JP7032741B2 - 穿刺練習用模型 - Google Patents
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Description
しかし、現在一般に使用されている穿刺練習用模型は、(i)模擬血液の漏れが生じやすく、改良の余地があった。
まず、生体組織を模擬した模擬生体組織に対し、様々なチューブを模擬血管として組み合わせて、模擬血液漏れの有無を確認したところ、模擬血液の漏れを生じる場合があることが分かった。特に、液状の硬化性材料を模擬生体組織の材料として用いた場合に生じる模擬血液漏れは、チューブが硬化性材料の硬化阻害を招くことにより、模擬生体組織がチューブとの境界付近において硬化不良を起こしていることなどが原因と考えられた。
そこで、模擬生体組織と組み合わせた際に模擬血液漏れが生じ難いチューブの材料や構成等の条件を詳細に検討した。
すなわち、本発明に係る穿刺練習用模型は、生体組織を模擬した模擬生体組織と、前記模擬生体組織の内部又は前記模擬生体組織の内面側に配置されたゴム状弾性を有するチューブとを備え、前記チューブの外表面の少なくとも一部がチューブ被覆層で被覆されており、前記チューブは、イソプレンゴムからなり、その外径が5~10mm、若しくは内径が1~6mmであり、前記チューブは、厚みが0.5~1.0mm、A硬度が0~50であり、前記チューブ被覆層は、コラーゲン、プラスチックおよびセルロースから選ばれる1種(ただし、繊維材料を除く)からなり、その厚みが10~100μmである。
また、上記の「模擬生体組織の内面側に配置されたゴム状弾性を有するチューブ」との表現に関しては、模擬生体組織において、注射針が穿刺される側の面を表面側とし、この表面側とは反対側の面を「模擬生体組織の内面側」と称しており、「模擬生体組織の内面側に配置されたゴム状弾性を有するチューブ」とは、チューブの少なくとも一部が模擬生体組織で被覆されたような状態を意味している。
すなわち、A硬度は、JIS K 7311に準拠して測定されるデュロメータによる押し込み硬さ(硬度)を指すものとする。詳しくは、JIS K7311:1995に従い、試験片は厚さ6mm以上(6mm未満のものは重ねて6mm以上とする)(n=5)とし、JIS K7215のタイプAデュロメータにより測定して得た値と定義する。
C硬度は、JIS K 6253に準拠して測定されるデュロメータによる押し込み硬さ(硬度)を指すものとする。詳しくは、JIS K6253-3:2010に従い、試験片は厚さ6mm以上(6mm未満のものは重ねて6mm以上とする)(n=5)とし、JIS K7215のタイプCデュロメータにより測定して得た値と定義する。
穿刺練習用模型1は、図1に示すように、模擬生体組織10と、模擬生体組織10の内部に配置されたチューブ20と、チューブ20の外表面を被覆するチューブ被覆層21とを備える。
液状の硬化性材料としては、例えば、主材と硬化剤を用いる2液硬化型の材料が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定するわけではないが、ゴムや樹脂用の可塑剤として従来公知のものを使用することができ、例えば、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油などの鉱物油系、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、パーム油、椰子油、落花生油、木蝋、パインオイル、オリーブ油などの植物油系、ポリブテン、水添ポリブテン、ポリαオレフィン等などの合成油系などが挙げられる。樹脂やエラストマーとの相溶性等を考慮して適宜決定すれば良い。
例えば、人の皮膚の質感を模擬するという点では、C硬度50以下とすることが好ましく、C硬度1~20とすることがより好ましい。
チューブ20の寸法としては、例えば、外径5~10mm、内径1~6mm程度とすることができる。
厚みは、特に限定するわけではないが、1.5mm以下が好ましい。これより厚みが厚い場合、模擬血液漏れの抑制には有利であるが、穿刺抵抗が高くなり、実際の穿刺抵抗を再現することが難しくなる。厚み0.5~1.0mmの範囲が特に好ましい。
「ケーシング」とは、ソーセージの表皮部分のことであるが、本発明では、このケーシングの材料を、チューブ被覆層として転用する。
天然ケーシングとしては、例えば、羊腸ケーシング(羊腸、羊盲腸など)、豚腸(豚小腸、豚大腸、豚直腸、豚膀胱、豚胃など)、牛腸(牛小腸、牛大腸、牛盲腸、牛膀胱、牛食道など)、馬腸(馬小腸など)などが挙げられる。
人工ケーシングとしては、例えば、コラーゲンケーシング(コラーゲン、プロテコンなど)、プラスチック系ケーシング(セロファン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、塩化ビニリデン、ポリアミドなど)、セルロース系ケーシング(セルロースなど)が挙げられる。
この場合、チューブ被覆層21のチューブ20への被覆方法としては、例えば、ケーシング材料からなるシートをチューブ20に巻き付ける方法が挙げられる。巻き付ける回数により、厚みを調整することができる。
また、チューブ20の外径とほぼ同じ内径を有する筒状のケーシング材料を準備して、チューブ20を筒状のケーシング材料の空洞に挿入することにより、チューブ被覆層21を形成する方法も挙げられる。
チューブ20とチューブ被覆層21との密着性を向上させるため、接着層ないし粘着層を介在させてもよい。ただし、穿刺抵抗への影響を考慮すると、これらの層の厚みはできるだけ薄くすることが好ましい。なお、接着層ないし粘着層は、チューブ被覆層21とは別に準備してもよいが、セロファンテープのように、初めから接着層ないし粘着層が積層一体化したものを利用してもよい。
チューブ20とチューブ被覆層21の密着性を高めることで、チューブ被覆層21による効果が安定して発揮される。
すなわち、まず、図3(a)に示すように、穴の開いた型30と、チューブ被覆層21で全周が被覆されたチューブ20とを準備し、型30の穴に、チューブ被覆層21で被覆されたチューブ20を通す。
次に、図3(b)に示すように、模擬生体組織10の硬化前の硬化性材料を流し込む。図3(b)では、硬化性材料として、主材101及び硬化剤102(2液型)を用いる場合を図示している。
硬化性材料が硬化すると、図3(c)に示す状態となり、穿刺練習用模型1が得られる。硬化後は、図1に示すように、型30を取り外しても良い。
図4に示すように、穿刺針41は、模擬生体組織10、チューブ被覆層21、チューブ20の順に貫通し、チューブ20内へと至る。チューブ20内には模擬血液を流すことで、穿刺後、注射器40で模擬血液を吸引し、採血の練習を行うことができる。
本実施形態の穿刺練習用模型による穿刺練習では、穿刺針を引き抜いた後の模擬血液漏れが非常に抑制されているために、繰り返し練習に使用することができる。
第1の実施形態では、チューブ20は、その全周をチューブ被覆層21で被覆されているが、本発明において、チューブ被覆層がチューブの全周を被覆することは必須ではなく、チューブの外周面の一部をチューブ被覆層が被覆する場合も、本発明に含まれる。
そのような実施形態を第2の実施形態として、以下に説明する。なお、各部材の基本的な内容については、第1の実施形態と共通するので、同じ符号を付し、重複する説明は割愛する。
すなわち、まず、図7(a)に示すように、型30とチューブ20を準備し、型30にチューブ20を通す。
図8に示すように、穿刺針41は、模擬生体組織10a、チューブ被覆層21a、チューブ20の順に貫通し、チューブ20内へと至る。チューブ20内には模擬血液を流すことで、穿刺後、注射器40で模擬血液を吸引し、採血の練習を行うことができる。
第1の実施形態及び第2の実施形態に係る穿刺練習用模型は、チューブが模擬生体組織の内部に配置された一体型の構造を備えるものであるが、これらと異なり、以下に説明する第3の実施形態に係る穿刺練習用模型3のような分離型の構造を備えるものであってもよい。
シート状の模擬生体組織10bとしては、特に限定するわけではないが、例えば、1~5mm程度とすることができ、1.5~3mm程度がより好ましい。
ここで、土台50が完全な平坦面であると、チューブ20の上を模擬生体組織10bで被覆した際、模擬生体組織10bと土台50の間に挟まれることで、チューブ20の形が崩れたり、あるいは、模擬生体組織10bの外表面が過剰に隆起したりしてしまう恐れがある。そこで、本実施形態では、土台50に、チューブ20の外径に対応させた凹部51を形成し、この凹部21にチューブ20の下側を嵌め込むようにしている。凹部51の深さを適宜調整することによって、模擬生体組織10bの外表面の隆起度合いを調整することができる。
土台50の上に載置されたチューブ20の上に、シート状のケーシング被覆層21bが配置され、さらにその上に、シート状の模擬生体組織10bが配置されている。
図12に示すように、穿刺針41は、模擬生体組織10b、チューブ被覆層21b、チューブ20の順に貫通し、チューブ20内へと至る。チューブ20内には模擬血液を流すことで、穿刺後、注射器40で模擬血液を吸引し、採血の練習を行うことができる。
上記各実施形態は、チューブ20がケーシング材料からなるチューブ被覆層21,21a,21bで被覆されたものであるが、適当なチューブを選択することで、チューブ被覆層21,21a,21bを設けなくとも、模擬血液漏れを十分に抑制することができる。
具体的には、チューブとして、イソプレンゴム、スチレン系エラストマーや天然ゴムからなるチューブを選択することで、模擬血液漏れを抑制することができる。
なお、イソプレンゴムチューブは、薄肉の場合、一定以上の圧力が加わる場合には、チューブ被覆層がなければ模擬血液漏れが発生するが、厚肉とすることで、高い圧力下でも、チューブ被覆層を設けることなく模擬血液漏れを防止することができる。
このような実施形態も本発明に含まれる。チューブ被覆層21,21a,21bを設けないこと以外は第1~第3の実施形態と同様の構成であるので、図示は省略する。
穿刺抵抗再現性と模擬血液漏れの抑制を両立する高いレベルで両立させるためには、薄肉のイソプレンゴムチューブを用いた上で、模擬血液漏れをチューブ被覆層により抑制する構成が最も好ましい。
まず、側壁に直径6mmの穴を開けた型(55mm×95mm×20mm)を準備した。穴の位置は、深さ(側壁の上端から穴の上端までの距離)5mmとした。
次に、外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブを型に開けた穴に通した。
その後、模擬生体組織の材料となるパッド用シリコーン材(主材:ELASTOSIL M 8400、硬化剤:CATALYST T 40、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を型に流して、チューブをパッド用シリコーン材に埋没させた。
次いで、シリコーン材を硬化させることにより、チューブをシリコーン内に固定させ、穿刺練習用模型を得た。
硬化後のシリコーン樹脂は、ゴム硬度C10以下であった。
まず、側壁に直径6mmの穴を開けた型(55mm×95mm×20mm)を準備した。
次に、外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに人工ケーシング材を被覆したのち、これを型に開けた穴に通した。
その後、模擬生体組織の材料となるパッド用シリコーン材(主材:ELASTOSIL M 8400、硬化剤:CATALYST T 40、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を型に流して、人工ケーシング材(チューブ被覆層)で被覆されたチューブをパッド用シリコーン材に埋没させた。
次いで、シリコーン材を硬化させることにより、チューブとチューブ被覆層をシリコーン内に固定させ、穿刺練習用模型を得た。
硬化後のシリコーン樹脂は、ゴム硬度C10以下であった。
ケーシング材料として、厚み40μmのコラーゲン(株式会社ニッピ社製の「ニッピケーシング」)を用いたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例3の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
ケーシング材料として、厚み80μmのセルロース(ガーデンクック社の「ファイブラスケーシング クリア」)を用いたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例4の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度35のイソプレンゴムからなるチューブを用いたこと以外は、参考例2と同様にして、実施例5の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度35のイソプレンゴムからなるチューブを用いたこと以外は、参考例3と同様にして、実施例6の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度35のイソプレンゴムからなるチューブを用いたこと以外は、参考例4と同様にして、実施例7の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6.5mm、内径3.5mm、厚み1.5mm、A硬度35のイソプレンゴムからなるチューブを用いたこと以外は、参考例1と同様にして、参考例8の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6.5mm、内径3.5mm、厚み1.5mm、A硬度35のイソプレンゴムからなるチューブを用いたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例9の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6.5mm、内径3.5mm、厚み1.5mm、A硬度35のイソプレンゴムからなるチューブを用いたこと以外は、参考例3と同様にして、参考例10の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6mm、内径4mm、厚み1mm、C硬度20のスチレン系エラストマー製のチューブを用いたこと以外は、参考例1と同様にして、参考例11の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6mm、内径4mm、厚み1mm、C硬度20のスチレン系エラストマー製のチューブを用いたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例12の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6mm、内径4mm、厚み1mm、C硬度20のスチレン系エラストマー製のチューブを用いたこと以外は、参考例3と同様にして、参考例13の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径7mm、内径5mm、厚み1mm、A硬度35の天然ゴム製のチューブを用いたこと以外は、参考例1と同様にして、参考例14の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径7mm、内径5mm、厚み1mm、A硬度35の天然ゴム製のチューブを用いたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例15の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径7mm、内径5mm、厚み1mm、A硬度35の天然ゴム製のチューブを用いたこと以外は、参考例3と同様にして、参考例16の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6mm、内径4mm、厚み1mm、C硬度60のシリコーンゴムからなるチューブを用いたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例17の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
外径6.5mm、内径4.5mm、厚み1mm、A硬度55のイソプレンゴムからなるチューブに代えて、外径6mm、内径4mm、厚み1mm、C硬度60のシリコーンゴムからなるチューブを用い、ケーシング材料による被覆を行わなかったこと以外は、参考例1と同様にして、比較例1の穿刺練習用模型(パッド)を作製した。
上記実施例、参考例及び比較例の各穿刺練習用模型(パッド)について、模擬血液漏れの評価、穿刺感の評価及び穿刺抵抗の測定を行った。
評価試験のために構築した試験装置を図13に示す。穿刺練習用模型(パッド)には、模擬血液バッグから模擬血液が供給される。下流側を鉗子で閉塞し、圧力ポンプによって模擬血液の圧力を調整している。
上記実施例、参考例及び比較例の各穿刺練習用模型(パッド)に対し、18ゲージの注射針を模擬血管にまで穿刺し、抜き取った後に、一定の圧力(100mmHg又は300mmHg)をかけ、模擬血液が穿刺練習用模型上面から漏れ出てくるかどうかを確認し、以下の基準で評価した。
○:穿刺練習用模型上面への模擬血液の漏出がほとんど認められなかった。
×:穿刺練習用模型上面への模擬血液の漏出が明確に認められた。
各実施例、参考例及び比較例における圧力ごとの写真を図14~23に示す。模擬血液漏れが生じている箇所は、図中に丸で囲んで示した。
上記実施例、参考例及び比較例の各穿刺練習用模型(パッド)について、熟練者に、18ゲージの注射針を穿刺してもらい、実際の人体への穿刺に近いものから、○、△、×の順で評価した。評価においては、特に、チューブ穿刺時の抵抗の強さ、模擬生体組織からチューブに移行する際の抵抗の変化等を考慮した。
上記実施例、参考例及び比較例の各穿刺練習用模型(パッド)について、穿刺抵抗を測定した。
具体的には、小型卓上試験機「EZ-test/CE」(島津製作所製)を用いて、18ゲージの注射針を穿刺角度40°で穿刺しつつ、連続的に穿刺抵抗を測定した。測定結果(穿刺抵抗のグラフ)を図24~41に示す。
各実施例、参考例及び比較例の評価試験結果を下表に示す。
これに対し、比較例1では、模擬血液の圧力100mmHgでも血液漏れが生じた。
以下、チューブ素材ごとに、より詳細に結果を考察する。
実施例5~7、参考例1~4,8~10の結果から、イソプレンゴムをチューブ素材に用いる場合、ケーシング材料からなるチューブ被覆層があってもなくても、模擬血液漏れが防止できることが分かった。
ただし、薄肉のイソプレンゴムチューブを用いた参考例1の場合、ケーシング材料からなるチューブ被覆層がないと、模擬血液の圧力が高い条件下(300mmHg)では模擬血液漏れが生じ得ることが分かった。これに対し、参考例2のように、ケーシング材料からなるチューブ被覆層を設けることで、模擬血液の圧力が高い条件下(300mmHg)でも模擬血液漏れが防止できることが分かった。参考例3,4より、ケーシング材料としては、セロファン以外にも、コラーゲン、セルロースなど種々の材料を用いることができることが分かった。
参考例2~4と、実施例5~7は、イソプレンゴムチューブの硬度のみ異なるものであるが、両者の結果の対比から、硬度が高すぎると穿刺抵抗再現性が低下することが分かった。
参考例8~10は、参考例1~4,実施例5~7と比べて、イソプレンゴムチューブに厚みがあるものであるが、このように厚肉のイソプレンゴムチューブを用いる場合には、模擬血液の圧力が高い条件下(300mmHg)であっても、ケーシング材料からなるチューブ被覆層を設けずに模擬血液漏れが防止できることが分かった。ただし、穿刺抵抗再現性が薄肉の場合よりも劣ることが分かった。
参考例11~13から、スチレン系エラストマーをチューブ素材に用いる場合、ケーシング材料からなるチューブ被覆層があってもなくても、模擬血液漏れが防止できることが分かった。
参考例14~16から、天然ゴムをチューブ素材に用いる場合、ケーシング材料からなるチューブ被覆層があってもなくても、模擬血液漏れが防止できることが分かった。
比較例1の結果から分かるように、シリコーンゴムをチューブ素材に用いた場合、ケーシング材料からなるチューブ被覆層がないと、模擬血液漏れが生じることが分かった。これに対し、参考例17のように、ケーシング材料からなるチューブ被覆層を設けると、模擬血液漏れが防止できることが分かった。
また、第1,2の実施形態に係る穿刺練習用模型のように、チューブが模擬生体組織(硬化物)の内部に埋設されたものでは、模擬生体組織とチューブとの境界での硬化不良の可能性にも配慮を要したが、第3の実施形態に係る穿刺練習用模型のような分離型では、硬化不良の可能性は生じ得ない。従って、第3の実施形態に係る穿刺練習用模型の如き構成においても、特定のチューブ素材を選定したり、ケーシング材料を使用したりしていることにより、模擬血液漏れが抑制できると推察される。
10,10a,10b 模擬生体組織
101 主材
102 硬化剤
20 チューブ
21,21a,21b チューブ被覆層
30 型
40 注射器
41 穿刺針
50 土台
51 凹部
Claims (4)
- 生体組織を模擬した模擬生体組織と、前記模擬生体組織の内部又は前記模擬生体組織の内面側に配置されたゴム状弾性を有するチューブとを備え、
前記チューブの外表面の少なくとも一部がチューブ被覆層で被覆されており、
前記チューブは、イソプレンゴムからなり、その外径が5~10mm、若しくは内径が1~6mmであり、
前記チューブは、厚みが0.5~1.0mm、A硬度が0~50であり、
前記チューブ被覆層は、コラーゲン、プラスチックおよびセルロースから選ばれる1種(ただし、繊維材料を除く)からなり、その厚みが10~100μmである、
穿刺練習用模型。 - 前記チューブ被覆層の厚みが40~80μmである、請求項1に記載の穿刺練習用模型。
- 前記模擬生体組織が、液状の硬化性材料に前記チューブを埋設した状態で硬化されたものである、請求項1又は2に記載の穿刺練習用模型。
- 前記硬化性材料が2液硬化型シリコーン系材料である、請求項3に記載の穿刺練習用模型。
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