JP7039173B2 - 舶用主機タービン制御装置、舶用主機タービン設備、及び、舶用主機タービン制御方法 - Google Patents
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Description
この変形を防ぐために、一般的には「オートスピン」が行われている。オートスピンとは、次のような処理を示す。
舶用主機タービンの主軸の回転停止が所定の時間以上となったことを検知すると、自動的に前進操縦弁が開となり、タービンロータを回転させる。さらに、タービンロータが所定の回転数に到達すると、前進操縦弁は閉となり、再び主軸が回転停止する。この回転停止が所定の時間以上となったことを検知すると、自動的に後進操縦弁が開となり、再びタービンロータを回転させる。
このように、前進操縦弁及び後進操縦弁の開閉を繰り返すことによりタービンロータを回転させるオートスピンにより、停止中のタービンロータの変形の防止を行っている。
またタービン車室が冷却されているため、主機タービンを起動させる際、オペレータの直接制御によって手動で弁を開け蒸気を投入する等、主機タービンの暖機を実施する必要がある。
そこで、オートスピンに暖機効果を持たせることが検討されている。例えば、特許文献1には、オートスピン時に前進操縦弁または後進操縦弁を所定の弁開度に一定時間保つことで蒸気投入量を多くし、オートスピンに暖機効果を持たせることが開示されている。
本発明の第一態様に係る舶用主機タービン制御装置は、前進操縦弁と後進操縦弁とを備えた舶用主機タービンの制御を行う舶用主機タービン制御装置であって、前記舶用主機タービンの主軸は、プロペラに接続されており、前記舶用主機タービンが停止すると、前記前進操縦弁を開とし、前記前進操縦弁が開とされてからの経過時間にかかわらず、前記前進操縦弁が開の場合に前記舶用主機タービンの主軸回転数が第1閾値に到達すると前記前進操縦弁を全閉とすると同時に前記後進操縦弁を開とし、前記後進操縦弁が開とされてからの経過時間にかかわらず、前記後進操縦弁が開の場合に前記舶用主機タービンの主軸回転数が第2閾値に到達すると前記後進操縦弁を全閉とすると同時に前記前進操縦弁を開とし、前記前進操縦弁と前記後進操縦弁の開閉を交互に切り替える制御を行う。
また、前進操縦弁と後進操縦弁の開閉の切替を、主軸回転数に基づき実施することから、外力によって主軸の回転が阻害される状況であってもタービンロータが回転するまで弁を開け続けることができ、これにより確実にタービンロータを回転させることができる。
舶用主機タービンにおいては、停止時のタービンロータの自重による変形を防ぐために、自動的にタービンロータを回転させている(以下、「オートスピン」とする。)。このオートスピンに本構成を組み合わせることにより、オートスピンにさらに暖機効果を持たせることができる。
また、後進用の低圧タービンに対し、過剰な蒸気の投入を防止することができる。後進用の低圧タービンは、多量の蒸気が投入されることを想定した設計となっておらず、過剰に蒸気が投入されると熱による変形が発生する可能性がある。よって、後進用の低圧タービンのケーシングの熱変形や、熱変形を起因とするタービンロータと静止部との干渉、及び干渉による異常振動を防止することができる。
本構成によれば、前進操縦弁または後進操縦弁が最大開度に達しても主軸回転数が各閾値に到達しない場合にアラームを通知するため、アラームにより急速回転が発生する前にその虞があることをオペレータ通知できる。アラームの通知を受けたオペレータは、例えば、ターニング装置を起動させタービン各部の異常の確認を行う、乗務員の監視の下で手作業にて弁を徐々に開ける、等の対応を行う。これらオペレータの対応により、タービンロータの急速回転を防止することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至3を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る舶用主機タービン設備の概略構成が示されている。
図1に示されるように、本実施形態に係る舶用主機タービン設備1は、例えば、LNG
船等の船舶の推進用に用いられる。この舶用主機タービン設備1は、主機とされる蒸気タービン2と、減速機28と、プロペラ29と、を備えている。
再熱器25は、HPタービン21とIPタービン22との間に配置され、HPタービン21から排気されて(低温)再熱蒸気管33を介して導かれた蒸気を加熱する。再熱器25にて加熱された蒸気は、(高温)再熱蒸気管34を介してIPタービン22へと供給される。
ASTタービン24は、船舶が後進する際に用いられ、主蒸気管31の途中から枝分かれした後進用主蒸気管38を介して主ボイラ32からの主蒸気が直接供給され、これによりASTタービン24が回転駆動されるようになっている。また、ASTタービン24とLPタービン23とは共通の第2軸27に設けられている。
また、図1中の符号46は、主復水器37で凝縮した復水を主ボイラ32に導く給水管であり、符号47は、給水管46の途中に設けられた復水ポンプである。
また図3には、本実施形態に係る舶用主機タービンの主軸回転数、前進操縦弁開度、及び後進操縦弁開度がタイムチャートに示されている。図3の縦軸の矢印方向は前進操縦弁の開度および主軸の前進方向回転時の回転数、縦軸の矢印とは逆の方向は後進操縦弁の開度および主軸の後進方向回転時の回転数、横軸は時間である。また実線は前進操縦弁または後進操縦弁の開度を表し、一点鎖線は主軸の回転数を表す。
図2及び図3を用い、本実施形態における舶用主機タービン制御装置による制御について以下に説明する。
ここで、前進操縦弁42を閉とする基準として用いられる主軸30の回転数を第1閾値、後進操縦弁を閉とする基準として用いられる主軸30の回転数を第2閾値とする。第2閾値は、0より大きく第1閾値よりも小さい値であり、絶対値である。本実施形態においては、第1閾値には5rpmを、第2閾値には3rpmをそれぞれ設定するものとする。
前進操縦弁42の開度が最大開度であると判定された場合はステップS212へ遷移する。前進操縦弁42の開度が最大開度でないと判定された場合は、ステップS202へ戻る。
前進操縦弁42の開度が最大開度でないと判定された場合は、ステップS202へ戻り、図3の時間t2の点線に示されるように舶用主機タービン制御装置100によって前進操縦弁42がさらに開かれる。この場合、前進操縦弁42は主軸30の回転数が5rpmに到達する、または前進操縦弁42の開度が最大開度となるまで、前進操縦弁42は開かれる。
次に、舶用主機タービン制御装置100によって主軸30の回転数が3rpm以上であるか否かの判定が行われる(S206)。主軸30の回転数が3rpm以上であると判定されると、ステップS207へ遷移する。主軸30の回転数が3rpm未満であると判定されると、ステップS221へ遷移する。
後進操縦弁44の開度が最大開度であると判定された場合はステップS222へ遷移する。後進操縦弁44の開度が最大開度でないと判定された場合は、ステップS205へ戻る。
後進操縦弁44の開度が最大開度でないと判定された場合は、ステップS205へ戻り、図3の時間t4の点線に示されるように舶用主機タービン制御装置100によって後進操縦弁44がさらに開かれる。この場合、後進操縦弁44は主軸30の回転数が3rpmに到達する、または後進操縦弁44の開度が最大開度となるまで、後進操縦弁44は開かれる。
引き続き、図3の時間t6以降に示されるように、舶用主機タービン制御装置100によって前進操縦弁42及び後進操縦弁44の開閉が交互に実施される。
以上の制御により、舶用主機タービン制御装置100は、主軸30の回転数に基づき前進操縦弁42と後進操縦弁44の開閉を間をおかず実施する。
蒸気タービン2が停止、すなわち蒸気タービン2の主軸30の回転数が0rpmとなったことを検知すると、前進操縦弁42を主軸回転数が第1閾値である5rpmとなるまで開き、5rpmに到達すると前進操縦弁42を全閉とし、同時に後進操縦弁44を主軸回転数が第2閾値である3rpmとなるまで開く。次に主軸回転数が3rpmに到達すると後進操縦弁44を全閉とし、同時に前進操縦弁42を主軸回転数が5rpmとなるまで開く。本構成によれば、このように前進操縦弁42と後進操縦弁44の開閉を交互に切り替える制御を行うことにより、蒸気タービン2の車室に対して蒸気を連続的に投入することができる。このように蒸気投入量を多くすることでタービン車室温度を保つように暖機効果を持たせることにより、主ボイラ32の負荷を一定に保つことができるとともに、蒸気タービン2の起動の際に起動時間を短縮することができる。
また、前進操縦弁42と後進操縦弁44の開閉の切替を、主軸回転数に基づき実施することから、外力によって主軸の回転が阻害される状況であってもタービンロータが回転するまで弁を開け続けることができ、これにより確実にタービンロータを回転させることができる。
蒸気タービン2においては、停止時のタービンロータの自重による変形を防ぐために、自動的にタービンロータを回転させるオートスピンを行っている。このオートスピンに本構成を組み合わせることにより、オートスピンにさらに暖機効果を持たせることができる。
また、ASTタービン24に対し、過剰な蒸気の投入を防止することができる。ASTタービン24は、多量の蒸気が投入されることを想定した設計となっておらず、過剰に蒸気が投入されると熱による変形が発生する可能性がある。よって、ASTタービン24のケーシングの熱変形や、熱変形を起因とするタービンロータと静止部との干渉、及び干渉による異常振動を防止することができる。
2 蒸気タービン(舶用主機タービン)
21 HPタービン
22 IPタービン
23 LPタービン
24 ASTタービン
25 再熱器
30 主軸
32 主ボイラ
42 前進操縦弁
44 後進操縦弁
100 舶用主機タービン制御装置
Claims (5)
- 前進操縦弁と後進操縦弁とを備えた舶用主機タービンの制御を行う舶用主機タービン制御装置であって、
前記舶用主機タービンの主軸は、プロペラに接続されており、
前記舶用主機タービンが停止すると、前記前進操縦弁を開とし、
前記前進操縦弁が開とされてからの経過時間にかかわらず、前記前進操縦弁が開の場合に前記舶用主機タービンの主軸回転数が第1閾値に到達すると前記前進操縦弁を全閉とすると同時に前記後進操縦弁を開とし、
前記後進操縦弁が開とされてからの経過時間にかかわらず、前記後進操縦弁が開の場合に前記舶用主機タービンの主軸回転数が第2閾値に到達すると前記後進操縦弁を全閉とすると同時に前記前進操縦弁を開とし、
前記前進操縦弁と前記後進操縦弁の開閉を交互に切り替える制御を行う舶用主機タービン制御装置。 - 前記第2閾値は0より大きく前記第1閾値よりも小さい値である請求項1に記載の舶用主機タービン制御装置。
- 前記前進操縦弁が前進操縦弁最大開度に達しても前記第1閾値に到達しない、または前記後進操縦弁が後進操縦弁最大開度に達しても前記第2閾値に到達しない場合は、アラームを通知する請求項2に記載の舶用主機タービン制御装置。
- 舶用主機タービンと、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の舶用主機タービン制御装置と、
を備えた舶用主機タービン設備。 - 前進操縦弁と後進操縦弁とを備えた舶用主機タービンの制御を行う舶用主機タービン制御方法であって、
前記舶用主機タービンの主軸は、プロペラに接続されており、
前記舶用主機タービンが停止すると、前進方向に制御する工程と、
前進方向に制御している場合に前記前進操縦弁が開とされてからの経過時間にかかわらず、前記舶用主機タービンの主軸回転数が第1閾値に到達すると前進方向の制御を停止すると同時に後進方向に制御を行い、
後進方向に制御している場合に前記後進操縦弁が開とされてからの経過時間にかかわらず、前記舶用主機タービンの主軸回転数が第2閾値に到達すると後進方向の制御を停止すると同時に前進方向に制御を行い、
前進方向の制御と後進方向の制御を交互に切り替える制御を行う舶用主機タービン制御方法。
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