JP5962834B1 - 樹脂組成物、接着フィルムおよび回路部材の接続方法 - Google Patents

樹脂組成物、接着フィルムおよび回路部材の接続方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性の向上が図られることで、接続用金属による接続を高い信頼性で実現することができる接着フィルムおよび樹脂組成物、接続用金属による信頼性の高い接続が実現された回路部材の接続方法、ならびに、信頼性の高い接続構造を備える半導体装置を提供すること。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、上面152(第1面)と端子14(第1端子)とを備える実装基板1(第1回路部材)と、下面251(第2面)と端子242(第2端子)とを備える半導体素子2(第2回路部材)との間に介在させ、端子242に設けられるバンプ電極3(接続用金属)を、バンプ電極3の融点よりも低い温度に加熱しつつ、端子14と端子242とを互いに押し付けることでバンプ電極3を介して接合する際に用いられる、フラックス機能を有する樹脂組成物であり、フラックス機能を有する化合物と、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂とを含む。【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂組成物、接着フィルムおよび回路部材の接続方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化、軽量化、高性能化が要求され、多層プリント配線板においても、配線の微細化および高密度化が進んでいる。これに伴って、半導体チップを実装基板に実装する構造についても、薄型化および小型化の要請が強まっている。
そこで、半導体チップを実装基板に実装する方法として、半導体チップの電極表面に多数の突起電極(バンプ電極)を形成し、この突起電極を介してチップ側の電極と基板側の電極とを電気的に接続するフリップチップ実装が普及している。このようなフリップチップ実装によれば、接続構造の多ピン化および小型化が容易に実現される。
特許文献1には、バンプ電極(半田バンプ)を介して半導体チップを実装基板に接続することにより、半導体装置を製造することが開示されている。
特開2001−332583号公報
本発明の目的は、耐熱性の向上が図られることで、接続用金属による接続を高い信頼性で実現することができる樹脂組成物および接着フィルム、ならびに、接続用金属による信頼性の高い接続が実現された回路部材の接続方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
(1) 第1端子および第2端子の少なくとも一方に設けられたバンプ電極と、第1面側に前記第1端子を備える実装基板第2面側に前記第2端子を備える半導体素子、を準備し、前記第1端子と前記第2端子との間に接着フィルムを介在させ、前記バンプ電極の融点よりも低い第1温度に加熱しつつ、前記実装基板と前記半導体素子とを互いに押し付けることで、前記実装基板と前記半導体素子とを積層する積層方向に直交する方向から前記半導体素子をみたとき、前記第1端子と前記第2端子とが前記バンプ電極を介して接合されている接合面が当該端子の表面の長さに対して90%以上の長さで接合する接合工程に用いられる当該接着フィルムであって、
フラックス機能を有する化合物と、
エポキシ樹脂と、
無機充填材とを含み、
前記エポキシ樹脂は、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を含有し、
前記無機充填材は、その表面が疎水性の官能基で修飾されている表面疎水化無機充填材を含有する、接着フィルム
(2) 前記フラックス機能を有する化合物は、220℃以下でフラックス機能を発現するものである上記(1)に記載の接着フィルム
(3) 上記(1)または(2)に記載の接着フィルムの形成に用いる、フラックス機能を有する樹脂組成物
(4) 1面側に設けられる第1端子を備える実装基板と、
2面側に設けられる第2端子を備える半導体素子と、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に設けられるバンプ電極と、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、上記(1)もしくは(2)に記載の接着フィルム、または上記(3)に記載のフラックス機能を有する樹脂組成物からなる接着フィルムと、
を準備する準備工程と、
前記バンプ電極の融点よりも低い第1温度に加熱しつつ前記実装基板と前記半導体素子とを互いに押し付けることで、前記実装基板と前記半導体素子とを積層する積層方向に直交する方向から前記半導体素子をみたとき、前記第1端子と前記第2端子とが前記バンプ電極を介して接合されている接合面が当該端子の表面の長さに対して90%以上の長さで接合する接合工程とを有することを特徴とする回路部材の接続方法。
(5) 前記接合工程の後に、さらに、前記実装基板の前記第1端子と、前記半導体素子の前記第2端子と、前記バンプ電極との合金化を促進する合金促進工程を有する上記(4)に記載の回路部材の接続方法。
(6) 前記接合工程において、前記バンプ電極を加熱する前記第1温度は、前記バンプ電極に含まれる半田成分の融点よりも20℃以上45℃以下低い温度である上記(4)または(5)に記載の回路部材の接続方法。
本発明によれば、耐熱性の向上が図られることで、接続用金属による接続を高い信頼性で実現することができる樹脂組成物および接着フィルムが得られる。
また、本発明によれば、接続用金属による信頼性の高い接続が実現して回路部材同士を接続することができる。
また、本発明によれば、信頼性の高い接続構造を備える半導体装置が得られる。
本発明の回路部材の接続方法の実施形態を説明するための断面図である。 本発明の回路部材の接続方法の実施形態を説明するための断面図である。 本発明の回路部材の接続方法の実施形態を説明するための断面図であって、実装基板上に2つの半導体素子を積層する例を示す図である。 本発明の回路部材の接続方法の実施形態を説明するための断面図であって、実装基板上に2つの半導体素子を併設する例を示す図である。 実施形態に係る回路部材の接続方法の第1変形例を説明するための断面図である。 実施形態に係る回路部材の接続方法の第2変形例を説明するための断面図である。 実施形態に係る回路部材の接続方法の第3変形例を説明するための断面図である。 実施例1A、比較例1A、2Aにおいて、接合および硬化工程を施した後における端子同士のバンプ電極を介した接合の状態を示す図である。 実施例1C、参考例1Cにおいて、接合および硬化工程を施した後における端子同士のバンプ電極を介した接合の状態を示す図である。
以下、本発明の樹脂組成物、接着フィルムおよび回路部材の接続方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の樹脂組成物および接着フィルムを説明するのに先立って、本発明の回路部材の接続方法について説明する。なお、以下では、本発明の回路部材の接続方法を、実装基板上に半導体素子が搭載された半導体装置の製造に適用し、実装基板上への半導体素子の搭載に接着フィルムを用いた場合について説明する。
本実施形態に係る回路部材の接続方法の一形態は、[1]実装基板1(第1回路部材)と半導体素子2(第2回路部材)とバンプ電極3(接続用金属)と樹脂層4とを準備する準備工程と、[2]バンプ電極3をその融点よりも低い温度で加熱しつつ半導体素子2と実装基板1とを互いに押し付ける接合工程と、[3]実装基板1の端子14と、半導体素子2の端子242と、バンプ電極3との合金化を促進する合金促進工程と、を有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、実装基板1と半導体素子2(半導体部品)とを準備する(準備工程)。
図1に示す実装基板1(第1回路部材)は、基層11、配線層12および保護膜13を備えており、これらが図1の下方からこの順で積層されている。このような実装基板1では、上面152(第1面)が、半導体素子2を搭載するための搭載面となっている。基層11は、シリコンのような半導体材料で構成されている。基層11には、必要に応じて、図示しないトランジスター、ダイオード、抵抗等の回路素子が形成されていてもよい。
また、配線層12は、実装基板1に搭載される半導体素子2と上述した回路素子とを電気的に接続したり、半導体素子2や回路素子と外部回路とを電気的に接続したり、回路素子同士または半導体素子2同士を電気的に接続したりする電気配線を含んでおり、これにより回路が形成されている。
また、保護膜13の構成材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂のような樹脂材料、SiN、SiOのような無機系誘電材料等が挙げられる。
実装基板1は、さらに、配線層12の上面152に設けられ、配線層12中の回路と電気的に接続された端子14(第1端子)を備えている。端子14の上端は、保護膜13よりも上方に突出しており、半導体素子2の端子と接触させ易くなっている。
なお、実装基板1は、上述のものに限定されず、例えば有機配線板、ガラス配線板、セラミック配線板等の各種回路部材で代替可能である。
図1に示す半導体素子2(第2回路部材)は、半導体チップ21、配線層22および保護膜23を備えており、これらが図1の下方から順に積層されている。このような半導体素子2では、その下面251(第2面)が、実装基板1の上面152に搭載される際の搭載面となっている。すなわち、半導体素子2は、その下面251を、実装基板1の上面152と対向して、フェイスアップで実装基板1に搭載されるものである。
半導体チップ21は、シリコンのような半導体材料で構成されている。半導体チップ21には、図示しないトランジスター、ダイオード、抵抗等の回路素子が形成されている。
また、配線層22は、上述した回路素子同士を電気的に接続したり、回路素子と実装基板1のような外部回路とを電気的に接続したりする電気配線を含んでおり、これにより回路が形成されている。
また、保護膜23の構成材料としては、例えば、保護膜13の構成材料として挙げた材料が用いられる。
半導体素子2は、さらに、半導体チップ21を厚さ方向に貫通する貫通孔に設けられた貫通電極241と、貫通電極241の下端に設けられ、半導体チップ21の下面251から下方に突出する端子242(第2端子)と、貫通電極241の上端に設けられ、半導体チップ21の上面252から上方に突出する端子243と、を備えている。貫通電極241は、例えば、TSV(Through−Silicon Via)であり、この貫通電極241と、端子242との間および端子243との間は、それぞれ電気的に接続されている。
なお、半導体素子2は、上述のものに限定されず、例えば、有機配線板、ガラス配線板、セラミック配線板等の各種回路部材で代替可能である。
このような実装基板1と半導体素子2とを積層することにより、信頼性の高い電気的接合が実現された接続構造を有する半導体装置が得られる。
一方、バンプ電極3(接続用電極)および樹脂層4も準備する。
このうち、バンプ電極3は、本実施形態では、半導体素子2の端子242に設けられている。
バンプ電極3は、例えば、はんだバンプであり、半導体素子2の端子242と実装基板1の端子14とを電気的および機械的に接続する。
バンプ電極3を構成するはんだとしては、例えば、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Zn系、Sn−Ag−Cu系のような鉛フリーはんだ等が挙げられる。このうち、Snを主成分とし、Agを副成分とする鉛フリーはんだが好ましく用いられる。この鉛フリーはんだは、他の鉛フリーはんだに比べて金属接合強度が高く、接続信頼性が高い。このため、バンプ電極3を構成するはんだとして有用である。
なお、バンプ電極3の融点は、はんだの種類に応じて変わるが、一例として130〜300℃であるのが好ましく、180〜230℃であるのがより好ましい。これにより、バンプ電極3を溶融する際に、他の部材に対して及ぶ熱影響を最小限に留めつつ、後述する、樹脂層4が有するフラックス機能も十分に発現するため信頼性の高い電気的接続を図ることができる。
また、図1に示すバンプ電極3は、半導体素子2の端子242に設けられているが、その他、バンプ電極3が設けられる位置は、実装基板1の端子14に設けられていてもよく、端子242と端子14の双方に設けられていてもよい。
また、樹脂層4は、図1に示すように、半導体素子2の下面251に設けられている。この樹脂層4は、下面251を覆うとともに、端子242およびバンプ電極3をも覆うように設けられている。
この樹脂層4は、本発明の樹脂組成物もしくは樹脂組成物から形成された接着フィルムを、半導体素子2の下面251に貼付(接合)することで形成されたものであり、フラックス機能を有している。
このため、樹脂層4を介してバンプ電極3と端子14とが接するとき、樹脂層4の加熱により樹脂層4のフラックス機能が発揮され、バンプ電極3を介して端子242と端子14との間を強固に金属接合させることができる。
なお、本準備工程における樹脂層4は、フラックス機能を有する化合物と、エポキシ樹脂とを含み、未硬化または半硬化の状態である。かかる樹脂層4は、適度な熱時流動性を有しており、バンプ電極3と端子14との間から樹脂層を排除することができる。また、その後の加熱処理(硬化処理)によって硬化させることが可能である。
また、図1の例では、樹脂層4が半導体素子2の下面251に設けられているが、樹脂層4は、実装基板1の上面152に設けられていてもよく、下面251と上面152の双方に設けられていてもよい。
以下、樹脂層4、すなわち、本発明の樹脂組成物についてさらに詳述する。
樹脂層4は、フラックス機能を有する化合物と、エポキシ樹脂としてのトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂とを含むものであるが、本実施形態では、下記(a)〜(f)の成分を含む樹脂組成物で構成される。
(a)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、樹脂層4に含まれることで、樹脂層4の加熱処理により硬化し、また、この加熱処理の前の未硬化または半硬化の状態では、樹脂層4に適度な熱時流動性を付与するために含まれる。
このエポキシ樹脂として、本発明では、下記化学式(2)で表わされるトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂(TPM型エポキシ樹脂)を含有する。
半導体装置の耐熱性の向上のためには、樹脂層4の硬化物すなわち樹脂組成物の硬化後のガラス転移点Tgを高くすることが望ましく、そのために、剛直な構造のエポキシ樹脂や多官能の固形エポキシ樹脂を用いることが多い。
ただし、固形エポキシ樹脂を用いると、樹脂組成物をフィルム形態で用いた場合に、硬化前の樹脂層4が脆くなってハンドリング性が低下したり、硬化前の樹脂層4の熱時流動性を損ない、接合時に樹脂噛みしやすくなったりすることがある。このなかで、硬化後における高いTgと、硬化前における樹脂層4(フィルム)の強靭性、さらには、接合工程での熱時流動性のバランスの観点で優れるのはTPM型エポキシ樹脂であるため、本発明では、エポキシ樹脂としてTPM型エポキシ樹脂を含有する。
エポキシ樹脂全体の中でTPM型エポキシ樹脂の比率は特に限定されないが、20質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、30質量%以上、60質量%以下である。
Figure 0005962834
[式中、nは、1以上の整数を表す。]
また、TPM型エポキシ樹脂の平均重量分子量は、特に限定されるものではないが、200以上1500以下であることが好ましく、300以上1300以下であることがより好ましい。平均重量分子量を前記範囲内に設定することにより、樹脂層4に優れた熱時流動性を付与しつつ、樹脂層4の高Tg化を図ることができる。
TPM型エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物の全体に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、6質量%以上17質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。TPM型エポキシ樹脂の含有量を前記下限値以上のものとすることにより、硬化後の樹脂層4の高Tg化を図ることができる。また、TPM型エポキシ樹脂の含有量を前記上限値以下のものとすることにより、端子14と、バンプ電極3との間に、樹脂層4が残存するのをより的確に抑制または防止することができるとともに、樹脂層(接着フィルム)4のハンドリング性を図ることができる。したがって、TPM型エポキシ樹脂の含有量が上述した範囲内である場合、硬化後の樹脂層4は、耐熱性および信頼性が特に優れたものになる。ただし、TPM型エポキシ樹脂の含有量は、上述した範囲に限定されるものではない。
なお、エポキシ樹脂は、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を必須成分として含んでいればよく、その他のエポキシ樹脂を含有していてもよい。
このような他のエポキシ樹脂としては、例えば、1分子中にエポキシ基を1個含んでいる単官能エポキシ樹脂、1分子中にエポキシ基を2個含んでいる二官能エポキシ樹脂、1分子中にエポキシ基を3個以上含んでいる多官能エポキシ樹脂等が挙げられこれらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、1分子中にエポキシ基を2個以上含んでいる二官能エポキシ樹脂および多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
二官能エポキシ樹脂としては、例えば、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、o−アリルビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル4,4’−ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、1,6ナフタレンジオールのグリシジルエーテルのエポキシ樹脂、アミノフェノール類のトリグリシジルエーテルのエポキシ樹脂等が挙げられる。なお、樹脂組成物の信頼性を高めるために、エポキシ樹脂に含有されるイオン性不純物(例えば、NaまたはCl)はできるだけ少ないことが好ましい。
また、このような他のエポキシ樹脂は、25℃において少なくとも一部が液状であることが好ましい。これにより、樹脂層4を端子242の周辺にも良好に充填することができる。さらに、半導体素子2の下面251の凹凸(例えば、端子242によって生じる凹凸)を効果的に埋め込むことができる。さらに、接着フィルムとする際に、柔軟性および屈曲性を付与することができる。このため、硬化前のハンドリング性に優れた接着フィルムを得ることができる。
25℃において少なくとも一部が液状であるエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、o−アリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル4,4’−ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、モノエポキシ化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含む。
25℃において少なくとも一部が液状であるエポキシ樹脂は、25℃における粘度が5.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であることが好ましく、25℃における粘度が8.0×10mPa・s以上4.0×10mPa・s以下であることがさらに好ましい。25℃における粘度を前記範囲内とすることで、作製したフィルム(樹脂層4)は適度な可撓性を有し、ハンドリング性に優れたものとなる。
なお、上述した単官能エポキシ樹脂(モノエポキシ化合物)は、例えば、1,6ナフタレンジオールのグリシジルエーテル、アミノフェノール類のトリグリシジルエーテル、およびエポキシ基から選択される1種または2種以上を分子内に1つ有する。
また、上述した他のエポキシ樹脂は、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂であることが好ましい。これにより、樹脂層4により優れた熱時流動性を付与し得ることから、端子14と、バンプ電極3との間に、樹脂層4が残存するのをより的確に抑制または防止することができる。また、樹脂層4のハンドリング性を向上させることができる。さらに、樹脂層4は、硬化後の機械的特性に優れたものとなる。
さらに、樹脂層4(樹脂組成物)中には、エポキシ樹脂以外に、他の熱硬化性樹脂が含まれていてもよく、この熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
(b)フラックス機能を有する化合物
本実施形態に係る樹脂組成物(樹脂層4)は、フラックス機能を有する化合物を含有する。これにより、バンプ電極3の表面酸化膜を除去することができ、電気的な接続を容易に行うことができる。
後述するように、本実施形態の半導体装置の製造方法においては、すなわち、後述する工程[2]においては、比較的低い温度にて端子同士の接続を行うこととなる。このように低い温度にて半田層表面の酸化膜を除去するため、当該フラックス機能を有する化合物を含ませ、さらに適切な配合および適切な化合物を選択することが特に好ましい態様であるといえる。
フラックス機能を有する化合物としては、半田表面の酸化膜を除去する働きがあれば、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、あるいは、カルボキシル基およびフェノール性水酸基の両方を備える化合物が好ましい。
また、カルボキシル基を有さなくても、同様の効果を発現できる化合物として、酸無水物化合物を挙げることができる。
樹脂組成物全固形分中におけるフラックス機能を有する化合物の配合量は、特に限定されないが、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、3質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。フラックス機能を有する化合物の配合量が、上記範囲であることにより、フラックス機能を向上させることができるとともに、樹脂組成物を硬化した際に、未反応のエポキシ樹脂やフラックス機能を有する化合物が残存するのを防止することができ、耐マイグレーション性を向上することができる。
また、エポキシ樹脂の硬化剤として作用する化合物の中には、フラックス機能を有する化合物が存在する(以下、このような化合物を、フラックス機能を有する硬化剤とも記載する。)。例えば、エポキシ樹脂の硬化剤として作用する、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等は、フラックス機能も有している。本実施形態では、このような、フラックス機能を有する化合物としても作用し、エポキシ樹脂の硬化剤としても作用するようなフラックス機能を有する硬化剤を、好適に用いることもできる。
なお、カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物とは、分子中にカルボキシル基が1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。また、カルボキシル基およびフェノール性水酸基を備えるフラックス機能を有する化合物とは、分子中にカルボキシル基およびフェノール性水酸基がそれぞれ1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。
これらのうち、カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物に係る脂肪族カルボン酸としては、例えば、下記一般式(1)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
HOOC−(CH−COOH (1)
(式(1)中、nは、1以上20以下の整数を表す。)
カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物に係る芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等またはこれらの誘導体が挙げられる。
これらの中でも、フラックス機能の高さと、エポキシ樹脂に対する適度な反応性とのバランスから、フラックス機能を有する化合物として、分子内にカルボキシル基と水酸基とを1つずつ有する化合物を用いることが好ましい。これにより、比較的低温での加熱条件においても、効果的にバンプ電極3の表面の金属酸化膜を除去することができる。
特に好ましいこのような化合物としては、分子内にフェノール性水酸基とカルボキシル基とを1つずつ有する化合物が挙げられ、具体的には、サリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。
これらのカルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物のうち、フラックス機能を有する化合物が有する活性度、樹脂組成物の硬化時におけるアウトガスの発生量、および硬化後の樹脂組成物の弾性率やガラス転移温度等のバランスが良い点で、前記一般式(1)で示される化合物が好ましい。そして、前記一般式(1)で示される化合物のうち、nが3〜10である化合物が、硬化後の樹脂組成物における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、半導体チップ、基板等の回路部材同士の接着性を向上させることができる点で、好ましく用いることができる。
前記一般式(1)で示される化合物のうち、nが3〜10である化合物としては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH−COOH)およびn=10のHOOC−(CH10−COOH等が挙げられる。
また、これらの誘導体についてもフラックス機能を有する化合物として有用であり、たとえば、グルタル酸、メチルグルタル酸、ジメチルグルタル酸、メチルアジピン酸、ジメチルアジピン酸、メチルピメリン酸、ジメチルピメリン酸、メチルセバシン酸、ジメチルセバシン酸等の誘導体も同様に用いることができる。
上述したようなカルボキシル基、あるいは、カルボキシル基およびフェノール水酸基の両方を備える化合物は、エポキシ樹脂との反応で三次元的に取り込まれる。
そのため、硬化後のエポキシ樹脂の三次元的なネットワークの形成を向上させるという観点からは、フラックス機能を有する化合物としては、フラックス作用を有し且つエポキシ樹脂の硬化剤として作用するフラックス活性を有する硬化剤を用いるのが好ましい。フラックス活性を有する硬化剤としては、例えば、1分子中に、エポキシ樹脂に付加することができる水酸基と、フラックス作用(酸化膜除去作用)を示すカルボキシル基とを備える化合物が挙げられる。
このようなフラックス機能を有する硬化剤としては、サリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、フラックス活性の高さと、熱硬化性樹脂に対する適度な反応性とのバランスから、フラックス機能を有する化合物として、分子内にカルボキシル基と水酸基とを1つずつ有する化合物を用いることが好ましい。
これにより、比較的低温での加熱条件においても、効果的に半田層の表面酸化膜を除去することができる。
特に好ましい化合物としては、分子内にフェノール性水酸基とカルボキシル基とを1つずつ有する化合物が挙げられ、具体的には、サリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。
これら化合物は、比較的入手容易であり、また、極めて高いフラックス活性を有することから、本実施形態に特に好ましく用いることができる。
また、樹脂組成物の全固形分中における、フラックス機能を有する硬化剤の配合量は、特に限定されないが、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。樹脂組成物中のフラックス機能を有する硬化剤の配合量が、上記範囲であることにより、樹脂組成物のフラックス活性を向上させることができるとともに、安定的に熱硬化性樹脂内に取り込まれる。特に、フラックス機能を有する硬化剤として、ヒドロキシ安息香酸が含まれる構成とする場合、樹脂組成物全固形分中における、ヒドロキシ安息香酸の配合量は、1質量%以上5質量%以下であるのが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。なお、この場合、他のフラックス機能を有する硬化剤が含まれることにより、フラックス機能を有する硬化剤、全量としての配合量は、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物の低温硬化を維持しつつ、例えば、他のフラックス機能を有する硬化剤として、フェノールフタリンを用いた場合、樹脂組成物の硬化物の高Tg化が図られる。
また、フラックス機能を有する酸無水物としては、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物等またはこれらの誘導体が挙げられる。
フラックス機能を有する化合物に係る脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等またはこれらの誘導体が挙げられる。
フラックス機能を有する化合物に係る芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等またはこれらの誘導体が挙げられる。
また、このようなフラックス機能を有する化合物は、220℃以下でフラックス機能を発現するものであることが好ましく、160℃以上210℃以下でフラックス機能を発現するものであることがより好ましい。このような温度特性を有する化合物を用いることにより、次工程[2]において、バンプ電極3の融点よりも低い温度で加熱した際に、この化合物に、フラックス機能を確実に発現させることができる。そのため、端子14と、バンプ電極3との酸化膜を除去できるので、バンプ電極3と端子14との接合をより確実なものとすることができる。
さらに、エポキシ樹脂として含有する上記化学式(2)で表わされるトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂との組み合わせでは、前記一般式(1)で示される化合物のうち、nが3〜10である化合物または、その誘導体であることが好ましく、中でも、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH−COOH)または、これらの誘導体であることがより好ましい。これにより、次工程[2]において詳述する、バンプ電極3と端子14との間およびバンプ電極3と端子242との間での原子拡散に伴う合金化や金属間化合物の生成、ならびに、後工程[3]における合金化の促進がより確実に行われることとなる。
なお、グルタル酸誘導体としては、例えば、2−メチルグルタル酸、2,2一ジメチルグルタル酸および3、3一ジメチルグルタル酸等が挙げられる。
また、フラックス機能を有する硬化剤として、前記一般式(1)で示される化合物を用いる場合、樹脂層4の全固形分中におけるフラックス機能を有する硬化剤(前記一般式(1)で示される化合物)の配合量は、1質量%以上13質量%以下であるのが好ましく、5質量%以上13質量%以下であることがより好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。なお、この場合、他のフラックス機能を有する硬化剤が含まれることにより、フラックス機能を有する硬化剤、全量としての配合量は、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物の低温硬化を維持しつつ、例えば、他のフラックス機能を有する硬化剤として、フェノールフタリンを用いた場合、樹脂組成物の硬化物の高Tg化が図られる。
また、フラックス機能を有する酸無水物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物等が挙げられる。
フラックス機能を有する化合物に係る脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
フラックス機能を有する化合物に係る脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
フラックス機能を有する化合物に係る芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
なお、本発明のように、熱硬化性樹脂としてTPM型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を用いる構成とした場合、エポキシ樹脂とフラックス機能を有する化合物との配合比(質量比)は、特に限定されないが、(エポキシ樹脂/フラックス機能を有する化合物)が0.5以上12以下であることが好ましく、2以上10以下であることが特に好ましい。(エポキシ樹脂/フラックス機能を有する化合物)を上記範囲とすることで、安定的に樹脂組成物を硬化させることができ、耐マイグレーション性を向上させることができる。
また、本実施形態においては、これらのフラックス機能を有する化合物のなかでも、前述のヒドロキシ安息香酸、セバシン酸およびグルタル酸またはこれらの誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸誘導体からなる群から一つ以上を選択することが好ましい態様である。
(c)成膜性樹脂
成膜性樹脂は、樹脂層4の成膜性を良好にする。成膜性樹脂は、有機溶媒に可溶であり、単独で膜を形成することができる。
成膜性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。具体的には、成膜性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。なお、成膜性樹脂は、その構造中に、エポキシ基、(メタ)アクリル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等を有していてもよい。成膜性樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のいずれかである。この場合、成膜性樹脂は、可撓性に優れるため温度サイクル信頼性が向上する。なお、本実施形態において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸の重合体、(メタ)アクリル酸の誘導体の重合体、(メタ)アクリル酸と他の単量体との共重合体、または(メタ)アクリル酸の誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。さらに、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」または「メタクリル酸」を意味する。
成膜性樹脂の重量平均分子量は、1万以上が好ましく、2万以上100万以下がより好ましく、3万以上90万以下がさらに好ましい。成膜性樹脂の重量平均分子量が前記範囲内であると、成膜性樹脂は、樹脂層4の成膜性を特に高めることができる。
なお、樹脂層4をフィルムとして準備する場合、成膜性樹脂の含有量は、樹脂層4の全体に対して、0.5質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。成膜性樹脂の含有量が前記範囲内であると、樹脂層4の流動性を抑制することができ、フィルム(樹脂層4)の取り扱いが容易になる。ただし、成膜性樹脂の含有量は、上述した範囲に限定されるものではない。
また、樹脂層4に含まれるフラックス機能を有する化合物およびエポキシ樹脂の組み合わせによっては、この成膜性樹脂の樹脂層4への添加を省略することができる。
(d)硬化促進剤
硬化促進剤は、上述した(a)エポキシ樹脂(TPM型エポキシ樹脂)の硬化を促進する。
硬化促進剤は、例えば、イミダゾール化合物である。イミダゾール化合物は、例えば、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルヒドロキシイミダゾール、および2−フェニル−4−メチルヒドロキシイミダゾールからなる群より選択される1種または2種以上を含む。イミダゾール化合物は、接合性と硬化性とのバランスに優れることから好ましく用いられる。さらに、イミダゾール化合物は、融点が150℃以上であることが好ましい。これにより、樹脂層4の硬化が完了する前に、バンプ電極3を構成する成分が、端子14の表面や端子242の表面を移動し易くなる。これにより、端子14とバンプ電極3との電気的接続および端子242とバンプ電極3との電気的接続を良好なものとすることができる。融点が150℃以上のイミダゾール化合物としては、例えば、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチルヒドロキシイミダゾール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
硬化促進剤の含有量は、樹脂層4の全体において0.005質量%以上10質量%以下であるのが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、バンプ電極3の溶融温度の近傍において樹脂層4の粘度が高くなりすぎることを抑制することができる。さらに、樹脂層4の保存性を更に向上させることができる。ただし、硬化促進剤の含有量は、上述した範囲に限定されるものではない。
なお、樹脂層4に含まれるフラックス機能を有する化合物およびエポキシ樹脂の組み合わせによっては、この硬化促進剤の樹脂層4への添加を省略することができる。
(e)充填材
充填材は、樹脂層4の線膨張係数を低下させるとともに、樹脂層4の最低溶融粘度を調整する。充填材は、例えば、有機充填材および無機充填材の少なくとも一方を含んでいる。有機充填材としては、例えば、樹脂粒子、ゴム粒子等が挙げられる。無機充填材の構成材料としては、例えば、銀、酸化チタン、シリカ、マイカ、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化珪素、窒化ホウ素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が用いられる。
充填材は、耐衝撃性の向上という観点からは、有機充填材を含んでいることが好ましい。この場合に用いる有機充填材は、例えば、ゴム成分を含むゴム粒子を含んでいることが好ましい。このゴム成分としては、例えば、アクリルゴム、シリコンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が用いられる。これにより、樹脂層4の硬化物の靱性を高めることができ、実装基板1と半導体素子2の接続構造の耐衝撃性を向上させることができる。なお、有機充填材は、コアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造の有機充填材としては、例えば、接合した際の回路部材の反り抑制特性に優れる、有機微粒子(ダウケミカル製:パラロイドEXL2655 耐衝撃強化剤)、応力緩和剤(三菱レイヨン製:メタブレン J−5800、W−5500)等を例示することができる。
充填材は、回路部材の接続構造の信頼性の向上という観点からは、無機充填材を含んでいることが好ましい。これにより、樹脂層4の線膨張係数を低下させることができ、回路部材の接続構造の信頼性を向上させることができる。より具体的には、無機充填材は、硬化後の樹脂層4の熱伝導性の観点から、シリカを含んでいることが好ましい。シリカの形状は、例えば、破砕シリカおよび球状シリカの少なくとも一方である。本実施形態においては、シリカの形状が、球状シリカであることが好ましい。さらに、無機充填材は、熱伝導性の観点から、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化珪素および窒化ホウ素からなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましい。
また、無機充填材は、その表面が疎水性の官能基で修飾されている表面疎水化無機充填材であることが好ましい。これにより、樹脂組成物中に含まれる、エポキシ樹脂(a)、フラックス機能を有する化合物(b)等の樹脂成分と、無機充填材とのなじみ性を向上させることができ、その結果、樹脂組成物の低粘度化や、無機充填材の表面性状の改質が図られるため、接合工程における樹脂組成物の熱時流動性が向上することとなる。また、半田融点よりも低い温度で押しつけた際に良い接合状態を実現するためには、従来よりも低温で樹脂の流動性を持たせる必要があるが、表面疎水処理シリカはその高い熱時流動性から好適に用いることができる。
なお、本明細書において、「疎水性」とは、水に対する親和性が低く、水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくい性質を有することをいう。
この表面疎水化無機充填材としては、例えば、上述した無機充填材の表面を、シリル化処理したものが挙げられる。これらは、公知の処理剤(シリル化剤)を何ら制限されずに使用することができる。
このシリル化剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この他、表面疎水化無機充填材を得るために、無機充填材の表面を処理する処理剤(疎水化剤)としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、および、末端反応性シリコーンオイル等のシリコーンオイルが挙げられる。
さらに、処理剤(疎水化剤)としては、脂肪酸およびその金属塩を用いることができ、その具体例として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸のような長鎖脂肪酸、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムのような金属との塩等が挙げられる。
このような表面疎水化無機充填材は、疎水性の官能基として、アルキル基を備えるものであることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペンチル基、iso−ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基およびエチル基のうちの少なくとも1種であることが好ましい。これにより、無機充填材の表面を効率的に疎水化処理することができる。
さらに、上記、表面疎水化無機充填材(例えば、表面疎水処理シリカ)とトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を組み合わせた場合、特に良い接続信頼性が得られる。その理由として、TPM型エポキシ樹脂は、高Tgを示すことから、温度サイクル時のバンプ保護効果が高いことに加え、表面疎水化無機充填材との親和性も良いのか、比較的高い樹脂流動性を示しており、接合レベルが良い。その結果、接続信頼性が向上していると推測される。
さらに、充填材は、耐衝撃性の向上および回路部材の接続構造の信頼性の向上という観点からは、無機充填材および有機充填材の双方を含んでいることが好ましい。
充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。一方、充填材の平均粒子径の下限値は、例えば5nmとされる。充填材の平均粒子径が前記範囲内である場合、樹脂層4の粘度を適度なものとすることができる。さらに、樹脂層4内で充填材が凝集することを抑制することができる。さらに、樹脂層4を光が透過する際に、可視光の透過を充填材が阻害するのを低減することができる。この場合、端子242やバンプ電極3が樹脂層4に埋め込まれていても、可視光を用いて端子242の位置やバンプ電極3の位置を良好に認識することができる。なお、充填材がシリカを含む場合、可視光の透過性はさらに良好なものとなる。これにより、半導体素子2の位置合わせが容易になる。ただし、充填材の平均粒子径は、上述した範囲に限定されるものではない。
また、充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー回折法によって得られた体積基準の粒度分布において、累積粒度が50%になるときの粒径とされる。
充填材の含有量は、樹脂層4において、0.1質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。充填材の含有量が前記範囲内であると、樹脂層4を硬化させた後において、半導体素子2と樹脂層4の間の線膨張係数差を小さくすることができる。これにより、半導体素子2と樹脂層4との間に生じる応力を低減することができる。このため、半導体素子2が樹脂層4から剥離することをさらに確実に抑制することができる。さらに、充填材の含有量が前記範囲内であると、硬化後の樹脂層4の弾性率が高くなりすぎるのを抑制することができる。このため、回路部材の接続構造の信頼性が上昇する。ただし、充填材の含有量は、上述した範囲に限定されるものではない。
なお、樹脂層4への充填材の添加は、省略されていてもよい。
(f)その他の添加剤
さらに、樹脂層4は、必要に応じて、上述した(a)〜(e)以外の成分を含んでいてもよい。例えば、本実施形態に係る樹脂層4は、重量平均分子量が300以上2500以下であるフェノール系硬化剤を含んでいてもよい。これにより、樹脂層4の硬化物のガラス転移温度を高め、接続信頼性を向上させることができる。また、樹脂層4に適度な柔軟性を付与することができる。
フェノール系硬化剤は、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ビスフェノールF型ノボラック樹脂、およびビスフェノールAF型ノボラック樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む。より具体的には、フェノール系硬化剤は、フェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂であることが好ましい。
フェノール系硬化剤の含有量は、樹脂層4の全体において、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、3質量%以上25質量%以下であるのがより好ましい。フェノール系硬化剤の含有量を前記範囲内とすることで、半導体素子2の下面251の凹凸を樹脂層4で効果的に埋め込むことができる。さらに、フェノール系硬化剤の含有量を前記範囲内とすることで、樹脂層4の硬化物のガラス転移温度を効果的に高めることができる。ただし、フェノール系硬化剤の含有量は、上述した範囲に限定されるものではない。
フェノール系硬化剤の重量平均分子量は、300以上2500以下であることが好ましく、400以上2300以下であることが特に好ましい。これにより、樹脂層4の硬化物のガラス転移温度を高めることができ、さらに耐イオンマイグレーション性を効率よく向上させることができる。また、樹脂層4に適度な柔軟性を付与することができる。ここで、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラム)により測定することができる。
樹脂層4は、シランカップリング剤をさらに含んでもよい。この場合、樹脂層4を半導体素子2に良好に接着させることができる。シランカップリング剤は、例えば、エポキシシランカップリング剤および芳香族含有アミノシランカップリング剤から選択される1種または2種を含む。シランカップリング剤の配合量は、樹脂層4の全体において、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。ただし、シランカップリング剤の配合量は、この範囲に限定されるものではない。
樹脂層4は、上記の成分の他、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、および顔料から選択される1種または2種以上を含んでいる。
かかる構成の樹脂層4は、例えば、本発明の接着フィルムを、半導体素子2の下面251に貼付することで形成することができ、また、この接着フィルムは、上述した(a)〜(f)の各成分を混合または分散させることによって調製された形成材料(樹脂組成物)を、薄膜状とした後に乾燥させることにより形成することができる。
なお、前記形成材料を調製する際に用いる、各成分の混合方法および分散方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合または分散させることができる。より具体的には、例えば、上述した形成材料は、前記各成分を溶媒中でまたは無溶媒下で混合して液状(ワニス状)に調製される。このとき用いられる溶媒は、各成分に対して不活性である。溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(DAA)のようなケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールのようなアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートのようなセロソルブ類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、二塩基酸エステル(DBE)、3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、ジメチルカーボネート(DMC)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
溶媒の含有量は、溶媒の質量と形成材料の固形分の質量の合計に対する形成材料の質量の濃度が10〜80質量%となるように調整されるのが好ましい。
[2]次に、バンプ電極3をその融点よりも低い温度に加熱しつつ、実装基板1に対してその上方から半導体素子2を押し付ける(接合工程;図2(a)参照)。すなわち、実装基板1と半導体素子2とを互いに押し付ける。このとき、実装基板1の端子14と半導体素子2の端子242とが接近し、一定以上の距離で接近することで、バンプ電極3の変形が生じる。その結果、実装基板1の端子14と半導体素子2の端子242とが変形したバンプ電極3を介して接合され、これにより、実装基板1に半導体素子2を搭載(実装)する(図2(b)参照)。
これにより、実装基板1の端子14と半導体素子2の端子242に設けられたバンプ電極3とが、互いに接近し、接触する。このとき、端子14とバンプ電極3との間に介在している樹脂層4は、端子14と、バンプ電極3との接近によって押し退けられる。その結果、端子14とバンプ電極3とが接触したとき、その接触点では、樹脂層4が除去された(押し退けられた)状態となる。なお、このとき、バンプ電極3は、その融点よりも低い温度で加熱され、溶融していない状態となっているため、端子14と、バンプ電極3との接近により、樹脂層4を円滑に押し退けることができる。
この際、樹脂層4に含まれるこのエポキシ樹脂として、本発明では、上記化学式(2)で表わされるトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を含有する。そのため、樹脂層4の端子14とバンプ電極3との接近による押し退けがより円滑に行われることから、端子14と、バンプ電極3との間に、樹脂層4が残存するのを的確に抑制または防止し、バンプ電極3が端子14の上表面全体に濡れ広がることができる。また、樹脂層4の硬化物のTgを高めることができる。
バンプ電極3が端子14の上表面全体に濡れ広がる状態とは、具体的に言うと、実装基板1と半導体素子2とを積層する積層方向に直交する方向から半導体素子2をみたとき、端子14と端子242とがバンプ電極3を介して接合されている接合面が端子14または端子242の表面の長さに対して90%以上の長さで形成されていることが好ましく、95%以上の長さで形成されていることがより好ましく、100%の長さで形成されていることがさらに好ましい。
本工程[2]では、バンプ電極3と端子14との間の原子拡散に伴う合金や金属間化合物の生成が含まれることとなるが、エポキシ樹脂として、上記化学式(2)で表わされるトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を含有することにより、バンプ電極3が、端子14の上表面全体に濡れ広がっていることで、この原子拡散に伴う合金化や金属間化合物の生成をより円滑に行うことができる。
さらに、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂のような液状エポキシ樹脂とを併用することにより、樹脂層4により優れた熱時流動性を付与し得ることから、端子14と、バンプ電極3との間に、樹脂層4が残存するのをより的確に抑制または防止することができる。また、樹脂層4のハンドリング性を向上させることができる。さらに、樹脂層4は、硬化後の機械的特性に優れたものとなる。
したがって、本工程[2]におけるバンプ電極3と端子14との間での原子拡散に伴う合金化や金属間化合物の生成、ならびに、後工程[3]における合金化の促進により、端子14と端子242とをバンプ電極3を介して強固に接合することができるため、得られる半導体装置の耐熱性の向上が図られる。
なお、本工程における端子14と端子242とのバンプ電極3を介した接合とは、バンプ電極3が、樹脂層4の残存が的確に排除され、かつ端子14の上表面全体に濡れ広がり、円滑に原子拡散に伴う合金化や金属間化合物の生成が生じている状態のことを言う。これに対して、バンプ電極3を介した当接または接触とは、バンプ電極3が端子14の上表面全体に濡れ広がらず、原子拡散に伴う合金化や金属間化合物の生成が円滑に生じていいない状態のことを言う。
このような当接または接触した状態は、国際公開第2011/007531号パンフレットの実施例3の条件において生じる。すなわち、この実施例3においては、接続用金属電極と、接続用半田電極とを当接させる第2の工程を180℃の温度で実施しているが、この系においては、フラックス機能を有する化合物として活性の低い化合物が用いられている。このため、半田層の濡れ拡がりが起こらず、半田層が端子に対して部分的に接触するにとどまる。なお、この実施例3においては、フリップチップボンダーを用いてまず端子同士を「当接」させる工程を実施している。この工程においては、フリップチップボンダーの位置制御も「当接」するように条件設定される。したがって、当接の状態よりもさらに端子同士が近接して濡れ拡がりが起こることはない。
なお、本工程における加熱温度は、バンプ電極3の融点よりも低いので、樹脂層4の著しい軟化を抑えることができ、実装基板1と半導体素子2との間から樹脂層4がはみ出すのを抑制することができる。
バンプ電極3が加熱されるとき、それに伴って実装基板1や半導体素子2の温度も上昇する。ところで、実装基板1や半導体素子2では、配線層や保護層が片面に配置しており、その不均一構造から高温では反りが発生する傾向があり、その反りは加熱される温度が高いほど、大きくなる。
そこで、本実施形態のように、バンプ電極3がその融点よりも低い温度に加熱されることによって、本工程において実装基板1や半導体素子2が大きく反ってしまうのを抑制することができる。これにより、実装基板1や半導体素子2のサイズが大きい場合でも、反りに伴う変位量を小さく抑えることができる。その結果、例えば端子14と端子242とを1対とする端子対が複数設けられている場合、端子対の位置によって端子間距離が不均一になるのを抑制することができる。その結果、端子対ごとの導電性の均一化を図ることができる。
また、実装基板1や半導体素子2の反りが抑制されることから、バンプ電極3の端子14および端子242からの剥離を的確に抑制することができる。
なお、本工程[2]では、端子14と端子242を接合する際の温度(第1温度)がバンプ電極3の融点よりも低く設定されている。そのため、バンプ電極3は溶融しないが、かかる構成であっても、バンプ電極3に含まれる原子が端子242側に熱拡散することで合金が形成される。端子242側からも原子がバンプ電極3に拡散する。また、端子14と端子242との接近に伴うバンプ電極3の変形が可能である。したがって、端子14および端子242は、バンプ電極3を介して接合されることとなる。
さらに、樹脂層4は、前述したように、フラックス機能を有している。このため、バンプ電極3の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜は、樹脂層4のフラックス機能により還元され、その結果、除去される。そのため、バンプ電極3に含まれる原子の端子242側への熱拡散(端子242側からも原子がバンプ電極3に拡散する。)による、バンプ電極3を介した端子14と端子242との接合が円滑に行われることとなる。
また、樹脂層4に含まれるフラックス機能を有する化合物として、バンプ電極3の融点によりも低い温度において、フラックス機能が発現するものが選択されている。そのため、本工程における加熱温度が、たとえ、バンプ電極3の融点よりも低い温度のように低く設定されていたとしても、樹脂層4がフラックス機能を発現することから、良好な金属接合を実現することができる。
本工程における加熱温度(第1温度)は、バンプ電極3の融点よりも低ければよいが、バンプ電極3の融点をTm[℃]としたとき、Tm−5℃以下であるのが好ましく、Tm−10℃以下であるのがより好ましい。さらに好ましくは−20℃以下である。
これにより、バンプ電極3を溶融させることがないので、本工程においてバンプ電極3が大きくつぶれてしまうのを避けることができる。また、実装基板1や半導体素子2の反りに伴う変位量を小さく抑えることができ、例えば端子対ごとの導電性の均一化を図ることができる。
さらに、バンプ電極3を溶融させないものの、実装基板1に半導体素子2を押し付けることで、バンプ電極3は、ある程度、変形可能な状態であるため、端子14とバンプ電極3との接触点において、樹脂層4をより効率的に排除することができる。さらに、バンプ電極3が溶融していないことから、実装基板1に半導体素子2を押し付けた際に、バンプ電極3が潰れ過ぎてしまうのを、より的確に抑制することができる。
一方、本工程におけるの下限値は、特に設定されないが、Tm−70℃以上であるのが好ましく、Tm−45℃以上であるのがより好ましい。これにより、樹脂層4を十分に軟化させることができるので、端子14とバンプ電極3との間に介在している樹脂層4をより確実に押し退けることができる。また、樹脂層4が有するフラックス機能が十分に発現するため、バンプ電極3の表面の金属酸化膜を本工程において除去することができる。
なお、本工程における加熱温度とは、実装基板1と半導体素子2との間に熱電対を挾持し、バンプ電極3近傍部位の最高到達温度のことを表す。
また、本工程における具体的な加熱温度(第1温度)は、バンプ電極3の融点に応じて適宜変化するが、一例として160℃以上220℃以下であるのが好ましく、180℃以上220℃以下であるのがより好ましく、180℃以上200℃以下であるのがさらに好ましい。
また、本工程において加熱しつつ加圧する時間(第1時間)は、特に限定されないが、0.2秒以上60秒以下であるのが好ましく、1秒以上30秒以下であるのがより好ましい。これにより、複数の端子対がある場合でも、それらの加熱温度を十分に揃えることができ、端子対ごとの導電性の均一化を図ることができる。また、樹脂層4を押し退けるのに十分な時間が確保される。
なお、バンプ電極3の加熱は、実装基板1と半導体素子2を互いに押し付けるための治具(例えばフリップチップボンダーのステージやヘッド等)を介した熱伝導によって行われる。
また、本工程において端子14と端子242とを互いに押し付ける際の圧力(第1圧力)は、特に限定されないが、50kPa以上500kPa以下であるのが好ましく、100kPa以上400kPa以下であるのがより好ましい。圧力を前記範囲内に設定することにより、端子14と端子242との距離が十分に接近し、端子14とバンプ電極3との間にある樹脂層4をより確実に排除することができる。その結果、端子14とバンプ電極3とが接触し、金属拡散が開始された接合した状態を作り出すことができる。本工程においてこのような状態が形成されることにより、後述する工程[3]においてバンプ電極3を溶融させた際に、短時間であっても速やかに金属接合(合金化の促進)が行われる。そして、最終的には、バンプ電極3を介して端子14と端子242との間で、信頼性の高い電気的接続を図ることができる。
なお、端子14と端子242とを互いに押し付ける際の圧力は、実装基板1と半導体素子2とを互いに押し付ける際に加えた荷重を、実装基板1の上面152と半導体素子2の下面251とが重なっている部分の面積(共通部分の面積)で除することによって求められる。
また、上記のようにして実装基板1上に搭載された半導体素子2上には、必要に応じて、さらに別の半導体素子2が積層されてもよい。これにより、複数の半導体素子2が積層されてなる積層体が得られる。
図3は、実装基板1上に2つの半導体素子2を積層する例を示す図である。
図3に示す例では、図2に示す半導体素子2の上に、別の半導体素子2が積層されている。2つの半導体素子2は、互いに同じ構成である。また、下側の半導体素子2の端子243と上側の半導体素子2の端子242との間が、バンプ電極3を介して電気的に接続されている。さらに、下側の半導体素子2の上面252と上側の半導体素子2の下面251との間が、樹脂層4を介して接着されている。
このような例において、下側の半導体素子2上に上側の半導体素子2を積層する際にも、本工程[2]を実施すればよい。これにより、複数の半導体素子2を積層する場合であっても、樹脂層4のはみ出しを抑制しつつ、信頼性の高い電気的接続を図ることができる。
なお、半導体素子2の積層数は、特に限定されないが、2〜50程度とされる。
また、図4は、実装基板1上に2つの半導体素子2を併設する例を示す図である。
図4に示す例では、1枚の実装基板1上に、所定の距離を隔てて2つの半導体素子2を搭載している。半導体素子2同士の離間距離は、限定されないが、例えば50〜500μm程度とされる。
このような例において、一方の半導体素子2から樹脂層4がはみ出した場合、はみ出し量によっては、他方の半導体素子2の搭載領域に干渉し、他方の半導体素子2の搭載が阻害される。また、隣り合う搭載領域同士の間は、実装基板1を切断して個片化する際の切断線が引かれていることもあるが、一方の半導体素子2から樹脂層4が切断線上にはみ出した場合、切断ツールが切断線を認識することができず、切断することができないおそれがある。
したがって、樹脂層4のはみ出しが抑制されることにより、上述したような問題が解消される。その結果、半導体素子2同士の離間距離を短縮することも可能になる。これにより、実装基板1上に搭載される半導体素子2の高密度実装が可能になったり、あるいは、1枚の実装基板1から切り出される個片の数を増やしたりすることができる。
[3]次に、実装基板1の端子14と、半導体素子2の端子242と、バンプ電極3との合金化を促進する(合金促進工程;図2(c)参照)。
この本工程において、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化を促進させる方法としては、特に限定されないが、例えば、以下に示す(A)〜(C)の方法が好ましく用いられる。
以下、これら(A)〜(C)の方法について、説明する。
(A)樹脂層4を硬化させた後、前記合金化を促進させる方法
[A3−1]まず、バンプ電極3をバンプ電極3の融点よりも低い温度で加熱する(接合および硬化工程)
これにより、樹脂層4を硬化させ、この硬化した樹脂層4により、実装基板1と半導体素子2とを接着する。また、この際、バンプ電極3と端子14との間での原子拡散に伴う合金化が促進される。すなわち、バンプ電極3を介して端子14と端子242とがより確実に接合される。
ここで、前記工程[2]において、実装基板1と半導体素子2とが反りの発生が抑制された状態で積層されており、この状態で、本工程[A3−1]では、樹脂層4を硬化させる。そのため、実装基板1と半導体素子2とは、ともに反りの発生が抑制された状態で接着される。
また、樹脂層4に含まれるこのエポキシ樹脂として、本発明では、上記化学式(2)で表わされるトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を含有することから、樹脂層4の高Tg化が図られている。そのため、本工程[A3−1]における、硬化した樹脂層4による実装基板1と半導体素子2との接着を、より強固なものとすることができる。
本工程における加熱温度(第2温度)は、前記工程[2]と同様に、バンプ電極3の融点よりも低く設定される。なお、第2温度は、第1温度よりも高くてもよいし、または低くてもよい。
この本工程における具体的な加熱温度(第2温度)は、バンプ電極3の融点に応じて適宜変化するが、一例として、好ましくは100℃以上、250℃以下、より好ましくは130℃以上240℃以下、さらに好ましくは150℃以上200℃以下に設定される。
また、本工程において加熱しつつ加圧する時間(第2時間)は、特に限定されないが、前記工程[2]における加熱時間(第1時間)よりも長く設定され、例えば、1時間以上5時間以下であることが好ましく、2時間以上3時間以下であることがより好ましい。
さらに、本工程における雰囲気は、大気雰囲気下であっても、不活性ガス雰囲気下のいずれであってもよい。
また、雰囲気の圧力は、常圧下であっても加圧下のいずれであってもよく、例えば、好ましくは0.4MPa以上1.2MPa以下に設定され、より好ましくは0.6MPa以上1.0MPa以下に設定される。なお、加圧下で樹脂層4を硬化させることにより、樹脂層4におけるボイドの発生を的確に抑制または防止することができる。
なお、本工程における加熱温度(第2温度)は、その途中で、150℃から200℃のように変更するようにしてもよく、150℃で2時間加熱した後、200℃で2時間加熱する条件としてもよい。
また、挟圧部材を用いて、これを半導体装置に接する位置に合わせて固定し、無加圧状態で加熱を行ってもよい。これにより、硬化時の反りを低減させることができる。
なお、本工程[A3−1]は、前記工程[2]において、樹脂層4の硬化が進行・完了している場合には、その実施を省略することができる。
また、本工程[A3−1]において、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化は、促進しても促進しなくてもよい。
[A3−2]次に、実装基板1の端子14と、半導体素子2の端子242と、バンプ電極3とを加熱する。これにより、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化を促進させる。
その結果、実装基板1の端子14と半導体素子2の端子242とがバンプ電極3を介して、確実に電気的および機械的に接続される。
ここで、前記工程[A3−1]において、樹脂層4は、既に硬化されている。したがって、合金化のために、端子14と端子242とバンプ電極3とを加熱しても、硬化された樹脂層4により、実装基板1と半導体素子2とが固定されているため半導体素子2の反りが生じるのが抑制される。
この本工程における具体的な加熱温度(第3温度)は、特に限定されないが、一例として、半田融点の−30℃以上+200℃以下であることが好ましく、半田融点の−15℃以上+50℃以下であることがより好ましい。
また、本工程において加熱する時間(第3時間)は、特に限定されないが、例えば、1秒以上30分以下であることが好ましく、5秒以上10分以下であることがより好ましい。
かかる条件で加熱することにより、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化をより円滑に促進させることができる。
(B)樹脂層4の硬化と、前記合金化の促進とを同時に実施する方法
[B3−1]この(B)の方法では、半導体素子2と実装基板1とが接合された半導体装置を加熱する。これにより、樹脂層4を硬化させるとともに、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化を促進させる。
これにより、樹脂層4を硬化させ、この硬化した樹脂層4により、実装基板1と半導体素子2とを接合させ、かつ、実装基板1の端子14と半導体素子2の端子242とをバンプ電極3を介して、電気的および強固に機械的に接続させる。
ここで、前記工程[2]において、実装基板1と半導体素子2とが反りの発生が抑制された状態で積層されており、この状態で、本工程[B3−1]では、樹脂層4を硬化させる。そのため、実装基板1と半導体素子2とは、ともに反りの発生が抑制された状態で接合される。
また、樹脂層4に含まれるこのエポキシ樹脂として、本発明では、上記化学式(2)で表わされるトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を含有することから、樹脂層4の高Tg化が図られている。そのため、本工程[B3−1]における、硬化した樹脂層4による実装基板1と半導体素子2との接合を、より強固なものとすることができる。
この本工程における具体的な加熱温度は、樹脂層4の硬化、および、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化が同時に行われる温度であれば、特に限定されないが、一例として、半田融点の−30℃以上+80℃以下であることが好ましく、半田融点の−15℃以上+50℃以下であることがより好ましい。
また、本工程において加熱する時間は、特に限定されないが、例えば、30分以上5時間以下であることが好ましく、1時間以上3時間以下であることがより好ましい。
さらに、本工程における雰囲気は、大気雰囲気下であっても、不活性ガス雰囲気下のいずれであってもよい。
また、雰囲気の圧力は、常圧下であっても加圧下のいずれであってもよく、例えば、好ましくは0.4MPa以上1.2MPa以下に設定され、より好ましくは0.6MPa以上1.0MPa以下に設定される。なお、加圧下で樹脂層4を硬化させることにより、樹脂層4におけるボイドの発生を的確に抑制または防止することができる。
上記のような条件で加熱することにより、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化をより円滑に促進させることができる。
なお、本工程では、挟圧部材を用いて、これを半導体装置に接する位置に合わせて固定し、無加圧状態で加熱を行ってもよい。これにより、硬化時の反りを低減させることができる。
(C)前記合金化を促進させた後、樹脂層4を硬化させる方法
[C3−1]まず、半導体素子2と実装基板1とが接合された半導体装置を加熱しつつ、実装基板1と半導体素子2とを、前記工程[2]と比較して低荷重で互いに押し付ける。これにより、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化を促進させる。
その結果、実装基板1の端子14と半導体素子2の端子242とがバンプ電極3を介して、確実に電気的および機械的に接続される。
ここで、本工程[C3−1]において、実装基板1と半導体素子2とを、前記工程[2]と比較して低荷重で互いに押し付ける。したがって、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化を促進させる際に、この荷重により、端子14および端子242とバンプ電極3との間で高温時の半導体素子反りによる剥離が生じるのを防止しつつ、バンプ電極3が端子14と端子242とにより押し潰されるのを的確に抑制または防止することができる。
この本工程における具体的な加熱温度は、特に限定されないが、一例として、半田融点の−30℃以上+160℃以下であることが好ましく、半田融点の−15℃以上+100℃以下であることがより好ましい。
また、本工程において加熱する時間(第3時間)は、特に限定されないが、例えば、1秒以上30分以下であることが好ましく、5秒以上10分以下であることがより好ましい。
かかる条件で加熱することにより、端子14と端子242とバンプ電極3との合金化をより円滑に促進させることができる。
さらに、本工程において端子14と端子242とを互いに押し付ける際の圧力(第2圧力)は、前記工程[2]における圧力(第1圧力)と比較して低荷重であり、具体的には、30kPa以下、好ましくは20kPa以下とされ、より好ましくは10kPa以下とされる。これにより、樹脂のはみ出しを抑制することができる。
一方、本工程において端子14と端子242とを互いに押し付ける圧力の下限値は、特に設定されていなくてもよいが、1kPa以上であるのが好ましく、2kPa以上であるのがより好ましい。これにより、樹脂層4の反発力があっても、端子14と端子242との距離を一定に維持し易くなるので、溶融したバンプ電極3と端子14および端子242との間に生じる金属接合の信頼性をより高めることができる。
また、係る温度に加熱した後に冷却する工程においては、端子14と端子242とを互いに押し付ける際の圧力を、上記第2圧力より高く設定することが好ましい。
なお、本工程[C3−1]において、樹脂層4の硬化は、進行するが、完了するには至っていない。
[C3−2]次に、半導体素子2と実装基板1とが接合された半導体装置をバンプ電極3の融点よりも低い温度で加熱する(硬化工程)。
これにより、樹脂層4を硬化させ、この硬化した樹脂層4により、実装基板1と半導体素子2とを接着する。
ここで、実装基板1と半導体素子2とが反りの発生が抑制された状態で積層されており、この状態で、本工程[C3−2]では、樹脂層4を硬化させる。そのため、実装基板1と半導体素子2とは、ともに反りの発生が抑制された状態で接着される。
また、樹脂層4に含まれるこのエポキシ樹脂として、本発明では、上記化学式(2)で表わされるトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を含有することから、樹脂層4の高Tg化が図られている。そのため、本工程[C3−2]における、硬化した樹脂層4による実装基板1と半導体素子2との接着を、より強固なものとすることができる。
本工程における加熱温度(第2温度)は、前記工程[2]と同様に、バンプ電極3の融点よりも低く設定される。なお、第2温度は、第1温度よりも高くてもよいし、または低くてもよい。
この本工程における具体的な加熱温度(第2温度)は、バンプ電極3の融点に応じて適宜変化するが、一例として、好ましくは100℃以上、250℃以下、より好ましくは130℃以上240℃以下、さらに好ましくは150℃以上200℃以下に設定される。
また、本工程において加熱しつつ加圧する時間(第2時間)は、特に限定されないが、前記工程[2]における加熱時間(第1時間)よりも長く設定され、例えば、1時間以上5時間以下であることが好ましく、2時間以上3時間以下であることがより好ましい。
さらに、本工程における雰囲気は、大気雰囲気下であっても、不活性ガス雰囲気下のいずれであってもよい。
また、雰囲気の圧力は、常圧下であっても加圧下のいずれであってもよく、例えば、好ましくは0.4MPa以上1.2MPa以下に設定され、より好ましくは0.6MPa以上1.0MPa以下に設定される。なお、加圧下で樹脂層4を硬化させることにより、樹脂層4におけるボイドの発生を的確に抑制または防止することができる。
なお、本工程における加熱温度(第2温度)は、その途中で、150℃から200℃のように変更するようにしてもよく、150℃で2時間加熱した後、200℃で2時間加熱する条件としてもよい。
また、挟圧部材を用いて、これを半導体装置に接する位置に合わせて固定し、無加圧状態で加熱を行ってもよい。これにより、硬化時の反りを低減させることができる。
以上のような工程を経ることで、実装基板1上に半導体素子2を積層してなる積層体(半導体装置)が製造される。
なお、必要に応じて、半導体素子2を封止材によって封止するようにしてもよい。
また、実装基板1上に2つ以上の半導体素子2が併設されている場合には、半導体素子2に対応して実装基板1をダイシングして個片化することで、複数の半導体装置が切り出され、これにより、複数の半導体装置が一括して製造される。
なお、本実施形態では、前記工程[1]において、上記(a)〜(f)の成分を含む樹脂組成物を用いて形成された接着フィルムを、半導体素子2の下面251に貼付することで、樹脂層4を形成する場合について説明したが、樹脂層4は、かかる方法で形成されたものに限定されず、例えば、ワニス状の前記樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)を半導体素子2の下面251に供給したのち乾燥させることで形成しても良いし、ペースト状の前記樹脂組成物を半導体素子2の下面251もしくは実装基板1の上面152に供給することで形成されたものであっても良い。ただし、本実施形態のように接着フィルムを下面251に貼付して樹脂層4を形成することで、樹脂層4を形成する際のハンドリング性の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、第1回路部材としての実装基板1が備える端子14と、第2回路部材としての半導体素子2が備える端子242とを、バンプ電極3を介して接合する場合について説明し、実装基板1が貫通電極を有さず、半導体素子2が端子242と端子243とを電気的に接続する貫通電極241を有するものであったが、かかる構成に限定されず、第1回路部材および第2回路部材は、それぞれ、貫通電極を有するものおよび有しないもののいずれであってもよい。
<第1変形例>
図5は、実施形態に係る回路部材の接続方法の第1変形例を説明するための断面図である。
図5に示す変形例は、バンプ電極3が、実装基板1の端子14に設けられ、かつ、半導体素子2の端子242には設けられていない点が異なる以外、図1〜4に示す回路部材の接続方法と同様である。
このようにバンプ電極3が設けられる位置を変えたとしても、前述したのと同様の効果、すなわち、樹脂層4のはみ出しを抑制しつつ、実装基板1と半導体素子2との間で信頼性の高い電気的接続を図ることができる。
<第2変形例>
図6は、実施形態に係る回路部材の接続方法の第2変形例を説明するための断面図である。
図6に示す変形例は、バンプ電極3が、半導体素子2の端子242と実装基板1の端子14の双方に設けられている点が異なる以外、図1〜4に示す回路部材の接続方法と同様である。
このようにバンプ電極3が設けられる位置を変えたとしても、前述したのと同様の効果、すなわち、樹脂層4のはみ出しを抑制しつつ、実装基板1と半導体素子2との間で信頼性の高い電気的接続を図ることができる。
<第3変形例>
図7は、実施形態に係る回路部材の接続方法の第3変形例を説明するための断面図である。
図7に示す変形例は、実装基板1に代えて半導体素子2を用いる、すなわち半導体素子2同士を積層する点、および、各半導体素子2を上下に反転させている点が異なる以外、図1〜4に示す回路部材の接続方法と同様である。換言すれば、本変形例では、2つの半導体素子2を積層する際に、上方の半導体素子2の素子面(半導体チップ21に対して配線層22が設けられている側の表面)が下方の半導体素子2側を向くようにフェイスダウンで積層されている。
具体的には、本変形例に係る半導体素子2では、それぞれ、保護膜23、配線層22および半導体チップ21が図7の下方からこの順に積層されている。また、本変形例に係る半導体素子2は、それぞれ、半導体チップ21を厚さ方向に貫通する貫通電極241と、貫通電極241の下端に設けられ、半導体チップ21の下面から下方に突出する端子243と、貫通電極241の上端に設けられ、半導体チップ21の上面から上方に突出する端子242と、を備えている。
ここで、本変形例では、バンプ電極3は、半導体素子2の端子243に設けられている。
このように半導体素子2の積層面(搭載面)を変えたときでも、前述したのと同様の効果、すなわち、樹脂層4のはみ出しを抑制しつつ、半導体素子2同士の間(回路部材同士の間)で信頼性の高い電気的接続を図ることができる。
以上、本発明の樹脂組成物、接着フィルムおよび回路部材の接続方法について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
また、接着フィルムは、樹脂層の一方の面および他方の面の少なくとも一方に樹脂層を保護する保護層を備えるものであってもよい。
さらに、回路部材の接続方法では、前記実施形態に任意の工程が追加されていてもよい。
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
1.エポキシ樹脂の種類の検討
1−1.原材料の準備
まず、実施例および各比較例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(フェノールノボラック樹脂)
フェノールノボラック樹脂として、住友ベークライト株式会社製:「PR−55617」を用意した。
(エポキシ樹脂1A)
エポキシ樹脂1Aとして、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:「jER 1032H60」)を用意した。
(エポキシ樹脂2A)
エポキシ樹脂2Aとして、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製:「YDCN−800−70」)を用意した。
(エポキシ樹脂3A)
エポキシ樹脂3Aとして、フルオレン型エポキシ樹脂(株式会社大阪ガスケミカル製:「OGSOL CG−500」)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物1A)
フラックス機能を有する化合物1Aとして、4−ヒドロキシ安息香酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物2A)
フラックス機能を有する化合物2Aとして、フェノールフタリン(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(成膜性樹脂1)
成膜性樹脂1として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製:「YP−50」)を用意した。
(硬化促進剤1)
硬化促進剤1として、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製:「2P4MZ」)を用意した。
(充填材1)
充填材1として、球状シリカフィラー(株式会社アドマテックス製:「SC1050」)を用意した。
1−2.評価用サンプルの作製
(実施例1A)
[1A]樹脂層の作製
<樹脂ワニスの調製>
まず、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表1に示すものを、表1に示す質量部で秤量し、これらを、メチルエチルケトンに溶解、分散し、成分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。
<樹脂フィルム(樹脂層)の作製>
得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、東レ株式会社製、商品名ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス機能を有する樹脂フィルム(樹脂層)を得た。
[2A]部材の準備
次に、回路素子および配線が形成されたシリコンウエハーを用意した。なお、このシリコンウエハーには、Cu製のパッドが露出しており、さらに、このパッドには融点221℃のSnAg系の鉛フリーはんだで構成されたバンプ電極が設けられている。
次に、このバンプ電極を覆うように、[1A]で作製した樹脂フィルムをシリコンウエハーに貼り付けた。そして、基材ポリエステルフィルムを剥離して、樹脂フィルムのみを転移させた。
次いで、樹脂フィルムを貼り付けたシリコンウエハーを、樹脂フィルムとともに切断して個片化し、樹脂フィルム付きの半導体素子を得た。なお、得られた半導体素子のサイズは10mm×10mmであり、厚さは0.3mmであった。
一方、これとは別に、表面にNi/Auめっきが形成されたCu製のパッド(端子)が形成されたシリコン製の実装基板を用意した。なお、実装基板のサイズは、6インチであり、厚さは0.625mmであった。
[3A]部材同士の接続
次に、フリップチップボンダーにて樹脂フィルム付き半導体素子をピックアップし、実装基板上に載置した。
このプロセスでは、まず、バンプ電極を180℃に加熱しつつ、10Nで10秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
続いて、接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した(3A−1:接合および硬化工程)。この後、バンプ電極を240℃で5秒間加熱して、バンプ電極3における合金化を促進させた(3A−2:合金促進工程)。
以上のようにして、実装基板上に半導体素子を積層してなる評価用サンプルを得た。
(比較例1A、2A)
前記[1A]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表1に示すものを、表1に示す質量部で秤量したこと以外は、前記実施例1Aの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
1−3.評価用サンプルの評価
1−3.1 接合工程における接続性の評価
まず、実施例および各比較例の評価用サンプルを得る際に、部材同士の接続[3A]の接合および硬化工程[3A−1]が完了した時点における端子同士のバンプ電極を介した接合の程度を電子顕微鏡で観察した。
電子顕微鏡で観察された、端子同士のバンプ電極を介した接合の状態を図8に示す。
1−3.2 接続信頼性の評価
次に、実施例および各比較例で得られた評価用サンプルについて、それぞれ、リフロー試験に供した。このリフロー試験は、評価用サンプルを、260℃に5秒間曝した後に常温に復帰させるまでを1サイクルとし、これを5サイクル実施するものである。
そして、リフロー試験を実施する前、5サイクル完了後の評価用サンプルのバンプ電極におけるクラックの発生の有無を、電子顕微鏡で観察した。そして、その観察結果に基づいて、以下の評価基準に照らして評価した。
<接続信頼性の評価基準>
○:5サイクルのリフローにおいてクラックの発生が認められない。
×:5サイクルのリフローにおいてクラックの発生が認められる。
評価結果を表1に示す。
Figure 0005962834
図8から明らかなように、実施例および各比較例ともに、実装基板と半導体素子とを積層する積層方向に直交する方向から半導体素子をみたとき、端子同士がバンプ電極を介して接合されている接合面が端子の表面の長さに対して90%以上の長さで形成されており、実施例および各比較例とも、接続工程における接続性は、良好であると考えられた。
これに対して、表1に示すとおり、リフロー試験による接続信頼性において、実施例では、優れた結果を示し、半導体素子と実装基板とが備える端子同士の間でバンプ電極を介して信頼性の高い電気的接続が行われているものの、各比較例では、実施例に劣る結果を示し、半導体素子と実装基板とが備える端子同士の間でバンプ電極を介して信頼性の高い電気的接続が行われているとは言えない結果を示した。
すなわち、エポキシ樹脂として、TPM型エポキシ樹脂を用いることにより、他のエポキシ樹脂を用いた場合と比較して、バンプ電極の劣化が生じにくく、その結果、半導体素子と実装基板とが備える端子同士の間でバンプ電極を介して信頼性の高い電気的接続を行い得ることが判った。
これは、接続工程における接続性は、見かけ上それほど差異は認められないものの、樹脂かみ等が少なく良好な接合状態となっており、その結果、接合工程において、バンプ電極と端子との間における原子拡散に伴う合金化や金属間化合物の生成がより円滑に行われていること、さらには、硬化した樹脂成分が強固にバンプ電極を囲み、これにより、バンプ電極を安定的に保護していること等に起因すると推察される。
2.フラックス機能を有する化合物の種類の検討
2−1.原材料の準備
まず、各実施例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(フェノールノボラック樹脂)
フェノールノボラック樹脂として、住友ベークライト株式会社製:「PR−55617」を用意した。
(エポキシ樹脂1B)
エポキシ樹脂1Bとして、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:「jER 1032H60」)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物1B)
フラックス機能を有する化合物1Bとして、4−ヒドロキシ安息香酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物2B)
フラックス機能を有する化合物2Bとして、フェノールフタリン(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物3B)
フラックス機能を有する化合物3Bとして、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30(新日本理化株式会社製、「リカシッドMH-700」)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物4B)
フラックス機能を有する化合物4Bとして、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸(三菱化学株式会社製、「YH−307」)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物5B)
フラックス機能を有する化合物5Bとして、グルタル酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物6B)
フラックス機能を有する化合物6Bとして、セバシン酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(成膜性樹脂1)
成膜性樹脂1として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製:「YP−50」)を用意した。
(硬化促進剤1)
硬化促進剤1として、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製:「2P4MZ」)を用意した。
(充填材1)
充填材1として、球状シリカフィラー(株式会社アドマテックス製:「SC1050」)を用意した。
2−2.評価用サンプルの作製
(実施例1B)
[1B]樹脂層の作製
<樹脂ワニスの調製>
まず、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表2に示すものを、表2に示す質量部で秤量し、これらを、メチルエチルケトンに溶解、分散し、成分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。
<樹脂フィルム(樹脂層)の作製>
得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、東レ株式会社製、商品名ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス機能を有する樹脂フィルム(樹脂層)を得た。
[2B]部材の準備
次に、回路素子および配線が形成されたシリコンウエハーを用意した。なお、このシリコンウエハーには、Cu製のパッドが露出しており、さらに、このパッドには融点221℃のSnAg系の鉛フリーはんだで構成されたバンプ電極が設けられている。
次に、このバンプ電極を覆うように、[1B]で作製した樹脂フィルムをシリコンウエハーに貼り付けた。そして、基材ポリエステルフィルムを剥離して、樹脂フィルムのみを転移させた。
次いで、樹脂フィルムを貼り付けたシリコンウエハーを、樹脂フィルムとともに切断して個片化し、樹脂フィルム付きの半導体素子を得た。なお、得られた半導体素子のサイズは10mm×10mmであり、厚さは0.3mmであった。
一方、これとは別に、表面にNi/Auめっきが形成されたCu製のパッド(端子)が形成されたシリコン製の実装基板を用意した。なお、実装基板のサイズは、6インチであり、厚さは0.625mmであった。
[3B]部材同士の接続
次に、フリップチップボンダーにて樹脂フィルム付き半導体素子をピックアップし、実装基板上に載置した。
このプロセスでは、まず、バンプ電極を200℃に加熱しつつ、10Nで10秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
続いて、接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した(3B−1:接合および硬化工程)。この後、バンプ電極を240℃で5秒間加熱して、バンプ電極3における合金化を促進させた(3B−2:合金促進工程)。
以上のようにして、実装基板上に半導体素子を積層してなる評価用サンプルを得た。
(実施例2B〜5B)
前記[1B]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表2に示すものを、表2に示す質量部で秤量したこと以外は、前記実施例1Bの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
2−3.評価用サンプルの評価
2−3.1 接続信頼性の評価
次に、実施例および各比較例で得られた評価用サンプルについて、それぞれ、リフロー試験に供した。このリフロー試験は、評価用サンプルを、260℃に5秒間曝した後に常温に復帰させるまでを1サイクルとし、これを5サイクル実施するものである。
そして、リフロー試験を実施する前、5サイクル完了後の評価用サンプルのバンプ電極におけるクラックの発生の有無を、電子顕微鏡で観察した。そして、その観察結果に基づいて、以下の評価基準に照らして評価した。
<接続信頼性の評価基準>
○:5サイクルのリフローにおいてクラックの発生が認められない。
×:5サイクルのリフローにおいてクラックの発生が認められる。
評価結果を表2に示す。
Figure 0005962834
表2に示すとおり、リフロー試験による接続信頼性において、各実施例では、優れた結果を示し、半導体素子と実装基板とが備える端子同士の間でバンプ電極を介して信頼性の高い電気的接続が行われる結果が得られた。
3.接合工程における温度条件の検討
3−1.原材料の準備
まず、実施例および参考例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(フェノールノボラック樹脂)
フェノールノボラック樹脂として、住友ベークライト株式会社製:「PR−55617」を用意した。
(エポキシ樹脂1C)
エポキシ樹脂1Cとして、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:「jER 1032H60」)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物1C)
フラックス機能を有する化合物1Cとして、グルタル酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(成膜性樹脂1)
成膜性樹脂1として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製:「YP−50」)を用意した。
(硬化促進剤1)
硬化促進剤1として、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製:「2P4MZ」)を用意した。
(充填材1)
充填材1として、球状シリカフィラー(株式会社アドマテックス製:「SC1050」)を用意した。
3−2.評価用サンプルの作製
(実施例1C)
[1C]樹脂層の作製
<樹脂ワニスの調製>
まず、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表3に示すものを、表3に示す質量部で秤量し、これらを、メチルエチルケトンに溶解、分散し、成分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。
<樹脂フィルム(樹脂層)の作製>
得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、東レ株式会社製、商品名ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス機能を有する樹脂フィルム(樹脂層)を得た。
[2C]部材の準備
次に、回路素子および配線が形成されたシリコンウエハーを用意した。なお、このシリコンウエハーには、Cu製のパッドが露出しており、さらに、このパッドには融点221℃のSnAg系の鉛フリーはんだで構成されたバンプ電極が設けられている。
次に、このバンプ電極を覆うように、[1C]で作製した樹脂フィルムをシリコンウエハーに貼り付けた。そして、基材ポリエステルフィルムを剥離して、樹脂フィルムのみを転移させた。
次いで、樹脂フィルムを貼り付けたシリコンウエハーを、樹脂フィルムとともに切断して個片化し、樹脂フィルム付きの半導体素子を得た。なお、得られた半導体素子のサイズは10mm×10mmであり、厚さは0.3mmであった。
一方、これとは別に、表面にNi/Auめっきが形成されたCu製のパッド(端子)が形成されたシリコン製の実装基板を用意した。なお、実装基板のサイズは、6インチであり、厚さは0.625mmであった。
[3C]部材同士の接続
次に、フリップチップボンダーにて樹脂フィルム付き半導体素子をピックアップし、実装基板上に載置した。
このプロセスでは、まず、バンプ電極を200℃に加熱しつつ、30Nで10秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
続いて、接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した(3C−1:接合および硬化工程)。この後、バンプ電極を240℃で5秒間加熱して、バンプ電極3における合金化を促進させた(3C−2:合金促進工程)。
以上のようにして、実装基板上に半導体素子を積層してなる評価用サンプルを得た。
(参考例1C)
前記[3C]部材同士の接続における接合および硬化工程[3C−1]において、実装基板に対して半導体素子を押し付ける際の条件を、バンプ電極を140℃に加熱しつつ、30Nで10秒間、半導体素子を押し付ける条件としたこと以外は、前記実施例1Cの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
Figure 0005962834
3−3.評価用サンプルの評価
3−3.1 評価用サンプルの接続性の評価
まず、実施例および参考例の評価用サンプルについて、それぞれ、前記接合および硬化工程[3C−1]が完了した時点において、端子同士のバンプ電極を介した接合の程度を電子顕微鏡で観察した。電子顕微鏡で観察された、端子同士のバンプ電極を介した接合の状態を図9に示す。
図9から明らかなように、実施例の評価用サンプルでは、実装基板と半導体素子とを積層する積層方向に直交する方向から半導体素子をみたとき、端子同士がバンプ電極を介して接合されている接合面が端子の表面の長さに対して95%以上の長さで形成されており、端子同士がバンプ電極を介して十分に接合されていると言える接合面が形成されていた。これに対して、参考例の評価用サンプルでは、実装基板と半導体素子とを積層する積層方向に直交する方向から半導体素子をみたとき、端子同士がバンプ電極を介して接合されている接合面が端子の表面の長さに対して90%未満の長さでしか形成されておらず、端子同士がバンプ電極を介して十分に接合されているとは言えない結果、すなわち、バンプ電極を介して当接または接触している結果を示した。
すなわち、接合工程における加熱温度をバンプ電極の融点Tmより21℃低い条件とすることにより、接合工程における加熱温度をバンプ電極の融点Tmより81℃低い条件とした場合と比較して、端子同士を、バンプ電極を介して十分に接合させることが可能であった。
なお、図での提示を省略したが、接合工程における加熱温度をバンプ電極の融点Tmより20℃未満低い条件とした場合には、実装基板と半導体素子との間から、硬化した樹脂組成物が漏出する傾向を示した。したがって、接合工程において、バンプ電極を加熱する温度を、バンプ電極の融点Tmよりも20℃以上70℃以下低い条件に設定することにより、評価用サンプルにおけるバンプ電極を介した端子同士の接続性を、良好なものとし得ることが判った。
4.充填材の疎水性処理の検討
4−1.原材料の準備
まず、各実施例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(フェノールノボラック樹脂)
フェノールノボラック樹脂として、住友ベークライト株式会社製:「PR−55617」を用意した。
(エポキシ樹脂1D)
エポキシ樹脂1Dとして、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:「jER 1032H60」)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物1D)
フラックス機能を有する化合物1Dとして、グルタル酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(成膜性樹脂1)
成膜性樹脂1として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製:「YP−50」)を用意した。
(硬化促進剤1)
硬化促進剤1として、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製:「2P4MZ」)を用意した。
(充填材1D)
充填材1Dとして、球状シリカフィラー(株式会社アドマテックス製:「SC1050」)を用意した。
(充填材2D)
充填材1として、疎水性処理球状シリカフィラー(株式会社トクヤマ製:「SSP−02M」)を用意した。
4−2.評価用サンプルの作製
(実施例1D)
[1D]樹脂層の作製
<樹脂ワニスの調製>
まず、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表4に示すものを、表4に示す質量部で秤量し、これらを、メチルエチルケトンに溶解、分散し、成分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。
<樹脂フィルム(樹脂層)の作製>
得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、東レ株式会社製、商品名ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス機能を有する樹脂フィルム(樹脂層)を得た。
[2D]部材の準備
次に、回路素子および配線が形成されたシリコンウエハーを用意した。なお、このシリコンウエハーには、Cu製のパッドが露出しており、さらに、このパッドには融点221℃のSnAg系の鉛フリーはんだで構成されたバンプ電極が設けられている。
次に、このバンプ電極を覆うように、[1D]で作製した樹脂フィルムをシリコンウエハーに貼り付けた。そして、基材ポリエステルフィルムを剥離して、樹脂フィルムのみを転移させた。
次いで、樹脂フィルムを貼り付けたシリコンウエハーを、樹脂フィルムとともに切断して個片化し、樹脂フィルム付きの半導体素子を得た。なお、得られた半導体素子のサイズは10mm×10mmであり、厚さは0.3mmであった。
一方、これとは別に、表面にNi/Auめっきが形成されたCu製のパッド(端子)が形成されたシリコン製の実装基板を用意した。なお、実装基板のサイズは、6インチであり、厚さは0.625mmであった。
[3D]部材同士の接続
次に、フリップチップボンダーにて樹脂フィルム付き半導体素子をピックアップし、実装基板上に載置した。
このプロセスでは、まず、バンプ電極を200℃に加熱しつつ、30Nで10秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
続いて、接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した(3D−1:接合および硬化工程)。この後、バンプ電極を240℃で5秒間加熱して、バンプ電極3における合金化を促進させた(3D−2:合金促進工程)。
以上のようにして、実装基板上に半導体素子を積層してなる評価用サンプルを得た。
(実施例2D)
前記[1D]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表4に示すものを、表4に示す質量部で秤量したこと以外は、前記実施例1Dの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
4−3.評価用サンプルの評価
4−3.1 接続信頼性の評価
次に、各実施例で得られた評価用サンプルについて、それぞれ、リフロー試験に供した。このリフロー試験は、評価用サンプルを、260℃に5秒間曝した後に常温に復帰させるまでを1サイクルとし、これを10サイクル実施するものである。
そして、リフロー試験を実施する前、5サイクル完了後、および、10サイクル完了後の評価用サンプルのバンプ電極におけるクラックの発生の有無を、電子顕微鏡で観察した。そして、その観察結果に基づいて、以下の評価基準に照らして評価した。
<接続信頼性の評価基準>
◎:5サイクルおよび10サイクルのリフローの何れにおいてもクラックの発生が認められない。
○:5サイクルのリフローおいてはクラックの発生が認められないものの、10サイクルのリフローにおいてはクラックの発生が認められる。
×:5サイクルおよび10サイクルのリフローの何れにおいてもクラックの発生が認められる。
評価結果を表4に示す。
Figure 0005962834
表4に示すとおり、リフロー試験による接続信頼性において、各実施例では、優れた結果を示し、半導体素子と実装基板とが備える端子同士の間でバンプ電極を介して信頼性の高い電気的接続が行われており、特に、実施例2Dでは、より優れた接続信頼性を示す結果が得られた。
すなわち、エポキシ樹脂として、TPM型エポキシ樹脂を用い、無機充填材として表面疎水化無機充填材を用いる組み合わせとすることで、TPM型エポキシ樹脂と、表面に疎水化処理が施されていない充填材との組み合わせと比較して、半導体素子と実装基板とが備える端子同士の間でバンプ電極を介してより信頼性の高い電気的接続を行い得ることが判った。
5.その他評価の検討
5−1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(フェノールノボラック樹脂)
フェノールノボラック樹脂として、住友ベークライト株式会社製:「PR−55617」を用意した。
(エポキシ樹脂1E)
エポキシ樹脂1Eとして、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製:「EPICLON−840S」)を用意した。
(エポキシ樹脂2E)
エポキシ樹脂2Eとして、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製:「YL983U」)を用意した。
(エポキシ樹脂3E)
エポキシ樹脂3Eとして、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:「jER 1032H60」)を用意した。
(エポキシ樹脂4E)
エポキシ樹脂4Eとして、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製:「EPICLONHP−4700」)を用意した。
(エポキシ樹脂5E)
エポキシ樹脂5Eとして、フルオレン型エポキシ樹脂(株式会社大阪ガスケミカル製:「OGSOL CG−500」)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物1E)
フラックス機能を有する化合物1Eとして、3−ヒドロキシ安息香酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物2E)
フラックス機能を有する化合物2Eとして、4−ヒドロキシ安息香酸(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(フラックス機能を有する化合物3E)
フラックス機能を有する化合物3Eとして、フェノールフタリン(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(成膜性樹脂1)
成膜性樹脂1として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製:「YP−50」)を用意した。
(硬化促進剤1)
硬化促進剤1として、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製:「2P4MZ」)を用意した。
(充填材1)
充填材1として、球状シリカフィラー(株式会社アドマテックス製:「SC1050」)を用意した。
5−2.評価用サンプルの作製
(実施例1E)
[1E]樹脂層の作製
<樹脂ワニスの調製>
まず、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表5に示すものを、表5に示す質量部で秤量し、これらを、メチルエチルケトンに溶解、分散し、成分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。
<樹脂フィルム(樹脂層)の作製>
得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、東レ株式会社製、商品名ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス機能を有する樹脂フィルム(樹脂層)を得た。
[2E]部材の準備
次に、回路素子および配線が形成されたシリコンウエハーを用意した。なお、このシリコンウエハーには、Cu製のパッドが露出しており、さらに、このパッドには融点221℃のSnAg系の鉛フリーはんだで構成されたバンプ電極が設けられている。
次に、このバンプ電極を覆うように、[1E]で作製した樹脂フィルムをシリコンウエハーに貼り付けた。そして、基材ポリエステルフィルムを剥離して、樹脂フィルムのみを転移させた。
次いで、樹脂フィルムを貼り付けたシリコンウエハーを、樹脂フィルムとともに切断して個片化し、樹脂フィルム付きの半導体素子を得た。なお、得られた半導体素子のサイズは10mm×10mmであり、厚さは0.3mmであった。
一方、これとは別に、表面にNi/Auめっきが形成されたCu製のパッド(端子)が形成されたシリコン製の実装基板を用意した。なお、実装基板のサイズは、6インチであり、厚さは0.625mmであった。
[3E]部材同士の接続
次に、フリップチップボンダーにて樹脂フィルム付き半導体素子をピックアップし、実装基板上に載置した。
このプロセスでは、まず、バンプ電極を200℃に加熱しつつ、20Nで2秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた(接合工程)。
続いて、接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した(3E−1:接合および硬化工程)。この後、バンプ電極を240℃で5秒間加熱して、バンプ電極3における合金化を促進させた(3E−2:合金促進工程)。
以上のようにして、実装基板上に半導体素子を積層してなる評価用サンプルを得た。
(実施例2E)
前記[1E]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表5に示すものを、表5に示す質量部で秤量し、前記[3E]部材同士の接続における、接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程を、以下のように変更したこと以外は、前記実施例1Eの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
(接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程)
接合工程を経た半導体素子および実装基板を、260℃、0.5Nで5秒間、加熱して合金化を促進させたのち、さらに、半導体素子および実装基板を180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱して樹脂層を硬化させた。
(実施例3E)
前記[1E]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表5に示すものを、表5に示す質量部で秤量し、前記[3E]部材同士の接続における、接合工程および接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程を、以下のように変更したこと以外は、前記実施例1Eの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
(接合工程)
バンプ電極を190℃に加熱しつつ、20Nで2秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
(接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程)
接合工程を経た半導体素子および実装基板を、220℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した。これにより、樹脂フィルムを硬化させるとともに、合金化を促進させた。
(比較例1E)
前記[1E]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表5に示すものを、表5に示す質量部で秤量し、前記[3E]部材同士の接続における、接合工程および接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程を、以下のように変更したこと以外は、前記実施例1Eの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
(接合工程)
バンプ電極を240℃に加熱しつつ、20Nで5秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
(接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程)
接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した。これにより、樹脂フィルムを硬化させた。
(比較例2E)
前記[1E]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表5に示すものを、表5に示す質量部で秤量し、前記[3E]部材同士の接続における、接合工程および接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程を、以下のように変更したこと以外は、前記実施例1Eの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
(接合工程)
バンプ電極を210℃に加熱しつつ、20Nで2秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
(接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程)
接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した。これにより、樹脂フィルムを硬化させたのち、バンプ電極を220℃で10分間オーブンを用いて加熱させた。
(比較例3E)
前記[1E]樹脂層の作製において、フェノールノボラック樹脂、エポキシ樹脂、フラックス機能を有する化合物、成膜性樹脂、硬化促進剤および充填材として、それぞれ、表5に示すものを、表5に示す質量部で秤量し、前記[3E]部材同士の接続における、接合工程および接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程を、以下のように変更したこと以外は、前記実施例1Eの場合と同様にして評価用サンプルを得た。
(接合工程)
バンプ電極を180℃に加熱しつつ、20Nで2秒間、実装基板に対して半導体素子を押し付けた。
(接合および硬化工程から評価サンプルを得るまでの工程)
接合工程を経た半導体素子および実装基板を、180℃、0.8MPa窒素雰囲気下で2時間、加熱した。これにより、樹脂フィルムを硬化させたのち、バンプ電極を260℃で5秒間加熱して、バンプ電極3をリフローさせた。
5−3.評価用サンプルの評価
5−3.1 樹脂フィルムのハンドリング性の評価
まず、各実施例および各比較例で得られた樹脂フィルムについてハンドリング性を測定し、以下の評価基準に照らして評価した。
<樹脂フィルムのハンドリング性の評価基準>
〇:樹脂フィルムを180°折り曲げた際にクラックが発生しない。
×:樹脂フィルムを180°折り曲げた際にクラックが発生する。
評価結果を表5に示す。
5−3.2 接続性の評価
まず、各実施例および各比較例で得られた評価用サンプルについて、それぞれ、光学顕微鏡を用いて、バンプ電極により端子同士が接続されている領域を観察した。そして、観察されたかかる領域におけるバンプ電極による端子同士の接続状態により、以下の評価基準に照らして評価した。
<接続性の評価基準>
◎:接続端子を20個観測して樹脂噛みが端子幅の1/3以上の端子がない。
〇:接続端子を20個観測して樹脂噛みが端子幅の1/2以上の端子がない。
×:接続端子を20個観測して樹脂噛みが端子幅の1/2以上の端子が1個以上存在する。
評価結果を表5に示す。
5−3.3 樹脂層のTgの評価
まず、各実施例および各比較例で得られた評価用サンプルが備える樹脂層について、それぞれ、TMA装置(セイコーインスツル株式会社製、製品名「TMA/SS6000」)を用いて、そのTgを測定した。そして、測定された樹脂層のTgにより、以下の評価基準に照らして評価した。
<Tgの評価基準>
〇:120℃以上である
×:120℃未満である
評価結果を表5に示す。
5−3.4 接続信頼性の評価
次に、各実施例および各比較例で得られた評価用サンプルを、それぞれ20個ずつ用意した。次いで、これらを温度サイクル試験に供した。この温度サイクル試験は、評価用サンプルを、−55℃に30分間曝した後、125℃に30分間曝す試験を1サイクルとし、これを100サイクルするものである。
次に、温度サイクル試験に供した評価用サンプルの導通試験を実施し、さらにサンプルを切断し、バンプ電極近傍の切断面を電子顕微鏡で観察した。そして、検査結果を以下の評価基準に照らして評価した。
<接続信頼性の評価基準>
◎:導通試験で導通問題なし。また接続端子20個の断面を確認し、電極内部にクラック等も確認されない。
○:導通試験で導通問題なし。また接続端子20個の断面を確認し、電極内部にクラックが発生しているものが1個以上存在する。
×:導通試験で不通が発生。バンプ電極と端子との接合状態が1個以上不良である。
評価結果を表5に示す。
Figure 0005962834
表5から明らかなように、各実施例、すなわち本発明に係る回路部材の接続方法では、樹脂フィルムのハンドリング性、接続性、樹脂層のTgおよび接続信頼性において、いずれも、優れた結果を示し、半導体素子と実装基板との間で信頼性の高い電気的接続が図られていることが認められた。
一方、各比較例では、樹脂フィルムのハンドリング性、接続性、樹脂層のTgおよび接続信頼性のいずれかにおいて、各実施例に比較して劣る結果を示し、半導体素子と実装基板との間において信頼性の高い電気的接続が行われているとは言えない結果を示した。
1 実装基板
2 半導体素子
3 バンプ電極
4 樹脂層
11 基層
12 配線層
13 保護膜
14 端子
21 半導体チップ
22 配線層
23 保護膜
152 上面
241 貫通電極
242 端子
243 端子
251 下面
252 上面

Claims (6)

  1. 第1端子および第2端子の少なくとも一方に設けられたバンプ電極と、第1面側に前記第1端子を備える実装基板第2面側に前記第2端子を備える半導体素子、を準備し、前記第1端子と前記第2端子との間に接着フィルムを介在させ、前記バンプ電極の融点よりも低い第1温度に加熱しつつ、前記実装基板と前記半導体素子とを互いに押し付けることで、前記実装基板と前記半導体素子とを積層する積層方向に直交する方向から前記半導体素子をみたとき、前記第1端子と前記第2端子とが前記バンプ電極を介して接合されている接合面が当該端子の表面の長さに対して90%以上の長さで接合する接合工程に用いられる当該接着フィルムであって、
    フラックス機能を有する化合物と、
    エポキシ樹脂と、
    無機充填材とを含み、
    前記エポキシ樹脂は、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を含有し、
    前記無機充填材は、その表面が疎水性の官能基で修飾されている表面疎水化無機充填材を含有する、接着フィルム
  2. 前記フラックス機能を有する化合物は、220℃以下でフラックス機能を発現するものである請求項1に記載の接着フィルム
  3. 請求項1または2に記載の接着フィルムの形成に用いる、フラックス機能を有する樹脂組成物
  4. 1面側に設けられる第1端子を備える実装基板と、
    2面側に設けられる第2端子を備える半導体素子と、
    前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に設けられるバンプ電極と、
    前記第1面と前記第2面との間に設けられ、請求項1もしくは2に記載の接着フィルム、または請求項3に記載のフラックス機能を有する樹脂組成物からなる接着フィルムと、
    を準備する準備工程と、
    前記バンプ電極の融点よりも低い第1温度に加熱しつつ前記実装基板と前記半導体素子とを互いに押し付けることで、前記実装基板と前記半導体素子とを積層する積層方向に直交する方向から前記半導体素子をみたとき、前記第1端子と前記第2端子とが前記バンプ電極を介して接合されている接合面が当該端子の表面の長さに対して90%以上の長さで接合する接合工程とを有することを特徴とする回路部材の接続方法。
  5. 前記接合工程の後に、さらに、前記実装基板の前記第1端子と、前記半導体素子の前記第2端子と、前記バンプ電極との合金化を促進する合金促進工程を有する請求項4に記載の回路部材の接続方法。
  6. 前記接合工程において、前記バンプ電極を加熱する前記第1温度は、前記バンプ電極に含まれる半田成分の融点よりも20℃以上45℃以下低い温度である請求項4または5に記載の回路部材の接続方法。
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