図1は、本発明を適用した自脱式のコンバインの全体側面図である。コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置(走行部)1L,1Rによって支持された機体フレーム2上における進行方向左(以下、左)側半部に脱穀部(図示しない)を備えるとともに、機体フレーム2上の右側半部における前側に操縦部3、後側にグレンタンク4をそれぞれ設けることにより走行機体6を構成している。この走行機体6の前側には前処理部(刈取部)7が昇降可能に連結されている。
圃場での走行中、前処理部7では、ディバイダ8によって分草されて後方に案内された圃場の穀稈を、引起装置7aによって引起した後、刈刃7bによって刈取り、その後、搬送装置7cによって上記脱穀部側に後方搬送する。脱穀部側に搬送された穀稈は、脱穀フィードチェーン(図示しない)に渡され、該脱穀フィードチェーンにより後方搬送される過程で、回転駆動される扱胴(図示しない)等によって扱降し処理(脱穀処理)されて排藁となる。
該排藁は、排藁搬送体(図示しない)によって後方搬送され、走行機体6の後端部から機外に排出される。一方、扱胴等によって脱穀処理された処理物は、揺動選別体(図示しない)や、唐箕ファン(図示しない)等によって発生する選別風によって、藁屑等の排出物と、籾等の穀粒とに選別され、排出物は走行機体6の後端部から機外に排出され、穀粒はグレンタンク4に搬送されて収容される。
グレンタンク4内の穀粒は、走行機体6の後端部の右側に基端が支持された筒状のオーガ9によって機外に排出される。ちなみに、オーガ9は、上下揺動可能且つ左右旋回可能に支持され、その内部にはオーガ排出ラセン(図示しない)が内装されており、このオーガ排出ラセンを回転駆動させることによりグレンタンク4内の穀粒がオーガ9の先端側から排出される。
脱穀フィードチェーン及び前処理部7側の上述した各種機器等から構成されて穀稈の刈取・搬送処理を行う刈取側作業部と、扱胴及び揺動選別体等から構成されて穀稈の脱穀・選別処理を行う脱穀側作業部と、上述の各クローラ式走行装置1L,1Rとは、エンジン11で発生させた動力によって、それぞれ駆動される。
エンジン11は、操縦部3のオペレータが着座する座席12の真下側に形成されて外側方(図示する例では右側方)が開放されたエンジンルーム(図示しない)内に、収容された状態で、固定設置されたディーゼルエンジンであって、このエンジンルームの開放側は、開閉自在なエンジンカバー13によってカバーされている。
動力伝動構造について説明すると、上述の刈取側作業部には、動力を無段階に変速伝動する油圧式無段階変速装置である搬送HST(図示しない)を介して、エンジン動力が無段階で変速伝動される。この他、搬送HSTから前処理部7側(具体的には、引起装置7a、刈刃7b、搬送装置7c等)への動力伝動経路には、前処理部7側へのエンジン動力の伝動を断続する刈取クラッチ(図示しない)が配置されている。
ちなみに、搬送HSTから前処理部7への動力伝動経路と、搬送HSTから脱穀フィードチェーンへの動力伝動経路は、独立して各別に設けられているため、刈取クラッチの断続によっては、上述した脱穀フィードチェーンへの動力伝動は、断続されない。
上述の脱穀側作業部には、脱穀クラッチ(図示しない)を介して、エンジン動力が断続伝動される。ちなみに、図示するコンバインでは、エンジン11から搬送HSTへの動力伝動経路の途中に脱穀クラッチが配置されているため、該脱穀クラッチの切断作動によって、脱穀作業部側への動力伝動が切断される他、刈取作業部側への動力伝動も切断される。
上述の左右のクローラ式走行装置1L,1Rには、走行変速装置を構成する図示しない副変速装置及び主変速装置を介して、エンジン動力が変速伝動される。主変速装置は、エンジン11からの動力を無段階で変速伝動する油圧式無段階変速装置である走行HSTによって構成されている。副変速装置は、走行HSTから各クローラ式走行装置1L,1Rへの動力伝動経路の途中に配置され、シフト部材(図示しない)を介して、下流側に動力を伝動する一対のギヤの組合せを、選択的に切換作動させて、変速比(減速比)を変更するように構成されている。
ちなみに、副変速装置は、路上走行等のためにクローラ式走行装置1L,1Rに高速動力を伝動する高速状態への切換と、圃場における作業走行等のためにクローラ式走行装置1L,1Rに低速動力を伝動する低速状態への切換と、各クローラ式走行装置1L,1Rへの動力伝動を遮断するニュートラル状態への切換と、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの一方側に正転動力を伝動するとともに他方側に逆転動力を伝動することにより機体をその場で左右旋回させるスピン旋回状態への切換と、を上述のシフト部材によって行う。
これに加えて、上述したオーガ排出ラセンもエンジン動力によって回転駆動される。
このようにして、前処理部7や脱穀フィードチェーンや脱穀側作業機部等の複数の各作業機が、エンジン動力によって駆動されるが、このエンジン11から排出される排気ガス中に含まれる煤等の有害な微小固形物は、DPF(登録商標)と呼ばれる捕捉フィルタ14によって除去される。
導入管16を介してエンジン11から捕捉フィルタ14側に導入された排気ガスは、該捕捉フィルタ14によって微小固形物が除去された後、排気管17を介して機外に排出される。この捕捉フィルタ14は、通過する排気ガス中から微小固形物を捕捉するように構成されているため、表面に捕捉した微小固形物等が付着物として付着し、時間経過に伴って堆積されていく。この付着物の堆積量が多くなると、通気性が悪くなって詰りが生じ、捕捉フィルタ14のフィルタ機能が低下する他、導入管16と排気管17との圧力差が大きくなって種々の問題が発生する可能性がある。
このため、本コンバインには、捕捉フィルタ14に付着した付着物を加熱することによって除去して上記フィルタ機能を再生させる再生手段が設けられている。この再生手段は、エンジン回転数を制御可能なECUと呼ばれるエンジン制御マイコン18(図4参照)と、エンジン11自体とによって構成されている。
エンジン制御マイコン18は、シリアル接続やCAN(Controller Area Network)接続等によって、メインのマイコン(制御部)19(図4参照)に、相互通信可能に接続されており、該マイコン19は、エンジン回転数が高い状態で略一定となるように(安定するように)エンジン制御マイコン18を介してエンジン11を制御し、排気ガスの温度を上昇させ、この高温となった排気ガスによって捕捉フィルタ14の表面を加熱して上記付着物の除去を行う。
そして、マイコン19は、再生手段を介した捕捉フィルタ14のフィルタ機能再生を安定的且つ効率的に行う再生制御を行う。この再生制御には、オペレータの手動操作に起因して、上記再生手段による捕捉フィルタ14の再生を開始する手動再生制御と、予め定めた所定条件を満たした場合に、上記再生手段による捕捉フィルタ14の再生を自動で開始する自動再生制御との2種類が用意されている。
なお、エンジン動力によって駆動される一又は複数(図示する例では複数)の上述の作業機の駆動制御も行うように構成されている。なお、エンジン制御マイコン18を設けずに、メインのマイコン19によって、エンジン回転数を制御してもよく、この場合には、該マイコン19及びエンジン11によって再生手段が構成される。
次に、図1乃至6に基づき、操縦部3及びマイコン11の構成について詳述する。
図2は、操縦部の構成を示す平面図である。操縦部3には、上述した背もたれ付の座席12の他、座席12前方のフロント操作パネル21と、側方(さらに具体的には左側方)のサイド操作パネル22と、後方のリヤ操作パネル23とが設置され、平面視で座席12とフロント操作パネル21との間には床面となるフロアステップ24が形成されている。
上記フロント操作パネル21の右部には、前処理部7の昇降操作具及び操向操作具として機能するレバー操作具であるマルチレバー26が前後揺動可能且つ左右揺動可能に取付支持され、フロント操作パネル21の左側には、メータユニット27が設置されている。
マルチレバー26は、前後揺動によって前処理部7の昇降操作を行うとともに、左右揺動によって機体の操向操作を行う。メータユニット27には、エンジン回転数を表示するメータ28等と、上記再生制御の最中に点灯するランプである再生インジケータ(報知手段)29とが、座席3側から視認可能なように設置されている。
上記リヤ操作パネル23には、オーガ排出ラセンによってグレンタンク4内の穀粒の外部に排出する操作を行う押ボタン式の穀粒排出スイッチ31が設置されている。
上記サイド操作パネル22には、走行HSTを介して走行変速操作を行う主変速操作具である主変速レバー32と、副変速装置を介した走行変速装置を行う副変速操作具である副変速レバー33と、上述の脱穀クラッチ及び刈取クラッチの断続操作を行う断続操作具であるパワークラッチスイッチ(断続操作手段)34とが設けられている。
主変速レバー32は、サイド操作パネル22から上方側に突出した先端部にグリップが形成されるとともに、その基端部が、走行HSTの斜板の傾きを変更させることにより該走行HSTを無段階で変速作動させる操作軸であるトラニオン軸(図示しない)に機械的に連結されており、該主変速レバー32の前後中立位置であるニュートラル位置での左右一方側(図示する例では右側)端部への揺動によって前方揺動可能な状態となる一方で、ニュートラル位置での左右他方側端部への揺動によって後方揺動可能な状態となる。
そして、ニュートラル位置からの前方揺動量が多い程、走行HSTが機体前進走行側に増速される一方で、ニュートラル位置からの後方揺動量が多い程、走行HSTが機体後進走行側に増速される。すなわち、主変速レバー32は、前後揺動によって無段階の走行変速操作を行うとともに、中立位置における左右揺動によって前後進切換操作を行うように構成されている。
副変速レバー33は、図3に示す通り、サイド操作パネル22から上方側に突出した先端部にグリップ33aが形成されるとともに、その基端部が、副変速装置の上記したシフト部材と機械的に連結されており、該副変速レバー33を前後揺動することにより、副変速装置を介した走行変速操作を行う。
具体的には、副変速レバー33の前後中立位置が副変速装置をニュートラル状態に切換えるニュートラル位置Nになり、副変速レバー33の後方揺動位置が副変速装置を低速状態に切換える低速位置Lになり、副変速レバー33の前方揺動位置が副変速装置を高速状態に切換える高速位置Hになり、副変速レバー33の低速位置からの左右一方側(図示する例では左側)端部への揺動位置が副変速装置をスピン旋回状態に切換える旋回位置Sになる。
これ加えて、副変速レバー33はニュートラル位置Nにおいて左右方向に揺動操作可能に構成されており、この左右揺動操作によって、ニュートラル位置の副変速レバー33は、低速位置Lや高速位置Hへの前後揺動が許容される通常位置N1と、前後揺動が許容されない再生位置N2との何れかに揺動操作可能になる。ちなみに、この副変速レバー33の揺動案内は、サイド操作パネル22に穿設されて副変速レバー33の中途部が挿通されるガイド孔22aによって行われる。
副変速レバー33の基端側には、副変速レバー33のニュートラル位置Nにおける通常位置N1から再生位置N2への左右方向の揺動操作を検出する手動再生スイッチ(手動再生操作検出手段)36(図5参照)が設けられており、この手動再生スイッチ36によって、副変速レバー33のニュートラル位置Nにおける通常位置N1から再生位置N2への左右方向の揺動操作(手動再生操作)を検出した時に、後述する所定条件を満たしていることを条件として、マイコン19が上述の手動再生制御を実行する。
パワークラッチスイッチ34は、図2に示す通り、左右両端部をそれぞれ各別に押し操作可能なモーメンタリスイッチであって、パワークラッチスイッチ34の左右一方側端部を押す操作が、駆動信号がマイコン19側に入力される駆動側操作になり、パワークラッチスイッチ34の左右他方側端部を押す操作が、停止信号がマイコン19側に入力される停止側操作になる。ちなみに、駆動側操作と停止側操作に基づいて、刈取クラッチと脱穀クラッチがどのように断続制御されるかについては、後述する。
上記フロアステップ24は、座席12、フロント操作パネル21、サイド操作パネル22及びリヤ操作パネル23の何れよりも低い位置に形成されている。本コンバインには、機体を停止させることにより、その場で機体を駐車させる駐車ブレーキ(図示しない)が設けられているが、上述のフロアステップ24の左部には、この駐車ブレーキの駐車・解除操作(入切操作)を行う駐車ブレーキ操作具となる駐車ブレーキペダル37が設置されている。
具体的には、駐車ブレーキペダル37は、前方に向かって水平方向を向いて駐車ブレーキを駐車作動させる駐車操作姿勢と、前方に向かって上方傾斜して駐車ブレーキを解除作動させる解除操作姿勢とに姿勢切換可能なように上下揺動可能に支持されており、オペレータの下方側への踏込み操作毎に、駐車ブレーキペダル37の駐車操作姿勢と解除操作姿勢とが切換るように構成され、この姿勢切換によって機体の駐車状態と非駐車状態とが切換えられる。
図4は、本コンバインの制御ブロック図である。マイコン19は、上述したようにエンジン制御マイコン18が双方向通信可能に接続される。また、マイコン19の入力側には、上述した手動再生スイッチ36、パワークラッチスイッチ34の他、主変速レバー32の操作位置を検出する主変速レバーポテンショ38と、駐車ブレーキの駐車操作姿勢を検出する駐車ブレーキスイッチ(駐車操作検出手段)39と、グレンタンク4内の穀粒の量を検出する穀粒検出センサ(穀粒量検出手段)41と、上記捕捉フィルタ14の上流側(導入菅16内)と下流側(排気菅17内)の圧力差を検出する圧力センサ(詰り検出手段)42とがそれぞれ接続されている。
主変速レバーポテンショ38は、主変速レバー32の揺動操作位置を検出することによって、走行HSTの変速状態も検知できるため、コンバイン(走行機体6)が走行中であるか否かを検出する走行検出手段としても機能するとともに、コンバインの走行速度(車速)を検出する車速検出手段としても機能させることが可能である。
圧力センサ42は、捕捉フィルタ14の上流側と下流側とにそれぞれ設置され、その圧力差を検知することによって、捕捉フィルタ14の詰り具合(付着物の蓄積量)を検出する。すなわち、この圧力センサ42は、捕捉フィルタ14の詰りを検出する詰り検出手段(検出手段)になる。
一方、マイコン19の出力側には、搬送HSTを無段階変速作動させる搬送HST制御モータ43と、刈取クラッチ及び脱穀クラッチをそれぞれ各別に断続させる断続手段である脱穀・刈取クラッチモータ44と、グレンタンク4内の穀粒量を報知する穀粒量報知ランプ(穀粒量報知手段)46とがそれぞれ接続されている。
搬送HST制御モータ44は、搬送HSTの斜板の傾きを変更させる操作軸であるトラニオン軸を回転駆動するように構成され、搬送HST制御モータ44の駆動によって斜板の傾きが変更されることにより、該搬送HSTが無段階で変速作動する。
マイコン19は、搬送HSTを介して制御される脱穀フィードチェーン及び前処理部7の駆動速度を、主変速レバーポテンショ38によって検出される車速に連動させる車速連動制御を行うように構成されている。具体的には、コンバインの走行停止時には搬送HSTをニュートラルにして脱穀フィードチェーン及び前処理部7の駆動を停止させる一方で、コンバインの前進走行時の増速に伴って脱穀フィードチェーン及び前処理部7の駆動速度を比例的に増加させ、前進走行時の減速に伴って脱穀フィードチェーン及び前処理部7の駆動速度を比例的に減少させる。
また、マイコン19は、刈取クラッチと脱穀クラッチが共に切断状態となる切断モードと、刈取クラッチが切断状態となる一方で脱穀クラッチが接続状態となる手扱ぎモードと、刈取クラッチと脱穀クラッチが共に接続状態となる接続モードとを有しており、これらのモードがパワークラッチスイッチ34の駆動側操作及び停止側操作によって切換えられる。
具体的には、マイコン19は、切断モード時に駆動側操作を検出した場合に手扱ぎモードに移行し、手扱ぎモード時に駆動側操作を検出した場合に接続モードに移行し、手扱ぎモード時に停止側操作を検出した場合に切断モードに移行し、接続モード時に停止側操作を検出した場合に手扱ぎモードに移行するように構成されている。ちなみに、接続モード時には、原則として、上述した車速連動制御が行われるようにマイコン19を構成している。
また、マイコン19は、穀粒検出センサ41によって検出されるグレンタンク4内の穀粒量を、穀粒量報知ランプ46によって、報知する。具体的には、穀粒量報知ランプ46が、グレンタンク4等の近くや、その他の操縦部3又は車体の周囲から視認可能な場所に設置され、上下方向の複数並べられたランプの点灯した個数によって、グレンタンク4内の穀粒量を報知する。
さらに具体的には、ランプが3つ設けられ、グレンタンク4内に穀粒が無い、或いは略無い状態では、穀粒量報知ランプ46を構成する上下方向に並べられたランプが全て消灯し、グレンタンク4内が穀粒で満杯、或いは略満杯の状態では、穀粒量報知ランプ46を構成する上下方向に並べられたランプが全て点灯し、その他は、グレンタンク4内に収容された穀粒量が多いほど、下から順にランプが点灯し、そのランプの点灯数で、グレンタンク4内の穀粒量を報知する。
また、マイコン19は、この穀粒量報知ランプ46を、捕捉フィルタ14の詰り具合(付着物の蓄積量)を報知する報知手段としても用いる。具体的には、圧力センサ42により検知される上記圧力差によって、捕捉フィルタ14への付着物の蓄積量を判断し、この蓄積量を、穀粒量報知ランプ46によって報知する。
該付着物の蓄積量の報知について、さらに詳しく説明すると、蓄積量をレベル0〜6までの7段階に分類し、蓄積量が0又は略0の状態であるレベル0では、穀粒量報知ランプ46を構成する複数(本例では3つ)のランプ全てを消灯させ、蓄積量がレベル0から若干増加したレベル1では、穀粒量報知ランプ46を構成する3つのランプの内、一番下のランプのみを点灯させ、蓄積量がレベル1から若干増加したレベル2では、穀粒量報知ランプ46を構成する3つのランプの内、一番下のランプ及び中途のランプのみを点灯させ、蓄積量がレベル2から若干増加したレベル3では、穀粒量報知ランプ46の構成する3つのランプ全てを点灯させ、蓄積量がレベル3から若干増加したレベル4では、穀粒量報知ランプ46を構成する3つのランプの内、一番下のランプを点滅させ且つ残りのランプを点灯させ、蓄積量がレベル4から若干増加したレベル5では、穀粒量報知ランプ46を構成する3つのランプの内、一番下のランプ及び中途のランプを点滅させ且つ一番上のランプを点灯させ、蓄積量がレベル5から若干増加して最大の蓄積量になったレベル6では、穀粒量報知ランプ46を構成する3つのランプ全てを点滅させる。
このように、穀粒量を報知する部材を、付着物の蓄積量の報知にも利用できるため、多機能を保持しつつ、部品点数を減らして、構成を簡略化させることが可能になる。また、このような報知によって、直感的に蓄積量を把握することも容易になる。
さらに、マイコン19は、手動再生スイッチ36によって、手動再生操作を検出した際、予め定めた所定条件を満たしている場合には、手動再生制御の実行を開始する。この予め定めた所定条件とは、本例では、駐車状態であることが駐車ブレーキスイッチ39によって検出されたことを第1条件とし、主変速レバー32がニュートラル位置に揺動操作されている状態であることが主変速レバーポテンショ38によって検出されたことを第2条件とし、エンジン制御マイコン29から取得されるアクセル操作の開度が0%であることが確認されたことを第3条件とし、脱穀クラッチの切断状態(切断モード)が確認されたことを第4条件とした場合に、その第1〜4条件の全てが満たされた場合を意味している。
この手動再生制御が開始されると、エンジン11からの排気される排気ガスが高温になるように、エンジン制御マイコン29を介して、該エンジン11の作動が制御され、この制御が予め定めた所定時間実行される。手動再生制御の実行中は、パワークラッチスイッチ34を介した、接続モードへの移行や、手扱ぎモードへの移行が規制(禁止)される。
言換えると、脱穀クラッチが切断状態であることが、手動再生制御を実行するための1つの条件になるように上記マイコン19が構成され、さらに、脱穀クラッチが接続状態である場合に、手動再生操作が行われたことが検出された場合には、脱穀クラッチが切断状態になるのを待って、上記手動再生制御の実行が開始されるように該マイコン19が構成される。
一方、マイコン19は、手動再生操作に起因した手動再生制御の他、上述した自動再生制御も行う。
図5は、自動再生制御の実行開始のための処理手順を示すフロー図である。マイコン19は、自動再生制御の実行開始のための処理が開始されると、ステップS1に進む。ステップS1では、捕捉フィルタ14に付着した付着物の量(詰り具合)を、圧力センサ42によって検出し、付着物を除去する再生制御が必要であるか否かを判断し、再生制御が必要であると判断した場合には、ステップS2に進む。
ステップS2では、主変速レバーポテンショ38によって、走行機体6が走行中であるか否かを確認し、走行中であることが確認された場合には、ステップS3に進む。ステップS3では、刈取クラッチが接続状態であるか否か(接続モードである否か)を確認し、刈取クラッチの接続状態が確認された場合には、ステップS4に進む。ステップS4では、自動再生制御の実行を開始し、ステップS5に進む。
この自動再生制御の実行開始によって、捕捉フィルタ14に付着した付着物に対して、高温の排気ガスによる除去作業が開始される。
ステップS5では、第1タイマーのセットして、予め定めた所定時間である自動再生制御実行時間のカウントを開始し、この自動再生制御の実行開始のための処理を終了させ、自動再生制御の実行終了のための処理に移行する。
ちなみに、この自動再生制御の実行開始のための処理を行っている最中は、自動再生制御の実行終了のための処理は行われない一方で、この自動再生制御の実行終了のための処理を行っている最中は、自動再生制御の実行開始のための処理は行われないようにマイコン19が構成され、この2つの処理は排他的に実行される。
また、ステップS1において、捕捉フィルタ14に蓄積した付着物が少量で詰りが生じていない場合には、ステップS1の処理を再度行う。
また、ステップS2において、本コンバイン(走行機体1)が走行停止していることが確認された場合にも、ステップS1に処理を戻す。
さらに、ステップS3において、刈取クラッチが切断されて前処理部7の各部が駆動されていない状態が確認された場合にも、ステップS1に処理を戻す。
すなわち、自動再生制御の実行を開始するには、走行中であることに加えて、刈取クラッチが接続状態であることが必要であり、この2つの条件の満たしている状態で、捕捉フィルタ14の詰りが検出された場合には、ステップS1→ステップS2→ステップS4と処理が進み、自動再生制御の実行が開始される。
一方、走行停止している場合や、刈取クラッチが切断状態である場合には、捕捉フィルタ14の詰りが発生している状態でも、自動再生制御の実行は規制(さらに具体的には禁止)される。
図6は、自動再生制御の実行終了のための処理手順を示すフロー図である。マイコン19は、自動再生制御の実行終了のための処理が開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、第1タイマーによる自動再生制御実行時間のカウントが終了しているか否かを確認し、終了していなければ、ステップS12に進む。
ステップS12では、捕捉フィルタ14に付着した付着物の量(詰り具合)を、圧力センサ42によって検出し、この自動再生制御を続行すべきか否かの判断を行い、続行すべきであると判断した場合には、ステップS13に進む。ステップS13では、コンバイン(走行機体6)が走行中であるか否かを、主変速レバーポテンショ38によって確認し、走行中であれば、そのまま自動再生制御の実行を続けてもよい状態であるため、ステップS14に進む。
ステップS14では、走行機体6の走行停止が検出されたことを示すフラグを、OFFにセットし、該走行停止が検出されなかったことを、該フラグに記憶して、ステップS11に処理を戻す。
ステップS11において、第1タイマーによる自動再生制御実行時間のカウントが終了していることが確認された場合には、ステップS15に進む。ステップS15では、この自動再生制御の実行を終了させ、自動再生制御の実行開始のための処理(図5参照)に移行する。
すなわち、自動再生制御は、付着物が十分除去され、高温の排気ガスを排気するのに支障がない時間に設定された上記自動再生制御実行時間の間、実行が継続される。ちなみに、自動再生制御の実行が終了(停止)すると、高温の排気ガスの排出が停止される。
ステップS12において、捕捉フィルタ14の詰りが解消されていることが、圧力センサ42によって検出された場合(自動再生制御を続行すべきでないと判断した場合)には、ステップS15に進む。すなわち、自動再生制御実行時間の経過前に、捕捉フィルタ14の詰りが解消された場合にも、自動再生制御の実行が終了される。
ステップS13において、コンバイン(走行機体6)の走行停止が検出された場合には、ステップS16に進む。ステップS16では、走行停止している状態が、このループの前のループで検出されたか否かを上記フラグによって確認し、フラグがOFFの場合(走行停止がまだ検出されていなかった場合)には、ステップS17に進む。
ステップS17では、上記フラグをONにセットして、該走行停止が検出されたことを、該フラグに記憶して、ステップS18に進む。ステップS18では、第2タイマーのセットして、予め定めた所定時間である待ち時間(遅延時間)のカウントを開始し、ステップS19に進む。ちなみに、待ち時間は、上述した自動再生制御実行時間よりも大幅に短い時間に設定される。
ステップS19では、第2タイマーが上記待ち時間のカウントを終了しているか否かを確認し、終了していなければ、ステップS11に処理を戻す一方で、終了していれば、ステップS15に処理を進める。また、ステップS16で、フラグがON状態であって、その時間のループよりも前のループにおいて、フラグをONされていたことが確認された場合には、ステップS19に進む。
すなわち、走行停止が確認されても直ちに自動再生制御の実行を終了させることはなく、上記待ち時間以上継続して走行停止している状態が確認された場合には、ステップS19→ステップS15と処理を進み、自動再生制御の実行が終了される。
具体的には、走行停止が確認された時点で、まずは、ステップS13→ステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS19→・・・と処理が進み、走行停止の状態が継続して上記待ち時間以上検出された場合には、ステップS13→ステップS16→ステップS19→ステップS15と処理が進み、自動再生制御の実行が終了される。
一方、上記待ち時間の経過前に、走行状態が確認された場合には、ステップS13→ステップS14と処理が進み、フラグがOFFに設置され、初期化され、再度、次回以降のループ処理において、ステップS13で、走行中であるか否かが確認される。
以上のように構成される本コンバインによれば、適切なタイミングで、適切な負荷で、自動再生制御が自動的に(自動で)実行されるため、捕捉フィルタ14に付着した付着物が、効率的に除去される。また、走行停止している状態で、同一箇所に、高温の排気ガスが排気されることに起因した着火も確実に防止可能になる。このため、コンバインの格納庫等での、意図しない自動再生制御の実行も規制され、着火の危険性はさらに低くなる。さらに、走行機体6の前後進切換や方向転換時等、走行と走行停止を繰返すような場合において、自動再生制御の実行・実行停止が頻繁に繰返されることが防止され、付着物の捕捉フィルタ14からの効率的な除去作業が可能になる。