JP7035320B2 - 熱硬化性樹脂組成物、樹脂膜および半導体装置 - Google Patents
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CoWプロセスの詳細について説明する。ステージ上に半導体ウェハを配置し、この半導体ウェハに接着剤を介して半導体チップを仮接続して積層する。先に積層された半導体チップは、後続の半導体チップが積層し終わるまで、この状態のままステージ上で保持されることになる(保管工程)。この保管工程は、ボンディングツールとの温度差を小さくするために、半導体ウェハを搭載するステージを約80℃前後に保持している。
このような保管工程の後、複数の半導体チップを加熱加圧することによって一括接合する工程が行われる(接合工程)。
そして、かかる指標に基づいて検討したところ、低温で長時間保管した後の発熱ピークの変化が小さくなるように、発熱変化量を所定値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の低温保管安定性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下であり、
80℃から110℃の温度領域における上記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、ジシアンジアミドまたはジシアンジアミド誘導体をさらに含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、イミダゾール化合物を含まない、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、
熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下であり、
80℃から110℃の温度領域における上記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
上記熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、安息香酸または安息香酸誘導体をさらに含み、
上記(メタ)アクリレート樹脂は、イソシアヌレート環の窒素上の置換基に(メタ)アクリル基を有する多官能(メタ)アクリレートである、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、上記樹脂膜の硬化物を備える、半導体装置が提供される。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、P2/P1が0.5以上1以下となるように構成することができる。
まず、ステージ上に半導体ウェハ(第2電子部品)を配置し、この半導体ウェハに接着層を介して半導体チップ(第1電子部品)を仮接続して積層する(仮実装工程)。このとき、接着層によって半導体チップと半導体ウェハとを仮接着できる。続いて、複数の半導体チップを同様にして半導体ウェハ上に積層する。先に積層された半導体チップは、後の半導体チップが積層し終わるまで、この状態のままステージ上で保持されることになる(保管工程)。このような仮実装工程における保管工程は、ボンディングツールとの温度差を小さくするために、半導体ウェハを搭載するステージを約80℃前後に保持している。
このキャリア基材付き樹脂シートは、巻き取り可能なロール状でもよいし、矩形形状の枚葉状であってもよい。キャリア基材付き樹脂シートの表面は、例えば、露出していてもよく、保護フィルム(カバーフィルム)で覆われていてもよい。保護フィルムとしては、公知の保護機能を有するフィルムを用いることができるが、例えば、PETフィルムを使用してもよい。
熱硬化性樹脂としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、アリル樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、アリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。これらの中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるという観点からエポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂を使用することができる。
この多官能(メタ)アクリレートは、窒素上の置換基が(メタ)アクリロイル基であるイソシアヌレート環構造を備えることができる。
R1、R2、R3のうち少なくとも2つは(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基であり、R1、R2、R3のいずれも(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基であることが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含む場合、以下のフラックス活性を有する化合物を含むことができる。
また、カルボキシル基を有さなくても、同様のフラックス活性の効果を発現できる化合物を用いても良い。例えば、カルボキシル基を有しない当該化合物としては、カルボン酸無水化物等の酸無水物化合物等を挙げることができる。
フラックス活性を有する化合物により、半田層の表面酸化膜を除去することができ、電気的な接続を容易に行うことができる。
HOOC-(CH2)n-COOH (1)
(式(1)中、nは、1以上20以下の整数を表す。)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、成膜性樹脂(フィルム成膜性樹脂)を含むことができる。
上記成膜性樹脂は、有機溶媒に可溶であり、単独で膜を形成することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことができる。
上記硬化促進剤は、上記した(a)熱硬化性樹脂の硬化を促進する。硬化促進剤は、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド誘導体、イミダゾール化合物、潜在性を有するマイクロカプセル型硬化剤からなる群から選択される一種以上を含む潜在性硬化剤を用いることが好ましい。この中でも、発熱ピークシフトを抑制できること、またフラックス活性の効果が得られるとして利用できる観点から、ジアジンアミドまたはジアジンアミド誘導体を用いることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、充填材を含むことができる。
充填材は、熱硬化性樹脂組成物の線膨張係数を低下させるとともに、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度を調整する。充填材は、例えば、有機充填材及び無機充填材の少なくとも一方を含んでいる。具体的には、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材をさらに含むことができる。この無機充填材は、絶縁性粒子であってもよい。有機充填材は、例えば、樹脂粒子及びゴム粒子の少なくとも一方を含んでいる。樹脂粒子は、例えば、有機樹脂成分を含んでいる。ゴム粒子は、例えば、ゴム成分を含んでいる。無機充填材は、例えば、酸化チタン、シリカ、マイカ、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化珪素、及び窒化ホウ素から選択される一種又は二種以上を含む。
このシリル化剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、tert-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基およびエチル基のうちの少なくとも1種であることが好ましい。これにより、無機充填材の表面を効率的に疎水化処理することができる。
シランカップリング剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。ただし、シランカップリング剤の配合量は、この範囲に限定されるものではない。
このとき、P2/P1の下限値は、例えば、0.5以上であり、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.7以上である。これにより、低温保管安定性を向上させることができる。一方、P2/P1の上限値は、特に限定されないが、例えば、1以下でもよい。
このとき、T2/T1の下限値は、例えば、0.5以上であり、好ましくは0.55以上であり、より好ましくは0.6以上である。これにより、低温で長時間保持されたときでも、樹脂の変質を抑制することができる。一方、T2/T1の上限値は、特に限定されないが、例えば、1以下でもよい。
図1~5の各図は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
樹脂層300は、ウェハ状の基板200の素子面202上に配置されていてもよい。この樹脂層300は、端子144の先端に形成されたバンプ電極310を覆うように配置される。半導体チップ100の第1面104に複数のバンプ電極310が形成されている場合には、複数のバンプ電極310を一括して覆うように樹脂層300を配置することができる。
ここで、狭圧部材610が半導体チップ100を吸着してピックアップする工程において、狭圧部材610が半導体チップ100を吸着する際に狭圧部材温度が高過ぎる場合、半導体チップ100とチップトレイがくっつく恐れがある。このため、吸着時における狭圧部材温度は50℃前後まで、低温にする必要がある。そうすると、狭圧時の温度をあまり高温に設定すると、半導体チップ100を吸着するたびに狭圧部材の温度上昇および下降に時間を要する為、生産性が低下する。押圧時における狭圧部材610の狭圧温度を、高すぎない約100℃前後とすることにより、ピックアップ時の生産性を高めることができる。
また、本実施形態では、押圧時における狭圧部材610の狭圧温度を、例えば、約100℃前後とし、ステージ上の温度を、室温25℃よりも高く維持することができる。これにより、仮実装工程時に半導体チップ100とその接続する部材の温度が狭圧部材の温度付近に短時間で昇温でき、生産性を高めることができる。また、ステージとツールとの両方を加熱しておくことで、樹脂層300を介して基板200と半導体チップ100との接触を容易なものとすることができる。
本実施形態の接合工程は、バンプ電極310の融点よりも高い温度で行うことができる。これにより、バンプ電極310を介して第1端子(端子144)と第2端子(端子142)との接続信頼性を高めることができる。また、接合工程は、加圧しながら実施してもよい。
なお、この基材の積層方向に直交する方向は、たとえば任意に選んだ方向のいずれかでよく、接合面が端子に対して平行に形成されていない場合においては、弧長として、この接合面の長さを定義することができる。
この接合面は第1端子または第2端子の表面の長さに対して95%以上の長さで形成されていることがより好ましく、100%の長さで形成されていることがさらに好ましい。
また、本実施形態の一態様においては、前述の接合面は、半田層を形成する半田成分と、第1端子(端子144)または第2端子(端子242)を構成する金属成分との合金が含まれることとすることができ、これにより、端子間における接続性が一段と向上する。
たとえば、銅製のバンプから構成される端子に対し、錫を含む半田層を用いて接合面を形成する場合、この銅と錫とを含む合金がこの接合面に含まれる。
本実施形態においては、たとえば、フラックス活性を有する化合物の種類と配合量を適切に選択することにより、このような合金が含まれる接合面を形成することができる。
本実施形態において、挟圧部材610を用いて、これを半導体装置に接する位置に合わせて固定し、無加圧状態で加熱を行ってもよい。これにより、硬化時の反りを低減させることができる。
なお、上記端子間の接合が十分であれば、本リフロー工程は実施しなくてもよい。
以上により、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜の硬化物を備える半導体装置を得ることができる。
以下、本発明の参考形態の例を付記する。
[1]
熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下である、熱硬化性樹脂組成物。
[2]
上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT1とし、上記第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT2としたとき、T2/T1が0.5以上1以下である、熱硬化性樹脂組成物。
[3]
上記[1]または[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
80℃から110℃の温度領域における上記第1DSC曲線は、発熱ピークを有しない、熱硬化性樹脂組成物。
[4]
上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂を含む、熱硬化性樹脂組成物。
[5]
上記[4]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、当該熱硬化性樹脂組成物が、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド誘導体、イミダゾール化合物、マイクロカプセル型硬化剤からなる群から選択される一種以上の潜在性硬化剤をさらに含み、
上記熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含む場合、当該熱硬化性樹脂組成物が、上記(メタ)アクリレート樹脂の重合禁止剤をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
[6]
上記[1]から[5]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
無機充填材をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
[7]
上記[1]から[6]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
第1電子部品と第2電子部品とを接着する接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
[8]
上記[7]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記第2電子部品の上に、複数の上記第1電子部品を積層する積層工程において、複数の上記第1電子部品を接着するための上記接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
[9]
上記[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記積層工程は、上記第2電子部品の面内方向において、複数の上記第1電子部品を配置する工程を含む、熱硬化性樹脂組成物。
[10]
上記[7]から[9]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
上記第1電子部品は、第1半導体チップまたはインターポーザーである、熱硬化性樹脂組成物。
[11]
上記[7]から[10]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
??上記第2電子部品は、第2半導体チップ、第2インターポーザー、半導体ウェハまたは有機基板である、熱硬化性樹脂組成物。
[12]
上記[1]から[11]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜。
[13]
上記[12]に記載の樹脂膜の硬化物を備える、半導体装置。
まず、表1に示す成分を、表1に示す質量比率で混合するとともに、メチルエチルケトンに溶解・分散し、成分濃度50質量%の樹脂ワニス(熱硬化性樹脂組成物)を調製した。
得られた樹脂ワニス(熱硬化性樹脂組成物)を、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、東レ株式会社製、商品名ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmの樹脂フィルム(樹脂層)を得た。
上記樹脂ワニスを用いて作製された直後の樹脂フィルムに対して、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温し、第1DSC曲線を得た。
また、得られた樹脂フィルムを80℃、24時間の条件で保管した後、保管直後の樹脂フィルムに対して、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温し、第2DSC曲線を得た。結果を表1に示す。
表1中、第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2とする。単位はmJ/mgである。ここで、最大発熱ピークの発熱量とは、DSC測定によって得られるDSCチャートの最大の発熱ピークの面積である。面積を求める場合、最大発熱ピークにベースラインから離れる点とベースラインに戻る点を直線で結び、直線とDSCカーブとで囲まれた部分を最大発熱ピークの面積とする。
また、第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT1とし、第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT2とする。単位は℃である。
得られた樹脂フィルムを180℃で2時間加熱処理しての硬化物を得た。得られた硬化物に対して、動的粘弾性測定機(DMA)を用いてガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表1に示す。単位は℃である。
ダイシングフィルムが形成された8インチのシリコンウエハを準備した。
ダイシングフィルムが形成された面とは反対側の面には、φ25μm、高さ10μmの銅バンプが800万個形成されており、その上に厚み5μmの錫-銀半田成分(融点:221℃)から構成される半田層が形成されている。各貫通電極は銅バンプに接続している。シリコンウエハの膜厚は150μmであった。
次に、ダイシング装置(株式会社ディスコ製、型番:DFD-6340)を用い、以下の条件で(ダイシングフィルム/シリコンウエハ/樹脂フィルム)積層体をダイシングし、サイズが5mm角の半導体チップを得た。
ダイシングサイズ:5mm×5mm角
ダイシング速度:10mm/sec
スピンドル回転数:30000rpm
ダイシング最大深さ:0.09mm
ダイシングブレードの厚さ:55μm
続いて、得られた直後の積層体において、フリップチップボンダーで、ステージ温度80℃、ツール温度280℃(実温250℃)、100N、5秒間の条件でシリコンウエハと複数の半導体チップとの接合を行った。引き続き、温度180℃、2時間、圧力0.8MPaの条件のキュア工程を行うことで、半導体装置(0h)を得た。
一方で、得られた直後の積層体をステージ上に、ステージ温度80℃、24時間の条件で保管した後に、当該積層体において、フリップチップボンダーで、ステージ温度80℃、ツール温度280℃(実温250℃)、100N、5秒間の条件でシリコンウエハと複数の半導体チップとの接合を行った。引き続き、温度180℃、2時間、圧力0.8MPaの条件のキュア工程を行うことで、半導体装置(24h)を得た。
また、実施例1~3の熱硬化性樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを使用することにより、半導体装置(0h)、半導体装置(24h)のいずれにおいても、良好な接続性が得られることが分かった。一方、比較例1、2の熱硬化性樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを使用した場合、半導体装置(24h)において、接続性が不良であることが分かった。
102 素子面
104 第1面
110 基板
120 多層配線層
130 保護絶縁膜
140 貫通電極
142 端子
144 端子
200 基板
202 素子面
210 基板
220 多層配線層
230 保護絶縁膜
242 端子
300 樹脂層
310 バンプ電極
610 挟圧部材
620 挟圧部材
Claims (12)
- 熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下であり、
80℃から110℃の温度領域における前記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、ジシアンジアミドまたはジシアンジアミド誘導体をさらに含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、イミダゾール化合物を含まない、熱硬化性樹脂組成物。 - 熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から250℃まで昇温した際に得られる、当該熱硬化性樹脂組成物の第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP1とし、
80℃、24時間保管した後の、当該熱硬化性樹脂組成物の第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱量をP2としたとき、
P2/P1が0.5以上1以下であり、
80℃から110℃の温度領域における前記第1DSC曲線は、発熱ピークを有さず、
前記熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂を含み、
当該熱硬化性樹脂組成物が、安息香酸または安息香酸誘導体をさらに含み、
前記(メタ)アクリレート樹脂は、イソシアヌレート環の窒素上の置換基に(メタ)アクリル基を有する多官能(メタ)アクリレートである、熱硬化性樹脂組成物。 - 当該熱硬化性樹脂組成物が、80℃環境下でエポキシ樹脂と反応する化合物を含まない、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記第1DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT1とし、前記第2DSC曲線における最大発熱ピークの発熱温度をT2としたとき、T2/T1が0.5以上1以下である、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
無機充填材をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
第1電子部品と第2電子部品とを接着する接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記第2電子部品の上に、複数の前記第1電子部品を積層する積層工程において、複数の前記第1電子部品を接着するための前記接着層の形成に用いる、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記積層工程は、前記第2電子部品の面内方向において、複数の前記第1電子部品を配置する工程を含む、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項6から8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記第1電子部品は、第1半導体チップまたはインターポーザーである、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項6から9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記第2電子部品は、第2半導体チップ、第2インターポーザー、半導体ウェハまたは有機基板である、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜。
- 請求項11に記載の樹脂膜の硬化物を備える、半導体装置。
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