JP7036263B1 - シュリンクラベル - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち本発明は、オーバーコート層と、白ベタ印刷層と、シュリンク性基材とをこの順で備えたシュリンクラベルにおける、前記シュリンク性基材を形成するために用いられる白色樹脂組成物であって、二酸化チタン(A)と熱可塑性樹脂(B)を含み、二酸化チタン(A)は、平均一次粒子径0.13~0.28μm、かつ純度95~99.9%であり、熱可塑性樹脂(B)は、ガラス転移点が50~110℃である、白色樹脂組成物に関する。
また、本発明は、熱可塑性樹脂(B)100重量部に対し、二酸化チタン(A)を10~170重量部含む、前記白色樹脂組成物に関する。
また、本発明は波長400~700nmの平均透過率が10~30%である、前記シュリンク性基材に関する。
また、本発明は、波長400~700nmの平均透過率が10%未満である、前記シュリンクラベルに関する。
なお、本明細書で「フィルム」、および「シート」は同義である。また、本発明の「シュリンクラベル」を、「印刷物」という場合がある。
また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
本発明の白色樹脂組成物は、オーバーコート層と、白ベタ印刷層と、シュリンク性基材とをこの順で備えたシュリンクラベルにおける、前記シュリンク性基材を形成するために用いられる。
白色樹脂組成物は、少なくとも二酸化チタン(A)と熱可塑性樹脂(B)を含み、前記二酸化チタン(A)は、平均一次粒子径0.13~0.28μm、かつ純度95~99.9%であり、熱可塑性樹脂(B)は、ガラス転移点が50~110℃である。
これにより、隠蔽性だけでなく、かつ優れた強靭性と印刷密着性を備える白色樹脂組成物とすることができ、容器を着色することなく、内容物保護や意匠性付与を可能とするシュリンクフィルムを提供することができる。
二酸化チタン(A)の平均一次粒子径は、0.13~0.28μmであることが重要である。この範囲にあることで、可視領域における高い反射効果が得られ、隠蔽性に寄与する。好ましくは0.15~0.25μmである。
なお、平均粒子径は、走査電子顕微鏡の拡大画像(例えば千倍~一万倍)から観察できる粒子径(例えば20個程度)を平均したものである。
二酸化チタン(A)の粒子形状は、球状、楕円状、棒状、繊維状等公知の粒子形状を使用できる。ここでアスペクト比が1.5以上の粒子は長径の平均を平均一次粒子径とする。
二酸化チタン(A)の結晶形態は、ルチル型、アナターゼ型、およびブルカイト型のいずれも使用できるが、ルチル型、アナターゼ型が好ましい。ルチル型は、他のタイプと比較して、屈折率が高く、反射効率が高いため、より隠蔽性を上げることができるために好ましい。
なお、二酸化チタン純度は、二酸化チタン(A)中の二酸化チタンの含有率を表し、エネルギー分散型蛍光X線分析装置により求めることができる。
ΔKF=260℃の水分量-100℃の水分量
2500ppm以下であることで、加工時における二酸化チタン吸着水の揮発、発泡の抑制により、高分散が可能となり、隠蔽性が増加するために好ましい。また、印刷抜け、クラック抑制にも寄与することができる。
なお、水分量は、カールフィッシャー法水分測定装置(平沼産業製)を用い、JIS K7251に準拠して測定し、求めることができる。
例えば、二酸化チタン(A)は、無機酸化物及び/又は有機物で形成した被覆層を有することができる。これらの被覆層が存在することで、光触媒活性による樹脂の劣化を抑制し、長期間外光に曝される環境下においても、耐光性に優れた成形品を得ることが可能となる。
なお、このように被覆後の二酸化チタンである場合、被覆層を有する二酸化チタンが、二酸化チタン(A)に該当する。
具体的には、オルガノシランとしてはアミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、またはそれらの加水分解生成物が挙げられる。
前記ジルコニウム化合物は、例えば硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム等が挙げられる。
本発明の白色樹脂組成物は、ガラス転移点が50~110℃である熱可塑性樹脂(B)を含む。
より好ましいガラス転移点の範囲は、70~105℃である。この範囲であることで、シュリンク時の揮発成分の抑制及びシュリンクムラ抑制に寄与する。
なお、ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
これらのなかでも、収縮過程(昇温過程)で温度ムラが生じても、収縮ムラやシワの少ない、均一な仕上りが得られる点でポリエステル系樹脂またはスチレン系樹脂が好ましい。
なお、ジカルボン酸の誘導体とは酸無水物、エステル化物である。ジカルボン酸は、脂肪族および芳香族の2種類のジカルボン酸があるところ、耐熱性が向上する点から、芳香族ジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸は、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、コルク酸、マゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
2価フェノールは、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA等が挙げられる。
環状エーテル化合物は、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明の白色樹脂組成物はさらに、必要に応じて顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤などの添加剤を配合することができる。
このときの配合率は、二酸化チタン(A)のみを含有する樹脂組成物から成形した基材である場合と比較して、L*a*b*表色系でΔL*が3以下である範囲での添加が好ましい。この範囲内であれば、白色度の点で、白色樹脂組成物として用いることができ、他の印刷層に影響を与えることもない。
なお、L*a*b*値は倉敷紡績(株) 製AUCOLOR T2光源:D-65で測色できる。
帯電防止剤を用いる場合、含有率は、白色樹脂組成物100重量%中、0.1~1重量%使用できる。
紫外線吸収剤を用いる場合、含有率は、白色樹脂組成物100重量%中、0.01~1重量%使用できる。
酸化防止剤を用いる場合、含有率は、白色樹脂組成物100重量%中、0.01~0.5重量%使用できる
アンチブロッキング剤を用いる場合、含有率は、白色樹脂組成物100重量%中、0.01~1重量%使用できる。
白色樹脂組成物の製造方法は、二酸化チタン(A)と熱可塑性樹脂(B)と、必要に応じて任意成分を混合、または溶融混合することで製造することができる。
本発明の白色樹脂組成物は、二酸化チタン(A)を比較的高濃度に含有し、成形時に熱可塑性樹脂で希釈されるマスターバッチであってもよいし、二酸化チタン(A)の濃度が比較的低く、熱可塑性樹脂で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであってもよい。マスターバッチを用いてシュリンク性基材を製造することは、二酸化チタン(A)の分散やハンドリングの面から好ましい。
シュリンク性基材は、本発明の白色樹脂組成物から形成され、オーバーコート層と、白ベタ印刷層と、シュリンク性基材とを備えたシュリンクラベルに用いられる。
シュリンク性基材は、表面をコロナ処理あるいは低温プラズマ処理して使用してもよい。
なお、平均透過率は分光光度計を用いて波長400~700nmの透過率の平均値を算出して求めることができる。分光光度計には、例えば島津サイエンス社製UV-VIS-NIR SPECTROPHOTOMETER UV3150を用いて測定することができる。
シュリンクラベルは、少なくとも、オーバーコート層と、白ベタ印刷層と、本発明の白色樹脂組成物から形成されてなる前述のシュリンク性基材とを、この順で備える。
シュリンクラベルは、必要に応じて、白ベタ印刷層とオーバーコート層の間に、灰色層、有彩色の色材を含む1つまたは複数の有彩色層等を有していてもよい。また、層間に接着剤層を有していてもよく、接着剤層は、脱離を促進するために、脱離性を有する接着剤層であってもよい。
オーバーコート層は、例えば、オーバーコート剤により形成することができる。
本発明のオーバーコート剤は表刷り用としての使用が好ましい。本明細書において、表刷りとは、シュリンク性基材に印刷した場合、シュリンク性基材上に印刷インキ(白ベタ印刷層及び必要に応じて他の印刷層)、オーバーコート剤(オーバーコート層)の順で印刷され、印刷された面、すなわちオーバーコート層側からみて印刷模様が確認できる場合を表刷りとする。つまり、オーバーコート剤からなるオーバーコート層が本発明のシュリンクラベルにおいて最外層となる。以下、本発明のオーバーコート剤を構成する各材料について説明する。
ポリエステル系樹脂は、例えば、多価アルコールとカルボン酸とを公知のエステル化重合反応を用いて反応させてなるポリエステル樹脂や以下に記載のアルキド樹脂などが挙げられる。当該ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとに由来する構成単位をポリエステル系樹脂総重量中に50重量%以上含有していれば、さらに、アクリル変性、あるいはイソシアネート変性されて、一般的にはアクリル樹脂、ウレタン樹脂に分類されるものも含まれる。
なお、二塩基酸と多価アルコールとに由来する構成単位とは、二塩基酸に由来する構成単位と多価アルコールに由来する構成単位とが直接結合している構造単位一体を指す。
具体的には、イソシアネート硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物および変性イソシアネート化合物を好適に利用できる。変性イソシアネート化合物とは、具体的には、2量体のアロファネート型イソシアネート化合物、3量体のビウレット型イソシアネート化合物、アダクト型イソシアネート化合物、およびイソシアヌレート型イソシアネート化合物などが好適である。当該ビウレット型イソシアネート化合物とは尿素が2量化した構造を有するイソシアネート化合物である。また、イソシアヌレート型イソシアネート化合物とはポリイソシアネート化合物の環状3量体であるイソシアネート化合物をいう。アダクト型イソシアネート化合物とは、ポリイソシアネート化合物と多価アルコールとの付加体をいい、例えば、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応物などが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としてはジイソシアネートが好ましく、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及び、α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネートが好適である。
本発明のオーバーコート剤は公知の印刷方式で塗布できる。例えば、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式、マイクログラビア印刷方式等が挙げられ、好ましくはグラビア印刷方式である。グラビア印刷方式は円筒状のシリンダー表面に彫られた画線部となる凹部にオーバーコート剤が入り、ドクターと呼ばれる金属板で非画線部のオーバーコート剤を掻き取った後、シリンダーの凹部に残ったオーバーコート剤を印刷フィルム上に転移させて塗布層を形成する方式である。凹部の深さで塗布されるオーバーコート剤量を制御できる。印刷フィルムへの塗布は、塗布後の乾燥性、塗膜の光沢、耐擦り傷性、耐高温熱水性等の膜物性を考慮して、複数回塗布することもできる。オーバーコート剤の使用形態として塗布量、塗布回数を適宜選択することができる。本発明のオーバーコート剤により形成されたオーバーコート層の厚みは0.5~10μmが好ましく、更に好ましくは1~6μmである。
白ベタ印刷層は、白色の印刷インキをベタ印刷すること等で得られる層であり、隠蔽性に寄与する。白色の印刷インキは、例えば白色顔料、バインダー樹脂、必要に応じて添加剤、有機溶剤等を用いて製造できる。
有機溶剤としては、上記オーバーコート剤に使用できるものと同様のものが利用でき、公知のアルコール系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、脂肪族炭化水素系有機溶剤、および脂環族炭化水素系有機溶剤を使用することができる。ウレタン樹脂、併用樹脂の溶解性や印刷時の乾燥性などを考慮して、混合して使用することが好ましい。
印刷インキは、顔料を樹脂、溶剤等を用いて分散する公知の方法により製造することができる。例えば、顔料をウレタン樹脂、併用樹脂、分散剤等により溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて樹脂、添加剤などを配合する方法で得られる。
接着剤層を形成する接着剤としては、一般的に、ポリオール主剤及びポリイソシアネート硬化剤の混合物からなる2液型ウレタン接着剤等が用いられ、接着剤層は、該接着剤の硬化物である。
ポリオール主剤は、ポリオール中の水酸基の一部が酸変性された酸変性物であってもよいし、酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入したものや、ジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。
ポリイソシアネート硬化剤は、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリイソシアネートから選択することができる。ポリイソシアネート硬化剤としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、又は脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、変性された変性体であってもよい。
白ベタ層以外のその他印刷層は、白ベタ層と同じく印刷インキより形成される。
印刷インキは、例えば顔料、バインダー樹脂、必要に応じて添加剤、有機溶剤等を用いて製造できる。色材以外は、白ベタ層用の印刷インキに記載したものと同じものを用いることができる。
色材として、顔料、染料を用いることができる。顔料としては、一般に印刷インキや塗料で使用できるカラーインデックスに記載のC.I.ピグメントを任意に使用することができる。例えば、酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料、および、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。更に有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレート顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などを挙げることができる。これらの顔料の含有量としては、印刷インキ中に0.5~50重量%使用することができる。
平均粒子径は、二酸化チタンを走査電子顕微鏡の拡大画像(千倍)から観察できる粒子径(20個)を平均したものである。なお、表面被覆を施した二酸化チタンである場合、被覆後の二酸化チタンの平均粒子径である。
純度は、二酸化チタンをエネルギー分散型蛍光X線分析装置により求めた数値である。なお、表面被覆を施した二酸化チタンである場合、被覆層を有する二酸化チタンが含有する二酸化チタンの含有率である。
水分量は、カールフィッシャー法水分測定装置(平沼産業製)を用いて260℃および100℃における含水量をJIS K7251に準拠して測定した。
ガラス転移点の測定は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。アルミニウムパンに試料約10mgを秤量してDSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパンとした。)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて-120℃まで急冷処理した。その後20℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移点(Tg)を算出した(単位:℃)。
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:昭和電工社製Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製Shodex LF-404 2本
昭和電工社製Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
以下において、JISK0070に記載の方法に従って水酸基価を測定した。
以下において、JISK7237に記載の方法に従ってアミン価を測定した。
ポリエステル樹脂A溶液(ポリエステルA)(ひまし油、トリメチロールプロパン、無水フタル酸を構成成分として含む、重量平均分子量3300 水酸基価109mgKOH/gの油脂変性アルキド樹脂、芳香族基の含有量11重量%、固形分73%、酢酸エチル(EA)溶液)7.8部、セルロース樹脂溶液(セルロース樹脂)(固形分30%、EA/イソプロパノール(IPA)溶液)28.6部、XDI-TMPアダクト(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト三井化学社製、タケネートD-110N、固形分33%)20.8部、TEGO450(EVONIC社製、TEGO Glide 450、ポリエーテルシロキサンコポリマー)を0.1部、EA42.7部を混合し、ディスパーで30分撹拌を行うことで、固形分30%のオーバーコート剤S1を得た。ポリエステル樹脂Aは、二塩基酸と多価アルコールとに由来する構成単位をポリエステル樹脂A全体の77重量%含有する。
アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールとの反応により得られる数平均分子量1,000のポリエステルポリオール(PMPA)150部、数平均分子量700のポリプロピレングリコール(PPG700)を50部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)103.4部、およびEA75.8部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(IPDA)44.6部、EA/IPA=50/50(重量比)の混合溶剤736.2部を混合したものに、上記末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価9.5mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量50,000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
バインダー樹脂として、ウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)32部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学社製、ソルバインTAO、固形分30%、EA溶液)3部、塩素化ポリプロピレン樹脂(日本製紙社製、370M、塩素含有率30%、固形分50%)を1.0部、ポリエチレンワックス(三井化学社製、ハイワックス320P、平均粒子径2.5μm、固形分40%の分散体)を2部、藍顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を10部、メチルエチルケトン(MEK)/酢酸n-プロピル(NPAC)/イソプロパノール(IPA)=40/40/20(重量比)の溶液52部を混合し、アイガーミルで15分間分散し、印刷インキP1を得た。
表1に示した原料及び配合比率に変更した以外は、印刷インキP1の製造例と同様の手法により、印刷インキP2を得た。なお、二酸化チタンにはテイカ製チタニックスJR-805を使用した。
ルチル型二酸化チタン粒子(純度99.7%、平均一次粒子径0.23μm)を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/lの水性スラリーを調整した。このスラリーを60℃に保持したまま、撹拌しながら二酸化チタン100重量部に対して、アルミン酸ナトリウムをAl2O3換算で1.2重量部添加した後、硫酸でpHを5に調整することでアルミニウム酸化物の第一の被覆層を形成した。その後、濾過、洗浄し、さらに120℃で16時間乾燥し、ジェットミルで粉砕しながら、表面被覆する前の二酸化チタン100重量部に対してメチルトリエトキシシラン0.5重量部を添加して混合することで第二の被覆層を形成した。これによりアルミニウムの含水酸化物及び有機ケイ素化合物を使用した表面被覆層を有する平均一次粒子径0.24μm、純度97.9%の二酸化チタン(A-1)を得た。
アナターゼ型二酸化チタン粒子(純度99.9%、平均一次粒子径0.18μm)を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/lの水性スラリーを調整した。このスラリーを60℃に保持したまま、撹拌しながら二酸化チタンの100重量部に対して、ケイ酸ナトリウムをSiO2換算で0.3重量部添加した。次いで硫酸でpHを約5に調整することでケイ素酸化物の被覆層を形成した。引き続き撹拌しながら表面被覆する前の二酸化チタンの100重量部に対して、アルミン酸ナトリウムをAl2O3換算で0.5重量部添加した後、硫酸でpHを5に調整することでアルミニウム酸化物の被覆層を形成した。その後、濾過、洗浄し、さらに120℃で16時間乾燥し、ジェットミルで粉砕しながら、表面被覆する前の二酸化チタン100重量部に対してジメチルポリシロキサン0.4重量部を添加し混合することで第三の被覆層を形成した。これによりアルミニウムの含水酸化物、ケイ素の含水酸化物及び有機ケイ素化合物を使用した表面被覆層を有する平均一次粒子径0.19μm、純度98.5%の二酸化チタン(A-2)を得た。
ルチル型二酸化チタン粒子(純度99.3%、平均一次粒子径0.20μm)を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/lの水性スラリーを調整した。このスラリーを60℃に保持したまま、撹拌しながら二酸化チタンの100重量部に対して、ケイ酸ナトリウムをSiO2換算で0.4重量部添加した。次いで硫酸でpHを約5に調整することでケイ素酸酸化物の被覆層を形成した。引き続き撹拌しながら表面処理する前の二酸化チタン100重量部に対して、硫酸ジルコニウム酸化物をZrO2換算で0.4部、アルミン酸ナトリウムをAl2O3換算で0.6重量部添加した後、硫酸でpHを5に調整することでアルミニウム酸化物とジルコニウム酸化物の被覆層を形成した。その後、濾過、洗浄し、さらに120℃で16時間乾燥し、ジェットミルで粉砕しながら、表面被覆する前の二酸化チタン100重量部に対してメチルハイドロジェンポリシロキサンを1.0重量部添加し、混合して被覆することでアルミニウムの含水酸化物、ケイ素の含水酸化物、ジルコニウムの含水酸化物及び有機ケイ素化合物を使用した表面被覆層を有する平均一次粒子径が0.22μm、純度96.6%の二酸化チタン(A-3)を得た。
二酸化チタン(A-3)の製造と同様の方法にて二酸化チタンに表面被覆を行い、表2に示す被覆層を有する二酸化チタンを作製し、各々の性状を測定した。
なお、二酸化チタン(A-4)、(A’-1)、(A’-2)の製造に用いた元の二酸化チタンの純度及び平均一次粒子径は下記である。
(A-4)純度99.9%、平均一次粒子径0.19μm
(A’-1)純度99.2%、平均一次粒子径0.29μm
(A’-2)純度99.3%、平均一次粒子径0.24μm
なお、表面被覆していないA-5には堺化学工業製二酸化チタンSA-1を用いた。
<マスターバッチの製造>
ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点Tg:76℃)100重量部と二酸化チタン(A-1)100重量部とを別々の供給口から二軸押出機(日本製鋼所製)を用いて280℃で溶融混練を行い、ペレタイザーを使用してペレット状のマスターバッチを得た。
続いて、得られたマスターバッチ30重量部と、ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点Tg:76℃)70重量部を単層Tダイフィルム成形機(東洋精機社製)を用いて温度290℃にて押出し成形し、表面温度30℃に冷却した金属ロールに接触させて急冷することにより、未延伸フィルムを得た。
次いで、未延伸フィルムをテンターへ導き、予熱ゾーンで100℃に加熱し、80℃の設定温度の延伸ゾーンで幅方向に5倍延伸した。続いて83℃で5秒間熱処理を行って、その後冷却した。両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、厚さ60μmのシュリンク性基材S1を得た。
表3、4に示す組成、および配合量(重量部)とした以外は、実施例1と同様にして白色樹脂組成物を製造し、さらにシュリンク性基材S2~S17を得た。
<シュリンクラベルの製造>
印刷インキP2及びオーバーコート剤S1を、各々、EA/IPAの混合溶剤(重量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で粘度15秒になるように希釈した。
作製した厚み50μmのシュリンク性基材S1に対し、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈した印刷インキP2を塗布し、白ベタ印刷層を有する印刷フィルムを得た。
次に、上記で作製した印刷フィルムの白ベタ印刷層面に、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈したオーバーコート剤を塗布し、シュリンク性基材/白ベタ印刷層/オーバーコート層の構成であるシュリンクラベルを得た。
表5に示す印刷インキ、およびシュリンク性基材を用いた以外は、実施例11と同様にしてシュリンクラベルを得た。
<シュリンクラベルの製造>
印刷インキP2及びオーバーコート剤S1を、各々、EA/IPAの混合溶剤(重量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で粘度15秒になるように希釈した。
作製した厚み60μmのシュリンク性基材S5に対し、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈した印刷インキP2を塗布し、白ベタ印刷層を有する印刷フィルムを得た。
次に、上記で作製した印刷フィルムの白ベタ印刷面に、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈した印刷インキP1を塗布し、藍ベタ印刷層を有する印刷フィルムを得た。
次に、上記で作製した印刷フィルムの藍ベタ印刷面に、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈したオーバーコート剤を塗布し、シュリンク性基材/白ベタ印刷層/藍ベタ印刷層/オーバーコート層の構成であるシュリンクラベルを得た。
表5に示す印刷インキ、およびシュリンク性基材を用いた以外は、実施例16と同様にしてシュリンクラベルを得た。
得られたシュリンク性基材およびシュリンクラベルについて、平均透過率は分光光度計を用いて波長400~700nmの透過率の平均値を算出した。分光光度計には、島津サイエンス社製UV-VIS-NIR SPECTROPHOTOMETER UV3150を用いた。
得られたシュリンクラベルを石英セルの受光側に張り付け、蛍光光度計(日立ハイテク社製)を用いて、300nmから500nmまで20nm刻みで各波長の光を1時間当て続けた。次いで、紫外可視分光光度計により、光照射前後の300~600nmのスペクトルを測定した。測定試料には、ビタミンA、B2、B12、B6、K1の1×10-4mol/Lのエタノール溶液5種類を用いた。隠蔽性の判定は照射前後で紫外可視スペクトルの変化率を下記の基準で行った。
[評価基準]
◎:試験前後で5種類全てのビタミン溶液における各波長の変化率が2%以下であり、ビタミンの劣化が見られず、実用上非常に優れる。
○:試験前後でビタミン溶液における各波長での変化率が2%を超えるものがあるが、
試験前後で5種類全てのビタミン溶液における各波長での変化率が4%以下であり、ビタミンの劣化が見られず、実用上優れる。
△:試験前後でビタミン溶液における各波長での変化率が4%を超えるものがあるが、
試験前後で5種類全てのビタミン溶液における各波長での変化率が6%以下であり、僅かにビタミンの劣化が見られ、実用範囲内。
×:試験前後でビタミン溶液における各波長での変化率が6%を超えるものがあり、明らかなビタミンの劣化が見られ、実用不可。
得られたシュリンクラベルのオーバーコート層に、ニチバン社製セロハンテープ(登録商標)(12mm幅)を貼り、急激に引き剥がした際の印刷層の剥離程度を評価した。密着性の判定は下記の基準で行った。
[評価基準]
○:印刷層の剥離面積が20%未満であり、実用上優れる。
△:印刷層の剥離面積が20%以上40%未満であり、実用範囲内。
×:印刷層の剥離面積が40%以上であり、実用不可。
シュリンク性基材を得る前の未延伸フィルムを200mm×30mmの大きさに切断し、温度83℃、相対湿度50%環境下、耐光試験機(フェードメーター)で50時間照射した後、引張試験測定をN=10で行った。サンプルは状態調節として、試験前に23℃、相対湿度50%の環境下で6時間静置後行った。強靭性は引張伸び率400%時のフィルム破断有無により下記の基準で評価した。
[評価基準]
○:破断したフィルム試験片がなく、実用上優れる。
△:破断したフィルム試験片が1つあり、実用範囲内。
×:破断したフィルム試験片が2つ以上あり、実用不可。
Claims (5)
- オーバーコート層と、白ベタ印刷層と、白色樹脂組成物から形成されてなるシュリンク性基材とをこの順で備え、
前記白色樹脂組成物は、二酸化チタン(A)と熱可塑性樹脂(B)を含み、
二酸化チタン(A)は、平均一次粒子径0.13~0.28μm、かつ純度95~99.9%であり、
熱可塑性樹脂(B)は、ガラス転移点が50~110℃である、
シュリンクラベル。 - 二酸化チタン(A)は、カールフィッシャー法における、100℃の水分量と260℃の水分量の差が2500ppm以下である、請求項1記載のシュリンクラベル。
- 前記白色樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(B)100重量部に対し、二酸化チタン(A)を10~170重量部含む、請求項1または2記載のシュリンクラベル。
- 前記シュリンク性基材は、波長400~700nmの平均透過率が10~30%である、請求項1~3いずれか1項記載のシュリンクラベル。
- 波長400~700nmの平均透過率が10%未満である、請求項1~4いずれか1項記載のシュリンクラベル。
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