JP7035320B2 - 熱硬化性樹脂組成物、樹脂膜および半導体装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、樹脂膜および半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、樹脂膜および半導体装置に関する。
これまで半導体装置の製造プロセスにおいて、半導体チップの積層方法に対して様々な開発がなされてきた。この種の技術としては、例えば、特許文献1の技術が挙げられる。同文献には、半導体ウェハ上に複数の半導体チップを積層するCoW(Chip on Wafer)プロセスが記載されている。同文献の段落0094から0099によれば、CoWプロセスに関して、次のようなことが記載されている。まず、半導体ウェハの裏面側をフリップチップボンディングツールのステージ上に吸着保持する。この半導体ウェハの表面に、マウンティングツールを用いて半導体チップを面内方向に複数配置し、充填剤を介して積層する。続いて、チップオンウェハ積層体CoWを加熱加圧条件化で熱圧着することで、半導体ウェハと複数の半導体チップとを一括して接合する。その後、加熱条件下で、充填剤を硬化する。この充填剤は、エポキシ樹脂を主成分とする非導電性の接着剤であると記載されている(特許文献1の段落0030)。
特開2015-46569号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記文献に記載のCoWプロセス中、半導体ウェハと半導体チップの間に存在する充填剤において、低温保管安定性の観点で改善の余地を有していることが判明した。
本発明者が検討したところ、次のような知見を得た。
CoWプロセスの詳細について説明する。ステージ上に半導体ウェハを配置し、この半導体ウェハに接着剤を介して半導体チップを仮接続して積層する。先に積層された半導体チップは、後続の半導体チップが積層し終わるまで、この状態のままステージ上で保持されることになる(保管工程)。この保管工程は、ボンディングツールとの温度差を小さくするために、半導体ウェハを搭載するステージを約80℃前後に保持している。
このような保管工程の後、複数の半導体チップを加熱加圧することによって一括接合する工程が行われる(接合工程)。
しかしながら、上記保管工程が長時間に渡って行われた場合、上記接合工程において、半導体チップと半導体ウェハの端子間から、接着剤の樹脂成分が排除しきれずに残存し、接続信頼性が低下することが判明した。詳細なメカニズムは定かでないが、上記保管工程中、約80℃の低温のステージ上で長時間保持された状態が続くと、接着剤の硬化反応が進み、流動性が低下することによって、かかる接着剤の樹脂成分が端子間から排除されにくくなると考えられる。
また、生産性の向上の観点から、半導体ウェハ上に積層する半導体チップの数が増大することや、また上記接合工程前に、半導体チップ上に複数の半導体チップをさらに積層することもある。今後のCoWプロセス中の保管工程は、長時間化する傾向にあり、それに伴い、上述の接続信頼性の低下は一層顕著になる。
これに対して、本発明者がさらに検討を進めた結果、このような接着剤に用いる熱硬化性樹脂組成物に対し、低温で反応が進む低温反応物を除去することや潜在性硬化剤を使用したりすること、また、重合禁止剤を添加する場合、重合禁止剤の含有量を調整することなど、組成を適切に制御することにより、上記の接続信頼性の低下を抑制できると考えた。
以上のような知見に基づいて鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂組成物の低温時における反応進行度合いが、低温で長時間保管した後のピーク発熱量の変化量に関係することが判明し、80℃、24時間保管した後の最大発熱ピークの発熱変化量を指標とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の低温時における反応進行度合いを適切に評価できることが見出された。
そして、かかる指標に基づいて検討したところ、低温で長時間保管した後の発熱ピークの変化が小さくなるように、発熱変化量を所定値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の低温保管安定性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下であり、
80℃から110℃の温度領域における上記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含み、
該熱硬化性樹脂組成物が、ジシアンジアミドまたはジシアンジアミド誘導体をさらに含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、イミダゾール化合物を含まない、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、
熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下であり、
80℃から110℃の温度領域における上記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
上記熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、安息香酸または安息香酸誘導体をさらに含み、
上記(メタ)アクリレート樹脂は、イソシアヌレート環の窒素上の置換基に(メタ)アクリル基を有する多官能(メタ)アクリレートである、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜が提供される。
また本発明によれば、上記樹脂膜の硬化物を備える、半導体装置が提供される。
本発明によれば、低温保管安定性に優れた熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた樹脂膜および半導体装置を実現できる。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。 本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。 本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。 本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。 本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。 実施例1の熱硬化性樹脂組成物から得られる樹脂フィルムのDSCチャートである。 比較例1の熱硬化性樹脂組成物から得られる樹脂フィルムのDSCチャートである。 実施例1の熱硬化性樹脂組成物から得られる樹脂フィルムを使用したときの、半導体装置(0h)における電極間のSEM画像である。 実施例2の熱硬化性樹脂組成物から得られる樹脂フィルムを使用したときの、半導体装置(0h)における電極間のSEM画像である。 実施例2の熱硬化性樹脂組成物から得られる樹脂フィルムを使用したときの、半導体装置(24h)における電極間のSEM画像である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の概要を説明する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、P2/P1が0.5以上1以下となるように構成することができる。
本発明者は、鋭意検討した結果、80℃、24時間保管した後の最大発熱ピークの発熱変化量(上記のP2/P1)を指標とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の低温時における反応進行度合い適切に評価できることを見出した。かかる発熱変化量を小さくすること、すなわち、P2/P1を上記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物を低温で長期保管したとき、硬化反応の進行が進まない状態を維持できるような熱硬化性樹脂組成物を実現することができる。これによって、熱硬化性樹脂組成物の、低温で長時間保管されたときの低温保管安定性、いわゆるステージライフを向上させることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、第1電子部品と第2電子部品とを接着する接着層の形成に用いることができる。この接着層は、硬化前の状態で第1電子部品と第2電子部品とを仮接着でき、硬化した状態でこれらを強固に接着することができる。このような硬化工程は、第1電子部品と第2電子部品の接合工程の後に行われる。接合工程の一例としては、例えば、第1電子部品と第2電子部品との互いの接続端子が、例えば、半田バンプを介したバンプ接続により接合される。硬化工程後の接着層は、第1電子部品と第2電子部品の端子間に配置され、当該接着層を構成する熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分が架橋反応し、硬化することによって第1電子部品と第2電子部品とを強固に接着することができる。
ここで、第1電子部品と第2電子部品とを接合する半導体装置の製造方法の一例として、CoWプロセスの通常の手順について説明する。
まず、ステージ上に半導体ウェハ(第2電子部品)を配置し、この半導体ウェハに接着層を介して半導体チップ(第1電子部品)を仮接続して積層する(仮実装工程)。このとき、接着層によって半導体チップと半導体ウェハとを仮接着できる。続いて、複数の半導体チップを同様にして半導体ウェハ上に積層する。先に積層された半導体チップは、後の半導体チップが積層し終わるまで、この状態のままステージ上で保持されることになる(保管工程)。このような仮実装工程における保管工程は、ボンディングツールとの温度差を小さくするために、半導体ウェハを搭載するステージを約80℃前後に保持している。
上記CoWプロセスに用いる接着層においては、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物により構成されているため、約80℃の低温で、約24時間もの長時間保管されたとしても、硬化反応が進行することを抑制することが可能になる。このため、接着層は、CoWプロセスの仮実装工程、すなわち仮接着工程の後、複数の半導体チップを加熱加圧することによって一括接合する接合工程が行われたとしても、半導体ウェハと複数の半導体チップとの接続信頼性が低下することを抑制できる。詳細なメカニズムは定かでないが、上記仮接着工程中、低温で長時間保管されたとしても、接着層中の成分の硬化反応の進行を抑制できるため、接着層の樹脂成分が、半導体ウェハと半導体チップとの端子間から排除されないことを防止できると考えられる。
本実施形態において、上記第1電子部品としては、例えば、第1半導体チップまたはインターポーザー等が挙げられる。また、上記第2電子部品としては、例えば、第2半導体チップ、第2インターポーザー、半導体ウェハまたは有機基板等が挙げられる。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、第2電子部品の上に、複数の第1電子部品を積層する積層工程において、複数の第1電子部品を接着するための接着層の形成に用いることができる。このような積層工程は、第2電子部品の面内方向において、複数の第1電子部品を配置する工程を含んでもよく、第2電子部品の面内方向と直交する積層方向において、第1電子部品同士を複数積層する工程を含んでもよい。
具体的には、CoWプロセスにおいては、半導体ウェハの面内方向において、複数の半導体チップを積層してもよく、半導体ウェハの面内方向と直交する方向に、複数の半導体チップ同士を積層してもよい。これにより、生産性を高めることができる。このような半導体チップの積層数が増大し、接着層がより低温で長時間使用されたときでも、上述の接続信頼性の低下を抑制することが可能である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、樹脂ワニスでもよく、フィルム状の樹脂膜でもよい。ハンドリング性の観点から、熱硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の樹脂膜を用いることができる。上記樹脂膜としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物の樹脂ワニスを、キャリア基材上に塗布し、所定の温度で乾燥し溶剤を揮散させることにより得られる。
本実施形態の樹脂膜は、Cステージ状態ではなく、Bステージ状態(未硬化状態または半硬化状態)とすることができる。
上記樹脂膜の厚みの下限値は、特に制限されないが、例えば、1μm以上でもよく、3μm以上でもよく、5μm以上でもよい。一方で、上記樹脂膜の厚みの上限値は、例えば、150μm以下でもよく、100μm以下でもよく、50μm以下でもよい。このような厚みの数値範囲内とすることにより、隣接する端子間の間隙に熱硬化性樹脂組成物を十分に充填することができる。また、熱硬化性樹脂組成物の硬化後の機械的接着強度および対向する端子間の電気的接続を確保することができる。
本実施形態のキャリア基材付き樹脂シートは、キャリア基材と、このキャリア基材上に設けられた、上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜とを備えることができる。
このキャリア基材付き樹脂シートは、巻き取り可能なロール状でもよいし、矩形形状の枚葉状であってもよい。キャリア基材付き樹脂シートの表面は、例えば、露出していてもよく、保護フィルム(カバーフィルム)で覆われていてもよい。保護フィルムとしては、公知の保護機能を有するフィルムを用いることができるが、例えば、PETフィルムを使用してもよい。
本実施形態において、キャリア基材としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金、銀および/または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートで構成されるシートが安価および剥離強度の調節が簡便なため最も好ましい。これにより、上記キャリア基材付樹脂膜から、キャリア基材を適度な強度で剥離することが容易となる。
以下、熱硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含むことができる。
(a)熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、アリル樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、アリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。これらの中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるという観点からエポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基が2個以上であるものを使用することができる。具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、o-アリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル4,4’-ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、4,4’-ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、1,6-ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールD型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂、1,6-ナフタレンジオールのグリシジルエーテル、アミノフェノール類のトリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いても良い。また、信頼性の優れた熱硬化性樹脂組成物を得るために、エポキシ樹脂のNa、Cl等のイオン性不純物はできるだけ少ないものが好ましい。
また、多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂は、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂等であってもよく、好ましくはトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂である。この場合、エポキシ樹脂は、ガラス転移点Tgが高いため、熱信頼性が高くなる。
一方、熱硬化性樹脂は、(メタ)アクリレート樹脂を含むことができる。この場合、この(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリル基および/または(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を含むことができる。この(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレート基含有重合体および(メタ)アクリレートモノマーを含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、(メタ)アクリル基を有するとは、アクリル基を1以上有する、および/またはメタクリル基を1以上有することを表す。また、(メタ)アクリロイル基を有するとは、アクリロイル基を1以上有する、および/またはメタクリロイル基を1以上有することを表す。
上記(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する環状構造を備える、多官能(メタ)アクリレートを含むことができる。
この多官能(メタ)アクリレートは、窒素上の置換基が(メタ)アクリロイル基であるイソシアヌレート環構造を備えることができる。
このような多官能(メタ)アクリレートは、例えば、下記一般式(a1-1)で表される化合物を含むことができる。
Figure 0007035320000001
上記式(a1-1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または芳香環を有さない有機基であり、R、R、Rのうち少なくとも2つは(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基である。R、R、Rの有機基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ラクトン変性(メタ)アクリロイル基、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ラクトン変性(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリル基が特に好ましい。
、R、Rのうち少なくとも2つは(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基であり、R、R、Rのいずれも(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基であることが好ましい。
また、上記多官能(メタ)アクリレートとして、例えば、R、R、Rのいずれも(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基である3官能(メタ)アクリレートを用いることができる。
このようなイソシアヌレート環の窒素上の置換基に(メタ)アクリル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、(トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、ジ(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが例示されるが、これに限定されず、2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートやイソシアヌル酸と(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ハライドの縮合反応で(メタ)アクリル基を導入した化合物、2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートの水酸基とポリアルキレングリコール、ポリエステルグリコールを反応させた化合物の末端に(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ハライドの縮合反応で(メタ)アクリル基を導入した化合物等が挙げられる。
具体的には、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを用いることができる。好ましくは、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを用いることができる。これらを用いるとガラス転移温度を高めることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリレート樹脂とアリル樹脂とを併用することができる。
上記アリル樹脂としては、2個以上のアリル基を含有するアリル樹脂を用いることができる。この2個以上のアリル基を含有するアリル樹脂として、例えば、上記ジアリルフタレート樹脂を用いることができる。
上記ジアリルフタレート樹脂としては、例えば、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー等のジアリルフタレート樹脂に代表され、これらの単独、あるいは2種以上の混合物であってよい。また、ジアリルフタレート樹脂は、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートモノマー等の2種以上のいわゆるジアリルフタレートモノマーの共重合体からなるプレポリマーであってもよい。この場合、ベンゼン環上の水素原子が塩素、臭素等のハロゲン原子で置換されていてもよく、また分子内に存在する不飽和結合が全部または一部において、水添されたプレポリマーもここに含まれるものとする。
熱硬化性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、例えば、5質量%以上65質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上65質量%以下である。熱硬化性樹脂の含有量が上記した範囲内である場合、硬化後の樹脂層は、耐熱性及び機械的特性が特に優れたものになる。ただし、熱硬化性樹脂の含有量は、上記した範囲に限定されるものではない。
(b)フラックス活性を有する化合物
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含む場合、以下のフラックス活性を有する化合物を含むことができる。
上記フラックス活性を有する化合物としては、半田表面の酸化膜を除去する働きがあれば、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、あるいは、カルボキシル基およびフェノール性水酸基の両方を備える化合物が好ましい。
また、カルボキシル基を有さなくても、同様のフラックス活性の効果を発現できる化合物を用いても良い。例えば、カルボキシル基を有しない当該化合物としては、カルボン酸無水化物等の酸無水物化合物等を挙げることができる。
フラックス活性を有する化合物により、半田層の表面酸化膜を除去することができ、電気的な接続を容易に行うことができる。
なお、カルボキシル基を備えるフラックス活性を有する化合物とは、分子中にカルボキシル基が1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。また、カルボキシル基およびフェノール性水酸基を備えるフラックス活性を有する化合物とは、分子中にカルボキシル基およびフェノール性水酸基がそれぞれ1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。
これらのうち、カルボキシル基を備えるフラックス活性を有する化合物としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
カルボキシル基を備えるフラックス活性を有する化合物に係る脂肪族カルボン酸としては、例えば、下記一般式(1)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
HOOC-(CH-COOH (1)
(式(1)中、nは、1以上20以下の整数を表す。)
カルボキシル基を備えるフラックス活性を有する化合物に係る芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸(2-ヒドロキシ安息香酸)、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3,5-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。
これらのカルボキシル基を備えるフラックス活性を有する化合物のうち、フラックス活性を有する化合物が有する活性度、熱硬化性樹脂組成物の硬化時におけるアウトガスの発生量、および硬化後の熱硬化性樹脂組成物の弾性率やガラス転移温度等のバランスが良い点で、前記一般式(1)で示される化合物が好ましい。そして、前記一般式(1)で示される化合物のうち、nが3~10である化合物が、硬化後の熱硬化性樹脂組成物における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、半導体チップ、基板等の回路部材同士の接着性を向上させることができる点で、好ましく用いることができる。
前記一般式(1)で示される化合物のうち、nが3~10である化合物としては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC-(CH-COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC-(CH-COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC-(CH-COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC-(CH-COOH)およびn=10の(HOOC-(CH10-COOH-)等が挙げられる。
また、サリチル酸(2-ヒドロキシ安息香酸)、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体を使用してもよい。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に好ましい化合物としては、分子内にフェノール性水酸基とカルボキシル基とを1つずつ有する化合物が挙げられ、具体的には、サリチル酸(2-ヒドロキシ安息香酸)、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。このような化合物は、高いフラックス活性を有し、(メタ)アクリレート樹脂の重合反応の進行を抑制する重合禁止剤として作用することができる。
また、フラックス機能を有する酸無水物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物等が挙げられる。
フラックス活性を有する化合物に係る脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
フラックス活性を有する化合物に係る脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
フラックス活性を有する化合物に係る芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
なお、本実施形態においては、これらのフラックス活性を有する化合物の中でも、ジフェノール酸、グルタル酸またはこれらの誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸誘導体からなる群から一つ以上を選択することが好ましい態様である。
熱硬化性樹脂組成物全固形分中におけるフラックス活性を有する化合物の配合量の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。これにより、接続信頼性を高めることができる。一方、上記配合量の上限値は、例えば、5質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。これにより、低分子量のフラックス活性を有する化合物の揮発によってボイドが発生することにより絶縁信頼性低下することを抑制することができる。また、仮実装工程および接合工程において、低分子量のフラックス活性を有する化合物の揮発によって、隣接する電子部品が汚染されることを抑制することができる。
(c)成膜性樹脂
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、成膜性樹脂(フィルム成膜性樹脂)を含むことができる。
上記成膜性樹脂は、有機溶媒に可溶であり、単独で膜を形成することができる。
成膜性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-アクリル酸共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、及びナイロンから選択される一種又は二種以上を含む。具体的には、成膜性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含んでいることが好ましい。なお、成膜性樹脂は、その構造中に、エポキシ基、(メタ)アクリル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基を有していてもよい。成膜性樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体である。この場合、成膜性樹脂は、可とう性に優れるため温度サイクル信頼性が向上する。なお、本実施形態において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸の重合体;(メタ)アクリル酸の誘導体の重合体;(メタ)アクリル酸及び他の単量体の共重合体;又は(メタ)アクリル酸の誘導体及び他の単量体の共重合体を意味する。さらに、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」又は「メタクリル酸」を意味する。また、(メタ)アクリル樹脂は、エポキシ基または(メタ)アクリル基などの、熱硬化性樹脂と反応する官能基を有していてもよい。
成膜性樹脂の重量平均分子量は、1万以上が好ましく、2万以上100万以下がより好ましく、3万以上90万以下がさらに好ましい。成膜性樹脂の重量平均分子量が上記した範囲であると、成膜性樹脂は、熱硬化性樹脂組成物の膜を良好に形成することができる。
熱硬化性樹脂組成物を接着フィルムとして用いる場合、成膜性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、0.5質量%以上50質量%以下であるのが好ましい。より具体的には、成膜性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。さらに具体的には、成膜性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、3質量%以上35質量%以下であることが好ましい。成膜性樹脂の含有量が上記した範囲内であると、熱硬化性樹脂組成物の流動性を抑制することができ、樹脂膜の取り扱いが容易になる。ただし、成膜性樹脂の含有量は、上記した範囲に限定されるものではない。
(d)硬化促進剤
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことができる。
上記硬化促進剤は、上記した(a)熱硬化性樹脂の硬化を促進する。硬化促進剤は、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド誘導体、イミダゾール化合物、潜在性を有するマイクロカプセル型硬化剤からなる群から選択される一種以上を含む潜在性硬化剤を用いることが好ましい。この中でも、発熱ピークシフトを抑制できること、またフラックス活性の効果が得られるとして利用できる観点から、ジアジンアミドまたはジアジンアミド誘導体を用いることができる。
また、ジシアンジアミド誘導体とは、ジシアンジアミドを原料の一部として合成される化合物群を指し、特開平5-508678号公報、特開平7-278096号公報、特許第3476243号公報等に記載の置換シアノグアニジン類、特許第2736787号公報等に記載の低重合シアノグアニジン類、グアナミン、アセトグアナミン、ブチログアナミン、ベンゾグアナミン、スクシノグアナミン等のグアナミン類、メラミン、アルキルメラミン、メチロールメラミン等のメラミン類、特許第3095658号公報等に記載の2-シアノグアニジル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン等が好ましい例として挙げられる。これらの中でも、ジシアンジアミド、特開平7-278096号公報に記載のビスシアノグアニジン類、特許第3476243号公報等に記載の1置換シアノグアニジン類、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2-シアノグアニジル-4,6-ジアミノ-S-トリアジンがより好ましく、ジシアンジアミド、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミンが特に好ましく、ジシアンジアミドが最も好ましい。これらのジシアンジアミドやジシアンジアミド誘導体は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記イミダゾール化合物としては、例えば、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、0.005質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。より具体的には、硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、バンプ電極の溶融温度の近傍において熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎることを抑制することができる。さらに、熱硬化性樹脂組成物の保存性を更に向上させることができる。ただし、硬化促進剤の含有量は、上記した範囲に限定されるものではない。
(e)充填材(フィラー)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、充填材を含むことができる。
充填材は、熱硬化性樹脂組成物の線膨張係数を低下させるとともに、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度を調整する。充填材は、例えば、有機充填材及び無機充填材の少なくとも一方を含んでいる。具体的には、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材をさらに含むことができる。この無機充填材は、絶縁性粒子であってもよい。有機充填材は、例えば、樹脂粒子及びゴム粒子の少なくとも一方を含んでいる。樹脂粒子は、例えば、有機樹脂成分を含んでいる。ゴム粒子は、例えば、ゴム成分を含んでいる。無機充填材は、例えば、酸化チタン、シリカ、マイカ、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化珪素、及び窒化ホウ素から選択される一種又は二種以上を含む。
充填材は、耐衝撃性の向上という観点からは、有機充填材を含んでいることが好ましい。この場合に用いる有機充填材は、例えば、ゴム成分を含むゴム粒子を含んでいることが好ましい。このゴム成分は、例えば、アクリルゴム、シリコンゴム、及びブタジエンゴムから選択される一種又は二種以上を含んでいる。この場合、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の靱性を高めることができ、これにより、半導体装置の耐衝撃性を向上させることができる。なお、有機充填材は、コアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造の有機充填材としては例えば、接合した際の半導体素子の反り抑制特性に優れる、有機微粒子(ダウケミカル製:パラロイドEXL2655 耐衝撃強化剤)、応力緩和剤(三菱レイヨン製:メタブレン J-5800、W-5500)を例示することができる。
充填材は、半導体装置の信頼性の向上という観点からは、無機充填材を含んでいることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂組成物層の線膨張係数を低下することができ、これにより、上記信頼性を向上させることができる。より具体的には、無機充填材は、硬化後の熱硬化性樹脂組成物の熱伝導性の観点からは、シリカを含んでいることが好ましい。シリカの形状は、例えば、破砕シリカ及び球状シリカの少なくとも一方である。本実施形態においては、シリカの形状が、球状シリカであることが好ましい。さらに、無機充填材は、熱伝導性の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化珪素、及び窒化ホウ素から選択される一種又は二種以上を含んでいることが好ましい。
充填材は、耐衝撃性の向上及び半導体装置の信頼性の向上という双方の観点からは、無機充填材及び有機充填材の双方を含んでいてもよい。
充填材は、平均粒子直径が500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。充填材の平均粒子直径の下限値は、たとえば5nmである。これにより、上記シリカ中にナノシリカを含めることができる。充填材の平均粒子直径が上記した範囲内である場合、熱硬化性樹脂組成物の粘度を適度なものとすることができる。さらに、熱硬化性樹脂組成物内で充填材が凝集することを抑制することができる。さらに、熱硬化性樹脂組成物を光が透過する際に、可視光の透過を充填材が阻害するのを低減することができる。
充填材の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、0.1質量%以上80質量%以下であるのが好ましい。より具体的には、充填材の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。充填材の含有量が上記した範囲内であると、熱硬化性樹脂組成物を硬化させた後において、半導体チップと接着層の間の線膨張係数差を小さくさせることができる。これにより、半導体チップが接着層から剥離することをさらに確実に抑制することができる。さらに、充填材の含有量が上記した範囲内であると、硬化後の熱硬化性樹脂組成物の弾性率が高くなりすぎるのを抑制することができる。このため、半導体装置の信頼性が上昇する。ただし、充填材の含有量は、上記した範囲に限定されるものではない。
本実施形態において、無機充填材は、その表面が疎水性の官能基で修飾されている表面疎水化無機充填材であることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる樹脂成分と、無機充填材とのなじみ性を向上させることができ、その結果、熱硬化性樹脂組成物の低粘度化や、無機充填材の表面性状の改質が図られるため、接合工程における熱硬化性樹脂組成物の熱時流動性が向上することとなる。このため、表面疎水化無機充填材は、その高い熱時流動性から、従来よりも低温における樹脂に流動性を持たせることが可能になり、効率的に樹脂が排除され、端子間に取り残される樹脂が少なくなる。なお、本明細書において、「疎水性」とは、水に対する親和性が低く、水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくい性質を有することをいう。
この表面疎水化無機充填材としては、例えば、上述した無機充填材の表面を、シリル化処理したものが挙げられる。これらは、公知の処理剤(シリル化剤)を何ら制限されずに使用することができる。
このシリル化剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、tert-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この他、表面疎水化無機充填材を得るために、無機充填材の表面を処理する処理剤(疎水化剤)としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、および、末端反応性シリコーンオイル等のシリコーンオイルが挙げられる。
さらに、処理剤(疎水化剤)としては、脂肪酸およびその金属塩を用いることができ、その具体例として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸のような長鎖脂肪酸、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムのような金属との塩等が挙げられる。
以上のような表面疎水化無機充填材は、その表面が疎水性の官能基で修飾されている。疎水性の官能基として、例えば、アルキル基を有するものであることが好ましい。これにより、樹脂成分と無機充填材成分とのなじみ性を向上させることができ、熱硬化性樹脂組成物の低粘度化や、無機充填材の表面性状を改質するという効果を発現させることができる。
上記アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基およびエチル基のうちの少なくとも1種であることが好ましい。これにより、無機充填材の表面を効率的に疎水化処理することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を更に含んでもよい。この場合、樹脂層を半導体チップに良好に接着させることができる。シランカップリング剤は、例えば、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤およびアクリル系シランカップリング剤から選択される一種又は二種を含むことができる。アクリル系シランカップリング剤としては、(メタ)アクリル基を有するカップリング剤を使用することができる。
シランカップリング剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。ただし、シランカップリング剤の配合量は、この範囲に限定されるものではない。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリレート樹脂を含む場合、(メタ)アクリレート樹脂の重合を阻害する重合禁止剤をさらに含むことができる。この重合禁止剤としては、例えば、公知のものが使用できるが、具体的に、HQ(ヒドロキノン)、MEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル)等のフェノール系重合禁止剤を用いることができる。また、重合禁止剤として、フラックス活性を有するものを使用してもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤は、例えば、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、及び顔料から選択される一種又は二種以上を含んでいる。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物は、上記した各成分を混合又は分散させることによって調製することができる。各成分の混合方法及び分散方法は特に限定されず、従来公知の方法で混合又は分散させることができる。より具体的には、例えば、上記した熱硬化性樹脂組成物は、前記各成分を溶媒中で又は無溶媒下で混合して液状に調製してもよい。このとき用いられる溶媒は、各成分に対して不活性である。具体的には、この溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、及びジアセトンアルコール(DAA)などのケトン類;ベンゼン、キシレン、及びトルエンなどの芳香族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びn-ブチルアルコールなどのアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、及びエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ類;N-メチル-2-ピロリドン(NMP);テトラヒドロフラン(THF);ジメチルホルムアミド(DMF);二塩基酸エステル(DBE);3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP);並びにジメチルカーボネート(DMC)から選択される一種又は二種以上を含む。溶媒の含有量は、溶媒の質量及び熱硬化性樹脂組成物の質量の合計に対する熱硬化性樹脂組成物の質量の濃度が10~80質量%となる量であることが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の特性について説明する。
本実施形態において、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2とする。
このとき、P2/P1の下限値は、例えば、0.5以上であり、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.7以上である。これにより、低温保管安定性を向上させることができる。一方、P2/P1の上限値は、特に限定されないが、例えば、1以下でもよい。
本実施形態において、第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT1とし、第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT2とする。
このとき、T2/T1の下限値は、例えば、0.5以上であり、好ましくは0.55以上であり、より好ましくは0.6以上である。これにより、低温で長時間保持されたときでも、樹脂の変質を抑制することができる。一方、T2/T1の上限値は、特に限定されないが、例えば、1以下でもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物において、80℃から110℃の温度領域における第1DSC曲線は、発熱ピークを有しない構成とすることができる。これにより、低温保管安定性を向上させることができる。
本実施形態では、たとえば熱硬化性樹脂組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、熱硬化性樹脂組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記P2/P1、T2/T1、低温領域における発熱プロファイルを制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、低温反応物質を除去することや潜在性硬化剤を使用すること、また、重合禁止剤を添加する場合、重合禁止剤の含有量を調整することなど、80℃前後の低温領域において硬化反応の進行を抑制できる樹脂系となるように適切に制御すること等が、上記P2/P1、T2/T1、低温領域における最大発熱量や発熱プロファイルを所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂のいずれか一方を含むように構成されていてもよい。また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂のいずれか一方を、熱硬化性樹脂の主成分として含有していてもよい。このとき、主成分のエポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂の含有量は、それぞれ、熱硬化性樹脂の固形分全体に対して、例えば、40重量%以上でもよく、50重量%以上でもよく、60重量%以上でもよい。
本実施形態において、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル基を備える化合物を含まない構成としてもよい。一方で、熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ基を備える化合物を含まない構成としてもよいが、目的に応じて、エポキシ基を備える化合物を少量含有してもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、一例として、上記のようなフラックス活性を有する潜伏性硬化剤を含む構成とすることができる。この潜伏性硬化剤として、例えば、ジアジンアミドまたはジアジンアミド誘導体等の硬化促進剤が挙げられる。このとき、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、(b)フラックス活性を有する化合物を含まない構成としてもよいが、目的に応じて、(b)フラックス活性を有する化合物を含む構成としてもよい。この中でも、約80℃の低温環境下でエポキシ樹脂と反応するような、(b)フラックス活性を有する化合物中の成分やフェノール樹脂系硬化剤を含まない構成としてもよい。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含む場合、フラックス活性を有し、かつ、当該(メタ)アクリレート樹脂が約80℃において低温反応することを抑制する重合禁止剤を含む構成とすることができる。このフラックス活性を有する重合禁止剤としては、例えば、上記の安息香酸等が挙げられる。このとき、熱硬化性樹脂組成物は、フラックス活性を有しないような、上記のフェノール系重合禁止剤をさらに含む構成としてもよい。このような重合禁止剤を含む熱硬化性樹脂組成物は、(b)フラックス活性を有する化合物を含む構成とすることができる。
本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図1~5の各図は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
以下、本実施形態の半導体装置の製造方法の各工程について詳述する。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、準備工程、仮実装工程、接合工程を備えることができる。
上記準備工程は、図1に示すように、第1面104に樹脂層300が配置された半導体チップ100と、素子面202側に端子242が設けられた基板200を準備する工程を含むことができる。第1電子部品の一例として、半導体チップ100、第2電子部品の一例として、基板200を用いることができる。
本実施形態に係る半導体チップ100は、ロジックチップやメモリチップでもよく、メモリ回路とロジック回路が混成されたLSIチップでもよい。また、ロジックチップ上に、メモリチップが積層されていてもよい。また、半導体チップ100は、ADCおよびDAC回路を有するFPGAチップ、またはデータ変換器チップなどの集積回路チップでもよい。
メモリチップは、2以上のメモリチップが積層されていてもよく、例えば4以上や8以上積層されていてもよい。最上層のメモリチップを除く中間のメモリチップは、当該メモリチップを裏面から主面に貫通する貫通電極(例えば、TSV)が設けられている。フェースダウン方式でメモリチップを積層する場合、最上層のメモリチップにTSVを形成しなくてもよい。これにより、最上層のメモリチップを厚くすることができ、強度を高めて、チップ割れを抑制することができる。ただし、最上層のメモリチップにもTSVを形成することにより、積層されたメモリチップを同一工程で製造することができる。
半導体チップ100の搭載方法としては、図1に示すようなフェースダウン方式やフェースアップ方式を採用できる。これらの方式を混成した方式を採用してもよい。フェースアップ方式とは、トランジスタなどの電子回路が形成された主面(素子面102)が、基板200とは反対側を向くように、半導体チップ100を搭載する方式を指す。
本実施形態における半導体チップ100の構造の一例として、半導体チップ100は、基板110を備えている。基板110は、半導体基板であり、例えばシリコン基板とすることができる。また、半導体チップ100の第1面104とは反対面(素子面102)側に保護絶縁膜130が形成されていてもよい。また、基板110と保護絶縁膜130の間に、多層配線層120が形成されていてもよい。また、半導体チップ100には、図示しないトランジスタ、ダイオード、抵抗等の回路素子がされていてもよい。
また、本実施形態の半導体チップ100は、貫通電極140を備えていてもよい。貫通電極140は、基板110を貫通し、素子面102側の端子142と第1面104側の端子144とを互いに電気的に接続できる。貫通電極140は、例えばTSV(Through-Silicon Via)であり、具体的には導電体(例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、金、銀等の金属)で構成されていてもよい。また、端子142及び端子144は、それぞれ金属(例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、金、銀等の金属)で構成されていてもよい。
本実施形態の基板200は、基板200を搭載するための搭載面(素子面202)を有する実装基板とすることができる。実装基板としては、例えば、半導体、ガラス、セラミック、有機材料で構成された基板210を有していてもよい。基板200は、上面視からの形状は特に限定されないが、例えば、矩形形状などのパネルでもよく、円形形状のウェハでもよい。
本実施形態の基板200の一例としては、例えば、半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ)、インターポーザーまたは有機基板などの実装基板とすることができる。
本実施形態の基板200の具体的な態様の一例としては、図1に示すように、基板200は、基板210、多層配線層220、及び保護絶縁膜230を備えることができる。
本実施形態において、保護絶縁膜130や保護絶縁膜230は、それぞれ、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂のような有機材料、酸化ケイ素、窒化ケイ素のような無機材料等で構成されていてもよい。
また、本実施形態において、バンプ電極310は、半導体チップ100の端子144(第1端子)または、基板200の端子242(第2端子)の端部に形成されていてもよい。図1には、バンプ電極310は、第1端子のみに形成されているが、第2端子のみに形成されていてもよく、第1端子および第2端子の両方に形成されていてもよい。
バンプ電極310は、半田層で構成されている半田バンプであってもよい。バンプ電極310の融点は、半田の種類に応じて変わるが、例えば、130℃~300℃としてもよく、180~230℃としてもよく、210℃以上としてもよい。半田層は、例えば、Sn-Ag系、Sn-Cu系、Sn-Zn系、Sn-Ag-Cu系のような鉛フリーはんだで構成されていてもよい。この中でもうち、Snを主成分とし、Agを副成分とする鉛フリーはんだを用いてもよい。
続いて、半導体チップ100の第1面104に樹脂層300を配置する。樹脂層300は、フィルム状でもペースト状でもよいが、作業性の観点からフィルム状が好ましい。
樹脂層300は、ウェハ状の基板200の素子面202上に配置されていてもよい。この樹脂層300は、端子144の先端に形成されたバンプ電極310を覆うように配置される。半導体チップ100の第1面104に複数のバンプ電極310が形成されている場合には、複数のバンプ電極310を一括して覆うように樹脂層300を配置することができる。
次いで、上記準備工程後、上記仮実装工程(仮接着工程)を行う。仮実装工程は、半導体チップ100と基板200とを互いに押し付けることにより、樹脂層300を介して半導体チップ100と基板200とを仮固定する工程を含むことができる。
具体的には、図2に示すように半導体チップ100及び基板200それぞれに設けられたアライメントマーク(不図示)等を利用して、半導体チップ100及び基板200の位置合わせを行う。そして、半導体チップ100の端子144と基板200の端子242とが互いに対向した状態とする。次いで、対向した状態の半導体チップ100と基板200とを、挟圧部材610等を用いて押圧する。
上記仮実装工程は、基板200を搭載するステージを約80℃前後の低温に保持し、押圧時における狭圧部材610の狭圧温度は、例えば、約100℃前後とすることができる。
ここで、狭圧部材610が半導体チップ100を吸着してピックアップする工程において、狭圧部材610が半導体チップ100を吸着する際に狭圧部材温度が高過ぎる場合、半導体チップ100とチップトレイがくっつく恐れがある。このため、吸着時における狭圧部材温度は50℃前後まで、低温にする必要がある。そうすると、狭圧時の温度をあまり高温に設定すると、半導体チップ100を吸着するたびに狭圧部材の温度上昇および下降に時間を要する為、生産性が低下する。押圧時における狭圧部材610の狭圧温度を、高すぎない約100℃前後とすることにより、ピックアップ時の生産性を高めることができる。
また、本実施形態では、押圧時における狭圧部材610の狭圧温度を、例えば、約100℃前後とし、ステージ上の温度を、室温25℃よりも高く維持することができる。これにより、仮実装工程時に半導体チップ100とその接続する部材の温度が狭圧部材の温度付近に短時間で昇温でき、生産性を高めることができる。また、ステージとツールとの両方を加熱しておくことで、樹脂層300を介して基板200と半導体チップ100との接触を容易なものとすることができる。
本実施形態における仮実装工程において、第1端子(端子144)の先端と第2端子(端子242)の先端とは、互いに接触していてもよいが、接触しない組み合わせがあってもよい。仮実装工程の後、仮実装工程時の荷重よりも大きな荷重で半導体チップ100と基板200とを押し付けてもよい。これにより、第1端子(端子144)と第2端子(端子242)との間の樹脂を十分に排除することができる。
次いで、上記仮実装工程の後に、接合工程を行うことができる。
本実施形態の接合工程は、バンプ電極310の融点よりも高い温度で行うことができる。これにより、バンプ電極310を介して第1端子(端子144)と第2端子(端子142)との接続信頼性を高めることができる。また、接合工程は、加圧しながら実施してもよい。
本実施形態における接合工程は、バンプ電極310を介して第1端子(端子144)と第2端子(端子242)とを接触させた後、さらに、バンプ電極310を変形させて第1端子と第2端子とを接近させることにより、第1端子(端子144)と第2端子(端子242)との間の接合面を形成する工程を含むことができる。
なお、上記接合工程は、樹脂層300の中の配合組成を適切に制御することにより、バンプ電極310の融点より低い温度で行うこともできる。
本実施形態の一態様においては、たとえば、基材の積層方向に直交する方向から半導体装置をみたときに、接合面が第1端子(端子144)または第2端子(端子242)の表面の長さに対して90%以上の長さで形成されている。これにより、より高度な接続信頼性を発揮することができる。
なお、この基材の積層方向に直交する方向は、たとえば任意に選んだ方向のいずれかでよく、接合面が端子に対して平行に形成されていない場合においては、弧長として、この接合面の長さを定義することができる。
この接合面は第1端子または第2端子の表面の長さに対して95%以上の長さで形成されていることがより好ましく、100%の長さで形成されていることがさらに好ましい。
また、本実施形態の一態様においては、前述の接合面は、半田層を形成する半田成分と、第1端子(端子144)または第2端子(端子242)を構成する金属成分との合金が含まれることとすることができ、これにより、端子間における接続性が一段と向上する。
たとえば、銅製のバンプから構成される端子に対し、錫を含む半田層を用いて接合面を形成する場合、この銅と錫とを含む合金がこの接合面に含まれる。
ここで、本実施形態においては、上記準備工程において、第1端子(端子144)及び第2端子(端子242)のいずれか一方にバンプ電極310が形成されている。例えば、上記接合工程は、バンプ電極310が形成されていない方の端子(端子242)とバンプ電極310との合金層を形成するとともに、バンプ電極310が形成されていない方の端子(端子242)の全面に合金層を形成する工程を含むことができる。
本実施形態においては、たとえば、フラックス活性を有する化合物の種類と配合量を適切に選択することにより、このような合金が含まれる接合面を形成することができる。
本実施形態において、第1端子(端子144)と第2端子(端子242)を接合する接合工程の後、樹脂層300を硬化させる硬化工程を行ってもよい。具体的には、半導体チップ100及び基板200を硬化温度に加熱する。このとき、挟圧部材610を用いて樹脂層300を挟む方向に半導体チップ100及び基板200を押圧してもよい。硬化温度は、バンプ電極310の融点よりも低くすることができる。
本明細書においては、「温度」とは、第1電子部品(半導体チップ100)と第2電子部品(基板200)の間に熱電対を挟みこみ、接続用金属近傍部位の最高到達温度を意味する。
本実施形態において、挟圧部材610を用いて、これを半導体装置に接する位置に合わせて固定し、無加圧状態で加熱を行ってもよい。これにより、硬化時の反りを低減させることができる。
また、流体で加圧しながら加熱することもできる。これにより、樹脂層300におけるボイド発生を抑制することができ、また、精度高く端子同士を接合させることができる。
本実施形態においては、上記硬化工程の後、バンプ電極310の融点よりも高い温度で加熱することにより、リフロー処理を実施する、リフロー工程をさらに含むことができる。これにより、端子間の接続をより強固なものとし、基材間の接続信頼性を一層向上させることができる。
なお、上記端子間の接合が十分であれば、本リフロー工程は実施しなくてもよい。
次いで、基板200をダイシングすることにより、複数個に切り出された半導体装置を得ることができる。
以上により、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜の硬化物を備える半導体装置を得ることができる。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、例えば、CoW(Chip On Wafer)の積層プロセスに適用することができる。
本実施形態の変形例としては、図3に示すように、基板200に積層された半導体チップ100に他の半導体チップさらに積層することができる。積層される半導体チップ100の数は、2以上でも3以上でもよい。同種または異種の半導体チップを積層してもよい。半導体チップの間には樹脂層300が形成されていてもよい。
また、図4に示すように、複数の半導体チップ100を基板200の他の領域に設けてもよい。上記接合工程は、半導体チップ100の仮実装工程を複数繰り返した後に、実施してもよい。また、上記仮実装工程および接合工程のセットを、複数繰り返してもよい。また、図4に示すように、半導体チップ100が複数積層した積層体ごとに、接合工程および硬化工程を行うことができる。図5に示すように、基板200の面内方向に複数配置された当該積層体に対して、挟圧部材620を用いて、一括して接合工程および硬化工程を行うこともできる。
以下、本発明の参考形態の例を付記する。
[1]
熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下である、熱硬化性樹脂組成物。
[2]
上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT1とし、上記第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT2としたとき、T2/T1が0.5以上1以下である、熱硬化性樹脂組成物。
[3]
上記[1]または[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
80℃から110℃の温度領域における上記第1DSC曲線は、発熱ピークを有しない、熱硬化性樹脂組成物。
[4]
上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂を含む、熱硬化性樹脂組成物。
[5]
上記[4]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、当該熱硬化性樹脂組成物が、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド誘導体、イミダゾール化合物、マイクロカプセル型硬化剤からなる群から選択される一種以上の潜在性硬化剤をさらに含み、
上記熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含む場合、当該熱硬化性樹脂組成物が、上記(メタ)アクリレート樹脂の重合禁止剤をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
[6]
上記[1]から[5]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
無機充填材をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
[7]
上記[1]から[6]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
第1電子部品と第2電子部品とを接着する接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
[8]
上記[7]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記第2電子部品の上に、複数の上記第1電子部品を積層する積層工程において、複数の上記第1電子部品を接着するための上記接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
[9]
上記[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記積層工程は、上記第2電子部品の面内方向において、複数の上記第1電子部品を配置する工程を含む、熱硬化性樹脂組成物。
[10]
上記[7]から[9]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記第1電子部品は、第1半導体チップまたはインターポーザーである、熱硬化性樹脂組成物。
[11]
上記[7]から[10]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
??上記第2電子部品は、第2半導体チップ、第2インターポーザー、半導体ウェハまたは有機基板である、熱硬化性樹脂組成物。
[12]
上記[1]から[11]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜。
[13]
上記[12]に記載の樹脂膜の硬化物を備える、半導体装置。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(樹脂ワニスの調製)
まず、表1に示す成分を、表1に示す質量比率で混合するとともに、メチルエチルケトンに溶解・分散し、成分濃度50質量%の樹脂ワニス(熱硬化性樹脂組成物)を調製した。
Figure 0007035320000002
(樹脂フィルムの作製)
得られた樹脂ワニス(熱硬化性樹脂組成物)を、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、東レ株式会社製、商品名ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmの樹脂フィルム(樹脂層)を得た。
(DSCチャート)
上記樹脂ワニスを用いて作製された直後の樹脂フィルムに対して、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温し、第1DSC曲線を得た。
また、得られた樹脂フィルムを80℃、24時間の条件で保管した後、保管直後の樹脂フィルムに対して、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温し、第2DSC曲線を得た。結果を表1に示す。
表1中、第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2とする。単位はmJ/mgである。ここで、最大発熱ピークの発熱量とは、DSC測定によって得られるDSCチャートの最大の発熱ピークの面積である。面積を求める場合、最大発熱ピークにベースラインから離れる点とベースラインに戻る点を直線で結び、直線とDSCカーブとで囲まれた部分を最大発熱ピークの面積とする。
また、第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT1とし、第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT2とする。単位は℃である。
実施例1の熱硬化性樹脂組成物から得られる樹脂フィルムのDSCチャートを図6に示し、比較例1の熱硬化性樹脂組成物から得られる樹脂フィルムのDSCチャートを図7に示す。
(ガラス転移温度)
得られた樹脂フィルムを180℃で2時間加熱処理しての硬化物を得た。得られた硬化物に対して、動的粘弾性測定機(DMA)を用いてガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表1に示す。単位は℃である。
[実装試験]
ダイシングフィルムが形成された8インチのシリコンウエハを準備した。
ダイシングフィルムが形成された面とは反対側の面には、φ25μm、高さ10μmの銅バンプが800万個形成されており、その上に厚み5μmの錫-銀半田成分(融点:221℃)から構成される半田層が形成されている。各貫通電極は銅バンプに接続している。シリコンウエハの膜厚は150μmであった。
真空ラミネーター(株式会社名機製作所製、型番:MVLP-500/600-2A)を用い、95℃/30sec/0.8MPaの条件で、銅バンプが形成された面側の8インチシリコンウエハに、得られた樹脂フィルムをラミネートした。
次に、ダイシング装置(株式会社ディスコ製、型番:DFD-6340)を用い、以下の条件で(ダイシングフィルム/シリコンウエハ/樹脂フィルム)積層体をダイシングし、サイズが5mm角の半導体チップを得た。
<ダイシング条件>
ダイシングサイズ:5mm×5mm角
ダイシング速度:10mm/sec
スピンドル回転数:30000rpm
ダイシング最大深さ:0.09mm
ダイシングブレードの厚さ:55μm
別途、φ25μmのパッドが形成されており、パッド表面にNi/Auめっきが形成されている所定のパターンを設けたシリコンウエハ(厚み:150μm)を用意し、当該シリコンウエハに対して、上記で得られた半導体チップを積層させた。引き続き、当該シリコンウエハの面内方向に別の領域に半導体チップをさらに積層させた。このとき、シリコンウエハに設けられたパターンに対し、上記半導体チップの銅バンプが樹脂フィルムを介して対向するように配置した。この仮実装工程は、フリップチップボンダーで、ステージ温度80℃、ツール温度100℃(実温80℃)、50N、2秒間の条件でシリコンウエハと半導体チップとを接触させて、積層体を得た。
(半導体装置(0h)の作製)
続いて、得られた直後の積層体において、フリップチップボンダーで、ステージ温度80℃、ツール温度280℃(実温250℃)、100N、5秒間の条件でシリコンウエハと複数の半導体チップとの接合を行った。引き続き、温度180℃、2時間、圧力0.8MPaの条件のキュア工程を行うことで、半導体装置(0h)を得た。
(半導体装置(24h)の作製)
一方で、得られた直後の積層体をステージ上に、ステージ温度80℃、24時間の条件で保管した後に、当該積層体において、フリップチップボンダーで、ステージ温度80℃、ツール温度280℃(実温250℃)、100N、5秒間の条件でシリコンウエハと複数の半導体チップとの接合を行った。引き続き、温度180℃、2時間、圧力0.8MPaの条件のキュア工程を行うことで、半導体装置(24h)を得た。
得られた半導体装置(0h、24h)について、電子顕微鏡写真(SEM画像)の観察により接続性を確認した。SEM画像から、端子間における樹脂噛みの幅が、端子幅の半分(1/2)よりも短い場合を接続性が良好である(○)と判断し、樹脂噛みの幅が、端子幅の半分以上である場合を接続性が不良である(×)と判断した。
実施例1の熱硬化性樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを使用したときの、半導体装置(0h)における電極間のSEM画像を図8に示し、実施例2の熱硬化性樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを使用したときの、半導体装置(0h)における電極間のSEM画像を図9に示し、実施例2の熱硬化性樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを使用したときの、半導体装置(24h)における電極間のSEM画像を図10に示す。
実施例1~3の熱硬化性樹脂組成物においては、比較例1,2の熱硬化性樹脂組成物に比べて、80℃、24時間保管した後の最大発熱ピークの発熱変化量(上記のP2/P1)の減少が抑制されていることから、低温保管性、すなわちステージライフが向上することが分かった。
また、実施例1~3の熱硬化性樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを使用することにより、半導体装置(0h)、半導体装置(24h)のいずれにおいても、良好な接続性が得られることが分かった。一方、比較例1、2の熱硬化性樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを使用した場合、半導体装置(24h)において、接続性が不良であることが分かった。
各実施例の熱硬化性樹脂組成物を使用することにより、樹脂フィルムの保管安定性を向上させることができるので、半導体ウェハの面内方向において、複数の半導体チップを積層するようなCoWプロセスや半導体ウェハの面内方向と直交する方向に、複数の半導体チップ同士を積層するようなCoWプロセスにおいて、接続信頼性を高められることが分かった。
100 半導体チップ
102 素子面
104 第1面
110 基板
120 多層配線層
130 保護絶縁膜
140 貫通電極
142 端子
144 端子
200 基板
202 素子面
210 基板
220 多層配線層
230 保護絶縁膜
242 端子
300 樹脂層
310 バンプ電極
610 挟圧部材
620 挟圧部材

Claims (12)

  1. 熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
    示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
    80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
    P2/P1が0.5以上1以下であり、
    80℃から110℃の温度領域における前記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
    前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含み、
    該熱硬化性樹脂組成物が、ジシアンジアミドまたはジシアンジアミド誘導体をさらに含み、
    当該熱硬化性樹脂組成物が、イミダゾール化合物を含まない、熱硬化性樹脂組成物。
  2. 熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
    示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
    80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
    P2/P1が0.5以上1以下であり、
    80℃から110℃の温度領域における前記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
    前記熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含み、
    当該熱硬化性樹脂組成物が、安息香酸または安息香酸誘導体をさらに含み、
    前記(メタ)アクリレート樹脂は、イソシアヌレート環の窒素上の置換基に(メタ)アクリル基を有する多官能(メタ)アクリレートである、熱硬化性樹脂組成物。
  3. 該熱硬化性樹脂組成物が、80℃環境下でエポキシ樹脂と反応する化合物を含まない、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT1とし、前記第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT2としたとき、T2/T1が0.5以上1以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    無機充填材をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    第1電子部品と第2電子部品とを接着する接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記第2電子部品の上に、複数の前記第1電子部品を積層する積層工程において、複数の前記第1電子部品を接着するための前記接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記積層工程は、前記第2電子部品の面内方向において、複数の前記第1電子部品を配置する工程を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項からのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記第1電子部品は、第1半導体チップまたはインターポーザーである、熱硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項からのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記第2電子部品は、第2半導体チップ、第2インターポーザー、半導体ウェハまたは有機基板である、熱硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜。
  12. 請求項11に記載の樹脂膜の硬化物を備える、半導体装置。
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