JP7035725B2 - アルカリ珪酸化物の再生方法及びco2の回収・分解方法 - Google Patents

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Description

本発明は、COを含んだCO含有ガスをアルカリ珪酸化物に接触させて、アルカリ珪酸化物にCOを吸収させ、加熱してCOを炭素に分解して、炭素を分離する方法において、使用したアルカリ珪酸化物を再生する方法に関するものである。また、本発明は、この再生方法を利用したCOの回収・分解方法に関するものである。
近年、大気中のCOは増加の一途を辿っており、これが地球温暖化の一因であると言われており、簡便な方法で大気中のCOを回収し、かつ、C(炭素)へ分解する方法が検討されている。しかしながら、大気中のCOの吸収と分解の両方を行って、Cを分離することができる簡便な方法の報告例は然程多く存在しない。
例えば、特許文献1には、アルカリ元素の炭酸化物及び/又はアルカリ土類元素の炭酸化合物を、水ガラス又はアルカリ珪酸化物と混合し、この混合物を非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下に加熱することで、炭酸化物から炭素を分離する、遊離炭素の製造方法が開示されている。このなかで、生石灰CaOは効率良くCOを吸収して炭酸カルシウムCaCOを生成することから、特許文献1に係る方法を利用することで、トータルとしてCOをCに転化できるとしており、また、CaOのかわりにNaOを用いることで同様にCOをCに転化できることを記載している(特許文献1の段落0008、0009参照)。
ここで、特許文献1の方法において、上記混合物は加熱により溶融状態となり、生成した遊離炭素は加熱の際に使用したるつぼの壁面や溶融物上面に集まり易くて、炭素の回収に好都合であり、生成した遊離炭素は、温度が低下してから、偏析していれば破砕して分離し、固形物に広く分布していれば、フッ化水素酸で固形物を溶解して、残った遊離炭素を分離すればよいとしている(段落0019、0022参照)。
しかしながら、加熱後の混合物を破砕して炭素を分離するだけでは、生成した炭素を完全には除去できず、生成炭素が徐々に沈着するため、大気中のCOの回収と分解を何回か繰り返すと、COを回収する特性と分解する特性とが次第に劣化するという問題がある。また、固形物をフッ化水素酸に溶解させて炭素を分離する方法では、溶解したアルカリ珪酸化物を再度固体に戻さねばならず、非常に手間を要し、更には、きわめて強い腐食性を有するフッ化水素酸を使用する点でも問題がある。
特開2015-187059号公報
ところで、本発明者らは、炭酸化物を混合せずに、アルカリ珪酸化物に大気中のCOを吸収させ、このアルカリ珪酸化物を非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下に加熱して、炭素を分離する方法についても新たに開発している。これは、アルカリ珪酸化物それ自体がCOを吸収できることを知得したことに基づくものであり、この方法によれば、炭酸化物源としてCaOのような強アルカリ化合物を使用することなく、また、NaOのような強アルカリ性で不安定な化合物を使用することなく、有害な性質を有しない、入手可能な単一の化学物質を用いてCOを回収し、炭素を分離することができる。しかしながら、この方法においても、炭素を分離する上で完全に除去するのは難しく、COの回収と分解を何回か繰り返すうちに、COを回収する特性や分解する特性が低下するという問題は共通する。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、COを含んだCO含有ガスをアルカリ珪酸化物に接触させて、アルカリ珪酸化物にCOを吸収させ、加熱してCOを炭素に分解して、炭素を分離する方法において、COの回収と分解を行い、生成炭素が沈着してCOの回収と分解特性が劣化したアルカリ珪酸化物を、簡便な方法により、再生させることができる方法を提供することを目的とする。
また、このようなアルカリ珪酸化物の再生方法を利用して、アルカリ珪酸化物によるCOの回収と炭素の分離を繰り返す方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した。
その結果、生成炭素が沈着し、COの回収と分解特性が劣化したアルカリ珪酸化物を酸化雰囲気中で融点以上に加熱することで、アルカリ珪酸化物から炭素を確実に除去することができ、COの回収と分解特性が回復することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は次の通りである。
(1) COを含んだCO含有ガスをアルカリ珪酸化物に接触させて、アルカリ珪酸化物にCOを吸収させ、このアルカリ珪酸化物を非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下に加熱してCOを炭素に分解して、炭素を分離することによる、COを回収して炭素を分離する方法において、炭素を分離する工程を経た後のアルカリ珪酸化物を酸化雰囲気中で融点以上1600℃以下に加熱して、該アルカリ珪酸化物に残存した炭素を除去することを特徴とする、アルカリ珪酸化物の再生方法。
(2) 前記アルカリ珪酸化物が、珪酸ナトリウムであることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3) 前記CO含有ガスが空気であり、アルカリ珪酸化物に大気中のCOを吸収させることを特徴とする(1)又は(2)に記載の方法。
(4) COを含んだCO含有ガスをアルカリ珪酸化物に接触させて、アルカリ珪酸化物にCOを吸収させ、このアルカリ珪酸化物を非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下に加熱してCOを炭素に分解して、炭素を分離した後、炭素を分離したアルカリ珪酸化物を酸化雰囲気中で融点以上1600℃以下に加熱して、該アルカリ珪酸化物に残存した炭素を除去し、再び、CO含有ガスを接触させて、アルカリ珪酸化物によるCOの回収と炭素への分解を繰り返すようにして、炭素を分離することを特徴とする、COを回収して炭素を分離する方法。
本発明によれば、COを含んだCO含有ガスをアルカリ珪酸化物に接触させて、アルカリ珪酸化物にCOを吸収させ、加熱してCOを炭素に分解して、炭素を分離する方法において、分解によってアルカリ珪酸化物触媒に沈着した生成炭素を確実に除去することができる。その結果、アルカリ珪酸化物によるCOの回収能力と炭素への分解能力を完全に回復させることができ、COの回収と炭素の分解を繰り返して、アルカリ珪酸化物を効率良く使用することができるようになる。また、上記のようなアルカリ珪酸化物の再生方法(再生処理)を利用することで、簡便な方法でアルカリ珪酸化物によるCOの回収と炭素の分離を繰り返して行うことができ、炭素源として使用することができる炭素をCOの有効利用によって効率良く製造することが可能になる。
以下、本発明の、CO含有ガス中のCOを回収し、かつ、炭素(C)へ分解するためのアルカリ珪酸化物に沈着した生成炭素(C)を除去して、アルカリ珪酸化物によるCOの回収能力とCへの分解能力を完全に回復させる方法について、順次説明する。なお、本発明におけるアルカリ珪酸化物はCOを回収し、Cに分解する触媒としての機能を有するため、本発明に係るアルカリ珪酸化物の再生方法は、COを回収して分解させる触媒の再生方法であると言うこともできる。
上述したように、本発明者らは、アルカリ珪酸化物、例えば、珪酸ナトリウムに空気(大気)等のCO含有ガスを接触させ、CO含有ガス中のCOを珪酸ナトリウムに吸収させた後、シリカアルミナ、アルミナ、石英等の材質のルツボへ装入し、非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下に加熱して、吸収させたCOを分解し、Cを得る方法を開発している。ここで、珪酸ナトリウムの分子式はNaO・nSiOで表すことができ、nは一般的に0.3~4程度のものが多いが、特に限定されるわけではない。NaO・nSiO2で表される化合物は無水物の珪酸ナトリウムであるが、この他に、配位水又は結晶水を有する固体状のNaO・nSiO・mHOで表される珪酸ナトリウムも用いることができる。
なお、これらアルカリ珪酸化物、例として挙げている珪酸ナトリウムは全て固体であり、珪酸ナトリウムの高粘性水溶液である水ガラスとは区別され、CO吸収特性等の化学的性質も異なる。ちなみに、水ガラスの製法としては、固体状の珪酸ナトリウムと水を混合し、オートクレーブ等を使用し10気圧近くに加圧し、更に100℃以上へ加熱することにより製造する方法が一般的であり、大気圧下、特に室温下で、珪酸ナトリウムと水を混合しただけで容易に水ガラスが得られるわけでもない。また、本発明で用いることができる、Na2O・nSiO2は、炭酸化物源となることができるとして、先の特許文献1に記載されているNa2Oとは全く異なる性質を有する。アルカリ珪酸化物、すなわちNa2O・nSiO2のn=2であるNa2O・2SiO2を例として挙げると、本来これはNaSiと記載されることが多く、非常に安定な化合物であり一般に市販されている。これに対して、Na2Oは非常に不安定な化合物であり、工業製品としてはもちろん、試薬としてもほとんど市販されていない。わずかに市販されているNa2Oも純度が低く、せいぜい90%程度の純度である。このように、Na2Oは特別に合成する等のことがなければほとんど眼にすることはないが、Na2O・nSiO2は一般的に入手可能な安定な化合物であり、工業製品として多く流通している。
COを含んだCO含有ガスをアルカリ珪酸化物に接触させる方法については特に制限されず、例えば、大気中のCOをアルカリ珪酸化物に吸収させる場合には、アルカリ珪酸化物を室温で大気中に一定時間放置するようにしてもよい。また、CO含有ガスについては、空気のほか、例えば、石炭、重油、天然ガス等を燃料とする火力発電所や、製造所のボイラー、コークスで酸化鉄を還元する製鉄所の高炉等から排出される排ガスを用いることもできる。
アルカリ珪酸化物については、気体吸収性に優れる方が望ましい。そのため、アルカリ珪酸化物の形状については、塊状のものより粉末状又は粒状のものであるのがよい。好ましくは、個々の粒子の粒径が0.1μm~数mmであるのがよく、より好ましくは1μm~1mmであるのがよい。なお、粒径を小さくし過ぎると粉砕の過程でアルカリ珪酸化物に不純物が混入することなどが懸念されるため、粉砕したとしても1μm程度までとするのがよい。ただ、本発明においては、アルカリ珪酸化物の粒径や形状については特に制限されるものではない。
ところで、無水珪酸ナトリウムがCOを吸収することは、一般的に知られていない。このメカニズムは不明であるが、珪酸ナトリウムがCOとHOを一緒に吸収することによる、いわゆる潮解状態となっていると考えられる。この際の生成物は厳密には判明していない。ただ、無水の珪酸ナトリウムの粒状物をCOと水蒸気の存在下に放置後、赤外分光法により赤外スペクトルを得ると、粒子表面にNaCO・10HOの生成が認められた。このことから、珪酸ナトリウムの表面には、大気中のCOとHOからNaCOの水和物が生成していると考えられる。
COを吸収させたアルカリ珪酸化物は、非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下、好ましくは850℃以上1300℃以下に加熱して、COを炭素に分解させる。この加熱の際には、加熱炉等の加熱装置を用いることができ、生成した炭素の酸化を防止するために非酸化性雰囲気とする必要がある。この非酸化性雰囲気としては、例えば、アルゴン雰囲気等の不活性ガスの雰囲気や窒素雰囲気等を挙げることができる。
また、炭素を生成させるためには700℃以上が必要である。ここで、700℃以上で850℃程度以下の加熱では、上記COを吸収したアルカリ珪酸化物は加熱により溶融状態とはならない場合が多く、生成した炭素は固形物として広く分布することが多い。850℃程度以上に加熱すると、上記アルカリ珪酸化物は加熱により溶融状態となる場合が多く、生成した炭素は、ルツボ壁面や溶融物上面に集まり易く、炭素の回収に好都合である。なお、加熱温度が1600℃より高くなると、生成する炭素は僅かしか認められなくなる。この理由については、1600℃より高温では、一旦生成した炭素がアルカリ珪酸化物により酸化されるために減少することが推測されるが、詳細は不明である。また、加熱の際に使用する一般的なルツボの耐熱性を考慮すると、加熱温度は1300℃以下であるのが望ましい。
加熱時の昇温速度は特に制約がなく、例えば、通常の加熱炉の昇温速度である1~40℃/分を選択でき、好ましくは、10~20℃/分を選択できる。最高温度到達後の保持時間も特に制約はない。経済的な観点から短時間の保持時間を選択してよく、例えば、1~180分、好ましくは、10~60分で十分である。冷却速度も特に制約はなく、最高温度到達後の保持時間終了後、直ちに加熱を終了し、装置の自然冷却に任せてよく、もし、装置の構造上から冷却速度に制限があるならば、それに従ってよい。
このような方法により炭素が生成する反応メカニズムについてはほとんど分かっていないが、以下のメカニズムが推測される。
アルカリ珪酸化物は最大量の酸素原子を有しており還元物質としては作用できない。従って、反応の進行に還元物質は関与しておらず、アルカリ珪酸化物は触媒として作用すると考えられる。更に、前述したように、アルカリ珪酸化物がCOとHOを吸収すると、アルカリ珪酸化物の表面には、例えば、大気中のCOとHOからNaCOの水和物が生成すると考えられる。このことから、加熱中の推測されるメカニズムとしては、生成したNaCOの水和物の酸素原子が珪酸ナトリウム中を拡散し、その結果炭素が取り残されるというものである。このメカニズムでは酸素原子が酸素分子として溶融状態のアルカリ珪酸化物から離脱せねばならないが、今のところ、この現象が確認できているわけではなく、推定である。ただ、このメカニズムから推測すると、700℃未満ではアルカリ珪酸化物中の酸素拡散速度が十分でなく、従って、本発明では700℃以上が必要と考えられる。また、1600℃より高温では一度生成した炭素がアルカリ珪酸化物により酸化されると推測される点は、上述したとおりである。
ちなみに、先の特許文献1では、NaO使用の場合、次の反応式で表すことができる。
(1)予め、別の装置にて、NaOにCOを吸収させNaCOを生成させる。
NaO+CO→NaCO
(2)生成したNaCOとNaO・nSiOを混合する。混合比をx:yとする。
(3)混合物を加熱し、NaCOを分解すると、以下の反応が進行すると推定される。
x・NaCO+y(NaO・nSiO
→x・NaO+x・C+x・O+y(NaO・nSiO
→x・C+x・O+(x+y)NaO・nSiO
上記の(3)から分かるように、NaO使用の場合、反応回数を重ねると、生成するNaO・nSiOの組成が、Na2O比率が大きくなる方向に徐々にずれていき、いずれNaO・nSiOを再利用できなくなる。
これに対して、本発明での反応式は次のごとくとなる。
(1)NaO・nSiOにCOとHOを吸収させる。
これにより、NaO・nSiOの表面にNaCOの10水和物が生成すると推測される。
(COのNaO・nSiOに対する吸収比率をx:yとする。x<y。)
x(CO+10HO)+y(NaO・nSiO)→x(NaCO・10HO)+(y-x)NaO・ynSiO
(2)その後、この表面にNa2COの10水和物が生成したNaO・nSiOを加熱すると、以下の反応がおきる。
x(NaCO・10HO)+(y-x)NaO・ynSiO→x・NaO+x・C+x・O+10x・HO+(y-x)NaO・ynSiO→x・C+x・O+10x・HO+y(NaO・nSiO
このように、x(NaCO・10HO)は、y(NaO・nSiO)由来の物なので、結果としてNaO・nSiOの組成に変化は無い。
本発明に係る製造方法によって生成した炭素は、温度が低下してから、加熱炉等の加熱装置内に炭素が偏析していれば破砕して分離し、アルカリ珪酸化物から成る固形物に炭素が広く分布していれば、熱水もしくはフッ化水素酸で固形物を溶解して、残った炭素を分離すればよい。また、得られた炭素は、その後、工業材料や燃料等の通常の炭素源として使用することができる。
しかしながら、上述したように、粉砕等の機械的方法ではアルカリ珪酸化物から生成Cを完全には除去できず、COの回収と分解にアルカリ珪酸化物を繰り返し使用すると、生成Cがアルカリ珪酸化物に徐々に沈着し、アルカリ珪酸化物のCO回収と分解特性が次第に劣化するという問題が生じる。また、アルカリ珪酸化物と生成Cから成る固形物を熱水もしくはフッ化水素酸で溶解し、残った炭素を分離する方法は、溶解したアルカリ珪酸化物を再度固体に戻さねばならず、非常に手間を要するという問題が生じる。
ここで、アルカリ珪酸化物に生成Cが沈着すると、アルカリ珪酸化物のCO回収と分解特性が次第に劣化する理由としては、アルカリ珪酸化物のCO吸収に関する活性点にCが沈着することにより、CO吸収能力が低下するのではないかと推測しているが、詳細は不明である。
生成Cの沈着により、アルカリ珪酸化物のCO回収・分解特性が低下するのであれば、沈着したCを除去すればよいが、全体を粉砕してCを分離する、又は、沈着したCを掻き取る等の機械的方法ではCを完全には除去できず、CO回収・分解特性は完全には回復しない。
機械的な除去方法以外では、Cを高温酸化して除去することが考えられる。アルカリ珪酸化物に沈着しているCは最大粒径が数100μm以下で平均粒径は数10μm以下の微細なC粒子である。一般的に、この程度の粒径であれば、不定形Cであれグラファイト型Cであれ、酸化性雰囲気下で、例えば空気中で、800℃程度まで加熱すればCO又はCOへ酸化させることができ、完全に酸化除去することができる。しかしながら、上記のようなCOの回収・分解によりアルカリ珪酸化物に沈着したCは、このような酸化除去の条件が当てはまらない。詳細は実施例に示すが、酸化性雰囲気下で、アルカリ珪酸化物の融点以上に加熱しなければ、アルカリ珪酸化物に沈着したCは酸化除去できないことを見出した。
アルカリ珪酸化物に沈着したCの酸化除去が融点以上でないと進行しないことの詳細な理由は不明であるが、Cとアルカリ珪酸化物が何らかの化学結合をしており、融点以上でこの化学結合が切れる、もしくは化学結合が不安定化するためではないか、というような推測ができる。
アルカリ珪酸化物に沈着したCは酸化されることによりCO又はCOに転化されるので、当然COに戻るものもあるが、アルカリ珪酸化物を再生することにより、酸化される生成Cよりも、再生後に大気中COを回収・分解してCが生成し、遊離炭素として回収される炭素の方が多く、十分な利点がある。
このようにしてアルカリ珪酸化物を再生するための加熱温度の上限については、1600℃より高くなると、生成Cがアルカリ珪酸化物により酸化される可能性が生じ、結果、アルカリ珪酸化物の組成が変化してしまうことが有り得るので、1600℃以下にする。
また、このときの加熱昇温速度や最高温度到達後の保持時間、冷却速度については特に制約がなく、上述したCOの回収・分解の場合と同様の条件から選択することができる。
本発明によれば、アルカリ珪酸化物によるCOの回収能力と炭素への分解能力を完全に回復させることができる。そのため、アルカリ珪酸化物によるCOの回収と炭素への分解を何度も繰り返して行うことができるようになり、アルカリ珪酸化物を効率良く使用することができる。その際、アルカリ珪酸化物によるCOの回収と分解を行って生成Cを分離した後、その都度、アルカリ珪酸化物の再生処理(沈着した生成Cの除去)を行うようにしてもよく、アルカリ珪酸化物によるCOの回収と分解を複数回実施した後に、まとめてアルカリ珪酸化物の再生処理を行うようにしてもよい。
以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの内容に制限されるものではない。
(実施例1:発明例)
市販の水酸化ナトリウム(粒状の特級試薬)とケイ砂(SiO2)(200~300メッシュ)を、NaO:SiO比が2:1となり、水酸化ナトリウムとケイ砂が反応し2NaO・SiOが生成した場合に約20gとなる量を各々秤量し、上部内径約36mm、深さ約36mmのニッケルルツボに装入した。これを内径約41mm、深さ約115mmの石英ルツボへ入れた。石英ルツボにアルミナ製の蓋をし、Ar雰囲気の加熱炉で1200℃まで10℃/分で昇温し、30分間保持後、室温まで自然冷却した。冷却後、ニッケルルツボの中にはほぼ無色透明の均一なガラス状物質が生成していた。この生成物の質量減少を測定すると、水酸化ナトリウムが完全に脱水しケイ砂と反応し2NaO・SiOが生成した場合の質量減少と一致し、2NaO・SiOが生成したことが判明した。
ニッケルルツボにはテーパーが付いているが、ニッケルルツボを伏せて底を軽く叩くと生成したガラス状の2NaO・SiOを取り出すことができた。2NaO・SiOのニッケルルツボとの接触部分は、所々わずかに薄い黄色を帯びていたので、この部分をステンレス製のスクレーパーで削り落とし無色の2NaO・SiO塊を得た。この塊をアルミナ乳鉢にて1mm以下へ粉砕し、その内の約5gをシリカアルミナルツボへ装入した。
上記シリカアルミナルツボを加熱炉へ入れ、窒素80%酸素20%の乾燥した混合ガスを2L/分で流しながら、10℃/分で昇温し700℃で12時間保持後、室温まで自然冷却した。この酸化処理後、燃焼赤外線吸収法で炭素分析したところ炭素は検出されず、2NaO・SiO粉中に有機物および炭素は存在しないことが確認できた。また、2NaO・SiO粉は完全に無水物となったと考えられる。冷却後、加熱炉からシリカアルミナルツボを取り出し、直ちに秤量し、一昼夜、大気中に放置して、大気中のCOを吸収させた。
この2NaO・SiOが装入されたシリカアルミナルツボをAr流通下で10℃/分の昇温速度で1200℃に加熱し、30分間保持した後に室温まで自然冷却すると、シリカアルミナルツボ内面および2NaO・SiO表面が黒くなっていた。この2NaO・SiOを粉砕し生成した黒色物を除去・回収したが、わずかな量の黒色物は2NaO・SiOから除去できなかった。回収した黒色物を燃焼赤外線吸収法で炭素分析したところ、ほぼ100%の炭素であった。シリカアルミナルツボ内の炭素源は吸着COしかなく、大気中のCOがCに還元(分解)されたことが判明した。
以上のCO吸収・分解操作を5回繰り返したところ、2NaO・SiO表面の除去できない炭素が増加し、2NaO・SiOは全体が薄い灰色となった。この2NaO・SiOを用いて同様に実験を繰り返したが、2NaO・SiOの色は変化しなくなり、COの吸収・分解現象は、ほとんど進行しなくなった。
そこで、この2NaO・SiOを乾燥空気流通下で2NaO・SiOの融点(1080℃)以上の1150℃に10℃/分の昇温速度で加熱して、60分間保持後に室温まで自然冷却する酸化処理を実施したところ、2NaO・SiOは完全な白色となった。この2NaO・SiOを用い、再び、上記と同様にCO吸収・分解操作を行ったところ、合成直後の2NaO・SiOを用いた場合と同様に黒色物(遊離炭素)が析出した。その後、CO吸収・分解操作を3回繰り返したところ、その都度2NaO・SiOの色の変化が確認されて、合成後の2NaO・SiOを使用した場合と同様の結果が得られた。
(比較例1)
比較例1は、COの吸収・分解現象を行うことができなくなった2NaO・SiOを乾燥空気流通下で2NaO・SiOの融点(1080℃)以下の1000℃に10℃/分の昇温速度で加熱して60分間保持後に自然冷却する酸化処理を実施したこと以外は、本実施例1と同様の実験を行った。
比較例1では、酸化処理後の2NaO・SiOの色の変化は無かった。また、この酸化処理後の2NaO・SiOを用いて、本実施例1で行ったCO吸収・分解操作を行ったが、2NaO・SiOの色に変化はなく、COの吸収・分解現象は進行しなかった。
以上のように、2NaO・SiOの融点以上の温度で酸化処理を行った場合のみ、2NaO・SiOのCOの吸収・分解特性を再生させることができた。

Claims (3)

  1. COを含んだCO含有ガスをアルカリ珪酸化物に接触させて、アルカリ珪酸化物にCOを吸収させ、このアルカリ珪酸化物を非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下に加熱してCOを炭素に分解して、炭素を分離することによる、COを回収して炭素を分離する方法において、前記アルカリ珪酸化物が珪酸ナトリウムであり、炭素を分離する工程を経た後のアルカリ珪酸化物を酸化雰囲気中で融点以上1600℃以下に加熱して、該アルカリ珪酸化物に残存した炭素を除去することを特徴とする、アルカリ珪酸化物の再生方法。
  2. 前記CO含有ガスが空気であり、アルカリ珪酸化物に大気中のCOを吸収させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. COを含んだCO含有ガスを珪酸ナトリウムに接触させて、珪酸ナトリウムにCOを吸収させ、この珪酸ナトリウムを非酸化性雰囲気中で700℃以上1600℃以下に加熱してCOを炭素に分解して、炭素を分離した後、炭素を分離した珪酸ナトリウムを酸化雰囲気中で融点以上1600℃以下に加熱して、該珪酸ナトリウムに残存した炭素を除去し、再び、CO含有ガスを接触させて、珪酸ナトリウムによるCOの回収と炭素への分解を繰り返すようにして、炭素を分離することを特徴とする、COを回収して炭素を分離する方法。
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