JP6587948B2 - 光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および光学部品 - Google Patents

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本発明は、光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物および光学部品に関し、詳しくは、良好な色相を有し且つ成形時の金型汚染が極めて少ない光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形した光学部品に関する。
パーソナルコンピュータ、携帯電話等に使用される液晶表示装置には、その薄型化、軽量化、省力化、高精細化の要求に対応するために、面状光源装置が組み込まれている。そして、この面状光源装置には、入光する光を液晶表示側に均一かつ効率的に導く役割を果たす目的で、一面が一様な傾斜面を有する楔型断面の導光板や平板形状の導光板が備えられている。また導光板の表面に凹凸パターンを形成して光散乱機能を付与するものもある。
このような導光板は、熱可塑性樹脂の射出成形によって得られ、上記の凹凸パターンは入れ子の表面に形成された凹凸部の転写によって付与される。従来、導光板はポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂材料から成形されてきたが、最近では、より鮮明な画像を映し出す表示装置が求められ、光源近傍で発生する熱によって機器装置内が高温化する傾向にあるため、より耐熱性の高いポリカーボネート樹脂材料に置き換えられつつある。
ポリカーボネート樹脂は、機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐候性に優れるが、光線透過率は、PMMA等に比べて低いことから、ポリカーボネート樹脂製の導光板と光源とから面光源体を構成した場合、輝度が低いという問題がある。また最近では導光板の入光部と入光部から離れた場所の色度差を少なくすることが求められているが、ポリカーボネート樹脂はPMMA樹脂と比べて黄変しやすいという問題がある。
特許文献1には、アクリル樹脂および脂環式エポキシを添加することにより光線透過率および輝度を向上させる方法、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂末端を変性し導光板への凹凸部の転写性を上げることにより輝度を向上させる方法、特許文献3には、脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネートを導入して上記の転写性を向上させることにより輝度を向上させる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法は、アクリル樹脂の添加により色相は良好になるが白濁するために光線透過率および輝度を上げることができず、脂環式エポキシを添加することにより、透過率が向上する可能性はあるが、色相の改善効果は認められない。特許文献2および特許文献3の場合、流動性や転写性の改善効果は期待できるものの、耐熱性が低下するという欠点がある。
一方、ポリエチレングリコール等をポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂に配合することが知られており、特許文献4にはこれを含有する耐γ線照射性のポリカーボネート樹脂が、特許文献5ではPMMA等に配合した帯電防止性と表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
そして、特許文献6では、直鎖アルキル基で構成されるポリアルキレングリコールを配合することにより、透過率や色相を改良する提案がなされている。ポリテトラメチレンエーテルグリコールを配合することで透過率や黄変度(イエローインデックス:YI)に改善が見られる。
しかし、特に最近、スマートフォンやタブレット型端末等の各種携帯端末においては、薄肉化や大型薄肉化が著しいスピードで進行しており、導光板への入光を直下型から横側エッジから行うエッジ型が採用されるようになり、超薄型の光源として十分な輝度が要求されてきている。このようなハイエンドの導光板においては、上記従来技術が達成する透過率やYIレベルでは要求スペックを満たさないというのが現状である。
特開平11−158364号公報 特開2001−208917号公報 特開2001−215336号公報 特開平1−22959号公報 特開平9−227785号公報 特許第5699188号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリカーボネート樹脂本来の特性を何ら損なうことなく、良好な色相を有し且つ成形時の金型汚染が極めて少ない光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物及び光学部品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体を特定の量で、さらにリン系安定剤を併せて配合することにより、良好な色相を有し且つ成形時の金型汚染が極めて少ない光学部品用のポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物及び光学部品を提供する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体(B)0.05〜4質量部及びリン系安定剤(C)0.005〜0.5質量部を含有することを特徴とする光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
[2]さらに、エポキシ化合物(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.0005〜0.2質量部含有する上記[1]に記載の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
[3]前記ポリアルキレングリコール重合体(B)が、ネオペンチルエーテル単位とテトラメチレンエーテル単位を有するポリアルキレングリコール共重合体である上記[1]又は[2]に記載の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
[4]前記ポリアルキレングリコール重合体(B)が、ジネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
[5]前記ポリアルキレングリコール重合体(B)が、ジネオペンチルエーテル単位とテトラメチレンエーテル単位を有するポリアルキレングリコール共重合体である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
[6]ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)が10,000〜15,000である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる光学部品。
本発明の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物は、ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体(B)を、リン系安定剤(C)と併せて含有することで、金型付着物量を抑制したまま、大幅に色相が改良されることとなり、成形の際には金型汚染が極めて少なく、ポリカーボネート樹脂本来の特性を何ら損なうことなく色相が良好な光学部品を得ることができる。
本発明の実施例において、金型汚染性の評価で使用したしずく型金型を示す模式図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[概要]
本発明の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体(B)0.05〜4質量部及びリン系安定剤(C)0.005〜0.5質量部を含有することを特徴とする。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分、光学部品等につき、詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明において使用するポリカーボネート樹脂の種類に制限はなく、ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中ではビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’−オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
以下、これらの方法のうち、特に好適なものについて具体的に説明する。
界面重合法
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン又はその塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o−ヒドロキシ安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
溶融エステル交換法
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量(Mv)で、10,000〜15,000であることが好ましく、より好ましくは10,500以上、さらに好ましくは11,000以上、特には11,500以上、最も好ましくは12,000以上であり、より好ましくは14,500以下である。粘度平均分子量を上記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、粘度平均分子量を上記範囲の上限値以下とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83から算出される値を意味する。また、極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これによりポリカーボネート樹脂の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[ポリアルキレングリコール重合体(B)]
本発明の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物は、ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体(B)を含有する。
ネオペンチルエーテル単位は、ネオペンチルグリコール、即ち、(2,2−ジエチル)トリメチレングリコールに由来する以下の式(1)で示されるエーテル含有単位である。
−[−CH−C(CHCHO−]−…(1)
また、ネオペンチルエーテル単位は、ジネオペンチルエーテル単位であることも好ましく、ジネオペンチルグリコールに由来する以下の式(2)で示されるエーテル含有単位である。
−[−CH−C(CHCHO−CH−C(CHCHO−]−…(2)
なお、以下の説明において、上記式(2)のジネオペンチルグリコール由来のエーテル含有単位は、式(1)のネオペンチルエーテル単位1モルの2倍のモル量として計算されるものとする。
ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体(B)は、上記式(1)及び(2)で示されるネオペンチルエーテル単位からなる単独重合体であってもよく、他のアルキレンエーテル単位を有する共重合体であってもよい。式(1)及び(2)以外の他のアルキレンエーテル単位としては、直鎖状または側鎖状のものが挙げられる。
直鎖のアルキレンエーテル単位としては、これをアルキレングリコールとして挙げると、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールが好ましく挙げられ、より好ましくはテトラメチレングリコールである。
また、分岐のアルキレンエーテル単位としては、アルキレングリコールとして挙げると、(2−メチル)エチレングリコール、(2−エチル)エチレングリコール、(2,2−ジメチル)エチレングリコール等の分岐を有するエチレングリコール類;
(2−メチル)トリメチレングリコール、(3−メチル)トリメチレングリコール、(2−エチル)トリメチレングリコール、(3−エチル)トリエチレングリコール、(2,2−ジメチル)トリメチレングリコール、(2,2−メチルエチル)トリメチレングリコール、(3,3−ジメチル)トリメチレングリコール、(3,3−メチルエチル)トリメチレングリコール、(3,3−ジエチル)トリメチレングリコール等の分岐を有するトリメチレングリコール類;
(3−メチル)テトラメチレングリコール、(4−メチル)テトラメチレングリコール、(3−エチル)テトラメチレングリコール、(4−エチル)テトラメチレングリコール、(3,3−ジメチル)テトラメチレングリコール、(3,3−メチルエチル)テトラメチレングリコール、(3,3−ジエチル)テトラメチレングリコール、(4,4−ジメチル)テトラメチレングリコール、(4,4−メチルエチル)テトラメチレングリコール、(4,4−ジエチル)テトラメチレングリコール等の分岐を有するテトラメチレングリコール類;
(3−メチル)ペンタメチレングリコール、(4−メチル)ペンタメチレングリコール、(5−メチル)ペンタメチレングリコール、(3−エチル)ペンタメチレングリコール、(4−エチル)ペンタメチレングリコール、(5−エチル)ペンタメチレングリコール、(3,3−ジメチル)ペンタメチレングリコール、(3,3−メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(3,3−ジエチル)ペンタメチレングリコール、(4,4−ジメチル)ペンタメチレングリコール、(4,4−メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(4,4−ジエチル)ペンタメチレングリコール、(5,5−ジメチル)ペンタメチレングリコール、(5,5−メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(5,5−ジエチル)ペンタメチレングリコール等の分岐を有するペンタメチレングリコール類などが挙げられる。
以上、アルキレンエーテル単位を便宜的にグリコールとして記載したが、これらグリコールに限らず、これらのアルキレンオキシド、あるいはこれらのポリエーテル形成性誘導体も同様に記載したものと理解されたい。
ポリアルキレングリコール重合体(B)が、式(1)及び(2)以外の他のアルキレンエーテル単位との共重合体である場合は、他のアルキレンエーテル単位は1種又は2種以上の共重合体であってもよく、共重合体としてはランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
ネオペンチルエーテル単位の量は、好ましくはモル%で10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上、特には25モル%以上が好ましく、また、好ましくは80モル%未満であり、より好ましくは70モル%未満、さらに好ましくは60モル%未満、特に50モル%未満が好ましい。
ネオペンチルエーテル単位の量が10モル%未満であった場合、ポリアルキレングリコール重合体(B)が分解しやすくなり、金型付着物が増加しやすく、80モル%以上であった場合、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が低下しやすい。
また、ジネオペンチルエーテル単位の量は、前記したようにネオペンチルエーテル単位の2倍モルと計算して、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上であり、また好ましくは60モル%未満であり、さらに好ましくは50モル%未満であり、中でも40モル%未満、特に30モル%以下であることが好ましい。
なお、モル分率の測定は、各種の方法で可能であるが、好ましくは、H−NMR測定装置を用い、重水素化クロロホルムを溶媒として測定される。
ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体を製造する方法は公知の方法が適用でき、上記したようなグリコール、またはアルキレンオキシドあるいはそのポリエーテル形成性誘導体を、通常、酸触媒を用いて、重縮合させることによって製造することができる。
また、ポリアルキレングリコール重合体(B)において、その末端基はヒドロキシル基であることが好ましい。加えて、その片末端あるいは両末端がアルキルエーテル、アリールエーテル、アラルキルエーテル、脂肪酸エステル、アリールエステルなどで封鎖されていてもその性能発現に影響はなく、エーテル化物またはエステル化物が同様に使用できる。
末端アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、炭素数1〜22のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等であり、ポリアルキレングリコールのメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ラウリルエーテル、ステアリルエーテル等が好ましく例示できる。
末端アリールエーテルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6〜22、より好ましくは炭素数6〜12、さらに好ましくは炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。アラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜23、より好ましくは炭素数7〜13、さらに好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
末端脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。
末端脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1〜22の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、例えば、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸である。
末端アリールエステルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6〜22、より好ましくは炭素数6〜12、さらに好ましくは炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。末端封止する基は、アラルキル基であってもポリカーボネートと良好な相溶性を示すことから、アリール基と同様の作用を発現でき、アラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜23、より好ましくは炭素数7〜13、さらに好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
ポリアルキレングリコール重合体(B)の数平均分子量としては、200〜5,000であることが好ましく、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上であり、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。上記範囲の上限を超えると相溶性が低下しやすいので好ましくなく、又上記範囲の下限を下回ると成形時にガスが発生しやすいので好ましくない。
ここでいうポリアルキレングリコール共重合体の数平均分子量はJIS K1577に準拠して測定される水酸基価に基づいて算出される数平均分子量である。
ポリアルキレングリコール重合体(B)としては、ネオペンチルエーテル単位とテトラメチレンエーテル単位を有するポリアルキレングリコール共重合体であることが特に好ましく、ネオペンチルエーテル単位が10モル%以上90モル%未満、テトラメチレンエーテル単位が10モル%超90モル%以下のものが好ましく、さらにはネオペンチルエーテル単位は15モル%以上が好ましく、テトラメチレンエーテル単位は80モル%未満、中でも70モル%未満、特に60モル%以下であることが好ましい。
また、ポリアルキレングリコール重合体(B)は、ジネオペンチルエーテル単位とテトラメチレンエーテル単位からなる共重合体も特に好ましい。このとき、ジネオペンチルエーテル単位は、前記したようにネオペンチルエーテル単位の2倍モルと計算して、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上であり、また好ましくは60モル%未満であり、さらに好ましくは50モル%未満であり、中でも40モル%未満、特に30モル%以下であることが好ましい。
このようなポリアルキレングリコール重合体(B)としては、具体的には例えば、日油社製商品名(以下同様)「ポリセリンDCB」、保土谷化学社製「PTG−L」、旭化成せんい社製「PTXG」などが挙げられる。
また、テトラメチレンエーテル単位と2,2−ジメチルトリメチレンエーテル単位からなる共重合体は特願2015−2533に記載の方法で製造することも可能である。
ポリアルキレングリコール重合体(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜4質量部である。好ましい含有量は0.1質量部以上、より好ましい含有量は0.15質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2.5質量部以下、特に好ましくは2質量部以下である。含有量が0.05質量部を下回ると、色相や黄変の改善が十分でなく、4質量部を超えると、ポリカーボネート樹脂の白濁により透過率が低下するとともに、押出機による溶融混練の際に、ストランドの断線が多発し、樹脂組成物ペレットの作成が困難となる。
[リン系安定剤(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤を含有することを必要とする。リン系安定剤を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の色相が良好なものとなり、さらに耐熱変色性が向上する。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;ホスフェート化合物、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物などが挙げられるが、ホスファイト化合物が特に好ましい。ホスファイト化合物を選択することで、より高い耐変色性と連続生産性を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
ここでホスファイト化合物は、一般式:P(OR)で表される3価のリン化合物であり、Rは、1価または2価の有機基を表す。
このようなホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスファイト、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
このようなホスファイト化合物のなかでも、下記式(a)または(b)で表される芳香族ホスファイト化合物が、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱変色性が効果的に高まるため、より好ましい。
式(a)中、R、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数6以上30以下のアリール基を表す。
式(b)中、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数6以上30以下のアリール基を表す。
上記式(a)で表されるホスファイト化合物としては、なかでもトリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等が好ましく、なかでもトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトがより好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、住友化学社製「スミライザーTNP」、城北化学工業社製「JP−351」、ADEKA社製「アデカスタブ2112」、BASF社製「イルガフォス168」、城北化学工業社製「JP−650」等が挙げられる。
上記式(b)で表されるホスファイト化合物としては、なかでもビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトのようなペンタエリスリトールジホスファイト構造を有するものが特に好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には例えば、アデカ社製「アデカスタブPEP−24G」、「アデカスタブPEP−36」、Doverchemical社製「Doverphos S−9228」等が好ましく挙げられる。
ホスファイト化合物のなかでも、上記式(b)で表される芳香族ホスファイト化合物が、色相がより優れるため、より好ましい。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
リン系安定剤(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.005〜0.5質量部であり、好ましくは0.007質量部以上、より好ましくは0.008質量部以上、特に好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.4質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、特には0.1質量部以下である。リン系安定剤(C)の含有量が前記範囲の0.005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となり、リン系安定剤(C)の含有量が0.5質量部を超える場合は、耐熱変色性がかえって悪化するだけでなく、湿熱安定性も低下する。
[エポキシ化合物(D)]
本発明の樹脂組成物はエポキシ化合物(D)を含有することも好ましい。エポキシ化合物(D)をポリアルキレングリコール重合体(B)と併せて含有することで耐熱変色性をより向上させることができる。
エポキシ化合物(D)としては、1分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。具体的には、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6’−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−Aグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、n−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、n−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などを好ましく例示することができる。
エポキシ化合物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、脂環族エポキシ化合物が好ましく用いられ、特に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましい。
エポキシ化合物(D)の含有量は、好ましくはポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.0005〜0.2質量部であり、より好ましくは0.001質量部以上、さらに好ましくは0.003質量部以上、特に好ましくは0.005質量部以上であり、また、より好ましくは0.15質量以下、さらに好ましくは0.1質量部以下、特に好ましくは0.05質量部以下である。エポキシ化合物(D)の含有量が0.0005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となりやすく、0.2質量部を超える場合は、耐熱変色性がかえって悪化するだけでなく、色相や湿熱安定性も低下しやすい。
[添加剤等]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記した以外のその他の添加剤、例えば、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、ポリカーボネート樹脂以外の他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤は一種または二種以上を配合してもよい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリアルキレングリコール重合体(B)及びリン系安定剤(C)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
[光学部品]
本発明の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物は、上記したポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して光学部品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して光学部品にすることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、透過率や色相に優れ、成形時の金型汚染が少なくなることから、射出成形法により、光学部品、特に金型汚染が起こりやすい薄肉の光学部品を成形するのに好適に用いられる。射出成形の際の樹脂温度は、一般にポリカーボネート樹脂の射出成形に適用される温度である260〜300℃よりも高い樹脂温度にて成形することが好ましく、305〜380℃の樹脂温度が好ましい。樹脂温度は310℃以上であるのがより好ましく、315℃以上がさらに好ましく、320℃以上が特に好ましく、また、370℃以下がより好ましい。従来のポリカーボネート樹脂組成物を用いた場合には、薄肉成形品を成形するために成形時の樹脂温度を高めだと、成形品の表面に白点異物が生じやすくなるという問題もあったが、本発明の樹脂組成物を使用することで、上記の温度範囲であっても、良好な外観を有する薄肉成形品を製造することが可能となる。
なお、樹脂温度とは、直接測定することが困難な場合はバレル設定温度として把握される。
ここで、薄肉成形品とは、通常肉厚が1mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下の板状部を有する成形品をいう。ここで、板状部は、平板であっても曲板状になっていてもよく、平坦な表面であっても、表面に凹凸等を有してもよく、また断面は傾斜面を有していたり、楔型断面等であってもよい。
光学部品としては、LED、有機EL、白熱電球、蛍光ランプ、陰極管等の光源を直接または間接に利用する機器・器具の部品が挙げられ、導光板や面発光体用部材等が代表的なものとして例示される。
導光板は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の中で、LED等の光源の光を導光するためのものであり、側面または裏面等から入れた光を、通常表面に設けられた凹凸により拡散させ、均一の光を出す。その形状は、通常平板状であり、表面には凹凸を有していても有していなくてもよい。
導光板の成形は、通常、好ましくは射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などにより行われる。
本発明の樹脂組成物を用いて成形した導光板は、良好な色相を有し且つ金型汚染による成形不良が少なく、白濁や透過率の低下がなく、透過率および色相が極めて良好である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物による導光板は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の分野で好適に使用できる。このような装置の例としては、携帯電話、モバイルノート、ネットブック、スレートPC、タブレットPC、スマートフォン、タブレット型端末等の各種携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、各種ディスプレイ、照明機器等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した原料および評価方法は次の通りである。なお、ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量の測定方法は、前述したとおりである。
(実施例1〜8、比較例1〜5)
[樹脂組成物ペレットの製造]
上記した各成分を、以下の表2に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチック機械社製「VS−40」)により、シリンダー温度240℃で溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。
[色相(YI)の測定]
得られたペレットを120℃で5〜7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製「EC100SX−2A」)により、樹脂温度340℃、金型温度80℃で長光路成形品(300mm×7mm×4mm)を成形した。
この長光路成形品について、300mmの光路長でYI(黄変度)の測定を行った。測定には長光路分光透過色計(日本電色工業社製「ASA 1」、C光源、2°視野)を使用した。
[金型汚染性評価(金型付着物)]
(i)射出成形における汚染性評価(金型汚れ)
上記で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「MINIMAT M8/7A」)を用い、図1に示すようなしずく型金型を用いて、シリンダー温度340℃、成形サイクル10秒、金型温度40℃の条件にて、200ショット射出成形し、終了後の金型固定側の金属鏡面に発生する白い付着物による汚れの状態を、比較例3と比較した下記の基準で、目視にて評価判定した。
A:金型付着物は、比較例3の200ショット成形後の状態より極めて少なく、耐金型汚染性は極めて良好である。
B:金型付着物は、比較例3の200ショット成形後の状態より少ないが、耐金型汚染性は若干見られる。
C:金型付着物は、比較例3の200ショット成形後の状態よりは少ないが、金型汚染が明らかに見られる。
D:金型付着物は、比較例3の200ショット成形後の状態と同レベルであり、金型汚染が著しく見られる。
なお、図1のしずく型金型は、ゲートGから樹脂組成物を導入し、尖端P部分に発生ガスが溜まり易くなるように設計した金型である。ゲートGの幅は1mm、厚みは1mmであり、図1において、幅h1は14.5mm、長さh2は7mm、長さh3は27mmであり、成形部の厚みは3mmである。
以上の評価結果を以下の表2に示す。
表2から明らかなように、実施例の成形品は光路長の長い300mmでのYIが小さく、黄変が少ないことを示している。加えて、金型付着物量が少ないことが分かる。
一方、比較例1、4及び5のものは300mmYIが実施例のものに比べて高いことが分かる。また、比較例2及び3は金型付着物量が実施例に比べて多いことが分かる。
したがって、本発明の、色相の良好で金型付着のない光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物を提供するという目的は、本発明の要件を全て満たして、はじめて達成されるということが分かる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、良好な色相を有し且つ金型汚染が極めて少なく、白濁や透過率の低下がないので、光学部品に極めて好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ネオペンチルエーテル単位を有するポリアルキレングリコール重合体(B)0.05〜4質量部及びリン系安定剤(C)0.005〜0.5質量部を含有し、
    前記ポリアルキレングリコール重合体(B)が、ネオペンチルエーテル単位とテトラメチレンエーテル単位を有するポリアルキレングリコール共重合体、またはジネオペンチルエーテル単位とテトラメチレンエーテル単位を有するポリアルキレングリコール共重合体であることを特徴とする光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. さらに、エポキシ化合物(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.0005〜0.2質量部含有する請求項1に記載の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)が10,000〜15,000である請求項1または2に記載の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる光学部品。
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