクリーニング性能の向上とを両立させることが実現できる、という第一実施形態と同様の効果が得られる。
[第三実施形態]
上述した第一実施形態及び第二実施形態では、クリーニングローラ31により中間転写ベルト21を外側から内側に押し込ませて中間転写ベルト21を屈曲させる例を示したが、これに限られない。例えば、対向ローラ40により中間転写ベルト21を内側から外側に押し込ませて中間転写ベルト21を屈曲させてもよい。こうした第三実施形態について、図9を用いて説明する。なお、本実施形態においても、上述の第一実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明及び図示を省略又は簡略にし、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図9に示すように、本実施形態の場合、対向ローラ40は中間転写ベルト21を内側から外側に押し込むように、中間転写ベルト21をベルト外側に屈曲させている。具体的に、対向ローラ40は、二次転写内ローラ25と駆動ローラ23の共通外接線のうち中間転写ベルト側の共通外接線Zよりも外側に中間転写ベルト21を張り出している。駆動ローラ23と二次転写内ローラ25の少なくとも一方のローラは、対向ローラ40とクリーニングローラ31の回転中心を結ぶ直線Hと対向ローラ40との交点Jを通る接線Iに対して、対向ローラ40とは逆側の領域Yに侵入する位置に設けられる。ここでは、二次転写内ローラ25が領域Yに侵入する位置に設けられている。
対向ローラ40は、加圧ばね41によって中間転写ベルト21を内側から外側に向け押圧する。他方、クリーニングローラ31は、中間転写ベルト21を外側から内側に向け押圧するように回転自在に固定されている。
本実施形態の場合、単に中間転写ベルト21をベルト外側に屈曲させただけでは、クリーニングローラ31に対する中間転写ベルト21の巻き付き量が増えない。中間転写ベルト21の巻き付き量が増えなければ、テンションニップT3aを長くすることができず、ニップ部T3のニップ長さを上記式1を満たす長さにできない。そこで、本実施形態では、物理ニップT3bを形成した状態で、クリーニングローラ31と対向ローラ40とをオフセットして配置する必要がある。クリーニングローラ31と対向ローラ40bとをオフセット配置することで、中間転写ベルト21上のトナーを電気泳動によって十分に移動させるに足るニップ部T3を確保することが容易にできる。なお、この場合も、上述した第二実施形態と同様に、クリーニングローラ31を対向ローラ40bよりも移動方向上流側にオフセット配置すると、移動方向下流側にオフセット配置した場合に比較して、クリーニング性能をより良好にし得る。
以上のように、第三実施形態においても、中間転写ベルト21上のトナーを電気泳動によって十分に移動させるに足るニップ部T3を確保することが容易にできる。これにより、クリーニングローラ31の耐久性の向上とクリーニング性能の向上とを両立させることが実現できる。
[他の実施形態]
上述した第一~第三実施形態のベルトクリーニング装置30は、二次転写ベルトをクリーニングする二転ベルトクリーニング装置に適用可能である。以下、図10を用いて説明する。図10に示すように、中間転写ベルト21に転写されたトナー像を記録材Pに二次転写するために、二次転写ユニット50を備えた画像形成装置が提案されている。二次転写ユニット50は、二次転写外ローラ26を含む複数のローラによって張架されるようにして、回転自在に設けられた無端状の二次転写ベルト51を有する。ベルト部材としての二次転写ベルト51は、樹脂ベルトが採用される。具体的にはポリイミドで構成されている。そして、二次転写ベルト51上(二次転写ベルト上)のトナーをキャリア液とともに除去するため、二転ベルトクリーニング装置30Aが配設されている。二転ベルトクリーニング装置30Aは、上述した第一~第三実施形態のベルトクリーニング装置30と同様であってよいので、ここでは説明を省略する。
なお、上述した第一~第三実施形態では、中間転写ベルト21上の残留トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置30に本発明を適用した例を示したが、これに限らない。本発明は、例えば感光ドラム11Y~11Kから中間転写ベルト21にトナーを転写可能な一次転写部T1に適用可能である。この場合、感光ドラム11Y~11Kが外ローラに相当し、一次転写ローラ22Y~22Kが内ローラに相当する。また、中間転写ベルト21からトナー像を記録材Pに転写可能な二次転写部T2に適用可能である。この場合、二次転写内ローラ25が内ローラに、二次転写外ローラ26が外ローラに相当する。
上述した第一~第三実施形態では、物理ニップT3bが形成されることを前提に説明したが、これに限定されない。例えば、クリーニングローラ31と中間転写ベルト21の間に物理ニップT3bを形成せずに、テンションニップT3aのみを形成するように、対向ローラ40をさらに下流側にオフセットしてもよい。物理ニップT3bが形成されない場合のベルトクリーニング装置について、図11(a)及び図11(b)を用いて説明する。図11では、上述の第二実施形態と同様の構成については同じ符号を付し(図7(a)及び図7(b)参照)、説明及び図示を省略又は簡略にする。
図11(a)に示すように、ニップ部T3の中間転写ベルト21の移動方向中央位置Sにおけるクリーニングローラ31の接線I´を考える。本実施形態の場合、図11(b)に示すように、クリーニングローラ31と中間転写ベルト21の間にテンションニップT3aのみが形成されることから、移動方向中央位置Sは中間転写ベルト21の移動方向に関しテンションニップT3aの中間である。
ここで、クリーニングローラ31よりも中間転写ベルト21の移動方向下流側で最初に中間転写ベルト21を張架するローラを第一ローラとすると、本実施形態の場合、第一ローラは対向ローラ40となる。対向ローラ40は、中間転写ベルト21と当接する位置が中間転写ベルト21の移動方向に関して、テンションニップT3aと重ならない位置に配置される(図11(b)参照)。他方、クリーニングローラ31よりも中間転写ベルト21の移動方向上流側で最初に中間転写ベルト21を張架するローラを第二ローラとすると、本実施形態の場合、第二ローラは二次転写内ローラ25となる。二次転写内ローラ25についても、中間転写ベルト21と当接する位置がテンションニップT3aと重ならない位置に配置される。そして、上記の接線I´に対して、これら対向ローラ40(第一ローラ)、二次転写内ローラ25(第二ローラ)の少なくとも一方のローラが、クリーニングローラ31と同じ側に設けられていればよい。本実施形態では、対向ローラ40、二次転写内ローラ25のいずれもが接線I´に対してクリーニングローラ31と同じ側に設けられている。