JP7042111B2 - 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法、並びに防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法 - Google Patents

防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法、並びに防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法 Download PDF

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本発明は、防汚塗料組成物、これを用いた、防汚塗膜、及び防汚塗膜付き基材及びその製造方法、並びに防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法に関する。
硬化性オルガノポリシロキサンを用いたオルガノポリシロキサン系防汚塗膜は、船舶、水中構造物、漁業資材等への水生生物の付着を防止するために広く用いられている。オルガノポリシロキサン系防汚塗膜は、表面自由エネルギーが低く、低弾性率であるなどの特性を有することにより、フジツボ、イガイなどのマクロ生物の付着や定着を防止することができる上、従来の環境中に塗膜成分が放出される水和分解型、加水分解型などの防汚塗膜と比べ、環境への負荷も低いといった優れた利点を有している。
従来、前記オルガノポリシロキサン系防汚塗膜は、エポキシ樹脂系防食塗膜(Under Coat)との間に、1層または2層のオルガノポリシロキサン系中間塗膜(Tie Coat)を介在させ、3層または4層の塗膜構造とすることにより、塗膜間の付着力を保持していた。
しかしながら、このような多層塗膜構造は、長期的な防汚性を得られるものの、塗装工期が長期化し、コスト高となる問題があった。
上記問題に対し、特許文献1には、中間塗膜層を介在させることなく、エポキシ樹脂系防食塗膜の表面上に直接、オルガノポリシロキサン系防汚塗膜を積層させて得られる、硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜が開示されている。また、特許文献2には、前記1層または2層のオルガノポリシロキサン中間塗膜層(Tie Coat)の代わりに、硬化性に優れるウレタン樹脂系防食塗料を用いて形成されたウレタン樹脂系防食塗膜上に、アミノ基含有アルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物から形成されたオルガノポリシロキサン系防汚塗膜を積層させて得られる、防汚性複合塗膜が開示されている。
特開2007-245141号公報 国際公開第2014/077204号公報
特許文献1に開示された硬化オルガノポリシロキサン系防汚複合塗膜は、エポキシ樹脂系防食塗膜上に直接形成できるために短い工期で塗装を完了でき、防汚性に優れた塗膜を形成できる。しかしながら、エポキシ樹脂系防食塗膜は、低温下(0℃など)での硬化性が不十分であり、また、低温下でのオルガノポリシロキサン系防汚塗膜との層間付着性が低下するという問題があった。
特許文献2に係る防汚性複合塗膜は、ウレタン樹脂系防食塗料の塗装から、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の塗装までの間隔が短くても、層間付着性と防汚性がともに良好な塗膜を形成できるため、短い工期で塗装を完了することができる。しかしながら、本発明者らは、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物に含有されるアミノ基含有アルコキシシランの貯蔵安定性が低いことに起因し、長期保管された硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いて形成されたオルガノポリシロキサン系防汚塗膜は、ウレタン樹脂系防食塗膜との層間付着性が低下するという問題があることを見出した。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、防食塗膜との層間付着性、及び防汚性能の両方に優れたオルガノポリシロキサン系防汚塗膜を形成でき、かつ、貯蔵安定性の高い防汚塗料組成物を提供することにある。本発明は別の側面において、多液型のキットとして貯蔵される防汚塗料組成物の貯蔵安定性を改善する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究したところ、極性基含有シラン化合物と、特定の官能基を有するシラン化合物とを配合することにより、防食塗膜との層間付着性、及び防汚性能の両方に優れた防汚塗膜を形成でき、かつ、貯蔵安定性に優れた防汚塗料組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は下記[1]~[15]のとおりである。
[1]硬化性オルガノポリシロキサン(A)、下記一般式(B1)で表される極性基含有シラン化合物(B)、及び下記一般式(C1)で表されるシラン化合物(C)を含む、防汚塗料組成物。
(RO)(3-p) Si-R-Z ・・・(B1)
(式中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Rはヘテロ原子を有する基が介在してもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、Zは極性基を示し、pは0又は1を示す。)
SiW(4-q) ・・・(C1)
(式中、Wはメトキシ基又はケトオキシム基を示し、Rは1価の炭化水素基を示し、qは0~2の整数を示す。)
[2]前記一般式(B1)におけるZがアミノ基である、[1]に記載の防汚塗料組成物。
[3]前記極性基含有シラン化合物(B)が、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、及び3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される1種以上を含む、[1]又は[2]に記載の防汚塗料組成物。
[4]前記シラン化合物(C)が、テトラメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、及びメチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランからなる群より選択される1種以上を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
[5]更に、防汚剤(D)を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
[6]更に、シリコーンオイル(E)及び/又はエーテル基含有重合体(F)を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
[7]更に、前記極性基含有シラン化合物(B)及び前記シラン化合物(C)以外の有機ケイ素架橋剤(H)を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物を調製するためのキットであって、前記硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有する主剤コンポーネントと、前記極性基含有シラン化合物(B)及び前記シラン化合物(C)を含有する添加剤コンポーネントとがそれぞれ別個に包装された多液型の形態にある、キット。
[9]前記主剤コンポーネントと、前記添加剤コンポーネントと、前記有機ケイ素架橋剤(H)を含有する硬化剤コンポーネントとがそれぞれ別個に包装された多液型の形態にある、[8]に記載のキット。
[10][1]~[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物を硬化してなる防汚塗膜。
[11][10]に記載の防汚塗膜を基材上に有する、防汚塗膜付き基材。
[12]前記基材が船舶、水中構造物、及び漁業資材からなる群より選択される、[11]に記載の防汚塗膜付き基材。
[13][1]~[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸し、塗布体又は含浸体を得る工程(1)、及び前記工程(1)で得られた塗布体又は含浸体を硬化する工程(2)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
[14][1]~[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜を形成する工程(i)、及び前記塗膜を基材に貼付する工程(ii)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
[15]前記硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有する主剤コンポーネントと、前記一般式(B1)で表される極性基含有シラン化合物(B)を含有する添加剤コンポーネントとがそれぞれ別個に包装された多液型の形態にある、防汚塗料組成物を調製するためのキットにおける防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法であって、
前記添加剤コンポーネントに、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を改善するための有効成分として前記一般式(C1)で表されるシラン化合物(C)を配合する、防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法。
本発明によれば、防食塗膜との層間付着性、及び防汚性能に優れ、かつ貯蔵安定性の高い防汚塗料組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、前記防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法、多液型の形態にある防汚塗料組成物を調製するためのキット、並びに前記キットにおける貯蔵安定性の改善方法を提供することができる。
なお、前記の効果が得られる詳細な作用機序は必ずしも明らかではないが、以下のように推定される。前記防汚塗料組成物に含まれる極性基含有シラン化合物(B)は水分存在下において加水分解反応を生じ、沈殿を発生することが知られている。そのため、防汚塗料組成物において、前記極性基含有シラン化合物(B)を長期保存した場合は、防汚塗料組成物内に含有されている微量の水分が極性基含有シラン化合物(B)の加水分解反応を引き起こし、防食塗膜に対する層間付着性の低下を引き起こすと考えられる。しかしながら、特定の官能基を有するシラン化合物(C)を防汚塗料組成物に含有させることにより、極性基含有シラン化合物(B)の加水分解反応を抑制することが出来るため、貯蔵安定性が改善され、防汚塗料組成物を長期保管した後に塗膜が形成された場合でも、長期に亘って良好な防食塗膜に対する層間付着性を発揮することができると推定される。
以下、本発明に係る防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法、防汚塗料組成物を調製するためのキット、並びに防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法について詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々に変形して実施することが出来る。
[防汚塗料組成物]
本発明の防汚塗料組成物(以下、単に「塗料組成物」ともいう。)は、硬化性オルガノポリシロキサン(A)、極性基含有シラン化合物(B)、及びシラン化合物(C)を含む。
<硬化性オルガノポリシロキサン(A)>
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗膜の防汚性を高めることを目的として、硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有する。硬化性オルガノポリシロキサン(A)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる硬化性オルガノポリシロキサン(A)としては、例えば、分子中に反応性基を有し、該反応性基が互いに反応するか、又は該反応性基と、後述するシラン化合物(C)や有機ケイ素架橋剤(H)の反応性基とが反応することにより三次元架橋構造を形成して硬化するものが挙げられる。なお、これらの反応性基の反応としては、例えば、縮合反応、及び付加反応が挙げられ、縮合反応としては、脱アルコール反応、脱オキシム反応、及び脱アセトン反応等が挙げられる。
前記分子中に反応性基を有する硬化性オルガノポリシロキサン(A)としては、硬化時にシリコーンゴムを形成するものが好ましく、例えば、下記一般式(A1)で表される化合物が好ましい。
(3-r) SiO-(SiR O)-SiR (3-r) ・・・(A1)
式(A1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数6~16のアリール基、炭素数7~16のアラルキル基、又は炭素数1~16のハロゲン化アルキル基を示し、Rは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、又は加水分解性基を示す。また、rは1~3の整数を示し、sは10~10,000を示す。
上記式(A1)におけるR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数6~16のアリール基、炭素数7~16のアラルキル基、又は炭素数1~16のハロゲン化アルキル基を示す。
及びRにおける炭素数1~16のアルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、及びヘキサデシル基等が挙げられる。
及びRにおける炭素数2~16のアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、及びドデセニル基等が挙げられる。
及びRにおける炭素数6~16のアリール基としては、芳香環上にアルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、トリル基(メチルフェニル基)、キシリル基(ジメチルフェニル基)、及びナフチル基等が挙げられる。
及びRにおける炭素数7~16のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2-フェニルエチル基、2-ナフチルエチル基、及びジフェニルメチル基等が挙げられる。
及びRにおける炭素数1~16のハロゲン化アルキル基としては、例えば、前記アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等のハロゲン原子に置き換えられた基が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、水素原子、炭素数が1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基及び炭素数が6~16のアリール基が好ましく、メチル基、エチル基、ビニル基及びフェニル基がより好ましく、メチル基及びビニル基が更に好ましい。
また、Rとしては、水素原子、炭素数が1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、及び炭素数が6~16のアリール基が好ましく、メチル基、エチル基、ビニル基及びフェニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、及びフェニル基が更に好ましく、メチル基及びフェニル基がより更に好ましい。
なお、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Rが複数存在するとき、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(A1)におけるRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基又は加水分解性基を示す。
における加水分解性基としては、例えば、オキシム基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミド基、及びアミノオキシ基等が挙げられる。
におけるオキシム基としては、炭素数1~10のオキシム基が好ましく、例えば、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、及びメチルイソプロピルケトオキシム基等が挙げられる。
におけるアシルオキシ基(RC(=O)O-)としては、炭素数1~10の脂肪族系アシルオキシ基、又は炭素数7~13の芳香族系アシルオキシ基が好ましく、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
におけるアルコキシ基としては、炭素数1~10のアルコキシ基が好ましい。なお、Rにおけるアルコキシ基は、アルキル鎖の炭素-炭素結合の間にエーテル基(-O-)が介在していてもよい。
におけるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、及びエトキシエトキシ基等が挙げられる。
におけるアルケニルオキシ基としては、炭素数3~10のアルケニルオキシ基が好ましく、例えば、イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基、及び1-エチル-2-メチルビニルオキシ基等が挙げられる。
におけるアミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれでもよく、中でも、2級アミノ基、及び3級アミノ基が好ましく、炭素数1~10のアミノ基がより好ましい。好ましいアミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N-ブチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、及びN-シクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。
なお、本明細書において、1級アミノ基とは、-NHで表される基であり、2級アミノ基とは、-NHの1つの水素原子がアルキル基等で置換された基を意味し、3級アミノ基とは、-NHの2つの水素原子がアルキル基等で置換された基を意味する。
におけるアミド基としては、炭素数2~10のアミド基が好ましく、例えば、N-メチルアセトアミド基、N-エチルアセトアミド基、及びN-メチルベンズアミド基等が挙げられる。
におけるアミノオキシ基としては、炭素数2~10のアミノオキシ基が好ましく、例えば、N,N-ジメチルアミノオキシ基、及びN,N-ジエチルアミノオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、Rは、ヒドロキシ基、オキシム基、及びアルコキシ基が好ましく、ヒドロキシ基及びオキシム基がより好ましく、ヒドロキシ基及び2-メチルエチルケトオキシム基が更に好ましい。
なお、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(A1)におけるrは1~3の整数を示す。
がヒドロキシ基である場合、rは好ましくは1であり、Rがヒドロキシ基以外の置換基である場合、rは好ましくは2である。
上記式(A1)におけるsは10~10,000を示し、好ましくは100~1,000であり、下記重量平均分子量を満たすように適宜調整することができる。
なお、sは、-(SiR -O)-の平均繰り返し数を意味する。
硬化性オルガノポリシロキサン(A)の重量平均分子量(Mw)は、塗料組成物の製造時の作業性を向上させる観点、塗料組成物のスプレー霧化性、硬化性、及び形成された塗膜の強度を向上させる観点から、好ましくは500以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上、より更に好ましくは15,000以上、より更に好ましくは20,000以上であり、そして、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは50,000以下、より更に好ましくは40,000以下である。
本発明において、硬化性オルガノポリシロキサン(A)や、後述するエーテル基含有重合体(F)等の「重量平均分子量(Mw)」は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定し、分子量既知の標準ポリスチレンで換算して算出される。
また、硬化性オルガノポリシロキサン(A)の23℃における粘度は、塗料組成物の製造時の作業性を向上させる観点、塗料組成物のスプレー霧化性、硬化性、及び形成された塗膜の強度を向上させる観点から、好ましくは20mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上、更に好ましくは500mPa・s以上であり、そして、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは10,000mPa・s以下、更に好ましくは5,000mPa・s以下である。
なお、本明細書において、硬化性オルガノポリシロキサン(A)の23℃における粘度は、B型回転粘度計(例えば、型式:BM、(株)東京計器製)により測定した粘度を指す。
防汚塗料組成物中の硬化性オルガノポリシロキサン(A)の含有量は、塗膜強度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
また、防汚塗料組成物の固形分中の硬化性オルガノポリシロキサン(A)の含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
なお、本明細書において「防汚塗料組成物の固形分」とは、後述する有機溶剤(K)及び各成分に溶剤として含まれる揮発成分を除いた成分を指し、「防汚塗料組成物の固形分中の含有量」は、防汚塗料組成物を125℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥させて得られた固形分中の含有量として算出することができる。
硬化性オルガノポリシロキサン(A)としては、市販されているものを使用することができる。市販品としては、例えば、GELEST社製「DMS-S35」、及び信越化学工業(株)製「KE-445」等が挙げられる。また、硬化性オルガノポリシロキサン(A)としては、特開2001-139816号公報に記載されているものを用いることもできる。
<極性基含有シラン化合物(B)>
本発明の防汚塗料組成物は、防食塗膜に対する層間付着性を向上させることを目的として、下記一般式(B1)で表される極性基含有シラン化合物(B)(以下、単に「極性基含有シラン化合物(B)」ともいう。)を含有する。極性基含有シラン化合物(B)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(RO)(3-p) Si-R-Z ・・・(B1)
式中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Rはヘテロ原子を有する基が介在してもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、Zは極性基を示し、pは0又は1を示す。
上記式(B1)におけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す。Rにおける炭素数1~10の1価の炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基等が挙げられる。Rにおける炭素数1~10の1価の炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、及び炭素数6~10のアリール基等が挙げられる。
なお、本発明において、「炭化水素基」とは、特にことわりのない限り、炭素及び水素のみからなる基を意味するものであり、飽和又は不飽和の、直鎖状、及び分岐鎖状脂肪族基、脂環式基、並びに芳香族基を含む。
及びRにおける炭素数1~10のアルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基等が挙げられる。
における炭素数2~10のアルケニル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、及びヘプテニル基等が挙げられる。
における炭素数6~10のアリール基としては、芳香環上にアルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、トリル基(メチルフェニル基)、キシリル基(ジメチルフェニル基)、及びナフチル基等が挙げられる。
上記式(B1)におけるRとしては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
が複数存在する場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(B1)におけるRとしては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、及び炭素数が6~10のアリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びフェニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が更に好ましく、メチル基がより更に好ましい。
上記式(B1)におけるRは、ヘテロ原子を有する基が介在してもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。Rにおける炭素数1~20の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、イコサレン基等の直鎖状アルキレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、2-メチルトリメチレン基、イソペンチレン基、イソへキシレン基、イソオクチレン基、2-エチルへキシレン基、イソデシレン基等の分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を有する基としては、-NR-基(Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す)、エーテル基(-O-)、チオエーテル基(-S-)、エステル基(-C(=O)-O-)、アミド基(-C(=O)-NR-、Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す)等が挙げられ、中でも-NR-基が好ましく、-NH-基がより好ましい。
としては、-NR-基が介在する炭素数2~7の2価の炭化水素基、及び炭素数1~5の2価の炭化水素基が好ましく、-NR-基を介在する炭素数2~7の2価の炭化水素基がより好ましく、-CHCHCHNHCHCH-基が更に好ましい。
上記式(B1)におけるZは、極性基を示す。極性基としては、好ましくはアミノ基、イミノアルキル基(-CR=NH、Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す)、グリシドキシ基、イソシアネート基、チオール基、ヒドロシリル基、及び(メタ)アクリロイルオキシ基であり、より好ましくはアミノ基である。上記式(B1)のZにおけるアミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれでもよく、中でも、1級アミノ基が好ましい。
極性基含有シラン化合物(B)としては、防食塗膜との層間付着性を向上させる観点、及び入手容易性の観点から、上記Rがトリメチレン基又は-CHCHCHNHCHCH-基であり、極性基Zが1級アミノ基である、すなわち3-アミノプロピル基、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル基を有するものが好ましい。
また、上記式(B1)中のRがメチル基であることが好ましい。
上記式(B1)におけるpは0又は1を示す。
上記3-アミノプロピル基を有する極性基含有シラン化合物(B)としては、NHSi(OCH、NHSi(OC、NHSi(OC、NHSi(OC、NHSi(CH)(OCH、NHSi(CH)(OC、NHSi(CH)(OC、NHSi(CH)(OC、あるいはアルコキシ基が一部交換反応を起こしたNHSi(OCH)(OC、NHSi(OC(OC)等が挙げられる。
上記3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル基を有する極性基含有シラン化合物(B)としては、NHNHCSi(OCH、NHNHCSi(OC、NHNHCSi(OC、NHNHCSi(OC、NHNHCSi(CH)(OCH、NHNHCSi(CH)(OC、NHNHCSi(CH)(OC、NHNHCSi(CH)(OC等が挙げられる。
これらの中で、極性基含有シラン化合物(B)としては、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン〔NHNHCSi(OCH〕、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン〔NHNHCSi(CH)(OCH、〕、及び3-アミノプロピルトリメトキシシラン〔NHSi(OCH〕からなる群より選択される1種以上が好ましい。
防汚塗料組成物中の極性基含有シラン化合物(B)の含有量は、防食塗膜との層間付着性を向上させる観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。
防汚塗料組成物の固形分中の極性基含有シラン化合物(B)の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。防汚塗料組成物の固形分中における極性基含有シラン化合物(B)の含有量が前記範囲にあると、防食塗膜に含まれる成分との相互作用により層間付着性が向上する。
<シラン化合物(C)>
本発明の防汚塗料組成物は、貯蔵安定性改善を目的として、下記一般式(C1)で表されるシラン化合物(C)(以下、単に「シラン化合物(C)」ともいう。)を含有する。シラン化合物(C)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
SiW(4-q) ・・・(C1)
式中、Wはメトキシ基又はケトオキシム基を示し、Rは1価の炭化水素基を示し、qは0~2の整数を示す。
上記式(C1)におけるWは、メトキシ基又はケトオキシム基を示す。防汚塗料組成物において、メトキシ基又はケトオキム基を有するシラン化合物(C)を含有することにより、極性基含有シラン化合物(B)の加水分解反応を抑制することができ、塗料組成物の貯蔵安定性を改善することができる。
Wにおけるケトオキシム基としては、炭素数1~10のケトオキシム基が好ましく、例えば、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、及びメチルイソプロピルケトオキシム基等が挙げられる。
これらの中でも、Wは、メトキシ基及びメチルエチルケトオキシム基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
複数存在するWは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(C1)におけるRは、1価の炭化水素基を示す。Rにおける1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数6~16のアリール基、及び炭素数7~16のアラルキル基等が挙げられる。
における炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数6~16のアリール基、及び炭素数7~16のアラルキル基の具体例は、前記式(A1)におけるR及びRで例示したものが同様に挙げられる。
が複数存在する場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
これらの中でも、式(C1)におけるRは、炭素数1~16のアルキル基、及び炭素数2~16のアルケニル基が好ましく、メチル基、エチル基、及びビニル基がより好ましく、メチル基、及びビニル基が更に好ましい。
上記式(C1)におけるqは0~2の整数を示す。中でもqとしては0又は1が好ましく、1がより好ましい。
シラン化合物(C)としては、テトラメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、及びメチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランからなる群より選択される1種以上が好ましく、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、及びメチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランからなる群より選択される1種以上がより好ましい。
防汚塗料組成物中のシラン化合物(C)の含有量は、極性基含有シラン化合物(B)の加水分解抑制及び防汚性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.15質量%以下である。
防汚塗料組成物の固形分中のシラン化合物(C)の含有量は、好ましくは0.015質量%以上、より好ましくは0.04質量%以上、更に好ましくは0.07質量%以上であり、そして好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。
塗料組成物中の前記極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)の含有量は、ガスクロマトグラフィー等の分析手法を用いて分析することができる。例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析法では検出されるピークのマスパターンから、シラン化合物を定性することができ、標準物質による検量線を作成することで、各成分を定量することもできる。
本発明の防汚塗料組成物中の極性基含有シラン化合物(B)とシラン化合物(C)との含有割合〔(B)/(C)〕は、防汚性及び防食塗膜との層間付着性を向上させる観点から、仕込み時の固形分質量比で、好ましくは5/95~90/10、より好ましくは10/90~85/15、更に好ましくは15/85~75/25である。
<任意成分>
本発明の防汚塗料組成物は、硬化性オルガノポリシロキサン(A)、極性基含有シラン化合物(B)、シラン化合物(C)の他に、必要に応じて、防汚剤(D)、シリコーンオイル(E)、エーテル基含有重合体(F)、無機充填剤(G)、極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)以外の有機ケイ素架橋剤(H)、硬化触媒(I)、その他着色顔料(J)、有機溶剤(K)、タレ止め-沈降防止剤(L)、及び酵素(M)等を含有していてもよい。任意成分は、1種でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明において、例えば、任意成分として、防汚剤(D)を含有する塗料組成物、シリコーンオイル(E)及び/又はエーテル基含有重合体(F)を含有する塗料組成物、並びに極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)以外の有機ケイ素架橋剤(H)を含有する塗料組成物等を好ましく挙げることができる。
〔防汚剤(D)〕
本発明の防汚塗料組成物は、形成させる防汚塗膜の防汚性を向上させることを目的として、防汚剤(D)を含有してもよい。防汚剤(D)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
防汚剤(D)としては、例えば、亜酸化銅、ロダン銅、銅、ピリチオン塩、4-ブロモ-2-(4-クロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピロール-3-カルボニトリル(慣用名:トラロピリル)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ボラン-窒素系塩基付加物(ピリジントリフェニルボラン、4-イソプロピルピリジンジフェニルメチルボラン等)、(+/-)-4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-1H-イミダゾール(慣用名:メデトミジン)、N,N-ジメチル-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、2-メチルチオ-4-tert-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、クロロメチル-n-オクチルジスルフィド、N,N-ジメチル-N’-フェニル-(N’-フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラアルキルチウラムジスルフィド、ジンクジメチルジチオカーバメート、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、2,3-ジクロロ-N-(2’,6’-ジエチルフェニル)マレイミド、及び2,3-ジクロロ-N-(2’-エチル-6’-メチルフェニル)マレイミドが挙げられる。前記ピリチオン塩としては、下記一般式(D1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007042111000001
式(D1)中、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、フェニル基、炭素数1~6のアルコキシ基又は炭素数1~6のハロゲン化アルキル基を示し、MはCu、Zn、Na、Mg、Ca、Ba、Fe、又はSrの金属原子を示し、nは金属原子Mの価数である。
これらの中でも、防汚塗料組成物の貯蔵安定性や硬化性、形成される防汚塗膜の防汚性に優れる観点から、好ましくは亜酸化銅、ロダン銅、銅、ピリチオン塩、トラロピリル、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ボラン-窒素系塩基付加物(ピリジントリフェニルボラン、及び4-イソプロピルピリジンジフェニルメチルボラン等)、より好ましくは上記式(D1)におけるnが2であるピリチオン塩、更に好ましくは上記式(D1)におけるMがCu又はZnであるピリチオン塩、より更に好ましくは上記式(D1)におけるMがCuであるピリチオン塩である。
本発明の防汚塗料組成物が防汚剤(D)を含有する場合、該塗料組成物の固形分中の防汚剤(D)の含有量は、形成される防汚塗膜の防汚性を向上させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
〔シリコーンオイル(E)〕
本発明の防汚塗料組成物は、形成される防汚塗膜の防汚性を向上させることを目的として、シリコーンオイル(E)を含有してもよい。
シリコーンオイル(E)としては、下記一般式(E1)で表されるシリコーンオイルが好ましい。
SiOR10(SiR OR10SiR ・・・(E1)
式(E1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は構造中にヘテロ原子を有する基を有していてもよい炭素数1~50のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基若しくはハロゲン化アルキル基を示し、R10は、単結合、又はヘテロ原子を有する基が介在してもよい炭素数1~50の2価の炭化水素基を示す。tは10~1,000の整数を示す。
及びRが炭素数1~50のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、又はハロゲン化アルキル基を示す場合、それらはそれぞれ独立に、構造中にヘテロ原子を有するもの、つまり構造中にヘテロ原子を有する基を含有しているものであってもよい。
ヘテロ原子を有する基としては、例えば、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びチオール基等が挙げられる。構造中にヘテロ原子を有する基を含有するとは、例えばアルキル基である場合には、アルキル基の炭素-炭素結合の間にヘテロ原子を有する基が介在する構造を有するもの、又はアルキル基の水素原子がヘテロ原子を有する基で置換されたものが挙げられる。ヘテロ原子を有する基は、1種でも、又は2種以上を有していてもよい。
複数存在するR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
シリコーンオイル(E)としては、R及びRがアルキル基のみで構成されたものや、アルキル基及びアリール基で構成されたものが好ましい。
及びRがアルキル基のみで構成されたシリコーンオイル(E)としては、複数存在するR及びRが、全てメチル基で構成されたもの、並びにメチル基及びメチル基以外のアルキル基で構成されたものが好ましく、全てメチル基で構成されたもの、並びにメチル基及びエーテル基を有するアルキル基で構成されたものがより好ましい。
エーテル基を有するアルキル基としては、例えば、下記の化学構造を有するものが挙げられる。
-R11(CO)(CO)12
式中、R11は炭素数1~20のアルキレン基を示し、R12は炭素数1~20のアルキル基を示し、a及びbはそれぞれ0~30の整数を示し、a+bは1以上の整数である。
なお、本明細書において、R及びRが全てメチル基で構成されたシリコーンオイルを「ポリジメチルシロキサン(無変性)」と呼称する。また、R及びRがメチル基及びエーテル基を有するアルキル基で構成されたシリコーンオイルを「エーテル変性ポリジメチルシロキサン」と呼称する。
また、前記R及びRがアルキル基及びアリール基で構成されたシリコーンオイル(E)としては、R及びRがメチル基及びフェニル基で構成されたものが好ましく、全てのR及びRに占めるフェニル基の割合(フェニル変性率)3~50%のものがより好ましい。
なお、本明細書において、R及びRがメチル基及びフェニル基で構成されたシリコーンオイルを「フェニル変性ポリジメチルシロキサン」とも呼称する。
上記式(E1)におけるR10は、単結合、又はヘテロ原子を有する基が介在してもよい炭素数1~50の2価の炭化水素基を示す。ヘテロ原子を有する基としては、-NR-で表される基(Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す)、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、及びアミド基(-C(=O)-NR-、Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す)等が挙げられる。R10における炭素数1~50の2価の炭化水素基の具体例は、前記式(B1)におけるRで例示したもの等が同様に挙げられる。
複数存在するR10は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
10としては、単結合が好ましい。
10が、エーテル基が介在する炭素数1~50の2価の炭化水素基である場合、例えば、下記の化学構造をもつものが挙げられる。
-R13(CO)(CO)14
式中、R13、R14はそれぞれ独立に炭素数1~10のアルキレン基を示し、c及びdはそれぞれ0~30の整数を示し、c+dは1以上の整数である。
シリコーンオイル(E)の23℃における粘度は、塗料組成物の製造時の作業性を向上させる観点、塗料組成物のスプレー霧化性、硬化性、及び形成された塗膜の強度を向上させる観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは40mPa・s以上、より更に好ましくは60mPa・s以上、より更に好ましくは80mPa・s以上であり、そして、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは5,000mPa・s以下、更に好ましくは4,000mPa・s以下である。
なお、本明細書において、シリコーンオイル(E)の23℃における粘度は、B型回転粘度計により測定した粘度を指す。
本発明の防汚塗料組成物は、シリコーンオイル(E)を単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の防汚塗料組成物がシリコーンオイル(E)を含有する場合、該塗料組成物の固形分中のシリコーンオイル(E)の含有量は、形成される防汚塗膜の防汚性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
シリコーンオイル(E)は、市販されているものを使用することができる。市販品としては、例えば、前記ポリジメチルシロキサン(無変性)として「KF-96-1,000cs」(信越化学工業(株)製)、前記フェニル変性ポリジメチルシロキサンとして、「KF-50-1,000cs」(信越化学工業(株)製、フェニル変性率5%)、前記エーテル変性ポリジメチルシロキサンとして「X-22-4272」(前記Rの一部が、エーテル基を有するアルキル基であるエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、「KF-6020」(信越化学工業(株)製、前記Rの一部が、エーテル基を有するアルキレン基であるエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、「FZ-2203」(東レ・ダウコーニング(株)製、前記R10の一部が、エーテル基を有するアルキレン基であるポリジメチルシロキサン)等が挙げられる。
〔エーテル基含有重合体(F)〕
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗膜の防汚性を向上させることを目的として、エーテル基含有重合体(F)を含有してもよい。
エーテル基含有重合体(F)としては、下記一般式(F1)で表される不飽和単量体に由来する構成単位を有する重合体であることが好ましい。
C=CR15[(R16O)(R17O)]R18 ・・・(F1)
式(F1)中、R15は水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、R16はエチレン基又はプロピレン基を示し、R17は炭素数4~10の2価の炭化水素基を示し、R18は水素原子又は炭素数1~30の1価の炭化水素基を示し、uは1~50の整数を示し、vは0~50の整数を示し、Xはエステル結合、アミド結合、又は単結合を示す。)
式(F1)中、R15は水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、該1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基が例示され、アルキル基が好ましい。1価の炭化水素基の炭素数は、1~6が好ましく、1~4がより好ましく、1又は2が更に好ましく、1(すなわち、1価の炭化水素基がメチル基であること)が特に好ましい。R15は水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(F1)中、R16はエチレン基又はプロピレン基を示す。uが2以上である場合、複数存在するR16はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。なお、uが2以上である場合、エチレン基を1つ以上有することが好ましい。R16は、エチレン基が好ましい。
17は炭素数4~10の2価の炭化水素基を示し、このような基としては、ブチレン基等のアルキレン基;アルケニレン基;フェニレン基等のアリーレン基が例示され、これらの中でもアルキレン基が好ましく、ブチレン基がより好ましい。なお、vが2以上の整数である場合、複数存在するR17は同一でも異なっていてもよい。
18は水素原子又は炭素数1~30の1価の炭化水素基を示し、該1価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状である飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、プロペニル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノニルフェニル基等が挙げられ、R18は好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
18がこのような置換基であることで、エーテル基含有重合体(F)が好ましい親水性を示し、得られる塗膜に優れた防汚性を付与することができる。
式(F1)中、uは1~50の整数であり、好ましくは1~15の整数である。
式(F1)中、vは0~50の整数であり、好ましくは0~20の整数であり、より好ましくは0である。
なお、本明細書において、2以上の異なる繰り返し単位を[ ]間に並列記載している場合、それらの繰り返し単位が、それぞれランダム状、交互状又はブロック状のいずれの形及び順序で繰り返されていてもよいことを示す。つまり、例えば、式-[X-Y]-(ただしX、Yは繰り返し単位を示す)では、-XXYXYY-のようなランダム状でも、-XYXYXY-のような交互状でも、-XXXYYY-又は-YYYXXX-のようなブロック状でもよい。
式(F1)中、Xはエステル結合(-C(=O)O-)、アミド結合(-C(=O)NH-)、又は単結合を示し、好ましくはエステル結合(-C(=O)O-)である。
なお、Xがエステル結合又はアミド結合である場合、カルボニル炭素が、R15が結合する炭素原子と結合することが好ましい。
このような不飽和単量体(f1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールメタクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ドデシロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタデシロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、エチレングリコールモノアリルエーテル等が挙げられ、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートであり、更に好ましくは2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
なお、本明細書において「(メタ)アクリルレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する表記であり、他の類似の表記も同様の意味である。
このような不飽和単量体(f1)として、市販のものを用いることができ、例えば、新中村化学工業(株)製のNKエステル AM-90G(メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート)、NKエステル AM-130G(メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート)、NKエステル M-90G(メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート)、NKエステル M-230G(メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート);共栄社化学(株)製のライトアクリレートMTG-A(メトキシ-トリエチレングルコールアクリレート)、ライトアクリレートEC-A(エトキシ-ジエチレングルコールアクリレート)、ライトアクリレートEHDG-AT(2-エチルヘキシル-ジエチレングリコールアクリレート)、ライトエステルHOA(N)(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、ライトエステルHO-250(N)(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ライトエステルHOP(N)(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ライトエステル041MA(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート);日油(株)製のブレンマーANP-300(ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート);アルケマ(株)製のSR504(エトキシ化ノニルフェニルアクリレート);大阪有機化学工業(株)製のビスコート#MTG(メトキシポリエチレングリコールアクリレート)等が挙げられる。
前記エーテル基含有重合体(F)中の不飽和単量体(f1)に由来する構成単位の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。
なお、エーテル基含有重合体(F)中の不飽和単量体(f1)に由来する構造単位の含有量(質量)の比率は、重合反応に用いる前記不飽和単量体(f1)の仕込み量(質量)の比率と同じものとしてみなすことができる。
本発明において、エーテル基含有重合体(F)は、1種の不飽和単量体(f1)に由来する構成単位を有する単独重合体であってもよく、また、2種以上の不飽和単量体(f1)に由来する構成単位を有する共重合体であってもよい。
本発明において、エーテル基含有重合体(F)は、1種以上の不飽和単量体(f1)に由来する構造単位と、必要に応じて更に1種以上のその他の不飽和単量体(f2)に由来する構成単位を有する共重合体であることが好ましい。その他の不飽和単量体(f2)としては、下記式(F2)で表される不飽和単量体(f21)を含有することが好ましい。
C=CR19-X-R20 ・・・(F2)
式(F2)中、R19は水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、R20は水素原子又は炭素数1~30の1価の炭化水素基を示し、Xはエステル結合、アミド結合、又は単結合を示す。
式(F2)中、R19は水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、このような基としては、上記式(F1)におけるR15と同様の基が挙げられ、好ましくは水素原子又はメチル基である。
式(F2)中、R20は炭素数1~50の1価の炭化水素基であり、このような基としては直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基であるメチル基、エチル基、プロピル基、プロペニル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基;環状の炭化水素基であるシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基;等が挙げられ、好ましくはn-ブチル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基である。
式(F2)中、Xはエステル結合(-C(=O)O-)、アミド結合(-C(=O)NH-)、又は単結合を示し、これらの中でもエステル結合であることが好ましい。
なお、Xがエステル結合又はアミド結合である場合、カルボニル炭素が、R19が結合する炭素原子と結合することが好ましい。
不飽和単量体(f21)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられ、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、又は2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
また、その他の不飽和単量体(f2)として、オルガノポリシロキサン基含有不飽和単量体(f22)を含むことも好ましい。
オルガノポリシロキサン基含有不飽和単量体(f22)としては市販のものを用いることができ、例えば、JNC(株)製のサイラプレーンTM-0701T(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート)、サイラプレーンFM-0711(メタクリロイルオキシ基含有ジメチルポリシロキサン、平均分子量1,000)、及びサイラプレーンFM-0721(メタクリロイルオキシ基含有ジメチルポリシロキサン、平均分子量5,000)等が挙げられる。
その他の不飽和単量体(f2)として、オルガノポリシロキサン基含有不飽和単量体(f22)を含むと、形成される防汚塗膜の防汚性を向上させることができるが、場合によっては塗膜の下地付着性を低下させるため、防汚塗膜を形成する下地の種類により適切に調整することが必要である。
エーテル基含有重合体(F)がその他の単量体(f2)に由来する構成単位を含有する場合、エーテル基含有重合体(F)中のその他の単量体(f2)に由来する構成単位の含有量は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、更に好ましくは95質量%以下、より更に好ましくは90質量%以下であり、そして好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。
本発明において、エーテル基含有重合体(F)の重量平均分子量(Mw)は、形成する防汚塗膜の防汚性や粘度の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは5,000以上、特に好ましくは7,000以上であり、そして、好ましくは150,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは50,000以下、特に好ましくは30,000以下である。
本発明の防汚塗料組成物がエーテル基含有重合体(F)を含有する場合、防汚塗料組成物中のエーテル基含有重合体(F)の含有量は、該塗料組成物から形成される防汚塗膜の防汚性を向上させる観点、及び塗膜強度を保持する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物がエーテル基含有重合体(F)を含有する場合、防汚塗料組成物の固形分中のエーテル基含有重合体(F)の含有量は、該塗料組成物から形成される防汚塗膜の防汚性を向上させる観点、及び塗膜強度を保持する観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
〔無機充填剤(G)〕
本発明の防汚塗料組成物は、該塗料組成物の流動性、及びチクソトロピー性を向上させることを目的として、無機充填剤(G)を含有してもよい。
本発明の防汚塗料組成物が無機充填剤(G)を含有する場合、前述のとおり防汚塗料組成物の流動性、及びチクソトロピー性が良好になり、垂直塗装面等に対しても充分な厚みの塗膜を少ない塗装回数で形成できる。更に得られた塗膜の硬さ、引張強さ、及び伸び等の物性がバランスよく向上する。
無機充填剤(G)としては、例えば、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、カリ長石、酸化亜鉛、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛及びガラス短繊維等が挙げられる。無機充填剤(G)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、無機充填剤(G)としては、塗膜の硬さ、引張強さ、及び伸び等の物性をバランスよく向上させる観点からシリカが好ましい。
シリカとしては、例えば、湿式法シリカ(水和シリカ)、乾式法シリカ(フュームドシリカ、無水シリカ)等の親水性シリカ(表面未処理シリカ)を用いることができる。また、前記シリカの表面を疎水処理した疎水性シリカ、具体的には、疎水性湿式法シリカ、疎水性フュームドシリカ等を用いることもできる。これらのシリカは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記湿式法シリカに特に制限はないが、例えば、吸着水分含量が4~8質量%、嵩密度が200~300g/L、1次粒子径が10~30μm、比表面積(BET表面積)が10m2/g以上の湿式法シリカが好ましい。
前記乾式法シリカに特に制限はないが、例えば、水分含量が1.5質量%以下、嵩密度が50~100g/L、1次粒子径が8~20μm、比表面積が10m2/g以上の乾式法シリカが好ましい。
前記疎水性フュームドシリカとしては、乾式法シリカをメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及びオクタメチルシクロテトラシロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理したものが挙げられる。疎水性フュームドシリカは経時的な水分吸着が少なく、水分含量が好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1~0.2質量%である。
前記疎水性フュームドシリカに特に制限はないが、例えば、1次粒子径が5~50nm、嵩密度が50~100g/L、比表面積が10m/g以上の疎水性フュームドシリカが好ましい。なお、疎水性フュームドシリカについて、後述する加熱処理を行った場合、熱処理後の疎水性フュームドシリカの表面に吸着している水分含量が低下する場合がある。その場合の疎水性フュームドシリカの水分含量は、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05~0.1質量%である。
このようなシリカとしては、市販されているものを使用することができる。市販品としては、例えば、日本アエロジル(株)製「AEROSIL R974」、「AEROSIL RX200」及び「AEROSIL 200」等が挙げられる。また、前記シリカとして、特開2001-139816号公報に記載されているものも用いることができる。
シリカは、硬化性オルガノポリシロキサン(A)と共に予め加熱処理した熱処理物としてもよい。シリカと硬化性オルガノポリシロキサン(A)の一部又は全部とを予め加熱処理することにより両成分の親和性が向上し、シリカの凝集を抑制する等の効果を得ることができる。
シリカと硬化性オルガノポリシロキサン(A)とを加熱処理する方法としては、例えば、常圧下又は減圧下において、好ましくは100℃以上、配合成分の分解温度以下、より好ましくは100~300℃、更に好ましくは140~200℃で、好ましくは3~30時間処理する方法が挙げられる。
また、シリカは、硬化性オルガノポリシロキサン(A)と共に混練した混練物として塗料組成物に配合してもよい。硬化性オルガノポリシロキサン(A)とシリカとを混練した混練物を用いることにより、塗料組成物の粘度の過度な上昇を抑制することができる。
シリカと硬化性オルガノポリシロキサン(A)との混練物を製造する方法としては、例えば、特開2004-182908に記載されている方法を挙げることができる。
本発明の塗料組成物が無機充填剤(G)を含有する場合、硬化性オルガノポリシロキサン(A)100質量部に対する無機充填剤(G)の量は、塗料組成物のチクソトロピー性を向上させる観点、及び塗膜強度や塗膜硬度を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、より更に好ましくは4質量部以上、より更に好ましくは5質量部以上、より更に好ましくは6質量部以上、より更に好ましくは7質量部以上であり、塗料組成物の粘度の過度な上昇を抑制する観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
〔有機ケイ素架橋剤(H)〕
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗膜の硬化性及び塗膜強度を向上させることを目的として、極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)以外の有機ケイ素架橋剤(H)を含有してもよい。有機ケイ素架橋剤(H)は、単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記有機ケイ素架橋剤(H)としては、下記一般式(H1)で表される化合物及び/又はその部分縮合物であることが好ましい。
21 SiY(4-w) (H1)
(式(H1)中、R21は、炭素数1~6の1価の炭化水素基を示し、Yは、それぞれ独立に、加水分解性基を示し、wは0~2の整数を示す。)
式(H1)中、R21は、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ビニル基等のアルケニル基、及びフェニル基等のアリール基が挙げられる。これらの中でも、直鎖状アルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。
なお、wが2であるとき、複数存在するR21は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(H1)におけるYは、それぞれ独立に、加水分解性基を示す。加水分解性基としては前記式(A1)において例示した加水分解性基が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基及びオキシム基が好ましく、アルコキシ基及びケトオキシム基がより好ましく、メトキシ基及びエトキシ基が更に好ましく、エトキシ基がより更に好ましい。
なお、本発明において、例えば、前記式(H1)におけるYがメトキシ基又はケトオキシム基であるシラン化合物は、シラン化合物(C)であるので有機ケイ素架橋剤(H)から除かれる。一方、前記式(H1)におけるYがメトキシ基又はケトオキシム基であるシラン化合物の部分縮合物は、シラン化合物(C)ではないので、有機ケイ素架橋剤(H)である。
式(H1)におけるwは0~2の整数を示し、防汚塗膜の硬化性及び塗膜強度を向上させる観点から、0が好ましい。
前記有機ケイ素架橋剤(H)としては、市販されているものを使用することができる。市販品として、例えば、テトラエチルオルトシリケートとしてはコルコート社製「エチルシリケート28」、及び多摩化学工業(株)製「正珪酸エチル」が挙げられる。テトラエチルオルトシリケートの部分加水分解縮合物としては、多摩化学工業(株)製「シリケート40」、及び旭化成ワッカーシリコーン(株)製「WACKER SILICATE TES 40 WN」が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物が有機ケイ素架橋剤(H)を含有する場合、該塗料組成物の固形分中の有機ケイ素架橋剤(H)の含有量は、形成される塗膜の硬化速度を調整する観点、及び塗膜強度を向上させる観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
〔硬化触媒(I)〕
本発明の防汚塗料組成物は、形成される塗膜の硬化速度を向上させ、塗膜強度を向上させることを目的として、硬化触媒(I)を含有してもよい。
硬化触媒(I)としては、例えば、特開平4-106156号公報に記載された硬化触媒を挙げることができる。
具体的には、ナフテン酸錫、オレイン酸錫等のカルボン酸錫類;
ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫アセトアセトネート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジペントエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ビス(ジブチルスズラウレート)オキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ビス(ジブチルスズアセテート)オキサイド、ジブチル錫ビス(エチルマレート)、及びジオクチル錫ビス(エチルマレート)等の錫化合物類;
テトライソプロポキシチタン、テトラ-N-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、及びチタニウムイソプロポキシオクチルグリコール等のチタン酸エステル類又はチタンキレート化合物;
ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、及びアルコキシアルミニウム化合物等の有機金属化合物類;
酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、及びシュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩類等が挙げられる。
硬化触媒(I)としては、市販されているものを使用することができる。例えば、日東化成(株)製「NEOSTAN U-100」、DIC(株)製「Gleck TL」等が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物が硬化触媒(I)を含有する場合、該塗料組成物の固形分中の硬化触媒(I)の含有量は、形成される塗膜の硬化速度を向上させる観点、及び該塗料組成物の調製後の硬化速度と可使時間とのバランスを良好にする観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
〔着色顔料(J)〕
本発明の防汚塗料組成物は、該塗料組成物及びその塗膜の意匠性及び視認性を向上させることを目的として、前記無機充填剤(G)を除くその他着色顔料(J)を含有してもよい。
着色顔料(J)としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄(赤色酸化鉄)、黄色酸化鉄等の無機系着色顔料や、ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等の有機系着色顔料が挙げられる。なお、着色顔料には、更に染料等の各種着色剤が含まれていてもよい。これらの着色顔料は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の防汚塗料組成物が着色顔料(J)を含有する場合、防汚塗料組成物の固形分中の着色顔料(J)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下である。
〔有機溶剤(K)〕
本発明の防汚塗料組成物は、該塗料組成物の粘度を低く保ち、スプレー霧化性を向上させることにより塗装作業性を向上させることを目的として、有機溶剤(K)を含有してもよい。
有機溶剤(K)としては、例えば、芳香族炭化水素系有機溶剤、脂肪族炭化水素系有機溶剤、脂環族炭化水素系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、及びエステル系有機溶剤を挙げることができ、これらの中でも芳香族炭化水素系有機溶剤及びケトン系有機溶剤が好ましい。
芳香族炭化水素系有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、及びメシチレン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタン等が挙げられる。
脂環族炭化水素系有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びエチルシクロヘキサン等が挙げられる。
ケトン系有機溶剤としては、例えば、アセチルアセトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び炭酸ジメチル等が挙げられる。
エステル系有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
これらの有機溶剤(K)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の防汚塗料組成物が有機溶剤(K)を含有する場合、該塗料組成物中の有機溶剤(K)の含有量は、該塗料組成物の粘度に応じて適宜調整することができるが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、そして、塗装時のタレを抑制する観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
〔タレ止め-沈降防止剤(L)〕
本発明の防汚塗料組成物は、タレ止め-沈降防止剤(L)を含有してもよい。
タレ止め-沈降防止剤(L)としては、有機粘土系ワックス(Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩等)、有機系ワックス(ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、アマイドワックス、ポリアマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス等)、有機粘土系ワックスと有機系ワックスの混合物等が挙げられる。
タレ止め-沈降防止剤(L)としては、市販されているものを使用することができる。市販品としては、例えば、楠本化成(株)製「ディスパロン305」、「ディスパロン4200-20」及び「ディスパロンA630-20X」等が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物がタレ止め-沈降防止剤(L)を含有する場合、該塗料組成物の固形分中のタレ止め-沈降防止剤(L)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
〔酵素(M)〕
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗膜の防汚性を向上させることを目的として、酵素(M)を含有してもよい。
酵素(M)としては、例えばセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ及びグリコシダーゼ等が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物が酵素(M)を含有する場合、該塗料組成物の固形分中の酵素(M)の含有量は、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.1質量以下%である。
<塗料組成物を調製するためのキット>
本発明の防汚塗料組成物は、通常、2つ以上のコンポーネントからなる多液型塗料として提供される。
これらの各コンポーネント(各液)は、それぞれ1種以上の成分を含有しており、別個に包装された後、缶等の容器に入れられた状態で貯蔵保管される。各コンポーネントの内容物を塗装時に混合することにより塗料組成物を調製する。すなわち、本発明は一側面において、本発明に係る防汚塗料組成物を調製するための、上記のようなコンポーネントからなるキットを提供する。
オルガノポリシロキサン系防汚塗料組成物は、一般的に、該防汚塗料組成物のバインダー樹脂の主体をなすオルガノポリシロキサンを含有するコンポーネントを「主剤」と称し、このオルガノポリシロキサンと反応して架橋させる化合物を含有するコンポーネントを「硬化剤」と称し、さらにシランカップリング剤等、主剤コンポーネント及び硬化剤コンポーネントに含まれる化合物のいずれとも反応する化合物を含有するコンポーネントを「添加剤」と称している。
本発明に係る防汚塗料組成物を調製するためのキットは、硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有する主剤コンポーネント(X)と、極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含有する添加剤コンポーネント(Z)とがそれぞれ別個に包装された多液型の形態にある。本発明に係る塗料組成物を調製するためのキットとしては、硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有する主剤コンポーネント(X)と、有機ケイ素架橋剤(H)を含有する硬化剤コンポーネント(Y)と、極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含有する添加剤コンポーネント(Z)とがそれぞれ別個に包装された多液型の形態にあることが好ましい。
本発明に係る塗料組成物を調製するためのキットにおいて、極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含有する前記添加剤コンポーネント(Z)を長期保存する際に、主剤コンポーネント(X)及び硬化剤コンポーネント(Y)とは別個に保管することにより、極性基含有シラン化合物(B)の加水分解反応をより一層抑制することが出来るため、塗料組成物の貯蔵安定性を更に改善でき、防食塗膜に対する層間付着性を更に向上することができる。
本発明における主剤コンポーネント(X)は、硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有し、好ましくは更にその他の任意成分を含有する。前述したように、主剤コンポーネント(X)に配合される硬化性オルガノポリシロキサン(A)は、一部または全部が無機充填剤(G)であるシリカとの熱処理物、若しくは硬化性オルガノポリシロキサン(A)とシリカとを混練した混練物であってもよい。主剤コンポーネント(X)に配合することができる任意成分としては、ピリチオン塩に代表される防汚剤(D)、フェニル変性ポリジメチルシロキサン及びエーテル変性ポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーンオイル(E)、エーテル基含有重合体(F)、無機充填材(G)、着色顔料(J)、有機溶剤(K)、タレ止め-沈降防止剤(L)及び酵素(M)等が挙げられる。
本発明における硬化剤コンポーネント(Y)は、好ましくはテトラエチルオルトシリケートに代表される有機ケイ素架橋剤(H)、及び主剤に含まれる成分との反応性が高い任意成分を含む。硬化剤コンポーネント(Y)に配合することができる任意成分としては、フェニル変性ポリジメチルシロキサン及びエーテル変性ポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーンオイル(E)、硬化性触媒(I)、タレ止め-沈降防止剤(L)等が挙げられる。なお、シリコーンオイル(E)、及びタレ止め-沈降防止剤(L)は、主剤コンポーネント(X)及び硬化剤コンポーネント(Y)の他の成分と望ましくない反応を起こさなければ、どちらのコンポーネントに配合してもよい。
本発明における添加剤コンポーネント(Z)は、極性基含有シラン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含み、好ましくは更に主剤コンポーネント(X)及び硬化剤コンポーネント(Y)に含まれる成分と反応性が高い任意成分を含む。
本発明に係る防汚塗料組成物の調製方法としては特に制限はないが、例えば、常法に従って、多液型の防汚塗料を構成する各成分、すなわち上述したようなキットの各コンポーネント(包装の内容物)及び必要に応じてさらなる任意成分を順次または同時に添加し、これらを混合することにより得られる。
[防汚塗膜]
本発明の防汚塗膜は、本発明の防汚塗料組成物から形成され、該防汚塗料組成物を硬化してなるものである。具体的には、例えば、本発明の防汚塗料組成物を基材等に塗布した後、乾燥させることにより防汚塗膜を形成することができる。
本発明の防汚塗料組成物を塗布する方法としては、刷毛、ローラー、及びスプレー等による公知の方法を挙げることができる。
前述の方法により塗布した防汚塗料組成物は、例えば、25℃の条件下、0.5~7日間程度放置することにより硬化し、塗膜を形成することができる。なお、防汚塗料組成物の硬化にあたっては、加熱下で送風しながら行ってもよい。
本発明の防汚塗膜の硬化後の厚さは、例えば、塗膜強度を向上させる観点から、100~2,000μm程度が好ましい。この厚さの防汚塗膜を製造する方法としては、塗料組成物を1回の塗布あたり好ましくは30~400μm、より好ましくは50~300μmの厚さで、1回~複数回塗布する方法が挙げられる。
[防汚塗膜付き基材、及びその製造方法]
本発明に係る防汚塗膜付き基材は、本発明の防汚塗膜を基材上に有するものである。
本発明の防汚塗膜付き基材の製造方法は特に限定されないが、例えば、本発明の防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸させることにより、塗布体又は含浸体を得る工程(1)、及び該工程により基材に塗布又は含浸させた塗料組成物を硬化させる工程(2)を有する方法によって製造することができる。
前記工程(1)において、塗料組成物を基材に塗布する方法は、前述の塗布方法を採用することができる。また、含浸させる方法に特に制限はなく、含浸させるのに十分な量の塗料組成物中に基材を浸すことにより行うことができる。更に、前記塗布又は含浸した塗料組成物を硬化させる方法に特に制限はなく、防汚塗膜を製造する際の方法と同様の方法で硬化させることができる。
また、本発明の防汚塗膜付き基材は、本発明の防汚塗料組成物を硬化させて防汚塗膜を形成する工程(i)、及び前記防汚塗膜を基材に貼付する工程(ii)を有する方法によって製造することもできる。
工程(i)において防汚塗膜を形成する方法に特に制限はなく、防汚塗膜を製造する際の方法と同様の方法により製造することができる。
工程(ii)において防汚塗膜を基材に貼付する方法に特に制限はなく、例えば、特開2013-129724号公報に記載の方法のように、防汚塗膜からなる層を有する粘着テープを用いることにより塗膜を基材に貼付することができる。
前記基材としては、例えば、船舶(コンテナ船、及びタンカー等の大型鋼鉄船、漁船、FRP船、木船、並びにヨット等の船体外板;これらの新造船又は修繕船)、漁業資材(ロープ、漁網、漁具、浮き子、及びブイ等)、石油パイプライン、導水配管、循環水管、ダイバースーツ、水中メガネ、酸素ボンベ、水着、魚雷、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、海底ケーブル、海水利用機器類(海水ポンプ等)、メガフロート、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、及び運河・水路等における各種海洋土木工事用構造物等が挙げられる。
これらの中でも、基材としては、船舶、水中構造物又は漁業資材が好ましく、船舶又は水中構造物がより好ましく、船舶が更に好ましい。
[防汚方法]
本発明における防汚方法としては、本発明の防汚塗膜を使用するものであれば特に限定されないが、水生生物の付着を防止したい対象物(基材)を本発明の防汚塗膜又は積層防汚塗膜で被覆する方法等が挙げられる。
前記積層防汚塗膜は、防食塗膜の上に、本発明の防汚塗膜を有することが好ましい。該防食塗膜としては、反応硬化型樹脂系、熱可塑性樹脂系の防食塗膜が挙げられ、付着性の観点から反応硬化型樹脂系の防食塗膜が好ましい。反応硬化型樹脂としては、具体的にはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
また、前記積層防汚塗膜は、本発明の防汚塗膜の上に、さらに本発明の防汚塗膜及びその他のシリコーン樹脂系防汚塗膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の防汚塗膜を有してもよい。 本発明の防汚塗膜は、防汚性に優れ、該塗膜によって被覆された基材の水生生物による汚損を抑制することができる。
[防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法]
本発明に係る防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法は、硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有する主剤コンポーネントと、極性基含有シラン化合物(B)を含有する添加剤コンポーネントとが、それぞれ別個に包装された多液型の形態にある、防汚塗料組成物を調製するためのキットにおいて、前記極性基含有シラン化合物(B)を含有する添加剤コンポーネントに、シラン化合物(C)を配合することを特徴とする。
本発明に係る防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法に供されるキットとしては、前記主剤コンポーネントと、前記添加剤コンポーネントと、更に有機ケイ素架橋剤(H)を含有する硬化剤コンポーネントとが、それぞれ別個に包装された多液型の形態にあることが好ましい。
貯蔵安定性が改善されるとは、防汚塗料組成物、特に多液型の防汚塗料組成物調製用キットの添加剤コンポーネント(Z)に含まれる極性基含有シラン化合物(B)の、貯蔵期間中に起きる物性変化や沈殿の発生が抑制されることを指す。その具体的な効果としては、添加剤コンポーネントを長期貯蔵した後も防食塗膜に対して良好な層間付着性を保持すること、沈殿(凝集物)による塗膜外観への悪影響を抑制すること等が挙げられる。前述したように、このような効果には、シラン化合物(C)が極性基含有シラン化合物(B)の加水分解反応を抑制し、塗料組成物の貯蔵安定性を改善するための有効成分として作用しているものと推測される。
貯蔵安定性の改善方法の適用対象となる防汚塗料組成物に含まれる各成分や、当該防汚塗料組成物を調製するためのキットを構成する各コンポーネントなどの詳細は前述した通りである。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、硬化性オルガノポリシロキサン(A)を「(A)成分」、極性基含有シラン化合物(B)を「(B)成分」、シラン化合物(C)を「(C)成分」等と表記する場合がある。
[エーテル基含有重合体(F)溶液の製造]
<エーテル基含有重合体(FA)溶液の製造例>
反応は常圧、窒素雰囲気下で行った。撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、メチルアミルケトン 42.86gを仕込み、撹拌しながら内温が100℃になるまで加熱した。反応容器内のメチルアミルケトンの温度を100±5℃の範囲で保ちながら、NKエステル AM-90G(メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、新中村化学工業(株)製) 20g、イソブチルアクリレート 80g、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル) 4gからなる混合物を4時間かけて反応容器内に滴下した。その後同温度範囲を保ちながら2時間撹拌し、エーテル基含有重合体(FA)溶液を得た。
<エーテル基含有重合体(FB)溶液の製造例>
反応は常圧、窒素雰囲気下で行った。撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、メチルアミルケトン 42.86gを仕込み、撹拌しながら内温が100℃になるまで加熱した。反応容器内のメチルアミルケトンの温度を100±5℃の範囲で保ちながら、NKエステル AM-90G 30g、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル) 4gからなる混合物と、サイラプレーン FM-0711(メタクリロイルオキシ基含有ジメチルポリシロキサン、JNC(株)製、平均分子量1,000) 70gとを、それぞれ4時間かけて反応容器内に滴下した。その後同温度範囲を保ちながら2時間撹拌し、エーテル基含有重合体(FB)溶液を得た。
[重合体及び重合体溶液の評価方法]
<エーテル基含有重合体(F)溶液の固形分(質量%)>
重合体溶液1.0g(X1)を、1気圧、125℃の条件に保った恒温槽内で1時間保持し、揮発分を除去して不揮発分を得た。この不揮発分の量(X2(g))を測定し、下記式に基づいて、重合体溶液に含まれる固形分の含有率(%)を算出した。
エーテル基含有重合体(F)溶液の固形分(質量%)=(X2/X1)×100
<重合体溶液の粘度>
E型粘度計(TV-25、東機産業(株)製)を用いて、液温25℃の重合体溶液の粘度(単位:mPa・s)を測定した。
<重合体の平均分子量>
重合体の重量平均分子量(Mw)を下記条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定した。
GPC条件
装置:「HLC-8220GPC」(東ソー(株)製)
カラム:「TSKgel SuperH2000」及び「TSKgel SuperH4000」を連結(いずれも東ソー(株)製、内径6mm/長さ15cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.500ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
サンプル調製法:各製造例で調製された重合体溶液にTHFを加えて希釈した後、メンブレムフィルターで濾過して得られた濾物をGPC測定サンプルとした。
重合に用いた不飽和単量体、並びに得られたエーテル基含有重合体(F)及びその溶液の特性を表1に示す
Figure 0007042111000002
[塗料組成物]
・配合成分
塗料組成物に用いられる配合成分を表2及び表3に示す。
なお、表2に示す硬化性オルガノポリシロキサン(A)及び無機充填剤(シリカ)(G)の混練物は、硬化性オルガノポリシロキサン(A)と無機充填剤(シリカ)(G)を表2に記載の量を用い、公知の方法で混練することにより得たものである。
Figure 0007042111000003
Figure 0007042111000004
<塗料組成物の製造>
表4に記載された配合量(質量部)に従って各成分を混合撹拌し、主剤コンポーネント(X)、硬化剤コンポーネント(Y)、及び添加剤コンポーネント(Z)からなる3液型塗料組成物である実施例1~15及び比較例1~3の防汚塗料組成物を調製した。
<塗膜付き試験板の作製>
サンドブラスト板に、エポキシ樹脂系防食塗料(中国塗料(株)製「バンノー500」)を乾燥後の厚さが100μmとなるように塗布し、常温下(23℃)で6時間乾燥して防食塗膜1を形成した。さらに、該防食塗膜1上に、ウレタン樹脂系防食塗料(中国塗料(株)製「CMPバイオクリンSG」)を乾燥後の厚さが100μmとなるように塗布し、常温下で6時間乾燥して防食塗膜2を形成した。その後、該防食塗膜2上に、実施例1~15及び比較例1~3の防汚塗料組成物を乾燥後の厚さが200μmとなるように塗布し、常温下で1週間乾燥して塗膜付き試験板を作製した。
[評価方法]
上記のように調製された実施例及び比較例の防汚塗料組成物及びそれらから形成された防汚塗膜について、以下に示す貯蔵安定性試験、層間付着性試験、防汚性試験を行った。これらの結果は表4に記載されたとおりである。
<塗料組成物の貯蔵安定性試験、及び層間付着性試験>
前記で調製した添加剤コンポーネント(Z)を、常温条件で1日貯蔵、及び40℃の温度条件で100日間貯蔵した後、以下に示す添加剤コンポーネント(Z)の外観、及び防食塗膜に対する防汚塗膜の層間付着性を確認することで、貯蔵安定性及び層間付着性を評価した。
(添加剤コンポーネント(Z)の外観評価)
防汚塗料組成物の添加剤コンポーネント(Z)を調製し、ガラス容器に移し、目視によって沈殿の有無について評価を行った。なお、沈殿が発生した防汚塗料組成物は、塗膜形成時に、沈殿(凝集物)により塗膜外観に悪影響を生じる傾向がある。
(評価点)
4:沈殿の発生なし。
3:最大径が1mm未満の沈殿が発生した。
2:最大径1mm以上3mm未満の沈殿が発生した。
1:最大径3mm以上の沈殿が発生した。
(層間付着性評価)
上記試験板の塗膜表面にJIS J5600-5-6に規定されている単一刃を用いて防食塗膜2に達する一文字の切り込みを付け、紙ウエスを用いて該切り込みに対して垂直方向に20回擦った際に、防食塗膜2との間での層間剥離の発生度合いを以下の基準によって評価し、付着性の評価点とした。
(評価点)
5:切り込み以外の塗膜ダメージが全くみられない。
4:層間剥離が切り込みから1mm未満の範囲で発生した。
3:層間剥離が切り込みから1mm以上3mm未満の範囲で発生した。
2:層間剥離が切り込みから3mm以上10mm未満の範囲で発生した。
1:層間剥離が切り込みから10mm以上の範囲で発生した。
<防汚性試験>
上記試験板を広島県宮島湾にて静置浸漬して、3か月ごとに試験板表面に占めるスライムを含めた水生生物の付着面積の比率を目視観察にて評価し、防汚性の評価点とした。
(評価点)
5 : 水生生物の付着面積が試験面全体の1%未満
4 : 水生生物の付着面積が試験面全体の1%以上10%未満
3 : 水生生物の付着面積が試験面全体の10%以上30%未満
2 : 水生生物の付着面積が試験面全体の30%以上60%未満
1 : 水生生物の付着面積が試験面全体の60%以上
Figure 0007042111000005
Figure 0007042111000006
これらの結果は、本発明による防汚塗料組成物が良好な防汚性を損なうことなく、長期間貯蔵後も安定して防食塗膜との層間付着性を維持できることを示している。

Claims (13)

  1. 硬化性オルガノポリシロキサン(A)、下記一般式(B1)で表される極性基含有シラン化合物(B)、及び下記一般式(C1)で表されるシラン化合物(C)を含む、防汚塗料組成物を調製するためのキットであって、
    前記硬化性オルガノポリシロキサン(A)を含有する主剤コンポーネントと、前記極性基含有シラン化合物(B)及び前記シラン化合物(C)を含有する添加剤コンポーネントとがそれぞれ別個に包装された多液型の形態にあり、
    前記防汚塗料組成物の固形分中の前記極性基含有シラン化合物(B)の含有量が、0.01質量%以上1質量%以下であり、
    前記防汚塗料組成物の固形分中の前記シラン化合物(C)の含有量が、0.015質量%以上0.7質量%以下であり、
    前記防汚塗料組成物中の前記極性基含有シラン化合物(B)と前記シラン化合物(C)との含有割合〔(B)/(C)〕が、固形分質量比で15/85~90/10である、キット
    (RO)(3-p) Si-R-Z ・・・(B1)
    (式中、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Rはヘテロ原子を有する基が介在してもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、Zはアミノ基を示し、pは0又は1を示す。)
    SiW(4-q) ・・・(C1)
    (式中、Wはメトキシ基又はケトオキシム基を示し、Rは1価の炭化水素基を示し、qは0~2の整数を示す。)
  2. 前記極性基含有シラン化合物(B)が、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、及び3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される1種以上を含む、請求項に記載のキット
  3. 前記シラン化合物(C)が、テトラメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、及びメチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載のキット
  4. 前記防汚塗料組成物が、更に、防汚剤(D)を含有する、請求項1~のいずれかに記載のキット
  5. 前記防汚塗料組成物が、更に、シリコーンオイル(E)及び/又はエーテル基含有重合体(F)を含む、請求項1~のいずれかに記載のキット
  6. 更に、前記極性基含有シラン化合物(B)及び前記シラン化合物(C)以外の有機ケイ素架橋剤(H)を含む、請求項1~のいずれかに記載のキット
  7. 前記主剤コンポーネントと、前記添加剤コンポーネントと、前記有機ケイ素架橋剤(H)を含有する硬化剤コンポーネントとがそれぞれ別個に包装された多液型の形態にある、請求項に記載のキット。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載のキットからなる前記防汚塗料組成物を硬化してなる防汚塗膜。
  9. 請求項に記載の防汚塗膜を基材上に有する、防汚塗膜付き基材。
  10. 前記基材が船舶、水中構造物、及び漁業資材からなる群より選択される、請求項に記載の防汚塗膜付き基材。
  11. 請求項1~7のいずれかに記載のキットからなる前記防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸し、塗布体又は含浸体を得る工程(1)、及び前記工程(1)で得られた塗布体又は含浸体を硬化する工程(2)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
  12. 請求項1~7のいずれかに記載のキットからなる前記防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜を形成する工程(i)、及び前記塗膜を基材に貼付する工程(ii)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
  13. 請求項1~7のいずれかに記載のキットにおける防汚塗料組成物の貯蔵安定性の改善方法。
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