JP7033051B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7033051B2 JP7033051B2 JP2018217603A JP2018217603A JP7033051B2 JP 7033051 B2 JP7033051 B2 JP 7033051B2 JP 2018217603 A JP2018217603 A JP 2018217603A JP 2018217603 A JP2018217603 A JP 2018217603A JP 7033051 B2 JP7033051 B2 JP 7033051B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- group
- polycarbonate resin
- mass
- molded product
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L69/00—Compositions of polycarbonates; Compositions of derivatives of polycarbonates
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08K—Use of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
- C08K5/00—Use of organic ingredients
- C08K5/0008—Organic ingredients according to more than one of the "one dot" groups of C08K5/01 - C08K5/59
- C08K5/005—Stabilisers against oxidation, heat, light, ozone
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08K—Use of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
- C08K5/00—Use of organic ingredients
- C08K5/04—Oxygen-containing compounds
- C08K5/15—Heterocyclic compounds having oxygen in the ring
- C08K5/151—Heterocyclic compounds having oxygen in the ring having one oxygen atom in the ring
- C08K5/1515—Three-membered rings
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08K—Use of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
- C08K5/00—Use of organic ingredients
- C08K5/49—Phosphorus-containing compounds
- C08K5/51—Phosphorus bound to oxygen
- C08K5/52—Phosphorus bound to oxygen only
- C08K5/524—Esters of phosphorous acids, e.g. of H3PO3
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08K—Use of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
- C08K5/00—Use of organic ingredients
- C08K5/49—Phosphorus-containing compounds
- C08K5/51—Phosphorus bound to oxygen
- C08K5/52—Phosphorus bound to oxygen only
- C08K5/524—Esters of phosphorous acids, e.g. of H3PO3
- C08K5/526—Esters of phosphorous acids, e.g. of H3PO3 with hydroxyaryl compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L71/00—Compositions of polyethers obtained by reactions forming an ether link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
- C08L71/02—Polyalkylene oxides
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F21—LIGHTING
- F21S—NON-PORTABLE LIGHTING DEVICES; SYSTEMS THEREOF; VEHICLE LIGHTING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR VEHICLE EXTERIORS
- F21S2/00—Systems of lighting devices, not provided for in main groups F21S4/00 - F21S10/00 or F21S19/00, e.g. of modular construction
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B6/00—Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings
- G02B6/0001—Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings specially adapted for lighting devices or systems
- G02B6/0011—Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings specially adapted for lighting devices or systems the light guides being planar or of plate-like form
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Light Guides In General And Applications Therefor (AREA)
Description
特に導光板に関しては近年更なる薄肉化が進んでおり、樹脂組成物の流動性を上げて薄肉成形を行うために340℃を超える高温条件で成形を行う場合がある。しかしながら、芳香族ポリカーボネートを含む樹脂組成物を高温条件で滞留、成形すると黄変を生じやすく、ひいては輝度や光線透過率などの光学特性が低下しやすいという問題がある。
しかしながら特許文献1の方法では、使用するポリオキシアルキレングリコールの耐熱性が低いため、340℃を超える温度で成形した場合や成形サイクルが長くなった場合に黄変が大きくなり、成形品の輝度及び光線透過率などの光学性能に悪影響を及ぼすおそれがある。更に、ポリオキシアルキレングリコールの分解ガスによって成形品表面にシルバー痕も発生するおそれがある。このため特許文献1の方法では、流動性を上げるために温度を上げることが実質的に制限され、薄肉、大面積の導光板の成形には適当ではなかった。さらに、導光板などの光学成形品用のポリカーボネート樹脂組成物においては成形後における光学特性の長期安定性も必要であるが、この点でも充分なものではなかった。
例えば特許文献2には、ポリカーボネート樹脂(A)、数平均分子量が500~5000である炭素原子数が3~6のポリアルキレンエーテルグリコールまたはそのエステル化合物(B)、リン系安定剤(C)、及びエポキシ化合物(D)をそれぞれ所定量含有し、(C)成分と(D)成分の質量比が所定の範囲にある、良好な色相を有し且つ耐熱変色性にも優れた薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。特許文献2の実施例では、(B)成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールが使用されている。特許文献3には、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリトリメチレングリコール(B)、及びリン系安定剤(C)をそれぞれ所定量含有し、高透過率で良好な色相を有する薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。特許文献3の実施例では(B)成分としてポリトリメチレングリコールが使用されている。
特許文献4には、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に対し所定のポリオキシテトラメチレンポリオキシエチレングリコール(B)を0.1~5質量部配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示されており、成形時の熱劣化を防止するためリン系酸化防止剤を添加することが好ましい旨記載されている。
特許文献5には、ポリカーボネート樹脂(A)と、重量平均分子量が1000~4000のポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコール(B)と、所定の亜リン酸エステル系化合物(C)とをそれぞれ所定量含有し、高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れるポリカーボネート樹脂組成物及び光学用成形品が開示されている。
ポリカーボネート樹脂組成物中のリン系酸化防止剤が成形時の熱によって分解すると黄変が生じやすい。加えて、当該成形後に得られる成形品が熱履歴を受けると色調変化が生じやすく光学特性の長期安定性が低下するため、光学成形品には不適である。また、リン系酸化防止剤が分解すると亜リン酸又はリン酸などの酸性の水酸基を持つ化合物となり、これがポリカーボネート樹脂の分解を促進し、分子量低下による強度の低下を引き起こすおそれもある。
特許文献2~5の実施例に開示された上記リン系酸化防止剤を含むポリカーボネート樹脂組成物は、ポリエーテル化合物を併用しても、340℃を超える温度で滞留、成形すると黄変が生じやすく、さらに、成形後の光学特性の長期安定性も低いことが判った。
本発明が解決しようとする課題は、340℃を超える高温の成形機内で滞留させても黄変が少なく良好な色調を維持し、さらに、高温条件下で滞留させた後に成形した成形品が熱履歴を受けた場合も経時的な色調変化が少なく、光学特性の長期安定性に優れるポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品を提供することにある。
すなわち本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及びそれを含む成形品を提供するものである。
下記一般式(1):
RB3O-(RB1O)m(RB2O)n-RB4 (1)
(式中、RB1及びRB2は、炭素数3~6の直鎖アルキレン基を示し、RB1とRB2は、同一でも異なっていてもよい。m+nは5以上300未満である。mが2以上の場合にRB1は、同一であっても異なっていてもよく、nが2以上の場合にRB2は、同一であっても異なっていてもよい。RB3及びRB4は水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~30のアルカノイル基、炭素数2~30のアルケノイル基、又はグリシジル基を示し、RB3とRB4は、同一でも異なっていてもよい。)
で表されるポリエーテル化合物(B)、及び
下記一般式(2):
(式(2)中、RC1~RC5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、又は炭素数6~14のアリール基である。但し、RC1~RC5のすべてが水素原子になることはない。)で表される酸化防止剤(C)を含有し、
前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対する前記ポリエーテル化合物(B)の含有量が0.1~2.0質量部、前記酸化防止剤(C)の含有量が0.001~0.4質量部である、ポリカーボネート樹脂組成物。
<2>前記樹脂組成物中の前記酸化防止剤(C)の量に対する、該樹脂組成物を成形した成形品(I)中の該酸化防止剤(C)の残存率が60%以上である、上記<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記樹脂組成物中の前記酸化防止剤(C)の量に対する、該樹脂組成物を成形機内において350℃で20分滞留後に成形した成形品(II)中の該酸化防止剤(C)の残存率が50%以上である、上記<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>分光光度計を用いてC光源、2度視野の条件で測定される、厚さ3.2mmの前記成形品(I)のYI値(YI1)が1.00以下である、上記<2>又は<3>に記載の樹脂組成物。
<5>分光光度計を用いてC光源、2度視野の条件で測定される、厚さ3.2mmの前記成形品(II)のYI値をYI2、該成形品(II)を85℃で200時間加熱した後のYI値をYI3とした際に、Δ(YI3-YI2)が0.10以下である、上記<3>又は<4>に記載の樹脂組成物。
<6>前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が10,000~15,000である、上記<1>~<5>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<7>前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が10,000~14,200である、上記<6>に記載の樹脂組成物。
<8>前記一般式(1)において、RB1及びRB2がトリメチレン基及びテトラメチレン基からなる群から選ばれる1種以上である、上記<1>~<7>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<9>前記一般式(1)において、RB1及びRB2がトリメチレン基である、上記<1>~<8>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<10>前記一般式(1)において、RB1及びRB2がテトラメチレン基である、上記<1>~<8>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<11>前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対する前記ポリエーテル化合物(B)の含有量が0.1~1.5質量部である、上記<9>に記載の樹脂組成物。
<12>前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対する前記ポリエーテル化合物(B)の含有量が0.1~0.9質量部である、上記<10>に記載の樹脂組成物。
<13>前記一般式(2)において、RC1及びRC3がtert-ブチル基であり、RC2、RC4及びRC5が水素原子である、上記<1>~<12>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<14>上記<1>~<13>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形品。
<15>導光板である、上記<14>に記載の成形品。
[ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、下記一般式(1):
RB3O-(RB1O)m(RB2O)n-RB4 (1)
(式中、RB1及びRB2は、炭素数3~6の直鎖アルキレン基を示し、RB1とRB2は、同一でも異なっていてもよい。m+nは5以上300未満である。mが2以上の場合にRB1は、同一であっても異なっていてもよく、nが2以上の場合にRB2は、同一であっても異なっていてもよい。RB3及びRB4は水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~30のアルカノイル基、炭素数2~30のアルケノイル基、又はグリシジル基を示し、RB3とRB4は、同一でも異なっていてもよい。)
で表されるポリエーテル化合物(B)、及び
下記一般式(2):
(式(2)中、RC1~RC5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、又は炭素数6~14のアリール基である。但し、RC1~RC5のすべてが水素原子になることはない。)
で表される酸化防止剤(C)を含有し、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対する前記ポリエーテル化合物(B)の含有量が0.1~2.0質量部、前記酸化防止剤(C)の含有量が0.001~0.4質量部である。
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂組成物において所定のポリエーテル化合物(B)及び所定の酸化防止剤(C)を併用することで、340℃を超える高温の成形機内で滞留させた場合も酸化防止剤の残存率が高く、その結果、高温での滞留、成形時にもYI値の上昇が抑えられ、かつ、当該樹脂組成物を高温で長時間滞留させた後に成形した成形品が熱履歴を受けても経時的な色調変化が少なく、光学特性の長期安定性が良好になることを見出したものである。すなわち、ポリカーボネート樹脂組成物中の(B)、(C)成分が相互に作用しあって、高温での滞留、成形時の熱劣化を抑制することができ、340℃を超えるような高温条件でも光学特性を損なうことなく成形できるとともに、長期に安定した光学特性を維持しうる成形品が得られる。
本明細書において、光学特性とは主として色調を意味し、色調の評価には通常YI値を用いる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含有されるポリカーボネート樹脂(A)としては、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては特に制限なく、公知の方法により製造されたものを用いることができる。
例えば、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法(界面重縮合法)又は溶融法(エステル交換法)により製造したもの、すなわち、末端停止剤の存在下に、二価フェノールとホスゲンとを反応させる界面重縮合法、又は末端停止剤の存在下に、二価フェノールとジフェニルカーボネート等とをエステル交換法等により反応させて製造されたものを用いることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)は分岐構造を有していてもよい。ポリカーボネート樹脂(A)中に分岐構造を導入するために用いられる分岐剤としては、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸及び1,3-ビス(o-クレゾール)等が挙げられる。
(式中、RA1及びRA2は、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基又はアルコキシ基を示し、RA1とRA2は同一でも異なっていてもよい。Xは単結合、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルキリデン基、炭素数5~15のシクロアルキレン基、炭素数5~15のシクロアルキリデン基、-S-、-SO-、-SO2-、-O-又は-CO-を示し、a及びbは、それぞれ独立に0~4の整数を示す。aが2以上の場合にはRA1は同一でも異なっていてもよく、bが2以上の場合にはRA2は同一でも異なっていてもよい。)
RA1及びRA2としては、いずれも、好ましくは炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。
a及びbは、それぞれ独立に0~4の整数を示し、好ましくは0~2、より好ましくは0又は1である。
上記粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液(濃度:g/l)の極限粘度[η]を測定し、下記のSchnell式より算出した値である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含有されるポリエーテル化合物(B)は下記一般式(1)で表される。
RB3O-(RB1O)m(RB2O)n-RB4 (1)
式中、RB1及びRB2は、炭素数3~6の直鎖アルキレン基を示し、RB1とRB2は、同一でも異なっていてもよい。m、nはそれぞれ自然数で、m+nは5以上300未満である。mが2以上の場合にRB1は、同一であっても異なっていてもよく、nが2以上の場合にRB2は、同一であっても異なっていてもよい。RB3及びRB4は水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~30のアルカノイル基、炭素数2~30のアルケノイル基、又はグリシジル基を示し、RB3とRB4は、同一でも異なっていてもよい。
RB1及びRB2が炭素数2以下のアルキレン基を含む場合や、RB1及びRB2が分岐構造を有するアルキレン基を含む場合には、初期のYI値が高くなりやすい。また、特に340℃を超える高温で長時間滞留させた後に成形した成形品が熱履歴を受けた場合に色調変化が生じ、光学特性の長期安定性が低下する。
さらに、RB1及びRB2が炭素数3~6の直鎖アルキレン基を含むと、帯電防止性も良好なポリカーボネート樹脂組成物が得られる。特に導光板用途のポリカーボネート樹脂組成物は、帯電防止性が低い(電位が高い)と成形後に埃が付着しやすくなり不良の原因となり得るため、帯電防止性が良好であることが好ましい。
上記観点から、RB1及びRB2における直鎖アルキレン基の炭素数は好ましくは3~5であり、より好ましくは3又は4、更に好ましくは3である。RB1及びRB2は、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、及びヘキサメチレン基からなる群から選ばれる1種以上であり、トリメチレン基、テトラメチレン基、及びペンタメチレン基からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、トリメチレン基及びテトラメチレン基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。成形品の光学特性の長期安定性及び帯電防止性の観点からは、RB1及びRB2はトリメチレン基であることが更に好ましい。
(RB1O)mで表されるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシトリメチレン基やポリオキシテトラメチレン基等の単一のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものに限定されず、オキシトリメチレン単位及びオキシテトラメチレン単位など炭素数の異なる複数のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものであってもよい。
(RB2O)nで表されるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシトリメチレン基やポリオキシテトラメチレン基等の単一のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものに限定されず、オキシトリメチレン単位及びオキシテトラメチレン単位など炭素数の異なる複数のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものであってもよい。
アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基等が挙げられる。
RB3及びRB4で示される炭素数2~30のアルケノイル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばエテノイル基、n-プロペノイル基、イソプロペノイル基、n-ブテノイル基、t-ブテノイル基、n-ヘキセノイル基、n-オクテノイル基、n-デセノイル基、n-ドデセノイル基等が挙げられる。これらの中でも、低分子量とする観点、相溶性や溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2~10のアルケノイル基が好ましく、炭素数2~6のアルケノイル基がより好ましい。
ポリエーテル化合物(B)の具体例としては、ポリオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール-ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシトリメチレンモノメチルエーテル、ポリオキシトリメチレンジメチルエーテル、ポリオキシテトラメチレンジメチルエーテル、ポリオキシトリメチレン-ビスフェノールAエーテル、ポリオキシテトラメチレン-ビスフェノールAエーテル、ポリオキシトリメチレン-ポリオキシテトラメチレン-ビスフェノールAエーテル、ポリオキシトリメチレングリコール-アリルエーテル、ポリオキシトリメチレングリコール-ジアリルエーテル、ポリオキシテトラメチレングリコール-アリルエーテル、ポリオキシテトラメチレングリコール-ジアリルエーテル、ポリオキシトリメチレングリコール-ポリオキシテトラメチレングリコール-アリルエーテル、ポリオキシトリメチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシトリメチレングリコールジステアレート、及び、ポリオキシテトラメチレングリコールジステアレート等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、及びポリオキシトリメチレングリコール-ポリオキシテトラメチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、高温での滞留、成形時にもYI値の上昇が抑えられ、340℃を超える温度で長時間滞留させた後に成形した成形品における光学特性の長期安定性、及び帯電防止性を両立する観点からはポリオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、及びポリオキシトリメチレングリコール-ポリオキシテトラメチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリオキシトリメチレングリコール及びポリオキシテトラメチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、成形品の光学特性の長期安定性及び帯電防止性を両立する観点からはポリオキシトリメチレングリコールがより更に好ましい。
本発明の上記効果に加えて、さらに良好な帯電防止性を得る観点からは、ポリカーボネート樹脂組成物におけるポリエーテル化合物(B)の含有量は少ない方が好ましく、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対するポリエーテル化合物(B)の含有量として、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.2質量部以下、更に好ましくは1.0質量部以下、より更に好ましくは0.9質量部以下である。
本発明の効果と帯電防止性とを両立させる観点から、ポリエーテル化合物(B)が前記一般式(1)中のRB1及びRB2がトリメチレン基であるポリエーテル化合物の場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.1~1.5質量部、より好ましくは0.1~1.2質量部、更に好ましくは0.1~1.0質量部、より更に好ましくは0.1~0.9質量部である。当該含有量が0.1質量部以上であれば良好な色調が得られ、1.5質量部以下であれば良好な帯電防止性が得られる。
一方、ポリエーテル化合物(B)が前記一般式(1)中のRB1及びRB2がテトラメチレン基であるポリエーテル化合物の場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.1~0.9質量部であり、より好ましくは0.1~0.8質量部、更に好ましくは0.1~0.5質量部である。当該含有量が0.1質量部以上であれば良好な色調が得られ、0.9質量部以下であれば良好な帯電防止性が得られる。
帯電防止性は、具体的には実施例に記載の方法により評価される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含有される酸化防止剤(C)は、下記一般式(2)で表される。
式(2)中、RC1~RC5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、又は炭素数6~14のアリール基である。但し、RC1~RC5のすべてが水素原子になることはない。
本発明者らは、前記一般式(2)で表される特定のリン系酸化防止剤を用い、さらに、前述したポリエーテル化合物(B)と併用することで、340℃を超えるような高温条件でも光学特性を損なうことなく成形できるとともに、成形後に熱履歴を受けても色調変化が少なく、長期に亘り安定した光学特性を維持しうる成形品を製造できるポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出した。
炭素数1~12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基等が挙げられる。中でも、酸化防止効果の点からは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、及び各種オクチル基からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert-ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、tert-ブチル基が更に好ましい。
炭素数6~14のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
特に好ましい酸化防止剤(C)は、前記一般式(2)においてRC1及びRC3がtert-ブチル基であり、RC2、RC4及びRC5が水素原子である化合物(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上述の(A)~(C)成分の他に任意の添加剤を適宜添加することができる。当該添加剤としては、エポキシ化合物、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N-メチル-4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸イミド、N-エチル-4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸イミド、N-フェニル-4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸イミド、N-ナフチル-4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸イミド、N-トリル-3-メチル-4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸イミドなどを挙げることができる。これらの中でも、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。
エポキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオルガノシロキサンの屈折率は、ポリカーボネート樹脂に添加した際に透明性を低下させないために、ポリカーボネート樹脂との屈折率の差をできるだけ小さくすることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の屈折率は1.58であることから、ポリオルガノシロキサンの屈折率は、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.52以上である。
ポリオルガノシロキサンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、該樹脂組成物中の酸化防止剤(C)の量に対する、該樹脂組成物を成形した成形品(以下、「成形品(I)」ともいう)中の該酸化防止剤(C)の残存率が60%以上であることが好ましい。より好ましくは62%以上である。
成形品(I)は、好ましくは下記方法(I)で樹脂組成物を成形することにより作製される。
方法(I):ポリカーボネート樹脂組成物をペレット化した上で乾燥させる。次に射出成形法により、シリンダー温度350℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて縦40mm×横80mm×厚さ3.2mmの成形品を成形する。
酸化防止剤(C)の上記残存率(以下、酸化防止剤の残存率(1)とする)が60%以上であると、成形品の初期YI値が低い範囲に抑えられ、かつ、成形後の光学特性の長期安定性も良好になる。
酸化防止剤の残存率(1)は下記式から算出される値である。
残存率(1)=(b1/a1)×100(%)
a1:成形品(I)の成形に使用したポリカーボネート樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量(質量ppm)
b1:成形品(I)中の酸化防止剤の残存量(質量ppm)
成形品(II)は、好ましくは下記方法(II)で樹脂組成物を成形することにより作製される。
方法(II):ポリカーボネート樹脂組成物をペレット化した上で乾燥させる。次に射出成形法により、シリンダー温度350℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒で、20ショット以上の射出成形を行って条件を安定させた後、サイクル時間5分に変更して縦40mm×横80mm×厚さ3.2mmの成形品を成形する。5、6、及び7ショット目の射出成形品を、成形機内で20分の滞留熱履歴を受けた成形品(II)とする。
なお、方法(II)で成形された成形品(II)を用いた各種測定及び評価は、上記の5、6、及び7ショット目の射出成形品の測定値の平均値をとるものとする。
酸化防止剤(C)の上記残存率(以下、酸化防止剤の残存率(2)とする)が50%以上であると、340℃を超える高温条件で滞留させた後に成形した成形品のYI値が低い範囲に抑えられ、かつ、当該成形後の光学特性の長期安定性も良好になる。
酸化防止剤の残存率(2)は下記式から算出される値である。
残存率(2)=(b2/a2)×100(%)
a2:成形品(II)の成形に使用したポリカーボネート樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量(質量ppm)
b2:成形品(II)中の酸化防止剤の残存量(質量ppm)
また、分光光度計を用いてC光源、2度視野の条件で測定される、厚さ3.2mmの前記成形品(II)のYI値をYI2、該成形品(II)を85℃で200時間加熱した後のYI値をYI3とした際に、Δ(YI3-YI2)が0.10以下であることが好ましい。より好ましくは、Δ(YI3-YI2)は0.07以下、更に好ましくは0.06以下である。
ポリカーボネート樹脂組成物のΔ(YI3-YI2)が0.10以下であると、高温条件で滞留、成形後に熱履歴を受けた場合でも色調変化が少なく、光学特性が長期に亘り安定して維持されるため、導光板等の光学成形品用途に好適である。
各YI値は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の成形品は、上記本発明のポリカーボネート樹脂組成物を含むものである。当該成形品は、上記ポリカーボネート樹脂組成物の溶融混練物、又は、溶融混練を経て得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等により製造することができる。特に、得られたペレットを用いて、射出成形法又は射出圧縮成形法により成形品を製造することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、340℃を超える高温での成形にも耐え得ることから、成形材料に対し高い流動性が要求される射出成形法などの成形法に好適である。成形温度には特に制限はないが、例えば薄肉の導光板であれば、280~360℃の温度で成形することが好ましい。
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液(濃度:g/l)の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnell式)にて算出した。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
(A1):「タフロン FN1200」(FORMOSA IDEMITSU PETROCHEMICAL CORP.製、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量(Mv)=11,500)
(A2):「タフロン FN1500」(FORMOSA IDEMITSU PETROCHEMICAL CORP.製、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量(Mv)=14,200)
(A3):「タフロン FN1700」(FORMOSA IDEMITSU PETROCHEMICAL CORP.製、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量(Mv)=17,700)
(B1):「ECOPROL」(SK Chemicals社製、ポリオキシトリメチレングリコール(PO3G)、Mw=2,000)
(B2):「PTMG1000」(三菱化学(株)製、ポリオキシテトラメチレングリコール、Mw=1,000)
(B3):「PTMG2000」(三菱化学(株)製、ポリオキシテトラメチレングリコール、Mw=2,000)
(b1):「PEG#2000」(日油(株)製、ポリオキシエチレングリコール、Mw=2,000)
(b2):「ポリセリンDCB-2000」(日油(株)製、ポリオキシプロピレングリコール-ポリオキシテトラメチレングリコール(40:60)、Mw=2,000)
(C1):「IRGAFOS168」(BASF社製、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)
(c1):「Doverphos S-9228PC」(Dover Chemical社製、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(c2):「アデカスタブ PEP-36」((株)ADEKA製、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
各例において、表1に示す質量比で各成分を配合してポリカーボネート樹脂組成物を調製し、以下の方法で成形して成形品(I)~(III)を作製し各種評価に使用した。
[成形品(I)の作製]
スクリュー径37mmのベント付二軸押出機(東芝機械(株)製「TEM-37SS」)を使用して、シリンダー温度240℃でポリカーボネート樹脂組成物を溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。得られたペレットを120℃で5~7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。乾燥したペレットを、東芝機械(株)製の東芝EC40N電動射出成形機にて、縦40mm×横80mm×厚さ3.2mmの製品一個取りの金型を使って、シリンダー温度350℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒で、20ショット以上の射出成形を行って条件を安定させた後、5ショットの射出成形品を採取した。
(YI1の測定)
得られた5ショット分の成形品(I)について、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製「U-4100」)を用いて、C光源、2度視野の条件でYI値を測定し、その平均値を初期YI値「YI1」とした。
初期YI値であるYI1について、以下の基準で判定した。
A:YI1が1.00以下
B:YI1が1.00超、1.05以下
C:YI1が1.05超
前記成形品(I)の成形を行った後、サイクル時間を5分に変更して同様に成形し、成形品を5分毎に取り出した。成形機内において20、25、30分滞留後に射出した5、6、7ショット目の成形品を成形品(II)とした。
(YI2の測定)
上記3ショット分の成形品(II)について前記と同様にYI値を測定し、その平均値を350℃で20分滞留後のYI値「YI2」とした。
上記成形品(II)を温度85℃のオーブン内で200時間保存して耐久試験を実施し、試験終了後の成形品を成形品(III)とした。
(YI3の測定)
成形品(III)について前記と同様にYI値を測定し、その平均値を、耐久試験後のYI値「YI3」とした。
(Δ(YI3-YI2)の評価)
上記測定結果からΔ(YI3-YI2)の値を算出し、以下の基準で判定した。値が小さいほど、樹脂組成物を高温で長時間滞留させた後に成形した成形品が熱履歴を受けた場合の色調変化が少なく、光学特性の長期安定性に優れることを意味する。
A:Δ(YI3-YI2)が0.06以下
B:Δ(YI3-YI2)が0.06超、0.10以下
C:Δ(YI3-YI2)が0.10超
各例で得られたポリカーボネート樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量、及びその成形品(I)及び(II)中の酸化防止剤の残存量を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、下記式から酸化防止剤の残存率(1)及び(2)を算出した。成形品中の酸化防止剤の残存量は次の方法で測定した。
各成形品を粉砕してクロロホルムに溶解させたのち、メタノールを加え、沈殿した樹脂分を除去した。樹脂分を除去した後の溶液中に含まれる酸化防止剤を高速液体クロマトグラフィーにより定量した。
残存率(1)=(b1/a1)×100(%)
a1:成形品(I)の成形に使用したポリカーボネート樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量(質量ppm)
b1:成形品(I)中の酸化防止剤の残存量(質量ppm)
残存率(2)=(b2/a2)×100(%)
a2:成形品(II)の成形に使用したポリカーボネート樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量(質量ppm)
b2:成形品(II)中の酸化防止剤の残存量(質量ppm)
また、酸化防止剤の残存率(2)について、以下の基準で判定した。
A:残存率50%以上
B:残存率40%以上、50%未満
C:残存率40%未満
(帯電防止性の評価)
スクリュー径37mmのベント付二軸押出機(東芝機械(株)製「TEM-37SS」)を使用して、シリンダー温度240℃でポリカーボネート樹脂組成物を溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。得られたペレットを120℃で5~7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。乾燥後のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「ES1000」)を用いて、射出成形法により、シリンダー温度320℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて成形し、50mm×90mm×厚さ5mmの平板状試験片を作製した。
ハンドヘルドフィールドメーター(トレック・ジャパン株式会社製 Model 511-CE)を用いて平板状試験片の略中心部分の表面の電位(平板状試験片表面の対角線の中点付近の電位)を測定した。このとき、ハンドヘルドフィールドメーターはクランプに固定し、毎回同じ位置の測定ができるようにした。
電位測定は平板状試験片の金型からの取り出し後10秒以内に行うこととし、10回の成形及び電位測定を行ってn=10の平均値を算出した。電位測定の値が最も高かった比較例6を1.0として各例における電位測定の値を規格化し、以下の基準で判定した。値が小さいほど、帯電防止性が良好であることを示す。
A:0.1以下
B:0.1超、0.6以下
C:0.6超
これに対し、ポリエーテル化合物(B)を含まない比較例1ではYI1~YI3がいずれも高い値となり、成形過程及び成形後の耐久試験で黄変が発生した。特定のポリエーテル化合物(B)を含有するが、酸化防止剤が本発明の範囲外である比較例2~5では、成形機内で350℃20分滞留後に成形した成形品(II)における酸化防止剤の残存率が低く、耐久試験前後の色調変化(Δ(YI3-YI2))も大きい。特定の酸化防止剤(C)を含有するが、ポリエーテル化合物が本発明の範囲外である比較例6,7の樹脂組成物ではΔ(YI3-YI2)が0.10を超え、耐久試験前後の成形品の色調変化が大きいことが判った。
また、ポリエーテル化合物(B)として所定量のポリオキシトリメチレングリコールを使用した参考例3及び9、並びに、ポリエーテル化合物(B)がポリオキシテトラメチレングリコールであり、その含有量がポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.1~0.9質量部である実施例6及び7のポリカーボネート樹脂組成物は帯電防止性が特に良好であった。
Claims (14)
- ビスフェノールA構造を有するポリカーボネート樹脂を85~100質量%含有するポリカーボネート樹脂(A)、
重量平均分子量が1,000~4,000であるポリオキシテトラメチレングリコールであるポリエーテル化合物(B)、及び
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトである酸化防止剤(C)を含有し、
前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対する前記ポリエーテル化合物(B)の含有量が0.1~0.9質量部、前記酸化防止剤(C)の含有量が0.06~0.3質量部である、ポリカーボネート樹脂組成物。 - 前記樹脂組成物中の前記酸化防止剤(C)の量に対する、該樹脂組成物を成形した成形品(I)中の該酸化防止剤(C)の残存率が60%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物中の前記酸化防止剤(C)の量に対する、該樹脂組成物を成形機内において350℃で20分滞留後に成形した成形品(II)中の該酸化防止剤(C)の残存率が50%以上である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 分光光度計を用いてC光源、2度視野の条件で測定される、厚さ3.2mmの前記成形品(I)のYI値(YI1)が1.00以下である、請求項2又は3に記載の樹脂組成物。
- 前記YI1が0.95以下である、請求項4に記載の樹脂組成物。
- 分光光度計を用いてC光源、2度視野の条件で測定される、厚さ3.2mmの前記成形品(II)のYI値をYI2、該成形品(II)を85℃で200時間加熱した後のYI値をYI3とした際に、Δ(YI3-YI2)が0.10以下である、請求項3~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記Δ(YI3-YI2)が0.06以下である、請求項6に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が10,000~15,000である、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が10,000~14,200である、請求項8に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリエーテル化合物(B)の分子量が、重量平均分子量(Mw)として、1,000~2,000の範囲である、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対する前記ポリエーテル化合物(B)の含有量が0.1~0.5質量部である、請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂組成物中の(A)~(C)成分の合計含有量が、95質量%以上100質量%以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形品。
- 導光板である、請求項13に記載の成形品。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017016645 | 2017-02-01 | ||
JP2017016645 | 2017-02-01 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018506439A Division JP6441538B1 (ja) | 2017-02-01 | 2018-02-01 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019035098A JP2019035098A (ja) | 2019-03-07 |
JP2019035098A5 JP2019035098A5 (ja) | 2021-02-25 |
JP7033051B2 true JP7033051B2 (ja) | 2022-03-09 |
Family
ID=63039745
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018506439A Active JP6441538B1 (ja) | 2017-02-01 | 2018-02-01 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2018217603A Active JP7033051B2 (ja) | 2017-02-01 | 2018-11-20 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Family Applications Before (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018506439A Active JP6441538B1 (ja) | 2017-02-01 | 2018-02-01 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20200032051A1 (ja) |
EP (1) | EP3578608A4 (ja) |
JP (2) | JP6441538B1 (ja) |
KR (1) | KR20190109423A (ja) |
CN (1) | CN110268017A (ja) |
TW (1) | TWI782947B (ja) |
WO (1) | WO2018143327A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7309452B2 (ja) * | 2019-05-27 | 2023-07-18 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20110112240A1 (en) | 2009-11-07 | 2011-05-12 | Bayer Materialscience Ag | Polycarbonates having improved transmission |
WO2015011994A1 (ja) | 2013-07-26 | 2015-01-29 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
JP2015025068A (ja) | 2013-07-26 | 2015-02-05 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
WO2015087526A1 (ja) | 2013-12-10 | 2015-06-18 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び光学用成形品 |
JP2015180709A (ja) | 2014-03-06 | 2015-10-15 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
US20160122533A1 (en) | 2013-07-26 | 2016-05-05 | Mitsubishi Engineering-Plastics Corporation | Polycarbonate resin composition for thin optical component, and thin optical component |
JP2016121205A (ja) | 2014-12-24 | 2016-07-07 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | 車両ランプ用ライトガイド |
JP2016125028A (ja) | 2015-01-07 | 2016-07-11 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
JP2016216617A (ja) | 2015-05-21 | 2016-12-22 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | 導光フィルム |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS581516B2 (ja) | 1976-04-10 | 1983-01-11 | 古河電気工業株式会社 | 電力ケ−ブル接続部の絶縁処理法 |
JPS581516A (ja) | 1981-06-26 | 1983-01-06 | Sanyo Kokusaku Pulp Co Ltd | シリコ−ン成形物の離型方法 |
JP4069364B2 (ja) | 2002-07-17 | 2008-04-02 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および面光源体 |
JP5613178B2 (ja) * | 2010-01-07 | 2014-10-22 | 出光興産株式会社 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学成形品 |
WO2016125625A1 (ja) * | 2015-02-03 | 2016-08-11 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
KR101981561B1 (ko) * | 2015-03-26 | 2019-05-23 | 스미카 폴리카르보네이트 가부시키가이샤 | 폴리카르보네이트 수지 조성물 및 광학용 성형품 |
JP7271860B2 (ja) * | 2015-05-29 | 2023-05-12 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
JP2017002295A (ja) * | 2015-06-09 | 2017-01-05 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | 光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品 |
JP6645886B2 (ja) * | 2016-03-24 | 2020-02-14 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
-
2018
- 2018-02-01 KR KR1020197022222A patent/KR20190109423A/ko not_active Application Discontinuation
- 2018-02-01 EP EP18747621.3A patent/EP3578608A4/en active Pending
- 2018-02-01 TW TW107103672A patent/TWI782947B/zh active
- 2018-02-01 CN CN201880009322.9A patent/CN110268017A/zh active Pending
- 2018-02-01 US US16/482,398 patent/US20200032051A1/en not_active Abandoned
- 2018-02-01 WO PCT/JP2018/003371 patent/WO2018143327A1/ja unknown
- 2018-02-01 JP JP2018506439A patent/JP6441538B1/ja active Active
- 2018-11-20 JP JP2018217603A patent/JP7033051B2/ja active Active
Patent Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20110112240A1 (en) | 2009-11-07 | 2011-05-12 | Bayer Materialscience Ag | Polycarbonates having improved transmission |
WO2015011994A1 (ja) | 2013-07-26 | 2015-01-29 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
JP2015025068A (ja) | 2013-07-26 | 2015-02-05 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
US20160122533A1 (en) | 2013-07-26 | 2016-05-05 | Mitsubishi Engineering-Plastics Corporation | Polycarbonate resin composition for thin optical component, and thin optical component |
WO2015087526A1 (ja) | 2013-12-10 | 2015-06-18 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び光学用成形品 |
US20160326365A1 (en) | 2013-12-10 | 2016-11-10 | Sumika Styron Polycarbonate Limited | Polycarbonate resin composition and optical molded article |
JP2015180709A (ja) | 2014-03-06 | 2015-10-15 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
JP2016121205A (ja) | 2014-12-24 | 2016-07-07 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | 車両ランプ用ライトガイド |
JP2016125028A (ja) | 2015-01-07 | 2016-07-11 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
WO2016111101A1 (ja) | 2015-01-07 | 2016-07-14 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 薄肉光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および薄肉光学部品 |
JP2016216617A (ja) | 2015-05-21 | 2016-12-22 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | 導光フィルム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2018143327A1 (ja) | 2018-08-09 |
EP3578608A1 (en) | 2019-12-11 |
CN110268017A (zh) | 2019-09-20 |
TWI782947B (zh) | 2022-11-11 |
EP3578608A4 (en) | 2020-10-14 |
KR20190109423A (ko) | 2019-09-25 |
US20200032051A1 (en) | 2020-01-30 |
TW201833220A (zh) | 2018-09-16 |
JP2019035098A (ja) | 2019-03-07 |
JP6441538B1 (ja) | 2018-12-19 |
JPWO2018143327A1 (ja) | 2019-02-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6408760B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5613178B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学成形品 | |
JP6770434B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
WO2015068844A1 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂成形体 | |
JP7271860B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 | |
TWI744473B (zh) | 聚碳酸酯樹脂組合物 | |
WO2015068845A1 (ja) | ポリカーボネート樹脂成形材料 | |
JP6702615B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び光学成形品 | |
JP7033051B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2016169397A (ja) | ポリカーボネート樹脂成形材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20201007 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20201008 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210112 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210714 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210727 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210924 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220208 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220225 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7033051 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |