JP2006273970A - バイオマス含有石炭粉末燃料の製造方法及びその利用方法並びにバイオマス含有石炭粉末燃料の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のバイオマス含有石炭粉末燃料の製造方法及び利用方法は、所定量の木屑及び石炭を同時に乾燥粉砕機33に供給し乾燥・粉砕を行い、得られた混合粉砕物から分離捕集装置35により排ガスを分離し、この混合粉砕物を分級機36に投入し、木質部分を多く含んだ粗粒部分と、主に石炭粉末からなる微粒部分に分級し、分級された粗粒部分を仮焼炉燃料供給ライン38により仮焼炉9に輸送し、燃料として有効使用することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この方法の一例としては、木質材料を粉砕する堅型粉砕機の上方に、得られた粉砕物を粗粒部分と微粒部分とに分級する回転セパレータを設けた2段分級式回転セパレータ付き堅型粉砕機を用いて、木質材料を粉砕・分級する方法が提案されている(特許文献1参照)。
この方法では、予め所定の寸法に予備破砕した木質材料を、2段分級式回転セパレータ付き堅型粉砕機の粉砕テーブルの中央に供給管を介して供給し、この木質材料を粉砕テーブルの回転に従動する複数のローラで粉砕し、得られた粉砕物を粉砕テーブルの外周から排出し、該粉砕テーブルの外周下方から噴出するガスにより乾燥するとともに該ガスを用いて2段分級式回転セパレータに搬送して微粒部分と粗粉部分とに分級し、微粒部分は粉砕機外に排出して製品とするとともに、粗粉部分を上記の供給管を用いて粉砕テーブル中央に戻すようになっている。
この方法では、廃棄物となった木材を破砕することにより木材の破砕物とし、この破砕物を、絶対乾燥状態の質量に対し60〜108%の質量になるまで加熱処理し、この加熱処理後の木材の破砕物と、石炭とを混合・粉砕し、粒度が1.5mm以下の粒体の割合が90質量%以上の混合粉砕物とし、この混合粉砕物をセメント焼成用キルンにて燃料として使用するもので、加熱処理のための熱源として、セメント製造設備の排熱を利用している。
例えば、セメント焼成設備で燃料として使用される微粉炭は、平均粒子径が40μm以下の粒度に粉砕して使用されるが、上記の2段分級式回転セパレータ付き堅型粉砕機を用いた方法では、木質材料は平均粒子径が800μm程度までしか粉砕されず、したがって、この粉砕・分級方法によって得られた木質材料を主成分とする粉末燃料は、破砕された木材の平均粒子径が大きく、微粉炭などに比較して極端に燃焼速度が遅く、セメント焼成設備において高温の火炎をつくることは不可能である。
しかしながら、この場合においても、木質材料を主成分とする粉末燃料を製造するための、木質材料粉砕用の専用竪型ミルや、供給設備や貯蔵設備が必要となり、設備が大掛かりになる等の問題があり、必ずしも有効な利用方法ではなかった。
また、木質材料のみの粉砕は難しく、適切な粉砕粒度とするためには多量の動力が必要になり、場合によっては、利用される熱エネルギー以上の動力エネルギーが必要になり、効率的ではなかった。
また、木材などのバイオマス燃料は、多量の水分を含んでいる場合があり、また、石炭燃料などと比較して酸素量が多く、理論燃焼ガスの温度が上昇しない欠点がある。
上記のような木質材料をセメントキルンでも使用できる燃料として改質するためには、多大な熱エネルギーと動力が必要になる。セメントロータリーキルンで使用できる木質材料は、エネルギー換算でせいぜい10%程度が限度であり、それ以上の木質材料を使用することができなかった。
また、混合粉砕物を粗粒部分と微粒部分とに分級することにより、従来の石炭粉末燃料と同等の燃焼性を有する微粒部分と、燃焼性がやや劣る粗粒部分とに容易に分離することが可能になり、微粒部分と粗粒部分のそれぞれの使途別に適正な使用が可能になる。
バイオマス系廃棄物を木材とすることにより、廃棄物となった木材の有効処理を図ることが可能になる。また、木材は保有熱量が大きく、含有水分も比較的少ないことにより、有効活用が可能になる。
乾燥・粉砕の際にセメント製造設備の排ガスを用いることで、バイオマス系廃棄物と石炭とを同時に乾燥・粉砕する際に、乾燥のための熱源を別途用意する必要がなくなる。
乾燥・粉砕の条件を上記の様に設定することで、バイオマス系廃棄物の粉砕量を多くしても乾燥・粉砕が容易となり、混合粉砕物の粉末度を従来の石炭を単独に粉砕する場合と比べて高くすることが容易になる。これにより、バイオマス廃棄物を燃料として利用する率が高くなる。
また、バイオマス含有石炭粉末燃料を従来の石炭粉末燃料と同等の燃焼性を有する微粒部分と、燃焼性がやや劣る粗粒部分とに分離することで、用途に合ったバイオマス含有石炭粉末燃料が容易に作製される。
この様な構成とすることにより、バイオマス系廃棄物と石炭とを同時に乾燥・粉砕する際に、セメント製造設備の排ガスを有効利用することが可能になり、バイオマス含有石炭粉末燃料の製造コストも低減される。
また、混合粉砕物を粗粒部分と微粒部分とに分級するので、従来の石炭粉末燃料と同等の燃焼性を有する微粉のバイオマス含有石炭粉末燃料と、燃焼性がやや劣る粗粒のバイオマス含有石炭粉末燃料を容易に得ることができ、使途に合ったバイオマス含有石炭粉末燃料を容易に作製することができる。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
これらロータリーキルン7、クリンカクーラ8、仮焼炉9、サスペンションプレヒータ10によりセメント焼成設備が構成されている。
また、21はクーラ排ガスライン、22はセメント原料供給ライン、24はセメント原料粉供給ライン、25はセメントクリンカ搬送ラインである。
なお、分離捕集装置35によりバイオマス系廃棄物と石炭との混合粉砕物から分離された排ガスは、クリンカクーラ8を冷却するために再利用される。
ここで用いられるバイオマス系廃棄物としては、特に限定はされないが、建築廃材を破砕してなる木材チップや木屑等の木質系の廃棄物の他、バルプスラッジ、バイオマス系の汚泥等も使用することが可能である。
特に、木材チップや木屑等の木質系の廃棄物は、取り扱いの容易さ、燃料とした場合の均質性等の理由により好ましいので、ここでは、木屑を用いることとする。
これにより、バイオマス系廃棄物と石炭をそれぞれ所定量含む混合粉砕物が得られる。
次いで、この混合粉砕物を分離捕集装置35を通過させることにより、この混合粉砕物を排ガスから分離し捕集する。
分級径は、仮焼炉9およびロータリーキルン7の燃料使用比率により決定することもできるが、分級機36に振動篩などを採用した場合は、分級可能な粒子径が比較的大きいので、その分級可能な粒子径により決定されることとなる。
このような場合には、分級された粗粒部分の量が少ないので、粗粒部分を使用する仮焼炉9への燃料供給が不足するが、微粒部分の一部を仮焼炉9へ供給することにより解決することができる。
一方、分級された微粒部分は、一旦キルン燃料供給ビン39に貯留され、キルン燃料供給ライン40により微紛燃料を定量切り出しして空気輸送にてロータリーキルン7のバーナー14に供給される。
また、ロータリーキルン7に供給された微粉燃料は木質部分が少なく、また、この微粉燃料の粒子径は従来の微粉炭のみの燃料と同等であるから、ロータリーキルン7内にて高温の燃焼場を形成することが容易であり、しかも、セメント品質やセメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞は極めて少ない。
さらに、分級により得られた粗粒部分をセメント製造設備の仮焼炉9の燃料として有効利用するので、バイオマス系廃棄物の持つ保有熱量を有効利用することができ、しかも、セメント焼成の操業に悪影響を与える虞もない。
ここでは、竪型ローラミルのテスト機を用いて、バイオマス系廃棄物と石炭との混合物の粉砕効果について調べた。
ここでは、バイオマス系廃棄物として木屑を用いた。使用した木屑および石炭の形状及び物性は以下の通りであり、使用した竪型ローラミルの仕様は下記の通りである。
長形状の木材チップ(木屑)、最大長片:約40mm、平均約20mm
水分含有率:約25%
「石炭」
塊状石炭 最大粒径:約60mm、平均粒径:約25mm
水分含有率:9.2%
「竪型ローラミル」
型式:ISミル(石川島播磨重工業社製)
ローラ径:1400mm、ローラ数:3個
テーブル径:1825mm
セパレータ:固定型
いずれの条件においても混合粉砕が可能であり、粉砕量もほぼ同一であった。
基準及び実施例1〜3それぞれの混合粉砕物の粒度分布を表1に示す。
次に、実施例1〜3それぞれの粉砕物の木質部分の粒度分布を測定した。
ここでは、目開きが210μmの篩上に残留する粗粒子を、目視によって木質部分と石炭部分に分け、木質部分と石炭部分のそれぞれの粒度分布を測定した。これらの結果を表2に示す。
また、粉砕された木質部分は、粗粒部分に偏在しており、210μm以上の粗粒子には50%以上が存在していることが分かった。
また、粉砕されたバイオマス系廃棄物は、粗粒部分に偏在することとなるので、この混合粉砕物を所定の粒子径にて分級することにより、木質部分の多い粗粒粉末を選別することができることが分かった。
2 サイクロン
3 セメント原料貯蔵庫
7 ロータリーキルン
8 クリンカクーラ
9 仮焼炉
10 サスペンションプレヒータ
10a〜10d サイクロン
11 2次ダクト
12 電気集塵機
13 排気煙突
14 バーナー
21 クーラ排気ライン
22 セメント原料供給ライン
24 セメント原料粉供給ライン
25 セメントクリンカ搬送ライン
31 バイオマス含有石炭粉末燃料の製造装置
32 供給ライン
33 乾燥粉砕機
34 クーラ排ガスライン
35 分離捕集装置
36 分級機
37 仮焼炉燃料供給ビン
38 仮焼炉燃料供給ライン
39 キルン燃料供給ビン
40 キルン燃料供給ライン
Claims (7)
- バイオマス系廃棄物と石炭とを同時に乾燥・粉砕して混合粉砕物とし、次いで、この混合粉砕物を粗粒部分と微粒部分とに分級することを特徴とするバイオマス含有石炭粉末燃料の製造方法。
- 前記バイオマス系廃棄物は、木材であることを特徴とする請求項1記載のバイオマス含有石炭粉末燃料の製造方法。
- 前記乾燥・粉砕の際に、セメント製造設備の排ガスを用いることを特徴とする請求項1または2記載のバイオマス含有石炭粉末燃料の製造方法。
- 前記混合粉砕物が90μm以上の粒子を20重量%以上かつ50重量%以下含有する様に、前記乾燥・粉砕の条件を設定することを特徴とする請求項1、2または3記載のバイオマス含有石炭粉末燃料の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項記載のバイオマス含有石炭粉末燃料の製造方法により得られたバイオマス含有石炭粉末燃料の利用方法であって、
前記分級により得られた粗粒部分をセメント製造設備の仮焼炉の燃料に用いることを特徴とするバイオマス含有石炭粉末燃料の利用方法。 - バイオマス系廃棄物と石炭とを同時に乾燥・粉砕して混合粉砕物とする乾燥・粉砕手段と、この混合粉砕物を粗粒部分と微粒部分とに分級する分級手段とを備えてなることを特徴とするバイオマス含有石炭粉末燃料の製造装置。
- 前記乾燥・粉砕手段に、セメント製造設備の排ガスを導入する排ガス導入手段を設け、この乾燥・粉砕手段と前記分級手段との間に、前記混合粉砕物を前記排ガスから分離・捕集する分離・捕集手段を設けてなることを特徴とする請求項6記載のバイオマス含有石炭粉末燃料の製造装置。
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