JP7038968B2 - 空気ばね及び台車 - Google Patents

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Description

本発明は、空気ばね及び台車に関する。
特開2000-35075号公報(特許文献1)には、内筒と、外筒と、内筒と外筒との間に配置されたべローズと、内筒に対して回転可能に設けられたストッパとを備える空気ばねが開示されている。特許文献1に記載の空気ばねにおいては、外筒には複数の高さが異なる被支持面が設けられている。特許文献1に記載の空気ばねにおいては、ストッパは、内筒に支持されている隆起部が設けられている。
特開2012-17769号公報(特許文献2)には、上支持部と、下支持部と、上支持部と下支持部との間に配置されたダイヤフラムとを備える空気ばねが開示されている。特許文献2記載の空気ばねにおいては、上支持部には上ストッパ部材が設けられている。特許文献2に記載の空気ばねにおいては、下支持部上において移動可能な下ストッパ部材が設けられている。
特開2000-35075号公報 特開2012-17769号公報
本開示に係る空気ばねは、内筒と、内筒上に設けられた外筒と、外筒と内筒とに連結されたダイヤフラムと、内筒の周方向に対して回転可能に設けられたストッパとを備えている。
ストッパは、外筒側に向かって隆起し、かつストッパを周方向に回転させることにより内筒上において周方向に沿って移動するストッパ隆起部を有している。外筒は、内筒側に向かって隆起している複数の外筒隆起部を有している。外筒隆起部の各々は、高さが異なっている。外筒隆起部及びストッパ隆起部のうちの少なくとも一方は、外筒から内筒に向かう方向に垂直な方向の変形に対して復元可能となっている。
図1は、実施形態1に係る空気ばねの断面図である。 図2は、ストッパの上面図である。 図3は、外筒の内筒側からみた上面図である。 図4は、外筒隆起部の配置を示す模式図である。 図5Aは、外筒隆起部における拡大断面図である。 図5Bは、外筒隆起部の変形の態様を示す図である。 図6は、外筒隆起部の第1の変形例における拡大断面図である。 図7は、外筒隆起部の第2の変形例における拡大断面図である。 図8は、ストッパ隆起部における拡大断面図である。 図9は、ストッパ隆起部の第1の変形例における拡大断面図である。 図10は、ストッパ隆起部の第2の変形例における拡大断面図である。 図11は、実施形態2に係る空気ばねの断面図である。 図12は、実施形態2に係る外筒隆起部における拡大断面図である。 図13は、実施形態2に係るストッパ隆起部における拡大断面図である。 図14は、比較例に係る空気ばねの断面図である。 図15は、実施形態3に係る台車の側面図である。
[本開示の解決しようとする課題]
例えば特許文献1に記載の空気ばねにおいては、空気ばねの使用中に、外筒が内筒に対して上下動することにより、振動の減衰が行われる。この外筒の上下動は、非支持面を隆起部により支持することで規制される。しかしながら、特許文献1に記載の空気ばねに対して、外筒を内筒に対して回転、水平移動させる振動など、外筒から内筒に向かう方向に垂直な方向に対して振動が加わる場合がある。この際に、被支持面の側面と隆起部の側面とが衝突するおそれがある。この衝突の結果、被支持面又は隆起部が破損するおそれがある。
[本開示の効果]
本開示に係る空気ばねによると、外筒から内筒に向かう方向に垂直な方向に対して振動が加わったとしても、空気ばねが破損することを抑制することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態の一態様に係る空気ばねは、内筒と、内筒上に設けられた外筒と、外筒と内筒とに連結されたダイヤフラムと、内筒の周方向に対して回転可能に設けられたストッパとを備えている。
ストッパは、外筒側に向かって隆起し、かつ内筒上において周方向に沿って移動するストッパ隆起部を有している。外筒は、内筒側に向かって隆起している複数のストッパ隆起部を有している。複数の外筒隆起部の各々は、高さが異なっている。外筒隆起部及びストッパ隆起部のうちの少なくとも一方は、外筒から内筒に向かう方向の変形に対して復元可能となっている。
(1)の空気ばねによると、外筒から内筒に向かう方向に垂直な方向への振動等により外筒隆起部とストッパ隆起部とが接触したとしても、外筒隆起部又はストッパ隆起部が破損することを抑制することができる。
(2)(1)の空気ばねにおいて、外筒隆起部及びストッパ隆起部のうちの少なくとも一方は、底面と上面との間に可撓層を有していてもよい。
(2)の空気ばねによると、外筒が内筒に対して回転、水平移動して外筒隆起部とストッパ隆起部とが接触したとしても、外筒隆起部又はストッパ隆起部が破損することを抑制することができる。
(3)(2)の空気ばねにおいて、金属層が設けられていてもよく、金属層と可撓層とが積層されていてもよい。
(3)の空気ばねによると、外筒隆起部又はストッパ隆起部の圧縮方向に対する剛性を確保しつつ、外筒が内筒に対して回転、水平移動して外筒隆起部とストッパ隆起部とが接触しても、外筒隆起部又はストッパ隆起部が破損することを抑制することができる。
(4)(2)又は(3)の空気ばねにおいて、可撓層はエラストマーにより形成されていてもよい。
(4)の空気ばねによると、外筒が内筒に対して回転、水平移動して外筒隆起部とストッパ隆起部とが接触したとしても、外筒隆起部又はストッパ隆起部が破損することを抑制することができる。
(5)(4)の空気ばねにおいて、エラストマーはゴム材料であってもよい。
(5)の空気ばねによると、外筒が内筒に対して回転、水平移動して外筒隆起部とストッパ隆起部とが接触したとしても、外筒隆起部又はストッパ隆起部が破損することを抑制することができる。
(6)(1)~(5)の空気ばねにおいて、複数の外筒隆起部の各々は、周方向に沿って高さの順に配列されていてもよい。
(6)の空気ばねによると、高さ調整の容易性と外筒隆起部又はストッパ隆起部が破損しがたさとを両立することが可能となる。
(7)(1)~(6)の空気ばねにおいて、ストッパ隆起部の数は複数であってよく、外筒は複数の外筒隆起部の組を複数有しており、組の数はストッパ隆起部の数に等しくてもよい。
(7)の空気ばねによると、外筒の内筒に対する上下動の規制の確実性と外筒隆起部又はストッパ隆起部が破損しがたさとを両立することが可能となる。
(8)本発明の実施形態の一態様に係る空気ばねは、内筒と、内筒上に設けられた外筒と、外筒と内筒とに連結されたダイヤフラムと、内筒の周方向に対して回転可能に設けられたストッパとを備えている。ストッパは、外筒側に向かって隆起し、かつ内筒上において周方向に沿って移動するストッパ隆起部を有している。外筒は、内筒側に向かって隆起する隆起部を有しており、外筒隆起部及びストッパ隆起部のうちの少なくとも一方は、可撓層と金属層とを有しており、金属層は可撓層に積層されている。
(8)の空気ばねによると、外筒隆起部及びストッパ隆起部の損傷を抑制しつつ、外筒の内筒側への移動の規制を十分に行うことが可能となる。
(9)本開示の一態様に係る台車は、(1)~(7)の空気ばねを備えている。
(9)の台車によると、外筒から内筒に向かう方向に垂直な方向に対して振動が加わったとしても、空気ばねが破損することを抑制することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態の詳細を図を参照して説明する。なお、各図中同一または相当部分には同一符号を付している。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。さらに、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は、図面の明瞭化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
(実施形態1)
以下に、実施形態1に係る空気ばねの全体構成について説明する。
図1は、実施形態1に係る空気ばねの断面図である。図1に示すように、実施形態1に係る空気ばねは、外筒1と、内筒2と、ダイヤフラム3と、ストッパ4とを有している。また、実施形態1に係る空気ばねは、下面板5と、積層ゴム6とを有している。
外筒1と内筒2とは、重ねられて配置されている。すわなち、内筒2上に、外筒1が配置されている。外筒1の内筒2と対向している側の面には、外筒隆起部11が設けられている。外筒隆起部11は、内筒2側に向かって隆起している。外筒隆起部11の構成の詳細については、後述する。
内筒2は、穴21を有している。穴21は、内筒2の中央に設けられている。下面板5は、円筒状軸部51を有している。円筒状軸部51は、下面板5の内筒2に取り付けられている側の中央に設けられている。円筒状軸部51は、穴21に挿入されている。内筒2は、例えばボルト、ナットにより下面板5に締結されている。これにより、内筒2は、下面板5に取り付けられている。
下面板5は、内筒2が取り付けられている側の反対側において、積層ゴム6に取り付けられている。なお、図示されていないが、積層ゴム6は、鉄道車両の台車に取り付けられる。積層ゴム6の鉄道車両の台車に取り付けられている側から外筒までの距離、すなわち実施形態1に係る空気ばねの高さを、高さHとする。
外筒1と内筒2とには、ダイヤフラム3が連結されている。ダイヤフラム3と外筒1及び内筒2との連結は、気密に行われている。これにより、外筒1、内筒2及びダイヤフラム3により画されている空間内には、空気が充填されている。ダイヤフラム3には、例えばゴム等が用いられる。
図2は、ストッパ4の上面図である。図2に示すように、ストッパ4は、台座41と、円筒部42と、ストッパ隆起部43とを有している。台座41は平板形状である。
台座41は、中央部41aと分岐部41bとを有している。中央部41aは、平面視において、円環形状を有している。分岐部41bは、中央部41aの外周から、放射状に延在している。分岐部41bの数は、1以上である。分岐部41bの数は、好ましくは複数である。複数の分岐部41bが設けられる場合、各々の分岐部41bの長さは、等しくなっている。複数の分岐部41bが設けられる場合、複数の分岐部41bの各々は、均等な間隔で配置されていることが好ましい。図2中では、分岐部41bは、120°の間隔で3箇所に設けられている。なお、分岐部41bを設ける数については、これに限定されるものではない。
図1に示すように、中央部41aの下面側に、円筒部42が設けられている。分岐部41bの上面側に、ストッパ隆起部43が設けられている。ストッパ隆起部43は、外筒1に向かって隆起した形状を有している。上記のとおり、分岐部41bの数は1以上であるため、ストッパ隆起部43の数も1以上である。複数のストッパ隆起部43が設けられる場合、各々のストッパ隆起部43の高さは等しい。なお、ストッパ隆起部43の構成の詳細については、後述する。
円筒部42は、穴21の内壁面と円筒状軸部51の外周面との間に挿入されている。すなわち、円筒部42の内周面と円筒状軸部51の外周面とが対向し、円筒部42の外周面と穴21の内壁面が対向している。これにより、ストッパ4の分岐部41bと分岐部41b上に設けられたストッパ隆起部43とは、内筒2上に位置することになる。
円筒部42には、レバー44が取り付けられている。レバー44は、内筒2と下面板5の間から、外部に引き出されている。これにより、ストッパ4は、内筒2の周方向に回転可能となっている。ストッパ4を内筒2の周方向に回転させることにより、内筒2上に位置するストッパ隆起部43が、内筒2の周方向に沿って移動する。なお、図示していないが、ストッパ4の位置は、ストッパ隆起部43と外筒隆起部11とが対向する位置において固定可能となっている。
以下に、実施形態1に係る空気ばねの外筒隆起部11及びストッパ隆起部43の構成の詳細について説明する。
図3は、外筒1を内筒2の側からみた上面図である。図3においては、参考のため、ストッパ4の形状を点線にて示してある。図3に示すように、外筒隆起部11は、外筒1の内筒2と対向している側の面上において複数設けられている。複数の外筒隆起部11の各々は、円環状に配列されている。複数の外筒隆起部11は、外筒1を内筒2上に配置した際に、ストッパ4を回転させることによりストッパ隆起部43と対向するような位置に設けられている。
複数の外筒隆起部11の各々は、高さが異なっている。また、複数の外筒隆起部11の各々は、内筒2の周方向に沿って連続して配列されている。このような複数の外筒隆起部11は、1つの組となっている。この複数の外筒隆起部11を含む組は複数であってもよい。なお、各々の組における外筒隆起部11の配列は共通である。各々の組に属する外筒隆起部11の数は、好ましくは4以上である。
この組の数は、ストッパ隆起部43の数に等しいことが好ましい。上記のとおり各々の組内での外筒隆起部11の配列は共通であるため、ストッパ隆起部43の数が複数であって、かつこの組の数がストッパ隆起部の数に等しい場合、ストッパ隆起部43は同一の高さを有する複数の外筒隆起部11と同時に対向することになる。
以下において、複数の外筒隆起部11を含む組が3つ構成されており、かつ3つの組の各々が高さの異なる4つの外筒隆起部11(外筒隆起部11a、外筒隆起部11b、外筒隆起部11c及び外筒隆起部11d)から構成されている場合を例として説明する。
図4は、外筒隆起部11aないし外筒隆起部11dの高さの関係を示す模式図である。図4に示すように、外筒隆起部11aは、最も高さが低い。外筒隆起部11bは、2番目に高さが低い。外筒隆起部11cは、3番目に高さが低い。外筒隆起部11dは、高さが最も高い。すなわち、外筒隆起部11aは、高さh1を有し、外筒隆起部11bは、高さh2を有し、外筒隆起部11cは、高さh3を有し、外筒隆起部11dは、高さh4を有しており、高さh1<高さh2<高さh3<高さh4との関係が充足されている。
なお、高さh1と高さh2との差、高さh2と高さh3との差及び高さh3と高さh4との差は、実施形態1に係る空気ばねが取り付けられる車両の車輪の踏面を研磨する際の車輪径に対応している。
外筒隆起部11a、外筒隆起部11b、外筒隆起部11c及び外筒隆起部11dは、高さの順に配列されていることが好ましい。より具体的には、外筒隆起部11aに隣接して外筒隆起部11bが配置されており、外筒隆起部11bに隣接して外筒隆起部11cが配置されており、外筒隆起部11cに隣接して外筒隆起部11dが配列されている。なお、このように配列した場合、外筒隆起部11dは、別の組に属する外筒隆起部11aに隣接して配置されることになる。
このことを別の観点からいえば、最も高さの低い外筒隆起部11(すなわち、外筒隆起部11a)が最も高さの高い外筒隆起部11(すなわち、外筒隆起部11d)と隣接している箇所が存在していることになる。
図5Aは、外筒隆起部11の拡大断面図である。外筒隆起部11は、底面12と上面13とを有している。底面12は、外筒1側の面である。上面13は、底面12の反対側の面である。外筒隆起部11は、可撓層14を有している。可撓層14は、底面12と上面13との間に配置されている。好ましくは、可撓層14は、底面12に接して配置されている。可撓層14は、底面12又は上面13に対して平行に設けられていることが好ましい。
可撓層14は、可撓性を有する層である。可撓層14には、例えばエラストマーが用いられる。このエラストマーには、例えば、ゴムが用いられる。外筒隆起部11の可撓層14以外の部分は、例えば金属により構成されている。
これを別の観点からいえば、可撓層14は、外筒隆起部11の可撓層14以外の部分よりも弾性限界が高く、かつ弾性係数が低くなっている。
図5Bは、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への力Fが作用した場合の外筒隆起部11の変形の態様を示す図である。上記のとおり、可撓層14は弾性係数が低くなっている。そのため、図5Bに示すとおり、外筒隆起部11に外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への力F(図中の矢印)が作用した際には、主として可撓層14が変形することにより、外筒隆起部11が外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向へ変形する。しかしながら、上記のとおり可撓層14は、可撓層14以外の部分よりも弾性限界が大きい。そのため、外筒隆起部11は、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形に対して、復元可能となっている。
なお、外筒隆起部11の構成は、これに限られるものではない。図6は、外筒隆起部11の第1の変形例の拡大断面図である。図6に示すように、外筒隆起部11は、全体がエラストマーで構成されていてもよい。すなわち、外筒隆起部11の底面12と上面13との間の全てが、可撓層14であってもよい。このような構成によっても、外筒隆起部11を外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形に対して復元可能とすることができる。
図7は、外筒隆起部11の第2の変形例の拡大断面図である。図7に示すように、外筒隆起部11は、可撓層14と金属層15とを有していてもよい。金属層15は、可撓層14に積層されている。可撓層14及び金属層15の数は、複数であってもよい。このような構成によっても、外筒隆起部11を外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形に対して復元可能とすることができる。
図8は、ストッパ隆起部43の拡大断面図である。図9は、ストッパ隆起部43の第1の変形例の拡大断面図である。図10は、ストッパ隆起部43の第2の変形例の拡大断面図である。図8、図9及び図10に示すように、ストッパ隆起部43は、外筒隆起部11と同様の構成を有していることにより、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形に対して復元可能となっていてもよい。
より具体的には、ストッパ隆起部43は、底面43aと上面43bとを有している。底面43aと上面43bの間には、可撓層43cが設けられている。ストッパ隆起部43の底面43aと上面43bとの間の全てが、可撓層43cであってもよい。ストッパ隆起部43は、複数の可撓層43cと、複数の可撓層43cに積層された金属層43dとを有していてもよい。
なお、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43は、両方が外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形に対して復元可能であってもよく、いずれか一方のみが外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形に対して復元可能であってもよい。
以下に、実施形態1に係る空気ばねの動作について説明する。
実施形態1に係る空気ばねは、鉄道車両に取り付けられる。ストッパ4を回転させることにより、ストッパ隆起部43を外筒隆起部11aと対向する位置に移動させる。この際の実施形態1に係る空気ばねの高さHは、高さH1とする。
実施形態1に係る空気ばねは、鉄道車両から振動を受けた際に、外筒1が内筒2に対して上下動する。この上下動に伴い、外筒1、内筒2及びダイヤフラム3により画される空間内に充填された空気が圧縮、膨張する。これにより、鉄道車両から実施形態1に係る空気ばねに加えられた振動が減衰する。
上記のとおり、ストッパ隆起部43と外筒隆起部11aが対向しているため、外筒1の内筒2に対する上下動のストローク幅は所定の範囲に規制される。この際の実施形態1に係る空気ばねのストローク幅を、ストローク幅Sとする。
実施形態1に係る空気ばねが取り付けられた鉄道車両の車輪が摩耗した場合、車輪の踏面を研磨する必要がある。この研磨により、鉄道車両の車高が低下してしまう。この際に、実施形態1に係る空気ばね中の空気充填量を増加させることで高さHを高さH2とする(高さH1と高さH2の差が車輪の摩耗及び研磨に伴う車高低下量に対応している)ことにより、鉄道車両の高さが維持される。
実施形態1に係る空気ばねの高さHを高さH2とした場合、ストッパ隆起部43と外筒隆起部11aの間隔が広くなる。そのため、ストッパ隆起部43と外筒隆起部11aが対向した状態のままであると、ストローク幅が大きくなる。そのため、実施形態1に係る空気ばね中の空気充填量を増加させることに伴い、ストッパ4を回転させる。これにより、ストッパ隆起部43が外筒隆起部11bと対向する位置に移動する。上記のとおり、外筒隆起部11bの高さh2と外筒隆起部11aの高さh1との差は、車輪の研磨に伴う車高低下量に対応している。そのため、高さHを高さH2とした後においても、ストローク幅Sは維持されている。
このような動作を繰り返すことにより、さらに車輪の踏面が摩耗に伴って研磨されたとしても、実施形態1に係る空気ばねを鉄道車両から取り外すことなく、鉄道車両の車高が維持される。
以下に、実施形態1に係る空気ばねの効果について説明する。
実施形態1に係る空気ばねは、その使用中、外筒1が内筒2に対して上下動を行うことにより、鉄道車両からの振動を減衰させる。このような上下動に加え、実施形態1に係る空気ばねは、鉄道車両から、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向に対して振動を受けることがある。実施形態1に係る空気ばねが外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向に対して振動を受けた場合、外筒隆起部11の側面とストッパ隆起部43の側面とが衝突することがある。この衝突の結果、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向に対して変形を受ける。
しかしながら、実施形態1に係る空気ばねにおいては、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43のうちの少なくとも一方は、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向に対して復元可能とされている。そのため、外筒隆起部11の側面とストッパ隆起部43の側面とが衝突することにより外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形を受けたとしても、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が破損することが抑制される。
実施形態1に係る空気ばねにおいて、外筒隆起部11の底面12と上面13との間に可撓層14が設けられている場合、又はストッパ隆起部43の底面43aと上面43bとの間に可撓層43cが設けられている場合、可撓層14又は可撓層43cは可撓性を有しているため、外筒隆起部11の側面とストッパ隆起部43の側面とが衝突することにより外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形を受けたとしても、元の位置に復元可能である。そのため、この場合には、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が破損することが抑制される。
実施形態1に係る空気ばねにおいて、外筒隆起部11の底面12と上面13との間の全てが可撓層14により形成されている場合又はストッパ隆起部43の底面43aと上面43bとの間の全てが可撓層43cにより形成されている場合、外筒隆起部11又はストッパ隆起部43の弾性変形能がより大きくなる。そのため、この場合には、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が破損することがさらに抑制される。
実施形態1に係る空気ばねにおいて、可撓層14又は可撓層43cに金属層15又は金属層43dが積層されている場合、外筒隆起部11又はストッパ隆起部43の上下方向の圧縮変形に対する剛性が向上する。そのため、この場合には、ストローク幅Sをより確実に規制することが可能となる。
実施形態1に係る空気ばねにおいて、複数の外筒隆起部11が、その高さの順にしたがって配列されている場合、ストッパ4を一定の方向に順次回転させることによって、車輪の研磨後の調整を行うことができる。そのため、車輪の研磨後の調整が容易となる。
このように異なる高さを有する複数の外筒隆起部11を配列した場合、最も高さの低い外筒隆起部11(すなわち、外筒隆起部11a)と、最も高さの高い外筒隆起部11(すなわち、外筒隆起部11d)とが互いに隣接して配置されることになる。その結果、実施形態1に係る空気ばねが外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への振動を受けた場合、外筒隆起部11の側面とストッパ隆起部43の側面とが衝突し、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形を受けやすくなる。
しかしながら、上記のように、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43のうちの少なくとも一方は、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形を受けたとしても、元の位置に復元可能に構成されている。そのため、この場合、車輪の研磨後の調整の容易性と外筒隆起部11又はストッパ隆起部43の破損のしにくさを両立させることが可能となる。
実施形態1に係る空気ばねにおいて、ストッパ隆起部43の数が複数であり、外筒隆起部11の組の数がストッパ隆起部43の数に等しい場合、外筒1の内筒2に対する上下動は、複数箇所において規制される。そのため、この場合には、外筒1の内筒2に対する上下動がより確実に規制される。
この場合には、外筒1に設けられる外筒隆起部11の総数が増加する。すなわち、外筒隆起部11の間隔が狭くなる。その結果、実施形態1に係る空気ばねが外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への振動を受けた場合、外筒隆起部11の側面とストッパ隆起部43の側面とが衝突し、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43が、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形を受けやすくなる。
しかしながら、上記のように、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43のうちの少なくとも一方は、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向への変形を受けたとしても、元の位置に復元可能に構成されている。そのため、この場合、外筒1の内筒2に対する上下動の規制の確実性と外筒隆起部11又はストッパ隆起部43の破損のしにくさを両立させることが可能となる。
(実施形態2)
以下に、実施形態2に係る空気ばねの構成について説明する。なお、以下においては、実施形態1と異なる点について主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
図11は、実施形態2に係る空気ばねの断面図である。図11に示すように、実施形態2に係る空気ばねは、実施形態1に係る空気ばねと同様に、外筒1と、内筒2と、ダイヤフラム3と、ストッパ4とを有している。また、実施形態2に係る空気ばねは、実施形態1に係る空気ばねと同様に、下面板5と、積層ゴム6とを有している。
外筒1は、複数の外筒隆起部11を有している。但し、実施形態1と異なり、外筒隆起部11の数は1であってもよい。複数の外筒隆起部11が設けられる場合であっても、実施形態1と異なり、複数の外筒隆起部11の各々は、同一の高さを有していてもよい。
図12は、実施形態2に係る外筒隆起部11の拡大断面図である。図12に示すように、外筒隆起部11は、可撓層14と金属層15とを有している。可撓層14及び金属層15は積層されている。可撓層14及び金属層15の数は、複数であってもよい。
図13は、実施形態2に係るストッパ隆起部43の拡大断面図である。図13に示すように、ストッパ隆起部43は、可撓層43cと金属層43dとを有している。可撓層43c及び金属層43dは積層されている。可撓層43c及び金属層43dの数は、複数であってもよい。
外筒隆起部11及びストッパ隆起部43は、上記の構成を有することにより、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向の変形に対して復元可能となっている。なお、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43の少なくとも一方が上記の構成を有していれば足り、外筒隆起部11及びストッパ隆起部43の双方が上記の構成を有している必要はない。
以下に、実施形態2に係る空気ばねの効果を比較例と対比することにより説明する。
図14は、比較例に係る空気ばねの断面図である。比較例に係る空気ばねは、実施形態2に係る空気ばねと同様に、外筒1と、内筒2と、ダイヤフラム3と、ストッパ4とを有している。しかしながら、比較例に係る空気ばねの外筒隆起部11は、全体が可撓層14により構成されている点において、実施形態2の空気ばねと異なっている。
比較例に係る空気ばねの外筒隆起部11は、全体が可撓層14により構成されているため、可撓層14は、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向の変形に対して復元可能となっている。しかしながら、比較例に係る空気ばねの外筒隆起部11は、全体が可撓層14により構成されているため、上面13から底面12に向かう方向の圧縮変形に対する剛性が低い。そのため、比較例に係る空気ばねは外筒1の内筒2側に向かう移動を十分に規制できないおそれがある。
他方、実施形態2に係る空気ばねの外筒隆起部11は、可撓層14と金属層15とが積層された構成を有しているため、上面13から底面12に向かう方向の圧縮変形に対する剛性が高い。そのため、実施形態2に係る空気ばねによると、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向の変形に対する外筒隆起部11及びストッパ隆起部43の損傷を抑制しつつ、外筒1の内筒2側への移動の規制を十分に行うことが可能となる。
(実施形態3)
以下に、実施形態3に係る台車の構成について説明する。
図15は、実施形態3に係る台車の側面図である。図15に示すように、実施形態3に係る台車は、空気ばね7と、台車枠81と、車軸82と、車輪83とを有している。台車枠81は、側梁81aと側梁81bとを有している。車輪83は、車軸82の両端に取り付けられている、車軸82は、台車枠81に取り付けられている。より具体的には、台車枠81は、側梁81a及び側梁81bが軸ばね(図示せず)を介して車軸82に受け支えられることにより、車軸82に取り付けられている。空気ばね7は、上記の実施形態1又は実施形態2に係る空気ばねである。空気ばね7は、台車枠81に取り付けられている。より具体的には、空気ばね7の積層ゴム6の側が台車枠81に取り付けられている。
以下に実施形態3に係る台車の効果について説明する。
上記のとおり、実施形態3に係る台車は、実施形態1又は実施形態2に係る空気ばねである空気ばね7を有している。そのため、実施形態3に係る台車によると、外筒1から内筒2に向かう方向に垂直な方向に対して振動が加わったとしても、空気ばね7が破損することを抑制することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 外筒、11,11a,11b,11c,11d 外筒隆起部、12 底面、13 上面、14 可撓層、15 金属層、2 内筒、21 穴、3 ダイヤフラム、4 ストッパ、41 台座、41a 中央部、41b 分岐部、42 円筒部、43 ストッパ隆起部、43a 底面、43b 上面、43c 可撓層、43c 金属層、44 レバー、5 下面板、51 円筒状軸部、6 積層ゴム、7 空気ばね、81 台車枠、82 車軸、83 車輪、F 力、H,H1,H2,h1,h2,h3,h4 高さ、S ストローク幅。

Claims (7)

  1. 内筒と、
    前記内筒上に設けられた外筒と、
    前記外筒と前記内筒とに連結されたダイヤフラムと、
    前記内筒の周方向に対して回転可能に設けられたストッパとを備え、
    前記ストッパは、前記外筒側に向かって隆起し、かつ前記内筒上において前記周方向に沿って移動するストッパ隆起部を有しており、
    前記外筒は、前記内筒側に向かって隆起する複数の外筒隆起部を有しており、
    前記複数の前記外筒隆起部の各々は、高さが異なっており、
    前記外筒隆起部及び前記ストッパ隆起部のうちの少なくとも一方は、前記外筒から前記内筒に向かう方向に垂直な方向の変形に対して復元可能となっており、
    前記外筒隆起部及び前記ストッパ隆起部のうちの少なくとも一方は、底面と上面との間にある可撓層と、前記可撓層に積層されている金属層とを有している、空気ばね。
  2. 前記可撓層は、エラストマーである、請求項1に記載の空気ばね。
  3. 前記エラストマーは、ゴムである、請求項2に記載の空気ばね。
  4. 前記複数の前記外筒隆起部は、前記周方向に沿って前記高さの順に配列されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の空気ばね。
  5. 前記複数の前記外筒隆起部は、前記周方向に沿って前記高さの順に配列されており、
    前記ストッパ隆起部の数は複数であり、
    前記外筒は、前記複数の前記外筒隆起部の組を複数有しており、
    前記組の数は前記ストッパ隆起部の数に等しい、請求項1~3のいずれか1項に記載の空気ばね。
  6. 内筒と、
    前記内筒上に設けられた外筒と、
    前記外筒と前記内筒とに連結されたダイヤフラムと、
    前記内筒の周方向に対して回転可能に設けられたストッパとを備え、
    前記ストッパは、前記外筒側に向かって隆起し、かつ前記内筒上において前記周方向に沿って移動するストッパ隆起部を有しており、
    前記外筒は、前記内筒側に向かって隆起する外筒隆起部を有しており、
    前記外筒隆起部及び前記ストッパ隆起部のうちの少なくとも一方は、可撓層と金属層とを有しており、
    前記金属層は前記可撓層に積層されている、空気ばね。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の前記空気ばねを備える、台車。
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