JP7040116B2 - 水質評価装置及び水質評価方法 - Google Patents
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Description
<第一実施形態>
図1(a)は、本発明の第一実施形態に係る水質評価装置10が備える処理手段としての周壁部形成手段によって被測定基板Wの表面に形成された周壁部w1により区画される閉じた領域に、被評価水Eを滴下した状態を示す模式的断面図である。第一実施形態に係る水質評価装置10は、図2(a)に示すように、周壁部形成手段(不図示)、支持手段1、滴下手段3、分析手段4を主に備える。周壁部形成手段は、被測定基板Wの表面に閉じた領域を区画する周壁部w1を形成するものである。支持手段1は、被測定基板Wをその表面を上向きにして水平に支持するものである。滴下手段3は、被測定基板Wの表面に形成された周壁部w1により区画される閉じた領域に被評価水Eを滴下するものである。分析手段4は、被評価水Eを滴下した被測定基板Wを乾燥させた後その表面に形成されるウォーターマークMを分析するものである。なお、本実施形態において、支持手段1、滴下手段3は、被評価水Eの評価環境がチャンバ内となるように、チャンバ5と一体的に設けられており、周壁部形成手段及び分析手段4はチャンバ5の外部に設けられている。
周壁部形成手段は、被測定基板Wの表面に閉じた領域を区画する周壁部w1を形成するものであって、本実施形態においては、チャンバ5の外部に設けられている。周壁部形成手段による被測定基板Wの表面への周壁部w1の形成は、必要に応じて、手動又は自動装置によって行うことができる。周壁部形成手段により被測定基板Wの表面に形成される周壁部w1の材質としては、特に制限はないが、被評価水Eを一か所に留めるためのものであることから、その表面は撥水性が高く、被測定基板Wとの密着性がよく、かつ溶出等が生じないものが好ましく、例えばテフロン(登録商標)テープ等が挙げられる。また、周壁部w1の高さは、被測定基板Wの厚さに対して50%程度であることが好ましい。
支持手段1は、被測定基板Wをその表面を上向きにして水平に支持するものであって、本実施形態においては、チャンバ5の内底面に対して水平に設置された支持台11により構成されている。なお、支持手段1としては、被測定基板Wをその表面を上向きにして水平に支持できるものであれば特に制限はない。支持手段1を備えることにより、被測定基板Wがその表面を上向きにして水平に支持されるので、滴下した被評価水Eがこぼれ落ちることなく安定的に保持される。
滴下手段3は、被測定基板Wの表面に形成された周壁部w1により区画される閉じた領域に被評価水Eを滴下するものであって、本実施形態においては、チャンバ5の外側面に設けられる制御機構31と制御機構31からチャンバ5内部へ延出するノズル32とを有する構成である。被評価水Eは、ノズル32を通じて被測定基板Wの表面に形成された周壁部w1により区画される閉じた領域に滴下される。滴下する被評価水Eの量は、予め測定した被測定基板Wのサイズに応じて制御機構31により制御される。滴下手段3は、ノズル32の先端の位置を調整可能な調整機構をさらに有していてもよい。なお、滴下手段3としては、被測定基板Wの表面に被評価水Eを滴下できるものであれば特に制限はなく、例えば、被評価水Eを充填させたピペット等を用いて手作業により行うものであってもよい。滴下手段3を備えることにより、被測定基板Wの表面に形成された周壁部w1により区画される閉じた領域に、適切にかつ適量の被評価水Eを滴下することができる。
分析手段4は、被評価水Eを滴下した被測定基板Wを自然乾燥させた後その表面に形成されるウォーターマークMを分析するものであって、本実施形態においてはチャンバ5の外部に設けられているが、チャンバ5の内部に設けられていてもよい。また、例えば、分析手段4は、図示せぬネットワーク上に配置されており、このネットワークを介してチャンバ5内の乾燥後の被測定基板Wの表面に形成されるウォーターマークMを分析するように構成されていてもよい。分析手段4としては、乾燥後の被測定基板Wの表面に形成されるウォーターマークMを分析することにより、被評価水E中に存在する不純物を評価できるものであれば特に制限はなく、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)やエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を好適に用いることができる。分析手段4を備えることにより、被評価水E中に存在する不純物すべて、つまり被測定基板Wの表面に付着した不純物と、被測定基板Wの表面に付着しないがその表面に形成された微細構造に留まった極微量の不純物とのすべてを評価することができる。
チャンバ5は、外気から微粒子等の不純物が混入するのを防止するものであって、少なくとも作業空間を画成する枠体51を有する。枠体51の内底面には支持台11が設けられている。枠体51の一方の外側面上部には、制御機構31が設けられており、制御機構31からチャンバ5内部へノズル32が延出している。チャンバ5としては、外気から微粒子等の不純物が混入するのを防止できるものであれば特に制限はないが、圧力の設定や不活性ガスの導入が可能なグローブボックスを好適に用いることができる。なお、チャンバ5内は、予め不活性ガス雰囲気で満たされていてもよい。不活性ガス雰囲気で満たされたチャンバ5内で被評価水Eの水質評価を行うことにより、大気中に含まれる酸素が被評価水Eに溶け込むのを防止できるので、評価誤差を減少させることが可能となる。
次に、本発明の第二実施形態に係る水質評価装置について説明する。なお、第二実施形態は、上述の第一実施形態と処理手段が異なるだけであるため、以下では第一実施形態との相違点のみ説明し、その他の説明は省略する。
溝部形成手段は、被測定基板Wの表面に閉じた領域を区画する溝部w2を形成するものであって、本実施形態においては、チャンバ5の外部に設けられている。溝部形成手段による被測定基板Wの表面への溝部w2の形成は、必要に応じて、手動又は自動装置によって行うことができる。また、溝部w2の深さは、被測定基板Wの厚さに対して50%未満であることが好ましい。
次に、本発明の第三実施形態に係る水質評価装置10’について説明する。なお、第三実施形態は、上述の第一実施形態及び第二実施形態と支持手段及び処理手段が異なるだけであるため、以下では第一実施形態及び第二実施形態との相違点のみ説明し、その他の説明は省略する。また、図2(b)において図2(a)と同一の構成要素については、同一の符号を用いている。
支持手段1’は、被測定基板Wをその表面を上向きにして水平に支持するものであって、本実施形態においては、チャンバ5の内底面に対して水平に設置された支持台11’と、支持台11’の表面に対して水平に固定された後述する吸引手段2としてのサクションリフタ21とを有する構成である。なお、支持手段1’としては、被測定基板Wをその表面を上向きにして水平に支持できるものであれば特に制限はなく、例えば、支持台11’を有せず吸引手段2自体が支持手段1’としても機能するもの等であってもよい。支持手段1’を備えることにより、被測定基板Wがその表面を上向きにして水平に支持されるので、滴下した被評価水がこぼれ落ちることなく安定的に保持される。
吸引手段2は、水平に支持した被測定基板Wをその裏面から吸引することにより凹状に湾曲させるものである。本実施形態においては、吸引手段2として吸盤状のサクションリフタ21を用いている。サクションリフタとは、ガラス板や金属板等の移動や運搬がしにくい対象物に吸着させて使用する調整自在な吸引作用を有する機器であって、対象物の裏面に着脱自在に取り付けられるゴム製の吸盤部材を有し、この吸盤部材が吸引状態と非吸引状態とに切替可能であるように構成されている。なお、吸引手段2としては、水平に支持した被測定基板Wをその裏面から吸引できるものであれば特に制限はなく、例えば、被測定基板Wをその裏面で保持するためのすり鉢状の保持部材とこの保持部材の底部から吸引するためのポンプとにより構成されるもの等であってもよい。被測定基板Wの湾曲度合の制御は、目視により行ってもよいし、例えば、吸引手段2に被測定基板Wの湾曲度合を制御可能な制御機構を設けることにより行ってもよい。このとき、吸引手段2の吸引が強すぎると、被測定基板Wが割れてしまうおそれがあるので、目視の場合には特に徐々に吸引を行うのが好ましい。
次に、上述した第一実施形態から第三実施形態の水質評価装置を用いた水質評価方法について図3及び図4を参照しつつ詳説する。なお、図3及び図4において図2と同一の構成要素については、適宜符号を省略する。
第一実施形態の水質評価装置10を用いた水質評価方法は、図3に示すように、処理工程(STP1)、支持工程(STP2)、滴下工程(STP3)、乾燥工程(STP4)、分析工程(STP5)を主に備える。
第一実施形態では、処理工程において、チャンバ5の外部に設けられた処理手段としての周壁部形成手段(不図示)によって、被測定基板Wの表面に閉じた領域を区画する周壁部w1が形成される(STP1)。
支持工程においては、チャンバ5内の支持手段1としての支持台11に対して、被測定基板Wをその表面を上向きにして水平に支持する(STP2)。
滴下工程においては、被測定基板Wの表面に形成された周壁部w1により区画される閉じた領域に、ノズル32を通じて被評価水Eを滴下する(STP3)。滴下する被評価水Eの量は、予め測定した被測定基板Wのサイズに応じて、制御機構31により制御される。滴下工程は、被測定基板Wの表面に形成された周壁部w1により区画される閉じた領域に所定の被評価水Eが滴下された時点を終了点とすればよい。
乾燥工程においては、自然乾燥により、被評価水Eを滴下した被測定基板Wを乾燥させる(STP4)。乾燥工程は、被測定基板Wの表面にウォーターマークMが形成された時点を終了点とすればよい。
分析工程においては、チャンバ5の外部に設けられた分析手段4により、被測定基板Wの表面に形成されたウォーターマークMを分析する(STP5)。より具体的には、被測定基板Wの表面に形成されたウォーターマークMを分析することにより、被評価水E中に存在する不純物を評価する。分析工程によって、被評価水E中に存在する不純物すべて、つまり被測定基板Wの表面に付着した不純物と、被測定基板Wの表面に付着しないがその表面に形成された微細構造に留まった極微量の不純物とのすべてを評価することができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る水質評価装置を用いた水質評価方法について説明する。なお、第二実施形態は、上述の第一実施形態と処理工程の内容が異なるだけであるため、以下では第一実施形態との相違点のみ説明し、その他の説明は省略する。
第二実施形態では、処理工程において、チャンバ5の外部に設けられた処理手段としての溝部形成手段(不図示)によって、被測定基板Wの表面に閉じた領域を区画する溝部w2が形成される(STP1)。
次に、本発明の第三実施形態に係る水質評価装置10’を用いた水質評価方法について説明する。なお、第三実施形態は、上述の第一実施形態及び第二実施形態と支持工程と処理工程の順序及び内容が異なるだけであるため、以下では第一実施形態との相違点のみ説明し、その他の説明は省略する。
支持工程においては、チャンバ5内の支持台11’に載置されたサクションリフタ21の吸盤部材に対して、被測定基板Wをその表面を上向きにして水平に支持する(STP1’)。このとき、サクションリフタ21の吸盤部材は非吸着状態にある。
第三実施形態では、処理工程において、処理手段としての吸引手段2として用いられるサクションリフタ21を吸引状態に切り替えて、被測定基板Wをその裏面から吸引することによって、被測定基板Wを所定の湾曲度合いで凹状に湾曲させる(STP2’)。被測定基板Wの湾曲度合の制御は、目視により行ってもよいし、例えば、吸引手段2に被測定基板Wの湾曲度合を制御可能な制御機構を設けることにより行ってもよい。なお、処理工程、つまりサクションリフタ21による被測定基板Wの吸引は、評価試験の終了点まで継続させることが好ましい。
(1)確認した微粒子数
特許文献1及び特許文献2に開示の方法(以下、比較例1という。)では、測定基板に60mm3の超純水を通水させた後、残存する0.2μm以上の微粒子数を、パーティクルカウンタで測定している。一方、実施例1では、測定基板上に10μLの超純水を滴下させ、乾燥させた後、測定基板表面に形成されたウォーターマークを分析することにより、残存する10nm以上の微粒子数を走査型電子顕微鏡(SEM)で確認した。また、その微粒子をエネルギー分散型X線分析(EDX)で測定することで、炭素系の微粒子やシリカ系の微粒子、金属系の微粒子が混在していることが分かった。
(2)評価可能な超純水のボリューム
特許文献3に開示の方法(以下、比較例2という。)では、測定基板(サファイア基板)上に、1mLの超純水を滴下している。一方、実施例1では、測定基板の表面に閉じた領域を区画する周壁部を形成しているため、平板状の測定基板を用いた場合に比べて、大容量の超純水を留めることが可能であり、6インチの測定基板においては、最大で30mLまで超純水を滴下することができた。
(3)分析範囲
特許文献3(比較例2)には、三次元画像解析を行った範囲について明記がされていないが、滴下した超純水が1mLなので、最低でも1cm2程度は測定する必要があると考えられる。一方、実施例1では、周壁部を形成する位置を調整することにより、閉じた領域のサイズ、つまり被評価水を留める範囲を任意に設定することができるので、超純水のボリュームに応じた測定が可能である。
以下の試験手順により、洗浄・乾燥後の被測定基板の表面状態の観察を行った。
(1)前処理として、Siウエハを0.5wt%のDHFで2分間洗浄後、超純水で2分間洗浄した。
(2)前処理を施したSiウエハの表面に、テフロン(登録商標)テープを用いて周壁部を形成し、評価対象の超純水を滴下するための閉じた領域を作製した。
(3)水質評価装置10の支持台に、Siウエハをその表面を上向きにして水平に支持した後、Siウエハの表面に形成された周壁部により区画される閉じた領域に、被評価水としての超純水を1mL-20mL滴下して、10分-180分静置した。
(4)自然乾燥によって、超純水を滴下したSiウエハを乾燥させた。
(5)FTIR-ATR装置を用いて、乾燥後のSiウエハの最表面のスペクトルを測定した。
1,1’ 支持手段
11,11’ 支持台
2 吸引手段
21 サクションリフタ
3 滴下手段
31 制御機構
32 ノズル
4 分析手段
5 チャンバ
51 枠体
W 被測定基板
w1 周壁部
w2 溝部
E 被評価水
M ウォーターマーク
Claims (8)
- 被測定基板の表面に閉じた領域を区画する周壁部を形成する周壁部形成手段と、
前記被測定基板をその表面を上向きにして水平に支持する支持手段と、
前記被測定基板の前記周壁部により区画される閉じた領域に被評価水を滴下する滴下手段と、
前記被評価水を滴下した前記被測定基板を乾燥させた後その表面に形成されるウォーターマークを分析する分析手段と
を備える水質評価装置。 - 前記乾燥後の被測定基板の表面状態を観察する観察手段をさらに備える請求項1に記載の水質評価装置。
- 前記滴下手段は、前記被測定基板の前記周壁部により区画される閉じた領域に前記被評価水を滴下するノズルを有し、
前記支持手段及び前記ノズルは、チャンバの内部に設けられている請求項1又は請求項2に記載の水質評価装置。 - 前記チャンバ内が不活性ガス雰囲気で満たされている請求項3に記載の水質評価装置。
- 被測定基板の表面に閉じた領域を区画する周壁部を形成する周壁部形成工程と、
前記被測定基板をその表面を上向きにして水平に支持する支持工程と、
前記被測定基板の前記周壁部により区画される閉じた領域に被評価水を滴下する滴下工程と、
前記被評価水を滴下した前記被測定基板を乾燥させる乾燥工程と、
乾燥後の前記被測定基板の表面に形成されるウォーターマークを分析する分析工程と
を備える水質評価方法。 - 前記乾燥後の被測定基板の表面状態を観察する観察工程をさらに備える請求項5に記載の水質評価方法。
- 前記支持工程及び前記滴下工程は、チャンバの内部で行われる請求項5又は請求項6に記載の水質評価方法。
- 前記チャンバ内が不活性ガス雰囲気で満たされている請求項7に記載の水質評価方法。
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