JP7042218B2 - ポリエステル樹脂被覆金属板、及びプレス成形される金属板の被覆用ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂被覆金属板、及びプレス成形される金属板の被覆用ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

本発明は、金属板上に塗布される有機樹脂被膜に関し、より詳細にはプレス成形後の脱膜性に優れたポリエステル樹脂被覆金属板、及び金属板にラミネート可能な被覆用ポリエステルフィルムに関する。
例えば現代の移動手段として不可欠な自動車は、鋼板をプレス成形することで製造されている。かようなプレス成形においては、樹脂や油脂などからなる潤滑剤を鋼板上に塗布することで成形性を向上させている(特許文献1及び特許文献2参照)。
また、近年では、低燃費化などの要請から、自動車用の素材として鋼板からアルミニウムなど他材料への転換が進んでいる。しかしながら例えばアルミニウムは鋼板に比して成形性が低いため、例えば自動二輪車のフレームや四輪車のドアパネルなど比較的構造が複雑な部位ではプレス成形などが困難となってくる。
このような難加工材に対するプレス成形として、温間プレス成形による加工が注目され始めている。温間プレス成形では、プレス加工時における荷重を小さくし、アルミニウム自体の加工性を向上させるために、プレス加工用の金型を例えば200~300℃程度の高温に加熱することが行われている(特許文献3)。
一方で特許文献4においては、温間プレス成形後の潤滑皮膜の残渣が後処理に影響する点を発見し、この残渣を適切に除去することで陽極酸化処理などの表面処理や塗装などの後処理を問題なく実行することができることが提案されている。
特開昭55-38840号公報 特開2010-197017号公報 特開2015-54422号公報 国際公開第2007/023967号公報
しかしながら上記した特許文献1~4を含む従来の技術では市場のニーズを満たしているとは言えず、以下に述べる課題が存在する。
まず特許文献1~3では、潤滑皮膜としてワックスを含有しているため、プレス成形時の加熱に対して皮膜の成分が揮発することで作業環境が劣化してしまう懸念がある。さらに潤滑皮膜が加熱により変質することで成形後に潤滑皮膜の残渣が発生する場合があり、例えば塗装などの後処理工程で重大な欠陥となることも否めない。
潤滑皮膜の残渣が品質に及ぼす影響は甚大であり、たしかに特許文献4によればその影響は抑制されるともいえる。しかしながら特許文献4では、70℃の温度環境下で超音波も用いて10分間処理を行うなど充分な条件下で残渣の除去しており、効率性を上げるという観点で改善の余地はある。換言すれば、例えば自動車などの製造では生産コストの削減も競争力を増す重要な因子であり、如何にして残渣が発生することなく潤滑皮膜を除去(脱膜)できるかが重要となってくる。
本発明は、かような課題を解決することを鑑みてなされ、プレス成形後の脱膜性に優れたポリエステル樹脂被覆金属板、及びプレス成形される金属板にラミネート可能な被覆用ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかるポリエステル樹脂被覆金属板は、(1)金属板と、前記金属板上に被覆されるポリエステル樹脂層と、前記ポリエステル樹脂層上に被覆される有機樹脂層と、を有し、前記ポリエステル樹脂層は、分子量が20000以下であり、5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩を前記ポリエステル樹脂層における全ジカルボン酸成分に対して6~20mol%含有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が100℃未満であり、前記有機樹脂層にはアクリルおよびコロイダルシリカが含有されてなることを特徴とする。
なお、前記(1)に記載のポリエステル樹脂被覆金属板においては、(2)前記ポリエステル樹脂層は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸乃至イソフタル酸であることが好ましい。
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかるポリエステルフィルムは、(3)プレス成形される金属板の被覆用ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムは、分子量が20000以下であり、親水基として5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩を全ジカルボン酸成分に対して6~20mol%含有し、ガラス転移温度(Tg)が100℃未満であり、且つ、前記金属板がプレス成形された後でアルカリ脱脂による除去が可能なことを特徴とする。
なお、前記(3)に記載のポリエステルフィルムにおいては、(4)ジカルボン酸成分がテレフタル酸乃至イソフタル酸であることが好ましい。
本発明によれば、脱膜性に優れたポリエステル樹脂被膜などを実現でき、例えばプレス成形を行う金属板に適用した場合には優れた生産性と高い脱膜性を高次元で両立することが可能となる。
本実施形態に係るポリエステル樹脂被覆金属板10の構造を模式的に示した断面図である。 本実施形態の他の例に係るポリエステル樹脂被覆金属板20の構造を模式的に示した断面図である。
≪第1実施形態≫
<ポリエステル樹脂被覆金属板>
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。
図1に示すとおり、本実施形態に係るポリエステル樹脂被覆金属板10は、基材1、及びポリエステル樹脂層2を含んで構成されている。このポリエステル樹脂被覆金属板10は、例えば温間プレス成形に好適であり、プレス成形後の皮膜除去において良好な脱膜性を発揮する。
以下、本実施形態に係るポリエステル樹脂被覆金属板10につき個々の構成要素を詳述していく。
[基材]
ポリエステル樹脂被覆金属板10のベースとなる基材1としては、アルミニウム、鉄、銅、チタン及びマグネシウム並びにアルミニウム合金や鋼板やステンレスなど上記金属の合金などを含む金属板が用いられる。
この基材1としての金属板の厚みについては特に制限はなく、基材1の厚さは、その用途によって種々の値を取ることができる。
[ポリエステル樹脂被膜(層)]
本実施形態のポリエステル樹脂層2は、基材1上に被覆される。図1では基材1のうち表裏両面にポリエステル樹脂層2が被覆されているが、片側のみポリエステル樹脂層2が被覆される形態でもよい。
ポリエステル樹脂層2を構成する多価カルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸、あるいはこれらのエステル誘導体を使用してもよい。そして、かようなポリエステル樹脂層2としては、例えばジカルボン酸とジオールから成るものを主体とするのが好ましい。
そして芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ビスフェノキシエタン-p,p’-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを適宜用いてもよい。
さらに脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸など、あるいはこれらのエステル形成性誘導体を用いてもよい。
一方でポリエステル樹脂層2を構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、4,4’-チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-(2-ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェノール、o-,m-,およびp-ジヒドロキシベンゼン、4,4’-イソプロピリデンフェノール、4,4’-イソプロピリデンジオール、シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオールなどを用いてもよい。
かようなポリエステル樹脂層2としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレートをはじめ、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、1,4シクロヘキサンジメチルテレフタレート、エチレンイソフタレート、ブチレンイソフタレート、エチレンナフタレート、エチレンアジペート、ブチレンアジペートの少なくともいずれか1種以上を重合してなるポリエステル樹脂が例示される。またこれらのポリエステル樹脂の2種以上をブレンドしてなる樹脂を適用してもよい。
特に本実施形態のポリエステル樹脂層2は、親水基としてスルホン酸塩を含有している。かようなスルホン酸塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、及びカリウム塩のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
そして調達コストや汎用性の観点からはスルホン酸塩としてナトリウム塩が好適であり、さらに後述するとおりナトリウム塩の中でも5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩が最も望ましい。なお、スルホン酸塩がナトリウム塩であるときにも、当該ナトリウム塩以外に他の塩が微量に含まれることを阻害するものではない。
さらに本実施形態のポリエステル樹脂層2は、ガラス転移温度(Tg)が100℃未満であることを特徴とする。ガラス転移温度(Tg)が100℃を超える場合、アルカリ脱脂時に処理液に対して溶解しにくくなり、コストや作業環境などを鑑みた適切な脱膜処理を行うことが難しくなるからである。より具体的に、ガラス転移温度(Tg)が100℃を超える場合、アルカリ脱脂の処理液に適切に溶解させるためには、脱膜時における処理液の浴温を高くしたり、ポリエステル樹脂層2中のスルホン酸塩の含有量を多量にしたりしなければならない。そして脱膜時の処理液の浴温を高温にする場合には、処理液が揮発して作業環境が悪化する恐れが生じる。また、例えばSIPなどのスルホン酸塩を多量にポリエステル樹脂層2中に入れると、ポリエステル樹脂層2の基材1への造膜性の低下や膜強度の低下の懸念などがあり、さらにはコスト高となって好ましくない。
なお、このポリエステル樹脂層2のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃~100℃であり、ポリエステル樹脂層2が5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩を含む場合には25℃~64℃であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂層2に含有されるスルホン酸塩の含有量(mol%)は、全ジカルボン酸成分を100mol%とした場合において4mol%以上であることが好ましい。スルホン酸塩が全ジカルボン酸成分に対して4mol%を下回ると、特に温間プレス成形後における脱膜性が悪化してしまうためである。
なお、上記したスルホン酸塩の含有量(mol%)は、全ジカルボン酸成分を100mol%とした場合において、6~20mol%であることが更に好ましく、10~17mol%であることがより好ましい。そして、特に、上記したスルホン酸塩が5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩である場合、その含有量(mol%)は、全ジカルボン酸成分を100mol%とした場合において、6~17mol%であることが更に好ましく、10~17mol%であることがより好ましい。
また、ポリエステル樹脂層2の分子量(数平均)は、20000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂層2の分子量が20000を超えると、高分子化のために重合時間が長くなることがあり生産性低下につながるという不都合が生じるからである。また、分子量が高すぎるとアルカリ脱脂時の処理液に対して溶解しにくくなる恐れがあり、適切に溶解させるためには脱膜時の浴温を高くしたり、ポリエステル樹脂層2中のスルホン酸塩の含有量を多量にしたりしなければならない場合があるという不具合も生じ得るからである。そして脱膜時における処理液の浴温を高温とすると、この処理液が揮発して作業環境が悪化するなどの恐れが出てくる。また、例えばSIPなどのスルホン酸塩を多量にポリエステル樹脂層2中に入れると、ポリエステル樹脂層2の基材1への造膜性の低下や皮膜自体における変質の懸念などがあり、さらにはコスト高となって好ましくない。
なお、ポリエステル樹脂層2の分子量は、10000~17000であることがより好ましい。
また、ポリエステル樹脂層2の厚みは、特に制限はなく種々の値を適用してもよいが、コスト面から0.1~10μmが好ましく、均一性と脱膜性を求める場合には0.4~5μmがより好ましく、さらに生産性も考慮すると0.5~2.0μmが最も望ましい。
また、ポリエステル樹脂層2は、アクリル変性されていないなど、アクリル成分を含有していないことが望ましい。耐アルカリ性に優れるアクリル成分がポリエステル樹脂層2に含有されることでプレス成形後の基材1からの脱膜性が低下してしまうからである。
また、ポリエステル樹脂層2は、ワックスを含有していないことが望ましい。ポリエステル樹脂層2にワックスが含有されていると、プレス成形時の加温によってワックス成分が揮発して臭気が発生するからである。かような観点からすれば、ポリエステル樹脂層2中に含まれるワックスは、好ましくは5wt%未満、より好ましくは1wt%未満、さらに好ましくは0.1wt%未満である。
<ポリエステルフィルム>
本実施形態のポリエステル樹脂層2は、表面処理層として上記した基材1(金属板)上に形成される形態に限られず、上記した金属板上にラミネート可能なフィルムの状態であってもよい。
すなわち、本実施形態のポリエステルフィルムは、例えばプレス成形(特に温間プレス成形)される金属板への被覆用途として好適であり、親水基としてスルホン酸塩を含有し、ガラス転移温度(Tg)が100℃未満であることを特徴とする。さらに本実施形態のポリエステルフィルムは、基材1(金属板)が温間プレス成形された後でアルカリ脱脂による除去が可能となっている。
かようなポリエステルフィルムの製造方法に特に制限はないが、例えばテフロン(登録商標)などのベース基板上に本発明のポリエステル樹脂を含有する塗膜液を塗布して乾燥させてポリエステルフィルムを形成した後に、これをベース基材上から剥離することで得ることができる。
なお、上記塗布乾燥後のポリエステルフィルムを剥離可能であればベース基材の種類は特に制限はなく、公知の種々の材質をベース基材として適用してもよい。
また、ポリエステルフィルムに含まれるスルホン酸塩に関する特徴(種類、分子量、Tg、及び含有量など)は、既述したポリエステル樹脂層2と同様であるので、その説明は省略する。
≪第2実施形態≫
次に、本実施形態の他の例に係るポリエステル樹脂被覆金属板20を図2に示す。
なお、以下で説明する第2実施形態については、既述した第1実施形態と同じ作用効果を有する構成は同じ番号を付し、更にその説明は適宜省略する。
図2に示すとおり、第2実施形態のポリエステル樹脂被覆金属板20は、基材1、ポリエステル樹脂層2、及び機能層3を含んで構成されている。なお、図2では、基材1の表裏双方の側にポリエステル樹脂層2及び機能層3が形成されているが、基材1の少なくとも一方の側にこれら各層が形成されていればよく、他方の側はポリエステル樹脂層2のみ形成されていてもよく、さらにはポリエステル樹脂層2も機能層3も形成されていなくてもよい。
このように本実施形態に係るポリエステル樹脂被覆金属板20は、第1実施形態のポリエステル樹脂被覆金属板10に対して更に機能層3を積層していることに主とした特徴がある。
本実施形態の機能層3は、例えば温間成形性を向上させる目的から、以下で示される有機樹脂被膜が適用される。かような有機樹脂被膜としては、水系樹脂、すなわち水溶性または水分散性樹脂であることが好ましく、水系のウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、またはこれらの有機樹脂を変性してなるアクリル変性ポリエステル樹脂、フェニルシリコン変性アクリル樹脂などが好ましい。これらの有機樹脂は上記のうち1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記有機樹脂は、温間プレス加工時の加工温度として、150℃ を越えるような温度が好適に使用される場合が多いため、耐熱性に優れた有機樹脂を使用するのが好ましい。
これらの有機樹脂は単独でポリエステル樹脂層2上に塗布して皮膜形成させてもよいが、成形加工性や耐食性を向上させるために、以下に示す物質を有機樹脂に含有させて用いてもよい。
すなわち、例えば機能層3にシランカップリング剤を含有させることにより、下層に対する密着性、特に成形加工時の密着性が著しく向上する。シランカップリング剤には、ビニル系、エポキシ系、スチリル系、メタクリロキシ系、アクリロキシ系、アミノ系、ウレイド系、クロロプロピル系、メルカプト系、イソシアネート系などの官能基の種類によって分類され、これらはすべて効果的に使用可能である。これは、シランカップリング剤がほとんどの樹脂に対して結合性、すなわち密着性にすぐれているためと考えられる。
なおシランカップリング剤は機能層3中に5wt%以下で含有していることが好ましく、1wt%以下で含有していることがより好ましい。5wt%を超えて含有しても密着性の向上効果は飽和し、経済的に有利でなくなるからである。
また、例えば機能層3にコロイダルシリカを含有させることにより、有機樹脂皮膜の硬さが向上して耐疵付性が向上し、耐食性も向上する。かようなコロイダルシリカは、機能層3中に例えば70wt%以下で含有していることが好ましい。70wt%を超えて含有すると、有機樹脂皮膜が硬くなりすぎて加工性が劣化し、成形加工時に機能層3にクラックが生じやすくなるからである。なお、機能層3が軟質である方が好ましい場合には、コロイダルシリカの含有量は55wt%以下とすることがより好ましく、より好ましくは50wt%以下である。
さらに、例えば機能層3に潤滑剤を含有させることにより成形加工性が向上する。潤滑剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸、これらの高級脂肪酸のカルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、マグネシウム塩、これらの高級脂肪酸エステル、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどのフッ素系ワックス、グラファイト、二硫化モリブデン、ボロンナイトライドなどの無機質粉末などを用いることができる。これらの潤滑剤は機能層3中に20wt% 以下で含有していることが好ましい。20wt%を超えて含有すると、成形加工時も密着性が劣化するからである。
さらに、例えば機能層3に金属アルコキシドを含有させることにより耐熱性が向上する。金属アルコキシドとしては、ボロン、アルミニウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、タンタル、タングステンのアルコキシドをあげることができるが、中でもチタン系のアルコキシドが好適に用いることができる。これらの金属アルコキシドは、機能層3中に10wt%以下で含有していることが好ましい。10wt%を超えて含有すると成形加工性が低下するからである。上記のシランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤、金属アルコキシドは機能層3中にそれぞれ1種で単独で含有していてもよいが、2種以上が含有していてもよい。
なお、温間プレス成形における成形性を向上させる観点からは、機能層3として、特にアクリル成分とコロイダルシリカを含有する有機樹脂被膜が特に好適に用いられる。
この場合、機能層3の厚みとしては特に制限はないが、機能層3が厚すぎると下層のポリエステル樹脂層2の脱膜性が低下する恐れがあるため、例えば0.1~6.0μmが好適であり、より好ましくは0.2~5.0μm、コスト面も考慮するとさらに好ましくは0.2~4.0μmである。
なお、本実施形態においては、機能層3はポリエステル樹脂層2の上に形成されるため、脱膜工程においてポリエステル樹脂層2が溶解することにより、機能層3は溶解せずとも基材1からポリエステル樹脂層2及び機能層3は脱膜が可能となっている。したがって、本実施形態では、機能層3の溶解性は特に問われない。
<実施例>
以下に実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
まず基材1に塗布する塗膜液を作成した。
具体的には、ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分としてはエチレングリコールを、多価カルボン酸成分としてはイソフタル酸、親水基として5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩(以下、「SIP」とも称する)を用い、ジカルボン酸成分中のSIPの含有量が表1に示す割合となるよう共重合させたポリエステル樹脂を使用した。
このとき、作成した樹脂のTgは25℃、分子量は15000であった。なお、Tgの測定は、公知の示差熱走査熱量計で行った。
なお、実施例1のポリエステル樹脂は、有機溶剤、ワックス、アクリル成分のいずれも含有していないが、脱膜性に影響がない範囲で適宜含んでいてもよい。
次いで、このポリエステル樹脂を水溶媒に分散させて水分散ポリエステル樹脂の塗膜液を準備した。そして、この塗膜液から乾燥により抽出した樹脂成分に対し、日本電子製JMN EX-400を用いたH-NMR分光法(プロトン-Nuclear Magnetic Resonance spectroscopy)によって成分分析を行った。このときのSIP量は、ポリエステル樹脂における全ジカルボン酸成分に対して6mol%であった。
なお、後述する実施例においても親水基としてSIPを用いているが、本発明では塗膜液内において親水基が-SO3-の状態で溶解すればよいので、スルホン酸Na塩に限られずスルホン酸Li塩など他のスルホン酸塩にも同様の原理が当てはまる。かような観点から換言すれば、本発明の技術的範囲は、上記で用いたスルホン酸Na塩に限られず他のスルホン酸塩にも拡張されることは容易に推測できると言える。
得られた塗膜液を用いて、乾燥後の厚さが6μmとなるように基材1にポリエステル樹脂層2を形成した。なお、乾燥条件は、水の蒸発を意図し、基材1の温度が110℃となる条件とした。
このとき基材1としては、厚さ0.8mmのアルミニウム板を用いた。なお、アルミニウム板の表面を公知の手法によって適宜洗浄など表面処理を事前に行ってもよい。
得られたポリエステル樹脂被覆金属板に対し、温間プレス成形を想定して、それぞれ200℃、250℃および300℃にて10分間の加熱を行った。
そして加熱の後、アルカリ脱脂剤(日本ペイント社製 EC90)の水溶液を用いて、皮膜溶解が比較的困難な条件である50℃、2分間の条件にて浸漬処理(スターラー撹拌500rpm併用)を行うことにより脱膜処理を施した。これに加え、温間プレス成形を想定した加熱を経ないポリエステル樹脂被覆金属板に対しても、同様にして脱膜処理を施した。なお、上記アルカリ脱脂剤の水溶液におけるpHは11.2であった。
[脱膜性評価]
上記脱脂の後、以下の態様にて脱膜性を評価した。
すなわち、実施例における脱膜性評価は、蛍光X線装置(リガク製ZSX100e)を用い、皮膜が形成されているとC(カーボン)の強度(C-Kα線、ネット強度)が高く検出されることから、残渣の有無をC強度から判断した。なお、簡易的には、例えば基材1がAlである場合、基材1のC強度は0.3~0.6kcps程度であるため、0.6kcps以下であれば、樹脂皮膜がすべて脱膜しており残渣なしと判断することも出来る。
一方で本実施例においては、より詳細に残渣がないかを確認するため、下記のような計算を用いて脱膜性を評価した。
すなわち、
IA:塗膜液を塗工する前の基材のC強度(脱脂、脱スマッジ(酸洗)後)
IB:塗膜液を基材に塗工してさらに乾燥した後のC強度
IC:温間加工想定の熱履歴を付与した後に脱膜試験を行った後のC強度
としたとき、
脱膜率は (IB-IC+IA)/IB ×100 (%)で表される。
そしてこの計算で求めた脱膜率がそれぞれ下記に示す値の場合、それぞれ1~4と評価する。
1:99.8%以上 完全脱膜、残渣なし
(なお、100%を若干超えることがあるのは基材由来の誤差範囲に依る。また、99.8%以上100%未満も基材由来の誤差範囲に依るとして完全脱膜と見做せる。以上を鑑みて、99.8%~100%を超える値を「1」評価とした。)
2:80%以上99.8%未満
3:20%以上80%未満
4:20%未満(脱膜できていない)
例えば、実施例1においては、塗膜液を塗工する前の基材1のC強度IAが0.5kps、塗膜液を塗布後に乾燥しポリエステル樹脂層2を形成した後のC強度IBが25kcps、200℃で10分間加熱した後、50℃、2分の条件にて脱膜処理を施した後のC強度ICが0.5kcpsであり、このときの脱膜率は100%となった。
[臭気性評価]
また、温間プレス成形を想定した加熱の過程において、臭気の有無を下記基準で評価した。
1:臭気無し
2:臭気がある
3:強い臭気がある
<実施例2>
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分にエチレングリコール及びジエチレングリコールを、多価カルボン酸成分にイソフタル酸、テレフタル酸、及びSIPを表1に示す割合で用い、分子量を17000、Tgを64℃、SIP量を10mol%とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例3>
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分にエチレングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールを、多価カルボン酸成分にイソフタル酸及びSIPを表1に示す割合で用い、分子量を10000、Tgを50℃、SIP量を17mol%とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例4>
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分にエチレングリコール及びジエチレングリコールを、多価カルボン酸成分にイソフタル酸、テレフタル酸及びSIPを表1に示す割合で用い、分子量を15000、Tgを45℃、SIP量を10mol%とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例5>
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分にエチレングリコール及びジエチレングリコールを、多価カルボン酸成分にイソフタル酸、テレフタル酸及びSIPを表1に示す割合で用い、分子量を15000、Tgを50℃、SIP量を16mol%とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例6>
ワックスとして酸化高密度ポリエチレン(PE)を1wt%の割合で追加した以外は、実施例5と同様に行った。
<実施例7>
ワックスとして酸化高密度ポリエチレン(PE)を10wt%の割合で追加した以外は、実施例5と同様に行った。
<実施例8>
ワックスとして変性ポリエチレンを10wt%の割合で追加した以外は、実施例5と同様に行った。
<実施例9>
まず、ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分にエチレングリコール及びジエチレングリコールを、多価カルボン酸成分にイソフタル酸、テレフタル酸及びSIPを表1に示す割合で用い、乾燥後のポリエステル樹脂層2の厚さを0.8μmとし、分子量を15000とし、Tgを50℃とし、SIP量を16mol%とした以外は、実施例1と同様に行った。
次いで、形成したポリエステル樹脂層2上に、厚さ0.4μmの機能層3を形成した。機能層3は、コロイダルシリカが50wt%含有するアクリル樹脂被膜とした(アクリル50wt%、コロイダルシリカ50wt%で作製)。
その後、実施例1と同様に、得られた表面処理金属板に対して温間プレス成形を想定して加熱処理を行い、さらに脱脂処理を経て脱膜性及び臭気性の評価を行った。
<比較例1>
実施例のごときポリエステル樹脂2に代えて、基材1上に形成される熱可塑性樹脂としてウレタン樹脂を用いた。このウレタン樹脂を、水(81%)と有機溶剤としてNMP(N-メチル-2-ピロリドン)(19%)を含む溶媒中に分散させて塗膜液を準備した。
そして乾燥後の厚さが6μmとなるように、準備した塗膜液を用いて基材1上にウレタン樹脂被膜を形成した。
得られたウレタン樹脂被覆金属板に対し、温間プレス成形を想定して、それぞれ200℃、250℃および300℃にて10分間の加熱を行った。
そして加熱の後、アルカリ脱脂剤(日本ペイント社製 EC90)の水溶液を用いて、皮膜溶解が比較的困難な条件である50℃、2分間の条件にて浸漬処理(スターラー撹拌500rpm併用)を行うことにより脱膜処理を施した。これに加え、温間プレス成形を想定した加熱を経ないウレタン樹脂被覆金属板に対しても、同様にして脱脂を行った。
その後、実施例と同様にして脱膜性の評価を行った。
<比較例3>
塗膜液中の有機溶剤の割合を8%とした以外は、比較例1と同様に行った。
<比較例3>
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分にエチレングリコール及び2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールを、多価カルボン酸成分にイソフタル酸、テレフタル酸及びSIPを表1に示す割合で用い、分子量を15000、Tgを67℃、SIP量を3mol%とし、有機溶剤をブチセロソルブに変え17%の割合で加えた以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例4>
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分にエチレングリコール及びジエチレングリコールを、多価カルボン酸成分にナフタレンジカルボン酸及びSIPを表1に示す割合で用い、分子量を25000とし、Tgを100℃とし、SIP量を6mol%とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例5>
親水基としてカルボキシ基(-COOH)を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂皮膜(分子量:3000、Tg:30℃)を、厚さ6μmとなるように基材1上に形成した。
得られたPET系樹脂被覆金属板に対し、温間プレス成形を想定して、それぞれ200℃、250℃および300℃にて10分間の加熱を行った。
そして加熱の後、アルカリ脱脂剤(日本ペイント社製 EC90)の水溶液を用いて、皮膜溶解が比較的困難な条件である50℃、2分間の条件にて浸漬処理(スターラー撹拌500rpm併用)を行うことにより脱膜処理を施した。これに加え、温間プレス成形を想定した加熱を経ないPET系樹脂被覆金属板に対しても、同様にして脱脂を行った。
その後、実施例1などと同様に脱膜性の評価を行った。
<比較例6>
ウレタン樹脂被覆の乾燥後における厚さを1μmとし、さらにこのウレタン樹脂の上に厚さ1μmの機能層3を形成した以外は、比較例1と同様に行った。なお比較例6における機能層3は、コロイダルシリカが50wt%含有するアクリル樹脂被膜とした(アクリル50wt%、コロイダルシリカ50wt%で作製)。
<比較例7>
基材1として厚さ0.8mmのアルミニウム板を用い、この基材1上に乾燥後における厚さを1μmとなるように機能層3を形成した。なお比較例7における機能層3は、コロイダルシリカが50wt%含有するアクリル樹脂被膜とした(アクリル50wt%、コロイダルシリカ50wt%で作製)。
その後、実施例1と同様に、得られた表面処理金属板に対して温間プレス成形を想定して加熱処理を行い、さらに脱脂処理を経て脱膜性の評価を行った。
<比較例8>
ポリエステル樹脂層2の厚さを3μmとした以外は、比較例4と同様に行った。
以上で得られた各実施例および比較例における樹脂被覆金属板の厚みや成分などの特性値を表1に示す。さらに表2には、各実施例および比較例における脱膜性評価と臭気性評価の結果を示す。
なお表1中、「IA」はイソフタル酸を、「TA」はテレフタル酸を、「NDCA」はナフタレンジカルボン酸を、「SIP」は5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩を、それぞれ示している。
また、表1中のポリエステル樹脂層2の成分は、それぞれジカルボン酸成分を100mol%、アルコール成分を100mol%とした際のジカルボン酸成分の割合を表記している。このうち、特に表1中のSIP量は、全ジカルボン酸成分中のSIP量を示している。
Figure 0007042218000001
Figure 0007042218000002
以上から明らかなとおり、本発明の各実施例では温間プレス成形で想定される温度内での加熱後の脱膜において、完全脱膜するという優れた脱膜性が示される結果となった。
一方で比較例においては、温間プレス成形で想定される温度内において脱膜性が不十分であり後処理工程で重大な問題を生じることが予想される。
なお上記した実施形態と各実施例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
以上説明したように、本発明のポリエステル樹脂被覆金属板、及びポリエステル樹脂被覆フィルムは、例えば温間プレス成形などで優れた脱膜性を示しており、自動車を含む幅広い分野の産業への適用が可能である。
1 基材
2 ポリエステル樹脂層
3 機能層
10、20 ポリエステル樹脂被覆金属板

Claims (4)

  1. 金属板と、
    前記金属板上に被覆されるポリエステル樹脂層と、
    前記ポリエステル樹脂層上に被覆される有機樹脂層と、を有し、
    前記ポリエステル樹脂層は、分子量が20000以下であり、5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩を前記ポリエステル樹脂層における全ジカルボン酸成分に対して6~20mol%含有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が100℃未満であり、
    前記有機樹脂層にはアクリルおよびコロイダルシリカが含有されてなることを特徴とする、ポリエステル樹脂被覆金属板。
  2. 前記ポリエステル樹脂層は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸乃至イソフタル酸である、請求項1に記載のポリエステル樹脂被覆金属板。
  3. プレス成形される金属板の被覆用ポリエステルフィルムであって、
    前記ポリエステルフィルムは、分子量が20000以下であり、
    親水基として5-スルホイソフタル酸ナトリウム塩を全ジカルボン酸成分に対して6~20mol%含有し、
    ガラス転移温度(Tg)が100℃未満であり、且つ、
    前記金属板がプレス成形された後でアルカリ脱脂による除去が可能なことを特徴とするポリエステルフィルム。
  4. ジカルボン酸成分がテレフタル酸乃至イソフタル酸である、請求項3に記載のポリエステルフィルム。
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