JP7039895B2 - スタッドレスタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、氷上性能を改良するスタッドレスタイヤに関する。
スタッドレスタイヤの氷上性能を向上させるため、トレッドゴムに発泡剤や熱膨張性マイクロカプセルなどを配合する手法により、トレッドゴムの表面粗さ(凹凸)を大きくすることが知られている。トレッド部の表面粗さを大きくすると、凹部が氷上に存在する水膜を取り込み凸部が氷上面と接触することで、平滑な表面を備えたトレッドゴムより氷上面との接触面積を大きくする効果があると考えられる。しかしながら、表面粗さが大きいゴムは水膜を取り除くが、一方で氷上面と接触可能な面積が減少するため、表面粗さによる氷上性能を改良する効果には限界があるといえる。また、発泡剤や熱膨張性マイクロカプセルなどを配合すると、トレッドゴムのゴム強度や耐摩耗性が低下するといった課題がある。
トレッド部の表面粗さを大きくする以外の改良方法として、特許文献1は、ジエン系ゴム成分100質量部に、ウレタンフォームを粉砕して得られた平均粒子径100~300μmの粉末を1~20質量部配合してなるトレッド用ゴム組成物が、耐摩耗性を維持しながら氷雪路面での摩擦力を高くすることを記載する。
しかしスタッドレスタイヤにおける氷上性能の更なる向上を求める需要者の期待はより高いものであり一層の改良が求められていた。
特開2007-31521号公報
本発明の目的は、氷上性能を従来レベル以上に改良するスタッドレスタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明のスタッドレスタイヤは、トレッド部の内部の平滑面における水に対する接触角θrが90°以上、115°以下であり、かつ100km以上走行後のトレッド部表面の水に対する接触角をθsとするとき、下記式(1)を満たし、
0.03≦(cosθs+1)/(cosθr+1)/(r)≦0.90 (1)
(なおrは、r=(cosθs)/(cosθr)で算出される値である。)
前記トレッド部が、トレッド用ゴム組成物で構成されてなり、該トレッド用ゴム組成物が、
ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物を1~25質量部、カーボンブラックとシリカを合計で30~100質量部配合し、さらにシランカップリング剤をシリカの質量に対し3~15質量%配合してなることを特徴とする。
また、本発明のスタッドレスタイヤは、トレッド部の内部の平滑面における水に対する接触角θrが90°以上、115°以下であり、かつ100km以上走行後のトレッド部表面の水に対する接触角をθsとするとき、下記式(1)を満たし、
0.03≦(cosθs+1)/(cosθr+1)/(r)≦0.90 (1)
(なおrは、r=(cosθs)/(cosθr)で算出される値である。)
前記トレッド部が、トレッド用ゴム組成物で構成されてなり、該トレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物およびシリコン系化合物の混合物を1~25質量部、カーボンブラックとシリカを合計で30~100質量部配合し、さらにシランカップリング剤をシリカの質量に対し3~15質量%配合してなることを特徴とする。
本発明のスタッドレスタイヤは、トレッド部の平滑面での水に対する接触角θrを90°以上、115°以下にし、この接触角θrと、100km以上走行後のトレッド部表面の水に対する接触角θsとが、前記式(1)の関係を満たすようにしたので、氷上性能を従来レベル以上に改良することができる。このスタッドレスタイヤは、トレッド部と氷上面の水との接触を少なくし、氷面と直に接触しやすくするとの技術的思想に基づくものであり、熱膨張性マイクロカプセルやウレタンフォームの粉砕微粒子等を含有しないので、トレッド部のゴム強度や耐摩耗性をより優れたものにすることができる。
本発明のスタッドレスタイヤは、前記トレッド部が、トレッド用ゴム組成物で構成させてなり、該トレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物を1~25質量部配合してなるとよい。またはトレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物およびシリコン系化合物の混合物を1~25質量部配合してなるとよい。このようなトレッド用ゴム組成物でトレッド部を構成することにより、トレッド部のゴム強度や耐摩耗性を維持しながら、氷上性能を従来レベル以上に改良することができる。
本発明のスタッドレスタイヤは、トレッド部の内部の平滑面における水に対する接触角θr、および100km以上走行後のトレッド部表面の水に対する接触角θsが特別の条件を満たすことにより、氷上性能を改良する。接触角θrは、トレッド部の表面層を取り除くことにより、トレッド部に新たに平滑な表面を作成し、この平滑面における水に対する接触角である。トレッド部の表面から取り除く表面層の厚さは、特に制限されるものではないが、好ましくは0.0001~1000μmにすることができる。また平滑面の大きさは、例えば一辺または直径が0.01~100μmの矩形または円形にすることができる。更に平滑面の表面粗さは0.0001~50μmにすることができる。平滑面の表面粗さは共焦点型レーザー顕微鏡を使用して倍率200倍の条件で測定することができる。なお、本明細書において、水に対する接触角θrおよびθsは、JIS R3257に準拠し、室温にて、液滴5μLの条件で、水を滴下して30秒後に測定するものとする。
本発明において、トレッド部の内部の平滑面における水に対する接触角θrは、90°以上であり、好ましくは95°以上、より好ましくは100°以上、更に好ましくは105°以上である。接触角θrが90°未満であると、排水性能が低下し、氷上性能を向上することができない。また接触角θrは、好ましくは150°以下、より好ましくは140°以下、更に好ましくは130°以下である。
また接触角θsは、スタッドレスタイヤが100km以上走行した後のトレッド部表面における水に対する接触角θである。100km以上走行した後のスタッドレスタイヤは、そのトレッド部表面が、本来の表面粗さ(凹凸)を有し、氷上性能を発揮し得る状態になっている。なお100km以上という走行条件は、トレッド部表面が、本来の氷上性能を発揮し得る状態になっている限り、これに限定されるものではない。
本発明において、トレッド部内部の平滑面の接触角θr、および100km以上走行後のトレッド部表面の接触角θsは、下記式(1)の関係を満たす。
0.03≦(cosθs+1)/(cosθr+1)/(r)≦0.90 (1)
なおrは、r=(cosθs)/(cosθr)で算出される値である。
(cosθs+1)/(cosθr+1)/(r)の値(以下、「式(1)の値」と記すことがある。)は、タイヤ走行時の氷上性能を表す指標になる。
前記式(1)の値が0.03未満であると、タイヤ走行時のゴム‐氷路面間の接触面積が減少し、氷上性能が低下する。
また前記式(1)の値が0.90を超えると、タイヤ走行時のゴムの排水性が低下し、その結果、氷上性能が低下する。
またr=(cosθs)/(cosθr)の値は、水とゴムの接触面積比率を表している。トレッド内部の平滑面の水の接触角が90°未満の場合、走行によりタイヤ表面が荒れるとより親水的に振舞うようになり、水の接触角はより小さい値を示す。つまり、トレッド内部の平滑面の水の接触角が90°未満のゴムでは、ゴムと水の接触面積が増加し、rの値が大きくなる。一方、トレッド内部の平滑面の水の接触角が90°以上の場合、走行によりタイヤ表面が荒れると、より疎水的に振舞うようになり、水の接触角はより大きい値を示す。従って、rの値は大きくなる。rの値は、前記式(1)が満たされる限り特に制限されるものではないが、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.25以上、更に好ましくは1.35以上であるとよい。またrの値は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下であるとよい。
本発明のスタッドレスタイヤは、トレッド部を構成するトレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物を1~25質量部配合するとよい。またはトレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物およびシリコン系化合物の混合物を1~25質量部配合するとよい。
トレッド用ゴム組成物を組成するジエン系ゴムは、特に限定されるものではなく、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム等が挙げられる。なかでも天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴムが好ましく、天然ゴム、ブタジエンゴムがより好ましい。これらジエン系ゴムは、その分子鎖の末端および/または側鎖がエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミド基等により、変性された変性ジエン系ゴムでもよい。
上述したジエン系ゴムの平均ガラス転移温度は-50℃以下であることが好ましく、更に好ましくは-60℃~-100℃であると良い。ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度を-50℃以下にすることにより、低温下でのゴムコンパウンドのしなやかさを維持し、氷面に対する凝着力を高くすることができる。なおガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。また、ジエン系ゴムが油展品であるときは、油展成分(オイル)を含まない状態におけるジエン系ゴムのガラス転移温度とする。また、平均ガラス転移温度とは、各ジエン系ゴムのガラス転移温度に各ジエン系ゴムの質量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の加重平均値)である。なお、すべてのジエン系ゴムの質量分率の合計を1とする。
ニトリルゴム系化合物は、ニトリルゴムおよび/または変性ニトリルゴムである。ニトリルゴムおよび変性ニトリルゴムの重量平均分子量は、1000~10000が好ましく、2000~6000がより好ましい。重量平均分子量が1000未満であると、ゴム外部へのブリードアウトが著しくなり、氷上性能が低下する。また重量平均分子量が10000を超えると、ゴムの硬度が増加するため氷上性能が低下する。ニトリルゴムおよび変性ニトリルゴムの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定し標準ポリスチレン換算により求めるものとする。
変性ニトリルゴムは、その分子鎖の一部にエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミド基等が結合した変性ゴムである。なかでもカルボキシ基、エポキシ基を有する変性ニトリルゴムが好ましい。変性ニトリルゴムの変性率は、特に制限されるものではないが、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
ニトリルゴム系化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1~25質量部が好ましく、3~20質量部がより好ましい。ニトリルゴム系化合物の配合量が1質量部未満であると、前記式(1)の値が0.90を超え、氷上性能を改良する効果が得られない虞がある。またニトリルゴム系化合物の配合量が25質量部を超えると、前記式(1)の値が0.03未満になり、氷上性能を改良する効果が得られない虞がある。
本発明において、ジエン系ゴムに、ニトリルゴム系化合物およびシリコン系化合物の混合物を配合することができる。この混合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1~25質量部が好ましく、3~20質量部がより好ましい。混合物の配合量が1質量部未満、或は25質量部を超えると、前記式(1)の値が0.90を超え、氷上性能を改良する効果が得られない虞がある。
ニトリルゴム系化合物およびシリコン系化合物の混合物は、ニトリルゴム系化合物/シリコン系化合物の重量比が、好ましくは3/1~1/10がよく、より好ましくは2/1~1/7、さらに好ましくは1/1~1/5であるとよい。ニトリルゴム系化合物/シリコン系化合物の重量比をこのような範囲内にすることにより、氷上性能をより効率的に改良することができる。
ニトリルゴム系化合物およびシリコン系化合物の混合物において、ニトリルゴム系化合物は、上述したなかから適宜選択して使用することができ、好ましくはカルボキシ変性ニトリルゴムがよい。
シリコン系化合物としては、ケイ素原子を有する化合物であればよく、好ましくは、エチレン性不飽和基やアルコキシ基を有する化合物などが挙げられる。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン系単量体;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性シラン系単量体;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するもの;ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するもの;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するもの;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するもの;が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基とアルコキシ基を同時に有する化合物が好ましく、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いることが最も好ましい。これらのシリコン系化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、同一の化合物内に(メタ)アクリロイル基とケイ素原子とを有する化合物は、本発明ではシリコン系化合物として扱う。
本発明のスタッドレスタイヤは、カーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有することができる。カーボンブラックおよび/または白色充填剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックおよび白色充填剤の合計で30~100質量部が好ましく、40~90質量部がより好ましく、45~80質量部が更に好ましい。カーボンブラックおよび白色充填剤の配合量を30質量部以上にすることによりゴム組成物の機械的特性を改良し耐摩耗性を向上することができる。またカーボンブラックおよび白色充填剤の配合量を100質量部以下にすることにより、ゴム組成物のしなやかさを維持し氷上性能を確保することができる。またタイヤにしたとき重量の増加を抑制することができる。
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、HMF、SRF等のファーネスカーボンブラックが挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは70~240m/g、より好ましくは90~200m/gであるとよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積を70m/g以上にすることにより、ゴム組成物の機械的特性および耐摩耗性を確保することができる。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積を240m/g以下にすることにより、氷上性能を良好にすることができる。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2に準拠して、測定するものとする。
白色充填剤として、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができる。これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。なかでもシリカが好ましく氷上性能をより優れたものにすることができる。
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは80~260m/g、より好ましくは140~200m/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を80m/g以上にすることにより、ゴム組成物の耐摩耗性を確保することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を200m/g以下にすることにより、ウェット性能および低転がり抵抗性を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
本発明では、シリカと共にシランカップリング剤を配合するとよい。シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上し、耐摩耗性および氷上性能のバランスをより高くすることができる。
シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカの重量に対し、好ましくは3~15質量%を配合すると良く、より好ましくは5~10質量%にすると良い。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3質量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15質量%を超えるとシランカップリング剤同士が縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
トレッド用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。トレッド用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
上述したトレッド用ゴム組成物でトレッド部を構成したスタッドレスタイヤは、氷上性能および耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表2に記載の共通組成を有し、表1に記載の組成からなる11種類のトレッド用ゴム組成物(実施例1~4、標準例、比較例1~6)を調製するにあたり、硫黄および加硫促進剤を除く成分を1.7Lのバンバリーミキサーで5分間混練し、145℃に達したとき放出しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄および加硫促進剤を加えて70℃のオープンロールで混練することにより、11種類のトレッド用ゴム組成物を得た。なお、表2に記載の各種添加剤の配合量は、表1に記載のジエン系ゴム100質量部に対する質量部として表されている。
得られたトレッド用ゴム組成物を、トレッド部に用いたスタッドレスタイヤ(サイズ:195/65R15)を加硫成型した。得られたスタッドレスタイヤを使用して、以下に示す方法で、トレッド部の内部の平滑面における水に対する接触角θr、100km以上走行後のトレッド部表面の水に対する接触角θs、および氷上性能を測定した。
接触角θr
スタッドレスタイヤのトレッド部からカットサンプルを切り出し、最外側の表面層を約1mmを取り除き、ゴム用のスライサーを使用して平滑面を作成した。この平滑面の表面粗さは0.01μmであった。平滑面の水に対する接触角θsを、JIS R3257に基づき、室温にて、液滴5μLの条件で、水を滴下して30秒後に測定した。得られた結果を表1の「平滑面接触角θr」の欄に記載した。
接触角θs
スタッドレスタイヤを標準リムにリム組みし、試験車両に装着し、空気圧を250kPaに調整した。この試験車両を、速度60km/時で、周回2kmのテストコース(乾燥路面)を、100km走行させた。走行後のトレッド部表面の水に対する接触角θsを、JIS R3257に基づき、上述の条件で測定した。得られた結果を表1の「走行後接触角θs」の欄に記載した。
また、接触角θrおよび接触角θsから前記式(1)の値を算出し、表1の「(1)の値」の欄に記載した。
氷上性能
スタッドレスタイヤを標準リムにリム組みし、試験車両に装着し、空気圧を250kPaに調整した。この試験車両を用いて、氷盤路を走行させ、標準例に記載のゴムをトレッドに配置したタイヤを基準にして氷上性能を評価した。得られた氷上性能を、標準例の値を100とする指数にして、「氷上性能」の欄に示した。この指数値が大きいほど氷上性能が優れることを意味する。
Figure 0007039895000001
なお、表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、RSS#3
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴムNipol BR1220
・シリカ:日本シリカ工業(株)製Nipsil AQ
・CB:カーボンブラック、東海カーボン(株)製カーボンブラックシースト6、窒素吸着比表面積が115m/g
・カップリング剤:硫黄含有シランカップリング剤、デクサ社製Si69
・NBR系混合物:カルボキシ変性ニトリルゴム/シリコン系化合物の混合物(カルボキシ変性ニトリルゴム/シリコン系化合物の重量比が1/4)、カルボキシ変性ニトリルゴムはHycar社製CTBN13(変性率が26質量%、重量平均分子量が3150)、シリコン系化合物が信越化学社製SS-10
・NBR系化合物:カルボキシ変性ニトリルゴム、Hycar社製CTBN8、変性率が18質量%、重量平均分子量が3550。
・リポマイド:ライオンスペシャリティーケミカル社製リポマイドO15、化合物名ポリオキシエチレンオレイン酸アミド
・レオコール:ライオンスペシャリティーケミカル社製レオコールTD150、化合物名ポリオキシエチレントリデシルエーテル
Figure 0007039895000002
なお、表2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・ステアリン酸:NOF社製ビーズステアリン酸
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:フレキシス社製6PPD
・オイル:富士興産(株)製アロマオイル
・硫黄:鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製ノクセラー CZ-G
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製ノクセラー D
表1から明らかなように実施例1~4のスタッドレスタイヤは、氷上性能を標準例のレベル以上に改良することが確認された。
比較例1および比較例2のスタッドレスタイヤは、接触角θrが90°未満、式(1)の値が0.90を超えるので、氷上性能を改良することができない。
比較例3~比較例5のスタッドレスタイヤは、式(1)の値が0.90を超えるので、耐摩耗性が劣る。
比較例6のスタッドレスタイヤは、式(1)の値が0.03未満であるので、耐摩耗性が劣る。

Claims (2)

  1. トレッド部の内部の平滑面における水に対する接触角θrが90°以上、115°以下であり、かつ100km以上走行後のトレッド部表面の水に対する接触角をθsとするとき、下記式(1)を満たし、
    0.03≦(cosθs+1)/(cosθr+1)/(r)≦0.90 (1)
    (なおrは、r=(cosθs)/(cosθr)で算出される値である。)
    前記トレッド部が、トレッド用ゴム組成物で構成されてなり、該トレッド用ゴム組成物が、
    ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物を1~25質量部、カーボンブラックとシリカを合計で30~100質量部配合し、さらにシランカップリング剤をシリカの質量に対し3~15質量%配合してなることを特徴とするスタッドレスタイヤ。
  2. トレッド部の内部の平滑面における水に対する接触角θrが90°以上、115°以下であり、かつ100km以上走行後のトレッド部表面の水に対する接触角をθsとするとき、下記式(1)を満たし、
    0.03≦(cosθs+1)/(cosθr+1)/(r)≦0.90 (1)
    (なおrは、r=(cosθs)/(cosθr)で算出される値である。)
    前記トレッド部が、トレッド用ゴム組成物で構成されてなり、該トレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、ニトリルゴム系化合物およびシリコン系化合物の混合物を1~25質量部、カーボンブラックとシリカを合計で30~100質量部配合し、さらにシランカップリング剤をシリカの質量に対し3~15質量%配合してなることを特徴とするスタッドレスタイヤ。
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