<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印Zは、垂直方向(上下方向)を示しており、各図において適宜示される矢印X、Yは、互いに直交する水平二方向を示している。
図2に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された大空間施設としての競技施設10は、フィールド12の周囲に客席14が配置された構成となっており、客席14には、図示しない複数のベンチが設けられている。また、本実施形態では一例として、フィールド12側から外側へ向かうにつれて高くなるように客席14が傾斜されている。なお、客席14は、フィールド12を挟んでY方向の両側に配置されている。
それぞれの客席14の上端部には、支持部材16を介して固定屋根18が設けられている。固定屋根18は、客席14におけるフィールド12側の端部まで延在されており、客席14の全域の上方を覆うように構成されている。そして、この固定屋根18のフィールド12側の端部には、X方向に延在された支持梁19が設けられている。また、本実施形態では一例として、固定屋根18がトラス状に形成されており、水平方向に延在されている。
ここで、固定屋根18及び支持梁19の上面には屋根仕上げ材20が設けられている。また、屋根仕上げ材20の上方には可動屋根22が設けられている。可動屋根22の詳細については後述する。
図1に示されるように、両側の支持梁19の間には、可動屋根22を支持するための固定梁26及び可動梁24が設けられている。固定梁26は、競技施設10におけるX方向の両端部に一対設けられており、それぞれY方向を長手方向とする長尺状に形成されている。そして、これらの固定梁26の長手方向の両端部が支持梁19に固定されている。
一方、可動梁24は、フィールド12を挟んで一対設けられており、それぞれY方向を長手方向とする長尺状に形成されている。また、可動梁24はそれぞれ、長手方向と直交するX方向に移動可能に構成されている。以下、可動梁24の移動機構の一例について説明する。
図5に示されるように、支持梁19の上下方向の中間部には、可動梁24側へ中間材19Aが延在されている。そして、この中間材19Aの先端部は可動梁24側へ突出されており、この突出された先端にガイド部材としての下側ガイド部材28が設けられている。下側ガイド部材28は、断面略H字状でX方向(図5の紙面方向)に延在されており、この下側ガイド部材28上には断面略T字状の下側レール30が設けられている。下側レール30は、X方向に延在されており、この下側レール30に可動梁24の下側ローラ38が係合されている。
また、支持梁19の可動梁24側には、上弦材32がX方向に延在されており、この上弦材32の側面には、断面略T字状の上側レール34が設けられている。上側レール34は、X方向に延在されており、この上側レール34に可動梁24の上側ローラ42が係合されている。
可動梁24の下弦材24Aの根本側端部の下面には、下側レール30を挟んで一対の下側ローラ保持部36が設けられている。そして、それぞれの下側ローラ保持部36には下側ローラ38が回転可能に取り付けられており、この下側ローラ38が下側レール30の上下のフランジ部間に入り込んでいる。すなわち、一対の下側ローラ38によって下側レール30のウェブ部が挟み込まれた状態となっている。
可動梁24の上弦材24Bの根本側端面から支持梁19側へ上側ローラ保持部40が設けられている。そして、この上側ローラ保持部40の下面には上側ローラ42が回転可能に取り付けられており、上側ローラ42が上側レール34のフランジ部間に入り込んでいる。このようにして、可動梁24は、下側ローラ38及び上側ローラ42を介して支持梁19に支持されている。
ここで、支持梁19の中間材19Aには、固定滑車44が設けられている。固定滑車44は、上下に2つのシーブ44Aを備えており、それぞれのシーブ44AにはワイヤW1が支持されている。固定滑車44は、X方向に間隔をあけて複数設けられており、X方向の一端側にはワイヤW1が巻き掛けられたトップシーブ(不図示)が設けられている。一方、X方向の他端側には、電動ウインチ(不図示)が設けられており、電動ウインチを駆動させることで、ワイヤW1がシーブ44Aに支持されながらX方向に移動する。
また、ワイヤW1が可動梁24に取り付けられているため、ワイヤW1が移動することで、可動梁24が引っ張られてX方向に移動するように構成されている。このとき、下側ローラ38は、下側レール30に沿って回転し、上側ローラ42は、上側レール34に沿って回転する。
なお、上述した可動梁24の移動機構については、他の方法を採用してもよい。例えば、下側ローラ38及び上側ローラ42の少なくとも一方を駆動輪とし、これらのローラを駆動させることで可動梁24を移動させてもよい。
ここで、本実施形態の可動梁24は、図1に示されるように、フィールド12から退避して固定梁26に隣接した収納位置と、図3に示されるようにフィールド12の中央側へ移動した展開位置との間で移動可能とされている。また、支持梁19における可動梁24の収納位置と対応する位置には、ロック機構(不図示)が設けられており、可動梁24の移動をロックできるように構成されている。
図3に示されるように、可動梁24の展開位置は、予め設定された位置なっている。そして、支持梁19における可動梁24の展開位置に対応する位置には、ロック機構(不図示)が設けられており、可動梁24の移動をロックできるように構成されている。ロック機構としては、可動梁24の移動をロックできる機構であれば種々の機構を採用することができる。例えば、シリンダでシアピンを移動させることで、可動梁24のロック及びロックの解除を行う機構としてもよい。
図4に示されるように、可動梁24が展開位置に移動することで、可動梁24がフィールド12の上方で支持梁19を連結する位置に配置される。なお、図4では、固定屋根18の下端と可動梁24の下端とが略直線状に描かれているが、実際には若干の段差が設けられている(図5参照)。
図6に示されるように、可動屋根22は、平面視で固定屋根18と同じ大きさの略矩形状に形成されており、Y方向に移動可能に構成されている。以下、可動屋根22の移動機構の一例について説明する。
図8に示されるように、固定屋根18を構成する上弦材18Aから上方へガイド部材51が延在されている。そして、ガイド部材51の上方には断面略H字状のレール52が固定されている。レール52は、Y方向に延在されており、このレール52に可動屋根22のローラ48が係合されている。
可動屋根22の下弦材22Aの下面側には、レール52を挟んで一対のローラ保持部46が設けられている。一対のローラ保持部46は、レール52と対応する位置に設けられており、それぞれのローラ保持部46にはローラ48が取り付けられている。そして、このローラ48がレール52の上下のフランジ部間に入り込んでいる。すなわち、ローラ48によってレール52のウェブ部が挟み込まれた状態となっている。また、図5に示されるように、ローラ保持部46及びローラ48は、レール52が延在されたY方向に間隔をあけて複数カ所に設けられている。そして、それぞれのローラ保持部46にはY方向に2つのローラ48が並んで取り付けられている。
図8に示されるように、屋根仕上げ材20上には固定滑車50が設けられている。固定滑車50の両側を構成するフレームは、固定屋根18の上弦材18AをX方向に繋ぐ連結部18Bに固定されている。また、固定滑車50は、上下に2つのシーブ50Aを備えており、それぞれのシーブ50AにはワイヤW2が支持されている。
図5に示されるように、固定滑車50は、ワイヤW2の延在方向であるY方向に沿って間隔をあけて複数設けられており、Y方向の一端部にはワイヤW2が巻き掛けられたトップシーブ54が設けられている。一方、Y方向の他端側には、電動ウインチ(不図示)が設けられており、電動ウインチを駆動させることでワイヤW2がシーブ50Aに支持されながらY方向に移動する。
図8に示されるように、X方向に間隔をあけて複数の固定滑車50が設けられており、それぞれの固定滑車50にワイヤW2が掛けられている。
ここで、ワイヤW2は、トップシーブ54と電動ウインチとの間で可動屋根22に取り付けられている。このため、ワイヤW2が移動することで、可動屋根22が引っ張られてY方向に移動するように構成されている。このとき、ローラ48は、レール52に沿って回転する。
図5に示されるように、可動梁24の上方にはレール56が設けられている。レール56の下端部は可動梁24の上弦材24Bに固定されており、このレール56は、展開位置でレール52と対応する位置に取り付けられている。つまり、固定屋根18上のレール52が、展開位置における可動梁24上のレール56と対応する位置にある。このため、可動梁24を展開位置まで移動させた状態では、固定屋根18側のレール52と可動梁24側のレール56とがY方向に略一直線上に配置されることとなる。これにより、可動屋根22がY方向に移動した場合に、ローラ48がレール52からレール56へ進み、可動屋根22が可動梁24に支持されてY方向に移動できるように構成されている。
可動屋根22は、図3に示されるフィールド12から退避した退避位置と、図7に示されるフィールド12の上方を覆う閉止位置との間でY方向に移動可能とされている。そして、可動屋根22が閉止位置まで移動した状態では、両側の可動屋根22同士がシアピンによりロックされた上で、隙間がシールされて雨などがフィールド12に入り込まないようになっている。なお、一方の可動屋根22の先端部に庇などを設け、この庇を他方の可動屋根22の上面に重ねるようにすることで雨漏れを抑制する構成としてもよい。
(作用並びに効果)
次に、本実施形態に係る屋根開閉構造の作用並びに効果について説明する。ここでは、フィールド12の上方の開口を閉じる場合の動作について説明しつつ、本実施形態の作用について説明する。
先ず、図1に示される状態で、一対の可動梁24のロック状態を解除する。すなわち、可動梁24を移動可能な状態とする。続いて、それぞれの可動梁24を上述した移動機構によって、図3に示される展開位置までX方向に移動させる。
ここで、本実施形態では、可動梁24を収納位置から展開位置へ移動させる際や、可動梁24を展開位置から収納位置へ移動させる際に、可動梁24が可動屋根22の荷重を負担しないので、可動梁24の移動に大掛かりな移動機構を必要とせずに済む。すなわち、電動ウインチなどの簡易な装置で可動梁24を移動させることができる。
図3に示される展開位置への可動梁24の移動が完了した後、ロック機構(不図示)により可動梁24を支持梁19に固定(ロック)する。そして、この状態で両側の可動屋根22を上述した移動機構によってY方向に移動させる。これにより、可動屋根22は、図3に示される退避位置から、図6に示される状態を経て図7に示される閉止位置へ移動される。
ここで、可動梁24によって可動屋根22の支持スパンを小さくすることができるので、可動屋根22の骨組みを簡易なものとすることができる。すなわち、可動梁24が無い構造の場合、固定梁26の間に可動屋根22を支持する部材が無いため、可動屋根22の骨組みを強固にする必要が生じる。本実施形態では、可動梁24によって可動屋根22を支持することができるため、可動屋根22の骨組みを簡易なものとすることができる。この結果、可動屋根22の開閉に大掛かりな移動機構を必要とせずに済む。すなわち、電動ウインチなどの簡易な装置で可動屋根22を移動させることができる。
また、図1に示されるように、可動梁24を収納位置に移動させることで、フィールド12の上方の開口部の開口率を確保することができる。すなわち、可動梁24によってフィールド12に影ができるのを抑制することができる。これにより、例えばフィールド12に天然芝が植栽された競技施設であっても、可動梁が影とならず十分に太陽光を照射することができる。すなわち、天然芝の育成を妨げずに済む。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図9に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設60は、フィールド12に対してX方向の両側に固定梁26が設けられている。固定梁26は、Y方向を長手方向として両側の支持梁19の間に配置されている。
支持梁19の間には2つの可動梁24が設けられている。ここで、本実施形態では、2つの可動梁24が収納位置で一方の固定梁26側に配置されている点で第1実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の競技施設60では、2つの可動梁24は、収納位置で紙面上側の固定梁26と隣接して配置されている。
そして、2つの可動梁24は、もう一方側の固定梁26に向かう方向に展開位置まで移動するように構成されており、展開位置に移動した状態では、図3と同じ配置となる。また、展開位置から収納位置へ移動する際は、図9で示す矢印とは反対方向へ2つの可動梁24を移動させることとなる。
以上のように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設60では、可動梁24を収納位置から展開位置まで移動させる際の2つの可動梁24の移動方向を同じ方向とすることができる。また同様に、可動梁24を展開位置から収納位置まで移動させる際の2つの可動梁24の移動方向を同じ方向とすることができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図10に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設62は、フィールド12に対してX方向の両側に固定梁26が設けられている。固定梁26は、Y方向を長手方向として支持梁19の間に配置されている。なお、説明の便宜上、図10では固定梁26の梁幅が第1実施形態の固定梁26よりも狭幅なっているが、第1実施形態と同じ梁幅としてもよい。後述する可動梁24についても同様である。
ここで、本実施形態の競技施設62は、支持梁19の間に4つの可動梁24が設けられている点で第1実施形態と異なる。本実施形態では一例として、可動梁24が展開位置に移動した状態では、固定梁26の間に略同じ間隔で4つの可動梁24が配置されるように構成されている。
また、4つの可動梁24はそれぞれ、X方向に移動可能に構成されており、図10に示す展開位置から固定梁26に隣接する収納位置へ移動可能とされている。収納位置では、それぞれの固定梁26に2つの可動梁24が並んで配置される。
以上のように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設62では、第1実施形態と比較して可動梁24の数が増えているため、より可動屋根22の支持スパンを小さくすることができ、支持状態を良好に維持することができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図11に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設64は、可動屋根66、68が複数に分割されている点で第1実施形態と異なる。競技施設64には、フィールド12に対してX方向の両側に固定梁26が設けられている。固定梁26は、Y方向を長手方向として支持梁19の間に配置されている。
支持梁19の間には2つの可動梁24が設けられており、これらの可動梁24は、図11では展開位置に移動した状態となっている。なお、本実施形態では、可動梁24の梁幅が第1実施形態よりも広幅となっている。
可動屋根66は、フィールド12を挟んでY方向の一方側に設けられており、第1屋根部材66A、第2屋根部材66B及び第3屋根部材66Cを含んで構成されている。第1屋根部材66Aは、可動屋根66における長手方向(X方向)の一端側を構成しており、Y方向に移動可能とされている。
ここで、図11では、第1屋根部材66Aが退避位置から閉止位置へY方向に移動した状態が示されている。なお、第1屋根部材66Aの移動機構は、第1実施形態と同様の機構を採用することができる。
ここで、図示はしないが、可動梁24には、それぞれの屋根部材を独立して移動可能にするために2つのレール56が設けられている(図5参照)。すなわち、第1屋根部材66Aと第2屋根部材66Bとの間に配置されている可動梁24には、第1屋根部材66Aを移動可能とするためのレール56と、第2屋根部材66Bを移動可能とするためのレール56とが設けられている。同様にして、支持梁19及び固定屋根18側にも第1屋根部材66Aを移動可能とするためのレール52と、第2屋根部材66Bを移動可能とするためのレール52とが設けられている。
第2屋根部材66Bは、可動屋根66におけるX方向の中央部分を構成しており、Y方向に移動可能とされている。また、第3屋根部材66Cは、可動屋根66におけるX方向の他端側を構成しており、Y方向に移動可能とされている。そして、第2屋根部材66Bと第3屋根部材66Cとの間に配置されている可動梁24には、第2屋根部材66Bを移動可能とするためのレール56と、第3屋根部材66Cを移動可能とするためのレール56とが設けられている。同様にして、支持梁19及び固定屋根18側にも第2屋根部材66Bを移動可能とするためのレール52と、第3屋根部材66Cを移動可能とするためのレール52とが設けられている。
以上のように、可動屋根66を構成する第1屋根部材66A、第2屋根部材66B及び第3屋根部材66Cはそれぞれ、独立してY方向に移動できるように構成されており、図11では、第1屋根部材66Aが退避位置から閉止位置まで移動した状態となっている。
可動屋根68は、フィールド12を挟んでY方向の他方側に設けられており、第1屋根部材68A、第2屋根部材68B及び第3屋根部材68Cを含んで構成されている。第1屋根部材68Aは、可動屋根68における長手方向(X方向)の一端側を構成しており、Y方向に移動可能とされている。
第2屋根部材68Bは、可動屋根68におけるX方向の中央部分を構成しており、Y方向に移動可能とされている。また、第3屋根部材68Cは、可動屋根68におけるX方向の他端側を構成しており、Y方向に移動可能とされている。
そして、第1屋根部材68A、第2屋根部材68B及び第3屋根部材68Cはそれぞれ、可動屋根66と同様の移動機構によってY方向に移動できるように構成されており、図11では、第1屋根部材68Aが退避位置から閉止位置まで移動した状態となっている。
以上のように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設64は、可動屋根66及び可動屋根68が分割されており、それぞれ独立して移動可能とすることで、必要な部分だけを覆うことができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図12に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設69は、支持梁19及び可動屋根70の形状が第1実施形態と異なっている。
固定屋根18は、フィールド12を挟んでY方向の両側に設けられており、固定屋根18のフィールド12側の端部には支持梁19が設けられている。そして、固定屋根18及び支持梁19の上面には屋根仕上げ材20が設けられている。ここで、支持梁19及び仕上げ材20のフィールド12側の端部は、平面視で略波型形状とされている。また、可動梁24がX方向に移動できるように、両側の支持梁19の間の長さがX方向で略同一の長さとなるようにそれぞれの支持梁19及び仕上げ材20の形状が設定されている。
可動屋根70は、固定屋根18の上方に設けられており、Y方向に移動可能とされている。ここで、図12では、可動屋根70が退避位置と閉止位置との間に位置している状態を示している。
また、可動屋根70におけるY方向の両側の端部が平面視で略波型形状とされている。また、閉止位置で一方の可動屋根70と他方の可動屋根70とが隙間なく突き当てられるように形状が設定されている。
以上のように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設69では、意匠の自由度を向上させることができる。なお、略波型形状に替えて、他の形状を採用してもよい。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図13に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設72は、固定屋根18及び可動屋根22が傾斜している点で第1実施形態と異なる。競技施設72には、フィールド12に対してY方向の両側に固定屋根18が設けられている。
それぞれの固定屋根18は、客席14の上端部に支持部材16を介して設けられている。また、固定屋根18は、客席14におけるフィールド12側の端部まで延在されており、客席14の全域の上方を覆うように構成されている。そして、本実施形態の固定屋根18はそれぞれ、フィールド12側へ向かうにつれて上方(Z方向)に位置するように傾斜して配置されている。
固定屋根18におけるフィールド12側の端部には、支持梁19が設けられており、この支持梁19の間には、可動屋根22を支持するための可動梁24が設けられている。可動梁24は、Y方向を長手方向とする長尺状に形成されており、X方向に移動可能に構成されている。また、本実施形態の可動梁24は、立面視でフィールド12の中央部分が頂部となるように略山型に形成されており、長手方向の端部がそれぞれ支持梁19に移動可能に支持されている。
可動屋根22は、退避位置から閉止位置へY方向に移動する。そして、図13に示すように可動屋根22が閉止位置に移動した状態では、それぞれの可動屋根22は、支持梁19側からフィールド12の中央部分に向かうにつれて徐々に上方(Z方向)に位置するように傾斜している。
以上のように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設72では、固定屋根18及び可動屋根22を傾斜させることにより、第1実施形態と比較して、閉止状態での競技施設内の空間を広く確保することができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図14に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設74は、固定屋根18及び可動屋根22がアーチ状に形成されている点で第1実施形態と異なる。競技施設74には、フィールド12に対してY方向の両側に固定屋根18が設けられている。
それぞれの固定屋根18は、客席14の上端部に支持部材16を介して設けられている。また、固定屋根18は、客席14におけるフィールド12側の端部まで延在されており、客席14の全域の上方を覆うように構成されている。そして、本実施形態の固定屋根18はそれぞれ、上方(Z方向)側が凸となるように略円弧状に形成されている。
固定屋根18におけるフィールド12側の端部には支持梁19が設けられており、この支持梁19の間には、可動屋根22を支持するための可動梁24が設けられている。可動梁24は、Y方向を長手方向とする長尺状に形成されており、X方向に移動可能に構成されている。また、本実施形態の可動梁24は、立面視で略円弧状に形成されており、長手方向の端部がそれぞれ支持梁19に移動可能に支持されている。
可動屋根22は、退避位置から閉止位置へY方向に移動する。また、可動屋根22はそれぞれ、可動梁24にそって略円弧状に形成されている。
以上のように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設74では、固定屋根18及び可動屋根22を傾斜させることにより、第1実施形態と比較して、閉止状態での競技施設内の空間を広く確保することができる。また、上述した第6実施形態と比較して、可動梁24や可動屋根22に入力される外力が分散され易い。その他の作用については第1実施形態と同様である。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る屋根開閉構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図15(A)に示されるように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設80は、固定屋根18が設けられていない点で第1実施形態と異なる。なお、図15(A)及び図15(B)では、説明の便宜上、競技施設80のY方向一方側の半分だけを図示しており、左右対称の構成とされたY方向他方側についての図示を省略している。
フィールド12を挟んでY方向の両側には客席14が設けられており、この客席14の上端部には、ガイド部材84を介して可動梁24が設けられている。ガイド部材84は、客席14に沿ってX方向に延在されている。また、可動梁24は、Y方向を長手方向とする長尺状に形成されており、ガイド部材84に移動可能に支持されている。
可動梁24の移動機構としては、第1実施形態と同様の機構を採用し得る。例えば、ガイド部材84の上面に第1実施形態で説明した下側レール30(図5参照)を固定し、この下側レール30に可動梁24のローラを係合することで、可動梁24を移動可能に構成してもよい。
ここで、本実施形態では、客席14の外側(フィールド12とは反対側)に支持部材としての建物82が設けられている。建物82は、客席14に沿ってX方向に延在されており、この建物82の中には売店などが入っている。
図15(B)に示されるように、建物82の上部には可動屋根86が設けられており、この可動屋根86の一部が建物82に支持されている。ここで、図15(B)では可動屋根86が退避位置にある状態を示している。
可動屋根86の移動機構は、第1実施形態と同様の機構を採用し得る。例えば、建物82の上面にレール52(図8参照)を設け、可動屋根86にレール52に係合するローラ88を設けることで、可動屋根86が移動可能に構成されている。
なお、本実施形態では、可動屋根86が退避位置にある状態で、可動屋根86の先端部が建物82よりもフィールド12側へ延出されている。また、可動梁24の移動時に、可動梁24と可動屋根86のローラ88とが接触しないように、建物82から延出された部分にはローラ88が設けられていない。
ここで、可動屋根86でフィールド12の上方を覆う場合、図15(B)の状態から可動梁24を収納位置から展開位置まで移動させる。続いて、可動屋根86を退避位置から閉止位置までフィールド12側(Y方向)へ移動させることで、図15(A)の状態となる。
以上のように、本実施形態の屋根開閉構造が適用された競技施設80では、可動屋根86を客席14よりも外側の建物82まで退避させることにより、固定屋根を備えた第1実施形態と比較して、より開放感を得ることができる。また、天然芝を育成している場合、第1実施形態では、可動屋根を退避位置まで移動させても客席14の全域が屋根で覆われた状態となるため、この構造と比較して、本実施形態では天然芝への太陽光の照射時間を確保することができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、図15(B)に示されるように、可動屋根86を退避位置まで移動させた状態で、建物82から延出された部分にはローラ88が設けられていなかったが、これに限定されない。例えば、建物82から延出された部分にローラ88が設けられた構成としてもよい。この場合、可動梁24の移動時には、ローラ88を上側へ退避させて可動梁24との干渉を抑制する構成などを採用し得る。
以上、本発明の第1実施形態~第8実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、第1実施形態では、図2に示されるように、固定屋根18の上側に可動屋根22を設けたが、これに限定されず、図16に示される変形例の構成を採用してもよい。
図16(A)に示されるように、この変形例では、固定屋根90の下側に可動屋根22が設けられている。この場合、可動屋根22は、固定屋根90に上方から移動可能に支持されており、固定屋根90に沿って退避位置と閉止位置との間で移動可能とされている。
一方、図16(B)に示されるように、この変形例では、固定屋根92の内側に可動屋根22が収納された所謂入れ子構造を採用してもよい。この場合、可動屋根22は、固定屋根92の上下の内壁にガイドされて移動される。
図16(C)に示されるように、この変形例では、固定屋根93の上側に可動屋根95が設けられており、この可動屋根95は蛇腹状に形成されている。具体的には、可動屋根95は、複数の板状部材を備えており、これらの板状部材の端部同士を連結部95Aで回転可能に連結することで形成されている。このため、可動屋根95は、図16(C)で図示するように折り畳み可能とされており、この状態の可動屋根95の位置が退避位置となる。また、可動屋根95の一端側を固定屋根93に沿って閉止位置まで移動させることで、可動屋根95が展開されてフィールド12(図2参照)の上方を覆うことができるようになっている。
また、第1実施形態では、図2に示されるように、固定屋根18によって客席14の全域を覆うように構成したが、これに限定されない。例えば、固定屋根18をさらに短く形成し、客席14の一部の上方が開放された構造としてもよい。
さらに、第8実施形態では、図15に示されるように、可動梁24は、両側のガイド部材84の間に移動可動に支持されていたが、これに限らず、図17の変形例の構成を採用してもよい。
図17(A)に示されるように、この変形例では、可動梁24に替えて、可動梁94及び可動梁96が設けられている。可動梁94は、Y方向に延在されており、一端側がガイド部材84に支持され、他端側が支持梁97に支持されている。なお、この変形例では、フィールド12の中央部を中心として左右対称の構造となっており、図17(A)及び図17(B)では、Y方向一方側の半分のみが図示されている。
また、可動梁94の先端部には、支持梁97が設けられている。支持梁97は、X方向に延在されており、この支持梁97には可動梁94がX方向に移動可能に支持されていると共に、可動梁96もX方向に移動可能に支持されている。ここで、図示はしないが、反対側の客席14の上端部にもガイド部材84に支持されて可動梁94と同様の可動梁が設けられており、この可動梁の先端部にも支持梁が設けられている。このように、可動梁96は、一方側の支持梁97と他方側の支持梁とに支持された状態で、X方向に移動可能とされている。
以上の構成において、可動屋根86でフィールド12の上方を覆う場合、図17(B)の状態から可動梁94を収納位置から展開位置までガイド部材84及び支持梁97に沿って移動させる。次に、可動梁96を収納位置から展開位置まで支持梁97に沿って移動させる。続いて、可動屋根86を退避位置から閉止位置までフィールド12側(Y方向)へ移動させることで、図17(A)の状態となる。
本変形例では、可動梁94と可動梁96とを別々に移動させることができる。これにより、例えば、客席14の上部だけを可動屋根86で覆う場合は、可動梁94だけを展開位置に移動させればよく、可動梁96を収納位置から移動させなくてもよい。この結果、可動梁96によって開放感が損なわれるのを抑制することができる。
また、フィールド12を可動屋根86で完全に覆う場合は、可動梁94に加えて可動梁96を支持梁97に沿って展開位置まで移動させればよい。可動梁96を展開位置まで移動させることにより、可動屋根86をさらにフィールド12側まで移動させることができ、フィールド12を可動屋根86で完全に覆うことができる。
なお、上記変形例において、支持梁97を支持する支柱を客席14やフィールド12の端に立設させてもよい。また、上記実施形態及び変形例では、大空間施設として競技施設に適用した際の構造について説明したが、他の大空間施設に適用してもよい。例えば、コンサート会場などに適用してもよい。