JP7030113B2 - 無機-有機複合医科材料、および、無機-有機複合医科材料の製造方法 - Google Patents

無機-有機複合医科材料、および、無機-有機複合医科材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無機-有機複合医科材料、および、無機-有機複合医科材料の製造方法に関する。
医療において、人体の欠損部位の形態および機能を人工物で補うこと(補綴)が知られている。例えば、歯科治療では、虫歯などにより欠損した歯冠を、歯科材料により修復する。そのような歯科材料として、要求される機械特性を確保すべく、無機材料と有機材料との複合材料が検討されている。
例えば、セラミック網状構造物と、セラミック網状構造物に注入されるモノマーの硬化物とを備える歯科用充填物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そのような歯科用充填物は、粒径が0.1μm~10μmであるセラミック粒子を媒体に分散させて懸濁物を調製した後、懸濁物を乾燥させ、続いて、乾燥した懸濁物を1000℃~1400℃で焼結させてセラミック網状構造物を形成し、次いで、モノマーをセラミック網状構造物に注入後、硬化させることにより製造される。
特開平9-98990号公報
しかるに、歯冠を修復する歯科材料は、咬合において、対合歯のエナメル質(天然ヒトエナメル質)と接触する。このとき、歯科材料の硬さがエナメル質よりも小さいと、歯科材料が摩耗(咬耗)し、歯科材料の硬さがエナメル質よりも大きいと、対合歯のエナメル質が摩耗(咬耗)する。そのため、歯科材料の硬さをエナメル質の硬さと同程度にすることが望まれる。
しかし、特許文献1に記載の歯科用充填物の硬さは、エナメル質の硬さよりも顕著に小さく、歯科用充填物の硬さをエナメル質の硬さと同程度まで向上させることは困難である。
その結果、特許文献1に記載の歯科用充填物では、咬合における摩耗(咬耗)を抑制できない。また、各種医療分野においても、補綴物として好適な硬さを有する無機-有機複合材料が望まれている。
そこで、本発明は、補綴物として好適な硬さを有する無機-有機複合医科材料および無機-有機複合医科材料の製造方法を提供する。
本発明[1]は、連通孔を有する無機物と、前記連通孔内に充填される有機高分子との2相共連続構造を有し、前記連通孔の平均孔径が、1nm以上100nm以下であり、前記無機物の比表面積が、100m/g以下である、無機-有機複合医科材料を含んでいる。
しかるに、連通孔の平均孔径が上記下限未満であると、連通孔に有機高分子を十分に充填できず、無機物と有機高分子との2相共連続構造を確保できない場合がある。この場合、無機物内に空隙が生じるために、無機-有機複合医科材料が脆くなるおそれがある。
また、特許文献1に記載の歯科用充填物では、連通孔の平均孔径が上記上限を超過する。連通孔の平均孔径が上記上限を超過すると、無機物と有機高分子との2相共連続構造を確保できる一方、無機-有機複合医科材料の硬さの向上を図るには限度がある。さらに、連通孔の平均孔径が上記上限以下であっても、無機物の比表面積が上記上限を超過すると、無機-有機複合医科材料の硬さの向上を十分に図ることができない。
上記の構成によれば、連通孔の平均孔径が上記下限以上であるので、無機物の連通孔に有機高分子を十分に充填することができ、無機物と有機高分子との2相共連続構造を確保することができる。そのため、無機-有機複合医科材料が脆くなることを抑制できる。
また、連通孔の平均孔径が上記上限以下であり、かつ、無機物の比表面積が上記上限以下であるので、無機-有機複合医科材料の硬さの向上を図ることができる。
その結果、無機-有機複合医科材料の硬さを、補綴物として好適な硬さ、とりわけ、エナメル質と同程度の硬さにすることができる。
本発明[2]は、前記無機物が、金属酸化物である、上記[1]に記載の無機-有機複合医科材料を含んでいる。
このような構成によれば、無機物が金属酸化物であるので、無機-有機複合医科材料の硬さを、補綴物として好適な硬さ、とりわけ、エナメル質と同程度の硬さまで確実に向上させることができる。
本発明[3]は、前記有機高分子が、エチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体の重合体である、上記[1]または[2]に記載の無機-有機複合医科材料を含んでいる。
このような構成によれば、有機高分子がエチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体の重合体であるので、有機高分子を連通孔に確実に充填でき、無機物と有機高分子との2相共連続構造を安定して確保することができる。
本発明[4]は、無機ナノ粒子を分散媒中に分散させる工程、前記分散媒を乾燥して、前記無機ナノ粒子からナノポアを有する多孔質前駆体を形成する工程、前記多孔質前駆体を焼成して、平均孔径が1nm以上100nm以下の連通孔を有し、比表面積が100m/g以下である無機焼成体を形成する工程、前記無機焼成体の前記連通孔に有機高分子を充填して、前記連通孔を有する無機物と、前記連通孔内に充填される有機高分子との2相共連続構造を有する無機-有機複合医科材料を製造する工程、を備える、無機-有機複合医科材料の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、無機ナノ粒子を分散媒中に分散した後、分散媒を乾燥してナノポアを有する多孔質前駆体を形成し、次いで、多孔質前駆体を焼成して、平均孔径が上記のナノオーダーの範囲内である連通孔を有し、比表面積が上記上限以下である無機焼成体を形成した後、無機焼成体の連通孔に有機高分子を充填する。これにより、補綴物として好適な硬さを有する無機-有機複合医科材料を製造することができる。
しかるに、歯のエナメル質の硬さは、患者の年齢や歯の部位によって変化し、歯冠部にかかる咬合力などの応力も、各患者によって変化する。そのため、各患者に応じた硬さを有する無機-有機複合医科材料が望まれる。
上記の方法では、多孔質前駆体を焼成して、連通孔を有する無機焼成体を形成するので、焼成条件を適宜変更することにより、連通孔の平均孔径を上記のナノオーダーの範囲内において調整することができるとともに、無機焼成体の比表面積を上記上限以下に調整することができる。また、無機-有機複合医科材料の硬さは、連通孔の平均孔径や比表面積などの無機焼成体の状態に依存して変動する。
そのため、簡易な方法でありながら、連通孔の平均孔径を上記の範囲内において調整するとともに、比表面積を上記上限以下に調整することにより、無機-有機複合医科材料の硬さを調整でき、所望の硬さを有する無機-有機複合医科材料を効率よく製造できる。
本発明[5]は、前記無機ナノ粒子を前記分散媒中に分散させる工程では、前記無機ナノ粒子とともに水溶性高分子を前記分散媒中に配合して、前記無機ナノ粒子を前記分散媒中に分散させ、前記多孔質前駆体を形成する工程では、前記分散媒を乾燥して、前記無機ナノ粒子および前記水溶性高分子から、前記水溶性高分子に起因するナノポアを有する前記多孔質前駆体を形成する、上記[4]に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、無機ナノ粒子とともに水溶性高分子を分散媒中に配合し、無機ナノ粒子を分散した後、分散媒を乾燥して多孔質前駆体を形成する。そのため、多孔質前駆体において、水溶性高分子に起因するナノポアを確実に形成することができる。
そして、ナノポアを有する多孔質前駆体を焼成することにより、無機焼成体を形成するので、上記のナノオーダーの範囲の平均孔径を有する連通孔を確実に形成することができる。
本発明[6]は、前記無機焼成体を形成する工程では、前記無機焼成体が、前記連通孔を有さない緻密な無機焼成体となる条件よりも、緩和された条件にて、前記多孔質前駆体を焼成する、上記[4]または[5]に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、無機焼成体が連通孔を有さない緻密な無機焼成体となる条件よりも緩和された条件にて、多孔質前駆体を焼成するので、無機焼成体に連通孔を確実に形成することができる。
本発明[7]は、前記緩和された条件により、前記連通孔の平均孔径を、1nm以上100nm以下の範囲で調整する、上記[6]に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、多孔質前駆体を緩和された条件で焼成して、連通孔の平均孔径を上記のナノオーダーの範囲に調整するので、無機-有機複合医科材料の硬さを確実に調整することができる。
本発明[8]は、前記無機焼成体の前記連通孔に前記有機高分子を充填する工程では、前記有機高分子の原料単量体を、前記連通孔に導入する工程と、前記連通孔に導入された前記原料単体を重合して、前記有機高分子を形成する工程と、を備えている、上記[4]~[7]のいずれか一項に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、有機高分子の原料単量体を連通孔に導入した後、原料単量体を重合して有機高分子を形成するので、重合後の有機高分子を連通孔に導入する場合と比較して原料単量体を円滑に連通孔内に導入でき、ひいては、有機高分子を連通孔内に確実に充填することができる。
本発明の無機-有機複合医科材料によれば、無機-有機複合医科材料の硬さを、補綴物として好適な硬さ、とりわけ、エナメル質と同程度の硬さにすることができる。
本発明の無機-有機複合医科材料の製造方法によれば、簡易な方法でありながら、無機-有機複合医科材料の硬さを調整でき、所望の硬さを有する無機-有機複合医科材料を効率よく製造できる。
図1は、本発明の無機-有機複合医科材料の一実施形態としてのナノコンポジットレジンの平断面模式図を示す。 図2Aは、図1に示すナノコンポジットレジンの製造方法を説明するための説明図であって、無機ナノ粒子を分散媒中に分散させる工程を示す。図2Bは、図2Aに続いて、分散媒を乾燥して多孔質前駆体を形成する工程を示す。図2Cは、図2Bに続いて、多孔質前駆体を焼成して無機焼成体を形成する工程を示す。図2Dは、図2Cに続いて、無機焼成体の連通孔に原料単量体を導入する工程を示す。 図3Aは、実施例1のシリカガラスの焼結体のFE-SEM画像を示す。図3Bは、実施例3のシリカガラスの焼結体のFE-SEM画像を示す。 図4は、各実施例および各比較例のシリカガラスの焼結体における連通孔の細孔分布を示す。 図5は、各実施例および各比較例のシリカガラスの焼結体における、焼成時間と連通孔の平均孔径との相関を示すグラフである。 図6は、各実施例および各比較例のシリカガラスの焼結体における、焼成時間と連通孔の容積との相関を示すグラフである。 図7は、各実施例および各比較例のシリカガラスの焼結体における、焼成時間と比表面積との相関を示すグラフである。 図8は、実施例1のナノコンポジットレジンのTOF-SIMSスペクトルを示す。 図9は、各実施例および各比較例のナノコンポジットレジンにおける、焼成時間とビッカース硬さとの相関を示すグラフである。
<無機-有機複合医科材料>
図1を参照して、本発明の無機-有機複合医科材料の一実施形態としてのナノコンポジットレジン1を説明する。
ナノコンポジットレジン1は、連通孔22を有する無機物2と、連通孔22内に充填される有機高分子3との2相共連続構造を有する。ナノコンポジットレジン1において、無機物2および有機高分子3は、それぞれが3次元的に連続している。なお、無機物2および有機高分子3は、互いに相分離していてもよく、グラフト化処理などにより化学的に互いに結合していてもよい。また、図1では、ナノコンポジットレジン1は、便宜上、円柱形状を有しているが、ナノコンポジットレジン1の形状は特に制限されない。
(1)無機物
無機物2は、モノリス型構造を有する多孔質体であり、3次元網目状に連続する骨格21と、その骨格21により区画される連通孔22とを備えている。
無機物2の材料は、特に制限されず、医療材料に用いられる公知の無機物が挙げられる。無機物2の材料として、例えば、金属材料、非金属材料(セラミックス)が挙げられる。
金属材料として、例えば、金、銀、白金、パラジウム、コバルト、クロム、チタン、アルミニウム、鉄、および、それらの合金などが挙げられる。
非金属材料(セラミックス)として、例えば、金属酸化物、炭化物、窒化物、リン酸塩、硫酸塩、フッ化物などが挙げられる。
金属酸化物は、金属元素(例えば、Al、Ti、Zrなど)および半金属元素(例えば、Si、B、Geなど)のうち1つの元素のみを含む単一金属酸化物と、金属元素および半金属元素のうち2つ以上の元素を含む複合金属酸化物とを含んでいる。
単一金属酸化物として、例えば、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)などが挙げられる。複合金属酸化物として、例えば、シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニア、シリカ-アルミナ、アルミナ-ジルコニアなどが挙げられる。
炭化物として、例えば、炭化ケイ素などが挙げられる。窒化物として、例えば、窒化ケイ素などが挙げられる。リン酸塩として、例えば、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。硫酸塩として、例えば、硫酸バリウムなどが挙げられる。フッ化物として、例えば、フッ化カルシウム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウムなどが挙げられる。
このような無機物2の材料は、単独または2種以上併用することができる。
また、無機物2は、単結晶体、多結晶体および非晶質体のいずれであってもよく、好ましくは、多結晶体または非晶質体である。
無機物2の多結晶体として、例えば、金属酸化物(単一金属酸化物および複合金属酸化物)の多結晶体が挙げられ、具体的には、シリカの多結晶体、チタニアの多結晶体、アルミナの多結晶体、ジルコニアの多結晶体、シリカ-ジルコニアの多結晶体などが挙げられる。
無機物2の非晶質体として、例えば、金属酸化物(単一金属酸化物および複合金属酸化物)のガラスが挙げられ、具体的には、シリカガラス(石英ガラス)、ソーダライムシリカガラス(例えば、SiO-Al-CaO-NaOなど)、ボロシリケートガラス(例えば、SiO-Al-B-NaOなど)、バリウムガラス(例えば、SiO-Al-BaO-Bなど)、ストロンチウムガラス(例えば、SiO-Al-SrO-Bなど)、ランタンガラス(例えば、SiO-Al-ZrO-P-La-LiO-KOなど)、フルオロアルミノシリケートガラス(例えば、SiO-Al-F-CaO-P-NaOなど)、Eガラス、Cガラスなどが挙げられる。
このような無機物2は、複数の無機物2の粒子が焼成により互いに接合する焼結体を含んでいる。無機物2は、好ましくは、無機物2の焼結体である。
無機物2のなかでは、好ましくは、非金属材料である無機物(非金属材料から形成される無機物)、より好ましくは、金属酸化物である無機物(金属酸化物から形成される無機物)、さらに好ましくは、金属酸化物の多結晶体、金属酸化物のガラス、とりわけ好ましくは、金属酸化物の多結晶体の焼結体、金属酸化物のガラスの焼結体、特に好ましくは、シリカガラスの焼結体が挙げられる。
連通孔22は、無機物2における骨格21以外の空間部分である。連通孔22は、複数の気孔が3次元網目状に互いに連通して形成されており、無機物2の全体にわたって広がっている。また、連通孔22は、無機物2の表面において、無機物2の外部空間と連通するように開口している。
また、連通孔22は、ナノオーダーの孔径を有している。孔径は、連通孔22の延びる方向に対する直交方向の断面の径である。連通孔22の孔径の範囲(細孔分布)は、例えば、0.5nm以上、好ましくは、1nm以上、例えば、100nm以下、好ましくは、50nm以下、さらに好ましくは、30nm以下である。
連通孔22の平均孔径は、1nm以上、好ましくは、5nm以上、さらに好ましくは、10nm以上、100nm以下、好ましくは、50nm以下、さらに好ましくは、30nm以下、とりわけ好ましくは、20nm以下である。なお、連通孔22の細孔分布および平均孔径は、窒素ガス吸着法の測定結果を、BJH(Barrett-Joyner-Halenda)法によって解析することによって算出できる。
連通孔22の平均孔径が上記下限以上であれば、連通孔22に有機高分子3を確実に充填でき、無機物2と有機高分子3との2相共連続構造を確実に確保できる。また、連通孔22の平均孔径が上記上限以下であれば、ナノコンポジットレジン1の硬さの向上を図ることができる。
また、無機物2における連通孔22の容積は、無機物2の単位質量当たり、例えば、0.01cm/g以上、好ましくは、0.05cm/g以上、さらに好ましくは、0.10cm/g以上、例えば、1.00cm/g以下、好ましくは、0.40cm/g以下、さらに好ましくは、0.20cm/g以下である。なお、連通孔22の容積は、窒素ガス吸着法の測定結果を、BJH法によって解析することによって算出できる。
連通孔22の容積が上記の範囲であれば、連通孔22の平均孔径を確実に上記の範囲とすることができる。
また、無機物2の比表面積は、無機物2の単位質量当たり、例えば、0.1m/g以上、好ましくは、1m/g以上、さらに好ましくは、10m/g以上、100m/g以下、好ましくは、50m/g以下である。なお、無機物2の比表面積は、窒素ガス吸着法の測定結果を、BET法によって解析することによって算出できる。
無機物2の比表面積が上記の範囲であれば、連通孔22の平均孔径をより一層確実に上記の範囲とすることができ、ナノコンポジットレジン1の硬さの向上を確実に図ることができる。
なお、無機物2は、好ましくは、気孔として連通孔22のみを有し、外部と連通せずに骨格21内に孤立する閉気孔を有しない。また、例え、無機物2が閉気孔を有しても、閉気孔の容積割合は、連通孔22の容積と閉気孔の容積との総和に対して、50%以下である。また、無機物2の連通化率は、例えば、50%以上、好ましくは、90%以上である。
(2)有機高分子
有機高分子3は、連通孔22内に空隙が生じないように、連通孔22内に密に充填されている。有機高分子3は、3次元網目状に連続しており、無機物2の骨格21と互いに絡み合っている。有機高分子3は、原料単量体の重合体である。
原料単量体は、特に制限されず、医療材料に用いられる公知の原料単量体が挙げられる。原料単量体として、例えば、ラジカル重合性単量体が挙げられ、好ましくは、エチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体が挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体として、例えば、α、β-不飽和カルボン酸、芳香族ビニル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
α、β-不飽和カルボン酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α-ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。芳香族ビニルとして、例えば、スチレンなどが挙げられる。(メタ)アクリルアミドとして、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリレートとして、例えば、1つの(メタ)アクリロイル基を有する一官能(メタ)アクリレート、2つの(メタ)アクリロイル基を有する二官能(メタ)アクリレート、3つの(メタ)アクリロイル基を有する三官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートおよび/またはアクリレートを含む。
一官能(メタ)アクリレートとして、例えば、アルキルモノ(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなど)、アリールモノ(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、アミノ基含有モノ(メタ)アクリレート(例えば、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートなど)、ハロゲン化アルキル含有モノ(メタ)アクリレート(例えば、2,3-ジブロモプロピル(メタ)アクリレートなど)、四級アンモニウム塩基含有モノ(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライドなど)、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレートなど)、カルボキシ基含有モノ(メタ)アクリレート(例えば、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2-メタクリロイルオキシプロピルフタル酸など)、リン酸基含有モノ(メタ)アクリレート(例えば、EO変性リン酸モノ(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。
二官能(メタ)アクリレートとして、例えば、アルキレンジ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど)、芳香環含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート(2,2-ビス[4-〔3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン)、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパンなど)、ウレタンジメタクリレート(例えば、[2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレートなど)、水酸基含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、1,2-ビス〔3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなど)、リン酸基含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、EO変性リン酸ジ(メタ)アクリレートなど)、リン酸エステル含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)リン酸エステルなど)などが挙げられる。
三官能(メタ)アクリレートとして、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体のなかでは、好ましくは、(メタ)アクリレートが挙げられ、さらに好ましくは、一官能(メタ)アクリレートが挙げられ、とりわけ好ましくは、アルキルモノ(メタ)アクリレートが挙げられ、特に好ましくは、メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
このような原料単量体は、単独または2種以上併用することができる。
原料単量体の25℃における粘度は、例えば、0.1cP以上、例えば、40,000cP以下、好ましくは、15,000cP以下である。なお、粘度は、E型粘度計により測定できる。
(3)ナノコンポジットレジン
このようなナノコンポジットレジン1は、補綴物として好適な硬さを有する。
ナノコンポジットレジン1のビッカース硬さは、例えば、100HV以上、好ましくは、200HV以上、例えば、800HV以下、好ましくは、650HV以下、さらに好ましくは、600HV以下である。なお、ビッカース硬さは、JIS Z 2244:2009のビッカース硬さ試験に準拠して測定することができる。
また、ナノコンポジットレジン1のビッカース硬さは、好ましくは、歯のエナメル質のビッカース硬さと同程度である。なお、歯のエナメル質のビッカース硬さは、患者の年齢や歯の部位によって変化するが、例えば、100HV以上600HV以下である。そして、ナノコンポジットレジン1のビッカース硬さの範囲は、好ましくは、エナメル質のビッカース硬さに対して±50HVである。
また、ナノコンポジットレジン1の密度は、例えば、1.70g/cm以上、好ましくは、1.76g/cm以上、例えば、2.20g/cm以下、好ましくは、2.20g/cm未満、さらに好ましくは、2.00g/cm以下である。なお、ナノコンポジットレジン1の密度は、乾式自動密度計アキュピックII1340により測定できる。
<無機-有機複合医科材料の製造方法>
次に、図2A~図2Dを参照して、本発明の無機-有機複合医科材料の製造方法の一実施形態としてのナノコンポジットレジン1の製造方法を説明する。
ナノコンポジットレジン1の製造方法は、無機ナノ粒子23を分散媒中に分散させる工程(図2A参照)と、分散媒を乾燥して多孔質前駆体24を形成する工程(図2B参照)と、多孔質前駆体24を焼成して無機物2を形成する工程(図2C参照)と、無機物2の連通孔22に有機高分子3を充填する工程(図1および図2D参照)とを、順に備えている。
(1)無機粒子分散液の調製工程
図2Aに示すように、ナノコンポジットレジン1の製造方法では、まず、無機ナノ粒子23を分散媒中に分散させて、無機粒子分散液25を調製する。
無機ナノ粒子23は、無機物2の原料であって、上記の無機物2の材料から形成される粒子である。無機ナノ粒子23として、好ましくは、非金属材料の粒子、さらに好ましくは、金属酸化物の粒子、とりわけ好ましくは、シリカ粒子が挙げられる。
無機ナノ粒子23は、ナノオーダーの一次粒子径を有する。詳しくは、無機ナノ粒子23の一次粒子径の範囲(粒度分布)は、例えば、0.5nm以上、好ましくは、1nm以上、例えば、100nm未満、好ましくは、50nm以下、さらに好ましくは、30nm以下である。なお、無機ナノ粒子23の一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定できる。
無機ナノ粒子23の平均一次粒子径は、例えば、1nm以上、好ましくは、5nm以上、例えば、50nm以下、好ましくは、30nm以下、さらに好ましくは、10nm以下である。なお、無機ナノ粒子23の平均一次粒子径は、公知のレーザー式粒度測定器を用いたマイクロソーティング制御法により測定できる。
無機ナノ粒子23の平均一次粒子径が上記の範囲であれば、連通孔22の平均孔径の範囲を確実に上記の範囲とすることができる。とりわけ、無機ナノ粒子23の平均一次粒子径が上記上限を超過すると、連通孔22の平均孔径が上記上限を超過し、ナノコンポジットレジン1の硬さの向上を図ることができない。
分散媒は、無機ナノ粒子23を分散できれば特に制限されない。分散媒として、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類など)が挙げられ、好ましくは、水が挙げられる。分散媒は、単独または2種以上併用することができる。
無機ナノ粒子23を分散媒に分散させる方法は、特に制限されず、例えば、超音波分散、撹拌子による分散などが挙げられ、無機ナノ粒子23の凝集を抑制する観点から好ましくは、超音波分散が挙げられる。
これによって、無機ナノ粒子23が互いに凝集することなく分散媒に均一に分散されて、無機粒子分散液25が調製される。
無機粒子分散液における無機ナノ粒子の含有割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、例えば、50質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
また、無機粒子分散液25には、好ましくは、無機ナノ粒子23とともに水溶性高分子41が配合される。無機粒子分散液25に水溶性高分子41を配合すると、後述する多孔質前駆体24においてナノポア27を確実に形成することができる。
水溶性高分子41として、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど)、多糖系高分子(例えば、セルロース類、キチン、キトサン、デンプン、ジアルデヒドデンプン、デキストリン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、プルラン、寒天など)、アミノ酸系高分子(例えば、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、卵白、植物性粘性質物など)、ポリエステル系高分子(例えば、ポリ乳酸など)、アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸メチルなど)、アミド系高分子(例えば、ポリアクリルアミドなど)、エーテル系高分子(例えば、ポリエチレンオキサイドなど)などが挙げられる。水溶性高分子41は、単独または2種以上併用することができる。
水溶性高分子41のなかでは、好ましくは、ビニル系高分子が挙げられ、さらに好ましくは、ポリビニルアルコールが挙げられる。
水溶性高分子41の数平均分子量は、例えば、40,000以上、好ましくは、80,000以上、例えば、300,000以下、好ましくは、200,000以下である。
無機粒子分散液25に水溶性高分子41を配合するには、例えば、予め水溶性高分子41を上記の分散媒に溶解した水溶性高分子溶液を調製し、水溶性高分子溶液を無機粒子分散液25に添加する。
水溶性高分子溶液の分散媒は、好ましくは、無機粒子分散液25の分散媒と同じである。水溶性高分子溶液における水溶性高分子41の含有割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、例えば、50質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
水溶性高分子溶液の添加割合は、無機粒子分散液100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。
そして、水溶性高分子溶液が添加された無機粒子分散液25を、無機ナノ粒子23と水溶性高分子41とが均一となるように撹拌混合する。
これによって、水溶性高分子41が配合される無機粒子分散液25(以下、高分子配合分散液26とする。)が調製される。高分子配合分散液26では、無機ナノ粒子23が分散媒中に分散されるとともに、水溶性高分子41が分散媒中に溶解されている。
高分子配合分散液26における無機ナノ粒子23の含有割合の範囲は、例えば、上記の無機粒子分散液25における無機ナノ粒子23の含有割合の範囲と同じである。高分子配合分散液26における水溶性高分子41の含有割合は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上、例えば、20質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。
また、水溶性高分子41の含有割合は、無機ナノ粒子1質量部に対して、例えば、0.02質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、例えば、0.45質量部以下、好ましくは、0.3質量部以下である。
また、必要に応じて、高分子配合分散液26のpHを、2.0~4.0の範囲に調整する。高分子配合分散液26のpHを上記の範囲に調整すると、後述する多孔質前駆体24において、ナノポア27をより一層安定して形成することができる。
高分子配合分散液26のpHを調製するには、例えば、無機粒子分散液25に酸(例えば、硫酸、硝酸など)を添加して、無機粒子分散液25のpHを調整した後、無機粒子分散液25に水溶性高分子溶液を添加する。また、無機粒子分散液25と水溶性高分子溶液とを混合した後、酸を添加して、高分子配合分散液26のpHを調整してもよい。
なお、本実施形態では、無機粒子分散液25に水溶性高分子溶液を添加して、高分子配合分散液26を調製するが、これに限定されず、無機粒子分散液25に水溶性高分子41を直接配合することもできる。
(2)多孔質前駆体の調製工程
次いで、図2Bに示すように、無機粒子分散液25(好ましくは、高分子配合分散液26)を乾燥して、ナノポア27を有する多孔質前駆体24を形成する。なお、本実施形態では、高分子配合分散液26を乾燥する場合について詳述する。
高分子配合分散液26の乾燥温度は、分散媒を除去できれば特に制限されず、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。
そして、多孔質前駆体24における無機ナノ粒子23の含有割合が後述する範囲となるまで、高分子配合分散液26を乾燥して分散媒を除去する。
これによって、無機ナノ粒子23および水溶性高分子41から、ゲル状の多孔質前駆体24が形成される。多孔質前駆体24では、分散した無機ナノ粒子23の間に水溶性高分子41が入り込み、水溶性高分子41に起因するナノポア27が形成されている。
多孔質前駆体24における無機ナノ粒子23の含有割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、例えば、99質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。
ナノポア27の平均孔径は、連通孔22の平均孔径を100%としたときに、例えば、10%以上、好ましくは、50%以上、例えば、300%以下、好ましくは、200%以下である。具体的には、ナノポア27の平均孔径は、例えば、0.1nm以上、好ましくは、1nm以上、さらに好ましくは、5nm以上、例えば、300nm以下、好ましくは、100nm以下である。なお、ナノポア27の平均孔径は、窒素ガス吸着法の測定結果を、BJH法によって解析することによって算出できる。
なお、本実施形態では、高分子配合分散液26を乾燥して多孔質前駆体24を形成するが、これに限定されず、水溶性高分子41を含有しない無機粒子分散液25を、上記と同様に乾燥して多孔質前駆体24を形成することもできる。この場合、多孔質前駆体24は無機ナノ粒子23から形成される。
(3)無機物の調製工程
次に、図2Cに示すように、多孔質前駆体24を、例えば、大気中において焼成し、無機焼成体として無機物2を形成する。
多孔質前駆体24のナノポア27は、焼成するに従って小さくなり、完全に焼成すると閉塞する。そのため、多孔質前駆体24の焼成条件は、例えば、無機物2(無機焼成体)が、連通孔22を有さない緻密な無機物2となる条件よりも緩和された条件である。このような緩和された焼成条件により、無機物2が有する連通孔22の平均孔径を上記の範囲で調整する。
このような緩和された焼成条件は、多孔質前駆体24のナノポア27の孔径を100%とし、それが閉塞した場合を0%としたときに、ナノポア27の孔径が99%~1%となる条件である。例えば、焼成温度が一定である場合、焼成時間は、焼成の開始からナノポア27が閉塞するまでの時間100%に対して、例えば、1%以上、好ましくは、10%以上、例えば、99%以下、好ましくは、90%以下である。
具体的には、多孔質前駆体24の焼成温度は、例えば、600℃以上、好ましくは、1000℃以上、さらに好ましくは、1050℃以上、例えば、1700℃以下、好ましくは、1200℃以下である。多孔質前駆体24の焼成時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上、さらに好ましくは、3時間以上、とりわけ好ましくは、4時間以上、例えば、15時間以下、好ましくは、6時間以下である。
多孔質前駆体24の焼成は、上記の条件において一度のみ実施してもよく、複数回実施してもよい。例えば、多孔質前駆体24の焼成を2回実施する場合、600℃以上950℃以下において一次焼成した後、例えば、1050℃以上1200℃以下において二次焼成する。
これにより、多孔質前駆体24が水溶性高分子41を含む場合、水溶性高分子41が揮発および燃焼するとともに、複数の無機ナノ粒子23が焼成により互いに焼結して、平均孔径が上記の範囲である連通孔22を有し、比表面積が上記上限以下である無機物2(無機焼結体)が調製される。
(4)有機高分子の充填工程
次いで、無機物2の連通孔22に有機高分子3を充填する。
連通孔22に有機高分子3を充填するには、例えば、図2Dに示すように、有機高分子3の原料単量体31を連通孔22に導入した後、連通孔22に導入した原料単量体31を重合して、有機高分子3を形成する。
原料単量体31として、例えば、上記した原料単量体が挙げられ、好ましくは、上記したエチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体が挙げられる。原料単量体31には、必要に応じて、重合開始剤が添加される。
重合開始剤として、例えば、医療材料に用いられる公知の重合開始剤が挙げられ、好ましくは、有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイドなど)などが挙げられる。重合開始剤は、単独または2種以上併用することができる。重合開始剤の添加割合は、原料単量体100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上20質量部以下である。
原料単量体31を連通孔22に導入するには、例えば、無機物2を原料単量体31に浸漬する。
浸漬圧力は、例えば、10kPa以上、好ましくは、50kPa以上、例えば、10,000kPa以下、好ましくは、1,000kPa以下、さらに好ましくは、大気圧(101kPa)である。
浸漬温度は、例えば、1℃以上、好ましくは、10℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、30℃以下、さらに好ましくは、室温(25℃)である。
浸漬時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、10時間以上、例えば、50時間以下、好ましくは、30時間以下である。
これによって、原料単量体31が連通孔22に導入される。
次いで、連通孔22に導入した原料単量体31を重合するには、例えば、原料単量体31を加熱する。
加熱温度は、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上、例えば、100℃以下、好ましくは、70℃以下である。
加熱時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、40時間以上、例えば、100時間以下、好ましくは、60時間以下である。
これによって、原料単量体31が重合して、有機高分子3が形成する。
なお、本実施形態では、原料単量体を加熱して重合させるが、これに限定されず、原料単量体を、加熱なしに可視光または紫外光の照射で重合させることもでき、加熱および光の照射で重合させることもできる。また、本実施形態では、原料単量体がラジカル重合性単量体であるが、これに限定されず、原料単量体は縮合性単量体であってもよい。例えば、縮合性単量体であるポリカルボン酸およびポリオールを、連通孔に導入した後、重合させることもできる。
また、本実施形態では、原料単量体を連通孔に導入した後、原料単量体を重合して、有機高分子を形成するが、これに限定されず、有機高分子を直接、連通孔に導入することもできる。
以上によって、図1に示すように、無機物2の連通孔22に有機高分子3が充填されて、連通孔22を有する無機物2と、連通孔22内に充填される有機高分子3との2相共連続構造を有するナノコンポジットレジン1が製造される。
<ナノコンポジットレジンの用途>
このようなナノコンポジットレジン1は、各種医療分野における補綴物として好適に利用できる。ナノコンポジットレジン1の用途として、例えば、医療用人工骨、骨補てん剤、歯科材料、医療用教材などが挙げられ、好ましくは、歯科材料(無機-有機複合歯科材料)が挙げられ、さらに好ましくは、CAD/CAM用歯科修復材料が挙げられる。
<作用効果>
図1に示すように、ナノコンポジットレジン1では、連通孔22の平均孔径が上記下限以上である。そのため、無機物2の連通孔22に有機高分子3を十分に充填することができ、無機物2と有機高分子3との2相共連続構造を確保することができる。その結果、ナノコンポジットレジン1が脆くなることを抑制できる。
また、ナノコンポジットレジン1では、連通孔22の平均孔径が上記上限以下であり、無機物2の比表面積が上記上限以下である。そのため、ナノコンポジットレジン1の硬さの向上を図ることができる。
その結果、ナノコンポジットレジン1の硬さを、補綴物として好適な硬さ、とりわけ、エナメル質と同程度の硬さにすることができる。
無機物2は、好ましくは、金属酸化物である。そのため、ナノコンポジットレジン1の硬さを、補綴物として好適な硬さ、とりわけ、エナメル質と同程度の硬さまで確実に向上させることができる。
有機高分子3は、好ましくは、エチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体の重合体である。そのため、有機高分子3を連通孔22に確実に充填でき、無機物2と有機高分子3との2相共連続構造を安定して確保することができる。
ナノコンポジットレジン1の製造方法では、図2A~図2Dに示すように、無機ナノ粒子23を分散媒中に分散した後、分散媒を乾燥してナノポア27を有する多孔質前駆体24を形成し、次いで、多孔質前駆体24を焼成して、平均孔径が上記のナノオーダーの範囲内である連通孔22を有し、比表面積が上記上限以下である無機物2を形成した後、無機物2の連通孔22に有機高分子3を充填する。これにより、補綴物として好適な硬さを有するナノコンポジットレジン1を製造することができる。
図2Cに示すように、上記の方法では、多孔質前駆体24を焼成して、連通孔22を有する無機焼成体を形成するので、焼成条件を適宜変更することにより、連通孔22の平均孔径を上記のナノオーダーの範囲内において調整することができるとともに、比表面積を上記上限以下に調整することができる。
そのため、簡易な方法でありながら、連通孔22の平均孔径を上記の範囲内において調整するとともに、比表面積を上記上限以下に調整することにより、ナノコンポジットレジン1のビッカース硬さを上記の範囲において自在に調整でき、所望の硬さを有するナノコンポジットレジン1を効率よく製造できる。
図2Aおよび図2Bに示すように、無機粒子分散液25には、好ましくは、無機ナノ粒子23とともに水溶性高分子41が配合される。そして、無機ナノ粒子23および水溶性高分子41が配合される高分子配合分散液26を乾燥して多孔質前駆体24を形成する。
そのため、多孔質前駆体24において、水溶性高分子41に起因するナノポア27を確実に形成することができる。
そして、ナノポア27を有する多孔質前駆体24を焼成することにより、無機物2を形成するので、上記のナノオーダーの範囲の平均孔径を有する連通孔22を確実に形成することができる。
また、図2Cに示すように、無機物2が連通孔22を有さない緻密な無機焼成体となる条件よりも緩和された条件にて、多孔質前駆体24が焼成される。そのため、無機物2に連通孔22を確実に形成することができる。
また、多孔質前駆体24を緩和された条件で焼成して、連通孔22の平均孔径を上記のナノオーダーの範囲に調整する。そのため、ナノコンポジットレジン1の硬さを確実に調整することができる。
本実施形態では、図2Dに示すように、有機高分子3の原料単量体31を連通孔22に導入した後、原料単量体31を重合して有機高分子3を形成する。そのため、重合後の有機高分子3を連通孔22に導入する場合と比較して原料単量体31を円滑に連通孔22内に導入でき、ひいては、有機高分子3を連通孔22内に確実に充填することができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.シリカガラスの焼結体の調製
(実施例1~4および比較例1、2)
平均一次粒子径が7nmのシリカ粒子(無機ナノ粒子、フュームドシリカ、商品名:Aerosil300、日本アエロジル社製)を、蒸留水(分散媒)に、超音波分散により分散させた。
これにより、シリカ粒子の含有割合が10質量%であるシリカ粒子分散液(無機粒子分散液)を調製した。その後、シリカ粒子分散液に硝酸を適量添加して、シリカ粒子分散液のpHを3に調整した。
また、ポリビニルアルコール(PVA、水溶性高分子、数平均分子量129,000)を、蒸留水(分散媒)に溶解させた。
これにより、PVAの含有割合が10質量%であるPVA水溶液(水溶性高分子溶液)を調製した。
次いで、PVA水溶液11.4gを、シリカ粒子分散液60gに添加して、25℃(室温)において、シリカ粒子とPVAとが均一となるように撹拌混合した。
これによって、シリカ粒子が分散されるとともに、PVAが溶解されるPVA配合分散液(高分子配合分散液)を調製した。PVA配合分散液において、シリカ粒子の含有割合は8.4質量%であり、PVAの含有割合は1.6質量%であった。また、PVAの含有割合は、シリカ粒子1質量部に対して、0.19質量部であった。
次いで、PVA配合分散液を、フッ素系樹脂容器に配置して、30℃で168時間乾燥させた。
これによって、シリカ粒子およびPVAから、ゲル状の多孔質前駆体が調製された。多孔質前駆体におけるシリカ粒子の含有割合は、84質量%であった。
次いで、多孔質前駆体を、大気中において、1130℃で表1に示す時間、焼成した。
これにより、PVAを揮発および燃焼させるとともに、複数のシリカ粒子を互いに接合させて、連通孔を有するシリカガラスの焼結体(無機物)を調製した。
(比較例3)
平均一次粒子径が7nmのシリカ粒子を平均一次粒子径が200nmのシリカ粒子に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、連通孔を有するシリカガラスの焼結体(無機物)を調製した。
(シリカガラスの焼結体の評価)
実施例1のシリカガラスの焼結体(焼成時間:3時間)と、実施例3のシリカガラスの焼結体(焼成時間:5時間)とを、FE-SEM(電界放射型走査電子顕微鏡:Field Emission-Scanning Electron Microscope)により撮影した。実施例1のシリカガラスの焼結体のFE-SEM画像を図3Aに示し、実施例3のシリカガラスの焼結体のFE-SEM画像を図3Bに示す。図3Aおよび図3Bでは、シリカガラスの焼結体に連通孔が形成されていることが確認された。
また、各実施例および各比較例のシリカガラスの焼結体における連通孔の細孔分布を、窒素ガス吸着法に基づいて、QuadraSorb SI(Quantachrome Instruments社製)により測定し、その測定結果を、BJH法にて解析した。実施例1~4および比較例1、2の結果を、図4に示す。
また、各実施例および各比較例の細孔分布から、連通孔の平均孔径を算出した。その結果を、表1に示す。
なお、窒素ガス吸着法による測定結果から算出可能な連通孔の平均孔径の上限は100nm以下であり、連通孔の平均孔径が100nmを超過すると、窒素ガス吸着法に基づいて測定および算出できない。比較例3のシリカガラスの焼結体における連通孔の平均孔径は、窒素ガス吸着法に基づいて測定および算出できず、100nmを超過すると推定される。また、実施例1~4および比較例1、2における焼成時間と連通孔の平均孔径との相関を、図5に示す。
また、各実施例および各比較例の細孔分布から、連通孔の容積を算出した。その結果を、表1に示す。また、実施例1~4および比較例1、2における焼成時間と連通孔の容積との相関を、図6に示す。
また、各実施例および各比較例のシリカガラスの焼結体の比表面積を、窒素ガス吸着法に基づいて、QuadraSorb SI(Quantachrome Instruments社製)により測定し、その測定結果を、BET法にて解析した。その結果を、表1に示す。また、実施例1~4および比較例1、2における焼成時間と比表面積との相関を、図7に示す。
2.連通孔に対するポリメチルメタクリレートの充填
メチルメタクリレート(MMA、原料単量体)10gを準備し、そのMMAに、過酸化ベンゾイル(BPO、重合開始剤)0.05gを溶解した。
次いで、各実施例および各比較例の多孔質前駆体を、BPOが溶解されたMMAに、101kPa(大気圧)、25℃(室温)で24時間浸漬させた。
これによって、MMAが、各多孔質前駆体の連通孔内に導入された。
その後、MMAが導入された各多孔質前駆体を、60℃に加熱して、48時間保持した。
これによって、MMAが重合して、ポリメチルメタクリレート(PMMA、有機高分子)が形成した。
以上によって、連通孔を有するシリカガラスの焼結体と、連通孔内に充填されるPMMAとの2相共連続構造を有するナノコンポジットレジンが製造された。また、各実施例および各比較例のナノコンポジットレジンの密度を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1のナノコンポジットレジンを、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)により分析した。その結果を図8に示す。なお、図8の左側部分には、ナノコンポジットレジンにおけるTOF-SIMSの分析領域を示す。図8では、分析範囲の全体において、PMMAの二次イオン強度が一定であり、PMMAが、ナノコンポジットレジンの全体にわたって均一に充填されていることが確認された。
また、各実施例および各比較例のナノコンポジットレジンのビッカース硬さを、JIS Z 2244:2009に準拠して測定した。その結果を、表1に示す。また、実施例1~4および比較例1、2における焼成時間とビッカース硬さとの相関を、図9に示す。
Figure 0007030113000001
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれる。
本発明の無機-有機複合医科材料は、例えば、各種医療分野における補綴物、具体的には、医療用人工骨、骨補てん剤、歯科材料、医療用教材などとして好適に用いられる。本発明の無機-有機複合医科材料の製造方法は、例えば、各種医療分野における補綴物に用いられる無機-有機複合医科材料の製造に好適に用いられる。
1 ナノコンポジットレジン
2 無機物
3 有機高分子
22 連通孔
23 無機ナノ粒子
24 多孔質前駆体
31 原料単量体
41 水溶性高分子

Claims (8)

  1. 連通孔を有する無機物と、前記連通孔内に充填される有機高分子との2相共連続構造を有し、
    前記無機物は、複数の金属酸化物の粒子が互いに接合した骨格を有し、
    前記連通孔は、前記骨格の間にできた空間であり、
    前記連通孔の平均孔径が、1nm以上50nm以下であり、
    前記無機物の比表面積が、100m2/g以下であることを特徴とする、無機-有機複合医科材料。
  2. 前記骨格は、3次元網目状に連続する前記金属酸化物のガラスであり、
    前記連通孔は、3次元網目状であることを特徴とする、請求項1に記載の無機-有機複合医科材料。
  3. 前記有機高分子が、エチレン性不飽和二重結合を有する原料単量体の重合体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の無機-有機複合医科材料。
  4. 金属酸化物の粒子である無機ナノ粒子を分散媒中に分散させる工程、
    前記分散媒を乾燥して、前記無機ナノ粒子からナノポアを有する多孔質前駆体を形成する工程、
    前記多孔質前駆体を焼成して、複数の前記無機ナノ粒子が互いに接合した骨格と、前記骨格の間にできた空間である連通孔であって、平均孔径が1nm以上50nm以下の連通孔とを有し、比表面積が100m2/g以下である無機焼成体を形成する工程、
    前記無機焼成体の前記連通孔に有機高分子を充填して、前記連通孔を有する無機物と、前記連通孔内に充填される有機高分子との2相共連続構造を有する無機-有機複合医科材料を製造する工程、
    を備えることを特徴とする、無機-有機複合医科材料の製造方法。
  5. 前記無機ナノ粒子を前記分散媒中に分散させる工程では、
    前記無機ナノ粒子とともに水溶性高分子を前記分散媒中に配合して、前記無機ナノ粒子を前記分散媒中に分散させ、
    前記多孔質前駆体を形成する工程では、
    前記分散媒を乾燥して、前記無機ナノ粒子および前記水溶性高分子から、前記水溶性高分子に起因するナノポアを有する前記多孔質前駆体を形成することを特徴とする、請求項4に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法。
  6. 前記無機焼成体を形成する工程では、
    前記無機焼成体が、前記連通孔を有さない緻密な無機焼成体となる条件よりも、緩和された条件にて、前記多孔質前駆体を焼成することを特徴とする、請求項4または5に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法。
  7. 前記緩和された条件により、前記連通孔の平均孔径を、1nm以上50nm以下の範囲で調整することを特徴とする、請求項6に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法。
  8. 前記無機焼成体の前記連通孔に前記有機高分子を充填する工程では、
    前記有機高分子の原料単量体を、前記連通孔に導入する工程と、
    前記連通孔に導入された前記原料単量体を重合して、前記有機高分子を形成する工程と、を備えていることを特徴とする、請求項4~7のいずれか一項に記載の無機-有機複合医科材料の製造方法。
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