JP7031104B2 - 難治性夜間頻尿・夜間多尿症バイオマーカー、これを用いた検査方法及び難治性夜間頻尿・夜間多尿症の予防剤又は改善剤のスクリーニング方法 - Google Patents

難治性夜間頻尿・夜間多尿症バイオマーカー、これを用いた検査方法及び難治性夜間頻尿・夜間多尿症の予防剤又は改善剤のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、難治性夜間頻尿・夜間多尿症バイオマーカー、これを用いた検査方法及び難治性夜間頻尿・夜間多尿症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法に関する。
夜間頻尿とは、「夜間、排尿のために1回以上起きなければならない」という訴えであり、夜間多尿とは24時間の尿量のうち、夜間(通常患者が就寝中である8時間)の割合が多い場合をいう。本邦において、夜間頻尿・夜間多尿を有する患者は加齢とともに増加し、頻度の高い下部尿路症状の一つである。日本人男性において、夜間頻尿の罹患率割合は50歳以上で61.8%、70歳以上では90%以上と極めて高いことが非特許文献1において報告されている。QOL(Quality Of Life)への影響も大きく、睡眠の質の低下や昼間の倦怠感の出現、社会生活への影響が生じ、高齢者においては夜間頻尿が転倒発生の要因となり、大腿骨頚部骨折のリスクを増加させる。
夜間頻尿・夜間多尿の診断には、排尿日誌が広く用いられている。患者は、排尿日誌に、排尿時の時間・1回排尿量・尿漏れの有無・1回飲水量等を、3~7日間記載することが求められる。しかし、排尿日誌は、昼夜を問わず24時間記入が必要であり、記入そのもの自体に手間を要し、更には記入漏れ・ミス等が起こることがあり、全ての排尿に関して記録を要するという心理的負荷が生じるため、患者への負担が大きく、また、記入者の主観が入るため信憑性や客観性も十分とはいえないのが現状である。
特開2015-49050
Urology, 2006年, 第68巻, p .560-564
特許文献1には、排尿障害のバイオマーカーとして尿中のある種の化合物を用いることが記載されている。しかしながら、尿中の代謝物質であり測定ごとにクレアチニン補正をしなければいけないという課題がある。またさらには、それらは過活動膀胱または頻尿を呈する排尿障害を検査・検出することはできるが、現時点では治療方法や内服薬も限られておりかつ各種治療に反応の有無の判別や治療抵抗性を鑑別することができない夜間頻尿・夜間多尿という排尿障害を検査・検出することはできないという課題もある。
以上のような課題を解決するため、本発明による夜間頻尿又は夜間多尿症の検査用バイオマーカーは、下記式(1)~(6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする。
Figure 0007031104000001
また、本発明による夜間頻尿又は夜間多尿症の検査方法は、血液中の、下記式(1)~(6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の量を指標とすることを特徴とする。
Figure 0007031104000002
また、本発明による夜間頻尿又は夜間多尿症の予防又は改善剤のスクリーニング方法は、血液中の、下記式(1)~(6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の量を指標とすることを特徴とする。
Figure 0007031104000003
は化合物としてパルミトイルエタノールアミド(PEA)とラウリン酸(Lauric acid)、さらにそれらを組合せたモデル(MLR)の、真陽性感度と偽陽性率(1-特異度)をプロットした図である。
本発明のバイオマーカーは、下記式(1)~(6)で表される化合物である。
下記式(1)で表される化合物は、パルミトイルエタノールアミド(PEA)である。
下記式(2)で表される化合物は、9-ヒドロキシオクタデカジエン酸(9-HODE)である。
下記式(3)で表される化合物は、13-ヒドロキシオクタデカジエン酸(13-HODE)である。
下記式(4)で表される化合物は、4-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(4-HDoHE)である。
下記式(5)で表される化合物は、20-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(20-HDoHE)である。
下記式(6)で表される化合物は、ラウリン酸(Lauric acid)である。
Figure 0007031104000004
前記式(1)~(6)で表される化合物は各々、難治性夜間頻尿・夜間多尿の検査・検出用バイオマーカーとして用いる事ができる。これらの化合物を1種単独で用いることもでき、複数種を適宜組み合わせて使用してもよい。本発明のバイオマーカーは、生体から採取された血漿中の前記式(1)~(6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む。
前記式(1)~(6)で表される化合物は各々、難治性夜間頻尿・夜間多尿の検査・検出に用いることができる。これらを用いることで、薬物治療や行動療法などの夜間頻尿・夜間多尿に対する一般的な治療効果の有無をある程度予測することが見込まれる。本発明による難治性夜間頻尿・夜間多尿の検査方法は、生体から採取された血漿中の前記式(1)~(6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の量を指標とする。
本発明による難治性夜間頻尿・夜間多尿の検査方法は、次の工程を含むことが望ましい。
(a)被験体から血漿サンプルを採取する工程
(b)採取した血漿サンプルから前記式(1)~(6)で表される化合物の量を測定する工程
(c)測定した前記式(1)~(6)で表される化合物の量に基づいて、難治性夜間頻尿・夜間多尿であるかどうかを判定する工程
工程(a)における被験体から血漿サンプルの採取は以下のように行う。
対象となる被験体から血液サンプルを採取し、例えば通常の方法で血液の遠心分離を行い、血漿成分のみを抽出し、血漿サンプルとする。
本発明の検査方法の対象、すなわち工程(a)の被験体は、特に限定されず、ヒト及び他の哺乳動物、サル、チンパンジー、牛、豚、犬、猫、ラットやマウスなどが挙げられる。
工程(b)における化合物の量の測定は以下のように行う。
前記式(1)~(5)で表される化合物は水溶性代謝物であり、例えば以下に示す方法により抽出できる。まず血漿サンプル50μLに内部標準入りのメタノールを450μL加えて撹拌後、さらにクロロホルム500μLと純水200μLを加えて撹拌する。撹拌後、4℃、2,300×gで5分間遠心分離し、分離した水相400μLを分画分子量5kDaの限外ろ過フィルターを用いて除タンパクする。ろ液を遠心乾固した後、純水25μLで再溶解する。
このようにして得られた抽出物を、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計 (CE-TOFMS) を用いて、血漿中の水溶性代謝物を測定する。装置としては、例えばAgilent CE-TOFMS system (Agilent Technologies 社)を用い、キャピラリーとしては、例えばFused silica capillary
i.d. 50 μm × 80 cm (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社)を用いることができる。
この場合の測定条件は、例えば、
Run buffer:Anion Buffer Solution (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社p/n : I3302-1023)
Rinse buffer:Anion Buffer Solution (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社p/n : I3302-1023)
Sample injection:Pressure injection 50 mbar,
25 sec
CE voltage:Positive, 30 kV
MS ionization:ESI Negative
MS capillary voltage:3,500 V
MS scan range:m/z 50-1,000
Sheath liquid:HMT Sheath Liquid (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社p/n : H3301-1020)
とすることができる。
また前記式(6)で表される化合物は脂溶性代謝物であり、例えば以下に示す方法により抽出できる。まず血漿サンプル200μLに内部標準入りのメタノールを800μL加え攪拌後、4℃で1時間のメタノール抽出を行う。メタノール抽出後、4℃、3,000 rpmで10分間遠心分離して上清を回収する。この上清溶液にpH 3.0以下の塩酸5 mLを加え、メタノール4.5mLおよび純水4.5mLでコンディショニング済みの固相抽出用カートリッジにアプライする。カートリッジに純水4.5mLおよびヘキサン3mLで洗浄を行い、メタノール500μLで溶出する。溶出液を窒素乾固した後、50%アセトニトリル50μLで再溶解する。
このようにして得られた抽出物を、液体クロマトグラフィー -三連四重極型質量分析計 (LC-MS) を用いて、血漿中の脂溶性代謝物測定する。装置としては、例えばAgilent LC-MS system (Agilent Technologies 社)を用い、カラムとしては、例えばColumn 2.6μm C8 100A 150×2.1mm (Kinetex社)を用いることができる。
この場合の測定条件は、例えば、
Mobile phase A:アセトニトリル (0.1% ギ酸)
Mobile phase B:純水 (0.1% ギ酸)
Sample injection:5μL
Flow rate:0.4mL/min
Column temp:40℃
MS ionization:AJS ESI Negative, Positive
Scan type:MRM
とすることができる。
工程(c)における難治性夜間頻尿・夜間多尿であるかどうかの判定は以下のように行う。
判定対象の被験体から測定した上記代謝物である化合物の測定結果を、健常な被験体から測定した上記代謝物である化合物の測定結果を標準値として比較し、標準値よりも高いほど、難治性夜間頻尿・夜間多尿の程度が高いと判定する。
また、式(1)~(6)で表される化合物は各々、難治性夜間頻尿・夜間多尿の予防剤又は改善剤のスクリーニングに用いることができる。
本発明による難治性夜間頻尿・夜間多尿の予防剤又は改善剤のスクリーニング方法は、次の工程を含むことが望ましい。
(d)被験物質投与前の被験体から投与前血漿サンプルを採取する工程
(e)投与前血漿サンプルから式(1)~(6)で表される化合物の量を測定する工程
(f)被験体に被験物質を投与する工程
(g)被験物質を投与後の被験体から投与後血漿サンプルを採取する工程
(h)投与後血漿サンプルから式(1)~(6)で表される化合物の量を測定する工程
(i)投与前血漿サンプルからと投与後血漿サンプルからの式(1)~(6)で表される化合物の量の測定結果に基づいて夜間頻尿又は夜間多尿症の予防剤又は改善剤として有用な被験物質を選択する工程
工程(d)では、被験物質投与前の被験体から投与前血漿サンプルを採取する。方法は上述した検査方法の工程(a)と同様に行う。
工程(e)では、投与前血漿サンプルから式(1)~(6)で表される化合物の量を測定する。方法は上述した検査方法の工程(b)と同様に行う。
工程(f)では、被験体に被験物質を投与する。被験物質は、夜間頻尿又は夜間多尿症の予防剤又は改善剤となる可能性のある物質であり、例えば、各種化合物や食品素材、食品素材から抽出された物質等である。
工程(g)では、被験物質を投与後の被験体から投与後血漿サンプルを採取する。方法は上述した検査方法の工程(a)と同様に行う。
工程(h)では、投与後血漿サンプルから式(1)~(6)で表される化合物の量を測定する。方法は上述した検査方法の工程(b)と同様に行う。
工程(i)では、投与前血漿サンプルからと投与後血漿サンプルからの式(1)~(6)で表される化合物の量の測定結果に基づいて夜間頻尿又は夜間多尿症の予防剤又は改善剤として有用な被験物質を選択する。具体的には、被験物質投与後の式(1)~(6)で表される化合物の測定値と、被験物質投与前の式(1)~(6)で表される化合物の測定値とを比較して、被験物質投与後の式(1)~(6)で表される化合物の量の変化を確認する。その結果、投与後の式(1)~(6)のいずれかで表される化合物の測定値が投与前も測定値よりも高い場合に、投与した被験物質を予防剤又は改善剤として選択する。
また、式(1)~(6)で表される化合物は各々、難治性夜間頻尿・夜間多尿の治療効果判定にも用いることができる。この場合、上述のスクリーニング方法と同様に行うことができる。具体的には、以下の工程により治療判定を行うことができる。
(j)治療前の被験体から投与前血漿サンプルを採取する工程
(k)治療前血漿サンプルから式(1)~(6)で表される化合物の量を測定する工程
(l)被験体に治療を施す工程
(m)治療後の被験体から投与後血漿サンプルを採取する工程
(n)治療後血漿サンプルから式(1)~(6)で表される化合物の量を測定する工程
(o)治療前血漿サンプルからと治療後血漿サンプルからの式(1)~(6)で表される化合物の量の測定結果に基づいて夜間頻尿又は夜間多尿症の治療効果を判定する工程
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。
1. 被験者の選定と血液サンプルの採取
65歳以上80歳未満の男性の中で、山梨大学医学部付属病院泌尿器科通院中の方を対象にして平均夜間排尿回数が1.5回未満の方を健常人群、1.5回以上の方を夜間頻尿患者群として組み入れた。(組み入れ基準の詳細は、後程表1として示す。)特に、夜間頻尿群に組み入れられた患者は、薬物療法等各種様々な夜間頻尿・夜間多尿に対する治療を行ったが、奏功していない難治性夜間頻尿・夜間多尿を呈する方々である。被験者から、当日朝から絶食していただき、午前中に採血を採取した。採取した血液はEDTA入り試験管に採取し、0℃・3000rpm・10分で遠心した後に血漿成分のみ-80℃凍結保存した。
2. 被験者に対する排尿日誌および国際前立腺症状スコア(IPSS;International Prostate Symptom Score)の実施
サンプル採取日までに、3日間連続で被験者は排尿日誌に、排尿時間と排尿量を記録した。さらに、IPSSを実施した。IPSSは世界共通で使われている排尿障害に関する問診票であり、被験者が記載した。(男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン 2017年)
各群組み入れ基準を表1に示す。
Figure 0007031104000005
両群において、共通除外基準を以下に列挙する。
・尿路上皮悪性腫瘍と診断された者
・下部尿路痛症候群を有する者
・24時間尿量が40mL/kg以上の多尿患者
・心疾患・肝疾患・腎障害など重篤な合併症を有する患者
・その他、医師の判断により対象として不適当と判断された患者
これらの結果からは、夜間頻尿患者群は夜間2回トイレのために起床する必要がある、いわゆる夜間頻尿・夜間多尿を呈する患者でありその中でも各種治療に抵抗性の難治性夜間頻尿・夜間多尿群であり、一方、健常人群は夜間排尿回数が1回未満でありかつIPSSが8点未満と、下部尿路障害があったとしても軽度である患者群にあたると推測された。
3.バイオマーカーの測定
3-1 水溶性代謝物質の測定
3-1-1 血液からの代謝物質の抽出
血漿サンプル50μLに内部標準入りのメタノールを450μL加え攪拌後、さらにクロロホルム500μL、純水200μLを加えよく攪拌した。攪拌後、4℃、2,300 × gで5分間遠心分離し、分離した水相400μLを分画分子量5 kDaの限外ろ過フィルターを用いて除タンパクした。ろ液を遠心乾固した後、純水25μLで再溶解し、分析に供した。
3-1-2 キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計 (CE-TOFMS) による血漿中の水溶性代謝物測定
CE-TOFMSを用いて、夜間頻尿患者および健常人の血漿サンプル中の代謝物質を網羅的に測定した。
3-1-3 陰イオン性代謝物質測定条件・装置に関しては以下の通り
Agilent CE-TOFMS system (Agilent Technologies 社)
Capillary:Fused silica capillary i.d. 50 μm × 80 cm (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社)
測定条件
Run buffer:Anion Buffer Solution (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社p/n : I3302-1023)
Rinse buffer:Anion Buffer Solution (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社p/n : I3302-1023)
Sample injection:Pressure injection 50 mbar, 25 sec
CE voltage:Positive, 30 kV
MS ionization:ESI Negative
MS capillary voltage:3,500 V
MS scan range:m/z 50-1,000
Sheath liquid:HMT Sheath Liquid (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社p/n : H3301-1020)
3-2 脂溶性代謝物質の測定
3-2-1 血液からの代謝物質の抽出
血漿サンプル200μLに内部標準入りのメタノールを800μL加え攪拌後、4℃で1時間のメタノール抽出を行った。メタノール抽出後、4℃、3,000 rpmで10分間遠心分離して上清を回収した。この上清溶液にpH 3.0以下の塩酸5 mLを加え、メタノール4.5mLおよび純水4.5mLでコンディショニング済みの固相抽出用カートリッジにアプライした。カートリッジに純水4.5mLおよびヘキサン3mLで洗浄を行い、メタノール500μLで溶出した。溶出液を窒素乾固した後、50%アセトニトリル50μLで再溶解し、分析に供した。
3-2-2 液体クロマトグラフィー -三連四重極型質量分析計 (LC-MS) による血漿中の脂溶性代謝物測定
LC-MSを用いて、夜間頻尿患者および健常人の血漿サンプル中の代謝物質を網羅的に測定した。
3-2-3 脂溶性代謝物質測定条件・装置に関しては以下の通り
Agilent LC-MS system (Agilent Technologies 社)
Column 2.6μm C8 100A 150×2.1mm (Kinetex社)
測定条件
Mobile phase A:アセトニトリル (0.1% ギ酸)
Mobile phase B:純水 (0.1% ギ酸)
Sample injection:5μL
Flow rate:0.4mL/min
Column temp:40℃
MS ionization:AJS ESI Negative, Positive
Scan type:MRM
上記3-1、2で測定した化合物中の中で、健常人群と比較して夜間頻尿患者群で有意差があるとして検出された測定結果を表2に示す。
Figure 0007031104000006
次に、表2の血中の代謝物質の中で、排尿日誌の各パラメーターの中で夜間頻尿/夜間多尿の臨床症状の内、最も核となる『夜間排尿回数(夜間入眠中にトイレに起きる回数)』と相関をもつ代謝物質を検討した結果を、以下に示す[表3]。
Figure 0007031104000007
表3に示すように、前記式(1)~(6)で表される化合物の血中濃度は、健常人群と夜間頻尿群との間で有意差が認められた。さらには、前記式(1)~(6)で表される化合物の血中濃度は『夜間排尿回数』と相関をもつことが明らかになった。
4 バイオマーカー解析
更に検討を進め、夜間頻尿/夜間多尿患者と健常人の鑑別能を上げるため、多変量解析手法の一つである多重ロジスティック回帰分析を行い、6種の疾患関連因子候補の中から2種を組み合わせたモデルを作成した。解析にはJMP ver 12.0.0 (SAS Institute社) を使用した。
2個のマーカー候補を組み合わせた結果を図1に示す。図1は化合物としてパルミトイルエタノールアミド(PEA)とラウリン酸(Lauric acid)、さらにそれらを組合せたモデル(MLR)の、真陽性感度と偽陽性率(1-特異度)をプロットした図である。それぞれの(the area under the receiver operating characteristic curves, AUC)は、
PEA:AUC=0.78942
Lauric acid:AUC=0.73228
MLR(PEA+Lauric acid):AUC=0.84550
であり、2個のマーカー候補を組み合わせた結果、鑑別能が向上し、夜間頻尿/夜間多尿患者と健常人を高精度に分類することが可能であった。
これらの結果から、前記式(1)~(6)で表される化合物は、夜間頻尿・夜間多尿の患者の中でも、特に薬物療法等に難治性の夜間頻尿・夜間多尿のバイオマーカーとして有用であることが確認された。
本発明による難治性夜間頻尿・夜間多尿症バイオマーカー、これを用いた検査方法及び難治性夜間頻尿・夜間多尿症の予防剤又は改善剤のスクリーニング方法は、難治性夜間頻尿・夜間多尿症の検査やそれらの予防剤又は改善剤の開発に用いることで、精度の良い、安定した方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 血液中の下記式(1)~(6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であって、それら化合物の量により夜間頻尿又は夜間多尿症を判定する、夜間頻尿又は夜間多尿症の検査用バイオマーカー。
    (化1)

    Figure 0007031104000008

  2. 判定対象の被験体から測定した上記少なくとも1種の化合物血中濃度と、健常な被験体から測定した上記少なくとも1種の化合物血中濃度の標準値とから夜間頻尿又は夜間多尿症を判定する、請求項1記載の夜間頻尿又は夜間多尿症の検査用バイオマーカー。
  3. 前記夜間頻尿又は夜間多尿症が、難治性の夜間頻尿又は夜間多尿症であることを特徴とする請求項1または2に記載の夜間頻尿又は夜間多尿症の検査用バイオマーカー。
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井原達矢,脂肪酸代謝産物のPalmitoylethanolamide(PEA)は膀胱上皮のGPCR55を介し排尿反射を誘発し夜間頻尿の原因となる,日本排尿機能学会誌,2020年,Vol.31 No.1,Page.275
井原達矢,血中脂肪酸濃度の概日リズム障害と夜間頻尿の関連性,創薬の可能性,月刊メディカル・サイエンス・ダイジェスト,2021年07月25日,Vol.47 No.8,Page.435-438
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