JP7040222B2 - ヒートシール容器用缶体およびヒートシール容器 - Google Patents

ヒートシール容器用缶体およびヒートシール容器 Download PDF

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Description

本発明は、食品用の金属容器に関し、特に金属缶の開口部となる部分に直接樹脂ラミネートアルミ箔を熱融着するヒートシール容器用の缶体およびヒートシール容器に関するものである。
現在、食缶の多くは、缶切が不要なイージーオープンエンド(EOE)缶が主流であるが、EOEのタブを起こして缶上方に引き上げながら缶蓋をスコア加工した溝に沿って切り剥がすには、かなりの力を要し、かつ、開缶した蓋の端面や缶側に残ったEOE引き剥がし後の端面で切創しやすい等の理由から、近年、ペットフード用缶やツナ缶などで、開缶性の容易さを特徴とした樹脂ラミネートアルミ箔を熱融着(以下、ヒートシール)したヒートシール缶詰が増えつつある。
現行のヒートシール缶詰容器では、缶、および缶と巻き締められてヒートシール蓋と融着される枠部からなる基材は、ティンフリースチールや錫めっき鋼板を塗装焼付した塗装金属板が用いられており、基材の中央部に内容物を取り出す開口部を有し、基材の枠部に樹脂ラミネートアルミ箔からなるヒートシール蓋を融着して用いている。
現行のヒートシール蓋は少ない力で開缶できるので有用であるが、缶開口部の縁には、前述の基材の枠部が残る構造のため、内容物の取り出し性が悪い欠点がある。また、樹脂ラミネートアルミ箔からなるヒートシール蓋を製造する際、基材のプレス工程以外にヒートシール蓋となる樹脂ラミネートアルミ箔を当該枠部に熱融着させる工程が余分に入るため、EOEに比べて蓋部分の生産性が悪い欠点がある。
そのほか、現行のヒートシール蓋の基材は、図1に示すように、内外面とも樹脂を2コート塗装焼付する必要があり、製造コストが高い欠点がある。
また、ヒートシールする際、ヒートシール部の強度ばらつきを小さくするために、ヒートシール蓋となる樹脂ラミネートアルミ箔を基材の枠部にヒートシールする時間を長くする必要があることから蓋部分の生産性が低い欠点があった。
加えて従来の缶用塗料の主原料であったビスフェノールA(以下、BPAと称する)は環境ホルモン物質であることから、現在、BPAフリータイプの塗料が使われるようになってきている。しかしながら、BPAフリー塗料は、鋼板との密着性、耐食性が低く、まだ、課題が多いのが実情であり、缶体についても環境ホルモン物質を含まない基材が望まれている。
樹脂ラミネートアルミ箔を基材枠部にヒートシールした蓋と樹脂をラミネートした缶胴部を巻締める缶に対して、特許文献1には蓋部が容器内側から外側に向かってポリプロピレン層、変性ポリプロピレン層、アルミニウム層、接着剤層及びポリプロピレン層を有し、胴部が容器内側から外側に向かってポリプロピレン層、変性ポリプロピレン層及び鉄又はアルミニウム層を有している、蓋部と胴部のフランジ部を熱融着させることができる多層構造の蓋部及び多層構造の胴部からなるプラスチックイージーオープン蓋付ラミネート金属複合容器が提案されている。
しかしながら、特許文献1に示されるプラスチックイージーオープン蓋付ラミネート金属複合容器は、蓋外面にプラスチックイージーオープン用のプルタブを形成させる必要から、蓋の樹脂ラミネート板外層にポリプロピレン層を形成させる必要がある。また、缶胴フランジ部と蓋部の接合部がポリプロピレン樹脂であることから接合時の温度が低いと融着ムラになる恐れがあり密閉性が安定しない課題がある。そのほか、缶胴フランジ部と蓋部の接合部がポリプロピレン樹脂どうしの場合接合強度は高いが、ピールシーム蓋としては、ピール強度が強すぎて蓋を剥離し難くなる課題がある。
上記理由から、工程の簡略化、コスト削減および環境ホルモン対策、ピールシーム蓋付として、食缶の胴材や蓋材に用いられつつあるポリエステル系樹脂フィルムラミネート金属板を適用することを検討したが、通常のポリエステル系樹脂フィルムをラミネートした樹脂フィルムラミネート金属板では、フィルムの融点が250℃付近のため、通常のヒートシール条件(160℃~200℃、約1秒数秒間圧着)では密着不足で十分なヒートシール強度が得られない。このため、缶のレトルト滅菌処理時の内圧上昇によりヒートシール部が剥離し内容物が漏れることがあり、適用困難であった。
特開平10-305871号公報
本発明では、上記課題を解決する工程の簡略化、コスト削減および環境ホルモンを用いないヒートシール容器用缶体およびヒートシール容器を提供する。
前述の問題点および課題を解決すべく、缶体側をヒートシール蓋と直接融着可能なラミネート鋼板とすることで、従来のヒートシール缶のようにヒートシール蓋を基材に融着させ、それを缶体に巻締めることなく、缶体に直接樹脂ラミネートアルミ箔をヒートシールできるように、以下、検討した。
上記のヒートシール容器用缶体は、ヒートシール蓋となる樹脂ラミネートアルミ箔と直接熱融着させるために、缶体全体を樹脂ラミネート鋼板とし、缶体開口部端にヒートシールするためのヒートシール面を有し、かつ、当該ヒートシール面が缶体内面側から連続したフィルムで被覆されており、かつ、ヒートシール面(即ち缶体内面)を被覆しているフィルムがポリプロピレン樹脂にポリエチレン系樹脂を添加した樹脂である。
尚、当該ラミネート鋼板のヒートシール面と反対側(即ち缶体外面)のフィルムは、ヒートシール時に溶融すると、被膜損傷して腐食を誘発する恐れがある。従って、ラミネート鋼板のヒートシールとする側の反対側のフィルムの融点は、ヒートシール用のツールの加熱温度より高い方が好ましい。このため、ラミネート鋼板のヒートシールする側の反対側(即ち缶体外面)のフィルムは、ヒートシール側のポリプロピレン系樹脂よりも融点が40℃以上高い方が好ましく、缶用ラミネート鋼板としての実績の高いポリエステル系フィルムが特に好ましい。
本発明は上記の知見に基づいてなされ、その要旨は以下の通りである。
(1)すなわち、樹脂フィルムラミネート鋼板からなる缶体において、缶体上部の開口端が樹脂ラミネートアルミ箔製の蓋材と直接ヒートシールできる面を有しており、かつ、缶内面側のフィルムが開口端まで連続して鋼板表面を覆う構造であるヒートシール容器用の缶体であり、缶体のヒートシール面のフィルムが蓋用樹脂ラミネートアルミ箔と接する側から順にポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層、変性ポリプロピレン系樹脂層で構成されており、缶体のヒートシール部のヒートシール側と反対面のフィルムがヒートシール側のポリプロピレン系樹脂よりも融点が40℃以上高く、かつ、ヒートシール用のツールの加熱温度より高融点である、エチレンテレフタレート単位を主体とし、エチレンテレフタレート単位以外に共重合成分としてエチレンイソフタレート単位またはブチレンテレフタレート単位を含む共重合ポリエステル樹脂、または、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体、またはポリエチレンテレフタレート・ブチレンテレフタレート共重合体との混合物、からなる熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とするヒートシール容器用缶体。
(2)前記ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量の範囲が1.0質量%以上45.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール容器用缶体。
(3)前記ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の厚みが1μm以上、15μm以下であることを特徴とする請求項1記載または請求項2に記載のヒートシール容器用缶体。
(4)前記変性ポリプロピレン系樹脂層の厚みが1μm以上、18μm以下であることを特徴とする請求項1記載ないし請求項3記載のいずれか1項に記載のヒートシール容器用缶体。
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかのヒートシール容器用缶体を用い、樹脂ラミネートアルミ箔製の蓋材が缶体の内面側が缶体内面側から順にポリプロピレン樹脂層またはポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂のブレンド樹脂あるいは共重合樹脂層、変性ポリプロピレン樹脂層、アルミ箔から成る構造であることを特徴とするヒートシール容器。
本発明のヒートシール容器用缶体は、内容物の取り出し性、開缶性に優れ、かつ、短時間でヒートシール可能なので、製缶性に優れる。また、缶体のラミネート鋼板の製造時にフィルムがラミネートロールに融着することがないので製造性および表面品位に優れており、極めて有用である。
現行のヒートシール缶蓋の構成の例である。 ヒートシール樹脂表層中のポリエチレン樹脂添加率と缶体ヒートシール部密閉性の関係を示す図である。 ヒートシール樹脂表層中のポリエチレン樹脂添加率とヒートシール性の関係を示す図である。 ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の厚みと缶体ヒートシール部密閉性の関係示す図である。 変性ポリプロピレン系樹脂層の厚みと缶体ヒートシール部密閉性の関係を示した図である。 本発明の実施形態に係るヒートシール缶体およびヒートシール容器の構成を示した図である。
本実施形態に係るヒートシール缶について、以下、詳細に説明する。
<ヒートシール蓋>
本実施形態に係るヒートシール蓋は、缶胴側のヒートシール面とのヒートシール性に優れ、かつ、十分なシール強度が必要である。
缶胴側のヒートシール面とのヒートシール性とヒートシール強度が両立可能な樹脂構成としては、蓋材の缶体の内面側になる面から順にポリプロピレン樹脂層あるいはポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂のブレンドまたは共重合樹脂層、変性ポリプロピレン樹脂層、アルミ箔の積層構造などが好適な例としてあげられる。
さらに蓋材のアルミ箔の外面側に疵付を防ぐ目的でコーティング、あるいは、フィルムをラミネートしても良く、また、蓋材のアルミ箔の外面側にインキ印刷・焼付した上にコーティングあるいはフィルムラミネートしてもあっても良い。特にフィルムをラミネートする場合は、ポリエステルフィルム等のヒートシール側の樹脂よりも融点が高いフィルムがヒートシール用ツールに融着しないのでより好ましい。
アルミ箔の外面側に印刷を施す場合は、アルミ箔上に接着剤を塗工した上に印刷インキを塗工し、その上にポリエステル系フィルムをラミネートするか、ポリエステル系塗料を塗工しても良い。
蓋の内面側のポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂と変性ポリプロピレン樹脂または変性ポリエチレン樹脂の厚みは特に限定されるものではないが、薄すぎるとヒートシール部の密着状態がバラつきやすくなり、内容物が漏れる危険性が高くなるので、ヒートシール蓋の内面側の樹脂厚はトータルで5μm以上であるのが好ましい。
アルミ箔の種類は特に限定されるものではなく市販のアルミ箔でよいが、厚みについては、薄すぎると破れやすくなるので20μm以上が好ましい。ただし、厚すぎると、蓋を剥離する際、剥離強度が高くなるため、蓋を開けにくくなるのでアルミ箔の厚みの上限は60μm以下が特に好ましい。
樹脂ラミネートアルミ箔の製造方法は、樹脂をTダイで押し出しながら、直接アルミ箔に樹脂を融着させても良いし、予めTダイ成形で作製したフィルムをフィルムラミネート装置でアルミ箔に熱融着させても良い。
<ヒートシール蓋を直接ヒートシールすることが可能な缶体を構成する樹脂フィルムラミネート鋼板の母材金属板>
本実施形態に係るヒートシール蓋を直接ヒートシールすることが可能な缶体を構成する樹脂フィルムラミネート金属板の母材金属板は、すずめっき鋼板、ティンフリー鋼板、冷延鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタニウム板などいずれでもよく、特に限定されるものではない。しかしながら、食品衛生性、加工性、耐食性、フィルム密着性、材料価格の観点から、すずめっき鋼板、あるいは、ティンフリー鋼板が、好適である。
前記金属板の板厚については、特に限定されるものではない。しかしながら、薄すぎると加工性が低下するので好ましくない。また、厚過ぎると経済的でないことから、金属板の厚みは0.10mm以上0.40mm以下が好ましい。
前記金属板の表面粗さは、特に限定されるものではない。しかしながら金属板の表面粗さが、JISB0601に規定される算術平均粗さRaで0.05μm未満の場合、金属板に樹脂フィルムを圧着積層する際に金属板と樹脂フィルム間に気泡が入り込むと気泡が抜け難くなる。一方、金属板の表面粗さが平均粗さRaで0.8μmを超える場合、金属板に樹脂フィルムを圧着積層する際に金属板表面の凹凸に沿って気泡を巻き込みやすいため、金属板の表面粗さは、平均粗さRaで、0.05μm以上、0.8μm以下の範囲が好ましい。より好ましくは、0.1μm以上、0.6μm以下である。
前記金属板は、その表面に、さらに表面処理を施されていてもよい。例えば、製缶品の内面側となる金属板表面に、金属板とポリエステル系フィルム層との密着性を向上させることを目的として、Cr、Zr、Al、Si、P、Ti、Ce、Wから選ばれる1種以上の元素、および、O、および、不可避成分からなる化成処理皮膜が形成されていてもよい。上記元素の水酸化物および酸化物からなる化成処理皮膜は、水酸基を有しているので、ポリエステル樹脂が持つ水酸基との間に水素結合を作る。そのため、金属板とポリエステル系フィルムとの密着性が向上する。
Cr、Zr、Al、P、Ti、Ce、Wから選ばれる1種以上の元素を含む化成処理皮膜の形成方法としては、各種元素のフッ化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、蟻酸塩、炭酸塩などの水溶液中で電解処理する方法や、浸漬によるエッチング反応を利用する方法などを採用することができる。化成処理の後、水洗あるいは湯洗を行うことにより、上記元素の対イオン種のほとんどは化成処理皮膜中から除去されるが、不可避成分として微量残存する場合がある。不可避成分である対イオン種は、化成処理皮膜の特性に影響を及ぼさない範囲であれば、存在していても構わない。
前記金属板は、上記化成処理皮膜以外に、シランカップリング剤処理などにより形成された皮膜を有していてもよい。シランカップリング剤処理により形成された皮膜はSi化合物を含み、金属板、および、ポリエステル樹脂との密着性に優れているので好ましい。
<樹脂ラミネート鋼板のヒートシール側のフィルム構成>
樹脂フィルムラミネート鋼板のヒートシール側のフィルム構成について、詳細に説明する。
前述のように、樹脂ラミネートアルミ箔の樹脂はヒートシールするために融点の低いポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂が用いられるが、ポリプロピレンは分子鎖中に水酸基やカルボキシル基などの極性基を有していないことから表面の活性が低く、ラミネート金属板側の母材である金属板、例えばティンフリー鋼板などの塗装密着性に優れる金属板にポリプロピレン系樹脂フィルムを融着させようとしても、金属板表面化成処理層である水和酸化物との間に水素結合を生成することができないので金属板との密着性が非常に悪い。
このため、樹脂フィルムラミネート金属板用のポリプロピレン系樹脂フィルムでは、樹脂フィルムラミネート金属板用の母材金属板と密着する側に変性ポリプロピレン系樹脂層を用いるのが一般的である。ここで変性ポリプロピレン系樹脂層とは、ポリプロピレン系樹脂フィルムの表層に無水フタル酸などで変性して表面活性を上げて密着性を改善した樹脂層をいう。
しかしながら、樹脂フィルムラミネート金属板を製造する際に、ポリプロピレン系樹脂フィルムのラミネートロールと接する面が変性ポリプロピレン樹脂層になっていると、ラミネートロールの表面に変性ポリプロピレン系樹脂層が融着して、樹脂フィルムラミネート金属板のフィルム表面に欠陥が発生しやすくなるので好ましくない。そこで、ラミネートロールと接する面のポリプロピレン系樹脂は未変性層とすることでラミネートロールへの樹脂融着を回避する。
ラミネートロールの表面に変性ポリプロピレン系樹脂層が融着しやすい理由についてであるが、ラミネートロールはフッ素ゴムと天然ゴム等からできているため、表面温度80℃~120℃で連続長期間使用すると、ラミネートロール材質の天然ゴム(主成分イソプレン)が熱劣化して酸化官能基が生成する。ラミネートロール表面のゴムに酸化官能基が生成すると表面活性が高い状態となり、変性ポリプロピレン樹脂層などの表面活性が高い樹脂が、溶融した状態でロール圧着されると、変性ポリプロピレン樹脂が熱劣化した天然ゴムの酸化官能基と結合しやすくなると考えられる。
ただし、ヒートシール缶体となる樹脂フィルムラミネート鋼板のフィルムの表層が未変性のポリプロピレン系樹脂の場合、ラミネートロールへの融着は避けられるが、変性樹脂による接着性向上効果が得られない。このため樹脂ラミネートアルミ箔と高速短時間でヒートシールした場合、ヒートシール部の融着状態にばらつきが出やく、食品内容物を缶内に入れて当該蓋を巻き締めた缶体をレトルト殺菌処理時にヒートシール部の融着状態が悪い部分から内容物漏れを起こしやすくなり、好ましくない。尚、樹脂ラミネートアルミ箔とのヒートシール時間を長くすれば、ヒートシール部の融着状態は安定するが、蓋の生産性が悪くなり好ましくない。
また、ヒートシール缶体となる樹脂フィルムラミネート鋼板のフィルムの表層がポリプロピレン系樹脂単体の場合、ヒートシール部が固くなり剥離強度が強くなり過ぎるため、ヒートシール蓋を剥離し難くなるので好ましくない。
そこで、ヒートシール缶体となる樹脂ラミネート鋼板のヒートシールする側のポリプロピレン系樹脂フィルムの表層に、より融点が低いポリエチレン系樹脂を添加する。これによりヒートシール時にフィルム表面がより低温で溶融開始するのでヒートシール性が向上するのと同時に、シール部の剥離力が適度に下るので蓋が開けやすくなる。
ここでポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の、ポリエチレン系樹脂添加率について、以下説明する。
〔ポリエチレン系樹脂添加率試験のための樹脂ラミネート鋼板作製〕
3層共押し出し成膜機で作製したポリオレフィン樹脂系フィルム(ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層)のヒートシール層側のポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量を0~60質量%まで変えたフィルムとポリエチレンテレフタレートにポリエチレンイソフタレートを8モル%共重合したポリエステル系樹脂フィルムを0.2mm厚のティンフリースチールに250℃でラミネートしてヒートシール缶体用ラミネート鋼板を作製した。
〔ヒートシール用缶体作製〕
作製したフィルムラミネート鋼板を缶内面がポリオレフィン樹脂系フィルム、外面側がポリエステル系樹脂になるようにしてDRD製缶(2nd成形後フランジトリムせずにフランジを残した缶体)した。
〔レトルト試験用ヒートシール缶体作製〕
作製した缶体に、缶内容積の80%まで水道水を入れ、缶フランジ外径に合わせて切断した市販のヒートシール用の樹脂ラミネートアルミ箔を缶体のフランジ面を合わせて、180℃に加熱したヒートシール用冶具をヒートシール部の樹脂ラミネートアルミ箔上から10N/cmの圧力で1秒間加圧して、ヒートシールした。
〔缶体レトルト試験〕
作製した水パック缶の缶体重量を電子天秤で小数点以下3桁のグラム数まで測定した後、レトルト釜で125℃・30分間レトルト処理した。
〔缶体ヒートシール部密閉性判定方法〕
レトルト処理した缶体の重量を再度電子天秤で小数点以下3桁のグラム数まで測定し、重量が0.2質量%以上減っていた場合は、液漏れがあったと見なして不可とした。重量減少率が0.05質量%以上0.2質量%未満の場合は、液漏れがあったと断定できるほどの重量減ではないので可と判定し、重量減少率が0.05質量%未満の場合は測定誤差範囲のため、缶体のヒートシール部の密閉性は良と判定した。
前記のヒートシール缶体をレトルト処理した後の缶体の重量減少率により液漏れ有無を判定する方法(缶体ヒートシール部密閉性判定方法)に加え、ヒートシール試験片のレトルト後のT剥離強度が剥離長50mmの範囲内で安定して得られるかどうか判定することにより、ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量の上下限量を決定した。以下、上記判定に用いたヒートシール性判定方法について具体的に示す。
〔ヒートシール性判定方法〕
一般に缶体のヒートシール部の剥離強度が10N/cm以上あれば、ヒートシール部の強度は十分であると言われており、ヒートシール時の圧着時間を長くすれば、ヒートシール部の剥離強度は向上安定化することが知られているが、ヒートシール時間が長いとヒートシール蓋体の生産性が低くなるので好ましくない。そこで、ヒートシール時間1秒以下で十分なヒートシール部の剥離強度が得られるかどうかでヒートシール性を判定した。以下、その詳細について述べる。
1)ヒートシール試料作製:50mm×100mmサイズに切断した樹脂ラミネートアルミ箔と樹脂ラミネート金属板をヒートシール面で重ね合せて180℃のホットプレスで加圧力10N/cmで圧着時間を0.5秒~10秒の間で変えて、加熱圧着してヒートシール試料を作製した。
2)レトルト処理:作製したヒートシール試料を水道水中に浸漬し、125℃で30分間レトルト処理した。
3)シール強度測定:レトルト後の試料を幅10mm幅に切断し、T型剥離強度を測定してシール強度とした。(引張速度=200mm/min.、測定温度=24℃)
4)ヒートシール性判定:ヒートシール試料のヒートシール圧着時間が1秒以下でも剥離強度が10N/cm以上で20mm以上安定して得られる場合を良、圧着時間1秒以上5秒以下でヒートシール強度が安定しているものを可、ヒートシール強度が安定するのに必要なヒートシール圧着時間が5秒超の場合のヒートシール性は不可と判定した。
上記の判定方法により、ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量の上下限量の範囲を決定し、その決定に至った試験結果を図2(ポリエチレン系樹脂の添加量上限設定根拠)、図3(ポリエチレン系樹脂の添加量下限設定根拠)に示した。
図2は、横軸にヒートシール缶体を形成するラミネート鋼板のヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルム(ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層)のポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量、縦軸に缶体ヒートシール部密閉性判定結果を示した図である。尚、図2においては、缶体ラミネート板用鋼板は0.2mm厚ティンフリースチールであり、缶体ヒートシール面樹脂は、表層PP-PE樹脂/中心PP樹脂10μm/変性PP樹脂5μmであり、樹脂ラミネートアルミ箔はPP樹脂20μm/アルミ箔であり、ヒートシール条件はヒートシール温度180℃、加圧=10N/cm2、加圧時間=1秒であり、レトルト処理条件は缶内に水を入れ蓋を巻き締めた後、レトルト処理(125℃・30分)、としている。これは後述する図3~5においても同様である。また判定基準は、レトルト処理後の缶体の重量減少率が0.05質量%未満を良、レトルト処理後の缶体の重量減少率が0.05質量%以上0.2質量%未満を可として、ここまでを合格とし、レトルト処理後の缶体の重量減少率が0.2質量%以上を不可、不合格としている。これは後述する図4,5においても同様である。
図2からわかるように、ヒートシール缶体のヒートシール部の密閉性は、ヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルムのポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量が0.5質量%以上45.0質量%以下の範囲が良好である。ポリエチレン系樹脂の添加量が0.5質量%未満の場合はヒートシール時間が1秒の場合ヒートシール部の密着性が安定しないため液漏れが起こりやすくなり好ましくない。また、ポリエチレン系樹脂の添加量が45.0質量%を超えるとヒートシール面全体の軟化温度が低くなるためレトルト時の温度ではヒートシール部自体の強度が不足して缶体の内圧上昇に耐えられず、液漏れを起こしやすくなるので好ましくない。
図3は、横軸にヒートシール用缶体に用いるラミネート鋼板のヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルム(ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層)のポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量、縦軸にヒートシール性判定結果(ヒートシール試料で良好な剥離強度[10N/cm以上で20mm以上安定]が得られるヒートシール加圧時間で判定)を示した図である。尚、判定基準は、剥離長50mmの範囲で剥離強度が10N/cm以上を良、剥離長50mmの範囲で剥離強度が5N/cm以上、10N/cm未満を可として、ここまでを合格とし、剥離長50mmの範囲内で剥離強度が5N/cm未満の部分が出現を不可、不合格としている。
図3からわかるように、ヒートシール缶体のヒートシール性は、ヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルムのポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量が1.0質量%以上55.0質量%以下の範囲が良好である。ポリエチレン系樹脂の添加量が1.0質量%未満の場合は、樹脂の軟化開始温度が高いためヒートシール時間が1秒ではヒートシール部表面が溶融するのに時間がかかり1秒以下のヒートシール加圧時間では密着性が安定しないため好ましくない。また、ポリエチレン系樹脂の添加量が55.0質量%を超えるとヒートシール面全体の軟化温度が低下しレトルト処理温度でヒートシール部が再溶融して浮いてしまうためヒートシール部の剥離強度が不安定になりやすい。
以上の判定結果から、缶体ヒートシール部密閉性とヒートシール性を両立できるヒートシール缶体を形成するラミネート鋼板のヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルム(ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層)のポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の最適な添加量は、1.0質量%以上、45.0質量%以下の範囲が最も好ましい。
さらにこれら2層の間に必要に応じて中間樹脂層を1つまたは複数形成しても構わない。当該中間樹脂層は、例えばポリプロピレン系樹脂とアイオノマー(三井デュポンポリケミカル製ハイミラン)の複層樹脂や、メチルペンテンポリマー(三井化学製TPX)、アイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル製ハイミラン)などポリプロピレン系樹脂以外の単層樹脂が挙げられる。尚、樹脂フィルム層の生産の都合および各層の密着性から、より好ましくは中間層をポリプロピレン系樹脂層とし、ヒートシールする側の表層ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層とするのが好ましい。
<樹脂フィルムラミネート鋼板のヒートシール側のフィルム構成の各層の最適厚み>
次に、ヒートシール缶体を形成するラミネート鋼板のヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルムの(ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層)の各層の最適厚み範囲について示す。
図4は、横軸にヒートシール缶体を形成するラミネート鋼板のヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルム(ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層)のポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の厚み、即ち樹脂ラミネートアルミ箔と接する側の最上層の厚みと縦軸に前述の缶体ヒートシール部密閉性判定結果を示した図である。
図4からわかるように、ヒートシール後のヒートシール缶体のヒートシール部の密閉性は、ヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルムのポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の厚みが、1μm以上、15μm以下の範囲が良好である。ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の厚みが1μm未満の場合は、ヒートシール部の融着厚みが十分でなく1秒以下のヒートシール加圧時間では安定したヒートシール強度が得られないため好ましくない。また、ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の厚みが15μmを超えるとレトルト時の温度ではヒートシール部自体の強度が不足して缶体の内圧上昇に耐えられず、液漏れを起こしやすくなるので好ましくない。
図5は、横軸にヒートシール缶体を形成するラミネート鋼板のヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルム(ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層)の変性ポリプロピレン系樹脂層の厚み、即ちラミネート鋼板の母材鋼板と接着する側の層の厚みと縦軸に前述の缶体ヒートシール部密閉性判定結果を示した図である。
図5からわかるように、ヒートシール面側のポリオレフィン樹脂系フィルムの変性ポリプロピレン系樹脂(変性PP)層の厚みが1μm以上、18μm以下の範囲で良好である。
変性ポリプロピレン系樹脂層の厚みが1μm未満の場合、金属板との密着状態が不安定なため、レトルト時に缶体の内圧上昇に耐えられず、液漏れを起こしやすくなるので好ましくない。
また、変性ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂よりも軟化温度が低く、レトルト温度で樹脂が軟化して強度が低下するため、変性ポリプロピレン樹脂層の厚みが18μmを超える場合、レトルト時の缶体の内圧上昇で変性ポリプロピレン樹脂層が伸びてヒートシール部が剥離し液漏れを起こす場合があるので好ましくない。
尚、ヒートシール缶体を形成する樹脂フィルムラミネート鋼板のヒートシール面側の樹脂フィルムのトータル厚みは、特に規定はしないが、現状のヒートシール蓋および樹脂フィルムラミネート金属板から、5~80μm程度が想定されるが、これに限定されない。
<樹脂フィルムラミネート鋼板の缶外面側となるフィルムの構成>
カートリッジヒーター等の発熱体を内蔵したシールヘッド部を有するヒートシール装置で、シールヘッド部のシール板を押し付けて樹脂フィルムラミネートアルミ箔を缶体側に熱圧着してヒートシールする場合、缶体の樹脂フィルムラミネート鋼板のヒートシールする側と反対側である缶体外面側のフィルムの融点がヒートシールする側、即ち缶体内面側より低いと、ヒートシール時に缶体外面側のフィルムが溶融して、缶体外面の耐食性が悪くなる恐れがある。
一方、ヒートシール部の樹脂の溶け込み層厚みを確保する目的で、ヒートシールの温度はヒートシール用樹脂であるポリプロピレン系樹脂の融点よりも20~30℃高めに設定するのが好ましいが、前述のヒートシール装置のシール板でヒートシール蓋を缶体にヒートシールする場合に比べて、電磁誘導加熱(IH)式のシーリング機械で缶体に樹脂ラミネートアルミ箔蓋をヒートシールする場合は、ヒートシール部の金属の発熱によってヒートシールするため、ヒートシール温度にバラつきが出やすい。このため、温度にバラつきによるヒートシール部の融解ムラを少なくし、シール強度を安定させるためには、前述のヒートシール装置のシール板でヒートシールする場合に比べて、高めの温度でヒートシールするのがするので好ましい。このため缶体ヒートシール部の温度が部分的に高めになる場合があり、缶体の樹脂フィルムラミネート鋼板の、ヒートシールする側と反対側、即ち缶体外面側のフィルムも高温にさらされ、当該フィルムの溶融欠陥が生じやすい。
このため、缶体のラミネート鋼板のヒートシールとする側の反対側、即ち缶体外面側のフィルムの融点を、ヒートシールする側、即ち缶体内面側のポリプロピレン系樹脂よりも融点が40℃以上高い樹脂フィルムとすることで、缶体外面側のフィルム溶融欠陥を回避でき、好ましい。
このようなポリプロピレン系樹脂よりも融点が40℃以上高い樹脂フィルムとしては、上記の融点の条件以外にも加工性、密着性、耐食性にも優れることからポリエステル系樹脂フィルムが特に好ましい。
以下、缶外面側のポリエステル系樹脂フィルムについてさらに詳細に述べる。
ヒートシール缶体を構成する樹脂フィルムラミネート鋼板のヒートシールする側の反対側である缶外面側のポリエステル系樹脂フィルムは、延伸フィルムでも無延伸フィルムでも良く、特に限定されない。しかしながら、延伸フィルムの方が、無延伸フィルムに比べて、耐食性、強度に優れ、かつ、無延伸フィルムに比べて低コストであるので、より好ましい。
缶外面側のポリエステル系樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、エチレンテレフタレート単位を主体とし、エチレンテレフタレート単位以外に共重合成分としてエチレンイソフタレート単位、または、ブチレンテレフタレート単位を含む共重合ポリエステルであってもよく、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体、または、ポリエチレンテレフタレート・ブチレンテレフタレート共重合体との混合物であっても構わない。
エチレンテレフタレート単位とエチレンイソフタレート単位との比率については、エチレンイソフタレート単位がポリエステル系フィルム全体の12mol%以下であることが好ましい。ポリエステル系フィルム中のポリエチレンイソフタレート単位の比率が12mol%を越える場合、配向結晶層の結晶化度が低くなるので、フィルムの透湿性が増し耐食性が低下する場合がある。
缶外面側のポリエステル系樹脂フィルムは、単層であっても、2層あるいは3層の複層構造であっても良く、複層構造の場合は、各層の樹脂種が異なる構成であっても構わない。
尚、缶外面側のポリエステル系樹脂フィルムの厚みは、8μm以上、30μm以下が好ましい。缶内面側のポリエステル系樹脂フィルムの厚みが8μm未満の場合、疵が付いた場合に耐食性が不十分である。一方、缶外面側のポリエステル系樹脂フィルムの厚みが30μmを超える場合、金属板との融着非晶層に比べて、配向層厚が相対的に厚くなるので、成形及びレトルト処理後の収縮力が強くなり、フィルムが剥離する場合がある。
そのほか、缶外面側のポリエステル系樹脂フィルムには、フィルム巻き取り時のブロッキングを防止する目的で添加されるシリカなどの無機粒子が混入分散させてあっても本発明の効果を損なうものではない。
<樹脂フィルムラミネート鋼板の製造方法>
本実施形態に係るヒートシール缶体となる樹脂フィルムラミネート鋼板は、例えば、加熱ロールで加熱された公知の鋼板の上に樹脂フィルムをフィルムラミネートロールによって圧着して樹脂フィルムを熱融着させ、ついで冷却槽で樹脂フィルムラミネート鋼板を所定の温度まで冷却することによって、幅、長さ方向均一な樹脂フィルム層構造を作り込め、かつ、金属板と樹脂フィルムの間に巻き込まれる気泡を少なくできる。
上記樹脂フィルムラミネート装置の金属板を加熱する方法としては、複数のスチーム等の熱媒体をロール内部に通して加熱するジャケットロール、あるいは、ヒーターを内蔵した加熱ロールに金属板を通板させて加熱させる方法などがあげられる。
本実施形態に係るヒートシール缶体となる樹脂フィルムラミネート鋼板のフィルムラミネート時の金属板の加熱温度についてであるが、ヒートシールする側と反対側の樹脂フィルムは、ヒートシール側のポリプロピレン系樹脂フィルムに対して、融点が40℃以上高い樹脂フィルムであることから、金属板の加熱温度は少なくともヒートシールする側と反対側の樹脂フィルムの融点以上にする必要がある。ヒートシール側と反対側、即ち缶体外面側のフィルムが延伸ポリエステルフィルムの場合は、特に、フィルムの融点の5℃以上40℃以下とするのが、融着層と残存配向層のバランスが良く、フィルムの密着性と加工性が良好なので好ましい。
フィルムラミネートロールとしては、フィルムラミネート部で適度なニップ長を確保できるのでゴムロールが好ましい。ゴムロールの材質としては、フッ素ゴム、シリコンゴムなど耐熱性の高いゴムが特に好ましい。
前述のとおり、ヒートシール容器用缶体を構成するフィルムラミネート鋼板のヒートシールする側の樹脂フィルムは、ポリプロピレン系樹脂フィルムが好ましく、ヒートシールする側と反対側の樹脂フィルムは、ヒートシール側のポリプロピレン系樹脂フィルムよりも融点が40℃以上高い樹脂フィルムが好ましく、特にポリエステル系樹脂フィルムが好ましい。
しかしながら、ラミネート鋼板の内外面でフィルムの融点が40℃以上違うことから、フィルムをラミネートする際の鋼板の加熱温度を融点の高いポリエステル系樹脂フィルムに合わせると、反対側のポリプロピレン系樹脂フィルムの表面まで溶融してフィルムラミネート時にポリプロピレン系樹脂フィルムがラミネートロールに融着する恐れがある。
缶体のヒートシール側のフィルム面は缶体内面側になるので、フィルムに欠陥が生じると缶体内面側の耐食性が悪くなるので、好ましくない。
フィルムラミネート時のポリプロピレン系樹脂フィルムのラミネートロールへの融着を防止方法としては、ポリプロピレン系樹脂フィルム側のラミネートロールの表面温度をポリプロピレン系フィルムの表層が溶融しない温度まで低くするのが望ましい。
フィルムラミネート時のラミネートロールは、加熱された金属板からの熱を受けて、表面温度が高くなるので、ラミネートロールの表面温度を下げる必要がある。ラミネートロールの表面温度を制御する方法としては、ラミネートロールのコア内に冷媒を通してラミネートロール自体を冷却する方法があるが、ラミネートロールのコア部分を冷却する方法だけでは、冷却能力が足りず、連続でフィルムをラミネートするとラミネートロールの表面温度がポリプロピレン系樹脂フィルムの融点を超えてしまい、ポリプロピレン系樹脂フィルムがラミネートロールに融着しやすくなるので、好ましくない。ポリプロピレン系樹脂フィルム側のラミネートロールの表面温度を迅速に冷却し、かつ、ポリプロピレン系樹脂フィルムの表層が溶融しない温度を保持するために、ポリプロピレン系フィルムのラミネートロール側は、ラミネートロールのコア部分を冷却すると同時に、フィルムと金属板の接触部を除くラミネートロールの周囲に、金属製の冷却ロール(冷媒を通して冷却)を配置してラミネートロールに押し付けて同期回転させる方法が、ロール表面温度を低く保持できるので好ましい。
上記方法でフィルムを鋼板に熱融着させた後は、ただちに水冷、気水冷却、または冷風等の方法で、樹脂フィルムラミネート鋼板を缶内面側のポリエステル系樹脂フィルムの結晶化温度より低い温度まで冷却することが好ましい。
<樹脂ラミネート缶体の製造方法>
ヒートシール缶体は、通常の2ピース缶胴を作製する方法、すなわち、ドロー(DR)成形、ドローリドロー(DRD)成形、ダイアイアニング(DI)成形などの方法で作製すればよく、樹脂フィルムラミネート鋼板の缶外面側がポリエステル系樹脂フィルム、内面側が前記3層のポリオレフィン系樹脂フィルムになるようにしてヒートシール缶体を成形する。
成形の際の潤滑油を省略することを目的として、樹脂フィルムラミネート鋼板の内外面の表面にパラフィン系ワックスなどの固形潤滑剤を薄く塗工してあっても良い。
また、連続でDI成形する場は、缶壁部がしごき加工されることによって発熱し、缶内外面のフィルム表面が軟化して削れる場合があるので、必要に応じて水、クーラントなどを成形時にしごき加工部に直接噴射して冷却しながら製缶するのが好ましい。水やクーラントなどを噴射させずに成形する場合は、上記のワックスを表面に塗布したラミネート鋼板を用いてDI成形するのが好ましく、さらに、成形時の発熱による缶壁部のフィルム削れを抑制することを目的として、成形機のしごきダイス周辺を冷却しても良い。
ヒートシール缶体は、缶口端部にヒートシール蓋をヒートシールするための面を形成させる必要があるが、缶体成形時に缶口端部にフランジ部を残すことでヒートシール面を形成させれば良い。ヒートシール面の形状としてはヒートシール蓋をヒートシールする際のヒートシールの均一性を確保しやすいことから、平面とするのが特に好ましい。
<樹脂ラミネート缶体とヒートシール蓋の接合方法>
上記の種々方法で作製される樹脂ラミネート缶体にヒートシール蓋をヒートシールする方法については、既存のアルミ箔ヒートシール装置で内容物充填後の樹脂ラミネート缶体に樹脂フィルムラミネート鋼板をヒートシールすればよい。
すなわち、ヒートシール方法としては、内容物を入れた缶体の開口部のフランジ面などのヒートシール面に樹脂フィルムラミネートアルミ箔のヒートシール樹脂面側が接するようにセットした後、前述のカートリッジヒーター等の発熱体を内蔵したシールヘッド部を有する熱圧着式のヒートシール装置で、樹脂フィルムラミネートアルミ箔の上からヒートシール装置のシールヘッド部のシール板を押し付けることにより熱圧着させる方式が、ヒートシール部の温度が安定し、シール部の強度が安定するので好ましい。この時、ヒートシール部の樹脂の溶け込み層厚みを確保する目的で、ヒートシール装置のシールヘッド部のシール板の温度をヒートシール用樹脂であるポリプロピレン系樹脂の融点よりも20~30℃高めに設定するのが良い。
電磁誘導加熱(IH)式のシーリング機械でも樹脂ラミネートアルミ箔蓋をヒートシールすることは可能であるが、ラミネート鋼板製の缶体側の発熱が大きいので、缶体側の温度が高くなり過ぎて、缶体外面側のフィルムが溶融しないようなヒートシール条件を予め探索し適性なIH条件を見極めておく必要がある。
図6に本発明の一実施形態に係るヒートシール缶体の断面模式図を示す。
ヒートシール缶体と樹脂ラミネートアルミ箔のヒートシール条件は、樹脂ラミネートアルミ箔のヒートシール樹脂の融点以上であるのが好ましく、ツール温度160℃から220℃で0.5秒から1分程度加圧してヒートシールすれば良い。ツール温度が160℃未満の場合、ヒートシール部の融着程度が不均一になりやすいので好ましくない。また、ツール温度が220℃を超えるとヒートシール缶体の外面側のフィルム面が軟化して欠陥になる場合があるので好ましくない。
このように本実施形態に係るヒートシール缶体は、内容物の取り出し性、開缶性に優れ、かつ、短時間でヒートシール可能なので、製缶性に優れる。また、缶体のラミネート鋼板の製造時にフィルムがラミネートロールに融着することがないので製造性および表面品位に優れており、極めて有用である。
本発明のヒートシール缶体について、実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、実施例における条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能である。よって、本発明は、種々の条件を採用し得、それらは何れも本発明の技術的特徴に含まれる。
実施例、比較例を通じ、ヒートシール缶体を構成する樹脂フィルムラミネート鋼板の構成材料である金属板の内容を表1、ヒートシール面側の樹脂フィルムの内容を表2に示し、ヒートシール面と反対面の缶内面側となるポリエステル系樹脂フィルムの内容を表3に示した。
表5には樹脂フィルムラミネート金属板の構成と製造条件、および、樹脂フィルムラミネート金属板製造時にヒートシール面がラミネートロールに融着したかどうか目視判定した結果、ヒートシール試験体製造時のホットプレス条件(温度、加圧力、加圧時間)、および、ヒートシール試験体のヒートシール部の剥離強度、および、枠に加工した樹脂フィルムラミネート金属板に前述の樹脂ラミネートアルミ箔をヒートシールして作製したヒートシール缶を用いて、パック試験用の缶体を作製し、水パックレトルト試験した際のシール部の密閉性を評価した結果を示した。なお、表5は3枚に分割したが、内容は連続するものである。
Figure 0007040222000001
Figure 0007040222000002
Figure 0007040222000003
Figure 0007040222000004
Figure 0007040222000005
Figure 0007040222000006
Figure 0007040222000007
具体的には以下の通りである。
ヒートシール缶体を構成する樹脂フィルムラミネート金属板の構成材料について、以下に示す。
1.金属板
表1に示すM1~M5の金属板を用いた。金属板がめっき鋼板、または化成処理鋼板である場合、その内容も以下に示した。
M1~M5は、厚さ0.20mm、表面粗度Ra=0.3μmの金属板を5%水酸化ナトリウム水溶液中で陰極電解処理してアルカリ脱脂した金属板である。M1は、鋼板表面に金属クロム層(80mg/m)、クロム水和酸化物層(10mg/m)があるティンフリー鋼板である。M2は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn-Fe合金層(1.3g/m)、純Sn層(1.5g/m)、クロム水和酸化物層(10mg/m)がある、所謂ブリキ鋼板である。
M3は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn-Fe合金層(1.3g/m)、Sn層(1.5g/m)、ZrO(Zr量5mg/m)を主体とするクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリーSnめっき鋼板である。M4は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn-Fe合金層(1.3g/m)、Sn層(1.5g/m)、TiO(Ti量5mg/m)を主体とするクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリーSnめっき鋼板である。M5は、アルミニウム合金板(A5052)上にZrO(Zr量5mg/m)の皮膜層を形成させたクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリータイプのアルミニウム板である。
2.樹脂フィルム
ヒートシール缶体を構成する樹脂フィルムラミネート金属板の樹脂ラミネートアルミ箔とヒートシールする側の樹脂フィルムとして表2に示すP1~P25のポリオレフィン系樹脂の熱可塑性フィルムを用い、ヒートシールする側と反対側のフィルムとして表3に示すE1~E4の熱可塑性のポリエステル系樹脂フィルムを用いた。
ヒートシール缶体を形成する樹脂フィルムラミネート金属板のヒートシール面側のポリオレフィン系樹脂フィルムP1~P25は、ヒートシールする側の表層から順にポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層/ポリプロピレン系樹脂層/変性ポリプロピレン系樹脂層であり、表層の厚みと変性ポリプロピレン系樹脂層の厚み、および、ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量変化させた樹脂フィルムである。
ポリエステル系樹脂フィルムとしては、表3のE1に示すような融点252℃のポリエチレンテレフタレート(PET)の2軸延伸フィルム、E2に示すような融点227℃のポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体(イソフタレートが12mol%)の2軸延伸フィルム(IA-PET)、E3に示すような融点213℃の無延伸ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート共重合体(PET-PBT)の2軸延伸フィルム、E4に示すような融点200℃の無延伸PET系フィルムを用いた。
樹脂フィルムの融点は、樹脂フィルム成膜機のTダイスから各層の樹脂を溶融押し出しして各層の樹脂を採取し、示差走査型熱量計で熱分析した際のメインの吸熱ピークの温度とした。融点測定に用いたDSC装置は株式会社日立ハイテクサイエンス社製DSC7030であり、測定は樹脂5~8mgをアルミパンに封入し、昇温速度10℃/min.で昇温して測定した。
3.フィルムラミネート方法
ヒートシール缶体を形成する樹脂フィルムラミネート金属板のフィルムのラミネート方法は、金属板給装装置、金属板加熱用の金属製加熱用ホットプレスと、表裏面のフィルム給装装置、耐熱ゴム製ラミネートロール(金属製加熱バックアップロールによりゴムロール表面温度を制御)、および、冷却用水槽を備えた専用の樹脂フィルムラミネート装置によった。この装置により、試験用樹脂フィルムラミネート金属板(板幅200mm、板長さ200mm)を作製した。
表5に上記製造方法で作製した樹脂フィルムラミネート金属板の構成およびラミネート温度および樹脂フィルムラミネート金属板製造時にヒートシールする側の樹脂フィルムがラミネートロールに融着したかどうか目視判定した結果を示した。
4.ヒートシール強度評価方法
樹脂ラミネートアルミ箔とヒートシール缶体を形成する樹脂フィルムラミネート鋼板のヒートシール部の密着性を評価する方法は以下の通りである。
試験に用いたヒートシール蓋用の樹脂ラミネートアルミ箔を表4に示す。
表4に示した樹脂ラミネートアルミ箔と前記方法で作製した樹脂フィルムラミネート金属板をそれぞれ50mm×100mmサイズに切断し、それぞれのヒートシール面どうしを合わせてホットプレスで加熱圧着してヒートシール試験片を作製した。ヒートシール試験に用いた樹脂フィルムラミネート金属板の組合せ、および、樹脂ラミネートアルミ箔のホットプレスの加熱圧着条件を表5に示した。
ヒートシール部の剥離強度の測定方法を以下に述べる。
ホットプレスでヒートシールした試験体をシャー切断して幅10mm、長さ120mmのサイズとし、樹脂ラミネート箔側を試験片の端から50mm長さ分剥離して掴み部とし、引張試験機のチャック部に試験片の掴み部を固定して引張試験し試験体のヒートシール部の剥離強度を測定した。引張試験は、室温(25℃)で引張速度200mm/分の条件で行った。
ヒートシール部の剥離強度の評価は、以下の基準によって判定し、他の評価結果とともに表5に示した。
優: 15(N/10mm) ≦ 剥離強度
良: 10(N/10mm)≦ 剥離強度 < 15(N/10mm)
可: 5(N/10mm)≦剥離強度< 10(N/10mm)
不可: 剥離強度 < 5(N/10mm)
5.ヒートシール性評価方法
ヒートシール性の判定は、ヒートシール時間1秒以下で十分なヒートシール部の剥離強度が得られるかどうかで判定した。以下にヒートシール性評価方法を示し、その評価結果を他の評価結果とともに表5に示した。
1)ヒートシール試料作製:50mm×100mmサイズに切断した樹脂ラミネートアルミ箔と樹脂ラミネート金属板をヒートシール面で重ね合せて180℃のホットプレスで加圧力10N/cmで圧着時間を0.5秒~1秒の間で変えて、加熱圧着してヒートシール試料を作製した。
2)レトルト処理:作製したヒートシール試料を水道水中に浸漬し、125℃で30分間レトルト処理した。
3)シール強度測定:レトルト後の試料を幅10mm幅に切断し、T型剥離強度を測定してシール強度とした。(引張速度200mm/分、測定温度25℃)
4)ヒートシール性判定:剥離長50mmの範囲で剥離強度が10N/cm以上安定して得られる場合を良、剥離長50mmの範囲で剥離強度が5N/cm以上、10N/cm未満の場合を可、剥離長50mmの範囲内で剥離強度が5N/cm未満の部分が出現する場合を不可と判定した。
6.ヒートシール部密閉性判定
ヒートシール缶体のヒートシール部の密閉性の判定は、以下の方法で行い、その評価結果を他の評価結果とともに表5に示した。
1)ヒートシール缶体作製:樹脂フィルムラミネート鋼板を缶外面がポリエステル系樹脂、内面側がポリオレフィン系樹脂になるようにしてDRD缶(直径81mm×高さ55mm、フランジ部外径89mm)を成形し、缶内に缶内容積の80%まで水道水入れてから、市販のヒートシール用の樹脂ラミネートアルミ箔と作製したヒートシール缶体のフランジ部を合わせて、180℃に加熱したヒートシール用冶具を樹脂ラミネートアルミ箔側から10N/cmの圧力で1秒間加圧して、ヒートシール蓋体を作製した。
2)缶体レトルト試験:ヒートシール缶体の重量を電子天秤で小数点以下3桁のグラム数まで測定し、レトルト釜で125℃・30分間レトルト処理した。
3)缶体ヒートシール部密閉性判定:レトルト処理した缶体の重量を再度電子天秤で小数点以下3桁のグラム数まで測定し、重量が0.2質量%以上減っていた場合は、液漏れがあったと見なして不可とした。重量減少率が0.05質量%以上0.2質量%未満の場合は、液漏れがあったと断定できるほどの重量減ではないので可と判定し、重量減少率が0.05質量%未満の場合は測定誤差範囲のため、缶体のヒートシール部の密閉性は良と判定した。
実施例および比較例から明らかなように、本発明のヒートシール缶体は、優れたヒートシール強度、ヒートシール性、ヒートシール部密閉性を備えており、かつ、内容物の取り出し性、開缶性に優れており、また、缶体のラミネート鋼板の製造時にフィルムがラミネートロールに融着することがないので製造性および表面品位に優れており、極めて有用である。
本発明のヒートシール缶は、優れた生産性と安定したヒートシール部の密閉性を有しているので、食品容器として極めて有用である。

Claims (5)

  1. 樹脂フィルムラミネート鋼板からなる缶体において、缶体上部の開口端が樹脂ラミネートアルミ箔製の蓋材と直接ヒートシールできる平面を有しており、かつ、缶内面側のフィルムが開口端まで連続して鋼板表面を覆う構造であるヒートシール容器用の缶体であり、缶体のヒートシール面のフィルムが蓋用樹脂ラミネートアルミ箔と接する側から順にポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層、変性ポリプロピレン系樹脂層で構成されており、缶体のヒートシール部のヒートシール側と反対面のフィルムがヒートシール側のポリプロピレン系樹脂よりも融点が40℃以上高く、かつ、ヒートシール用のツールの加熱温度より高融点である、エチレンテレフタレート単位を主体とし、エチレンテレフタレート単位以外に共重合成分としてエチレンイソフタレート単位またはブチレンテレフタレート単位を含む共重合ポリエステル樹脂、または、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体、またはポリエチレンテレフタレート・ブチレンテレフタレート共重合体との混合物、からなる熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とするヒートシール容器用缶体。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層に添加するポリエチレン系樹脂の添加量の範囲が1.0質量%以上45.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール容器用缶体。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層の厚みが1μm以上、15μm以下であることを特徴とする請求項1記載または請求項2に記載のヒートシール容器用缶体。
  4. 前記変性ポリプロピレン系樹脂層の厚みが1μm以上、18μm以下であることを特徴とする請求項1記載ないし請求項3記載のいずれか1項に記載のヒートシール容器用缶体。
  5. 請求項1ないし請求項4項のいずれかのヒートシール容器用缶体を用い、樹脂ラミネートアルミ箔製の蓋材が缶体の内面側が缶体内面側から順にポリプロピレン樹脂層またはポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂のブレンド樹脂あるいは共重合樹脂層、変性ポリプロピレン樹脂層、アルミ箔から成る構造であることを特徴とするヒートシール容器。
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