JP7038419B2 - 注射容器内の液体へのガス溶解方法 - Google Patents

注射容器内の液体へのガス溶解方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7038419B2
JP7038419B2 JP2019172471A JP2019172471A JP7038419B2 JP 7038419 B2 JP7038419 B2 JP 7038419B2 JP 2019172471 A JP2019172471 A JP 2019172471A JP 2019172471 A JP2019172471 A JP 2019172471A JP 7038419 B2 JP7038419 B2 JP 7038419B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
syringe
liquid
injection container
pop
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019172471A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021048942A (ja
Inventor
総 橋本
善一 西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Doctorsman Co Ltd
Original Assignee
Doctorsman Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Doctorsman Co Ltd filed Critical Doctorsman Co Ltd
Priority to JP2019172471A priority Critical patent/JP7038419B2/ja
Publication of JP2021048942A publication Critical patent/JP2021048942A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7038419B2 publication Critical patent/JP7038419B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、注射器状の容器内に収容された医療用液体内に例えば水素ガス等のガスを良好に溶解させることができる注射容器内の液体へのガス溶解方法に関する。
本出願人は、ペットボトル等の液体容器内に収容されている飲料水に水素ガスを添加する水素添加システムを既に提案している(特許文献1及び2参照)。
特許文献1に記載の水素添加システムは、水素添加サーバの開閉手段と、液体容器の開閉手段とを互いに着脱可能に接続して構成され、水素添加サーバの圧力調整バルブでガス圧を調整し、液体容器内の圧力を高めて、所望濃度で液体容器内の液体に水素ガスを添加するように構成されている。ここで、水素添加サーバは、水素吸蔵合金を収容した水素吸蔵合金容器と、当該水素吸蔵合金容器を所定温度に加温する保温器と、流路の開閉を切り替える切り替えバルブと、外部の水素ガス供給路に接続されたとき開通し、当該接続が断たれたとき閉じる開閉手段と、水素吸蔵合金容器から切り替えバルブに至る第1流路と、切り替えバルブから開閉手段に至る第2流路と、第1流路に設けた圧力調整バルブとを備えている。液体容器は、容器本体に着脱可能なキャップを備えた液体容器であって、このキャップは、外部の水素ガス供給路に接続されたとき開通し、当該接続が断たれたとき閉じる開閉手段を備えている。
また、特許文献2に記載の水素添加システムは、水から圧力制御下で水素ガスを取り出す水素ガス発生装置と、当該水素ガス発生装置で発生した水素ガスを外部に供給する水素ガス供給路と、当該水素ガス供給路に接続されたとき開通し、当該接続が断たれたとき閉じる開閉手段によって当該水素ガス供給路に着脱可能に連通されているとともに、内部に液体を収容可能な液体容器とを備え、この水素ガス発生装置は、水素ガスのガス圧を可変に制御できるように構成されている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載された水素添加システムは、いずれも、ペットボトル等の容器に収容された飲料水に水素ガスを添加するものであり、注射容器内に収容された液体に水素ガスを溶解させるものではない。また、水素を溶解させる液体は飲料水である。
特許第5710039号公報 特許第5710050号公報
医療用液体を収容する容器として、注射容器が存在する。この注射容器は、シリンジ内を密封的に摺動可能なパッキン(シール部材)によって一端部が密閉されており、パッキンを押圧して摺動させることにより、他端部の開口から医療用液体が排出されるように構成されている。
このような注射容器内に他端部の開口を介して水素ガス等のガスを注入する場合、注入するガスの圧力の作用でパッキンが一端部方向に移動し、シリンジ外部へ外れてしまうおそれが多分にあった。このため、従来技術では、注射容器内に充分な圧力でガスを充填し、内部に収容されている医療用液体に充分な濃度となるまでガスを溶解させることが不可能であった。
従って本発明の目的は、注射容器内に収容されている医療用液体へガスを簡単な操作で充分な濃度まで溶解させることができる注射容器内の液体へのガス溶解方法を提供することにある。
本発明によれば、シリンジ内を密封的に摺動可能なシール部材によって一端部が密閉される注射容器内に収容された医療用液体にガスを溶解させるガス溶解方法が提供される。この方法によれば、シリンジの一端部にシール部材の飛び出し防止具を装着し、シリンジの他端部に接続された供給路を介してガス供給源からのガスをシリンジ内に圧入し、シリンジ内部を外気に開放しない状態で供給路をガス供給源から切り離し、ガス供給源を切り離した状態でシリンジを振動させてガスを医療用液体内に溶解させ、ガスを溶解させたシリンジを外気に開放して内部の圧力を低減させ、その後、飛び出し防止具をシリンジから取り外す。
このように、本発明によれば、シリンジにシール部材の飛び出し防止具を装着した後、ガス供給源からのガスをシリンジ内に圧入し、シリンジ内部を外気に開放しない状態でガス供給源から切り離し、シリンジを振動させてガスを医療用液体内に溶解させ、シリンジを外気に開放して内部の圧力を低減させ、その後、飛び出し防止具をシリンジから取り外している。このように、最初にシール部材の飛び出し防止具が装着されるので、注射容器内に収容されている医療用液体へガスを圧入しても、ガス圧によってシール部材がシリンジから飛び出すことを未然に防止でき、ガスを、充分な圧力までシリンジ内に注入して必要とする濃度まで溶解させることができる。従って、本発明によれば、作業現場において、簡単な操作を行うのみで、素早く、注射容器内に収容されている医療用液体に所望濃度のガスを溶解させることができる。
この切り離しを、ガス供給源からシリンジに供給されるガスの圧力が所定圧力となった際に行うことが好ましい。
この場合、所定圧力が、0.1MPa~0.4MPa(ゲージ圧)の範囲にあることがより好ましい。
シリンジを外気に開放して内部の圧力を低減させた後、シール部材を他端部の方向に摺動させることも好ましい。
この場合、飛び出し防止具の軸中央部に設けられた貫通孔内を移動可能な棒材によりシール部材を押圧することによってシール部材を摺動させることがより好ましい。
また、飛び出し防止具をシリンジから取り外した後、棒材によりシール部材を押圧することによってシール部材を摺動させることもより好ましい。
飛び出し防止具を、シリンジのフィンガーフランジ部を挟んで固定されるようにシリンジに装着することも好ましい。
供給路を、除菌フィルタを介してシリンジの他端部に接続することも好ましい。
ガスが水素ガスであり、ガス供給源が水素ガスを供給する水素吸蔵合金キャニスタであることも好ましい。
医療用液体が造影剤、点滴液、輸血液、又は生理食塩水であることも好ましい。
本発明によれば、最初にシール部材の飛び出し防止具が装着されるので、注射容器内に収容されている医療用液体へガスを圧入しても、ガス圧によってシール部材がシリンジから飛び出すことを未然に防止でき、ガスを充分な圧力までシリンジ内に注入し必要とする濃度まで溶解させることができる。従って、本発明によれば、作業現場において、簡単な操作を行うのみで、素早く、注射容器内に収容されている医療用液体に所望濃度のガスを溶解させることができる。
本発明の一実施形態における注射容器内の医療用液体にガスを溶解させるガス溶解装置の全体構成を概略的に示す図である。 図1の実施形態の注射容器において、プランジャがシリンジ内に挿入されかつシール部材に連結された状態を示す側面図である。 図1の実施形態の注射容器において、プランジャをシリンジから取り外した状態を示す側面図である。 図1の実施形態におけるガス溶解装置を用いたガス溶解方法の一工程を示す斜視図である。 図1の実施形態におけるガス溶解装置を用いたガス溶解方法の一工程を示す斜視図である。 図1の実施形態におけるガス溶解装置を用いたガス溶解方法の一工程を示す斜視図である。 図1の実施形態におけるガス溶解方法で用いられる飛び出し防止具の構成を示す(A)側面図、(B)断面図、(C)使用状態の断面図である。 図1の実施形態におけるガス溶解装置を用いたガス溶解方法の一工程を示す斜視図である。 図1の実施形態におけるガス溶解装置を用いたガス溶解方法の一工程を示す斜視図である。 図1の実施形態におけるガス溶解装置を用いたガス溶解方法の一工程を示す斜視図である。 図1の実施形態におけるガス溶解方法で用いられる棒材の構成を示す、(A)側面図、(B)正面図である。 水素ガス圧力と溶存水素濃度の時間経緯を測定した結果を表す特性図である。 本発明の他の実施形態におけるガス溶解方法で用いられる飛び出し防止具の構成を示す(A)側面図、(B)断面図、(C)使用状態の断面図である。 本発明のさらに他の実施形態におけるガス溶解方法で用いられる飛び出し防止具の構成を示す(A)側面図、(B)断面図、(C)使用状態の断面図である。
図1は本発明の一実施形態における注射容器内の医療用液体にガスを溶解させるガス溶解装置の全体構成を概略的に示しており、図2は図1の注射容器において、プランジャがシリンジ内に挿入されかつシール部材に連結された状態を示しており、図3は図1の注射容器において、プランジャをシリンジから取り外した状態を示している。
これらの図において、10は円筒形状のシリンジ11とプランジャ12とから主として構成される注射容器を示している。プランジャ12は、注射器として使用する際にシリンジ11内に挿入されて先端部がシール部材13に固定されている。シール部材13は、注射容器10のシリンジ11内に挿入され、このシリンジ11に沿って密封的に摺動可能なパッキンである。シール部材13によってシリンジ11の一端部(後端部)11aが密閉されることによって、液体を収容する空間が形成される。シリンジ11の他端部(先端部)11bは開口しているが、この注射容器10を使用しない場合の保護のために、保護キャップ14が被着されている。シリンジ11の一端部11aには、シリンジ11の他の部分より径が大きく設定されており、プランジャ12をシリンジ11内に押し込む際に指を支えるフィンガーフランジ11cが設けられている。シリンジ11内の空間には、例えば造影剤、点滴液、輸血液、生理食塩水、又はその他の液体であり、水素ガスを溶解させる対象である医療用液体15が収容されている。
シリンジ11は内部の医療用液体15が外部から見えるように透明なプラスチック材料で形成されており、プランジャ12もプラスチック材料で形成されている。シール部材13はゴム等の弾性材料で形成されており、その後端部(シリンジ11の一端部11a側)には、雌ネジ孔13a(図7(C)、図13(C)及び図14(C)参照)が形成されている。この雌ネジ孔13aにプランジャ12の先端部に設けられた雄ネジ12aが螺合することによって、プランジャ12がシール部材13に連結固定される。
本実施形態においては、単なる一例であるが、注射容器10として、医療用液体15としてCT造影剤が収容されたエーザイ株式会社製の「イオメロン350注シリンジ50mL」が使用されている。しかしながら、他の造影剤、点滴液、輸血液、生理食塩水、又はその他の液体である医療用液体15を収容した注射容器を使用しても良いことはもちろんである。
図1に示すように、シリンジ11の、保護キャップ14を外した他端部11bには、注射器用の除菌フィルタであるフィルタ16の一端が例えば螺合によって接続される。このフィルタ16としては、例えばアドバンテック東洋株式会社製のシリンジフィルタDISMIC 25AS045ANが使用可能である。このような除菌フィルタ16を用いて流路を無菌処理して使用すれば、シリンジ11内の医療用液体15は無菌状態が完全に維持した状態で水素ガスを溶解させることができる。
フィルタ16の他端には、プラスチック製(例えばアクリル樹脂製)のチューブ17の一端が図示しないフィッティングを介して接続されている。チューブ17としては、例えば、グンゼPTAチューブ(NSP-6×4)が使用可能である。チューブ17の他端にはワンタッチカプラ18のプラグ18aが連結されている。ワンタッチカプラ18は、チューブ17の一端と圧力計付連結管19の一端とをワンタッチで接続及び接続解除(切り離し)するものであり、プラグ18aとソケット18bとから構成されている。圧力計付連結管19としては、例えば、SUS製1/8チーズの中央部の垂直端に圧力計19aを連結し、一端にワンタッチカプラ18のソケット18bを1/8雄ネジで接続し、他端に水素ガス供給源をSUS製ニップルで接続したものが使用可能である。ワンタッチカプラ18は、プラグ18aをソケット18bに差し込むことで接続され、ソケット18bのプッシュボタンを押すことで接続解除される。本実施形態においてこのワンタッチカプラ18は、プラグ18a及びソケット18b共に内部に弁(バルブ)をそれぞれ持つ構造となっている。このため、プラグ18aをソケット18bに接続した際は内部を流体が両方向に流通可能となるが、プラグ18aとソケット18bとを接続解除した際はプラグ18aもソケット18bも閉止され流体の流通が阻止されるように構成されている。本実施形態においては、このワンタッチカプラ18として、市販の一般的なプラスチック製の流体継手である、例えば日東工器株式会社のキューブカプラ(登録商標)を使用している。
図1に示すように、圧力計付連結管19の他端は水素ガス供給源の一例である水素吸蔵合金キャニスタ20に接続されている。水素吸蔵合金キャニスタ20は、発熱反応及び吸熱反応により常温、低圧下で可逆的に水素の吸放出が可能な水素吸蔵合金を内部に収容したボンベ状の容器であり、一般に市販されている(例えばワイエムシイ株式会社製)。この水素吸蔵合金キャニスタ20は、内部圧力を0~0.99MPaに設定することができ、1MPa以上にならないため高圧ガス保安法でいう高圧ガスには該当しない。従って、オフィスや病院内で手軽に利用することができる。また、容器のサイズも直径数cm、高さ10cm程度まで小さく設計することが可能である。さらに、水素吸蔵合金は、水素を消耗した後でも再吸収により利用可能となるため、繰返し利用によるコストダウンというメリットがある。このように、水素吸蔵合金キャニスタ20によれば、軽量及びコンパクトでありながら安全に高純度の水素ガスを供給可能であり、しかも繰り返し使用が可能である。
図1において、さらに、21はシール部材13の飛び出し防止具を示している。ただし、同図においてこの飛び出し防止具21はシリンジ11に装着されていない状態で表されている。飛び出し防止具21は、共にプラスチック材料で形成されたシリンジホルダ部22とキャップ部23とから構成されており、シリンジホルダ部22には貫通孔22aが同軸に形成されている。この貫通孔22aの径は、シリンジ11のフィンガーフランジ11cの外径より小さく設定されている。シリンジホルダ部22にはその一端部の外周壁に雄ネジ部22bが形成されている。一方、キャップ部23には貫通孔23aが同軸に形成されており、内周壁に雌ネジ部23bが形成されている。さらに、キャップ部23aには、シール部材13が当接してその飛び出しを阻止するための当接部23cが同軸に形成されている。
以下、このようなガス溶解装置を用いて注射容器10のシリンジ11内の医療用液体15に水素ガスを溶解させる方法について説明する。図4~図6、及び図8~図10は本実施形態におけるガス溶解方法の各工程を示している。
初期状態においては、注射容器10は、図2に示すように、シリンジ11内にプランジャ12が挿入固定されており、シリンジ11の他端部11bには保護キャップ14が被着されている。
まず、図3に示すように、シリンジ11からプランジャ12を取り外し、さらに、保護キャップ14を取り外す。
次いで、図4に示すように、シリンジ11の他端部11bにフィルタ16の一端を螺合させ、さらに、このフィルタ16の他端に、チューブ17の一端をフィッティングを介して接続する。このチューブ17の他端にはワンタッチカプラ18のプラグ18aが連結されている。この作業は、シリンジ11内部の医療用液体15がフィルタ16に接触しないように、シリンジ11を直立させた状態で行うことが望ましい。
次いで、図5に示すように、シリンジ11に飛び出し防止具21のシリンジホルダ部22を装着する。この装着は、シリンジ11をその他端部11b側からシリンジホルダ部22の貫通孔22a内に挿通させ、シリンジ11のフィンガーフランジ11cを飛び出し防止具21のシリンジホルダ部22の先端の内壁に当接させることによって行われる。次いで、図6に示すように、キャップ部23をフィンガーフランジ11cを挟んでシリンジホルダ部22に当接させ、シリンジホルダ部22の雄ネジ部22b(図7参照)とキャップ部23の雌ネジ部23b(図7参照)とを螺合させることによりキャップ部23をシリンジホルダ部22に固着させる。
図7は本実施形態における飛び出し防止具21の構成及び使用状態を示している。即ち、同図(A)はキャップ部23を軸方向外側から見た状態を示しており、同図(B)はフィンガーフランジ11cを間に挟まない状態で互いに螺合したシリンジホルダ部22及びキャップ部23を断面で示しており、同図(C)はフィンガーフランジ11cを間に挟んだ状態で互いに螺合したシリンジホルダ部22及びキャップ部23を断面で示している。
同図(C)から分かるように、飛び出し防止具21は、シリンジホルダ部22及びキャップ部23間にシリンジ11のフィンガーフランジ11cを挟んだ状態で、シリンジホルダ部22及びキャップ部23が互いに螺合することによって、シリンジ11に装着される。これによって、水素ガス圧入時にシリンジ11内の圧力が高くなってシール部材13が矢印26方向に移動しても最終的にキャップ部23aの当接部23cに当接しそれ以上の軸方向(シリンジ11の一端部11a方向)の移動が阻止されるので、シール部材13がシリンジ11の一端部11aから外部に飛び出すことはない。
次いで、図8に示すように、ワンタッチカプラ18のプラグ18aをソケット18bに接続する。これにより、ワンタッチカプラ18内の閉止弁(バルブ)が開成され、水素吸蔵合金キャニスタ20からの水素ガスが、圧力計付連結管19、ワンタッチカプラ18、チューブ17、及びフィルタ16からなる供給路を介してシリンジ11内に圧入される。シリンジ11内の圧力が高くなることにより、シール部材13がガスに押圧され、同図に示すように、シリンジ11の一端部(後端部)11aの方向に摺動するが、上述のように、シール部材13は飛び出し防止具21のキャップ部23の当接部23cに押し当たることにより、それ以上先には進むことがなく、従って、シール部材13がシリンジ11から外部に飛び出すような不都合は生じない。
流路内の内部圧力、即ちシリンジ11内の圧力が0.1MPa~0.4MPa(ゲージ圧)の範囲の所定圧力となった際に、ワンタッチカプラ18を接続解除状態とし、水素吸蔵合金キャニスタ20を切り離す。接続解除状態としても、ワンタッチカプラ18のソケット18b内の閉止弁(バルブ)が閉成されるため、水素吸蔵合金キャニスタ20から水素ガスが漏れ出すことはない。また、ワンタッチカプラ18のプラグ18a内の閉止弁(バルブ)も閉成されるため、チューブ17、及びフィルタ16からなる供給路と、シリンジ11との内部圧力は上述した範囲の所定圧力に維持されている。図9はこの状態を表している。
この状態で、ワンタッチカプラ18のプラグ18a、チューブ17、フィルタ16、シリンジ11、及び飛び出し防止具21を、例えば手で持って、激しく振動させることによって、シリンジ11の医療用液体15内に水素ガスをより多く溶解させる。振動の時間は、30秒以上であることが望ましい。
最適な振動時間を求めるため、全体容量が1,550mLの容器(可撓性容器)に1Lの水道水を入れ、残りの空気の容積が50mLとなるまでこの容器を押しつぶした後に、水素ガスを内圧が0.05MPaとなるまで注入し密閉した。その後、容器を1時間振らずに静置したもの、10秒間振って混合したもの、30秒間振って混合したもの、1分間振って混合したもの、2分間振って混合したもの、の内容液の溶存水素濃度をバイオニクス機器株式会社製のBIH-50D計測器で計測した。さらに、溶解溶存水素濃度の最大溶解度をヘンリーの法則に従って算出すると、液体への水素ガス溶解量の最大値は2.40ppm(mg/L)となり、この最大溶解量から、振った時間の効率差を求めると、次の表1のようになる。
Figure 0007038419000001
この表1より、30秒より多くの時間振り混ぜることで69.6%以上の溶解効率が得られることが分かった。従って、振動は30秒間以上行うことが望ましい。
次いで、図10に示すように、ワンタッチカプラ18のプラグ18aに、開放用のジョイント24を連結することにより、シリンジ11内の不要な気体(水素ガス)を抜いて内部圧力を大気圧まで低減する。このジョイント24としては、市販の一般的なプラスチック製の流体継手である、例えば日東工器株式会社のキューブカプラ(登録商標)の閉止弁(バルブ)なしのソケットを使用可能である。さらに、飛び出し防止具21のキャップ部23に設けられている貫通孔23a(図7参照)内にガス抜き棒25(本発明の棒材に対応)を挿入し、その先端25cをシール部材13に押し当ててこのシール部材13をシリンジ11内の元の方向へ摺動させる。図11はこのガス抜き棒25の一例を示している。ガス抜き棒25は大径の円柱状の基部25aとこれより小径の円柱状の棒状部25bとから構成されており、棒状部25bの径は、当然のことながら、キャップ部23の貫通孔23aの径より小さく設定されている。このガス抜き棒25は、プラスチック材料、金属材料又は木材で形成される。
その後、シリンジ11の他端部11bからフィルタ16を取り外し、その部分に保護キャップ14を取り付け、ガス抜き棒25を取り外し、さらに、飛び出し防止具21を取り外すことにより、水素ガスを溶解させた医療用液体15が収容された注射容器10が得られる。
以上説明したように、本実施形態によれば、シリンジ11の一端部11aにシール部材13の飛び出し防止具21を装着し、シリンジ11の他端部11bに接続された供給路を介して水素吸蔵合金キャニスタ20からの水素ガスをシリンジ11内に圧入し、シリンジ11内部を外気に開放しない状態で供給路を水素吸蔵合金キャニスタ20から切り離し、この水素吸蔵合金キャニスタ20を切り離した状態でシリンジ11を振動させて水素ガスを医療用液体15内に溶解させ、水素ガスを溶解させたシリンジ11を外気に開放して内部の圧力を低減させ、その後、飛び出し防止具21をシリンジ11から取り外している。最初にシール部材13の飛び出し防止具21が装着されるので、注射容器10内に収容されている医療用液体15へ水素ガスを圧入しても、ガス圧によってシール部材13がシリンジ11から飛び出すことを未然に防止でき、ガスを充分な圧力までシリンジ11内に注入し必要とする濃度まで溶解させることができる。従って、作業現場において、簡単な操作を行うのみで、素早く、注射容器10内に収容されている医療用液体15に所望濃度の水素ガスを溶解させることができる。
本実施形態の水素ガス溶解方法により、注射容器10内に収容されたCT造影剤に水素ガスを溶解させ、その溶存水素濃度の時間経過による変化を実際に試験した。
1.試験方法
シリンジ11として、造影剤が収容されているエーザイ株式会社製の「イオメロン350注シリンジ50mL」を用いた。水素ガスの充填圧は、試験1ではゲージ圧が0.1MPa(絶対圧:0.2MPa)、試験2ではゲージ圧が0.4MPa(絶対圧:0.5MPa)とし、初期、15分後及び30分後の計3回測定した。濃度測定機としては、生体ガス測定システム(株式会社タイヨウ製のトライライザーmBA-3000)を用いた。測定は、前述の方法で水素ガスを充填したシリンジ11から、マイクロシリンジで直接サンプル採取し、100μLのサンプリング瓶へ入れ、60秒放置した。次いで、サンプリング瓶から1mLの水素ガスを抜き取り生体ガス測定システムに注入して濃度測定を行った。水素のピークRTは約60秒、測定に要した時間はサンプル1つに4分50秒、n=3で測定しその平均値を取った。
2.試験結果
次の表2及び図12はこの試験結果を示している。
Figure 0007038419000002
この表2及び図12より、水素ガスを充填した際にその充填圧を0.1MPa(ゲージ圧)とすれば、充填時には1.64ppmという溶存水素濃度、充填から30分後であっても1.14ppmと充分な溶存水素濃度が維持できた。充填圧を0.4MPa(ゲージ圧)とすれば、充填時には2.99ppmという非常に高い溶存水素濃度、充填から30分後にも2.22ppmいう高い溶存水素濃度を維持できた。
次に、本発明の他の実施形態におけるガス溶解装置について説明する。
本実施形態のガス溶解装置においては、図1~図11の実施形態における飛び出し防止具21に代えて、図13に示す飛び出し防止具21′が用いられる。即ち、本実施形態における飛び出し防止具21′は、シリンジホルダ部22′とキャップ部23′とから構成されており、キャップ部23′にはガス抜き棒用の同軸の貫通孔が設けられてはおらず、空気抜きのための軸方向の小さな貫通孔23a′が設けられている。従って、本実施形態においては、シール部材13のシリンジ11内の元の方向への摺動は、この飛び出し防止具21′を取り外した後に、プランジャ12の先端をシール部材13に押し当てることによって行う。本実施形態のその他の構成及び作用効果は図1~図11の実施形態の場合と同様である。
次に、本発明のさらに他の実施形態におけるガス溶解装置について説明する。
本実施形態のガス溶解装置においては、図1~図11の実施形態における飛び出し防止具21に代えて、図14に示す飛び出し防止具21″が用いられる。即ち、本実施形態における飛び出し防止具21″は、シリンジホルダ部22″とキャップ部23″とから構成されており、キャップ部23″にはガス抜き棒用の同軸の貫通孔が設けられてはおらず、空気抜きのためのキャップ部23″の放射方向の小さな貫通溝23a″が設けられている。従って、本実施形態においては、シール部材13のシリンジ11内の元の方向への摺動は、この飛び出し防止具21″を取り外した後に、プランジャ12の先端をシール部材13に押し当てることによって行う。本実施形態のその他の構成及び作用効果は図1~図11の実施形態の場合と同様である。
以上述べた実施形態及び実施例は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
10 注射容器
11 シリンジ
11a 一端部
11b 他端部
11c フィンガーフランジ
12 プランジャ
12a 雄ネジ
13 シール部材
13a 雌ネジ孔
14 保護キャップ
15 医療用液体
16 フィルタ
17 チューブ
18 ワンタッチカプラ
18a プラグ
18b ソケット
19 圧力計付連結管
19a 圧力計
20 水素吸蔵合金キャニスタ
21、21′、21″ 飛び出し防止具
22、22′、22″ シリンジホルダ部
22a、23a、23a′ 貫通孔
22b 雄ネジ部
23、23′、23″ キャップ部
23a″ 貫通溝
23b 雌ネジ部
23c 当接部
24 ジョイント
25 ガス抜き棒
25a 基部
25b 棒状部
25c 先端
26 矢印

Claims (11)

  1. シリンジ内を密封的に摺動可能なシール部材によって一端部が密閉される注射容器内に収容された医療用液体にガスを溶解させるガス溶解方法であって、
    前記シリンジの前記一端部に前記シール部材の飛び出し防止具を装着し、前記シリンジの他端部に接続された供給路を介してガス供給源からのガスを前記シリンジ内に圧入し、前記シリンジ内部を外気に開放しない状態で前記供給路を前記ガス供給源から切り離し、該ガス供給源を切り離した状態で前記シリンジを振動させてガスを前記医療用液体内に溶解させ、前記ガスを溶解させた前記シリンジを外気に開放して内部の圧力を低減させ、その後、前記飛び出し防止具を前記シリンジから取り外すことを特徴とする注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  2. 前記切り離しを、前記ガス供給源から前記シリンジに供給されるガスの圧力が所定圧力となった際に行うことを特徴とする請求項1に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  3. 前記所定圧力が、0.1MPa~0.4MPaの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  4. 前記シリンジの振動を、30秒間以上行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  5. 前記シリンジを外気に開放して内部の圧力を低減させた後、前記シール部材を前記他端部の方向に摺動させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  6. 前記飛び出し防止具の軸中央部に設けられた貫通孔内を移動可能な棒材により前記シール部材を押圧することによって前記シール部材を摺動させることを特徴とする請求項5に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  7. 前記飛び出し防止具を前記シリンジから取り外した後、棒材により前記シール部材を押圧することによって前記シール部材を摺動させることを特徴とする請求項5に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  8. 前記飛び出し防止具を、前記シリンジのフィンガーフランジ部を挟んで固定されるように前記シリンジに装着することを特徴とする1から7のいずれか1項に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  9. 前記供給路を、除菌フィルタを介して前記シリンジの前記他端部に接続することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  10. 前記ガスが水素ガスであり、前記ガス供給源が水素ガスを供給する水素吸蔵合金キャニスタであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
  11. 前記医療用液体が造影剤造影剤、点滴液、輸血液、又は生理食塩水であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の注射容器内の液体へのガス溶解方法。
JP2019172471A 2019-09-24 2019-09-24 注射容器内の液体へのガス溶解方法 Active JP7038419B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019172471A JP7038419B2 (ja) 2019-09-24 2019-09-24 注射容器内の液体へのガス溶解方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019172471A JP7038419B2 (ja) 2019-09-24 2019-09-24 注射容器内の液体へのガス溶解方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021048942A JP2021048942A (ja) 2021-04-01
JP7038419B2 true JP7038419B2 (ja) 2022-03-18

Family

ID=75154866

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019172471A Active JP7038419B2 (ja) 2019-09-24 2019-09-24 注射容器内の液体へのガス溶解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7038419B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001346856A (ja) 2000-06-09 2001-12-18 Taiyo Toyo Sanso Co Ltd 注射器へのガス剤導入用治具
JP5710050B1 (ja) 2014-05-23 2015-04-30 株式会社ドクターズ・マン 水素添加システム、および当該システムに使用する液体容器

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4769241A (en) * 1986-09-23 1988-09-06 Alpha Therapeutic Corporation Apparatus and process for oxygenation of liquid state dissolved oxygen-carrying formulation

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001346856A (ja) 2000-06-09 2001-12-18 Taiyo Toyo Sanso Co Ltd 注射器へのガス剤導入用治具
JP5710050B1 (ja) 2014-05-23 2015-04-30 株式会社ドクターズ・マン 水素添加システム、および当該システムに使用する液体容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021048942A (ja) 2021-04-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2348395C2 (ru) Устройство и способ срочного приготовления индивидуального количества стерильного текучего вещества
JP4949300B2 (ja) 骨セメント注入具
US7998106B2 (en) Safety dispensing system for hazardous substances
PL1796761T3 (pl) Urządzenie do wytwarzania pianki medycznej
US4248223A (en) Self-priming parenteral administering apparatus
JPH0663055A (ja) 滅菌液体送出用の高圧液体ディスペンサ
EP4292576A3 (en) Gas permeable sealing member for drug container and methods of assembly
US2965936A (en) Sterilizing apparatus employing gas
JPH02500809A (ja) バツクフイル注射器
WO2009119496A1 (ja) 医薬品容器
JP2016521627A (ja) 携帯型流体送出システム
KR102361869B1 (ko) 무균 커넥터
DK164487B (da) Beholder til steril opbevaring af vaeske, saasom infusionsvaeske eller skyllevaeske
US2842123A (en) Pressurized transfusion apparatus
WO2006096960A1 (en) Controlled flow adapter for medical fluid containers
NZ544741A (en) Device for the dosed delivery of a fluid, such as an infuser, using CO2 produced from the mixing of an base and an acid
JP2018515266A (ja) 医療用液体を導く接続アセンブリ
JP2010508074A (ja) 自動ガス充填用消耗品
JP7038419B2 (ja) 注射容器内の液体へのガス溶解方法
TW201304764A (zh) 在氣態介質中在壓力作用下用於保存血液或其成分之系統、方法及裝置
JP3224325U (ja) シール部材の飛び出し防止具
JP3150696U (ja) 固定液バッグ
US20200146939A1 (en) Transfer Device for Fluid Transmission
JP6027411B2 (ja) 造影剤供給装置及び造影剤供給方法
WO2020217567A1 (ja) 水素ガス溶解方法及び水素ガス溶解装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210602

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220301

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7038419

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150