JP7033550B2 - 熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体用金型及びその利用 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体用金型及びその利用 Download PDF

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Description

本発明は、インサート材を固定するための保持部を有する熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体用金型に関する。
従来、車両用シートは、ポリウレタンフォームからなるシート本体に、形状を安定化させるための金属等からなるインサート材を埋設し一体成形して生産されるのが一般的であった。近年では、車両の軽量化、コスト削減などの視点から、ポリウレタンフォームとインサート材の一部を熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体に置き換えた構成、言い換えると車両用シート芯材として熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体を用いた構成が提案されている。これは、型内発泡成形体が、ポリウレタンフォームや金属よりも軽量であり、且つ適度な剛性を有するためである。
熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体を車両用シートの一部として用いる場合においても、型内発泡成形体の内部に形状を安定させるためのインサート材を埋設し一体成形する必要がある。型内発泡成形体とインサート材とを一体成形する熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体用金型においては、磁性体からなるインサート材を固定するための保持部が配置され、保持部の全部もしくは一部に磁石が用いられる。
特許文献1には、オレフィン系樹脂発泡粒子の型内発泡成形体と金属ワイヤーからなるインサート材との水蒸気加熱による発泡一体成形技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、一体成形用の金型に配置したインサート材の保持部にインサート材を収容する凹部を設け、凹部の底面に磁石を設置することで、ワイヤーを吸着、保持している。
特許文献2には、ポリウレタンフォームと金属ワイヤーからなるインサート材との一体成形する技術が開示されている。特許文献2に開示された技術では、一体成形用の金型に設置した磁石に直接的に金属ワイヤーを固定し、ウレタン原液を注入し、金型内で化学的に反応させてポリウレタンフォームの内部に金属ワイヤーを埋設している。
特許文献3には、棒状フレームを保持するための固定部を突設し、該固定部上に棒状フレームを保持した状態で、閉合した型内部に発泡樹脂原料を注入して発泡成形する発泡成形品の成形型が開示されている。特許文献3に開示された技術では、該固定部が、棒状フレームをマグネットの磁気吸着力のみによって先端面に保持するように構成されている。
特許文献4には、マグネットが埋設された磁気健康用品及びその製造方法及びその製造方法に使用する金型が開示されている。特許文献4に開示された技術では、金型には、金型本体から突出する磁気突起部が配設されており、該磁気突起部の上端に前記マグネットが保持されている。
特開2015-136851号公報 特開2006-020735号公報 特開2000-6169号公報 特開2005-143913号公報
金属からなるインサート材を埋設した熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体の製造工程においては、型内発泡成形体用金型に配置された磁石によりインサート材を吸着、保持した後、金型内に型内発泡成形体の原料となる熱可塑性樹脂発泡粒子を充填し、加熱媒体としての水蒸気を供給することにより、発泡粒子を発泡、互いに融着させ、所定の型内発泡成形体を成形する。
しかし、型内発泡成形体の成形では磁石を腐食する水蒸気を使用しているため、たとえ磁石表面に腐食防止用コーティングを施していても、繰り返しの成形により、直ぐに磁石が腐食してしまう課題があることが本発明者らの検討により分かった。さらに、成形毎に磁石表面とインサート材とが直接接触することで、磁石表面の腐食防止用コーティングが剥離し、磁石の腐食が促進されることが分かった。磁石の腐食は磁力低下を招き、成形中にインサート材が脱落することによる金型破損、インサート材の位置ずれによる不良品の発生、最悪の場合には、磁石が破損し磁石片が製品に混入することで重大なクレーム問題に繋がる危険性がある。
さらに、磁石のなかでもネオジム磁石は腐食すると磁力低下に加え、磁石の体積が膨張する問題があることが分かった。ネオジム磁石を金型に埋設し設置した状態もしくはワイヤー保持部に内包した状態でネオジム磁石が腐食した際、ネオジム磁石と該設置空間もしくは該内包空間とネオジム磁石との間に隙間がない場合には、これら空間からのネオジム磁石の取り外し、交換が困難となることが分かった。
また、磁石表面に腐食防止用コーティングを施していない磁石については、水蒸気によりより腐食しすく、さらにコーティングを施した磁石と比較し強度が低いためインサート材の接触により容易に磁石が破損してしまう虞があった。
特許文献1及び2により開示された発明は、熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体特有の課題である水蒸気による磁石の腐食に関して一切記載がない。
本発明の一態様は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁石と水蒸気との直接接触による磁石の腐食、さらに磁石とインサート材の直接接触による磁石の破損や磁石表面の腐食防止用コーティング剥離から進行する磁石の腐食を極力抑制することが可能な熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体用の金型を実現することにある。また水蒸気により腐食した磁石を容易に交換できる金型を提供する。
上記の課題を解決するために、本発明の型内発泡成形体用金型は、熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材を一体成形するための加熱媒体として水蒸気を使用した型内発泡成形体用金型であって、凹型、凸型の少なくともいずれか一方の金型の成形空間内の面にインサート材を固定するための保持部を少なくとも1つ形成しており、少なくとも1つの保持部は磁石と、前記磁石に脱着可能な保護部材からなり、保護部材の少なくとも一部が成形空間側(熱可塑性樹脂発泡粒子が充填される空間側)に位置しインサート材と接する構成であって、インサート材と磁石が接しないことを特徴とする。
上記の課題を解決するために、本発明の型内発泡成形体用金型は、熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とを一体成形するための加熱媒体として水蒸気を使用した型内発泡成形体用金型であって、凹型、凸型の少なくともいずれか一方の金型の成形空間内の面にインサート材を固定するための保持部を少なくとも1つ形成しており、少なくとも1つの保持部は磁石と、保護部材とからなり、前記少なくとも1つの保持部は前記金型から脱着可能であり、保護部材の少なくとも一部が成形空間側に位置しインサート材と接する構成であって、インサート材と磁石が接しないことを特徴とする。
本発明によれば、磁石と水蒸気との接触を避け、磁石の腐食や破損を抑制することができるという効果を奏する。また、磁石または保護部材の腐食や破損等により不具合が生じた際、これらの金型への脱着(取り付けと金型からの取り外し、交換)を容易にできるという効果も合わせて奏する。
本発明に係る車両用シート芯材を座面側から見た平面図である。 図1の車両用シート芯材のW-W断面図である。 本発明の実施形態1に係る型内発泡成形用金型の構成例を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る保持部の構成例を示す斜視図である。 従来の保持部の構成を示す斜視図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施形態1に係る別の保持部の構成例を示す断面図である。 (a)~(h)は、本発明の実施形態1に係るインサート材の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る保持部の構成例を示す斜視図である。 図8の保持部のX-X断面図である。 本発明の実施形態3に係る保持部の構成例を示す斜視図である。 図10の保持部のY-Y断面図である。 本発明の実施形態4に係る保持部の構成例を示す斜視図である。 図12の保持部のZ-Z断面図である。 (a)は、本発明の実施形態4に係る別の保持部の構成例を示す斜視図である。(b)は、本発明の実施形態4に係る別の保持部の構成例を示す断面図である。 (a)~(e)は、本発明の実施形態5に係る保持部の構成例を示す断面図である。 (a)~(c)は、保持部の凸型への設置方法の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態6に係る保持部の構成例を示す断面図である。 実施例4の保持部の構成を示す断面図である。 (a)は、腐食の発生していないネオジム磁石の一例を示す外観図である。(b)は、腐食の発生したネオジム磁石の一例を示す外観図である。
本発明の実施形態について、以下に説明する。
〔車両用シート芯材の構成〕
図1は、本発明に係る車両用シート芯材を座面側から見た平面図である。ここで、座面側とは、搭乗者が座る側を意味する。
図1に示すように、車両用シート芯材1は、インサート材3が埋設し一体成形された熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体、例として、オレフィン系樹脂の発泡粒子の型内発泡成形体2からなる。車両用シート芯材1の座面側にポリウレタンフォーム(不図示)を一体成形(もしくは積層)し、これらをシートカバーで覆うことで、車両用シートが形成される。更に、車両用シート芯材1の車両への取り付け側(座面とは反対側)には掛け止め具(主にインサート材からなるフック形状、不図示)が設けられており、掛け止め具を車両側の止め部に連結することで、車両用シートが車両に固定可能となる。
本実施形態における熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びスチレン改質ポリオレフィン系樹脂(オレフィン改質ポリスチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂発泡粒子としてこの中でも、ポリオレフィン系樹脂、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂などのオレフィン系樹脂、もっとも好ましくはポリオレフィン系樹脂を用いることが、緩衝性、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率、リサイクルが容易となる点から好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂等が挙げられ、より具体的には、エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/4-メチル-1-ペンテン共重合体等が挙げられる。なお、上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
熱可塑性樹脂発泡粒子の製造方法に特に制限は無く、従来公知の製造方法を挙げることができる。一例としては、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子であれば、国際公開特許公報WO2009/075208や特開2006-117842号公報等に開示されている製造方法が挙げられ、ポリスチレン系樹脂発泡粒子であれば、特開2003-201360号公報や特開2014-118474号公報や国際公開特許公報WO2015/137363等に開示されている製造方法が挙げられ(該特許文献中には、「予備発泡粒子」として記載されている)、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂発泡粒子であれば、特開2008-239794号公報や国際公開特許公報WO2016/152243等に開示されている製造方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このようにして得られる熱可塑性樹脂発泡粒子としては、適宜、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を従来公知の方法により含有あるいは被覆させることができ、発泡粒子の粒径としては、特に限定されず、例えば、1mm~10mmであればよいが、金型充填性の観点からは、1mm~5mmが好ましく、1mm~3mmがより好ましい。
熱可塑性樹脂発泡粒子の発泡倍率としては、特に限定されず、例えば、3倍~90倍であってもよいが、機械的強度や成形性の観点からは、5倍~60倍が好ましく、5倍~45倍がより好ましい。
このような熱可塑性樹脂発泡粒子は、例えば、(株)カネカ製エペラン-PP、エペラン-XL等として市販されており、容易に入手可能である。
インサート材3は、少なくとも一部が磁性体からなり、型内発泡成形時の水蒸気加熱により、概略形状が変化しないものであれば、種々の材質のものを用いることができる。なかでも、インサート材3は、材質が磁性体金属製のワイヤーであることが好ましい。特に、加工性、入手性の観点から、鉄製のワイヤーであることがより好ましい。鉄製のワイヤーは腐食し易い為、表面を防錆コーティングすることが好ましい。インサート材3は、磁石ではないことが好ましい。
車両用シート芯材1は、型内発泡成形体用金型を用いて、上記インサート材と上記オレフィン系樹脂の発泡粒子とを一体成形することにより、成形される。詳細について、以下に説明する。
上記型内発泡成形体用金型は、凹型と凸型とからなり、凹型と凸型とを型閉じすることで、凹型と凸型との間に成形空間が形成される。該空間は型内発泡成形体の形状に対応している。該空間内の凹型、凸型のいずれか一方の金型の面、もしくは両金型の面にインサート材を固定する保持部が備えられている。型が開いた状態で保持部にインサート材を固定した後、型を閉じ、該空間にポリオレフィン系樹脂の発泡粒子を充填する。なお、この発泡粒子は予め内部に無機ガス等を圧入し内圧を高めてもよいし、内圧が付与されていない大気圧の発泡粒子を用いてもよい。上記空間にオレフィン系樹脂の発泡粒子を充填した後、加熱媒体として、該空間に過熱水蒸気を供給し、オレフィン系樹脂の発泡粒子を加熱発泡、融着させる。なお、加熱媒体としての過熱水蒸気の圧力は、熱可塑性樹脂発泡粒子種により異なるが、汎用的には0.04~0.40MPa(G)程度である。このような工程を経てインサート材3が埋設された型内発泡成形体2、つまり車両用シート芯材1が成形される。
〔実施形態1〕
図3は、本発明の実施形態1に係る型内発泡成形用金型の構成を示す断面図である。図4は、本発明の実施形態1に係る保持部5の構成を示す斜視図であり、保持部5上にインサート材として鉄製ワイヤー3を設置させた例を示す構造図である。図5は従来例である。
図3に示すように、本実施形態に係る型内発泡成形体用金型は、凸型9と凹型22とからなり、凹型22と凸型9とを型閉じすることで、凹型22と凸型9との間に成形空間23が形成される。なお、本明細書中において、「上側」とは、磁石7もしくは保護部材6から見てワイヤー3の位置する方向側(凹型22と凸型9の型閉じ方向における成形空間23側)を意図する。「下側」とは、上側とは反対側(凹型22と凸型9の型閉じ方向における成形空間23側とは反対側)を意図する。また、「側方」、「側面」とは、上述のように、「上側」及び「下側」を規定した場合の、上下方向に対する側方を意図する。また、上面とは、磁石7もしくは保護部材6から見てワイヤー3の位置する方向の面であり、下面とは、上面と反対側の面を意図する。
図3及び図4に示すように、型内発泡成形体用金型における成形空間23内の凸型9の突出部8上に保持部5を設けており、保持部5は、磁石7と、磁石7の上面に保護部材6とを配置した構成である。磁石7はワイヤー3とは直接接しておらず、保護部材6を介して接しており、ワイヤー3は磁石7の磁力により吸着され、保護部材6上に固定されている。この構成によれば、保護部材6を配置することで、図5に示す従来の型内発泡成形体用金型にて使用される磁石7のみからなる保持部10とは異なり、磁石7と水蒸気との接触面を側面だけにすることができ、磁石7の上面の腐食を抑制できる。また、磁石7とワイヤー3との接触を防止でき、磁石表面に腐食防止用コーティングが施された磁石については、コーティングの剥離を防止でき、磁石の腐食を抑制できる。磁石表面に腐食防止用コーティングが施されていない磁石については、磁石の腐食抑制効果は少ないものの、ワイヤー3との直接接触による磁石の破損を防止できる。
保持部5は、型内発泡成形体用金型において少なくとも1つ以上設けられている。保持部5を設置した型内発泡成形体用金型を用いた成形により型内発泡成形体2に保持部5形状が転写された図1及び図2に示すような有底孔4が形成される。保持部5の直径や形状は特に制限されないが、保持部と対応した有底孔4が形成されるため、有底孔4が車両用シート芯材1の機能上必要なければ、保持部5をできる限り小さくすることが好ましい。一方、小さすぎるとワイヤー3を十分に吸着できない虞もあり、例えば、保持部5の直径は、実用的には、1.0mm以上100.0mm以下が好ましく、5.0mm以上30.0mm以下がより好ましく、10.0mm以上25.0mm以下が更に好ましい。保持部5の形状が直径で表せない場合は保持部5の周部の2点を直線で結んだ場合に最大値を取る部分を直径と見なす。保持部5の形状は、特に制限されないが、金型製作性の観点より、円柱もしくは角柱が好ましい。
磁石7の厚みや形状は特に制限されないが、厚みが大きいほど磁石7の磁力が強くなりワイヤー3を過剰に吸着する虞があり、厚みが小さいほど磁力が弱くなりワイヤー3を十分に吸着できない虞がある。それゆえに、例えば、磁石7の厚みは、2.0mm以上40.0mm以下が好ましく、3.0mm以上20.0mm以下がより好ましく、4.0mm以上10.0mm以下が更に好ましい。ただし、磁石7の厚みが大きく磁力が過剰である場合は、保護部材6の厚みにより、磁石7がワイヤー3を保持する吸着力を調整できるため、この限りではない。磁石7の外周形状は、円形もしくは角形が好ましい。これは、これらの形状が一般的に磁石メーカーにて取り扱っている規格であり、入手し易いためである。また、磁石種として、種々の磁石を使用できるが、型内発泡成形体用金型に供給する過熱水蒸気の温度以上の耐熱温度を持つ磁石が好ましい。耐熱温度について以下に説明する。
一般的に磁石は温度が高くなると磁力が低下する。例えば、耐熱温度120℃の磁石においては、この磁石を120℃以下で加熱し常温に戻した場合、加熱時に低下した磁力は常温測定時の磁力に戻るが、この磁石を120℃超で加熱し常温に戻した場合、加熱時に低下した磁力は常温測定時の磁力に戻らない。このように加熱した磁石を常温に戻した際、常温測定時の磁力に戻る温度を本実施形態での耐熱温度とする。型内発泡成形体用金型に供給する過熱水蒸気の温度以上の耐熱温度を持つ磁石として、耐熱ネオジム磁石またはサマリウムコバルト磁石等が挙げられる。さらに、取扱性の観点から、耐熱ネオジム磁石がより好ましい。これは耐熱ネオジム磁石が欠け難いためである。なお、磁石7の直径は、前記保持部5の直径と同様であることが好ましい。
磁石7の磁束密度は、80mT以上700mT以下であることが好ましい。磁石7の磁束密度の上限は、より好ましくは670mTであり、さらに好ましくは500mTである。当該範囲の磁束密度を有する磁石7であれば、ワイヤー3を吸着して、保持部5上に保持することができる。また、磁石7の磁束密度は、例えば、ガウスメーター((株)FUSO製、MG-3003SD)の磁力測定部を保持部5上面のワイヤー3当接位置に当てることにより測定可能である。
磁石7の表面には、腐食防止用等のコーティングがされていても良い。磁石7へのコーティング処理、コーティング材質ともに特に制限されないが、コーティング処理としては、電気メッキ、塗装、溶射、蒸着、パリレンコート等が挙げられ、コーティング材質としては、ニッケル、亜鉛、錫、クロム、金、銀、銅、ロジウム、エポキシ、ポリイミド等が挙げられる。
保護部材6の材質は、特に制限されないが非磁性体であることが好ましい。例えば、真鍮、ステンレス、アルミ、銅、合成樹脂、カーボン等の非磁性体材料を使用することが可能である。合成樹脂としては、例えば、4-フッ化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。この構成によれば、保護部材6は磁石7に吸着しないため、保護部材6の取り付け・交換の際に、磁石7と保護部材6の脱着が容易となる。なお、磁石7へのコーティング処理後の磁石7の表面、及びコーティング材質は保護部材6とはならない。
特に、保護部材6の材質は、非磁性体の金属であることが好ましい。この構成によれば保護部材6部分は全く水蒸気を通さず、さらに保護部材6が十分な強度を持つため、磁石の腐食をかなり低減し、且つ保持部材6自体も水蒸気に対して耐久性があるため、保護部材6、磁石7ともに長期間使用できる。非磁性体金属として、真鍮、ステンレス、アルミ、銅などが挙げられる。これらの金属は、水蒸気に対する腐食体性が高く、本発明において良好に使用できる。
保護部材6と磁石7との間に隙間(A)がない場合、保護部材6の材質は、4-フッ化エチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、またはカーボンであることが好ましい。この構成によれば、耐水蒸気性と耐熱性とを兼ね備えた材質であるため、磁石7の腐食を抑制することができる。さらに、保護部材6の柔軟性が金属よりも高いため、磁石7が腐食し体積膨張が発生した場合において、磁石7の膨張に合わせて保護部材6が変形でき、保護部材6からの磁石7の取り出しがより容易となる。
本実施形態における保護部材6は、平板形状であり、磁石7の上面のみに積層された構成である。保護部材6の厚みや形状は特に制限されないが、厚みが大きいほど磁石7の磁力を遮断しワイヤーを保持する吸着力が低下する虞があり、厚みが小さいほど保護部材6の強度が低下し保護部材6が破損する虞があるため、例えば、保護部材6の厚みは、1.0mm以上10.0mm以下が好ましく、1.0mm以上5.0mm以下がより好ましい。保護部材6の外周形状として、図4に示す円形以外にも、例えば、楕円、多角形(矩形、菱形、三角形、星形、L字、十字等)形状を用いてもよいが、円形もしくは角形が好ましい。
保護部材6は、磁石7に脱着可能であってもよいが、磁石7と一体形成されていることが好ましい。また、保護部材6が磁石7に脱着可能な場合、及び保護部材6が磁石7と一体形成されている場合の何れの場合であっても、保持部5ごと突出部8から脱着可能であることが好ましい。この構成によれば、保護部材6が磁石7に脱着可能な場合、保持部5ごと突出部8から取り外した上で、保護部材6から磁石7を取り外すことができるため、磁石7を別の磁石7により容易に交換することができる。また、保護部材6が磁石7と一体形成されている場合、保持部5を別の保護部に容易に交換することができる。なお、ここでいう一体形成とは、保護部材6が磁石7と1つの部材となって、磁石7から分離できないように形成された状態を意図する。
保護部材6を凸型突出部8に配置する場合、保護部材6の直径は、前記磁石7と同様に保持部5の直径と同様とすることが好ましいが、ワイヤー3が磁石7に接触しない限り、保護部材6の直径を前記磁石7の直径より小さくしても磁石7の腐食抑制効果が期待できる。また保護部材6の直径を磁石7よりも大きくする場合は、アンダーカット構造となって成形体が取り出しにくくなる場合があるが、取り出せる範囲で適宜調整すればよい。また、図6の(a)もしくは(b)に示すように、凸型9の凹部11もしくは突出部8の凹部11に保持部5を埋設する場合においては、凹部11の直径と保護部材6との直径を同様にする必要がある。これは、凹部11と保護部材6との間に隙間が発生した場合、成形工程にて発泡粒子が隙間に入り込み、得られる型内発泡成形体2の当該箇所にバリが発生するためである。
また、磁石7に膨張性がある場合には、磁石7と凹部11の間には隙間(A)があることが好ましい。隙間(A)を設ける事で、磁石7が腐食し体積膨張が発生した場合においても、磁石7を凹部11より容易に取り出すことができ、別磁石への交換が容易である。
なお、本実施形態に係る型内発泡成形用金型は、上述したインサート材3を備えた構成であってもよい。この場合、インサート材3の断面形状は、例えば図4に示した円形状であってもよいが、底辺が保護部材6と接触している三角形(図7(a))または四角形(図7(b))、保護部材6との接触面の反対側部分が弧である半円形(図7(c))であることが好ましい。この構成によれば、インサート材3の強度を維持しつつ、保持部5との接触面積が十分確保できるため、磁石7へ確実に吸着させることができる。
また、インサート材3の内部が中空構造であること、またはインサート材3の一部が肉抜きされていることが好ましい。例えば、図7(d)~(g)に示すように、インサート材3の断面形状が円形状、底辺が保護部材6と接触している三角形または四角形、あるいは保護部材6との接触面の反対側部分が弧である半円形であり、インサート材の内部が中空構造であってもよい。また、図7(h)に示すように、保護部材6との接触面の反対側の部分が肉抜きされている凹型であってもよい。この構成によれば、磁石7への吸着力は変わらずに、インサート材3の強度を維持しつつ、軽量化が可能となる。
インサート材3の直径は、2mm~20mmであることが好ましく、3mm~13mmであることがより好ましく、3mm~5mmであることがさらに好ましい。インサート材3の形状が直径で表せない場合はインサート材3の周部の2点を直線で結んだ場合に最大値を取る部分を直径と見なす。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図8は、本発明の実施形態2に係る保持部12の構成例を示す斜視図であり、保持部12上にワイヤー3を設置させた例を示す構造図である。
図8に示すように、型内発泡成形体用金型における成形空間内の凸型9の突出部8上に保持部12を設けており、保持部12は、保護部材13が磁石14を内包した構成であり、保護部材13はワイヤーを設置する上面13aと側面13bとからなるキャップ形状(図9)である。ここでいう「キャップ形状」とは、磁石14の下面を覆わず、磁石14の上面及び側面の両方を覆うような形状をいう。図9に示すように、磁石14の下面は、突出部8と直接接しており、保護部材13によって覆われていない。また、保護部材13は、上面13a及び側面13bによって、磁石14の上面及び側面の両方を覆う構成となっている。磁石14は、ワイヤー3と直接接しておらず、保護部材13の上面13aを介してワイヤー3と接している。そして、ワイヤー3は、磁石14の磁力により吸着され、保護部材13上に固定されている。また、図8及び図9に示す保護部材13は、下側に底面がない一方上側に底面を有する有底筒形状であるといえ、下部が開放された容器形状であるともいえる。
この構成によれば、保護部材13を配置することで、磁石14とワイヤー3との接触を防止でき、さらに磁石14の上面と側面の一部または全部がキャップで覆われているため、磁石14と水蒸気との接触を大幅に抑制でき、実施形態1よりも、磁石の腐食を抑制できる。
保持部12は、型内発泡成形体用金型において少なくとも1つ以上設けられている。保持部12の外径と形状は、実施形態1の保持部5の直径と形状と同様である。
保護部材13の材質と上面の厚みは、実施形態1における保護部材6の材質と厚みと同様である。保護部材13の側面の厚みは、大きくするほど内包する磁石14の直径が相対的に小さくなり、磁石14の磁力が低下しワイヤー3を十分に保持できない虞がある。よって、保護部材13の側面の厚みは小さいほど好ましい。一方、小さすぎると破損する虞があるため実用的には、0.5mm以上10.0mm以下が好ましく、1.0mm以上5.0mm以下がより好ましく、1.0mm以上3.5mm以下が更に好ましい。
保護部材13と磁石14との隙間(A)を形成する場合、隙間(A)は特に制限されないが、磁石に膨張性がある場合などを想定すると、実用的には、0.1mm以上5.0mm以下が好ましく、0.25mm以上1.0mm以下がさらに好ましい。隙間(A)を設けることで、磁石14が腐食し体積膨張が発生した場合においても、磁石14を保護部材13より容易に取り出すことができ、別磁石への交換が容易である。保護部材13と磁石14との隙間(A)を形成しない場合、磁石14の保護部材13からの脱着性は低下するものの、磁石14の腐食防止効果は期待できる。この場合、磁石14の直径と保護部材13の内径とが同一となり磁石14の側面と保持部材13の内壁に隙間がないため、好ましくは膨張しない磁石、もしくは磁石が膨張性を有するならば、磁石の変形に柔軟に追従可能で破損しにくい素材の保持部材を使用することが好ましい。磁石14の厚みや形状や磁石種は、実施形態1の磁石7と同様である。ただし、磁石14は保持部材13に内包されるため、磁石14の直径は、保護部材13の外径より小さくなる。磁石14の直径は、保護部材13と磁石14との隙間(A)(mm)と保護部材13の内径(B)(mm)を用いた下式により算出することが好ましい。
(磁石14の直径)= B-2A
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図10は、本発明の実施形態3に係る保持部15の構成例を示す斜視図であり、保持部15上にワイヤー3を設置させた例を示す構造図である。図10に示すように、型内発泡成形体用金型における成形空間内の凸型9の突出部8上に保持部15を設けており、保持部15は、保護部材16が磁石14を内包した構成であり、保護部材16はワイヤーを設置する上面16aと側面16bと突出部8に当接する下面16cからなる容器形状(図11)である。ここでいう「容器形状」とは、磁石14の上面、下面、及び側面を全て覆う形状のことをいう。図11に示すように、保護部材16は、上面16a、側面16b、及び下面16cによって、磁石14の上面、下面及び側面を全て覆い内包している。すなわち、磁石14は、成形空間に露出していない構成となっている。磁石14は、ワイヤー3と直接接しておらず、保護部材16の上面16aを介して接している。そして、ワイヤー3は磁石14の磁力により吸着され、保護部材16の上面16a上に固定されている。また、図10及び図11に示す保護部材16は、下側及び上側の両方に底面を有する有底筒形状であるといえる。
この構成によれば、保護部材16を配置することで、磁石14とワイヤー3との接触を防止でき、さらに磁石14の側面と底面も保護部材16で覆われているため、磁石14と水蒸気との接触を完全に防止できる。その結果、磁石表面に腐食防止用コーティングが施された磁石、磁石表面に腐食防止用コーティングが施されていない磁石ともに、実施形態2と比較して磁石の腐食を大幅に抑制できる。
保持部15は、型内発泡成形体用金型において少なくとも1つ以上設けられている。保持部15の外径や形状は、実施形態2の保持部12と同様である。
保護部材16の材質、上面の厚み、側面の厚み、外径、隙間(A)は、実施形態2における保護部材13の材質、上面の厚み、側面の厚み、外径、隙間(A)と同様である。保護部材16の下面の厚みは、任意に設定できる。
また保持部材16の上面16aもしくは下面16cの少なくともいずれか一方は、保持部材16から容易に脱着可能な構成とすることが好ましい。この容易に脱着可能な構成とは、例えば、上面16aもしくは下面16cの外周を雄ネジ構造とし、側面16bの内周に雌ネジ構造を有する保持部材16にネジ込んで固定する構成や、上面16aもしくは下面16cと保持部材16とを勘合する構成が挙げられる。一例として、図15の(e)に、保護部材161の上面161aの外周を雄ネジ構造、側面161bの内周を雌ネジ構造とし、ネジ込み式で固定した構造(20)を示す。これらの構成によれば、保護部材16,161内の磁石14を容易に取り出すことができ、別磁石への交換が容易である。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図12は、本発明の実施形態4に係る保持部17の構成例を示す斜視図であり、保持部17上にワイヤー3を設置させた例を示す構造図である。図12に示すように、型内発泡成形体用金型における成形空間内の凸型9の突出部8上に保持部17を設けており、保持部17は、保護部材18により磁石14が覆われた構成であり、保護部材18はワイヤーを設置する上面18aと側面18bと突出部8に当接する下面18cからなる桶形状(図13)である。ここでいう「桶形状」とは、磁石14の上面を覆わず、磁石14の下面及び側面の両方を覆うような形状をいう。図13に示すように、磁石14の上面は、保護部材13によって覆われておらず、成形空間に露出している。また、保護部材18は、側面18b及び下面18cによって、磁石14の側面および下面の両方を覆う構成となっている。また、保護部材18の上面18aは、磁石14の上面よりも上側に設けられている。これにより、上面18aに配置されたワイヤー3は、磁石14と直接接しておらず、磁石14とワイヤー3との間には空間が形成される。そして、ワイヤー3は、磁石14の磁力により吸着され、保護部材18の上面18a上に固定されている。また、図12及び図13に示す保護部材18は、上側に底面がない一方下側に底面を有する有底筒形状であるといえ、上部が開放された容器形状であるともいえる。
保護部材18と磁石14との間には隙間がないことが好ましい。この構成によれば、保護部材18を配置することで、磁石14の側面の一部または全部と水蒸気との接触面積を小さくすることができ、また、磁石14とワイヤー3との接触を防止できる。その結果、磁石の腐食を抑制でき、また、磁石の破損や磁石表面の腐食防止用コーティング剥離から進行する磁石の腐食を防止できる。保持部17は、型内発泡成形体用金型において少なくとも1つ以上設けられている。保持部17の外径や形状は、実施形態3の保持部15と同様である。なお、保護部材18と磁石14との間には隙間がないことが好ましいが、磁石14を保護部材18に取り付けるために、保護部材18と磁石14との間の少なくとも一部に僅かな隙間があってもよい。すなわち、ここでいう「保護部材18と磁石14との間に隙間がない」構成とは、保護部材18と磁石14との間に完全に隙間がない構成に加え、実用上磁石14を保護部材18に取り付けるに際し隙間がない構成(例えば、磁石14を保護部材18に取り付け可能なように保護部材18と磁石14との間にクリアランスが設けられた構成)も包含する。
保護部材18の材質、側面の厚み、下面の厚み、外径は、実施形態3における保護部材16の材質、側面の厚み、下面の厚み、外径と同様である。磁石14の上面から保護部材18の上面18aまでの高さ(C)(mm)はワイヤー3を設置した際、ワイヤー3が磁石14に当接しない距離を確保することが好ましく、下限は特に制限されないが、上限は大きくなるほど、ワイヤー3へ加わる磁石14の磁力が低下しワイヤー3を十分に吸着できない虞があるため、10.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。
図12もしくは図13に示す本実施形態4では、磁石14の直径と保護部材18の内径とが同一となり磁石14の側面と保持部材18の内壁に隙間がないため、好ましくは膨張しない磁石、もしくは磁石が膨張性を有するならば、磁石の変形に柔軟に追従可能で破損しにくい素材の保持部材を使用することが好ましい。
また、実施形態4の別の実施形態として、図14の(a)に示されるように、上面181aをワイヤー3の設置箇所のみとする、もしくは、図14の(b)に示されるように、下面18cを省略した構成でもよく、もしくは、これら実施形態を組み合わせた構成でも良い。図14の(b)に示す保護部材182は、上側及び下側に底面を有さない無底筒形状であるといえる。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図15の(a)~(e)は、実施形態1~4における磁石7、14と保護部材6、13、16、18、161の少なくとも1つに貫通孔を設け、保持部5、12、15、17、151を治具191、192、193、194、195により突出部8に固定した構成例を示す断面図である。この構成によれば、保持部5、12、15、17、151を、磁石7、14と保護部材6、13、16、18、161の少なくとも1つの貫通孔を介して、ネジ等の治具191、192、193、194、195により、型内発泡成形体用金型の凸型9の突出部8に固定できるため、保持部5、12、15、17、151の型内発泡成形体用金型への脱着が容易となる。その結果、磁石7、14もしくは保護部材6、13、16、18、161に腐食や破損等の不具合が発生した場合、容易に別の磁石もしくは別の保護部材に交換できる。
なお、本発明においては、保持部5、12、15、17、151を凸型9の突出部8へ配置する実施形態を記載したが、例えば、凸型9の表面へ配置する形態、または図6の(a)に示したように凸型9へ保持部5、12、15、17、151の少なくとも一部を埋設する形態でも構わない。さらに、これらの実施形態を凸型9と対をなす凹型に行ってもよい。
また、保持部5、12、15、17、151の突出部8もしくは凸型9への他の設置方法例として、例えば、図16の(a)及び(c)に示すように、保護部材121、152、突出部8(もしくは凸型9)にネジ込み式構造201や202を設ける、もしくは、図16の(b)に示すように、保護部材122、突出部8(もしくは凸型9)に勘合構造211を設ける等の方法が挙げられる。
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図17は、本発明の実施形態6に係る保持部150の構成例を示す断面図であり、保持部150上にワイヤー3を設置させた例を示す構造図である。図17に示すように、型内発泡成形体用金型における成形空間内の凸型9の突出部8上に保持部150を設けており、保持部150は、保護部材160が磁石14を内包した構成であり、保護部材160はワイヤーを設置する上面160aと側面160bと突出部8に当接する下面160cからなる。磁石14はワイヤー3とは直接接しておらず、保護部材160の上面160aを介して接しており、ワイヤー3は磁石14の磁力により吸着され、保護部材160の上面160a上に固定されている。
この構成によれば、保護部材160を配置することで、磁石14とワイヤー3との接触を防止でき、さらに磁石14の側面と底面も保護部材160で覆われているため、磁石14と水蒸気との接触を完全に防止できる。その結果、磁石表面に腐食防止用コーティングが施された磁石、磁石表面に腐食防止用コーティングが施されていない磁石ともに、実施形態2と比較して磁石の腐食を大幅に抑制できる。
保持部150は、型内発泡成形体用金型において少なくとも1つ以上設けられている。保持部150の外径や形状は、実施形態2の保持部12と同様である。
保護部材160の材質、上面の厚み、側面の厚み、外径、隙間(A)は、実施形態2における保護部材13の材質、上面の厚み、側面の厚み、外径、隙間(A)と同様である。保護部材160の下面の厚みは、任意に設定できる。
保持部150は、突出部8から脱着可能であり、保護部材160の下面160cは、突出部8の上面から離すことができる。
この構成によれば、保持部150を(即ち、磁石14を保護部材160ごと)別保持部に容易に交換することができる。
なお、保護部材160は、磁石14と一体形成されていてもよいが、磁石14から着脱可能であることが好ましい。保護部材160が磁石14から着脱可能である場合、保持部150ごと型内発泡成形体用金型から取り外し、その後、容器形状の保護部材160から磁石14を取出すことができる。
〔実施形態7〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、型内発泡成形体用金型については実施形態1~6において説明したため、その説明を省略する。
本実施形態に係る型内発泡成形体の製造方法は、上述した型内発泡成形体用金型を用いて、熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とが一体形成された型内発泡成形体を製造する方法である。
本実施形態に係る型内発泡成形体の製造方法では、上述した型内発泡成形体用金型である凹型または凸型の保持部上にインサート材を固定し、凹型と凸型とを型閉じして形成された成形空間に発泡粒子を充填した後、加熱媒体として、該空間に過熱水蒸気を供給し、ポリオレフィン系樹脂の発泡粒子を加熱発泡、融着させる。好ましい発泡粒子及び加熱発泡条件等は、〔車両用シート芯材の構成〕の項目で説明したとおりである。この構成により、磁石の腐食を抑制することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
本発明の保持部の実施例として、以下の実施例1~4の保持部を作製した。また、比較例として、以下の比較例1~2の保持部を作製した。これら実施例1~4、および比較例1~2の保持部を型内発泡成形体用金型の成形空間内の面へ設置し、インサート材3を埋設し一体成形した型内発泡成形体2の製作を行った。なお、これら保持部は全て同一の型内発泡成形体用金型に設置しており、実施例および比較例は全て同一の成形条件で実施した。該金型より成形された型内発泡成形体2は、縦600mm×横1300mm×厚さ150mm程の図1に示すような略矩形状であり、型内発泡成形体2中に埋設されるインサート材3、すなわち、型内発泡成形体用金型に設置されるインサート材3は、直径4.5mmの鉄製ワイヤーからなる縦500mm×横1200mm程の略矩形環状であった。なお、オレフィン系樹脂発泡粒子は株式会社カネカ製、L-EPP36(エチレン-プロピレンランダム共重合体、嵩密度20g/L、融点146℃、耐圧容器内にて加圧空気を含浸させて内圧を約0.1MPa(G)にしたもの)を用いた。以下の実施例、比較例で使用した全ての磁石の表面にはニッケルメッキが施してあった。
(実施例1)
図4に示すように、平板からなる保護部材6と磁石7とからなる保持部5を凸型9の突出部8に設置した。保護部材6は、材質が真鍮からなる円形であり、直径が25.0mm、厚みが2.0mmであって、中心に皿穴加工(皿穴径:8.0mm、通し穴径:5.6mm)からなる貫通孔を有した。磁石7は、材質が耐熱ネオジム(材質:35UH)からなり貫通孔(孔径:7.0mm)を有する円柱形状、すなわちリング型であり、直径が25.0mm、厚みが4.0mmであって、耐熱温度は160℃であった。そして、M5のネジ(頭部径:8.0mm、頭部高さ1.9mm)を用いて、保持部5を突出部8へ固定した。
(実施例2)
保護部材6の材質をステンレスとした以外は、実施例1と同様な保持部5を突出部8へ固定した。
(実施例3)
保護部材6の材質をステンレス、磁石7の材質をサマリウムコバルト磁石(耐熱温度:280℃)とした以外は、実施例1と同様な保持部5を突出部8へ固定した。
(実施例4)
図18に示すように、キャップからなる保護部材133と磁石14とからなる保持部123を凸型9の突出部81に設置した。保護部材133は、材質が真鍮からなる円形であり、外径が25.0mm、高さが6.0mm、上面の厚みが3.0mm、側面の厚みが3.25mm、内径が18.5mmであって、上面の中心に皿穴加工(皿穴径:10.6mm、通し穴径:5.5mm)からなる貫通孔を有した。磁石14は、材質が耐熱ネオジム(材質:35SH)からなり貫通孔(孔径:7.0mm)を有する円柱形状、すなわちリング型であり、直径が18.0mm、厚みが6.0mmであって、耐熱温度は160℃であった。そして、M5のネジ(頭部径:10.0mm、頭部高さ2.8mm)を用いて、保持部123を突出部81へ固定した。突出部81の磁石設置用の孔径は18.5mm、孔深さは3.0mmであった。磁石14側面と保護部材133内壁との隙間A、磁石14側面と突出部81の磁石設置用孔の内壁との隙間は、それぞれ0.25mmであった。
(比較例1)
図5に示すように、磁石7のみからなる保持部10を凸型9の突出部8に設置した。磁石7は、材質が耐熱ネオジム(材質:35SH)からなる円形であり、皿穴加工(皿穴径:10.6mm、通し穴径:5.5mm)からなる貫通孔を有した。磁石7の直径は25.0mm、厚みは6.0mmであって、耐熱温度は160℃であった。そして、M5のネジ(頭部径:10.0mm、頭部高さ2.8mm)を用いて、保持部10を突出部8へ固定した。なお、この構成においてM5のネジは磁石7の上面より上方へ突出せず、磁石7とインサート材3(ワイヤー)は接触していた。
(比較例2)
磁石7のみからなる保持部10を凸型9の凹部11(孔径:25.1mm、孔深さ:6.0mm)に埋設し固定した。磁石7は、材質が耐熱ネオジム(材質:35SH)からなる円形であり、皿穴加工(皿穴径:10.6mm、通し穴径:5.5mm)からなる貫通孔を有した。磁石7の直径は25.0mm、厚みは6.0mmであって、耐熱温度は160℃であった。そして、M5のネジ(頭部径:10.0mm、頭部高さ2.8mm)を用いて、保持部10を凸型9の凹部11へ固定した。なお、磁石7側面と凹部11の内壁との隙間(A)は、0.05mmであった。なお、この構成においてM5のネジは磁石7の上面より上方へ突出せず、磁石7とワイヤーは接触していた。
(評価)
実施例1~4および比較例1~2の保持部の磁力を以下の2通りの手法で測定した。なお、測定は型内発泡成形体用金型を成形機に搭載した状態で、保持部が常温の状態で行った。
(1)ガウスメーターによる測定
ガウスメーター((株)FUSO製、MG-3003SD)の磁力測定部を保持部上面のワイヤー当接位置に当てて、磁束密度B(mT)を測定した。
(2)バネばかりによる測定
バネばかり(シンワ測定(株)、秤量0.5kg)のフック部を保持部上面のワイヤー当接位置に当てて、バネばかりを引っ張り、フック部が保持部上面から離れた際の荷重を吸着力(kgf)として測定した。
表1に、これらの評価結果を示す。なお、表1に示す評価基準は以下の通りである。
(1)磁束密度の評価基準
保持部を型内発泡成形体用金型へ設置してから1週間後(639個)、1ヵ月後(3121個)、2ヵ月後(7363個)、9ヵ月後(23452個)にて測定を実施し、磁束密度の変化を以下のように評価した。()内の数値は、型内発泡成形体のその時点での製作数を示す。
○:初期値からの減衰値が15%未満
△:初期値からの減衰値が15%以上50%未満
×:初期値からの減衰値が50%以上
‐:測定できず
(2)吸着力の評価基準
保持部を型内発泡成形体用金型へ設置してから1週間後(639個)、1ヵ月後(3121個)、2ヵ月後(7363個)、9ヵ月後(23452個)にて測定を実施し、吸着力の変化を以下のように評価した。()内の数値は、型内発泡成形体のその時点での製作数を示す。
○:初期値からの減衰値が15%未満
△:初期値からの減衰値が15%以上50%未満
×:初期値からの減衰値が50%以上
‐:測定できず
Figure 0007033550000001
表1に示すように、磁石の上に保護部材を設置した実施例1~4では、9ヶ月後においても磁力の15%以上の低下は確認されず、目視において磁石の腐食は見られなかった。また、9ヵ月経過後において、保持部の突出部8、81からの取り外しや磁石の保護部材からの取り外しは容易であった。実施例1~4では、磁石とワイヤー、もしくは磁石と水蒸気との接触を避けることで、磁石の腐食を抑制することができた。
磁石7の上に保護部材を設置しなかった比較例1では、開始1週間後にニッケルメッキの剥離が発生し、磁石7にひびが入っていることが観察され、磁束密度及び吸着力の評価は実施できなかった。磁石7を凸型9の凹部11に埋設した比較例2では、磁石7の割れは観察されなかったものの、開始1ヵ月後に磁石7の磁力の低下が見られ、ニッケルメッキの剥離が観察された。開始2ヶ月後には大幅に磁力が低下し、目視において磁石7の腐食が観察された。また、比較例2の腐食した磁石7を凹部11から取り外すのが困難で時間を要した。これは腐食した磁石7の体積膨張が生じたためである。
腐食の発生していないネオジム磁石の一例を図19の(a)に、腐食の発生したネオジム磁石の一例を図19の(b)に示す。
〔まとめ〕
本発明の型内発泡成形体用金型は、熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とを一体成形するための加熱媒体として水蒸気を使用した型内発泡成形体用金型であって、凹型、凸型の少なくともいずれか一方の金型の成形空間内の面にインサート材を固定するための保持部を少なくとも1つ形成しており、少なくとも1つの保持部は磁石と、前記磁石に脱着可能な保護部材とからなり、保護部材の少なくとも一部が成形空間側(熱可塑性樹脂発泡粒子が充填される空間側)に位置しインサート材と接する構成であって、インサート材と磁石が接しないことを特徴とする。なお、ここでいう「インサート材と磁石が接しない」とは、前記磁石が前記インサート材に磁気吸着できる程度に、前記磁石が前記保護部材を介して前記インサート材と間接的に接しているか、あるいは、前記磁石が前記インサート材と離間する構成と意図する。前記磁石が前記保護部材を介して前記インサート材と間接的に接している構成としては、例えば、図4に示されるような、磁石7が保護部材6を介してワイヤー3と間接的に接触した構成が挙げられる。また、前記磁石が前記インサート材と離間する構成としては、例えば、図12に示されるような、保護部材18におけるワイヤー3が接触する上面18aが磁石14の上面よりも上側に設けられた構成が挙げられる。また、さらに換言すると、「インサート材と磁石が接しない」は、インサート材は、前記保護部材の上面に接触した状態で、前記磁石の磁力により位置が固定されているともいえる。
上記の構成によれば、型内発泡成形体の製造工程において、磁石と水蒸気との接触面積が少なくなる、もしくは磁石と水蒸気とが直接接触しないので磁石の腐食を抑制できる。さらに、成形空間側に配置した保護部材上にインサート材を設置することで、磁石表面に腐食防止用コーティングが施された磁石については、該コーティングとインサート材との接触を防止できる。その結果、磁石表面の腐食防止用コーティングの剥離を防止でき、水蒸気による腐食を抑制できる。磁石表面に腐食防止用コーティングが施されていない磁石については、磁石が腐食したとしても磁石とインサート材の接触を防止でき、磁石の破損を防止できる。また、保護部材を磁石から脱着可能な構造とすることで、磁石を別の磁石に容易に交換することができる。
本発明の型内発泡成形体用金型は、熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とを一体成形するための加熱媒体として水蒸気を使用した型内発泡成形体用金型であって、凹型、凸型の少なくともいずれか一方の金型の成形空間内の面にインサート材を固定するための保持部を少なくとも1つ形成しており、少なくとも1つの保持部は磁石と、保護部材とからなり、前記少なくとも1つの保持部は前記金型から脱着可能であり、保護部材の少なくとも一部が成形空間側に位置しインサート材と接する構成であって、インサート材と磁石が接しないことを特徴とする。
上記の構成によれば、型内発泡成形体の製造工程において、磁石と水蒸気との接触面積が少なくなる、もしくは磁石と水蒸気とが直接接触しないので磁石の腐食を抑制できる。さらに、成形空間側に配置した保護部材上にインサート材を設置することで、磁石表面に腐食防止用コーティングが施された磁石については、該コーティングとインサート材との接触を防止できる。その結果、磁石表面の腐食防止用コーティングの剥離を防止でき、水蒸気による腐食を抑制できる。磁石表面に腐食防止用コーティングが施されていない磁石については、磁石が腐食したとしても磁石とインサート材の接触を防止でき、磁石の破損を防止できる。また、前記少なくとも1つの保持部を前記金型から脱着可能な構成とすることで、保持部を別の保持部に容易に交換することができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材が非磁性体によって構成されていてもよい。
上記の構成によれば、磁石と保護部材とが吸着しないため、保護部材が破損したり磁石が腐食したりして交換が必要な場合に、磁石もしくは保護部材の取り外し、交換を容易に行うことができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材が金属によって構成されていてもよい。
上記の構成によれば、保護部材が水蒸気を透過させず、十分な強度を有することができる。これにより、水蒸気による磁石の腐食を防ぎ、保持部へのインサート材の繰り返しの設置による保護部材の破損を抑制できる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材が前記磁石の上面に積層する平板形状であってもよい。
上記の構成によれば、水蒸気による磁石の腐食を抑制することができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材が前記磁石の上面と側面を覆うキャップ形状であってもよい。
上記の構成によれば、水蒸気による磁石の腐食を抑制することができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材が前記磁石を内包する容器形状であってもよい。
上記の構成によれば、磁石と水蒸気との接触を完全に防止できるため、表面に腐食防止用コーティングが施された磁石、磁石表面に腐食防止用コーティングが施されていない磁石ともに、磁石の腐食を大幅に抑制できる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材が少なくとも前記磁石の側面を覆い、前記磁石の上面は露出していてもよい。
上記の構成によれば、磁石の腐食を抑制できる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材と前記磁石の側面との間に、または前記金型と前記磁石の側面との間に隙間を形成していてもよい。このような構成として、例えば、前記保護部材が前記キャップ形状または前記容器形状であって、前記保護部材と前記磁石の側面との間に隙間が形成された構成(例えば、図9,11に示す構成)が挙げられる。また、別の構成として、例えば、凹型、凸型の少なくともいずれか一方の金型に前記保持部を埋設する凹部が設けられ、当該凹部と前記磁石の側面との間に隙間が形成された構成(例えば図6の(a)または(b)に示す構成)が挙げられる。
上記の構成によれば、磁石と保護部材とが脱着可能である場合、磁石を別磁石に容易に交換することができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記磁石、前記保護部材の上面、または前記保護部材の下面の少なくともいずれか一つが、貫通孔を有し、これらの貫通孔を通じる治具により磁石と保護部材を金型に固定する構成であってもよい。
上記の構成によれば、前記磁石と前記保護部材とを容易に金型から脱着することができる。その結果、前記磁石もしくは前記保護部材に腐食や破損等により不具合が生じた場合、容易に別の磁石もしくは別の保護部材に交換できる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記磁石の磁束密度は、80mT~700mTであってもよい。
上記の構成によれば、磁石がインサート材を吸着して、保持部上に保持することができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、前記保護部材の材質は、4-フッ化エチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、及びカーボンからなる群より選択されてもよい。
上記の構成によれば、耐水蒸気性と耐熱性とを兼ね備えた材質であるため、磁石の腐食を抑制することができ、磁石を別磁石に容易に交換することができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、インサート材を備え、前記インサート材の断面形状は、底辺が前記保護部材と接触している三角形または四角形、あるいは、前記保護部材との接触面の反対側が弧である半円形であってもよい。
上記の構成によれば、インサート材の強度を維持しつつ、保持部との接触面積が十分確保できるため、磁石へ確実に吸着させることができる。
本発明の型内発泡成形体用金型において、インサート材を備え、前記インサート材の内部が中空構造である、またはインサート材の一部が肉抜きされていてもよい。
上記の構成によれば、磁石への吸着力は変わらずに、インサート材の強度を維持しつつ、軽量化が可能となる。
本発明の型内発泡成形体の製造方法は、上述した型内発泡形成体用金型を用いて、熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とが一体形成された型内発泡成形体を製造してもよい。
上記の構成によれば、水蒸気による磁石の腐食を防ぐことができる。
1 車両用シート芯材
2 オレフィン系樹脂発泡粒子の型内発泡成形体
3 インサート材(ワイヤー)
4 有底孔
5 保持部(実施形態1)
6 保護部材(実施形態1)
7、14 磁石
8、81 突出部
9 凸型
10 保持部(従来の型内発泡成形体用金型)
11 凹部(凸型)
12、121、122、123 保持部(実施形態2)
13、131、132、133 保護部材(実施形態2)
13a 保護部材(実施形態2)の上面
13b 保護部材(実施形態2)の側面
15、151、152 保持部(実施形態3)
16、161、162 保護部材(実施形態3)
16a、161a 保護部材(実施形態3)の上面
16b、161b 保護部材(実施形態3)の側面
16c、161c 保護部材(実施形態3)の下面
150 保持部(実施形態6)
160 保護部材(実施形態6)
160a 保護部材(実施形態6)の上面
160b 保護部材(実施形態6)の側面
160c 保護部材(実施形態6)の下面
17、171、172 保持部(実施形態4)
18、181、182 保護部材(実施形態4)
18a、181a、182a 保護部材(実施形態4)の上面
18b、182b 保護部材(実施形態4)の側面
18c 保護部材(実施形態4)の下面
191~195 治具
20、201、202 ネジ込み式構造
211 勘合構造
22 凹型
23 成形空間
A 磁石側面と保護部材内壁との隙間
B 保護部材の内径
C 磁石の上面から保護部材の上面までの高さ

Claims (15)

  1. 熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とを一体成形するための加熱媒体として水蒸気を使用した型内発泡成形体用金型であって、凹型、凸型の少なくともいずれか一方の金型の成形空間内の面にインサート材を固定するための保持部を少なくとも1つ形成しており、少なくとも1つの保持部は磁石と、前記磁石に脱着可能な保護部材とからなり、保護部材の少なくとも一部が成形空間側に位置しインサート材と接する構成であって、インサート材と磁石が接しないことを特徴とする型内発泡成形体用金型。
  2. 熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とを一体成形するための加熱媒体として水蒸気を使用した型内発泡成形体用金型であって、凹型、凸型の少なくともいずれか一方の金型の成形空間内の面にインサート材を固定するための保持部を少なくとも1つ形成しており、少なくとも1つの保持部は磁石と、保護部材とからなり、前記少なくとも1つの保持部は前記金型から脱着可能であり、保護部材の少なくとも一部が成形空間側に位置しインサート材と接する構成であって、インサート材と磁石が接しないことを特徴とする型内発泡成形体用金型。
  3. 前記保護部材が非磁性体によって構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の型内発泡成形体用金型。
  4. 前記保護部材が金属によって構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  5. 前記保護部材が前記磁石の上面に積層する平板形状であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  6. 前記保護部材が前記磁石の上面と側面を覆うキャップ形状であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  7. 前記保護部材が前記磁石を内包する容器形状であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  8. 前記保護部材が少なくとも前記磁石の側面を覆い、前記磁石の上面は露出していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  9. 前記保護部材と前記磁石の側面との間に、または前記金型と前記磁石の側面との間に隙間が形成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  10. 前記磁石、前記保護部材の上面、または前記保護部材の下面の少なくともいずれか一つが、貫通孔を有し、これらの貫通孔を通じる治具により磁石と保護部材を金型に固定する構成であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  11. 前記磁石の磁束密度は、80mT以上700mT以下であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  12. 前記保護部材の材質は、4-フッ化エチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、及びカーボンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  13. インサート材を備え
    前記インサート材の断面形状は、底辺が前記保護部材と接触している三角形または四角形、あるいは、前記保護部材との接触面の反対側部分が弧である半円形であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  14. インサート材を備え、
    前記インサート材の内部が中空構造であること、または前記インサート材の一部が肉抜きされていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の型内発泡成形体用金型を用いて、熱可塑性樹脂発泡粒子とインサート材とが一体形成された型内発泡成形体を製造することを特徴とする、型内発泡成形体の製造方法。
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