以下、図面を参照して、本発明に係る改質フライアッシュの製造方法及び改質フライアッシュの製造装置の実施形態について説明する。
図1には、本発明に係る改質フライアッシュの製造装置の一実施形態が示される。図1において、実線の矢印は石炭灰またはフライアッシュの流れを、一点鎖線の矢印は制御信号の流れを、破線の矢印はガスの流れをそれぞれ示している。
図1に示すように、この改質フライアッシュの製造装置1は、供給された石炭灰D1を、所定の粉末度となるよう粉砕して第1フライアッシュF1を得る石炭灰粉砕装置11と、得られた第1フライアッシュF1と、高温排ガスから回収された第2フライアッシュF2とを混合して、第3フライアッシュF3となすフライアッシュ混合装置13と、フライアッシュ混合装置13から供給される第3フライアッシュF3を、これに含まれる未燃カーボンの含有率が0.5質量%以下となるよう加熱する外熱式ロータリーキルン14と、高温排ガスから第2フライアッシF2を回収してフライアッシュ混合装置13に供給する固気分離装置16(本実施形態では、第1固気分離装置16a(例えば、サイクロン型分級機等を使用可能である。)及び第2固気分離装置16b(例えば、バグフィルタ等を使用可能である。)の2機で構成される。)とを備えている。また、石炭灰粉砕装置11の後段にはフライアッシュ分級装置12が備わり、石炭灰粉砕装置11で粉砕されたフライアッシュを所定粒径を分級点として分級して、粗粉フライアッシュD2は再度、石炭灰粉砕装置11に戻して粉砕するようにし、閉回路ミルを構成している。これにより、第1フライアッシュF1が所定の粉末度を有することをより確実にしている。なお、フライアッシュに含まれる未燃カーボンの含有率を効果的に減少させるという、本発明による作用効果を享受するための基本的な構成としては、石炭灰D1を所定の粉末度となるよう粉砕するための石炭灰粉砕装置11と、粉砕された原料フライアッシュを加熱するための外熱式ロータリーキルン14とで構成するようにしてもよく、高温排ガスから第2フライアッシュF2を回収したり、これを第1フライアッシュF1と混合したりすることは、必ずしも必須構成というわけではないが、本実施形態の製造装置1では、高温排ガスから第2フライアッシュF2を回収するための固気分離装置16や、これを第1フライアッシュF1と混合するためのフライアッシュ混合装置13を備えたことにより、所定の品質を有する改質フライアッシュの回収率が更により向上している。以下には、この改質フライアッシュの製造装置1を、単に「製造装置1」と称し、さらに詳細に説明する。
製造装置1では、まず、石炭灰粉砕装置11により、供給された石炭灰D1を、そのブレーン比表面積が4500cm2/g~10000cm2/gとなるように粉砕して、第1フライアッシュF1を得る。また、その際、石炭灰粉砕装置11の後段にはフライアッシュ分級装置12が備わり、第1フライアッシュF1が所定の粉末度を有することをより確実にしている。第1フライアッシュF1は、最終的に得られる改質フライアッシュの活性度指数をJIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」のIII種以上の活性度指数、すなわち、28日材齢で80%以上、91日材齢で90%以上とする観点から、最大粒径を100μm以下とするのが好ましい。第1フライアッシュF1の最大粒径を100μm以下にすることで、ブレーン比表面積としては、概ね4500cm2/g~10000cm2/gの範囲を確保することができる。
一般に、石炭火力発電所等の微粉炭燃焼ボイラから供給される石炭灰であって、活性度指数の向上が必要となる品位の低い石炭灰は、概ねブレーン比表面積が2000cm2/g~4000cm2/gであり、本実施形態の製造装置1では、そのような石炭灰について、粉末度を一定にすることにより、入荷ロット間の粉末度のばらつきを狭小化させることができる。加えて、加熱工程に供されるフライアッシュの比表面積が増加することにより、未燃カーボンの自燃も生じ易くなるため、加熱温度を低めに設定することができ、フライアッシュの非晶質相の結晶化が生じることを防ぐ等して、活性度指数の低下を抑制しつつ、未燃カーボン含有率を効果的に減少させることができる。
ここで、ブレーン比表面積とは、フライアッシュの粒径の細かさを表す指標であり、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」に測定方法が規定されているブレーン方法に基づいて測定された比表面積を指す。
第1フライアッシュのブレーン比表面積の上限については、10000cm2/g以下が好ましい。第1フライアッシュのブレーン比表面積が10000cm2/gよりも大きくなると、外熱式ロータリーキルン14に供給されたフライアッシュのうち、改質フライアッシュとして回収できる割合が低下してしまう。具体的には、例えば、図1に示す実施形態において、外熱式ロータリーキルン14に供給されたフライアッシュF3のうち、燃焼排ガスに取り込まれた後に固気分離装置16で第2フライアッシュF2として回収される割合((回収された第2フライアッシュ量)/(外熱式ロータリーキルンに供給された第3フライアッシュの量)×100%)(以下、この割合を「循環率」と称す。)が増加傾向となり、ひいては改質フライアッシュの生産効率が低下する傾向となる。
上記循環率は、20%~40%が好ましい。この循環率であれば、外熱式ロータリーキルン14における加熱のためのエネルギー使用量が過剰になることなく、エネルギー効率よく、改質フライアッシュを製造することができる。
所定の粉末度にするための石炭灰粉砕装置11としては、ボールミル、ロールミル、ローラーミル(竪型ミル)等の、一般的な乾式の粉砕装置が好適に使用可能である。また、石炭灰粉砕装置11で粉砕されたフライアッシュから、所定の粒径を有するフライアッシュを分離するためのフライアッシュ分級装置12としては、例えば、サイクロン型又はルーバー型慣性分級機及び振動篩装置等、粉粒体の分級処理に一般的に使用されている乾式分級機を用いればよい。
製造装置1では、次に、第1フライアッシュF1と、外熱式ロータリーキルン14より排出される高温排ガス(HG2+HG1)から回収された第2フライアッシュF2とが、フライアッシュ混合装置13で混合されて第3フライアッシュF3を形成した後、これを外熱式ロータリーキルン14へ連続的に供給させるようにしている。ここで、第2フライアッシュF2は、主に、外熱式ロータリーキルン14へ供給された第3フライアッシュF3が、高温排ガスHG2に捕捉されて外熱式ロータリーキルン14から排出されたものに由来しており、その粉末度は、実質的に第1フライアッシュF1と同等といえる。
なお、本実施形態では、第2フライアッシュF2を回収するための固気分離装置16の構成として、第1固気分離装置16a(例えば、サイクロン型分級機等を使用可能である。)及び第2固気分離装置16b(例えば、バグフィルタ等を使用可能である。)の2機の固気分離装置を備えているが、高温排ガス(HG2+HG1)からの第2フライアッシュF2の回収が可能であれば、固気分離装置16を構成する機数は制限されない。例えば、固気分離装置16を1機とする場合は、図1の第1固気分離装置16aを省略し、第2固気分離装置16bのみとすればよく、その際の固気分離装置16にはバグフィルタが好ましい。
フライアッシュ混合装置13における、第1フライアッシュF1と第2フライアッシュF2の混合は、単にそれらフライアッシュを積層等したりするだけでもよいが、外熱式ロータリーキルン14に供給する第3フライアッシュF3の品質を平均化させるために、フライアッシュ混合装置13内で十分に混合するのが好ましい。そのために、フライアッシュ混合装置13に備えられるフライアッシュ用容器には、パドルやリボンなどの回転翼や、各種排ガスを利用したエアレーション等の混合撹拌機構を備えることが好ましい。
フライアッシュ混合装置13からは、所定量の第3フライアッシュF3が、外熱式ロータリーキルン14に供給される。この第3フライアッシュF3の供給には、容積式定量供給機や重量式定量供給機等の一般的な粉体定量供給装置を用いることができる。なお、フライアッシュ混合装置13による供給量の計量値を、後述のフライアッシュ測定装置M11による第3フライアッシュF3の供給量測定値の代替としてもよい。
外熱式ロータリーキルン14は、傾斜した大略円筒形状の装置として構成されている。すなわち、フライアッシュ供給部14aと、フライアッシュ排出部14dと、フライアッシュ供給部14a及びフライアッシュ排出部14dの間に回転自在に配置されている円筒形状の内筒部14bと、内筒部14bが挿通され、その内筒部14bよりも大外径である円筒形状の加熱部14cとを有し、内筒部14bがフライアッシュ供給部14aからフライアッシュ排出部14dに向かって0.5~5.0%で下方に向かって傾斜している。外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cには、内筒部14bを外部から加熱するように複数の電気発熱体Hが配置されている。そして、外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ供給部14aに供給された第3フライアッシュF3は、内筒部14bの回転に伴って、フライアッシュ供給部14aからフライアッシュ排出部14dへと移動し、その移動における所定時間、加熱部14cでの加熱処理を受けた後に、改質フライアッシュF4となってフライアッシュ排出部14dから排出されるようになっている。
外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cの加熱方法は、電気発熱体Hによるジュール熱を利用した方法以外にも、化石燃料によるバーナー等の、発熱量の制御が可能な方法であれば制約はない。
また、図1に示す実施形態では、製造装置1は、比較的に酸素を多く含む燃焼用ガスA1を加温して燃焼ガスA2とし、これを外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内に導入するようにしている。また、燃焼用ガスA1の温度を上げるために熱交換器15を備え、この熱交換器15において、外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cから排出される高温排ガスHG1との間に熱交換を生じさせて、燃焼用ガスA1が加温されてなる、高温の燃焼ガスA2となるようにしている。一方、高温排ガスHG1は、熱交換によって温度が低下し、排ガスG1となって熱交換器15から排気される。排ガスG1の排気、すなわち高温排ガスHG1の熱交換器15への供給は、第2排気ファン19によって行われる。
外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内への燃焼ガスA2の導入は、第3フライアッシュF3の移動方向に対して向流となるようにフライアッシュ排出部14d側から導入してもよいし、第3フライアッシュF3の移動方向に対して並流となるようにフライアッシュ供給部14a側から導入してもよいが、高温排ガスHG2からの第2フライアッシュF2の回収を行うための装置レイアウトからは、図1の実施形態に示すように、フライアッシュ排出部14d側から燃焼ガスA2を導入するのが好ましい。
一方、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bから排出する高温排ガスHG2を排気するための第1排気ファン18は、吸気によって系内を負圧にし、熱交換器15、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b、固気分離装置16、及び各所の送気管等から構成される、燃焼ガスA2または高温排ガスHG2の経路内から該ガスが外部に漏れることを防止すると共に、固気分離装置16によって第2フライアッシュF2が回収された後の排ガスG2の排気量、すなわち、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内を流れる燃焼ガスA2の流量を調整し、さらに、燃焼用ガスA1の使用量を調整する。
このような外熱式ロータリーキルン14の構成によれば、その内筒部14b内の雰囲気温度を、加熱部14cにおける外部加熱によって間接的に上昇させるようにしているので、過加熱によって第3フライアッシュF3の非晶質相の結晶化が急速に進行してポゾラン反応性を低下させることを防ぎつつ、第3フライアッシュF3に含まれる未燃カーボンの燃焼を安定的に生じさせるのに、都合がよい。
第3フライアッシュF3の外熱式ロータリーキルン14への導入位置は、図1に示す実施形態においては、内筒部14bのフライアッシュ供給側の端部であるが、そのフライアッシュ供給部14aに連通して内筒部14bの内部に延伸・挿入される供給管等の構造の付加により、内筒部14bの中央部側に任意にスライドさせることも可能である。これによれば、第3フライアッシュF3がフライアッシュ供給部14aからフライアッシュ排出部14dへと移動するに伴って加熱処理される時間の調整や、第3フライアッシュF3を投入する箇所の温度を任意に選択することができる。
また、図1に示す実施形態においては、製造装置1は、第3フライアッシュF3の加熱によって蒸発して、高温排ガスHG2内に含まれて内筒部14bから排出される、石炭灰由来の水銀を回収する構成として、高温排ガス(HG2+HG1)から水銀を分離するための水銀回収装置17を備えている。水銀回収装置17としては、例えば、吸着剤により水銀を吸着除去するガス吸着装置を用いればよい。具体的には、カートリッジ式固定相吸着装置、連続クロスフロー式移層吸着装置等を用いればよい。吸着剤としては、硫黄若しくは金属硫化物、活性炭若しくは又は活性炭を担持した吸着媒体、又は、水銀と反応する金属若しくは水銀を担持した吸着媒体等を用いればよい。水銀回収装置17で使用される活性炭としては、特に、水銀吸着用として調整された硫黄添着処理が施されている活性炭を用いることが好ましい。かかる水銀回収装置17を備える場合、水銀回収装置17に送気される高温排ガス(HG2+HG1)の温度は、水銀の沸点(360℃)以上である必要があり、380~420℃が好ましい。
なお、水銀回収装置17を備えた場合、水銀回収後の高温排ガス(HG2+HG1)を固気分離装置16b(例えば、バグフィルタ等を使用可能である。)に直接送気すると、固気分離装置16bのろ布等が熱損傷する場合があるため、必要に応じて高温排ガス(HG2+HG1)に冷却用空気CAを混入して温度を低下させることが好ましい。
本発明の好ましい態様においては、図1に示すように、製造装置1は、さらに、各種測定装置による測定に基づいて各種制御を行うための制御装置51を備えていてもよい。
具体的には、例えば、内筒部14bの内部に、内筒部14bを加熱する複数の電気発熱体Hにより各出力を調整可能な領域ごとに、第1温度計T11が設けられている。第1温度計T11は、内筒部14bの内部における第3フライアッシュF3の温度を測定し、その温度に関する情報を制御装置51に送信する。また、内筒部14bの長軸方向の中央部には、内筒部14bの外側表面近傍に、第2温度計T12が設けられている。この実施形態においてはこの付近が内筒部14bの最も高温となる部位となっており、第2温度計T12は、内筒部14bの最も高温となる部位の温度を測定し、その温度に関する情報を制御装置51に送信する。なお、第1温度計T11や第2温度計T12としては、例えば、熱電対を用いればよい。
制御装置51は、さらに、外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cへの制御信号を送信し、内筒部14bを加熱する複数の電気発熱体Hの出力を個別に制御することができるようになっている。よって、例えば、第1温度計T11や第2温度計T12の測定結果に基づいて、制御装置51が電気発熱体Hの個々の出力を調整して、内筒部14b内での加熱状態を最適化することができる。
また、外熱式ロータリーキルン14と第1固気分離装置16aを結ぶ送気管には、第3温度計T13が設けられている。第3温度計T13は、第1固気分離装置16aに導入される高温排ガス(HG2+HG1)の温度を測定し、その温度に関する情報を制御装置51に送信する。また、第1固気分離装置16aと水銀回収装置17を結ぶ送気管には、第4温度計T14が設けられている。第4温度計T14は、第1固気分離装置16aから排出される高温排ガス(HG2+HG1)の温度を測定し、その温度に関する情報を制御装置51に送信する。さらに、水銀回収装置17と第2固気分離装置16bを結ぶ送気管には、第5温度計T15が設けられている。第5温度計T15は、水銀回収装置17から排出される高温排ガス(HG2+HG1)の温度を測定し、その温度に関する情報を制御装置51に送信する。なお、第3温度計T13、第4温度計T14及び第5温度計T15としては、上記第1温度計T11及び上記第2温度計T12と同様に、例えば、熱電対を用いればよい。
さらに、フライアッシュ混合装置13と外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ供給部14aとの間には、フライアッシュ測定装置M11が設置されている。フライアッシュ測定装置M11は、外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ供給部14aに連続的に供給される第3フライアッシュF3の供給量(例えば、時間あたりの供給量)及び未燃カーボン含有率を測定し、それらの情報を制御装置51に送信する。
また、外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ排出部14dの下流にはフライアッシュ測定装置M12が設置されている。フライアッシュ測定装置M12は、外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ排出部14dから連続的に排出される改質フライアッシュF4の排出量(例えば、時間あたりの排出量)及び未燃カーボン含有率を測定し、その測定結果を制御装置51に送信する。
また、固気分離装置16とフライアッシュ混合装置13の間にはフライアッシュ測定装置M13が設置されている。フライアッシュ測定装置M13は、固気分離装置16(第1固気分離装置16a及び第2固気分離装置16b)で回収され、フライアッシュ混合装置13に供給される第2フライアッシュF2の供給量(例えば、時間あたりの供給量)、すなわち高温排ガス(HG2+HG1)からの第2フライアッシュF2の回収量(例えば、時間あたりの回収量)を測定し、その測定結果を制御装置51に送信する。
フライアッシュ測定装置M11、フライアッシュ測定装置M12及びフライアッシュ測定装置M13が有するフライアッシュの計量装置としては、例えば、ロス・イン・ウェイト式、ベルトフィーダーとロードセルを組み合わせた方式、又は、粉体流量計を用いた方式などの一般的な粉体計量装置を用いればよい。
また、フライアッシュ測定装置M11及びフライアッシュ測定装置M12が有する未燃カーボン含有率の測定装置としては、例えば、強熱減量値から間接的に未燃カーボン含有率を求めることができる熱天秤分析装置、又は、特開平11-258155号公報に開示されている青色発光体を光源とした反射光量測定装置等のオンライン対応装置などを用いればよい。
さらに、フライアッシュ測定装置M11及びフライアッシュ測定装置M12は、フライアッシュの粒度を測定する機能を備えていてもよい。かかる粒度測定に用いる装置としては、例えば、乾式レーザ回析・散乱法を用いたオンライン粒子径分布測定器が好適である。
一方、外熱式ロータリーキルン14の燃焼ガスA2の導入部には、燃焼ガス測定装置M14が設置されている。燃焼ガス測定装置M14は、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内に供給される燃焼ガスA2の供給量(例えば、時間あたりの供給量)及び酸素濃度を測定し、その測定結果を制御装置51に送信する。
燃焼ガス測定装置M14としては、例えば、熱式、コリオリ式、渦式、超音波式等の通常の気体用の流量計、及び、磁気式(磁気風方式及び磁気力方式)又は酸素の電気化学的酸化還元反応を利用する電気化学式(ジルコニア方式及び電極方式)の酸素濃度測定装置を併設した装置などを用いればよい。
図1に示す実施形態においては、制御装置51は、また、第1排気ファン18を制御する制御信号を送信することができるようになっている。すなわち、上述したように、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bから排気される高温排ガスHG2を排気するための第1排気ファン18は、固気分離装置16からの第2フライアッシュF2が回収された後の排ガスG2の排気量を調整する。また、第1排気ファン18は、固気分離装置16(第1固気分離装置16a及び第2固気分離装置16b)へ流入する高温排ガス(HG1+HG2)、ひいては、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内を流れる燃焼ガスA2の流量を調整する。制御装置51は、これらのガス流量等を、第1排気ファン18へ供給される動力を制御する等により、制御することができる。
図1に示す実施形態においては、制御装置51は、また、気送管の各所に備えられている個々の流量調整バルブNを制御する制御信号を送信することができるようになっている。すなわち、例えば、第3温度計T13、第4温度計T14、第5温度計T15等による温度の測定値に基づいて、それぞれ最適な温度範囲となるように、気送管の各所に備えられている個々の流量調整バルブNの開度を調整したり、冷却用空気CAの導入用の流量調整バルブNの開度を調整したりすること等によって、気送管内を流れる排ガスの温度を調整することができる。
図1に示す実施形態においては、さらに、例えば、フライアッシュ測定装置M11による第3フライアッシュF3の粒度の測定値から、かかる第3フライアッシュF3の粒度が目標設定値と異なる場合、制御装置51から石炭灰粉砕装置11及び/またはフライアッシュ分級装置12に制御信号を送り、粉砕分級工程の運転条件を最適化することができるようになっている。具体的には、石炭灰粉砕装置11の単位時間当たりの粉砕量や、フライアッシュ分級装置12の分級点を制御するなどによって、第3フライアッシュF3の粒度を調整するようにしてもよい。
また、例えば、フライアッシュ測定装置M12による改質フライアッシュF4の粒度が目標設定値と異なる場合、フライアッシュ測定装置M11による第3フライアッシュF3の粒度が正常であるならば加熱工程における過加熱が生じている虞が強いので、制御装置51から外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cに制御信号を送り、加熱工程の運転条件を調整するようにしてもよい。
本発明の好ましい態様においては、フライアッシュ測定装置M11、フライアッシュ測定装置M12、フライアッシュ測定装置M13等により測定した各所のフライアッシュの流量に基づいて、上述した循環率、すなわち(第2フライアッシュF2の回収量)と(外熱式ロータリーキルン14に供給された第3フライアッシュF3の供給量)との量比や、改質フライアッシュの収率、すなわち(改質フライアッシュF4の製造量)と(外熱式ロータリーキルン14に供給された第3フライアッシュF3の供給量)との量比を得てもよい。かかる量比を運転指標にすることで、改質フライアッシュの製造装置の運転条件を最適状態とした安定運転をすることができる。
例えば、循環率が20~40%の値とならない場合、加熱工程でのエネルギー使用量をさらに抑制することが可能なので、燃焼ガスA2の通気量を調整したり、第1フライアッシュF1の粉末度の調整を行えばよい。
さらに、循環率と収率の和が100%とならない場合、固気分離装置16による高温排ガス(HG2+HG1)からの第2フライアッシュF2の回収が不十分であったり、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内に第3フライアッシュF3の滞留が生じている等の、製造運転上の何等かの不具合が生じていることを示しているので、これにより早期に運転状態の異常を知ることができ、改質フライアッシュF4の生産効率の低下を予防、最小化することができる。
また、フライアッシュ測定装置M12による、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が所定の値とならない場合は、それに応じて、外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cを制御して内筒部14b内の温度分布を調整したり、内筒部14bの回転速度を制御して第3フライアッシュF3が加熱される時間の調整を行ったり、第1フライアッシュF1の粉末度の調整、ひいては第3フライアッシュF3の粉末度の調整を行ったり、フライアッシュ混合装置13を制御して、外熱式ロータリーキルン14への第3フライアッシュF3の供給量を調整したりすればよい。
本発明の好ましい態様においては、外熱式ロータリーキルン14に供給する燃焼ガスA2の供給量及び酸素濃度、すなわち単位時間あたりの酸素供給量は、供給される第3フライアッシュの供給量及び未燃カーボン含有率、すなわち単位時間あたりの未燃カーボン供給量に基づいて決定されることが好ましい。
その場合、上記単位時間あたりの未燃カーボン供給量と、上記単位時間あたりの酸素供給量との量比において、酸素供給量を増量する必要がある場合、大気が使用可能である燃焼用ガスA1を加熱してなる燃焼ガスA2の供給量の増量は、燃焼ガスA2の加温に必要となる熱エネルギーが増加すると共に、燃焼ガスA2の供給量の増量に伴う外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内の燃焼ガスA2の流速の増大によって、上述した循環率が増加して、改質フライアッシュの生産効率が低下する。
そこで、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内の燃焼ガスA2の流速変動を抑制しつつ、必要となる酸素供給量を確保するために、通常の大気よりも酸素濃度の高いガスを用意しておいて、酸素供給量を増やす必要が生じた場合でも、燃焼ガスの供給量が変動しないように複数の酸素濃度の異なるガスを併用するのが好ましい。
本発明の好ましい態様においては、フライアッシュ測定装置M11により測定される、フライアッシュ混合装置13から外熱式ロータリーキルン14へ供給される第3フライアッシュF3の供給量と未燃カーボン含有率の測定値から求まる、加熱工程に1分間に供給される第3フライアッシュF3の未燃カーボン量をCmol/分とし、燃焼ガス測定装置M14により測定される燃焼ガスA2の供給量及び酸素濃度の測定値から求まる、加熱工程に1分間に供給される燃焼ガスA2の酸素量をO2mol/分とした場合に、そのO2/Cモル比が、例えば1以上6以下となるようにすることが好ましい。燃焼ガスの酸素濃度と第3フライアッシュの未燃カーボン量との量比をこの範囲にすると、前記加熱工程に供給されるフライアッシュ中の未燃カーボンを、より効率的に自燃させることができる。この場合、制御装置51は、そのO2/Cモル比を最適化するように、例えば、フライアッシュ混合装置13から供給される第3フライアッシュF3の供給量を制御するようにしてもよい。
次に、図2に示すフローチャートを更に参照して、製造装置1で行われる処理について説明する。
まず、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bを回転させ、加熱部14cに配置された個々の電気発熱体Hの出力を調整して、内筒部14bの内部を外部から加熱する(図1/STEP01)。
そして、第2排気ファン19を稼動して、加熱部14cで生じた高温排ガスHG1を熱交換器15に導入する(図2/STEP02)。これと共に、第1排気ファン18を稼動して、熱交換器15に燃焼用ガスA1を吸引して燃焼ガスA2を得た後、内筒部14bに燃焼ガスA2を一定流量で連続的に送気する(図2/STEP03)。
このとき、制御装置51は、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bの内部の温度が、例えば600℃~900℃を維持するように、外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cに設置された個々の電気発熱体Hの出力を制御する。外熱式ロータリーキルン14によるフライアッシュの加熱条件は、上記範囲であれば600℃以上であるのでフライアッシュの自燃が十分に促進されて未燃カーボンが効率よく減少し、なお且つ、その範囲が900℃以下であるのでフライアッシュの非晶質相の結晶化が急速に進行してポゾラン反応性を低下させるなどの弊害が防がれる。
また、石炭灰粉砕装置11では、供給された石炭灰D1を、そのブレーン比表面積が4500cm2/g~10000cm2/gとなるように粉砕する(図2/STEP04)。このとき、石炭灰粉砕装置11で粉砕されたフライアッシュをフライアッシュ分級装置12に送って、所定の分級点(例えば100μm)で分級することで、得られた第1フライアッシュF1が所定の粉末度を有することをより確実にすることができる。
得られた第1フライアッシュF1は、フラアッシュ混合装置13に送って第2フライアッシュF2と混合し、その混合により形成した第3フライアッシュF3を、外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ供給部14aに連続的に供給する(図2/STEP05)。この際、フライアッシュ供給部14aに供給される第3フライアッシュF3の供給量、未燃カーボン含有率及び粒度が、フライアッシュ測定装置M11によって測定され、その測定結果が制御装置51に送信される。
一方、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bに供給される燃焼ガスA2の供給量及び酸素濃度が、燃焼ガス測定装置M14によって測定され、その測定結果が制御装置51に送信される。
そして、制御装置51は、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bに供給される第3フライアッシュF3の供給量と未燃カーボン含有率から求まる、単位時間あたりに外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bに供給される未燃カーボン量Cmol/分と、燃焼ガスA2の供給量及び酸素濃度から求まる、単位時間あたりに外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bに供給される酸素量O2mol/分の比であるO2/Cモル比を求め、そのO2/Cモル比を最適化する(図2/STEP06)。
具体的には、得られた上記O2/Cモル比が所定の基準値に満たない場合、O2/Cモル比の上げ操作が必要となるが、この場合には、外熱式ロータリーキルン14への第3フライアッシュF3の供給量を下げたり、燃焼ガスA2の供給量または酸素(O2)濃度を上げたりすればよい。なお、燃焼ガスA2の供給量の上げ操作は内筒部14b内の燃焼ガスの流速の増加に直結し、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内の熱バランスを変動させることになり、改質フライアッシュF4の生産効率が大きく低下する。この生産効率の低下を抑制するためには、燃焼ガスA2の供給量を大きく変動させなくてもO2/Cモル比の上げ操作が可能なように、通常に使用する燃焼用ガスA1よりも酸素濃度の高い燃焼用ガスを別途準備しておき、適宜、使用できるようにしておくことが好ましい。
上記O2/Cモル比の目標設定値としては、例えば1以上6以下であることが好ましい。燃焼ガスの酸素濃度と第3フライアッシュの未燃カーボン量との量比をこの範囲にすると、前記加熱工程に供給されるフライアッシュ中の未燃カーボンを、効率的に自燃させることができる。ただし、第3フライアッシュF3の未燃カーボン含有率や、改質フライアッシュF4に許容される未燃カーボン含有率等に基づいて、場合によっては上記範囲以外の値を選択してもよい。
フライアッシュ混合装置13に送られる第2フライアッシュF2の回収量、すなわち循環率が安定したところで、フライアッシュ測定装置M12によって改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が測定され、その測定結果が制御装置51に送信される。
また、制御装置51は、フライアッシュ測定装置M11から送信された第3フライアッシュF3の粒度が、目標設定値、例えば、最大粒径が100μm以下であって、且つ、粒度分布から推定されるブレーン比表面積が4500~10000cm2/gであることを確認する。そして、測定値が目標設定値と異なる場合には、石炭灰粉砕装置11の単位時間当たりの粉砕量や、フライアッシュ分級装置12の分級点を制御するなどによって、第3フライアッシュF3の粒度を調整する(図2/STEP07)。
さらに、制御装置51は、フライアッシュ測定装置M13から送信された改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が0.5質量%以下であることを確認する。そして、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が0.5質量%よりも大きい場合には、外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cの出力を制御して内筒部14b内の温度を上げたり、内筒部14bの回転速度を制御して第3フライアッシュF3が加熱処理される時間を長くするなどにより、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率を調整する(図2/STEP08)。
ここで、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率の下限値には特に制限はないが、未燃カーボン含有率が0.1質量%を下回るような場合は、加熱工程において過加熱状態となっており、フライアッシュに含まれる非晶質相の結晶化が進行して、活性度指数の低い改質フライアッシュF4が生じてしまう虞がある。このように、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が過剰に低下してしまう場合には、上記と逆方向の制御、すなわち、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内の温度を下げたり、第3フライアッシュF3が加熱工程に処される時間を短くするなどを行えばよい。
なお、制御装置51は、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が目標値を満足するように、外熱式ロータリーキルン14の加熱部14cにおける個々の電気発熱体Hの出力を適宜調整することができるが、フライアッシュ測定装置M12による改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率のみを指標に電気発熱体Hの出力を調整した場合、過加熱傾向になり易く、第3フライアッシュF3の非晶質相の結晶化が急速に進行してポゾラン反応性を低下させてしまう虞がある。したがって、電気発熱体Hの出力の調整は、第1温度計T11による内筒部14b内の第3フライアッシュF3の温度、及び、第2温度計T12による内筒部14bの加熱温度が、フライアッシュ測定装置M12による未燃カーボン量測定値が目標設定値を満足する中で、低目の温度を維持するようにする必要がある。特に、未燃カーボン含有率が多い石炭灰D1を改質する場合には、加熱工程では当該未燃カーボンの燃焼熱による熱エネルギーが多量に加わるために、第3フライアッシュF3が設定した加熱環境よりも高温の環境下に存する場合が生じるので、第1温度計T11による内筒部14b内の第3フライアッシュF3の温度監視及び制御が重要になる。具体的には、内筒部14b内でも中心部の温度監視及び制御が重要であり、第3フライアッシュF3の未燃カーボン含有率が2~4質量%の場合には、内筒部14b内で中心部に設置される第1温度計T11による第3フライアッシュF3の温度が850℃以下、5~7質量%の場合には825℃以下、8~10質量%の場合には800℃以下であるのが好ましい。また、第3フライアッシュF3の未燃カーボン含有率に係わらず、内筒部14bの最も高温となる部位の温度は900℃以下であるのが好ましい。
一方、上述したように、本実施形態では、外熱式ロータリーキルン14の排気側に固気分離装置16を設置し、第1排気ファン18によって外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bからの高温排ガスHG2を含む高温排ガス(HG2+HG1)が、その固気分離装置16に導入されるようにしている(図2/STEP09)。また、内筒部14bからの高温排ガスHG2中に含まれる第2フライアッシュF2を、高温排ガス(HG2+HG1)から分離し、フライアッシュ混合装置13に供給するようにしている(図2/STEP10)。そして、フライアッシュ混合装置13が、供給された第2フライアッシュF2を、第1フライアッシュF1と混合して、第3フライアッシュF3となし、外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ供給部14aに連続的に供給するようにしている(図2/STEP05)。
[別実施形態]
次に、本発明に係る改質フライアッシュの製造方法及び改質フライアッシュの製造装置の別実施形態について説明する。図3には、別実施形態を実施するための改質フライアッシュの製造装置2の構成例が、図1にならって図示され、図4には、この改質フライアッシュの製造装置2で行われる処理を説明するためのフローチャートが、図2にならって図示されている。なお、上述した実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
より具体的には、図1及び図2をもって説明した実施形態では、外熱式ロータリーキルン14に供給される第3フライアッシュF3は、単に第1フライアッシュF1と第2フライアッシュF2を混合させたものであったが、この別実施形態では、かかる第3フライアッシュF3を、これに含有する未燃カーボンが自燃しない条件で予熱するためのフライアッシュ予熱装置21を備えている。以下には、この改質フライアッシュの製造装置2を、単に「製造装置2」と称し、さらに詳細に説明する。
図3に示すように、この改質フライアッシュの製造装置2は、上記図1に示した実施形態に係る製造装置1の固気分離装置16を構成する第1固気分離装置16a(例えば、サイクロン型分級機等を使用可能である。)に替えて、第1フライアッシュF1と第2フライアッシュF2が混合してなる第3フライアッシュF3を予熱するための、フライアッシュ予熱装置21を備えている。
フライアッシュ予熱装置21の排気側には、固気分離装置16を設置し、第1排気ファン18によってフライアッシュ予熱装置21から抽気される高温排ガス(HG1+HG2)が固気分離装置16に導入されるようにし、フライアッシュ予熱装置21からの高温排ガス(HG1+HG2)中に含まれる第2フライアッシュF2を分離して、回収するようにしている。そして、石炭灰粉砕装置11により得られ、フライアッシュ分級装置12から排出される第1フライアッシュF1と共に、フライアッシュ予熱装置21へ供給するようにしている。
フライアッシュ予熱装置21の構成としては、外熱式ロータリーキルン14に供給される第3フライアッシュF3が予熱されるならば、その構成に特に制限はないが、多量の第3フライアッシュF3を安定的に予熱して、これを連続的に外熱式ロータリーキルン14に供給する観点からは、例えば、1基以上のサイクロンから構成されるのが好ましい。サイクロンの基数(段数)には、特に制限は無い。
図3に示す実施形態において、製造装置2には、フライアッシュ予熱装置21として2段のサイクロン21a及び21bから構成される装置が設けられており、外熱式ロータリーキルン14の加熱部4cから排出される高温排ガスHG1と内筒部4bから排出される高温排ガスHG2が合流した高温排ガス(HG2+HG1)は、下段側のサイクロン21bのガス導入部からサイクロン21b内に導入され、サイクロン21b内で旋回流を形成しながら第3フライアッシュF3と熱交換した後に、サイクロン21bの上部ガス排出口から排気されるようにしている。また、サイクロン21bから排出された高温排ガス(HG2+HG1)は、上段側のサイクロン21aのガス導入部からサイクロン21a内に導入され、サイクロン21a内でもサイクロン21b同様に旋回流を形成しながら第3フライアッシュF3と熱交換した後に、サイクロン21aの上部ガス排出口から排気されるようにしている。
一方、第3フライアッシュF3は、先ず初めに上段側のサイクロン21aに導入され、サイクロン21a内の高温排ガス(HG2+HG1)で加熱された後に、サイクロン21aの下部フライアッシュ排出口から連続的に下段側のサイクロン21bに導入されて、サイクロン21a内の高温排ガス(HG2+HG1)よりも温度の高いサイクロン21b内の高温排ガス(HG2+HG1)でさらに加熱された後に、予熱された第3フライアッシュF3となって外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ供給部14aに連続的に供給される。
なお、本発明の好ましい態様においては、フライアッシュ予熱装置21において行われる予熱工程の温度環境は、そのフライアッシュ予熱装置21による予熱工程に供される第3フライアッシュF3の供給量及び未燃カーボン含有率、すなわち単位時間あたりの未燃カーボン供給量に基づいて決定されることが好ましい。この場合、例えば、制御装置51が、予熱された第3フライアッシュF3の温度が所定の温度となるように、サイクロン21bに導入する高温排ガス(HG2+HG1)の温度を、冷却用空気CAの混入量を調整する等して制御することができる。
また、フライアッシュ予熱装置21へ供給される第3フライアッシュF3の量は、フライアッシュ分級装置12から供給される第1フライアッシュF1の供給量で制御してもよいし、フライアッシュ分級装置12とフライアッシュ予熱装置21の上段側のサイクロン21aのフライアッシュ導入部の間に、上記図1に示されたフライアッシュ混合装置13と同様の混合装置(不図示)を設置して、かかるフライアッシュ混合装置13からの供給量を制御するようにしてもよい。
図3に示す実施形態に係る製造装置2では、そのフライアッシュ予熱装置21から排出する高温排ガス(HG2+HG1)に含まれる第2フライアッシュF2を回収するための固気分離装置16としては、バグフィルタが好適に使用可能である。
図3の実施形態に示すように、製造装置2は、さらに、フライアッシュ予熱装置21から排出する高温排ガス(HG2+HG1)中の水銀を回収する水銀回収装置17を備えてもよい。
なお、水銀回収装置17を備えた場合、水銀回収後の高温の高温排ガス(HG2+HG1)を固気分離装置16に直接送気すると、固気分離装置16のろ布等が熱損傷するため、必要に応じて高温排ガス(HG2+HG1)に冷却用空気CAを混入するのが好ましい。
次に、図4に示すフローチャートを更に参照して、製造装置2で行われる処理について、特にフライアッシュ予熱装置21に関係する内容を説明する。なお、フライアッシュ予熱装置21以外に関する処理内容は、上記図1及び図2で説明した、製造装置1で行われる改質フライアッシュの製造方法と同じである。
上記図1の、STEP01~STEP03と同様に、外熱式ロータリーキルン14の内筒部14bに燃焼ガスA2を一定流量で連続的に送気する(図4/STEP11、STEP12、STEP13)。
次に、外熱式ロータリーキルン14からの高温排ガス(HG2+HG1)を、フライアッシュ予熱装置21に送気して、下段側のサイクロン21bのガス導入部から導入して、サイクロン21b内で高温排ガス(HG2+HG1)による旋回流を形成させる。そして、下段側のサイクロン21bから排出した高温排ガス(HG2+HG1)は、続いて、上段側のサイクロン21aのガス導入部から導入されて、サイクロン21a内でも同様に高温排ガス(HG2+HG1)による旋回流を形成させる(図4/STEP14)。このとき、制御装置51は、フライアッシュ予熱装置21に送られる高温排ガス(HG2+HG1)の温度が600℃~800℃を維持するように、例えば、高温排ガス(HG2+HG1)に温度調整用の冷却用空気CAを混入するなどにより、制御する。このような温度範囲であれば、その範囲が600℃以上であるので導入したフライアッシュが十分に予熱され、なお且つ、その範囲が800℃以下であるので、つづく外熱式ロータリーキルン14での加熱工程等における過加熱による弊害が防がれる。
また、石炭灰粉砕装置11では、上記図1に示した実施形態の製造装置1と同様、供給された石炭灰D1を、そのブレーン比表面積が4500cm2/g~10000cm2/gとなるように粉砕する(図4/STEP15)。このとき、石炭灰粉砕装置11で粉砕されたフライアッシュをフライアッシュ分級装置12に送って、所定の分級点(例えば100μm)で分級することで、得られた第1フライアッシュF1が所定の粉末度を有することをより確実にすることができる。得られた第1フライアッシュF1は、固気分離装置16で回収された第2フライアッシュF2と共に、予熱装置21の上段側のサイクロン21aのフライアッシュ導入部に連続的に供給される(図4/STEP16)。
フライアッシュ予熱装置21で予熱され、排出された第3フライアッシュF3は、外熱式ロータリーキルン14のフライアッシュ供給部14aに連続的に供給される(図4/STEP17)。この際、第3フライアッシュF3の供給量、未燃カーボン含有率及び粒度が、フライアッシュ測定装置M11によって測定され、その測定結果が制御装置51に送信される。
フライアッシュ予熱装置21から外熱式ロータリーキルン14への第3フライアッシュF3の供給量が安定したところで、第3温度計T13によってフライアッシュ予熱装置21に送気される高温排ガス(HG2+HG1)の温度が測定され、その測定結果が制御装置51に送信される。
制御装置51は、フライアッシュ予熱装置21から供給される第3フライアッシュF3の温度が、450~650℃となるように、フライアッシュ予熱装置21に送られる高温排ガス(HG2+HG1)の温度を調整して、制御する。この場合、この第3フライアッシュF3の温度は、フライアッシュ測定装置M11によって測定された第3フライアッシュF3の未燃カーボンの供給量及び未燃カーボン含有率、すなわち単位時間あたりの未燃カーボン供給量に応じて調整するのが好ましい。すなわち、含有する未燃カーボン量が多い場合には(例えば、時間当たりにフライアッシュ予熱装置21に導入される未燃カーボン量が多い場合には)、かかる未燃カーボンの燃焼による熱量によって外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内での第3フライアッシュF3の加熱が過剰になり、第3フライアッシュF3の非晶質相の結晶化が急速に進行してポゾラン反応性を低下させてしまう程の高温状態になる。したがって、特に、第3フライアッシュF3中の未燃カーボンの含有率が高い場合、ひいては、例えば、時間当たりにフライアッシュ予熱装置21に導入される量が多い場合には、フライアッシュ予熱装置21における予熱温度を下げることによって外熱式ロータリーキルン14の内筒部14b内の温度が過剰に高温になることを抑制する必要がある。
具体的には、第3フライアッシュF3の温度は、第3フライアッシュF3の未燃カーボン含有率が2~4質量%の場合には550℃~650℃、5~7質量%の場合には500℃~600℃、8~10質量%の場合には450℃~550℃であるのが好ましい。外熱式ロータリーキルン14に供給される第3フライアッシュF3の予熱温度が、650℃を超える場合には、つづく外熱式ロータリーキルン14での加熱工程等における過加熱による弊害の虞がある。一方、外熱式ロータリーキルン14に供給される第3フライアッシュF3の予熱温度が、450℃未満の場合には、未燃カーボンが燃焼を開始する箇所が内筒部14bの内部側に移動してしまうために、未燃カーボンが自燃により燃焼して減少するのに必要な時間を与えることができず、未燃カーボン含有率が低減した改質フライアッシュF4を得ることができない場合がある。
フライアッシュ予熱装置21における予熱工程では、第3フライアッシュF3は、含有する未燃カーボンが自燃を生じさせる直前の温度まで、予熱される。予熱装置21に導入される高温排ガス(HG2+HG1)は、燃焼を経たものであり、十分に酸素が低減している。よって、高温排ガス(HG2+HG1)による予熱は、予熱装置21内の環境を第3フライアッシュF3の未燃カーボンが自燃しない環境にするのに好適である。例えば、予熱装置21内の非自燃環境においては、雰囲気酸素濃度が9体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがより好ましい。
第3フライアッシュF3が外熱式ロータリーキルン14に供給された後の工程(図4/STEP18~STEP22)は、上記図2のSTEP06~STEP10の工程と同じである。
最後に、上記に説明した製造装置1及び製造装置2を用いて石炭灰を処理したときの試験結果について説明する。なお、下記表1、2には、製造装置1及び製造装置2に共通するか、あるいは製造装置1又は製造装置2に特有の、より具体的な仕様が示される。
試験においては、各装置に備わる石炭灰粉砕装置11による粉砕の程度を変え、あるいはそれによる粉砕を行なわずに、その他は試験条件を固定した。この場合における、第1フライアッシュF1の粒度(ブレーン比表面積)の影響を、(1)改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率、(2)改質フライアッシュF4の活性度指数、(3)製造装置1における第2フライアッシュF2の循環率、(4)加熱部14cの電力使用量について、比較した。
なお、第1フライアッシュF1のブレーン比表面積の測定は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の比表面積試験に準拠して、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率の測定は、JIS M 8819「石炭類及びコークス類-機器分析装置による元素分析方法」に準拠して、改質フライアッシュF4の活性度指数の測定は、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」の付属書C「フライアッシュのモルタルによるフロー値比及び活性度指数の試験方法」に準拠して、それぞれ測定した。
表3には製造装置1による試験結果を示し、表4には製造装置2による試験結果を示す。
表3及び表4に示されるように、第1フライアッシュF1のブレーン比表面積が4500cm2/g以上である実施例の全てにおいて、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が0.5質量%未満であったのに対し、第1フライアッシュF1のブレーン比表面積が4500cm2/g未満である比較例1、2では、改質フライアッシュF4の未燃カーボン含有率が1.0質量%以上の高い値を示した。さらに、全ての実施例において、改質フライアッシュF4の活性度指数は、材齢28日が80%以上を、さらに材齢91日が90%以上を示しており、コンクリートの混和材等に問題なく利用することができる品質を有する改質フライアッシュが得られた。
また、比較例に比べて、実施例では加熱部14cの電力使用量も減少傾向となり、加熱工程のエネルギー効率の観点からも、実施例のほうが有利であることが明らかとなった。