以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る自走式スクリーンについて説明する。なお、各実施形態において同一の構成については同一符号を付して重複する説明を省略する。また、各実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲において、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
図1は、本実施形態に係る自走式スクリーン1の側面図である。図2は、オーバーコンベヤ40を展開状態にした自走式スクリーン1の平面図である。図3は、オーバーコンベヤ40を格納状態にした自走式スクリーン1の平面図である。また、図3の円内の図は、オーバーコンベヤ40及び第2シリンダ46の周辺を自走式スクリーン1の左側から見た部分側面図である。
図1に示すように、自走式スクリーン1は、走行体10と、篩装置20と、主コンベヤ(第1コンベヤ)30と、オーバーコンベヤ(第2コンベヤ)40と、パワーユニット50とを主に備える。
自走式スクリーン1は、走行体10によって作業位置まで自走し、作業位置で篩装置20を振動させて被選別物を粒径に応じて選別する装置である。より詳細には、自走式スクリーン1は、投入された被選別物のうち、粒径が閾値粒径未満の被選別物を主コンベヤ30を通じて排出し、粒径が閾値粒径以上の被選別物をオーバーコンベヤ40を通じて排出する。被選別物とは、例えば、大小の破片が混在した瓦礫、砂利が混ざった土砂など、粒径の異なる複数の粒子の混合物を指す。
走行体10は、一対の無限軌道11と、一対の無限軌道11に支持された支持フレーム12とで構成される。一対の無限軌道11は、エンジン52(図6参照)によって駆動される油圧モータ(図示省略)の駆動力が伝達されて回転する。図3に示すように、オーバーコンベヤ40が格納姿勢のとき、一対の無限軌道11の外側端が自走式スクリーン1の左右方向(幅方向)の最も外側に位置する。以下、一対の無限軌道11の外側端同士の距離を、「自走式スクリーン1の幅」と定義する。
篩装置20は、支持フレーム12に支持されている。より詳細には、篩装置20は、自走式スクリーン1の前方側から後方側に向かって下り傾斜となるように、支持フレーム12に支持されている。篩装置20は、筐体21と、金網22と、複数のラバースプリング23と、油圧モータ24とを主に備える。
筐体21は、篩装置20の前端及び左右端を画定する側壁21aと、側壁21aの下方に配置される底壁21bとで構成されている。側壁21aの上面、下面、及び背面は、開放されている。また、底壁21bは、側壁21aの下方において、側壁21aの下端と所定の間隔を隔てて配置されている。さらに、底壁21bには、上下方向に貫通する排出口21cが形成されている。
金網22は、側壁21aの内部に配置されている。金網22は、複数の貫通孔が設けられたメッシュ構造の部材である。また、側壁21aには、貫通孔の直径が異なる複数の金網22の1つを選択的に装着することができる。そして、貫通孔の直径を適宜選択することによって、被選別物を選別する際の閾値粒径が調整される。
複数のラバースプリング23は、底壁21bに対して側壁21aを支持している。本実施形態では、側壁21aの左端及び右端それぞれの前方側及び後方側の2箇所(合計4箇所)で、ラバースプリング23を介して側壁21aが底壁21bに支持されている。油圧モータ24は、エンジン52の駆動力が伝達されて回転することによって、側壁21aを振動させる。
被選別物は、開放された側壁21aの上面から筐体21内に、油圧ショベル等によって投入される。投入された被選別物は、金網22上に載置される。そして、被選別物が投入された状態で油圧モータ24を回転させると、側壁21a及び金網22が振動する。このとき、筐体21に投入された被選別物のうち、粒径が金網22の貫通孔の直径未満の被選別物は、金網22の貫通孔を通過し、底壁21bの排出口21cから排出される。一方、粒径が金網22の貫通孔の直径以上の被選別物は、金網22の貫通孔を通過せず、傾斜に沿って後方側に移動して、開放された側壁21aの背面から排出される。
主コンベヤ30は、排出口21cから排出された粒径が閾値粒径未満の被選別物を、自走式スクリーン1の外部に排出する。主コンベヤ30は、底壁21b(より詳細には、排出口21c)の下方において、支持フレーム12に支持されている。また、主コンベヤ30は、自走式スクリーン1の前後方向に延設されている。さらに、主コンベヤ30は、自走式スクリーン1の後方側から前方側に向けて登り傾斜となるように、支持フレーム12に支持されている。
主コンベヤ30は、コンベヤフレーム31と、コンベヤフレーム31の先端に回転可能に支持されたヘッドプーリ32と、コンベヤフレーム31の基端に回転可能に支持されたテールプーリ(図示省略)と、ヘッドプーリ32及びテールプーリに掛け渡された無端環状のコンベヤベルト33と、エンジン52の駆動力が伝達されて回転する油圧モータ34と、主コンベヤ30の傾斜角度を調整するチルトシリンダ35とを主に備える。
油圧モータ34の駆動力がヘッドプーリ32に伝達されると、コンベヤベルト33が回転する。これにより、排出口21cから排出された被選別物が前方に搬送され、主コンベヤ30の先端から自走式スクリーン1の外部に排出される。すなわち、粒径が閾値粒径未満の被選別物は、自走式スクリーン1の前方で、且つ主コンベヤ30の先端の直下に山積みされる。また、チルトシリンダ35を伸縮させることによって、被選別物の性状に合わせて主コンベヤ30の傾斜角度を調整することができる。
オーバーコンベヤ40は、側壁21aの背面から排出された粒径が閾値粒径以上の被選別物を、自走式スクリーン1の外部に排出する。オーバーコンベヤ40は、筐体21の後方で且つ開放された側壁21aの背面の直下において、支持フレーム12に支持されている。また、オーバーコンベヤ40は、自走式スクリーン1の幅の外側にまで延設された展開姿勢(図2)と、自走式スクリーン1の幅の内側に格納された格納姿勢(図3)とに姿勢変化可能に構成されている。
図1~図3に示すように、オーバーコンベヤ40は、コンベヤフレーム41と、コンベヤフレーム41の先端に回転可能に支持されたヘッドプーリ42と、コンベヤフレーム41の基端に回転可能に支持されたテールプーリ(図示省略)と、ヘッドプーリ42及びテールプーリに掛け渡された無端環状のコンベヤベルト43と、エンジン52の駆動力が伝達されて回転する油圧モータ44と、オーバーコンベヤ40の姿勢を変化させる油圧シリンダ45、46とを主に備える。
オーバーコンベヤ40が展開姿勢のときに、油圧モータ44の駆動力がヘッドプーリ42に伝達されると、コンベヤベルト43が回転する。これにより、開放された側壁21aの背面から排出された被選別物が左方に搬送され、オーバーコンベヤ40の先端から自走式スクリーン1の外部に排出される。すなわち、粒径が閾値粒径未満の被選別物は、自走式スクリーン1の左方で、且つオーバーコンベヤ40の先端の直下に山積みされる。
また、コンベヤフレーム41は、オーバーコンベヤ40の延設方向に隣接する先端側フレーム41a及び基端側フレーム41bで構成されている。先端側フレーム41aは、ヘッドプーリ42及び油圧モータ44を支持する。基端側フレーム41bは、テールプーリを支持し、支持フレーム12に支持されている。
第1シリンダ45は、一端が支持フレーム12に連結され、他端が先端側フレーム41aに連結されている。そして、コンベヤフレーム41は、図2に示すように第1シリンダ45を伸長させると、先端側フレーム41a及び基端側フレーム41bが直線的に並んだ状態となる。一方、コンベヤフレーム41は、図3に示すように第1シリンダ45を縮小すると、先端側フレーム41a及び基端側フレーム41bが連結部分で屈曲した状態となる。
第2シリンダ46は、一端が支持フレーム12に連結され、他端が基端側フレーム41bに連結されている。そして、コンベヤフレーム41は、図2に示すように第2シリンダ46を縮小すると、コンベヤベルト43の搬送面が上方を向く。一方、コンベヤフレーム41は、図3に示すように第2シリンダ46を伸長させると、コンベヤベルト43の搬送面が後方を向く。
すなわち、図2に示すように、第1シリンダ45が伸長し、第2シリンダ46が縮小した状態で、オーバーコンベヤ40は展開姿勢となる。一方、図3に示すように、第1シリンダ45が縮小し、第2シリンダ46が伸長した状態で、オーバーコンベヤ40は格納姿勢となる。
オーバーコンベヤ40を展開姿勢から格納姿勢に姿勢変化させる場合、まず、第1シリンダ45が伸長した状態で、第2シリンダ46を伸長させる。次に、第2シリンダ46が伸長した状態で、第1シリンダ45を縮小する。一方、オーバーコンベヤ40を格納姿勢から展開姿勢に姿勢変化させる場合、まず、第2シリンダ46が伸長した状態で、第1シリンダ45を伸長させる。次に、第1シリンダ45が伸長した状態で、第2シリンダ46を縮小する。
油圧シリンダ45、46には、それぞれの伸縮状態を検出するリミットスイッチ47、48(図6参照)が設けられている。換言すれば、リミットスイッチ(コンベヤセンサ)47、48は、オーバーコンベヤ40の姿勢を検出する。リミットスイッチ47は、第1シリンダ45が縮小したときに、コントローラ70(図6参照)に検出信号を出力する。リミットスイッチ48は、第2シリンダ46が伸長したときに、コントローラ70に検出信号を出力する。
パワーユニット50は、自走式スクリーン1を動作させる駆動力を発生させるユニットである。パワーユニット50は、一対の無限軌道11より前方で、且つ主コンベヤ30の下方において、支持フレーム12に支持されている。パワーユニット50は、筐体51と、筐体51に収容されたエンジン52及びパイロットポンプ53(図6参照)とを備える。パイロットポンプ53は、エンジン52の駆動力が伝達されて回転し、作動油タンク54に貯留された作動油を、パイロット圧油として走行操作レバー63(図6参照)などに圧送する。
また、自走式スクリーン1は、オペレータの操作を受け付ける操作装置(レバー、スイッチ、ダイヤルなど)を備える。そして、オペレータが操作装置を操作することによって、走行体10が走行し、篩装置20が振動し、コンベヤ30、40が回転し、オーバーコンベヤ40が姿勢変化する。
操作装置は、動作選択ダイヤル61(図4参照)と、回転数選択レバー62(図5参照)と、一対の走行操作レバー63(図6参照)とを少なくとも備える。図4は、動作選択ダイヤル61を示す図である。図5は、回転数選択レバー62を示す図である。図6は、自走式スクリーン1に搭載されるコントローラ70及び油圧回路の一部を示すブロック図である。
動作選択ダイヤル61は、自走式スクリーン1の動作モードをオペレータに選択させるための操作部である。より詳細には、動作選択ダイヤル61は、自走式スクリーン1を整備モードにする整備位置と、自走式スクリーン1を作業モードにする作業位置と、自走式スクリーン1を走行モードにする走行モードに切換可能である。そして、動作選択ダイヤル61は、現在位置を示す位置信号を、コントローラ70に出力する。動作選択ダイヤル61は、例えば、オルタネートスイッチである。
整備モードは、オーバーコンベヤ40の姿勢を変化させることができるモードである。すなわち、オペレータは、動作選択ダイヤル61を整備位置に回転させた状態で、油圧シリンダ45、46それぞれを伸縮させる操作部(図示省略)を操作することによって、オーバーコンベヤ40を姿勢変化させることができる。
作業モードは、篩装置20を動作せることができるモードである。すなわち、オペレータは、動作選択ダイヤル61を作業位置に回転させて状態で、油圧モータ24を駆動及び停止させる操作部(図示省略)を操作することによって、被選別物を粒径に応じて選別させることができる。
走行モードは、走行体10を走行させることができるモードである。すなわち、オペレータは、動作選択ダイヤル61を走行位置に回転させた状態で、走行操作レバー63を操作することによって、走行体10を走行させることができる。
回転数選択レバー62は、エンジン52の回転数の上限値を制御するエンジン操作部である。より詳細には、回転数選択レバー62は、エンジン52をローアイドル状態にする規制位置と、エンジン52をハイアイドル状態にする解除位置に切換可能である。回転数選択レバー62は、例えば、オルタネートスイッチである。
ローアイドル状態は、エンジン52の回転数が閾値回転数未満に規制された状態である。すなわち、回転数選択レバー62を規制位置に移動させた状態で、走行操作レバー63を操作すると、極めて遅い速度で自走式スクリーン1が走行する。一方、ハイアイドル状態は、前述したエンジン52の回転数の規制を解除した状態である。すなわち、回転数選択レバー62を解除位置に移動させた状態で、走行操作レバー63を操作すると、ローアイドル状態のときより速い速度で自走式スクリーン1が走行する。
回転数選択レバー62には、現在位置を検出するリミットスイッチ(操作部センサ)64が設けられている。リミットスイッチ64は、回転数選択レバー62が規制位置に位置しているときに、コントローラ70に検出信号を出力する。
一対の走行操作レバー63は、対応する無限軌道11の回転及び停止を制御する走行操作部である。オペレータは、無限軌道11の回転(すなわち、走行体10の走行)を指示する走行操作と、無限軌道11の回転停止(すなわち、走行体10の停止)を指示する停止操作とを、走行操作レバー63に対して行うことができる。
走行操作は、例えば、走行操作レバー63を図6に示す中立位置から倒伏させる操作を指す。より詳細には、走行操作レバー63を一方側に倒伏させると、自走式スクリーン1を前進させる向きに無限軌道11が回転する。また、走行操作レバー63を他方側に倒伏させると、自走式スクリーン1を後進させる向きに無限軌道11が回転する。
停止操作は、例えば、走行操作レバー63を図6に示す中立位置に戻す操作を指す。なお、倒伏させた状態で手を離すと中立位置に戻るように走行操作レバー63が構成されている場合、停止操作は、走行操作レバー63から手を離す操作を指す。
パイロットポンプ53は、作動油タンク54に貯留された作動油を、パイロット圧油として走行操作レバー63のパイロットバルブに圧送する。そして、パイロットバルブは、パイロットポンプ53から供給されたパイロット圧油の出力先及び出力量を、走行操作レバー63の倒伏方向及び倒伏量に応じて切り換える。
パイロットバルブから出力されるパイロット圧油(以下、「走行パイロット圧」と表記する。)は、方向切換弁のパイロットポートに供給されて、メインポンプ(図示省略)から無限軌道11の油圧モータへの作動油の供給方向及び供給量を制御する。
カットオフバルブ55は、パイロットポンプ53から走行操作レバー63のパイロットバルブに至るパイロット圧油の流路に配置されている。カットオフバルブ55は、パイロット圧油を遮断する遮断位置Aと、パイロット圧油を流通させる流通位置Bとに切換可能に構成されている。カットオフバルブ55の初期位置は、遮断位置Aである。そして、カットオフバルブ55は、コントローラ70から制御電圧が印加されている間だけ、流通位置Bに切り換えられる。
圧力センサ56は、走行操作レバー63のパイロットバルブから出力される走行パイロット圧を検出し、検出したパイロット圧を示す圧力信号をコントローラ70に出力する。換言すれば、圧力センサ56は、走行操作レバー63の操作量を検出する。さらに換言すれば、圧力センサ56は、走行体10が走行しているか否かを検出する。
コントローラ70は、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、及びRAM(Random Access Memory)73を備える。コントローラ70は、ROM72に格納されたプログラムをCPU71が読み出して実行することによって、後述する処理を実現する。RAM73は、CPU71がプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
但し、コントローラ70の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
本実施形態に係るコントローラ70は、動作選択ダイヤル61から出力される位置信号、リミットスイッチ47、48、64から出力される検出信号、及び圧力センサ56から出力される圧力信号に基づいて、エンジン52、カットオフバルブ55、及び報知装置74を制御する。コントローラ70が実行する具体的な処理は、図8及び図9を参照して後述する。
報知装置74は、オペレータに情報を報知する装置である。報知装置74の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、情報(文字、画像)を表示するディスプレイ、音声や警告音を出力するスピーカ、点灯や点滅するLEDランプやパトライト(登録商標)等が該当する。
図7は、コントローラ70が保持する制御テーブルの一例である。制御テーブルは、ROM72に記憶されたプログラムのソースコードに定義されていてもよいし、ROM72或いはRAM73に記憶された設定ファイルに定義されており、プログラム実行時に読み出されてもよい。制御テーブルは、後述する走行規制処理で自走式スクリーン1の走行状態を制御する際に参照されるテーブルである。
制御テーブルは、例えば図7に示すように、規制ステータスと、設定時間と、規制内容とを対応付けて保持している。但し、制御テーブルに示される規制ステータスの数、設定時間、及び規制内容は、図7の例に限定されない。
規制ステータスは、自走式スクリーン1の走行状態の規制レベルを示す。本実施形態における規制ステータスは、0~4の5段階であり、数値が大きいほど規制レベルが高い。設定時間は、走行規制処理が開始されてから対応する規制ステータスに移行するまでの経過時間を指す。本実施形態では、規制ステータス2~4のみに設定時間が設定されている。規制内容は、対応する規制ステータスのときに実行される規制の具体的な内容を指す。
次に、図8及び図9を参照して、コントローラ70が自走式スクリーン1を制御する処理を説明する。図8は、動作制御処理のフローチャートである。図9は、走行規制処理のフローチャートである。
まず、コントローラ70は、動作選択ダイヤル61から出力される位置信号に基づいて、動作選択ダイヤル61の位置を判定する(S11)。そして、コントローラ70は、動作選択ダイヤル61が作業位置だと判定した場合に(S11:Yes)、規制ステータスiに0を代入して(S12)、自走式スクリーン1を作業モードに移行させる(S13)。
なお、規制ステータスiは、RAM73に記憶される変数である。そして、規制ステータスiには、現在の規制ステータスを示す値が設定される。すなわち、本実施形態に係る規制ステータスiには、0~4のいずれかが設定される。
図7に示すように、規制ステータスi=0に対応する規制はないので、コントローラ70は、自走式スクリーン1に対する規制を実行しない。また、ステップS12の直前の規制ステータスiに0以外の数値が代入されている場合、コントローラ70は、ステップS12において、当該規制ステータスiに対応する規制を解除する。さらに、作業モードの自走式スクリーン1は、操作装置に対するオペレータの操作に従って、篩装置20、主コンベヤ30、及びオーバーコンベヤ40を動作させる。これらの処理は、動作選択ダイヤル61の位置が切り換えられるまで継続する。
次に、コントローラ70は、動作選択ダイヤル61が走行位置だと判定した場合に(S11:No)、リミットスイッチ47、48から出力される検出信号に基づいて、オーバーコンベヤ40の姿勢を判定する(S14)。コントローラ70は、リミットスイッチ47、48の両方から検出信号が出力されている場合に、オーバーコンベヤ40が格納姿勢だと判定する。一方、コントローラ70は、リミットスイッチ47、48の両方から検出信号が出力されていない場合に、オーバーコンベヤ40が展開姿勢だと判定する。
そして、コントローラ70は、オーバーコンベヤ40が格納姿勢だと判定した場合に(S14:Yes)、規制ステータスiに0を代入して(S15)、自走式スクリーン1を走行モードに移行させる(S16)。ステップS15の処理は、ステップS12と共通するので、再度の説明は省略する。また、コントローラ70は、操作装置に対するオペレータの操作に従って、走行体10を走行させる。これらの処理は、動作選択ダイヤル61の位置が切り換えられるまで継続する。
一方、コントローラ70は、オーバーコンベヤ40が展開姿勢だと判定した場合に(S14:No)、リミットスイッチ64から出力される検出信号に基づいて、自走式スクリーン1がローアイドル状態か否かを判定する(S17)。コントローラ70は、リミットスイッチ64から検出信号が出力されている場合に、ローアイドル状態(回転数選択レバー62が規制位置)だと判定する。一方、コントローラ70は、リミットスイッチ64から検出信号が出力されていない場合に、ハイアイドル状態(回転数選択レバー62が解除位置)だと判定する。
そして、コントローラ70は、自走式スクリーン1がローアイドル状態だと判定した場合に(S17:Yes)、前述したステップS15、S16の処理を実行する。すなわち、オペレータは、オーバーコンベヤ40を展開姿勢にしたまま、自走式スクリーン1を低速で移動させることができる。
一方、コントローラ70は、自走式スクリーン1がハイアイドル状態だと判定した場合に(S17:No)、圧力センサ56から出力される圧力信号に基づいて、走行パイロット圧が閾値圧力以下か否かを判定する(S18)。本実施形態に係る閾値圧力は、0である。但し、実質的に走行体10が停止していると判定できる値であれば、0に限定されない。すなわち、コントローラ70は、ステップS18において、走行体10が走行しているか否かを判定する。
そして、コントローラ70は、走行パイロット圧が閾値圧力以下だと判定した場合に(S18:No)、ステップS11、S14、S17、S18の判定を繰り返し実行する。すなわち、オペレータが動作選択ダイヤル61を作業位置に切り換えるか(S11:Yes)、オーバーコンベヤ40を格納姿勢に姿勢変化させるか(S14:Yes)、回転数選択レバー62を規制位置に切り換えれば(S17:Yes)、前述したステップS12、S13、S15、S16が実行される。一方、オペレータが走行操作レバー63を倒伏させて、走行パイロット圧が閾値圧力より大きくなると(S18:Yes)、コントローラ70は、走行規制処理を実行する(S19)。
すなわち、コントローラ70は、動作選択ダイヤル61が走行位置で(S11:No)、オーバーコンベヤ40が展開姿勢で(S14:No)、且つ自走式スクリーン1がハイアイドル状態のときに(S17:No)、走行操作レバー63に対してオペレータが走行操作をすると(S18:Yes)、走行規制処理を実行する(S19)。
図9に示す走行規制処理において、コントローラ70は、RAM73に記憶されている規制ステータスiの設定値を確認する(S21)。そして、コントローラ70は、規制ステータスiに0が設定されていると判定した場合に(S21:Yes)、タイマをスタートする(S22)。より詳細には、コントローラ70が備えるシステムクロックを用いて、ステップS22の実行時点(換言すれば、走行体10の走行開始)からの経過時間を計測する。
次に、コントローラ70は、現在の規制ステータスiの設定値を1だけインクリメントする(S23)。すなわち、コントローラ70は、自走式スクリーン1に対する規制レベルを1段階上げる。そして、コントローラ70は、更新後の規制ステータスiに対する規制を実行する(S24)。
例えば、ステップS23で規制ステータスiが0から1に更新された場合、コントローラ70は、ステップS24において、報知装置74を通じて警告音を断続的に発報する。警告音の発報は、オーバーコンベヤ40を格納姿勢に姿勢変化させるか、回転数選択レバー62を規制位置(ローアイドル状態)に切り換えることを報知する処理の一例である。なお、警告音の発報に代えて、前述の内容をガイド音声として再生してもよい。ステップS24の処理は、規制ステータスiの設定値が更新されるまで継続する。
次に、コントローラ70は、RAM73に記憶された規制ステータスiに最大値(本実施形態では、4)が設定されているか否かを判定する(S25)。図7に示すように、規制ステータスiに4が設定されている場合、カットオフバルブ55に制御電圧が印加されて、パイロットポンプ53から走行操作レバー63へのパイロット圧油が遮断される。すなわち、走行操作レバー63に走行操作に反して、走行体10が強制的に停止される。
そこで、コントローラ70は、規制ステータスiに4が設定されていると判定した場合、すなわち、走行体10を強制停止させた場合に(S25:Yes)、ステップS26以降の処理を実行せずに、走行規制処理を終了する。そして、コントローラ70は、図8のステップS11、S14、S17、S18の判定を繰り返し実行する。
一方、コントローラ70は、規制ステータスiに4未満の値が設定されていると判定した場合、すなわち、走行体10が走行している場合に(S25:No)、タイマで計測した時間(以下、「タイマ計測時間」と表記する。)が設定時間(i+1)に達したか否か(S27)と、走行パイロット圧が閾値圧力以下か否か(S28)とを判定する。
より詳細には、コントローラ70は、ステップS27において、タイマ計測時間と、現在の規制ステータスi+1に対応する設定時間(i+1)とを比較する。例えば、現在の規制ステータスiが1の場合、規制ステータス2に対応する設定時間(=30sec(第1時間))が比較の対象となる。一方、ステップS28の処理は、図8のステップS18と共通するので、再度の説明は省略する。
そして、コントローラ70は、走行パイロット圧が閾値圧力以下になる前に(S28:Yes)、タイマ計測時間が設定時間(i+1)に到達した場合に(S27:Yes)、ステップS23以降の処理を実行する。
例えば、コントローラ70は、規制ステータスiが1で且つタイマ計測時間が30secに達すると(S27:Yes)、規制ステータスiを2に更新して(S23)、警告音を連続して発報する(S24)。そして、コントローラ70は、規制ステータスiが4未満なので(S25:No)、ステップS27以降の処理を実行する。このときの設定時間(i+1)は、1min(第2時間)である。
また、コントローラ70は、規制ステータスiが2で且つタイマ計測時間が1minに達すると(S27:Yes)、規制ステータスiを3に更新して(S23)、自走式スクリーン1を強制的にローアイドル状態に切り換える(S24)。これにより、自走式スクリーン1の走行速度が低速になる。そして、コントローラ70は、規制ステータスiが4未満なので(S25:No)、ステップS27以降の処理を実行する。このときの設定時間(i+1)は、3min(第3時間及び所定時間)である。
さらに、コントローラ70は、規制ステータスiが3で且つタイマ計測時間が3minに達すると(S27:Yes)、規制ステータスiを4に更新して(S23)、カットオフバルブ55に制御電圧を印加する(S24)。これにより、走行操作レバー63に対する走行操作に拘わらず、走行体10が強制的に停止される。そして、コントローラ70は、規制ステータスiが4なので(S25:Yes)、走行規制処理を終了する。
すなわち、オペレータがステップS24による規制を無視して、走行操作レバー63に対する走行操作を継続すると(S28:Yes)、設定時間が経過する度に規制ステータスが上昇して(S27:Yes→S23)、強い規制が実施される(S24)。そして最終的には、走行体10を強制停止させて、走行規制処理が終了する(S25:Yes)。
なお、走行体10の強制停止を解除するには(S12、S15)、オペレータが動作選択ダイヤル61を作業位置に切り換えるか(S11:Yes)、オーバーコンベヤ40を格納姿勢に姿勢変化させるか(S14:Yes)、回転数選択レバー62を規制位置に切り換えればよい(S17:Yes)。以下、規制を解除するためのこれらの処理を、「規制リセット処理」と表記する。
なお、繰り返し実行されるステップS24において、規制の内容は切り換えられてもよい。すなわち、規制ステータスiが3のときのステップS24において、コントローラ70は、報知装置74による警告音の発報を停止して、自走式スクリーン1をローアイドル状態に切り換えてもよい。
また、繰り返し実行されるステップS24において、規制の内容は追加されてもよい。すなわち、規制ステータスiが3のときのステップS24において、コントローラ70は、報知装置74による警告音の連続発報を継続したまま、自走式スクリーン1をローアイドル状態に切り換えてもよい。
一方、コントローラ70は、タイマ計測時間が設定時間(i+1)に達する前に(S27:No)、走行パイロット圧が閾値圧力以下、すなわち、走行操作レバー63に対してオペレータが停止操作をすると(S28:No)、タイマを一時停止して(S29)、走行規制処理を終了する。なお、コントローラ70は、ステップS29の時点におけるタイマ計測時間を、RAM73に記憶させる。
そして、オペレータが規制リセット処理を実行すれば(S11、S14、S17)、現在の規制ステータスiに対応する規制が解除される(S12、S15)。一方、走行操作レバー63に対してオペレータが再び走行操作をすると(S18:Yes)、コントローラ70は、走行規制処理を再び実行する(S19)。
そして、コントローラ70は、現在の規制ステータスiが0でないと判定した場合に(S21:No)、ステップS29で一時停止したタイマをリスタートして(S26)、ステップS27以降の処理を実行する。すなわち、コントローラ70は、RAM73に記憶させたタイマ計測時間に新たに計測した時間を加算して、ステップS27で設定時間(i+1)と比較する。
すなわち、オペレータがステップS24による規制に気づいて、走行操作レバー63に対して停止操作をすると(S28:No)、タイマが一時停止して規制ステータスiが現在値に留まる(S29)。そして、オペレータが規制リセット処理(S11、S14、S17)を実行すれば、規制ステータスiがリセットされて、全ての規制が解除される(S12、S15)。一方、オペレータが規制リセット処理を実行せずに、走行操作レバー63に対して再び走行操作をすると(S18:Yes)、ステップS29で一時停止した時点から走行規制処理が再開される。
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
上記の実施形態の走行規制処理によれば、まず警告音が断続的に発報され、その後は時間の経過と共に規制の内容が強化され、最終的には所定時間が経過した後に走行体10が強制停止される。すなわち、走行体10を強制停止する前に、規制リセット処理の実行をオペレータに促すことができる。
そして、警告音に気づいたオペレータが規制リセット処理を実行すれば、自走式スクリーン1を安定した状態で移動させることができる。一方、オペレータは、周囲の安全が確保されている状態での近距離の移動であれば、そのまま走行操作を継続すればよい。その結果、自走式スクリーン1の走行時における安定性と操作性を両立することができる。
また、上記の実施形態によれば、第1時間(=30sec)が経過すると、警告音が断続的な発報から連続的な発報に切り換えられる。これにより、規制リセット処理の必要性をオペレータに認識させることができると共に、次の規制(すなわち、ローアイドル状態、走行体10の停止)の実行時期が近づいていることをオペレータに認識させることができる。その結果、オペレータは、このまま走行操作を継続するのか、走行体10を一旦停止させて規制リセット処理を行うのかを適切に判断することができる。
なお、規制ステータス1、2の規制内容は、図7の例に限定されない。他の例として、規制ステータス2では、規制ステータス1と比較して、警告音の音量を大きくしてもよい。さらに他の例として、規制ステータス2では、規制ステータス1に対応する警告音の発報に加えて、パトライト(登録商標)を点灯させてもよい。
また、上記の実施形態によれば、第2時間(1min)が経過すると、自走式スクリーン1がローアイドル状態に切り換えられる。これにより、オーバーコンベヤ40が展開された状態で、長時間に亘って自走式スクリーン1が高速移動するのを防止できる。一方、第2時間以内であれば自走式スクリーン1を高速走行させることができるので、近距離を移動させる際の操作性が向上する。
さらに、上記の実施形態によれば、第3時間(3min)が経過すると、走行体10が強制的に停止され、規制リセット処理を実行しないと再び走行させることができなくなる。これにより、オーバーコンベヤ40を展開姿勢にした不安定な状態で、長期間に亘って自走式スクリーン1が移動するのを防止できる。
一方、オペレータが明示的にローアイドル状態に切り換えれていれば(S17:Yes)、オーバーコンベヤ40が展開姿勢でも自走式スクリーン1を規制なしで走行させることができる(S16)。これにより、オペレータが安全に配慮した状態で自走式スクリーン1を走行させる場合の操作性が向上する。