JP7309452B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、良好な色相と高度の流動性を有し、且つ耐衝撃性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、難燃性等の物性が優れ、高い光線透過率を有する高機能性樹脂であり、その特性を活かして、例えば自動車、電気電子機器、住宅、照明機器、光学用途その他の工業分野における部品製造用材料として幅広く利用されている。
特にその優れた光学特性と難燃性を活かし、近年ではLED光源が主流となりつつある照明機器や光学機器用の光学部品として利用されるようになっている。
しかし、ポリカーボネート樹脂は、機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐候性に優れるが、光線透過率は、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等に比べて低いという問題がある。また、ポリカーボネート樹脂はPMMA樹脂と比べて黄変しやすいという問題がある。
特許文献1には、アクリル樹脂および脂環式エポキシを添加することにより光線透過率および輝度を向上させる方法が提案されている。しかしながら、特許文献1の方法は、アクリル樹脂の添加により色相は良好になるが白濁するために光線透過率および輝度を上げることができず、脂環式エポキシを添加することにより、透過率が向上する可能性はあるが、色相の改善効果は認められない。
一方、ポリエチレングリコール又はポリ(2-メチル)エチレングリコール等をポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂に配合することが知られており、特許文献2にはこれを含有する耐γ線照射性のポリカーボネート樹脂が、特許文献3ではPMMA等に配合した帯電防止性と表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
そして、特許文献4では、直鎖アルキル基で構成されるポリアルキレングリコールを配合することにより、透過率や色相を改良する提案がなされている。ポリテトラメチレンエーテルグリコールを配合することで透過率や黄変度(イエローインデックス:YI)に改善が見られる。
しかし、特に最近、スマートフォンやタブレット型端末等の各種携帯端末においては、薄肉化や大型薄肉化が著しいスピードで進行しており、これら光学部品に用いるポリカーボネート樹脂材料には非常に高い流動性と優れた光学特性が要求される。しかしながら、低分子量のポリカーボネート樹脂の使用や流動改質剤の添加などによる流動性の改善手法は、材料の耐衝撃性を低下させてしまうため、既存の技術にて要求スペックに達するのは非常に困難であった。
特開平11-158364号公報 特開平1-22959号公報 特開平9-227785号公報 特許第5699188号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的(課題)は、極めて高い流動性と優れた色相を有しつつ、優れた耐衝撃性を示すポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の末端構造を有するポリカーボネート樹脂と、特定の数平均分子量のポリトリメチレングリコールおよびリン系安定剤を、それぞれ特定の量で組み合わせて配合することにより、非常に高い流動性と優れた色相を有し、且つ優れた耐衝撃性を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物に関する。
[1]下記一般式(1)に示す末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、数平均分子量が500~5000のポリトリメチレングリコール化合物(B)を0.01~4質量部、リン系安定剤(C)を0.005~0.5質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)[2]ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が10000~20000である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]前記末端構造が下記一般式(1’)に示す末端構造である上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]前記一般式(1)または(1’)におけるRが、n-オクチル基、イソ-オクチル基及びt-オクチル基からなる群から選択される1種以上である上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]ポリカーボネート樹脂(A)の一般式(1)または(1’)における末端構造がt-オクチルフェニル基である上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]さらに、エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.0005~0.2質量部含有する上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
[8]光学部材である上記[7]に記載の成形体。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性が高く、優れた色相を有しつつ、耐衝撃性を高く、成形時のガス発生が少ない。
したがって、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種の光学部品に特に好適に使用できる。
図1は、本発明の実施例II及び比較例IIにおけるQ値(流動性)と耐衝撃強度との関係を示すグラフである。 図2は、実施例での金型汚染の評価に使用したしずく型金型の平面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。
なお、本明細書において、「~」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記一般式(1)に示す末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、数平均分子量が500~5000のポリトリメチレングリコール化合物(B)を0.01~4質量部、リン系安定剤(C)を0.005~0.5質量部含有することを特徴とする。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分等につき、詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明において使用するポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される末端構造を有する。
(式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)
ポリカーボネート樹脂は、式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。中でも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフチル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中ではビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタン-1,3-ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’-オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジエタノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3-ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6-ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’-ビフェニルジメタノール、4,4’-ビフェニルジエタノール、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2-エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2-エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2-エポキシシクロペンタン、1,2-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1-メチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、2,3-エポキシノルボルナン、1,3-エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
以下、これらの方法のうち、特に好適なものについて具体的に説明する。
[界面重合法]
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じてジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10~12にコントロールするために、5~10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10~12、好ましくは10~11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’-ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’-ジメチルアニリン、N,N’-ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、末端停止剤は、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されないが、ホスゲン吹込み工程に続いて添加するのが好ましい。
なお、反応温度は通常0~40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)~数時間(例えば、6時間)である。
[溶融エステル交換法]
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-tert-ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100~320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式のいずれの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物、リン含酸性化合物及びそれらの誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
本発明において使用するポリカーボネート樹脂は、前記したように、下記一般式(1)で表される末端構造を有することを特徴とする。
式(1)中、nは0もしくは1の整数であり、Rは炭素数5~14のアルキル基である。ポリカーボネート樹脂(A)が、上記式(1)の末端構造を有することにより、強度を維持しながら高度の流動性を可能とし、色相も良好である。このため、流動性向上のためにポリカーボネート樹脂の分子量を低くすることが通常行われるが、本発明では、材料設計の際に、分子量を下げることなく所望の分子量を採用しても高度の流動性を達成できるので、高い強度を維持したまま良好な色相と流動性を可能とする。そして、ポリトリメチレングリコール化合物(B)を含有することで色相と強度をより向上させることができる。
のアルキル基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、また、好ましくは12以下であり、10以下であることがより好ましい。Rのアルキル基は、直鎖のものでも分岐していてもよい。
中でも、Rは、n-オクチル基、イソ-オクチル基及びt-オクチル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、t-オクチル基がより好ましく、一般式(1)における末端構造がt-オクチルフェニル基(即ち、1,1,3,3-テトラメチルブチルフェニル基)であることが特に好ましい。
上記式(1)中、フェニル基に結合する-(O)基の位置は、オルト位でもメタ位でもパラ位でも良いが、下記一般式(1’)に示すパラ位が望ましい。
上記式(1)または(1’)で表される基の具体例としては、p-ペンチルフェニル基、p-ヘキシルフェニル基、p-ヘプチルフェニル基、p-n-オクチルフェニル基、p-イソ-オクチルフェニル基、p-t-オクチルフェニル基、p-ドデシルフェニル基及びp-テトラデシルフェニル基、p-ノニルフェノール、p-ドデシルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、ミリスチルフェノール等のアルキルフェニル基、p-ヘキシルオキシフェニル基、p-n-オクチルオキシフェニル基、p-イソ-オクチルオキシフェニル基、p-t-オクチルオキシフェニル基、p-ドデシルオキシフェニル基等のアルコキシフェニル基を好ましく挙げることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、重合により製造する際に、下記一般式(1a)で表される1価フェノールの末端停止剤を用いることにより製造することができる。
(式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)
一般式(1a)で表される末端停止剤の具体例としては、p-ペンチルフェノール、p-ヘキシルフェノール、p-ヘプチルフェノール、p-n-オクチルフェノール、p-イソ-オクチルフェノール、p-t-オクチルフェノール、p-ドデシルフェノールおよびp-テトラデシルフェノール、p-ノニルフェノール、p-ドデシルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、ミリスチルフェノール等のアルキルフェノール、p-ヘキシルオキシフェノール、p-n-オクチルオキシフェノール、p-イソ-オクチルオキシフェノール、p-t-オクチルオキシフェノール、p-ドデシルオキシフェノール等のアルコキシフェノールを好ましく挙げることができ、これらのいずれか若しくは複数を末端停止剤として使用することができる。式(1a)中、フェニル基に結合する-(O)基の位置は、オルト位でもメタ位でもパラ位でも良いが、パラ位が望ましい。
中でも、p-t-オクチルフェノール、p-n-オクチルオキシフェノールのいずれかもしくは複数を末端停止剤として使用することが、流動性、成形体の強度及び耐熱性に加え、入手のし易さの観点からより好ましい。
末端停止剤は、材料に対する要求特性により、本発明の主旨を逸脱しない範囲で2種類以上併用してもよく、また、一般式(1)で示される構造以外の構造のものと併用することも可能である。
併用してもよい他の末端停止剤としては、例えば、フェノール、p-クレゾール、o-クレゾール、2,4-キシレノール、p-t-ブチルフェノール、o-アリルフェノール、p-アリルフェノール、p-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-プロピルフェノール、p-クミルフェノール、p-フェニルフェノール、o-フェニルフェノール、p-トリフルオロメチルフェノール、オイゲノール、パルミチルフェノール、ステアリルフェノール、ベヘニルフェノール等のアルキルフェノール及びp-ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル等のp-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステルが挙げられる。
他の末端停止剤は2種類以上併用して使用することも可能である。特に一般式(1a)の末端停止剤と併用してもよい末端停止剤としては、純度やコストの観点から、p-t-ブチルフェノールが挙げられる。
他の末端停止剤を使用する場合は、ポリカーボネート樹脂(A)を含むポリカーボネート樹脂全体の全末端停止剤中の20mol%以下であることが好ましく、10mol%以下であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、粘度平均分子量(Mv)で10000~20000であることが好ましく、より好ましくは10500以上、さらに好ましくは11000以上、特に好ましくは11500以上、最も好ましくは12000以上であり、より好ましくは19000以下、さらに好ましくは18500以下、特に好ましくは18000以下である。粘度平均分子量を上記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、粘度平均分子量を上記範囲の上限値以下とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行えるようになる。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)は、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、本発明において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度25℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83から算出される値を意味する。また、極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂(A)単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、ポリカーボネート樹脂(A)以外の、他の末端構造を有するポリカーボネート樹脂と組み合わせて含有してもよい。このようなポリカーボネート樹脂としては、市販品としても代表的なp-t-ブチルフェニル基末端構造を有するポリカーボネート樹脂等が挙げられる。他の末端構造を有するポリカーボネート樹脂を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下、最も好ましくは10質量部以下である。
また、本発明においては、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量(Mv)は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂を含有する場合の量は、ポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、中でも20質量%以下、特には10質量%以下であることが好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[ポリトリメチレングリコール(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリトリメチレングリコール(B)を含有する。
ポリトリメチレングリコール(B)は、[-CHCHCH-O-]を構造単位とするポリエーテルであり、工業的にはメチレン基が直鎖状に結合するトリメチレングリコール(または1,3-プロパンジオール)を、酸触媒を用いて重縮合させることによって製造される。ポリトリメチレングリコール(B)は、ポリプロピレングリコールと一般に称されるポリエーテルとは異なる。ポリプロピレングリコールは、通常プロピレンオキシドの開環重合により製造され、ポリ(2-アルキル)エチレングリコールであり、メチル分岐を有する構造単位から構成されるポリエーテルである。
トリメチレングリコールは、HOCHCHCHOHで示されるが、工業的にはエチレンオキシドのヒドロホルミル化により3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドを得、これを水添する方法、またはアクロレインを水和して得た3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドをNi触媒で水素化する方法等により製造される。また、最近ではバイオ法により、グリセリン、グルコース、澱粉等を微生物に還元させてトリメチレングリコールを製造することが行われている。
トリメチレングリコールからポリトリメチレングリコールを製造する方法は、例えば、米国特許出願公開第20020007043号明細書及び同第20020010374号明細書に記載されおり、酸触媒を用いてトリメチレングリコールを重縮合させることによって製造することができる。酸触媒としては、硫酸、フルオロスルホン酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、トリフルオロメタンスルホン酸が挙げられ、特に好ましい触媒は硫酸である。
ポリトリメチレングリコール(B)は、単独重合体であってもよく、トリメチレングリコール以外の1種ないし2種以上のアルキレングリコールとの共重合体であってもよい。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。
また、ポリトリメチレングリコール(B)は、その末端基はヒドロキシル基であることが好ましい。加えて、その片末端あるいは両末端がアルキルエーテル、アリールエーテル、アラルキルエーテル、脂肪酸エステル、アリールエステルなどで封止されていてもその性能発現に影響はなく、エーテル化物またはエステル化物が同様に使用できる。
アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、炭素数1~22のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等であり、ポリトリメチレングリコールのメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ラウリルエーテル、ステアリルエーテル等が好ましく例示できる。
アリールエーテルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6~22、より好ましくは炭素数6~12、さらに好ましくは炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。アラルキル基としては、好ましくは炭素数7~23、より好ましくは炭素数7~13、さらに好ましくは炭素数7~11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1~22の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、例えば、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸である。
アリールエステルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6~22、より好ましくは炭素数6~12、さらに好ましくは炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。末端封止する基は、アラルキル基であってもポリカーボネートと良好な相溶性を示すことから、アリール基と同様の作用を発現でき、アラルキル基としては、好ましくは炭素数7~23、より好ましくは炭素数7~13、さらに好ましくは炭素数7~11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
本発明において、ポリトリメチレングリコール(B)は、数平均分子量Mnが500~5000であるものを使用する。Mnは、好ましくは700以上であり、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは1500以上であり、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3000以下である。上記範囲の上限を超えると、相溶性が低下するので好ましくなく、又上記範囲の下限を下回ると成形時にガスが発生するので好ましくない。
ここでいうポリトリメチレングリコールの数平均分子量MnはJIS K1577に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
ポリトリメチレングリコール(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01~4質量部である。好ましい含有量は0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上、中でも0.3質量部以上、とりわけ0.4質量部以上、特には0.5質量部以上であることが好ましく、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2.5質量部以下、中でも2質量部以下、特には1.5質量部以下が好ましい。含有量が0.01質量部を下回ると、色相や黄変の改善が十分ではなく、4質量部を超えると、ポリカーボネート樹脂の白濁により透過率が低下するとともに、押出機による溶融混練の際に、ストランドの断線が多発し、樹脂組成物ペレットの作成が困難となる。
[リン系安定剤(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤を含有する。リン系安定剤を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の色相がさらに良好なものとなり、そして、さらに耐熱変色性が向上する。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;ホスフェート化合物、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物などが挙げられるが、ホスファイト化合物が特に好ましい。ホスファイト化合物を選択することで、より高い耐変色性と連続生産性を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
ここでホスファイト化合物は、一般式:P(OR)で表される3価のリン化合物であり、Rは、1価または2価の有機基を表す。
このようなホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジホスファイト、6-[3-(3-tert-ブチル-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
このようなホスファイト化合物のなかでも、下記式(2)または(3)で表される芳香族ホスファイト化合物が、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱変色性が効果的に高まるため、より好ましい。
(式中、R、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数6以上30以下のアリール基を表す。)
(式中、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数6以上30以下のアリール基を表す。)
上記式(2)で表されるホスファイト化合物としては、中でもトリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等が好ましく、中でもトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトがより好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、住友化学社製「スミライザーTNP」、城北化学工業社製「JP-351」、ADEKA社製「アデカスタブ2112」、BASF社製「イルガフォス168」、城北化学工業社製「JP-650」等が挙げられる。
上記式(3)で表されるホスファイト化合物としては、中でもビス(2,4-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトのようなペンタエリスリトールジホスファイト構造を有するものが特に好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には例えば、ADEKA社製「アデカスタブPEP-24G」、「アデカスタブPEP-36」、Doverchemical社製「Doverphos S-9228」等が好ましく挙げられる。
ホスファイト化合物のなかでも、上記式(3)で表される芳香族ホスファイト化合物が、色相がより優れるため、より好ましい。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
リン系安定剤(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.005~0.5質量部であり、好ましくは0.007質量部以上、より好ましくは0.008質量部以上、特に好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.4質量以下、より好ましくは0.3質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、特には0.1質量部以下である。リン系安定剤(C)の含有量が、0.005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となり、0.5質量部を超える場合は、耐熱変色性がかえって悪化するだけでなく、湿熱安定性も低下する。
[エポキシ化合物またはオキセタン化合物(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに、エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物(D)を含有することも好ましい。
<エポキシ化合物>
本発明の樹脂組成物はエポキシ化合物を含有することも好ましい。エポキシ化合物をポリトリメチレングリコール化合物(B)と併せて含有することで耐熱変色性をより向上させることができる。
エポキシ化合物としては、1分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。具体的には、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6’-メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール-Aジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール-Aグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などを好ましく例示することができる。
エポキシ化合物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、脂環族エポキシ化合物が好ましく用いられ、特に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましい。
エポキシ化合物を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.0005~0.2質量部であり、より好ましくは0.001質量部以上、さらに好ましくは0.003質量部以上、特に好ましくは0.005質量部以上であり、また、より好ましくは0.15質量以下、さらに好ましくは0.1質量部以下、特に好ましくは0.05質量部以下である。エポキシ化合物の含有量が0.0005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となりやすく、0.2質量部を超える場合は、耐熱変色性が却って悪化しやすく色相や湿熱安定性も低下しやすい。
<オキセタン化合物>
本発明の樹脂組成物はオキセタン化合物を含有することも好ましい。オキセタン化合物をポリトリメチレングリコール化合物(B)と併せて含有することで耐熱変色性をより向上させることができる。
オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン基を有する化合物であればいずれも使用することができ、分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物および分子中にオキセタン基を2個以上有する2官能以上のポリオキセタン化合物のいずれもが使用できる。
オキセタン化合物を含有することによって、良好な色相と高度の耐熱変色性を一層向上させることができる。
モノオキセタン化合物としては、下記の一般式(4)、(5)または(6)で表される化合物などを好ましく例示することができる。
(式中、Rはアルキル基、Rはアルキル基またはフェニル基を示し、Rは芳香環を有していてもよい2価の有機基、nは0または1を示す。)
上記一般式(4)、(5)及び(6)において、Rはアルキル基であるが、好ましくは炭素数1~6のアルキル基であり、メチル基またはエチル基が好ましく、特に好ましくはエチル基である。
また、Rはアルキル基またはフェニル基であるが、好ましくは炭素数2~10のアルキル基であり、鎖状のアルキル基、分岐したアルキル基または脂環式アルキル基のいずれであってもよく、或いはアルキル鎖の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する鎖状または分岐状のアルキル基であってもよい。Rの具体例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3-オキシペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などを挙げることができる。そのうちでも、Rは2-エチルヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル基が好ましい。
一般式(4)の化合物の具体例としては、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタンなどを好ましく挙げることができる。そのうちでも、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン等が特に好ましい。
一般式(5)の化合物の具体例としては、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン等が特に好ましい。
一般式(6)において、Rは芳香環を有していてもよい2価の有機基であるが、その例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n-ペンタメチレン基、n-ヘキサメチレン基等の炭素数1~12の直鎖状または分岐状のアルキレン基、フェニレン基、式:-CH-Ph-CH-または-CH-Ph-Ph-CH-(ここで、Phはフェニル基を示す)で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基などを挙げることができる。
一般式(6)の化合物の具体例としては、ビス(3-メチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-プロピル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-ブチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン等を特に好ましく挙げることができる。
オキセタン化合物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
オキセタン化合物を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.0005~0.2質量部であり、より好ましくは0.001質量部以上、さらに好ましくは0.003質量部以上、特に好ましくは0.005質量部以上であり、また、より好ましくは0.15質量以下、さらに好ましくは0.1質量部以下、特に好ましくは0.05質量部以下である。オキセタン化合物(E)の含有量が、0.0005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となりやすく、0.2質量部を超える場合は、耐熱変色性が却って悪化しやすく、成形時のガスが発生しやすい。
エポキシ化合物とオキセタン化合物は、両者を併せて含有することも好ましく、両者を含有する場合の合計の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.0005~0.2質量部であることが好ましい。
[添加剤等]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記した以外のその他の添加剤、例えば、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、ポリカーボネート樹脂以外の他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤は一種または二種以上を配合してもよい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリトリメチレングリコール化合物(B)及びリン系安定剤(C)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して各種成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して成形品にすることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、極めて高い流動性と優れた色相、さらに優れた耐衝撃性を示し、さらに成形時のガス発生が少ないことから、射出成形法により、光学部品、特に薄肉の光学部品を成形するのに好適に用いられる。射出成形の際の樹脂温度は、特に薄肉の成形品の場合には、一般にポリカーボネート樹脂の射出成形に適用される温度である260~300℃よりも高い樹脂温度にて成形することが好ましく、305~380℃の樹脂温度が好ましい。樹脂温度は310℃以上であるのがより好ましく、315℃以上がさらに好ましく、320℃以上が特に好ましく、370℃以下がより好ましい。従来のポリカーボネート樹脂組成物を用いた場合には、薄肉成形品を成形するために成形時の樹脂温度を高めると、成形品の黄変が生じやすくなるという問題もあったが、本発明の樹脂組成物を使用することで、上記の温度範囲であっても、良好な色相を有する成形品、特に薄肉の光学部品を製造することが可能となる。また、薄肉成形品を成形するためにポリカーボネート樹脂の分子量を下げることも従来から行われているが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は流動性が良好なので、分子量を下げずとも薄肉成形が可能なので、より強度の高い成形品とすることが可能となる。
なお、樹脂温度とは、直接測定することが困難な場合はバレル設定温度として把握される。
ここで、薄肉成形品とは、肉厚が通常1mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下の板状部を有する成形品をいう。ここで、板状部は、平板であっても曲板状になっていてもよく、平坦な表面であっても、表面に凹凸等を有してもよく、また断面は傾斜面を有していたり、楔型断面等であってもよい。
光学部品としては、LED、有機EL、白熱電球、蛍光ランプ、陰極管等の光源を直接または間接に利用する機器・器具の部品が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いた光学部品は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の分野で好適に使用できる。このような装置の例としては、携帯電話、モバイルノート、ネットブック、スレートPC、タブレットPC、スマートフォン、タブレット型端末等の各種携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、各種ディスプレイ、照明機器等が挙げられる。
以下、実施例を示して、本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した原料は、以下の表1-2の通りである。なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量Mvの測定方法は、前述した通りである。
(実施例I-1~15、比較例I-1~7)
[樹脂組成物ペレットの製造]
上記表1~2に記載した各成分を、以下の表3~4に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチック機械社製「VS-40」)により、シリンダー温度240℃で溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。
[色相(YI)及びΔYI(耐熱変色性の評価)]
得られたペレットを120℃で5~7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した後、射出成形機(Sodick社製「HSP100A」)により、樹脂温度340℃、金型温度80℃で長光路成形品(300mm×7mm×4mm)を成形した。
この長光路成形品について、300mmの光路長でYI(黄変度)の測定を行った。測定には長光路分光透過色計(日本電色工業社製「ASA 1」、C光源、2°視野)を使用した。
次に、上記長光路成形品を95℃で500時間保持した後、300mmの光路長でYIを測定し、初期YI値との差ΔYIを求め、耐熱変色性の評価を行った。
[単位時間あたりの流出量:Q値(単位:×10-2cm/sec)]
上記の方法で得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、JIS P8115に準拠し、高架式フローテスターを用いて、280℃の温度、荷重160kgf/cmの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量(Q値、単位:×10-2cm/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
[耐衝撃性評価:ノッチ付シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)]
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で、ISO179-1、2に基づく3mm厚の耐衝撃性試験片を作製した。得られた試験片をR0.25mm/深さ2mmのノッチ切削加工を行い、23℃の温度環境下においてノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。
[成形時のガス発生:金型汚染性評価(金型付着物)]
射出成形における汚染性評価(金型汚れ)
上記で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE7M」)を用い、図2に示すようなしずく型金型を用いて、シリンダー温度を340℃、成形サイクル10秒、金型温度40℃の条件にて、150ショット射出成形し、終了後の金型固定側の金属鏡面に発生する白い付着物による汚れの状態を、下記の基準で、目視にて評価判定した。
A:金型付着物量が少なく、耐金型汚染性は極めて良好である。
B:金型付着物量は、AとCの間で少し見られる。
C:金型付着物が多く、金型汚染が著しく見られる。
なお、図2のしずく型金型は、ゲートGから樹脂組成物を導入し、尖端P部分に発生ガスが溜まり易くなるように設計した金型である。ゲートGの幅は1mm、厚みは1mmであり、図2において、幅h1は14.5mm、長さh2は7mm、長さh3は27mmであり、成形部の厚みは3mmである。
以上の評価結果を以下の表3~4に示す。
(実施例II-1~3、比較例II-1~5)
[樹脂組成物ペレットの製造]
前記表1~2に記載した各成分を、以下の表5に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチック機械社製「VS-40」)により、シリンダー温度240℃で溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。
[色相(YI)及びΔYI(耐熱変色性の評価)]
得られたペレットを120℃で5~7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した後、射出成形機(Sodick社製「HSP100A」)により、樹脂温度340℃、金型温度80℃で長光路成形品(300mm×7mm×4mm)を成形した。
この長光路成形品について、300mmの光路長でYI(黄変度)の測定を行った。測定には長光路分光透過色計(日本電色工業社製「ASA 1」、C光源、2°視野)を使用した。
次に、上記長光路成形品を95℃で500時間保持した後、300mmの光路長でYIを測定し、初期YI値との差ΔYIを求め、耐熱変色性の評価を行った。
[単位時間あたりの流出量:Q値(単位:×10-2cm/sec)]
上記の方法で得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、JIS P8115に準拠し、高架式フローテスターを用いて、240℃の温度、荷重160kgf/cmの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量(Q値、単位:×10-2cm/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
[耐衝撃性評価:ノッチ付シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)]
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で、ISO179-1、2に基づく3mm厚の耐衝撃性試験片を作製した。得られた試験片をR1.0mm/深さ2mmのノッチ切削加工を行い、23℃の温度環境下においてノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。
[成形時のガス発生:金型汚染性評価(金型付着物)]
射出成形における汚染性評価(金型汚れ)
上記で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE8M」)を用い、前記したしずく型金型を用いて、シリンダー温度を340℃、成形サイクル10秒、金型温度40℃の条件にて、150ショット射出成形し、終了後の金型固定側の金属鏡面に発生する白い付着物による汚れの状態を、下記の基準で、目視にて評価判定した。
A:金型付着物量が少なく、耐金型汚染性は極めて良好である。
B:金型付着物量は、AとCの間で少し見られる。
C:金型付着物が多く、金型汚染が著しく見られる。
以上の評価結果を以下の表5に示す。
図1は、上記実施例IIと比較例IIにおけるQ値(流動性)とノッチ付シャルピー衝撃強度との関係を示すグラフであり、●は実施例、▲が比較例である。
図1から実施例はいずれも流動性と衝撃強度をバランスよく達成できており、比較例よりも高い流動性を有しつつ、優れた衝撃強度を維持していることが分かる。一方、比較例はそのバランスが劣ることが分かる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、良好な色相と非常に高い流動性を有し、且つ耐衝撃性にも優れるポリカーボネート樹脂材料であるので、各種光学部品等に好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)に示す末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、数平均分子量が500~5000のポリトリメチレングリコール化合物(B)を0.01~4質量部、リン系安定剤(C)を0.005~0.5質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    (式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)
  2. ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が10000~20000である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記末端構造が下記一般式(1’)に示す末端構造である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)または(1’)におけるRが、n-オクチル基、イソ-オクチル基及びt-オクチル基からなる群から選択される1種以上である請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. ポリカーボネート樹脂(A)の一般式(1)または(1’)における末端構造がt-オクチルフェニル基である請求項1~4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. さらに、エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.0005~0.2質量部含有する請求項1~5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
  8. 光学部材である請求項7に記載の成形体。
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