JP7347962B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物および成形体に関し、詳しくは、透明性と耐熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形した成形体に関する。
パーソナルコンピュータ、携帯電話等に使用される液晶表示装置には、その薄型化、軽量化、省力化、高精細化の要求に対応するために、面状光源装置が組み込まれている。そして、この面状光源装置には、入光する光を液晶表示側に均一かつ効率的に導く役割を果たす目的で、一面が一様な傾斜面を有する楔型断面の導光板や平板形状の導光板が備えられている。
このような導光板は、熱可塑性樹脂の射出成形によって得られ、上記の凹凸パターンは入れ子の表面に形成された凹凸部の転写によって付与される。従来、導光板はポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂材料から成形されてきたが、最近では、より鮮明な画像を映し出す表示装置が求められ、光源近傍で発生する熱によって機器装置内が高温化する傾向にあるため、より耐熱性の高いポリカーボネート樹脂材料に置き換えられつつある。
ポリカーボネート樹脂は、機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐候性に優れるが、その透明性は、PMMA等に比べて低いことから、ポリカーボネート樹脂製の導光板と光源とから面光源体を構成した場合、輝度が低いという問題がある。また最近では導光板の入光部と入光部から離れた場所の色度差を少なくすることが求められているが、ポリカーボネート樹脂はPMMA樹脂と比べて黄変しやすいという問題がある。
特に最近、スマートフォンやタブレット型端末等の各種携帯端末においては、薄肉化や大型薄肉化が著しいスピードで進行しており、導光板への入光を直下型から横側エッジから行うエッジ型が採用されるようになり、超薄型の光源として光路長が長くても十分な輝度が要求されてきている。このようなハイエンドの導光板においては、上記従来技術が達成する透明性や耐黄変性レベルでは要求スペックを満たしにくいというのが現状である。
本出願人は、特許文献1にて、特定のアルキレングリコールユニットを有するポリアルキレングリコール共重合体を用いたポリカーボネート樹脂組成物を提案した。当該組成物は高い光線透過率と良好な色相を達成できる優れた材料であるが、耐熱変色性にやや難点があることが見いだされた。
特開2016-130298号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的(課題)は、ポリカーボネート樹脂本来の特性を何ら損なうことなく、透明性と耐熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、特定の脂環式化合物、リン系安定剤をそれぞれ特定の量で組み合わせて配合することにより、初期の色相に優れ、且つ耐熱性試験後の色相の変化(ΔYI)が少ない、優れた耐熱変色性を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及び成形体に関する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、下記一般式(1)で表される脂環式化合物(B)を0.01~1.0質量部、リン系安定剤(C)を0.005~0.5質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ビニル基又はグリシジル基であり、RとRは同一であっても異なっていてもよい。Xは水素原子又はアルキル基である。n及びmは0~3の整数を表す。aは0~5の整数を表し、aが2以上の場合、a個のmとRは同一であっても異なるものであってもよい。bは0~5の整数を表し、bが2以上の場合、b個のXは同一であってもよく異なるものであってもよい。ただし、0≦a+b≦5である。]
[2]さらに、エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.0005~0.2質量部含有する上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]さらに、数平均分子量500~5000のポリアルキレングリコール化合物(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01~4質量部含有する上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
[5]光学部材である上記[4]に記載の成形体。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高い透明性を有し、初期色相に優れ、耐熱性試験後の色相の変化(ΔYI)が少ない、優れた耐熱変色性を有する。
したがって、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種の光学部品に特に好適に使用できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。
なお、本明細書において、「~」を用いてその前後を数値又は物性値等で挟んで範囲を示す場合、その前後の値を含む範囲を意味する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、前記一般式(1)で表される脂環式化合物(B)を0.01~1.0質量部、リン系安定剤(C)を0.005~0.5質量部含有することを特徴とする。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分等につき、詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明において使用するポリカーボネート樹脂の種類に制限はなく、ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。中でも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフチル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中ではビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタン-1,3-ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’-オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジエタノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3-ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6-ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’-ビフェニルジメタノール、4,4’-ビフェニルジエタノール、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2-エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2-エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2-エポキシシクロペンタン、1,2-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1-メチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、2,3-エポキシノルボルナン、1,3-エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
以下、これらの方法のうち、特に好適なものについて具体的に説明する。
界面重合法
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述の通りである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10~12にコントロールするために、5~10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10~12、好ましくは10~11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’-ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’-ジメチルアニリン、N,N’-ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m-メチルフェノール、p-メチルフェノール、m-プロピルフェノール、p-プロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロペニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o-ヒドロキシ安息香酸、2-メチル-6-ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0~40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)~数時間(例えば、6時間)である。
溶融エステル交換法
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-tert-ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。中でも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100~320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量(Mv)で、10000~15000であることが好ましく、より好ましくは10500以上、さらに好ましくは11000以上、特には11500以上、最も好ましくは12000以上であり、より好ましくは14500以下である。粘度平均分子量を上記範囲の下限値以上とすることにより、本発明の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、粘度平均分子量を上記範囲の上限値以下とすることにより、本発明の光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度25℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83 から算出される値を意味する。また、極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これによりポリカーボネート樹脂の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[脂環式化合物(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は下記一般式(1)で表される脂環式化合物(B)を含有する。
[一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ビニル基又はグリシジル基であり、RとRは同一であっても異なっていてもよい。Xは水素原子又はアルキル基である。n及びmは0~3の整数を表す。aは0~5の整数を表し、aが2以上の場合、a個のmとRは同一であっても異なるものであってもよい。bは0~5の整数を表し、bが2以上の場合、b個のXは同一であってもよく異なるものであってもよい。ただし、0≦a+b≦5である。]
一般式(1)中、R及びRは、好ましくは水素原子、ビニル基、グリシジル基であり、より好ましくはビニル基、グリシジル基である。Xは水素原子又はアルキル基であるが、好ましくは水素原子、または炭素数1~3のアルキル基である。n及びmは0~3の整数であるが、好ましくは0、1または2であり、より好ましくは0または1、さらには1であることが好ましい。
aは好ましくは1であり、n及びmはいずれも1であることが好ましい。
上記式(1)中、シクロヘキシル基に結合する-[(CH-O-R基の位置は、オルト位でもメタ位でもパラ位でもよいが、パラ位が望ましい。
脂環式化合物(B)の具体例としては、例えばシクロヘキシルジメタノール、シクロヘキシルジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル、シクロヘキシルジエタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジエタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル等が挙げられ、中でも、特に1,4-シクロヘキシルジメタノール、1,4-シクロヘキシルジメタノールモノビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキシルジメタノールジグリシジルエーテル等が好ましい。
脂環式化合物(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.01~1.0質量部であり、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上であり、また、好ましくは0.6質量以下、より好ましくは0.4質量部以下である。このような範囲で含有することで、初期色相に優れ、耐熱性試験後の色相の変化(ΔYI)が小さい、優れた耐熱変色性を発現することができる。脂環式化合物(B)の含有量が0.01質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となり、1.0質量部を超える場合は、耐熱変色性が却って悪化しやすく色相や湿熱安定性も低下し、ブリードしてモールドデポジション等を生じやすくなる。
[リン系安定剤(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤を含有する。リン系安定剤を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の色相がさらに良好なものとなり、そして、さらに耐熱変色性が向上する。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;ホスフェート化合物、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物などが挙げられるが、ホスファイト化合物が特に好ましい。ホスファイト化合物を選択することで、より高い耐変色性と連続生産性を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
ここでホスファイト化合物は、一般式:P(OR)で表される3価のリン化合物であり、Rは、1価または2価の有機基を表す。
このようなホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジホスファイト、6-[3-(3-tert-ブチル-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
このようなホスファイト化合物のなかでも、下記式(2)または(3)で表される芳香族ホスファイト化合物が、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱変色性が効果的に高まるため、より好ましい。
[式(2)中、R、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数6以上30以下のアリール基を表す。]
[式(3)中、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数6以上30以下のアリール基を表す。]
上記式(2)で表されるホスファイト化合物としては、中でもトリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等が好ましく、中でもトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトがより好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、住友化学社製「スミライザーTNP」、城北化学工業社製「JP-351」、ADEKA社製「アデカスタブ2112」、BASF社製「イルガフォス168」、城北化学工業社製「JP-650」等が挙げられる。
上記式(3)で表されるホスファイト化合物としては、中でもビス(2,4-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトのようなペンタエリスリトールジホスファイト構造を有するものが特に好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には例えば、ADEKA社製「アデカスタブPEP-24G」、「アデカスタブPEP-36」、Doverchemical社製「Doverphos S-9228」等が好ましく挙げられる。
ホスファイト化合物の中でも、上記式(3)で表される芳香族ホスファイト化合物が、色相がより優れるため、より好ましい。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
リン系安定剤(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.005~0.5質量部であり、好ましくは0.007質量部以上、より好ましくは0.008質量部以上、特に好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.4質量以下、より好ましくは0.3質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、特には0.1質量部以下である。リン系安定剤(C)の含有量が、0.005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となり、0.5質量部を超える場合は、耐熱変色性がかえって悪化するだけでなく、湿熱安定性も低下する。
[エポキシ化合物またはオキセタン化合物(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに、エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物(D)を含有することも好ましい。
<エポキシ化合物>
本発明の樹脂組成物はエポキシ化合物を含有することも好ましい。エポキシ化合物を脂環式化合物(B)と併せて含有することで耐熱変色性をより向上させることができる。
エポキシ化合物としては、1分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。具体的には、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6’-メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール-Aジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール-Aグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などを好ましく例示することができる。
エポキシ化合物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、脂環族エポキシ化合物が好ましく用いられ、特に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましい。
エポキシ化合物を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.0005~0.2質量部であり、より好ましくは0.001質量部以上、さらに好ましくは0.003質量部以上、特に好ましくは0.005質量部以上であり、また、より好ましくは0.15質量以下、さらに好ましくは0.1質量部以下、特に好ましくは0.05質量部以下である。エポキシ化合物の含有量が0.0005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となりやすく、0.2質量部を超える場合は、耐熱変色性が却って悪化しやすく色相や湿熱安定性も低下しやすい。
<オキセタン化合物>
本発明の樹脂組成物はオキセタン化合物を含有することも好ましい。オキセタン化合物を脂環式化合物(B)と併せて含有することで耐熱変色性をより向上させることができる。
オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン基を有する化合物であればいずれも使用することができ、分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物および分子中にオキセタン基を2個以上有する2官能以上のポリオキセタン化合物のいずれもが使用できる。
オキセタン化合物を含有することによって、良好な色相と高度の耐熱変色性を一層向上させることができる。
モノオキセタン化合物としては、下記の一般式(4)、(5)または(6)で表される化合物などを好ましく例示することができる。
(式中、Rはアルキル基、Rはアルキル基またはフェニル基を示し、Rは芳香環を有していてもよい2価の有機基、nは0または1を示す。)
上記一般式(4)、(5)及び(6)において、Rはアルキル基であるが、好ましくは炭素数1~6のアルキル基であり、メチル基またはエチル基が好ましく、特に好ましくはエチル基である。
また、Rはアルキル基またはフェニル基であるが、好ましくは炭素数2~10のアルキル基であり、鎖状のアルキル基、分岐したアルキル基または脂環式アルキル基のいずれであってもよく、或いはアルキル鎖の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する鎖状または分岐状のアルキル基であってもよい。Rの具体例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3-オキシペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などを挙げることができる。そのうちでも、Rは2-エチルヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル基が好ましい。
一般式(4)の化合物の具体例としては、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタンなどを好ましく挙げることができる。そのうちでも、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン等が特に好ましい。
一般式(5)の化合物の具体例としては、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン等が特に好ましい。
一般式(6)において、Rは芳香環を有していてもよい2価の有機基であるが、その例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n-ペンタメチレン基、n-ヘキサメチレン基等の炭素数1~12の直鎖状または分岐状のアルキレン基、フェニレン基、式:-CH-Ph-CH-または-CH-Ph-Ph-CH-(ここで、Phはフェニル基を示す)で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基などを挙げることができる。
一般式(6)の化合物の具体例としては、ビス(3-メチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-プロピル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-ブチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン等を特に好ましく挙げることができる。
オキセタン化合物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
オキセタン化合物を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.0005~0.2質量部であり、より好ましくは0.001質量部以上、さらに好ましくは0.003質量部以上、特に好ましくは0.005質量部以上であり、また、より好ましくは0.15質量以下、さらに好ましくは0.1質量部以下、特に好ましくは0.05質量部以下である。オキセタン化合物(E)の含有量が、0.0005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となりやすく、0.2質量部を超える場合は、耐熱変色性が却って悪化しやすく、成形時のガスが発生しやすい。
エポキシ化合物とオキセタン化合物は、両者を併せて含有することも好ましく、両者を含有する場合の合計の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.0005~0.2質量部であることが好ましい。
[ポリアルキレングリコール化合物(E)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに、数平均分子量が500~5000のポリアルキレングリコール化合物(E)を含有することも好ましい。
ポリアルキレングリコール化合物(E)としては、下記一般式(7)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物又は下記一般式(8)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物が好ましいものとして挙げられる。なお、下記一般式(7)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物又は下記一般式(8)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物は、他の共重合成分との共重合体であってもよいが、単独重合体であることが好ましい。
[式(7)中、Rは炭素数1~3のアルキル基を示し、XおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~23の脂肪族アシル基、炭素数1~23のアルキル基、炭素数6~22のアリール基又は炭素数7~23のアラルキル基を示し、mは10~400の整数を示す。]
上記一般式(7)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物は、一種のRからなる単独重合体でも、また異なるRからなる共重合体であってもよい。
[式(8)中、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2~23の脂肪族アシル基、炭素数1~23のアルキル基、炭素数6~22のアリール基又は炭素数7~23のアラルキル基を示し、pは2~6の整数、rは6~100の整数を示す。]
上記一般式(8)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物は、一種のpからなる単独重合体でも、また異なるpからなる共重合体であってもよい。
分岐型ポリアルキレングリコール化合物としては、一般式(7)中、X、Yが水素原子で、Rがメチル基である(2-メチル)エチレングリコールや、エチル基である(2-エチル)エチレングリコールが好ましい。
直鎖型ポリアルキレングリコール化合物としては、一般式(8)中のX及びYが水素原子で、pが2であるポリエチレングリコール、pが3であるポリトリメチレングリコール、pが4であるポリテトラメチレングリコール、pが5であるポリペンタメチレングリコール、pが6であるポリヘキサメチレングリコールが好ましく挙げられ、より好ましくはポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールである。
ポリアルキレングリコール化合物(E)としては、下記一般式(9)で表される直鎖アルキレンエーテル単位(P1)と下記一般式(10-1)~(10-4)で表される単位から選ばれる分岐アルキレンエーテル単位(P2)を有するポリアルキレングリコール共重合体も好ましいものとして挙げられる。
[式(9)中、pは2~6の整数を示す。]
一般式(9)で表される直鎖アルキレンエーテル単位としては、一種のpからなる単独の単位でも、また異なるpからなる複数の単位が混合していてもよい。
[式(10-1)~(10-4)中、R~R10は各々独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、それぞれの式(10-1)~(10-4)において、R~R10の少なくとも1つは炭素数1~3のアルキル基である。]
一般式(10-1)~(10-4)で表される分岐アルキレンエーテル単位としては、一般式(10-1)~(10-4)のいずれかひとつの構造の分岐アルキレンエーテル単位で構成される単独重合体でも、また複数の構造の分岐アルキレンエーテル単位で構成される共重合体であってもよい。
上記一般式(9)で示される直鎖アルキレンエーテル単位(P1)としては、それをグリコールとして記載すると、pが2であるエチレングリコール、pが3であるトリメチレングリコール、pが4であるテトラメチレングリコール、pが5のペンタメチレングリコール、pが6のヘキサメチレングリコールが挙げられ、これらが混合していてもよく、好ましくはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコールであり、テトラメチレングリコールが特に好ましい。
トリメチレングリコールは、工業的にはエチレンオキシドのヒドロホルミル化により3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドを得、これを水添する方法、又はアクロレインを水和して得た3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドをNi触媒で水素化する方法で製造される。また、最近ではバイオ法により、グリセリン、グルコース、澱粉等を微生物に還元させてトリメチレングリコールを製造することも行われている。
上記一般式(10-1)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(2-メチル)エチレングリコール、(2-エチル)エチレングリコール、(2,2-ジメチル)エチレングリコールなどが挙げられ、これらが混合していてもよく、好ましくは(2-メチル)エチレングリコール、(2-エチル)エチレングリコールである。
上記一般式(10-2)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(2-メチル)トリメチレングリコール、(3-メチル)トリメチレングリコール、(2-エチル)トリメチレングリコール、(3-エチル)トリエチレングリコール、(2,2-ジメチル)トリメチレングリコール、(2,2-メチルエチル)トリメチレングリコール、(2,2-ジエチル)トリメチレングリコール(即ち、ネオペンチルグリコール)、(3,3-ジメチル)トリメチレングリコール、(3,3-メチルエチル)トリメチレングリコール、(3,3-ジエチル)トリメチレングリコールなどが挙げられ、これらが混合していてもよい。
上記一般式(10-3)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(3-メチル)テトラメチレングリコール、(4-メチル)テトラメチレングリコール、(3-エチル)テトラメチレングリコール、(4-エチル)テトラメチレングリコール、(3,3-ジメチル)テトラメチレングリコール、(3,3-メチルエチル)テトラメチレングリコール、(3,3-ジエチル)テトラメチレングリコール、(4,4-ジメチル)テトラメチレングリコール、(4,4-メチルエチル)テトラメチレングリコール、(4,4-ジエチル)テトラメチレングリコールなどが挙げられ、これらが混合していてもよく、(3-メチル)テトラメチレングリコールが好ましい。
上記一般式(10-4)で示される分岐アルキレンエーテル単位として、これをグリコールとして記載すると、(3-メチル)ペンタメチレングリコール、(4-メチル)ペンタメチレングリコール、(5-メチル)ペンタメチレングリコール、(3-エチル)ペンタメチレングリコール、(4-エチル)ペンタメチレングリコール、(5-エチル)ペンタメチレングリコール、(3,3-ジメチル)ペンタメチレングリコール、(3,3-メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(3,3-ジエチル)ペンタメチレングリコール、(4,4-ジメチル)ペンタメチレングリコール、(4,4-メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(4,4-ジエチル)ペンタメチレングリコール、(5,5-ジメチル)ペンタメチレングリコール、(5,5-メチルエチル)ペンタメチレングリコール、(5,5-ジエチル)ペンタメチレングリコールなどが挙げられ、これらが混合していてもよい。
以上、分岐アルキレンエーテル単位を構成する一般式(10-1)~(10-4)で表される単位を便宜的にグリコールを例として記載したが、これらグリコールに限らず、これらのアルキレンオキシドや、これらのポリエーテル形成性誘導体であってもよい。
ポリアルキレングリコール共重合体として好ましいものを挙げると、テトラメチレンエーテル単位と前記一般式(10-3)で表される単位からなる共重合体が好ましく、特にテトラメチレンエーテル単位と3-メチルテトラメチレンエーテル単位からなる共重合体がより好ましい。また、テトラメチレンエーテル単位と前記一般式(10-1)で表される単位からなる共重合体も好ましく、特にテトラメチレンエーテル単位と2-メチルエチレンエーテル単位からなる共重合体、及びテトラメチレンエーテル単位と2-エチルエチレンエーテル単位からなる共重合体がより好ましい。さらに、テトラメチレンエーテル単位と前記一般式(10-2)からなる共重合体も好ましく、2,2-ジメチルトリメチレンエーテル単位、即ちネオペンチルグリコールエーテル単位からなる共重合体も好ましい。
ポリアルキレングリコール共重合体は、ランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
ポリアルキレングリコール共重合体の前記一般式(9)で表される直鎖アルキレンエーテル単位(P1)と前記一般式(10-1)~(10-4)で表される分岐アルキレンエーテル単位(P2)の共重合比率は、(P1)/(P2)のモル比で、好ましくは95/5~5/95であり、より好ましくは93/7~40/60であり、更に好ましくは90/10~65/35であり、直鎖アルキレンエーテル単位(P1)がリッチであることがより好ましい。
なお、モル分率は、H-NMR測定装置を用い、重水素化クロロホルムを溶媒として測定される。
また、ポリアルキレングリコール化合物(E)として、その片末端あるいは両末端がカルボン酸またはアルコールで封鎖されていてもその性能発現に影響はなく、エステル化物またはエーテル化物を同様に使用することができ、従って、一般式(7)、(8)中のX及び/又はYは炭素数2~23の脂肪族アシル基、炭素数1~23のアルキル基、炭素数6~22のアリール基又は炭素数7~23のアラルキル基であってもよい。
上記エステル化物としては、脂肪酸エステルが挙げられ、直鎖状又は分岐状脂肪酸エステルのいずれも使用でき、脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。また、一部の水素原子がヒドロキシル基などの置換基で置換されたものも使用できる。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1~23の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、具体的には、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、具体的には、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸が挙げられる。
これらの脂肪酸は1種又は2種以上組み合せて使用できる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸も含まれる。
ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、一般式(7)において、Rがメチル基、XおよびYが炭素数18の脂肪族アシル基であるポリプロピレングリコールステアレート、Rがメチル基、XおよびYが炭素数22の脂肪族アシル基であるポリプロピレングリコールベヘネートが挙げられる。直鎖型ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、ポリアルキレングリコールモノパルミチン酸エステル、ポリアルキレングリコールジパルミチン酸エステル、ポリアルキレングリコールモノステアリン酸エステル、ポリアルキレングリコールジステアリン酸エステル、ポリアルキレングリコール(モノパルミチン酸・モノステアリン酸)エステル、ポリアルキレングリコールベヘネート等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールのアルキルエーテルを構成するアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等の炭素数1~23のアルキル基が挙げられ、このようなポリアルキレングリコール化合物としては、ポリアルキレングリコールのアルキルメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ラウリルエーテル、ステアリルエーテル等が好ましく例示できる。
ポリアルキレングリコールのアリールエーテルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6~22、より好ましくは炭素数6~12、さらに好ましくは炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。また、末端封止する基は、アラルキル基であってもポリカーボネートと良好な相溶性を示すことから、アリール基と同様の作用を発現でき、アラルキル基としては、好ましくは炭素数7~23、より好ましくは炭素数7~13、さらに好ましくは炭素数7~11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
分岐型ポリアルキレングリコール化合物としては、具体的には例えば、日油社製商品名(以下同様)「ユニオールD-1000」、「ユニオールPB-1000」などが挙げられる。
直鎖型ポリアルキレングリコール化合物としては、具体的には例えば、単独重合体型のものとして、日油社製商品名(以下同様)「PEG#1000」、アリッサ社製「Velvetol H1000」、三菱ケミカル社製「PTMG1000」等が、共重合体型のものとして、日油社製「ポリセリン」等が挙げられる。
直鎖型と分岐鎖型のポリアルキレングリコール共重合体としては、具体的には例えば、日油社製商品名「ポリセリンDCB-1000」、保土谷化学社製「PTG-L」、旭化成せんい社製「PTXG」などが挙げられる。
ポリアルキレングリコール化合物(E)の数平均分子量は、500~5000であるが、好ましくは600以上、さらに好ましくは700以上であり、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3000以下、特に好ましくは2000以下である。上記範囲の上限を超えると、相溶性が低下するので好ましくなく、又上記範囲の下限を下回ると成形時にガスが発生するので好ましくない。
なお、ポリアルキレングリコール化合物の数平均分子量はJIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出される数平均分子量である。
ポリアルキレングリコール化合物(E)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
ポリアルキレングリコール化合物(E)を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100部質量部に対し、好ましくは0.01~4質量部であるが、より好ましくは0.05質量部以上であり、また、より好ましくは3質量以下、さらに好ましくは2質量部以下、中でも好ましくは1.5質量部以下、特に好ましくは1質量部以下である。含有量が前記範囲の0.01質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性が不十分となりやすく、4質量部を超える場合は、材料が白濁し、透明性が失われやすい。
[添加剤等]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記した以外のその他の添加剤、例えば、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、ポリカーボネート樹脂以外の他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤は一種または二種以上を配合してもよい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、上記した必須成分、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して各種成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して成形品にすることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた色相、さらに優れた耐熱安定性を示すことから、射出成形法により、光学部品を成形するのに好適に用いられる。射出成形の際の樹脂温度は、特に薄肉の成形品の場合には、一般にポリカーボネート樹脂の射出成形に適用される温度である260~300℃よりも高い樹脂温度で成形することが好ましく、305~380℃の樹脂温度が好ましい。樹脂温度は310℃以上であるのがより好ましく、315℃以上がさらに好ましく、中でも320℃以上、特に370℃以下が好ましい。従来のポリカーボネート樹脂組成物を用いた場合には、薄肉成形品を成形するために成形時の樹脂温度を高めると、成形品の黄変が生じやすくなるという問題もあったが、本発明の樹脂組成物を使用することで、上記の温度範囲であっても、良好な色相を有する成形品、特に薄肉の光学部品を製造することが可能となる。
なお、樹脂温度とは、直接測定することが困難な場合はバレル設定温度として把握される。
光学部品としては、LED、有機EL、白熱電球、蛍光ランプ、陰極管等の光源を直接または間接に利用する機器・器具の部品が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いた光学部品は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の分野で好適に使用できる。このような装置の例としては、携帯電話、モバイルノート、ネットブック、スレートPC、タブレットPC、スマートフォン、タブレット型端末等の各種携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、各種ディスプレイ、照明機器等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した原料は以下の表1-2の通りである。なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の測定方法は、前述した通りである。
(実施例1~12、参考例13-16、比較例1~2)
[樹脂組成物ペレットの製造]
上記表1-2に記載した各成分を、以下の表3-4に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチック機械社製「VS-40」)により、シリンダー温度240℃で溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。
[色相(YI)及びΔYI(耐熱変色性の評価)]
得られたペレットを120℃で5~7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した後、射出成形機(Sodick社製「HSP100A)により、樹脂温度340℃、金型温度80℃で長光路成形品(300mm×7mm×4mm)を成形した。
この長光路成形品について、300mmの光路長でYI(黄変度)の測定を行った。測定には長光路分光透過色計(日本電色工業社製「ASA 1」、C光源、2°視野)を使用した。
次に、上記長光路成形品を95℃で500時間保持した後、300mmの光路長でYIを測定し、初期YI値との差ΔYIを求め、耐熱変色性の評価を行った。
以上の評価結果を以下の表3~4に示す。
Figure 0007347962000015
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた色相を有しつつ、耐熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂材料であるので、各種光学部品等に好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、下記一般式(1)で表される脂環式化合物(B)を0.3~1.0質量部、リン系安定剤(C)を0.005~0.5質量部含有することを特徴とする光学部品用のポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0007347962000016
    [一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ビニル基又はグリシジル基であり、RとRは同一であっても異なっていてもよい。Xは水素原子又はアルキル基である。n及びmはの整数を表す。aはの整数を表し、bはの整数を表す。
  2. さらに、エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.0005~0.2質量部含有する請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. さらに、数平均分子量500~5000のポリアルキレングリコール化合物(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01~4質量部含有する請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
  5. 光学部品用の部材である請求項4に記載の成形体。
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