JP7037323B2 - 通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、通信装置に関する。
従来、この種の装置としては、例えば、特許文献1に記載の通信装置がある。これによれば、電話回線-商用電源ライン間にかかる雷サージに対しては、電話回線と商用電源ラインとの間に、アレスタとバリスタとを接続することで通信装置を保護している。これは、商用電源ラインが日本のように2芯の国は、欧米と異なり、通信装置が接地されない場合が多いため、電話回線にかかる雷サージをアレスタとバリスタを介して電源ラインに逃がすようにするものである。
一方、近年、電気安全法の規格改正(JISC6950-1:2012)が行われ、これにより電話回線と商用電源ライン間をアレスタとバリスタを介して接続するという構成が認められなくなった。このため、電話回線-商用電源ライン間にかかる雷サージを電源ラインに逃がすことができなくなる。しかしながら、このようなアレスタとバリスタを接続しない場合、電話回線-商用電源ライン間にかかる雷サージのほとんどが電話回線-接地間にかかってしまうため通信装置が破壊してしまう。
これは、電話回線や商業電源ラインには、ノイズ除去のために、接地との間にYコンと呼ばれるコンデンサが各々接続され、これらYコンにより電話回線と商業電源ラインが接地を介して結合されているためである。即ち、雷サージは、これら二つのYコンの容量に応じて分圧されるが、通常、商業電源ラインのYコンの容量に対して電話回線のYコンの容量が小さいため、雷サージのほとんどが電話回線のYコン、即ち、電話回線-接地間にかかってしまうことになる。
このように電気安全法の規格改正に対応するためには、雷サージのほとんどが電話回線-接地間にかかってしまうことを防ぐ必要があり、雷サージを、電話回線-接地間と商業電源ライン-接地間で通信装置が破壊しないように適度に分担する必要がある。
一般的には、電話回線-接地間にアレスタとバリスタを配置して接続することにより、電話回線-接地間に一定の雷サージがかかるようにして、残りの雷サージが商業電源ライン-接地間にかかるように分担し合うよう構成することが知られている。
特開2016-54406号公報
上述のように、電話回線-接地間にアレスタとバリスタを接続することにより、電気安全法の規格改正に対応できるが、複数の電話回線を有する通信装置では、これらを各々の電話回線に接続する必要があり、複数個のバリスタが必要となる。
しかしながら、バリスタは外形が大きい部品であり、また電話回線に接続されるため、周辺部品や周辺板金との絶縁距離を確保しなければならず、実装面積や占有面積が大きくなってしまうという課題がある。またバリスタは比較的高価な部品であるため、複数個のバリスタが必要になるとコストアップにつながるという課題がある。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することにある。
本発明の目的は、部品点数を削減してコストを低減し、更にその実装面積や占有面積を低減して雷サージから保護できる技術を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る通信装置は以下のような構成を備える。即ち、
それぞれが2線からなる複数の電話回線に接続できる通信装置であって、
前記複数の電話回線と接続される複数の通信ユニットと、
前記複数の電話回線に、それぞれの一方の端子を介して接続された複数のアレスタと、
前記複数のアレスタのそれぞれの他方の端子と接地との間に共通に接続された一つのバリスタと、
商用電源ラインに接続されて前記複数の通信ユニットに供給する電源を生成する電源回路と、を有し、
前記複数のアレスタと前記バリスタにより、少なくとも前記複数の通信ユニットを雷サージから保護し、
前記複数のアレスタのそれぞれは、当該アレスタのスイッチング電圧よりも高い電圧が印加されると導通し、
前記バリスタは、当該バリスタのスイッチング保持電圧よりも高い電圧が印加されると導通し、前記スイッチング保持電圧を維持するように動作し、
前記電源回路は、前記商用電源ラインの2線の間に接続された保護用のバリスタと、前記2線と接地との間に接続されたノイズ除去のための2つのコンデンサを含み、
前記複数の通信ユニットのそれぞれの絶縁耐圧F(kV)、前記電源回路の絶縁耐圧P(kV)、雷サージのサージ電圧をS(kV)とすると、前記スイッチング保持電圧のV(kV)は、
(S-P)<V<F
を満足することを特徴とする。
本発明によれば、複数の電話回線でバリスタ共有することにより、部品点数を削減してコストを低減でき、更にその実装面積や占有面積を低減して雷サージから保護できるという効果がある。
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
本発明の実施形態1に係るファクシミリ装置の全体構成を説明するブロック図。 実施形態1に係るファクシミリ装置のシステム制御回路101の構成を説明するブロック図。 実施形態1に係るファクシミリ装置の雷サージ保護動作を説明するためのブロック図。 本発明の実施形態2に係るファクシミリ装置の雷サージ保護動作を説明するブロック図。 実施形態に係るファクシミリ装置における実装上の特徴を説明するためのブロック図。 実施形態に係るアレスタ1とバリスタの動作を説明する図。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。尚、以下の実施形態では本発明に係る通信装置をファクシミリ装置を例に説明するが、本発明に係る通信装置は、ファクシミリ装置に限定されるものではない。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るファクシミリ装置100の全体構成を説明するブロック図である。
ファクシミリ装置100は、複数の電話回線、ここでは例えば3つの電話回線1~3に接続でき、電話回線1~3の各々に接続された通信ユニット110,130,150を有している。尚、ここで電話回線として説明するが、例えばインターネット回線やケーブルテレビなどの通信回線であっても良い。ファクシミリ装置100は、その他に、装置全体を制御するシステム制御回路101、商用電源ライン(AC100Vライン171,172)に接続された電源ユニット170、複数の電話回線1~3の雷サージ保護回路であるアレスタ102,103,104とバリスタ105を備えている。
通信ユニット110は、電話回線1(Tip111、Ring112)に接続され、バリスタ113、コンデンサ114,115、回線インタフェース回路であるNCU回路116、ファクシミリ通信用モデムであるモデム回路117を有する。バリスタ113は、Tip111とRing112との線間に配置され、電話回線1から入り込むノーマルモードの雷サージ電圧/電流から、ファクシミリ装置100を保護する雷サージ保護回路である。コンデンサ114,115は、各々Tip111と接地間、Ring112と接地間に配置され、電話回線1から流出入するノイズを除去するノイズフィルタ(Yコン)である。回線インタフェース回路であるNCU回路116は、国によって指定される電話回線規格を満足するとともに、電話回線上を伝達する信号を、2線4線変換し、受信信号(Rx)118と送信信号(Tx)119とを、モデム回路117との間で受け渡しする。NCU回路116は、主に半導体化されたデータアクセス装置(シリコンDAA)が用いられている。モデム回路117は、システム制御回路101と接続され、システム制御回路101の制御に基づいて動作する変復調器である。モデム回路117は、ファクシミリ送信の対象となる画像データをシステム制御回路101より信号線120を介して受け取り、変調処理を行った後、送信信号(Tx)119によりNCU回路116に渡して電話回線1より送信する。またモデム回路117は、電話回線1より受信したファクシミリ信号を、NCU回路116からの受信信号(Rx)118により受け取り、復調処理を行った画像データとして、信号線120を介してシステム制御回路101に渡す。
通信ユニット130は、電話回線2(Tip131、Ring132)に接続され、バリスタ133、コンデンサ134,135、回線インタフェース回路であるNCU回路136、ファクシミリ通信用モデムであるモデム回路137を有する。NCU回路136、モデム回路137、及び信号線140、受信信号(Rx)138と送信信号(Tx)139の動作は、通信ユニット110の場合と同様であるため、その説明を省略する。
また、通信ユニット150は、電話回線3(Tip1511、Ring152)に接続され、バリスタ153、コンデンサ154,155、回線インタフェース回路であるNCU回路156、ファクシミリ通信用モデムであるモデム回路157を有する。NCU回路156、モデム回路157、及び信号線160、受信信号(Rx)158と送信信号(Tx)159の動作は、通信ユニット110の場合と同様であるため、その説明を省略する。
電源ユニット170は、2芯の商用電源ライン(AC100Vライン171,172)に接続され、バリスタ173、コンデンサ174,175、電源回路176を有する。バリスタ173は、AC100Vライン171,172の間に配置され、商用電源ライン間の過電圧入力保護用として機能している。コンデンサ174,175は、各々AC100Vライン171と接地間、AC100Vライン172と接地間に配置され、商用電源ラインから流出入するノイズを除去するノイズフィルタ(Yコン)として機能している。電源回路176は、AC100Vライン171,172間のAC電圧を整流/平滑化し、レギュレーションされた直流電圧177をシステム制御回路101へ供給している。この直流電圧177は、ここにおいて適宜、昇圧或いは降圧され、直流電圧121,141,161として、各通信ユニットのモデム回路117,137,157へ供給されている。
ここでは、通信ユニットのそれぞれに接続されたアレスタ102,103,104と、アレスタ102,103,104と接地との間に接続された1つのバリスタ105とにより、複数の電話回線1~3の雷サージ保護回路が構成される。即ち、アレスタ102~104の一方の端子を、各電話回線1~3のRing112,132,152に接続するとともに、アレスタ102~104の他方の端子106をまとめて接続し、この端子106と接地との間にバリスタ105を接続することで雷サージ保護を行っている。
この雷サージ保護回路は、例えば電話回線1と商用電源ラインの間に混入した雷サージを、接地を介して、電話回線1と接地間のサージ電圧と商用電源ラインと接地間のサージ電圧に分割している。即ち、混入した雷サージの内、バリスタ105により固定した一定のサージ電圧が電話回線1と接地間に加わり、残りのサージ電圧が商用電源ラインと接地との間に加わることになる。
ここでアレスタとバリスタの動作を説明する。
図6は、実施形態に係るアレスタ102,103,104とバリスタ105の動作を説明する図である。
図6(A)において、アレスタは、印加電圧が増加しスイッチング電圧を超えるとアレスタが導通することで、印加電圧をゼロに吸収するように動作する。
図6(B)において、バリスタは、印加電圧が増加しスイッチング保持電圧を超えるとバリスタ105が導通し、スイッチング保持電圧を維持するように電圧を固定する。
図2は、実施形態1に係るファクシミリ装置100のシステム制御回路101の構成を説明するブロック図である。
システム制御回路101は、ファクシミリ装置100全体の制御と主要機能を制御する。システム制御回路101は、制御部201、メモリ部202、読取部203、記録部204、モデムインタフェース(I/F)部205,206,207、操作部208、及びDCDC電源部209を備える。メモリ部202は、ROM210、RAM211及び不揮発性メモリ212を備える。モデムI/F部205,206,207には、各通信ユニットのモデム回路117,137,157と接続する信号線120,140,160が接続される。またDCDC電源部209には、電源回路176より出力される直流電圧177が供給され、DCDC電源部209で、昇圧或いは降圧された直流電圧121,141,161として各通信ユニットのモデム回路117,137,157へ供給されている。
制御部201は、システム制御用LSIやCPU200を含み、メモリ部202のROM210に記憶されているプログラムに従ってこのファクシミリ装置100全体を統括的に制御する。ROM210はフラッシュメモリであり、システムを制御するためのブートプログラムとメインプログラムが圧縮されて記憶されている。メモリ部202のRAM211は、DRAMやSRAMで構成され、各種データを格納するものである。DRAMは、プログラム実行エリアとして使用される。制御部201のCPU200は、ROM210に圧縮されて格納されているメインプログラムを、装置の起動時にメモリ部202のDRAMに展開して実行する。また不揮発性メモリ212は、装置の電源が遮断された状態であっても画像など保存しておくべきデータを格納することができる。例えば、通信先の名称やダイヤル情報、又は通信結果記録等を記憶する。
記録部204は、例えば、電子写真方式のプリンタ部である。制御部201は、RAM211又は不揮発性メモリ212に格納されている記録データを取り出し、記録部204へ送信すると記録部204は、送信された記録データ(画像データ)に従って印刷出力を行う。
読取部203は、制御部201の制御によって、不示図のCCDやCMOSラインセンサを用いて原稿を読み取って画像データを生成する。制御部201は、その画像データを画像処理してRAM211や不揮発性メモリ212に格納する。操作部208は、ユーザによる操作を受け付けるとともに、ユーザに対してメッセージ等を表示するスイッチと表示器を有している。モデムI/F部205,206,207は、RAM211や不揮発性メモリ212に格納されたファクシミリ送信の対象となる画像データをモデム回路117,137,157に渡すインタフェース回路である。またモデムI/F部205,206,207は、受信したファクシミリ信号を画像データとしてモデム回路117,137,157から受け取るインタフェース回路である。例えば、モデムI/F回路205,206、207は、UART等のシリアルインタフェースを有している。
次に、電話回線を介して流入する雷サージからファクシミリ装置100を保護する動作について説明する。
図3は、実施形態1に係るファクシミリ装置100の雷サージ保護動作を説明するためのブロック図であり、図1と同様の構成には同一の番号を付して、その説明を省略する。
雷サージ301は、電話回線1(Ring112)と商用電源ライン(AC100Vライン172)との間の雷サージで、ここでは5.0kVが印加されるものとする。アレスタ102,103,104は、ガス入り放電管であるセラミックアレスタ等であり、ここでは、1.2kVのスイッチング電圧を有している。バリスタ105は、セラミックバリスタ等で、ここでは1.8kVのスイッチング保持電圧を有している。
通信ユニット110のモデム回路117は、NCU回路116のコンデンサ等の絶縁素子(不図示)を介してRx118,Tx119に接続される。このため、電話回線1(Ring112)とモデム回路117の接地間は、回路的に絶縁分離され、その絶縁耐圧302は、ここでは4.0kVとしている。即ち、電話回線1(Ring112)とモデム回路117の接地間に印加される雷サージが4.0kV未満の場合には、絶縁破壊が起きることはない。
電源回路176は、AC電圧を整流/平滑化し、レギュレーションする際、トランス等の絶縁素子(不図示)を介して直流電圧を生成する。このため、商用電源ライン(AC100Vライン172)と電源回路176の接地間は回路的に絶縁分離され、その絶縁耐圧303は、ここでは4.0kVとしている。即ち、商用電源ライン(AC100Vライン172)と電源回路176の接地間に印加される雷サージが4.0kV未満の場合には、絶縁破壊が起きることはない。
いま電話回線1と商用電源ライン間に5.0kVの雷サージ301が印加されると、アレスタ102とバリスタ105に、5.0kVのほとんどのサージ電圧が印加される。このため、1.2kVのアレスタ102と1.8kVのバリスタ105が各々導通し、その結果、コンデンサ115に印加されるサージ電圧305は、1.8kVに固定される。このとき雷サージ301は、コンデンサ115間とコンデンサ175間のサージ電圧を足したものになるため、5.0kVから1.8kVを差し引いた、残りの3.2kVのサージ電圧304がコンデンサ175間に印加されることになる。これは、アレスタ102とバリスタ105が導通する前は、NCU回路116と電源回路176は回路的に絶縁分離され切り離されているため、印加された雷サージ301は、直列接続されたコンデンサ115と175の容量に応じて分圧されるためである。

一般的には、電話回線1に配置されたコンデンサ115は、商用電源ラインに配置されたコンデンサ175に比べて、十分小さな容量を有しているため、印加された雷サージ301のほとんどが、コンデンサ容量の十分小さいコンデンサ115に加わることとなる。しかしながら、アレスタ102とバリスタ105の両方の素子を導通させるに十分な5.0kV近くの雷サージが加わと、コンデンサ115間のサージ電圧305は、瞬時に1.8kVに固定され、同時に、3.2kVのサージ電圧304がコンデンサ175間に印加される。従って、1.8kVのサージ電圧305と、3.2kVのサージ電圧304は、ともに4.0kVの絶縁耐圧302,303よりも各々小さいため絶縁破壊が発生することなく、5.0kVの雷サージ301よりファクシミリ装置100を保護することができる。
いま仮に、図3の様に、アレスタ102とバリスタ105が接続されなかった場合は、コンデンサ115間のサージ電圧305が5.0kV近くなり4.0kVの絶縁耐圧302を超えるため、電話回線1(Ring112)とモデム回路117の接地間において絶縁破壊することになる。
また、バリスタ105が導通することにより、バリスタ105の両端の電圧は1.8kVに固定される。しかしこのとき、通信ユニット130,150に接続された1.2kVのアレスタ103,104が導通し、雷サージが電話回線2或いは3に回り込む可能性がある。しかしながら、通信ユニット130,150は、通信ユニット110と同様の絶縁耐圧4.0kVを有するため、このような雷サージの回り込みにより、絶縁破壊することはない。
尚、雷サージ301が、電話回線2(Ring132)或いは電話回線3(Ring152)と、商用電源ライン(AC100Vライン172)との間に各々印加された場合は、通信ユニット110の場合と同様に動作するため、その説明を省略する。これは通信ユニット110,130,150は、ともに同じ回路構成を有しているためである。
実施形態1においては、バリスタ105は、1.8kVのスイッチング保持電圧を有しているが、本発明はこれに限定されることはない。
一般的に、雷サージ301のサージ電圧をS(kV)、通信ユニット110の絶縁耐圧302をF(kV)、電源ユニット170の絶縁耐圧303をP(kV)とすると、バリスタ105のスイッチング保持電圧V(kV)は、以下の式(1)の範囲を満たす任意の値を選択できる。
(S-P)<V<F …式(1)
この式(1)において、(S-P)<Vは、(S-V)<Pとしても良い。これは、バリスタ105のスイッチング保持電圧V(kV)を、サージ電圧(S)304が電源ユニット170の絶縁耐圧P(kV)未満となるように選択することを意味している。こうすることにより、雷サージによる電源ユニット170の絶縁破壊を防ぐことができる。
またV<Fとは、リスタ105のスイッチング保持電圧V(kV)を、サージ電圧305が通信ユニット110の絶縁耐圧F(kV)の絶縁耐圧302未満となるように選択することを意味しているこうすることにより、雷サージによる通信ユニット110の絶縁破壊を防ぐことができる。
図3において、上述の式(1)、即ち、(5.0-4.0)kV<1.8kV<4.0kVを満足していることは、既に説明した通りである。
なお、アレスタ102,103,104のスイッチング電圧は1.2kVとしたが、本発明はこれに限定されることはない。雷サージ301を印加した際に、アレスタ102とバリスタ105が確実に導通する任意の値を選択すればよい。但し、雷サージの特定の電話回線への回り込みを防ぐために、アレスタ102,103,104のスイッチング電圧は等しい方が望ましい。即ち、例えばアレスタ102,103のスイッチング電圧よりアレスタ104のスイッチング電圧を低く設定すると、雷サージに対して、アレスタ104が導通しやすくなる。このため、アレスタ104を介して電話回線3に雷サージが回り込みやすくなる可能性があり、その結果、通信ユニット150のダメージが、他の通信ユニット110,130に比べて大きくなることが予想される。
ところで、例えば、電話回線1にノーマルモードの雷サージにかかると、Tip111とRing112との線間に配置されているバリスタ113にサージ電圧が印加される。バリスタ113は、サイリスタ型のシリコンサージアブソーバ等の半導体バリスタであり、電話回線1から来る呼出信号には応答しない、例えば330Vのスイッチング電圧を選んでいる。このようにして、330V以上の雷サージがかかると、シリコンサージアブソーバであるバリスタ113がオンし、サージ電流を電話回線1に逃がすように働く。
電話回線2,3の場合も同様に、バリスタ133,153が電話回線1のバリスタ113と同様に動作するので、その説明を省略する。
次に、電話回線1にコモンモードの雷サージがかかると、電話回線1に配置接続されているアレスタ102とバリスタ105が導通し、サージ電流を接地に逃がすことで雷サージ保護を行う。即ち、電話回線1(Ring112)と接地との間に、雷サージがかかるとアレスタ102とバリスタ105が導通することで、雷サージ保護を行う。
尚、電話回線2,3の場合も電話回線1と同様に、各通信ユニットに接続されたアレスタ103と104と、バリスタ105とが動作するため、その説明を省略する。
尚、実施形態1では、3つの電話回線を有する場合に関して説明したが、特に電話回線の数を限定するものではなく、本発明は、少なくとも2つ以上の電話回線を有するファクシミリ装置に適用することができる。
以上説明したように実施形態1によれば、一つのバリスタを複数の電話回線で共通に使用することにより、バリスタの数を削減してコストを低減できる。同時に、バリスタの実装面積や占有面積を低減できるという効果がある。
[実施形態2]
図4は、本発明の実施形態2に係るファクシミリ装置100の雷サージ保護動作を説明するブロック図である。尚、図4において、図3と同様の構成には同一の番号を付して、その説明を省略する。尚、実施形態2に係るファクシミリ装置100の基本的な構成は、前述の実施形態2に係るファクシミリ装置100の構成と同様であるため、その説明を省略する。
図4では、バリスタ401が、1.2kVのスイッチング保持電圧を有する点が前述の実施形態1のバリスタ105と異なっている。また実施形態2では、前述の通信ユニット150に代えて通信ユニット440が接続されている。この通信ユニット440は、Hリレー回路413、オフフック電源回路414、オフフック検知回路416を有し、電話機417が付設されている点が、前述の通信ユニット150と異なっている。またコンデンサ412は、通信ユニット440の電話回線3(Ring152)と接地との間に接続されており、電話回線3から流出入するノイズを除去するノイズフィルタ(Yコン)として機能している。
Hリレー回路413は、オフフック検知回路416を介して接続される外付けの電話機417を、オフフック電源回路414或いは電話回線3(Ring152)に接続するための回路である。Hリレー回路413で電話機417が電話回線3から切り離されている場合、呼出信号が着信しても電話機417は鳴動しない、いわゆるファクシミリ装置100は無鳴動着信状態となる。オフフック電源回路414は、この無鳴動状態で電話機417にオフフック電圧415を供給し、電話機417のフックアップによりオフフック電流を流すことが可能となる。オフフック検知回路416は、電話機417と接続されており、電話機417のオフフック又はオンフックを検知する。即ち、オフフック検知回路416は電話回線3に接続された場合、及びオフフック電源回路414に接続された場合の何れも、電話機417に流れる電流を検知し、これによって、電話機414におけるオフフック又はオンフックの状態を検知することができる。

このオフフック電源回路414には、DCDC電源部209で生成された、例えば24Vの直流電圧(不図示)が供給されている。オフフック電源回路414は、トランス等の絶縁素子(不図示)を介して絶縁分離された24Vを、オフフック電圧415として出力している。これは、安全性のため、電話回線等の外部より混入する雷サージが、ユーザーが接触する可能性のある回路へ回り込まないように保護するよう絶縁分離するためである。このオフフック電源回路414の絶縁分離と、Hリレー回路413の端子間(ギャップ)が有する絶縁分離を合わせたものが、電話回線3と接地との間の絶縁耐圧402に相当し、ここでは1.5kVを有している。このように、通信ユニット440の絶縁耐圧は、4.0kVの絶縁耐圧403より、絶縁耐圧402が支配的となるため、1.5kVとなる。
一般的に、電話回線に接続される回路構成が異なる場合、通信ユニットの絶縁耐圧が異なる場合があり、通信ユニット440は、通信ユニット110の4.0kVの絶縁耐圧302と異なる値を示している。
前述の実施形態1の図3では、電話回線1と商用電源ライン間に印加された5.0Vの雷サージ301は、1.8kVのバリスタ105を使用することで雷サージ保護が可能であった。いま仮に、図4のバリスタ401に1.8kVを使用し、電話回線3と商用電源ラインに5.0Vの雷サージ404が印加されると、コンデンサ412の印加されるサージ電圧106は、バリスタ401が導通することで1.8kVとなる。この場合、1.8kVのサージ電圧106は、1.5kVの絶縁耐圧402を超えるため、絶縁破壊を起こす。
このため実施形態2では、1.2kVのバリスタ401を使用して、コンデンサ412間にかかるサージ電圧106が1.5kV未満になるように電圧を下げることで絶縁破壊を防いでいる。
尚、実施形態2では、バリスタ401は、1.2kVのスイッチング保持電圧を有しているが、本発明はこれに限定されることはない。
一般的に、雷サージ301のサージ電圧をS(kV)、通信ユニット110,130,440のうち最小である通信ユニット440の絶縁耐圧402をFmin(kV)、電源ユニット170の絶縁耐圧303をP(kV)とする。これらからバリスタ401のスイッチング保持電圧V(kV)は、以下の式(2)の範囲を満たす任意の値として選択できる。
(S-P)<V<Fmin …式(2)
式(2)において、(S-P)<Vは、(S-V)<Pとしても良い。
これはバリスタ401のスイッチング保持電圧V(kV)を、サージ電圧304がP(kV)の絶縁耐圧303未満となるように選択することを意味している。こうすることにより、電源ユニット170の絶縁破壊を防ぐことができる。
また、V<Fminとは、バリスタ401のスイッチング保持電圧V(kV)を、サージ電圧106が通信ユニット440のFmin(kV)の絶縁耐圧402未満となるように選択することを意味している。これにより通信ユニット440の絶縁破壊を防ぐことができる。
尚、図4においては、(5.0-4.0)kV<1.2kV<1.5kVとなり、上記式(2)を満足していることは、既に説明した通りである。
尚、実施形態2では、3つの電話回線の場合で説明したが、特に電話回線の数を限定するものではなく、本発明は、少なくとも2つ以上の電話回線を有するファクシミリ装置に適用することができる。
以上説明した実施形態1,2では、回路上、どのようにして雷サージ保護を行うかの雷サージ保護動作について説明した。
次に、雷サージ保護回路を確実に動作させるために必要な実装上の特徴を説明する。
図5は、実施形態に係るファクシミリ装置100における実装上の特徴を説明するためのブロック図である。尚、ここで図1と同様の構成には同一の番号を付して、それらの説明を省略する。
図5においては、モジュラ(MJ)コネクタ501~503、NCUコネクタ504、アレスタ102~104、(セラミック)バリスタ105、(半導体)バリスタ113,133,153が同一基板上にコンパクトに実装されている。
MJコネクタ501~503は、各々MJケーブルを介して電話回線1~3に接続するためのMJコネクタであり、NCUコネクタ504は、NCU回路116,136,156と束線で接続するための束線コネクタである。
このように同一基板上に実装することで、アレスタ102~104及び電話回線1~3に共通に接続された(セラミック)バリスタ105が雷サージに対して瞬時に導通する。これにより、雷サージ保護の対象である通信ユニットや電源ユニットから雷サージを遠ざけることが可能となる。
仮に、電話回線2と電話回線3に関する部品500が別基板に実装されている場合、アレスタ103,104とバリスタ105との配線506が長くなり、そのインピーダンスが大きくなることが予想される。これにより、例えば電話回線2に雷サージが印加されると、アレスタ103とバリスタ105が導通するが、配線506のインピーダンスが大きいと、バリスタ105の導通が遅くなる可能性がある。このため、雷サージが、配線508、NCUコネクタ504を介して、通信ユニット130のNCU回路136やモデム回路137に回り込むおそれがある。また或いは配線507、アレスタ104を介して電話回線3に回り込むおそれがある。
これに対して図5のように、電話回線1~3に関する雷サージ保護部品を同一基板上にコンパクトに実装することで、電話回線1~3より混入する雷サージに対して雷サージ保護部品を瞬時に動作させることができる。またこれにより、雷サージが通信ユニット等への回り込むのを軽減できる。
以上説明したように実施形態2によれば、複数のモジュラ(MJ)コネクタと、MJコネクタ各々に接続される複数のアレスタと、複数の電話回線に共通のバリスタ等を同一基板上に実装し、更には、アレスタの電圧値を等しくする。これにより、雷サージ保護動作の性能を向上できる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
101…システム制御回路、102~104…アレスタ、105,113,133,153,173…バリスタ、110,130,150,440…通信ユニット、116,136,156,406…NCU回路、117,137,157,407…モデム回路、176…電源回路、201…制御部、202…メモリ部、301,404…雷サージ、501~503…MJコネクタ

Claims (6)

  1. それぞれが2線からなる複数の電話回線に接続できる通信装置であって、
    前記複数の電話回線と接続される複数の通信ユニットと、
    前記複数の電話回線に、それぞれの一方の端子を介して接続された複数のアレスタと、
    前記複数のアレスタのそれぞれの他方の端子と接地との間に共通に接続された一つのバリスタと、
    商用電源ラインに接続されて前記複数の通信ユニットに供給する電源を生成する電源回路と、を有し、
    前記複数のアレスタと前記バリスタにより、少なくとも前記複数の通信ユニットを雷サージから保護し、
    前記複数のアレスタのそれぞれは、当該アレスタのスイッチング電圧よりも高い電圧が印加されると導通し、
    前記バリスタは、当該バリスタのスイッチング保持電圧よりも高い電圧が印加されると導通し、前記スイッチング保持電圧を維持するように動作し、
    前記電源回路は、前記商用電源ラインの2線の間に接続された保護用のバリスタと、前記2線と接地との間に接続されたノイズ除去のための2つのコンデンサを含み、
    前記複数の通信ユニットのそれぞれの絶縁耐圧F(kV)、前記電源回路の絶縁耐圧P(kV)、雷サージのサージ電圧をS(kV)とすると、前記スイッチング保持電圧のV(kV)は、
    (S-P)<V<F
    を満足することを特徴とする通信装置。
  2. 前記複数のアレスタのそれぞれの前記スイッチング電圧は等しいことを特徴とする請求項に記載の通信装置。
  3. 前記複数の通信ユニットのそれぞれは、接続された電話回線である2線の間に接続された保護用のバリスタと、前記2線と接地との間に接続されたノイズ除去のための2つのコンデンサを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
  4. 前記複数の通信ユニットのそれぞれの絶縁耐圧は、ほぼ等しいことを特徴とする請求項に記載の通信装置。
  5. 前記複数の通信ユニットの少なくともいずれかは、他の通信ユニットと異なる絶縁耐圧を有し、そのうち最小の絶縁耐圧をFmin(kV)、前記電源回路の絶縁耐圧をP(kV)、雷サージのサージ電圧をS(kV)とすると、前記スイッチング保持電圧のV(kV)は、
    (S-P)<V<Fmin
    を満足することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
  6. 前記複数のアレスタと前記バリスタは、同一基板上に実装されていることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
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