以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の乗員保護装置10は、図1,2に示すように、車両1の前席側における助手席前方の車体側部位に、すなわち、インストルメントパネル(インパネ)2の部位に、搭載されている。
助手席のシート4は、背もたれ部4aと座部4bとを備えるとともに、シート4に着座する乗員OPは、通常、シートベルト装置6のベルト6a,6bを装着して着座しており、バックル6dに組み付けるためのタングプレート6cから延びるショルダーベルト6aが、乗員OPの胸部Bの前方に配置され、タングプレート6cから延びるラップベルト6bが、腰部Wの前方に配設されている。
乗員保護装置10は、エアバッグ20、エアバッグ20に膨張用ガスGを供給するインフレーター14、及び、エアバッグ20に配設されるテザー40の長さ調整を行う長さ調整手段としてのアクチュエータ16と、を備えて構成されている。
なお、乗員保護装置10におけるインフレーター14とアクチュエータ16との作動は、制御装置ECUにより制御される。制御装置ECUは、車両1の衝突を検知するフロントバンパ等に配設された衝突検知センサからの信号を入力して、衝突したと判定すると、インフレーター14を作動させる。また、そのインフレーター14を作動させようとする時、制御装置ECUは、インパネ2等に搭載されたカメラ等の作動確認センサSにより、乗員OPが、通常位置より離れて着座していると判定していれば、アクチュエータ16を作動させる。
エアバッグ20は、シート4の前方におけるインパネ2の上面側を収納位置(収納部位)12として、収納位置12に折り畳まれて収納され、図1,2に示すように、膨張完了状態における収納位置12側からの後方側への突出量を大小2種類とした大突出量モードMPと小突出量モードSPとして、展開膨張する。エアバッグ20は、インフレーター14からの膨張用ガスGを流入させて膨張するバッグ本体21と、先端41をバッグ本体21に連結されるとともに元部42側を収納位置12側の調整手段としてのアクチュエータ16に連結されるテザー40と、を備えて構成されている。
バッグ本体21は、テザー40の規制のない状態での膨張完了時の基本形状を、図2に示すように、収納位置12から略楕円環状(ループ状)に突出する形状として、外周壁22が、内周側の内側壁22aと、外周側の外側壁22bと、左右の側壁22c,22dと、を備えて構成されている。外側壁22bには、前部側の下面に、インフレーター14からの膨張用ガスGをバッグ本体21内に流入させるための流入用開口23が、円形に開口されている(図3参照)。流入用開口23には、インフレーター14の膨張用ガスGを吐出される上部側が挿入され、そして、流入用開口23の周縁が、インフレーター11とともに、収納位置12側に固定されている。換言すれば、バッグ本体21は、膨張完了時の基本形状として、収納位置12側から二又状に分岐する二つの湾曲したチューブ状膨張部位30,31を有した形状としている。チューブ状膨張部位30,31は、流入用開口23側から離れた後端を上下から合流させるように、連結されている。合流地点は、後述するようにテザー40の先端41を連結させるテザー連結部37としている。すなわち、チューブ状膨張部位30,31は、収納位置12側からテザー連結部37に向かって、共に、略U字状(詳しくは、チューブ状膨張部位30が略U字状、チューブ状膨張部位31が上下を反転させた略U字状、すなわち、略逆U字状)に膨らむように湾曲する形状としている。換言すれば、膨張完了時のバッグ本体21は、流入用開口側から上下に分岐するチューブ状膨張部位31側の上側部31cと、チューブ状膨張部位30側の下側部30cとを備えるとともに、先端側の合流部位としての上側部31cと下側部30cとの後端相互の連結部位となる後側部32、を備えて構成される。
バッグ本体21の外周壁22を構成する基布は、図3に示すように、内側壁22aを構成する内側用基布45、外側壁22bを構成する外側用基布46、左側壁22cを構成する左側用基布47、及び、右側壁22dを構成する右側用基布48から構成されている。そして、外周壁22は、左側用基布47の外周縁47aと外側用基布46の側縁46aとを縫合し、左側用基布47の内周縁47bと内側用基布45の側縁45aとを縫合し、また、右側用基布48の外周縁48aと外側用基布46との側縁46bとを縫合し、右側用基布48の内周縁48bと内側用基布45の側縁45bとを縫合し、さらに、内側用基布45の両端45c,45d相互を縫合し、外側用基布46の両端46c,46d相互を縫合して、形成されている。これらの縫合を終えた後には、縫代が外表面側に表われないように、流入用開口23を利用して、裏返すこととなる。
なお、内側用基布45の両端45c,45dの相互の縫合部位と、外側用基布46の両端46c,46dの相互の縫合部位とには、左右方向の中央付近に、未縫合部位45e,46eが配設されて、内側壁22aと外側壁22bとに、テザー40を通す未縫合部位45e,46eからなる貫通孔22aa,22baが形成されている。
また、バッグ本体21内には、流入用開口23の周縁に、流入用開口23から流入する膨張用ガスを左右両側に流す整流布25が配設されるとともに、内側壁22aと外側壁22bとが所定以上離隔しないように、内側壁22aと外側壁22bとを連結する連結片26,27,28が、配設されている。連結片26,27,28は、内側用基布45に連結される内側布26a,27a,28aと、外側用基布46に連結される外側布26b,27b,28bと、から構成され、それぞれ、内側布26a,27a,28aをそれぞれ内側用基布45に連結させ、また、外側布26b,27b,28bをそれぞれ外側用基布46に連結させた後、外周壁22を縫合して形成したバッグ本体21を、流入用開口23を経て反転させた後、対応する内側布26a,27a,28aと外側布26b,27b,28bとを、流入用開口23から引き出して、相互に連結し、バッグ本体21内に収納して、配設されている。
なお、整流布25は、整流布用シート材25aを流入用開口23の周縁に縫合しておき、バッグ本体21を流入用開口23を経て反転させた後、前後両端25b,25cを、流入用開口23から引き出して相互に縫合し、そして、縫合部位をバッグ本体21内に収納して、配設されている。
テザー40は、先端41が、膨張完了時のバッグ本体21の内側壁22aの後端部位、詳しくは、内側用基布45の長尺方向の中間位置としたテザー連結部37、に縫合により結合されている。このテザー連結部37は、換言すれば、流入用開口23側(収納位置12側)から二又状に分岐したチューブ状膨張部位30,31の先端部位(後端部位)の相互の合流位置(後側部32)に配置されている。また、テザー40の元部42には、円環状の連結孔42a(図3参照)が形成されている。そして、元部42は、長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17を連結孔42aに挿入させて、係止ピン17に係止されている。なお、テザー40は、テザー連結部37に連結させた先端41から、係止ピン17に元部42を係止させた状態では、バッグ本体21の内側壁22aの貫通孔22aaを経て、バッグ本体21内に進入し、さらに、外側壁22bの貫通孔22baを経て、バッグ本体21外に突出して、アクチュエータ16の係止ピン17に係止されている。
このテザー40は、元部42側を連結させた収納位置12側、詳しくは、収納位置(収納部位)12の前縁12aから、先端41を連結させた膨張完了時のバッグ本体21のテザー連結部37まで、の距離を、大突出量モードMPと小突出量モードSPとに対応させて、第1距離L1(図1参照)と、第1距離L1より長い第2距離L2(図2参照)と、の長短の二種類に調整できるように、収納位置12側に設けられた長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17に、連結されている。
第1実施形態の場合、第1距離L1は、元部42が係止ピン17に係止された状態でバッグ本体21が膨張完了させた状態における収納位置12(前縁12a)側からテザー連結部37までの距離であり、第2距離L2は、元部42の係止が解除された状態のバッグ本体21の膨張完了形状における収納位置12(前縁12a)からテザー連結部37までの距離としている。
アクチュエータ16は、マイクロガスジェネレータ(MGG)等から形成されて、制御装置ECUからの作動信号を入力すると、係止ピン17をテザー40の元部42に設けられた連結孔42aから引き抜くように、作動される。なお、制御装置ECUは、既述したように、作動確認センサSが通常位置より乗員OPが後方にいることを検知している際、その信号を入力した制御装置ECUが、衝突検知との判定に伴なうインフレーター14の作動とともに、アクチュエータ16を作動させることとなる。
そのため、バッグ本体21は、テザー40の元部42側が係止ピン17に係止された状態で、収納位置12側からテザー連結部37までの距離を第1距離L1として膨張する小突出量モードSPでの膨張完了時には、収納位置12側から後端側のテザー連結部37に向かって、略U字状に湾曲するチューブ状膨張部位30,31を備えることとなり、そのバッグ本体21の小突出量モードSPでの形状は、チューブ状膨張部位30,31の内周面30a,31a側における収納位置12側(流入用開口23側)の開口側部位30b,31bに対し、テザー連結部37側が接近する形状となる。
そして、アクチュエータ16が作動されて係止ピン17が連結孔42aから引き抜かれて、テザー40が解放された状態では、バッグ本体21は、収納位置12側からテザー連結部37までの距離を第2距離L2として膨張する大突出量モードMPで膨張を完了させることとなり、その大突出量モードMPでの形状は、チューブ状膨張部位30,31の内周面30a,31a側における流入用開口23側の開口側部位30b,31bに対し、小突出量モードSPの場合より、テザー連結部37側を後方へ移動させた形状、となる。
その結果、エアバッグ20のバッグ本体21は、図1に示すように、小突出量モードSPで膨張を完了させれば、通常位置の乗員OPの頭部Hや胸部Bを受けとめることができ、図2に示すように、大突出量モードMPで膨張を完了させれば、通常位置より後方に着座している乗員OPの頭部Hや胸部Bを受け止めることができる。
以上のように、これらの小突出量モードSPと大突出量モードMPとは、湾曲したチューブ状膨張部位30,31が、その湾曲状態を強く湾曲させたり、湾曲の度合いを緩くしたりすることにより、具体的には、湾曲状態を強く湾曲させれば、小突出量モードSPとなり、湾曲状態を緩くすれば、大突出量モードMPとなるものであり、容積自体の増減の影響を抑えて、単に、チューブ状膨張部位30,31の湾曲状態を調整するだけで、小突出量モードSPや大突出量モードMPとして、バッグ本体21を展開膨張させることができる。
したがって、第1実施形態の乗員保護装置10では、エアバッグ20におけるバッグ本体21の突出量を可変としても、バッグ本体21自体の容量の増加を抑えて、エアバッグ20の突出量を調整することができる。
そして、第1実施形態の乗員保護装置10では、バッグ本体21が、膨張完了時、チューブ状膨張部位30,31を、流入用開口23側から分岐し、かつ、先端側のテザー連結部37付近で合流するように、二つ配設させる構成としている。
そのため、第1実施形態では、バッグ本体21の小突出量モードSPでの展開膨張完了時、テザー連結部37付近が、二つのチューブ状膨張部位30,31の合流部位となるとともに、テザー40に引っ張られることから、平面状となり、その平面状部位33が、広い面積で乗員OPを受け止めることができ、かつ、曲げ変形して、乗員OPを受け止めて保護できる。また、バッグ本体21の大突出量モードMPでの展開膨張完了時には、テザー連結部37付近が、後方へ突出して、小さな平面状部位34となるものの、その狭い平面状部位34で乗員OPを受け止める際、その平面状部位34から前方に延びる二つのチューブ状膨張部位30,31の部位が、前後方向に略沿って柱状に配設されて、それらの柱状支持部35の座屈変形により、乗員OPを受け止めて保護できる。
なお、小突出量モードSPや大突出量モードMPでのバッグ本体21は、膨張完了時、収納位置12の近傍のインパネ2やウインドシールド3等の車体側部材に支持されて、反力を確保して、乗員OPを受け止めることとなる。換言すれば、バッグ本体21の膨張時若しくは乗員受止時、下側部30cが少なくとも前部側でインパネ2に支持され、上側部31cが少なくとも前部側(図例の場合には略全域)でウインドシールド3に支持されることができて、後側部32で乗員OPを受け止める際の反力を、インパネ2とウインドシールド3とから十分確保でき、乗員OPを好適に保護できる。
また、第1実施形態のエアバッグ20では、小突出量モードSPの際、テザー40は、先端41側から元部42側にかけての一部を、貫通孔22aa,20baを経てバッグ本体21内に貫通させて、長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17に連結されている。
そのため、第1実施形態では、二つのチューブ状膨張部位30,31が、収納位置12に配置された流入用開口23付近から二つに分岐するように配設されていても、テザー連結部37から延びるテザー40を、バッグ本体21内に貫通させて、収納位置12に配置された長さ調整手段のアクチュエータ16の係止ピン17に、円滑に連結させることができる。
なお、第1実施形態では、エアバッグ20のバッグ本体21における大突出量モードMPでの膨張時、長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17を、テザー40の元部42側の連結孔42aから抜いて、テザー40を解放した状態としたが、テザー40は、収納位置12側からテザー連結部37までの離隔距離として、第2距離L2を確保できれば、元部42側に余裕分を設けておき、元部42側を部分的に解放し、元部42の端末を解放せずに、収納位置12側に連結維持させるように構成してもよい。そして、適宜、多段でテザー40の元部42側を解放させる構成として、第1距離L1や第2距離L2の他、第3距離や第4距離等として、テザー40による収納位置12側からテザー連結部37までの規制距離を、大小3段階以上、設定してもよく、その場合には、突出量モードとしても大小3種類以上として、バッグ本体21を膨張させることができる。
また、第1実施形態では、膨張完了時のバッグ本体21として、上側部31c、下側部30c、及び、後側部32が、それぞれ、内部に、チューブ状膨張部位30,31の内側壁22aと外側壁22bとの離隔距離を規制する連結片26,27,28を、配設させて構成されている。
そのため、第1実施形態では、膨張完了時のバッグ本体21が、上側部31c、下側部30c、及び、後側部32の厚さ寸法を規制されることから、ループ状の膨張完了形状を安定させることができ、乗員受止時の保護性能を安定させることができる。
さらに、第1実施形態では、バッグ本体21として、流入用開口23側(収納位置12側)から分岐してテザー連結部37付近で合流する2つのチューブ状膨張部位30,31を上下に配設させたものを例示したが、左右で分岐する構成でもよく、さらに、チューブ状膨張部位としては、容積の増加を抑制できるように、外膨らみの湾曲するチューブ状膨張部位を、3つ以上、配設させてもよい。あるいは、図4~6に示す第2実施形態の乗員保護装置10Aのように、エアバッグ50におけるバッグ本体51のチューブ状膨張部位55が、収納位置12側から先端のテザー連結部61に向かって、略U字状に湾曲して延びる一つ、として配設される構成としてもよい。
このエアバッグ50は、第1実施形態と同様に、シート4の前方におけるインパネ2の上面側を収納位置12として、収納位置12に折り畳まれて収納され、図4,5に示すように、膨張完了状態における収納位置12からの後方側への突出量を大小2種類とした大突出量モードMPと小突出量モードSPとして、展開膨張する。エアバッグ50は、インフレーター14からの膨張用ガスGを流入させて膨張するバッグ本体51と、先端66をバッグ本体51に連結されるとともに元部67側を収納位置12側の調整手段としてのアクチュエータ16に連結されるテザー65と、を備えて構成されている。
バッグ本体51は、テザー65の規制のない状態での膨張完了時の基本形状を、図5に示すように、収納位置12から下膨らみの略U字状に突出する形状として、外周壁52が、内周側の内側壁52aと、外周側の外側壁52bと、左右の側壁52c,52dと、を備えて構成されている。外側壁52bには、前部側の下面に、インフレーター14からの膨張用ガスGをバッグ本体51内に流入させるための流入用開口53が、円形に開口されている(図6参照)。流入用開口53には、インフレーター14の膨張用ガスGを吐出される上部側が挿入され、そして、流入用開口53の周縁が、インフレーター14とともに、収納位置12側に固定されている。換言すれば、膨張完了時の基本形状として、流入用開口53の部位から下方へ略U字状に湾曲するチューブ状膨張部位55を有した形状としている。
バッグ本体51の外周壁52を構成する基布は、図6に示すように、内側壁52aを構成する内側用基布70、外側壁52bを構成する外側用基布71、左側壁52cを構成する左側用基布72、及び、右側壁52dを構成する右側用基布73から構成されている。そして、外周壁52は、左側用基布72の外周縁72aと外側用基布71との側縁71aとを縫合し、左側用基布72の内周縁72bと内側用基布70の側縁70aとを縫合し、また、右側用基布73の外周縁73aと外側用基布71の側縁71bとを縫合し、右側用基布73の内周縁73bと内側用基布70の側縁70bとを縫合し、さらに、内側用基布70の前端側の端部70cと外側用基布71の前端側の端部70cとを縫合し、内側用基布70の後端側の端部70dと外側用基布71の後端側の端部71dとを縫合して、形成されている。これらの縫合を終えた後には、縫代が外表面側に表われないように、流入用開口53を利用して、裏返すこととなる。
なお、バッグ本体51内には、内側壁52aと外側壁52bとが所定以上離隔しないように、内側壁52aと外側壁52bとを連結する連結片75,76が、配設されている。連結片75,76は、内側用基布70に連結される内側布75a,76aと、外側用基布71に連結される外側布75b,76bと、から構成され、それぞれ、内側布75a,76aをそれぞれ内側用基布70に連結させ、また、外側布75b,76bをそれぞれ外側用基布71に連結させた後、バッグ本体51を、流入用開口53を経て反転させた後、対応する内側布75a,76aと外側布75b,76bとを、流入用開口53から引き出して、相互に連結し、バッグ本体51内に収納して、配設されている。
また、流入用開口53の周縁には、第1実施形態と同様に、流入用開口53から流入する膨張用ガスを左右両側に流す整流布(図示せず)が配設されており、この整流布も、第1実施形態と同様にして配設されている。
テザー65は、先端66が、膨張完了時のバッグ本体51の内側壁22aの後端部位、詳しくは、内側用基布70と外側用基布71との端部70d,71d相互の縫合部位としたテザー連結部61、に縫合により結合されている。このテザー連結部61は、換言すれば、流入用開口53から延びるチューブ状膨張部位55の先端(後端)55cに配置されている。また、テザー65の元部67には、円環状の連結孔67aが形成されている。そして、元部67は、長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17を連結孔67a(図6参照)に挿入させて、係止ピン17に係止されている。なお、テザー65は、バッグ本体51の内部に進入すること無く、外表面側に配設されている。具体的には、小突出量モードSPでの膨張完了時のバッグ本体51の外周面側において、テザー65は、テザー連結部61に連結させた先端66から、バッグ本体51の外周面側における前端側の上面51aと前面51bとに接触した状態で、アクチュエータ16の係止ピン17に係止されるように、元部67を配設させている。
このテザー65は、元部67側を連結させた収納位置12側から、先端66を連結させた膨張完了時のバッグ本体51のテザー連結部61まで、の距離を、大突出量モードMPと小突出量モードSPとに対応させて、第1距離L1(図4参照)と、第1距離L1より長い第2距離L2(図5参照)と、の長短の二種類に調整できるように、収納位置12側に設けられた長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17に、連結されている。
第2実施形態の場合、第1距離L1は、元部67が係止ピン17に係止された状態でバッグ本体51が膨張完了させた状態における収納位置12側からテザー連結部61までの距離であり、第2距離L2は、元部67の係止が解除された状態のバッグ本体51の膨張完了形状における収納位置12側からテザー連結部61までの距離としている。
そのため、第2実施形態の乗員保護装置10Aにおいて、バッグ本体51が、テザー65の元部67側が係止ピン17に係止された状態で、収納位置12側からテザー連結部61までの距離を第1距離L1として膨張する小突出量モードSPでの膨張完了時には、収納位置12側から後端側のテザー連結部61に向かって、略U字状に湾曲するチューブ状膨張部位55を備えることとなり、そのバッグ本体51の小突出量モードSPでの形状は、チューブ状膨張部位55の内周面55aにおける流入用開口53側の開口側部位55bに対し、テザー連結部61側が接近する形状となる。
そして、アクチュエータ16が作動されて係止ピン17が連結孔67aから引き抜かれて、テザー65が解放された状態では、バッグ本体51は、収納位置12側からテザー連結部61までの距離を第2距離L2として膨張する大突出量モードMPで膨張を完了させることとなり、その大突出量モードMPでの形状は、チューブ状膨張部位55の内周面55a側における流入用開口53側の開口側部位55bに対し、小突出量モードSPの場合より、テザー連結部61側を後方へ移動させた形状としている。
その結果、エアバッグ50のバッグ本体51は、図4に示すように、小突出量モードSPで膨張を完了させれば、通常位置の乗員OPの頭部Hや胸部Bを受けとめることができ、図5に示すように、大突出量モードMPで膨張を完了させれば、通常位置より後方に着座している乗員OPの頭部Hや胸部Bを受け止めることができる。
以上のように、これらの小突出量モードSPと大突出量モードMPとは、湾曲したチューブ状膨張部位55が、その湾曲状態を強く湾曲させたり、湾曲の度合いを緩くしたりすることにより、具体的には、湾曲状態を強く湾曲させれば、小突出量モードSPとなり、湾曲状態を緩くすれば、大突出量モードMPとなるものであり、容積自体の増減の影響を抑えて、単に、チューブ状膨張部位55の湾曲状態を調整するだけで、小突出量モードSPや大突出量モードMPとして、バッグ本体51を展開膨張させることができる。
したがって、第2実施形態の乗員保護装置10Aでも、エアバッグ50におけるバッグ本体51の突出量を可変としても、バッグ本体51自体の容量の増加を抑えて、エアバッグ50の突出量を調整することができる。
なお、この第2実施形態では、バッグ本体51の小突出量モードSPでの展開膨張完了時、テザー連結部61付近が、テザー65に引っ張られることから、チューブ状膨張部位55における流入用開口53側からテザー連結部61付近に到るまでの後方へ突出した部位57が、乗員OPを受け止めて保護できる。また、バッグ本体51の大突出量モードMPでの展開膨張完了時には、湾曲状態が緩められて、小突出量モードSPの乗員OPの受止部位57よりテザー連結部61付近にずれた受止部位58で、乗員OPを受け止めて保護できる。
そして、小突出量モードSPにおいて、チューブ状膨張部位55の受止部位57により乗員OPを受け止める際には、バッグ本体51は、受止部位57の前方側では、チューブ状膨張部位55の内周面55a側における受止部位57の裏面側部位55dが内周面55a側の開口側部位55bに圧接される状態となって、湾曲したチューブ状膨張部位55の全体が、収納位置12の近傍のインパネ2やウインドシールド3等の車体側部材に支持される状態となって、反力を確保して乗員OPを受け止める状態となる。
また、大突出量モードMPにおいて、チューブ状膨張部位55の受止部位58により乗員OPを受け止める際には、バッグ本体51の受止部位58は、その上部側におけるチューブ状膨張部位55の先端55cがウインドシールド3に支持され、その下部側が、開口側部位55bに棒状に延びてインパネ2やウインドシールド3に支持される柱状支持部59に、支持されることとなって、収納位置12の近傍のインパネ2やウインドシールド3により、間接的に支持されて、十分な反力を確保して、乗員OPを受け止めることができる。
なお、一つの湾曲するチューブ状膨張部位によりエアバッグのバッグ本体を構成する場合には、図7,8に示す第3実施形態の乗員保護装置10Bのように、エアバッグ50Bのバッグ本体51Bにおける湾曲するチューブ状膨張部位55Bが、小突出量モードSPと大突出量モードMPとにおいて、共に、略円環状として、乗員OPを受け止めるように構成してもよい。
このエアバッグ50Bでは、バッグ本体51Bが、チューブ状膨張部位55Bの実質的な長さ寸法を長くして、流入用開口53側の開口側部位55bからテザー連結部61Bを大きく反転させるようにして、膨張を完了させる構成としている。小突出量モードSPでは、テザー65Bの元部67を長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17に係止させ、大突出量モードMPでは、係止ピン17の係止を解除して、テザー65Bを解放している。
バッグ本体51Bでも、小突出量モードSPでの膨張完了時に、収納位置12側からテザー連結部61Bに向かって、略U字状に湾曲するチューブ状膨張部位55Bを備えるとともに、バッグ本体51Bの小突出量モードSPでの形状を、チューブ状膨張部位55Bの内周面55a側における流入用開口53側の開口側部位55bに対し、テザー連結部61B側が接近する形状とし、大突出量モードMPでの形状を、チューブ状膨張部位55Bの開口側部位55bに対し、小突出量モードSPの場合より、テザー連結部61B側を後方へ移動させた形状としている。
そして、この第3実施形態の乗員保護装置10Bでは、小突出量モードSPにおいては、図7に示すように、バッグ本体51Bが、略平面状の受止部位57Bにより、通常位置の乗員OPを受け止めることができ、大突出量モードMPにおいては、図8に示すように、バッグ本体51Bが受止部位57Bよりテザー連結部61B側に接近した受止部位58Bにより、乗員OPを受け止めることができる。
なお、図8に示す乗員OPは、背もたれ部4aを後傾させた状態のシート4に着座しており、仰向けにリラックスした姿勢での着座状態、すなわち、安楽姿勢で着座した乗員OPであり、このような乗員OPでも、的確に、バッグ本体51Bが受け止めて保護できる。
また、第2実施形態の乗員保護装置10Aでは、エアバッグ50のバッグ本体51が、逆U字状のチューブ状膨張部位55を形成して膨張する場合を示したが、図9,10に示す第4実施形態の乗員保護装置10Cのエアバッグ50Cのバッグ本体51Cのように、チューブ状膨張部位55Cが、上下を反転させた略U字状、すなわち、略逆U字状として膨張するように構成してもよい。このエアバッグ50Cでも、小突出量モードSPでは、テザー65Cの元部67を長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17に係止させ、大突出量モードMPでは、係止ピン17の係止を解除して、テザー65Cを解放している。テザー65Cは、先端66が、チューブ状膨張部位55Cの先端(後端)55cに連結され、元部67側が、バッグ本体51Cの下方側を通るように配設されて、連結孔67aに、収納位置12における後縁12b側に設けられた長さ調整手段としてのアクチュエータ16の係止ピン17を挿入させて、係止ピン17に係止されている。
バッグ本体51Cでも、小突出量モードSPでの膨張完了時に、収納位置12側からテザー連結部61Cに向かって、上下を反転させた略U字状、すなわち、略逆U字状、に湾曲するチューブ状膨張部位55Cを備えるとともに、バッグ本体51Cの小突出量モードSPでの形状を、チューブ状膨張部位55Cの内周面55a側における流入用開口53側の開口側部位55bに対し、テザー連結部61C側が接近する形状とし、大突出量モードMPでの形状を、チューブ状膨張部位55Cの開口側部位55bに対し、小突出量モードSPの場合より、テザー連結部61C側を後方へ移動させた形状としている。
そして、この第4実施形態の乗員保護装置10Cでは、小突出量モードSPにおいては、図9に示すように、バッグ本体51Cが、略平面状の受止部位57Cにより、通常位置の乗員OPを受け止めることができ、大突出量モードMPにおいては、図10に示すように、バッグ本体51Cが後端55c付近の受止部位58Cにより、通常位置の乗員OP(図9参照)より後方に位置する安楽姿勢の乗員OP、を受け止めることができる。
なお、安楽姿勢の乗員OPは、第1,2実施形態のバッグ本体21,51の大突出量モードMPでの膨張完了時でも、的確に受け止めることができる。
また、各実施形態のバッグ本体21,51,51B,51Cのチューブ状膨張部位30,31,55,55B,55Cとして、車両1の左右方向から見た湾曲形状のものを例示したが、車両1の上下方向から見た湾曲形状として、チューブ状膨張部位を構成してもよい。
つぎに、図11,12に示す第5実施形態の乗員保護装置10Dでは、第1実施形態の乗員保護装置10と同様な構成として、エアバッグ20、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するインフレーター14、テザー40の長さ調整を行う長さ調整手段としてのアクチュエータ16、を備えて構成されている。すなわち、エアバッグ20は、膨張時、アクチュエータ16が係止ピン17を連結孔42aから引き抜けば、大突出量モードMPで膨張を完了させ、係止ピン17を連結孔42aへの挿入状態を維持させれば、小突出量モードSPで膨張を完了させる。
そして、第5実施形態では、シート4に着座した乗員OP(OPF,OPS)を拘束するためのプリテンショナー機構とフォースリミッター機構とを設けた巻き取り機構6f付きのシートベルト装置6Dと、シート4に着座した乗員が、大柄乗員OPFか小柄乗員OPSかを検知可能な乗員検知手段としてのカメラSOと、を備えて構成されている。
シートベルト装置6Dは、ショルダーベルト6aが、ガイド6eを経て、巻き取り機構6fに接続され、車両衝突時、ショルダーベルト6aの引張力を、高低(例えば、4KNと3KN)の二段階として、調整できるように、構成されている。そして、この調整は、制御装置ECUの制御により、なされる。
そして、制御装置ECUは、車両1の衝突時に、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するインフレーター14の作動を制御するとともに、車両1の速度が高速(例えば、55km/h以上)か中低速(55km/h未満)かを検知し、かつ、乗員検知手段としてのカメラSOからの信号(画像データ)に基づいて、乗員が大柄乗員OPFか小柄乗員OPSかに応じて、図13に示すように、長さ調整手段としてのアクチュエータ16の作動時の調整(大小の突出量モードの調整)とシートベルト装置6Dの巻き取り機構6fにおける引張力の高低の調整とを制御する。
すなわち、制御装置ECUは、車両1の衝突を検知して、インフレーター14を作動させるように制御する際、乗員検知手段としてのカメラSOによって、図11に示すように、シート4に着座した乗員OPが大柄乗員OPFと判定すると、長さ調整手段としてのアクチュエータ16を作動させて、大突出量モードMPとするように調整する。そしてさらに、その際、車両1の速度が高速と検知していれば、シートベルト装置6Dの巻き取り機構6fを調整して、ショルダーベルト6aの引張力を高い引張力として調整する。
そのため、エアバッグ20は、後方への突出長さを長くして、収納位置12から離れた状態で着座する大柄乗員OPFに接近して、膨張を完了させ、前進移動する大柄乗員OPFを受け止め、そして、小突出量モードSPとなる形状付近まで、移動できて、大柄乗員OPFの前進移動するエネルギー量が大きくとも、円滑に、大柄乗員OPFを受け止めて保護できる。この時、車両1が高速で衝突していれば、制御装置ECUが、シートベルト装置6Dのショルダーベルト6aの引張力を高くして、乗員OPFに掛けたショルダーベルト6aを引っ張ることから、運動エネルギーの高い大柄乗員OPFの前進移動を的確に抑制できる。
なお、衝突時の車両1が中低速であれば、制御装置ECUは、シートベルト装置6Dの巻き取り機構6fによるショルダーベルト6aの引張力を低くして、乗員OPFに掛けたショルダーベルト6aを引っ張ることから、運動エネルギーの比較的低い状態の大柄乗員OPFの前進移動を的確に抑制できる。
また、制御装置ECUは、車両1の衝突を検知して、インフレーター14を作動させるように制御する際、乗員検知手段としてのカメラSOによって、図12に示すように、シート4に着座した乗員OPが小柄乗員OPSと判定すると、長さ調整手段としてのアクチュエータ16を作動させずに、小突出量モードSPとするように調整する。そしてさらに、その際、車両1の速度が高速と検知していれば、シートベルト装置6Dの巻き取り機構6fを調整して、ショルダーベルト6aの引張力を高い引張力として調整する。
そのため、エアバッグ20は、後方への突出長さを短くして、収納位置12から近い状態で着座する小柄乗員OPSに接近して、膨張を完了させ、前進移動する小柄乗員OPSを受け止めて保護できる。この時、車両1が高速で衝突していれば、制御装置ECUが、シートベルト装置6Dのショルダーベルト6aの引張力を高くして、乗員OPSに掛けたショルダーベルト6aを引っ張ることから、運動エネルギーの高い小柄乗員OPSの前進移動を的確に抑制できる。
なお、衝突時の車両1が中低速であれば、制御装置ECUは、シートベルト装置6Dのショルダーベルト6aの引張力を低くして、乗員OPSに掛けたショルダーベルト6aを引っ張ることから、運動エネルギーの比較的低い状態の小柄乗員OPSの前進移動を的確に抑制できる。
すなわち、第5実施形態の乗員保護装置10Dでは、乗員OP(OPF,OPS)の体格と車両1の速度に応じて、的確に、乗員OP(OPF,OPS)を保護することができる。
なお、第5実施形態の乗員保護装置10Dでは、ループ状のエアバッグ20を利用したが、図14に示すように、第2実施形態に使用するエアバッグ50を使用して、制御装置ECUが、乗員検知手段としてのカメラSOからの画像により、シート4に着座した乗員が大柄乗員OPFかあるいは小柄乗員OPSかを判定して、長さ調整手段としてのアクチュエータ16の作動を制御し、かつ、車両1の速度に応じて、シートベルト装置6Dのベルト6aの引張力を調整して、乗員OP(OPF,OPS)を保護するようにしてもよい。勿論、エアバッグ20,50の代わりに、図7,8に示すエアバッグ50Bや、図9,10に示すエアバッグ50Cを使用してもよい。
また、第1,5実施形態のループ状のエアバッグ20を使用する場合、図15~17に示す第6実施形態の乗員保護装置10Eのように構成してもよい。この第6実施形態では、エアバッグ20Eのバッグ本体21Eが、後側部32Eに設けた連結片26Eを、左右両側に間隔を空けて、並設し、膨張完了時のバッグ本体21Eにおける乗員OPを受け止める後側部32Eが、左右方向の中央部34aより、左右方向の両縁側の左側部34bと右側部34cとが、後方へ膨らませた形状としている。すなわち、後側部32Eが、左右方向の中央部34aより、左右方向の両縁側の左側部34bと右側部34cとを、後方へ膨らませるように、内側布26aと外側布26bとからなる連結片26Eが、ある程度、接近させつつ、左右方向に離して、配設されている。
そのため、この第6実施形態の乗員保護装置10Eでは、斜突時等において、乗員OPが斜め前方に移動しようとしても、左右両側における中央部34aより後方へ膨らませた左側部34bや右側部34cにより、乗員OPの頭部Hを受け止めることが可能となり、斜突時等においても、乗員OPを好適に保護できる。
なお、この乗員保護装置10Eでは、左右に並設させるように2つの連結片26E,26Eを配設させたエアバッグ20Eにおけるバッグ本体21Eの構成が異なるだけで、他の構成は、第5実施形態と同様としている(図17参照)。
また、第1,5実施形態では、膨張完了時のバッグ本体21が、上側部31c、下側部30c、及び、後側部32が、それぞれ、内部に、チューブ状膨張部位30,31の内側壁22aと外側壁22bとの離隔距離を規制する連結片26,27,28を、略同等の長さ寸法として、配設させているが、それぞれの連結片26,27,28の長さ寸法を、適宜、変えてもよい。
例えば、図18に示す第7実施形態の乗員保護装置10Fのエアバッグ20Fにおけるバッグ本体21Fでは、上側部31cの連結片27Fの長さ寸法Luより、下側部30cと後側部32との連結片28,26の長さ寸法Ld,Lbが、長く設定されている。
この第7実施形態の乗員保護装置10Fでは、バッグ本体21Fの膨張時若しくは乗員受止時、上側部31cの厚さ寸法Tuを小さくできることから、ウインドシールド3に干渉する押圧力を低減することができる。
あるいは、図19に示す第8実施形態の乗員保護装置10Gのエアバッグ20Gにおけるバッグ本体21Gでは、後側部32の連結片26の長さ寸法Lbより、上側部31cと下側部30cとの連結片27,28の長さ寸法Lu,Ldが、長く設定されている。
そのため、第8実施形態の乗員保護装置10Gでは、バッグ本体21Gの膨張時若しくは乗員受止時、後側部32の厚さ寸法Tbを小さくできて、後側部32を撓みやすく構成できることから、乗員OPを受け止める際の乗員OPへ反力を低減することができる。
あるいは、図20に示す第9実施形態の乗員保護装置10Hのエアバッグ20Hにおけるバッグ本体21Hでは、下側部30cの連結片28の長さ寸法Ldより、上側部31cと後側部32との連結片27,26の長さ寸法Ld,Lbが、短く設定されている。
この第9実施形態の乗員保護装置10Hでは、バッグ本体21Hの膨張時もしくは乗員受止時、インパネ2に支持される部位としての下側部30cの厚さ寸法Tdが厚くなることから、乗員OPの受止時のインパネ2からの反力を、より安定させることができる。
なお、第7,8,9実施形態の乗員保護装置10F,10G,10Hでは、連結片26,27,28の長さ寸法を異ならせたバッグ本体21F,21H,21Gの構成が異なるだけで、他の構成は、第5実施形態と同様としている。
さらに、図21に示す第10実施形態の乗員保護装置10Iのエアバッグ120Iのように、構成してもよい。このエアバッグ20Iでは、膨張完了時のバッグ本体21Iが、ループ状として、上側部31c、下側部30c、及び、後側部32を備えて、流入用開口23の上方側に、整流布25Iを配設させている。
この整流布25Iは、図22に示すように、流入用開口23と連通する流入用開口25dを備え、流入用開口23から流入する膨張用ガスGを、上側部31cと下側部30cとに流し可能な上側流出口25eと下側流出口25fとを備えて構成されている。そして、この整流布25Iは、下側流出口25fの開口面積を、上側流出口25eの開口面積より大きく設定している。
この第10実施形態の乗員保護装置10Iでは、作動時、エアバッグ20I内に、インフレーター14からの膨張用ガスGが、流入用開口23,25dを経て流入すると、整流布25Iの上側流出口25eから上側部31cに流入し、下側流出口25fから下側部30cに流入し、そして、後側部32で合流することとなる。
その際、整流布25Iは、下側流出口25fの開口面積を、上側流出口25eの開口面積より大きく設定されていることから、膨張用ガスGが下側部30c側に多量に流れて、インパネ2に支持される下側部30cを迅速に膨張させることができて、膨張完了直後からのインパネ2の支持が安定し、バッグ本体21Iが乗員OPを好適に受け止めることができる。
なお、第10実施形態の乗員保護装置10Iでは、エアバッグ20Iが、バッグ本体21I内に整流布25Iを配設させている構成が異なるだけで、他の構成は、第5実施形態と同様としている。