以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置は、形状および大きさが異なる、錠剤またはカプセル剤などの多種の薬剤に対応可能であり、これらの薬剤を1つずつ順次供給可能な薬剤供給装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置の構成を示す斜視図である。図2は、図1の薬剤供給装置を矢印II方向から見た平面図である。図3は、図2の薬剤供給装置をIII-III線矢印方向から見た断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置の構成の一部を示す分解斜視図である。
図1~図4に示すように、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100は、回転体110と、移送部と、薬剤排出部50と、案内部140とを備える。移送部は、台部120と、掻上部130とを含む。薬剤供給装置100は、枠部160と、壁部150と、受け部170と、高さ規制部180と、幅規制部190とをさらに備える。
回転体110は、薬剤を下方から支持する円環状の支持面111を有する。回転体110は、支持面111の中心軸まわりに回転可能である。移送部は、支持面111の径方向内側かつ支持面111の下方から、支持面111上に薬剤を移送する。薬剤排出部50は、支持面111の径方向において支持面111より外側に設けられている。薬剤排出部50は、薬剤排出口51を有している。薬剤排出口51には、薬剤排出口51を通過する薬剤を検出する薬剤センサが設けられている。薬剤センサとしては、光センサなどを用いることができる。
案内部140は、支持面111の上方にて支持面111の径方向内周側から薬剤排出部50に亘って延設されている。案内部140は、回転体110の回転に伴って支持面111上にある薬剤を薬剤排出部50に案内する。台部120は、支持面111に対して傾斜した傾斜面121を有する。掻上部130は、傾斜面121上において傾斜面121に直交する直交軸まわりに回転することにより、傾斜面121上にある薬剤を掻き上げる。
以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100の各構成について詳細に説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える回転体の構造を示す斜視図である。図1~図5に示すように、本実施形態においては、回転体110の中央部には、円形の開口部113が設けられている。支持面111には、複数の滑り止め部112が設けられている。ただし、支持面111に設けられる滑り止め部112の数は、複数に限られず、少なくとも1つであればよい。
複数の滑り止め部112は、支持面111の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。滑り止め部112は、支持面111の径方向外側に設けられている。滑り止め部112は、支持面111の径方向の外方に進むにつれて図1および図5中の矢印1で示す回転体110の回転方向の後方に退くように配置されている。
滑り止め部112は、支持面111の凹凸によって構成されている。本実施形態においては、滑り止め部112は、支持面111に凹部が設けられていることにより構成されている。具体的には、滑り止め部112は、凹部の外周に位置する壁面である。凹部の壁面の高さである滑り止め部112の高さは、支持面111の径方向の外方に進むにつれて高くなっている。
なお、滑り止め部112は、支持面111に凸部が設けられていることにより構成されていてもよい。この場合は、滑り止め部112は、凸部の外周に位置する壁面である。また、滑り止め部112は、支持面111の凹凸ではなく、支持面111の他の部分よりも薬剤との摺動抵抗が高い部分で構成されていてもよい。薬剤との摺動抵抗が高い部分としては、たとえば、吸着部または粘着部などであってもよい。吸着部は、適度な強さで薬剤を吸い付けることにより薬剤を吸着する。粘着部は、適度な強さで薬剤に粘り付くことにより薬剤を粘着する。
滑り止め部112の支持面111とは反対側の裏面には、ギア部115が設けられている。ギア部115は、回転体110の外縁部114より内側の位置に設けられている。ギア部115は、第1駆動モータの歯車と係合している。第1駆動モータが駆動することにより、回転体110が矢印1で示す方向に回転する。
図4に示すように、枠部160は、略直方体状の外形を有する。枠部160は、回転体110と同軸状に位置する円形の開口部161を有する。開口部161の上端には、拡径部162が設けられている。図3に示すように、枠部160の拡径部162の内側に、回転体110の外縁部114が収容される。
枠部160には、開口部161の一部が切り欠かれた切欠部163が設けられている。切欠部163を通じて、回転体110のギア部115と第1駆動モータの歯車とが係合している。
図1、図3および図4に示すように、受け部170は、回転体110と同軸状に位置する円形の第1開口端171、第1開口端171とは反対側に位置する円形の第2開口端173、および、第1開口端171と第2開口端173とを繋ぐ周壁部172を有する。第2開口端173の中心軸方向は、第1開口端171の中心軸方向に対して傾斜している。第2開口端173の上端部は、第1開口端171の一部と合体している。受け部170は、第1開口端171の一部から第1開口端171の内周側に突出した突出部174をさらに有する。
図1~図4に示すように、台部120は、略円板状の外形を有する。台部120は、受け部170の第2開口端173を塞ぐように配置されている。台部120の傾斜面121と受け部170の周壁部172とによって、薬剤を収容する収容空間が形成されている。
本実施形態においては、薬剤供給装置100は、傾斜面121上にある薬剤の量を判定する判定部をさらに備える。判定部としては、光センサ、または、画像認識装置などを用いることができる。なお、判定部は、必ずしも設けられていなくてもよい。
判定部は、薬剤排出口51に設けられている薬剤センサによる検出結果に基づいて、傾斜面121上にある薬剤の量を判定してもよい。具体的には、判定部は、傾斜面121上に投入された薬剤の個数から、薬剤センサによって検出された薬剤の個数を減算することで、傾斜面121上にある薬剤の量を判定してもよい。傾斜面121上に投入される薬剤の個数は、操作者によって設定されてもよく、あるいは、処方情報に基づいて設定されてもよい。
台部120の中心に、貫通孔125が設けられている。図3に示すように、台部120は、支持部10上に固定されている。支持部10の中心部には、台部120の貫通孔125と同軸状に軸受11が配置されている。
図3に示すように、台部120の上端部122は、回転体110の支持面111よりも上方に位置している。なお、傾斜面121上から支持面111上に薬剤を移送可能であれば、台部120の上端部122が回転体110の支持面111以下の位置に位置していてもよい。
台部120の上端部122は、上記直交軸の周方向に沿って延在する外周面123を有する。外周面123は、傾斜面121と回転体110の支持面111との間に位置している。
傾斜面121と外周面123とは、湾曲面124を介して繋がっている。すなわち、台部120の上端部122がR面取りされている。なお、傾斜面121と外周面123とが、平面を介して繋がっていてもよい。この場合は、台部120の上端部122がC面取りされている。
図6は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える掻上部の構造を示す斜視図である。図7は、図6の掻上部を矢印VII方向から見た正面図である。図8は、図6の掻上部を矢印VIII方向から見た平面図である。図9は、図8の掻上部をIX-IX線矢印方向から見た断面図である。
図1~図4および図6~図9に示すように、掻上部130は、ボス部131と、腕部132とを含む。ボス部131の中心に、貫通孔133が設けられている。
腕部132は、ボス部131から上記直交軸の径方向外側に延びる。腕部132は、上記直交軸の径方向の先端側に当接部132tを含む。当接部132tは、上記傾斜面121上にある薬剤に対して、掻上部130の回転方向の後方から当接する当接面132tfを有する。当接面132tfは、上記直交軸から離れるにつれて図1および図2の矢印2で示す掻上部130の回転方向の後方に退くように延在している。
本実施形態においては、掻上部130は、上記直交軸の周方向の一方側および他方側の両方に回転可能に設けられている。上記直交軸の周方向の一方側は図1および図2の矢印2で示す方向であり、上記直交軸の周方向の他方側は図1および図2の矢印3で示す方向である。すなわち、掻上部130は、正転および逆転可能に設けられている。
そのため、掻上部130は、上記直交軸方向から見て、上記直交軸の径方向に延びる中心線に対して線対称の外形を有している。よって、当接部132tは、上記直交軸方向から見て、先細の外形を有する。なお、掻上部130は、必ずしも逆転可能に設けられていなくてもよく、この場合は、掻上部130の外形は線対称でなくてもよい。
当接面132tfは、傾斜面121から離れるにつれて掻上部130の回転方向の後方に退くように傾斜している。本実施形態においては、当接面132tfと傾斜面121とのなす内角は、80°である。ただし、当接面132tfと傾斜面121とのなす角は、80°に限られず、0°を超えて90°未満であればよい。当接面132tfと傾斜面121とのなす角は、45°以上90°未満であることが好ましい。
当接部132tにおける傾斜面121からの高さは、上記直交軸から離れるにつれて低くなっている。すなわち、当接部132tは、先端側にいくほど薄くなっている。
腕部132においてボス部131と当接部132tとの間に、低背部132dが位置している。低背部132dは、傾斜面121側に凹んでいる。すなわち、低背部132dは、ボス部131および当接部132tの低背部132dと隣接している部分より、傾斜面121からの高さが低く、薄くなっている。低背部132dの上端部には、面取りが施されている。
図3に示すように、掻上部130は、ボス部131の貫通孔133に挿通されたボルト30によって、回転軸部20と締結されている。回転軸部20は、支持部10の軸受11に嵌入されて支持されている。回転軸部20の一端は、ボス部131の内部に挿入されている。回転軸部20の他端には、歯車40が連結されている。
歯車40は、第2駆動モータの歯車と係合している。第2駆動モータが正転駆動することにより、歯車40および回転軸部20とともに掻上部130が、図1および図2の矢印2で示す方向に正転する。第2駆動モータが逆転駆動することにより、歯車40および回転軸部20とともに掻上部130が、図1および図2の矢印3で示す方向に逆転する。
本実施形態においては、薬剤供給装置100は、検出部をさらに備える。検出部は、掻上部130の回転角度を検出する。検出部としては、当接部132tが近接したことを検出する近接センサ、または、第2駆動モータに接続されたエンコーダなどを用いることができる。なお、検出部は、必ずしも設けられていなくてもよい。
図1~図4に示すように、壁部150は、回転体110の支持面111の径方向外側の上方において支持面111の周方向に沿って設けられている。壁部150は、回転体110の外縁部114の略半周を覆っている。壁部150は、移送部によって薬剤が支持面111上に移送される位置に対応して配置されている。
具体的には、壁部150は、枠部160上に固定されている。壁部150は、略半円筒状の外形を有している。壁部150は、壁部150の内周面151が回転体110と同軸状に位置するように配置されている。壁部150は、少なくとも台部120の上端部122の外周側を覆う位置に配置されている。
図3に示すように、壁部150の内周面151の下端には、拡径部152が設けられている。壁部150の拡径部152は、枠部160の拡径部162と略同一の直径で形成されている。壁部150の拡径部152の内側に、回転体110の外縁部114が収容される。
壁部150の内周面151側には、薬剤との衝撃を緩和する緩衝部153が設けられている。緩衝部153は、壁部150の内周面151に沿って配置されている。
本実施形態においては、緩衝部153は、略矩形状のシート状部材で構成されている。緩衝部153の長手方向の一端は、壁部150の内周面151に固定されている。緩衝部153の長手方向の他端は、壁部150の内周面151に固定されておらず自由端となっている。緩衝部153の一端以外の部分は、壁部150の内周面151に対して離間している。
なお、緩衝部153の構成は上記に限られず、たとえば、壁部150の内周面151を覆うゴムなどの弾性体によって緩衝部153が構成されていてもよい。
図1~図4に示すように、高さ規制部180は、枠部160上に固定されている。高さ規制部180は、回転体110の内周側から外周側に亘って延設されたガイド面181を有する。ガイド面181は、回転体110の支持面111の上方に配置されている。ガイド面181は、壁部150に対して、回転体110の回転方向の下流側に配置されている。
幅規制部190は、枠部160上に固定されている。幅規制部190は、湾曲面部191と、湾曲面部191と連続して設けられた平面部192とを有する。湾曲面部191および平面部192は、回転体110の支持面111の上方に配置されている。
湾曲面部191は、回転体110の回転方向の下流側にいくにしたがって、回転体110の外周側から内周側に向かって延在している。湾曲面部191は、ガイド面181に対して、回転体110の回転方向の下流側に配置されている。
平面部192は、回転体110の開口部113の接線方向に沿って、回転体110の回転方向の下流側に向かって延在している。平面部192は、湾曲面部191に対して、回転体110の回転方向の下流側に配置されている。
案内部140は、枠部160上に固定されている。案内部140は、仕切部141と平面部142とを有する。仕切部141は、支持面111の径方向内周側から支持面111の径方向内周部の上方まで延設されている。支持面111の径方向内周側の仕切部141の端部は、突出部174上に位置している。仕切部141は、回転体110の回転方向の下流側にいくにしたがって、支持面111からの高さが高くなっている。
平面部142は、支持面111の径方向内周部から薬剤排出部50に亘って延設されている。平面部142は、仕切部141に対して、回転体110の回転方向の下流側に配置されている。案内部140の平面部142は、幅規制部190の平面部192と間隔をあけて対向している。案内部140の平面部142と幅規制部190の平面部192とは、略平行に位置している。
ここで、薬剤供給装置100が備える制御回路について説明する。図10は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える制御回路を示すブロック図である。
図10に示すように、薬剤供給装置100は、制御部90をさらに備える。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリなどで構成されている。制御部90は、上記検出部91、上記判定部92、第1駆動モータ93および第2駆動モータ94の各々と電気的に接続されている。
制御部90は、第1駆動モータ93および第2駆動モータ94の各々を、駆動または停止させる。また、制御部90は、第2駆動モータ94の回転方向および回転速度を制御する。検出部91の検出結果、および、判定部92の判定結果は、制御部90に入力される。制御部90は、入力された、検出部91の検出結果、および、判定部92の判定結果に基づいて、第1駆動モータ93および第2駆動モータ94の各々の駆動状態を制御する。
以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100の動作について説明する。
まず、台部120の傾斜面121と受け部170の周壁部172とによって形成されている収容空間内に複数の薬剤が投入される。制御部90からの信号によって、第1駆動モータ93および第2駆動モータ94が駆動開始する。第1駆動モータ93が駆動することにより、回転体110が図1および図5の矢印1で示す方向に回転する。第2駆動モータ94が正転駆動することにより、掻上部130が図1および図2の矢印2で示す方向に正転する。
掻上部130の回転によって傾斜面121上の薬剤は、傾斜面121上の上側に掻き上げられる。掻上部130によって掻き上げられた薬剤は、台部120の上端部122上を通過して支持面111上に移送される。支持面111上に移送された薬剤は、回転体110の回転方向の下流側に移送される。
高さ規制部180のガイド面181に到達した薬剤は、ガイド面181の下端と支持面111との間を通過可能な薬剤のみ回転体110の回転方向の下流側に移送され、それ以外の薬剤は、傾斜面121上に落とされる。
幅規制部190に到達した薬剤は、湾曲面部191に沿いつつ回転体110の回転方向の下流側に移送される際に、湾曲面部191と開口部113との間隔が次第に狭くなるため、湾曲面部191にそって薬剤が1列に整列させられる。そのため、支持面111の径方向に重なって位置していた薬剤のうち、支持面111の内周側に位置していた薬剤は、傾斜面121上に落とされる。
案内部140の仕切部141に到達した薬剤は、幅規制部190の平面部192と案内部140の仕切部141との間を通過可能な薬剤のみ回転体110の回転方向の下流側に移送され、それ以外の薬剤は、傾斜面121上に落とされる。
案内部140の平面部142と幅規制部190の平面部192との間の隙間に進入した薬剤は、回転体110の回転に伴って、案内部140の平面部142に沿って図1および図2の矢印4で示す案内方向に移送され、薬剤排出部50の薬剤排出口51に到達する。このとき、回転体110の滑り止め部112は、支持面111上にある薬剤に対して、回転体110の回転方向の後方から接触する。薬剤排出部50に到達した薬剤は、薬剤排出口51から1つずつ落下して排出される。このとき、薬剤排出口51を通過する薬剤が、薬剤排出口51に設けられている薬剤センサによって検出される。
本実施形態に係る薬剤供給装置100においては、傾斜面121上の薬剤を掻上部130によって掻き出すことにより支持面111上に移送する。掻上部130の当接面132tfが、上記直交軸から離れるにつれて掻上部130の回転方向の後方に退くように延在しているため、当接部132tが台部120の上端部122の上方を通過する際に、掻上部130によって掻き上げられている薬剤は、当接面132tfと略直交する方向に押し出され、上端部122上を通過して支持面111上に移送される。
このように、当接面132tfによって薬剤の移送方向に薬剤を押し出すことができるため、掻上部130の回転速度を低速にした状態でも薬剤を傾斜面121上から支持面111上に移送することが可能である。その結果、薬剤の欠損を抑制することができる。
本実施形態においては、移送部によって薬剤が支持面111上に移送される位置に対応して配置された壁部150の内周面151側に、薬剤との衝撃を緩和する緩衝部153が設けられているため、仮に、掻上部130によって掻き上げられた薬剤が壁部150に衝突した場合にも、薬剤の跳ね返りを防止することができる。したがって、傾斜面121上から支持面111上に移送された薬剤が再び傾斜面121上に戻ってしまうことを防止することができ、薬剤を傾斜面121上から支持面111上に効率的に移送することができる。また、緩衝部153によって衝撃を吸収することにより薬剤の欠損を抑制することもできる。
本実施形態においては、台部120の上端部122が、回転体110の支持面111よりも上方に位置しているため、傾斜面121上から支持面111上に薬剤を容易に移送することが可能である。
また、傾斜面121と外周面123とが湾曲面124を介して繋がっていることにより、外周面123の上記直交軸の周方向の長さを確保しつつ、支持面111からの外周面123の高さを低くすることができる。その結果、薬剤が傾斜面121上から支持面111上に移送される移送通路の幅を広く確保しつつ、薬剤が支持面111と外周面123との間の隙間に嵌まり込むことを抑制することができる。これにより、傾斜面121上から支持面111上に薬剤を安定して移送することが可能である。なお、湾曲面124の代わりに平面が形成されていても同様の効果を得ることができる。
本実施形態においては、傾斜面121上の薬剤は、当接部132tの当接面132tfによって掻上部130の回転方向の後方から当接され、傾斜面121上の上側に掻き上げられる。当接面132tfは、傾斜面121から離れるにつれて掻上部130の回転方向の後方に退くように傾斜している。たとえば、当接面132tfと傾斜面121とのなす内角は、80°である。これにより、当接面132tfと周壁部172との間、または、当接面132tfと傾斜面121との間にて薬剤が詰まることを抑制できる。
また、当接部132tにおける傾斜面121からの高さは、上記直交軸から離れるにつれて低くなっている。これにより、当接部132tと周壁部172との間にて薬剤が詰まることを抑制できる。
詳細に述べると、本実施形態では、掻上部130の当接面132tfが、上記直交軸から離れるにつれて掻上部130の回転方向の後方に退くように延在している。そのため、掻上部130によって掻き上げられている薬剤は、掻上部130の腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときに、外方に押された状態で、周壁部172に沿って移動する。
ここで、仮に、掻上部130によって掻き上げられている薬剤が1つだけであるとする。図7には、比較的大きい薬剤1aと、比較的小さい薬剤1bとを図示している。掻上部130の当接面132tfと薬剤1aとは、接点132caで接する。掻上部130の当接面132tfと薬剤1bとは、接点132cbで接する。
図7に示すように、接点132cbは、接点132caに比較して、直交軸から離れて位置しており、傾斜面121の近傍に位置している。このように、薬剤が小さいほど、掻上部130の当接面132tfと薬剤との接点の、直交軸からの距離が長くなり、かつ、傾斜面121からの高さが低くなる。この点を考慮して、当接部132tにおける傾斜面121からの高さを、直交軸から離れるにつれて低くしている。このようにすることで、薬剤を、その大きさにかかわらず、確実に掻き上げることができ、しかも余分な薬剤は、掻上部130の当接面132tfを乗り越えさせて逃がすことができる。余分な薬剤を逃がすことで、薬剤が詰まる確率を低減することができる。
さらに、腕部132に低背部132dが設けられていることにより、掻上部130が回転する際に低背部132dの回転領域に位置する薬剤の少なくとも一部は、低背部132dを乗り越えることが可能である。これにより、必要以上に薬剤を掻上部130によって掻き混ぜることを抑制することができる。その結果、薬剤が摩耗することを抑制できる。低背部132dの上端部に面取りが施されていることにより、薬剤が低背部132dを乗り越えやすくすることができる。
制御部90は、掻上部130の回転角度の検出部91による検出結果に基づいて、掻上部130の腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動している状態と、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動している状態とを判別する。
制御部90は、腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときより、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動しているときの方が、高い回転速度となるように、掻上部130を回転させる。これにより、傾斜面121上から支持面111上へ薬剤を確実に移送しつつ、当接部132tと周壁部172との間、または、傾斜面121と周壁部172との間にて薬剤が詰まることを抑制できる。
制御部90は、傾斜面121上にある薬剤の量の判定部92による判定結果に基づいて、掻上部130の回転態様を変更する。これにより、薬剤の欠損、摩耗および詰まりを抑制しつつ、傾斜面121上から支持面111上へ薬剤を確実に移送することができる。
制御部90は、たとえば、傾斜面121上にある薬剤の量が少なくなるにしたがって掻上部130の回転速度を高くする。その結果、傾斜面121上にある薬剤の量が多いときは、掻上部130の回転速度が低く、当接面132tfによって押し出されることにより薬剤が傾斜面121上から支持面111上に移送される。よって、薬剤の欠損、摩耗および詰まりを抑制することができる。一方、傾斜面121上にある薬剤の量が少ないときは、掻上部130の回転速度が高くなり、傾斜面121上から支持面111上へ薬剤を確実に移送することができる。
制御部90は、判定部92による判定結果に基づいて、次の(1)~(4)のいずれかのように掻上部130の回転態様を変更してもよい。これらの場合も、薬剤の欠損、摩耗および詰まりを抑制しつつ、傾斜面121上から支持面111上へ薬剤を確実に移送することができる。
(1)傾斜面121上の薬剤の量が一定量以上の場合は、掻上部130を低速で一定に回転させる。傾斜面121上の薬剤の量が一定量未満となると、腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときは、掻上部130を低速で回転させ、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動しているときは、掻上部130を高速で回転させる。
(2)傾斜面121上の薬剤の量が一定量以上の場合は、腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときは、掻上部130を低速で回転させ、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動しているときは、掻上部130を高速で回転させる。傾斜面121上の薬剤の量が一定量未満となると、腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときの掻上部130の回転速度は変更することなく、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動しているときの掻上部130の回転速度を高くする。
(3)傾斜面121上の薬剤の量が一定量以上の場合は、掻上部130を低速で交互に正転方向および逆転方向に回転させる。傾斜面121上の薬剤の量が一定量未満となると、腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときは、掻上部130を低速で回転させ、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動しているときは、掻上部130を高速で回転させる。
(4)腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときは、掻上部130を低速で回転させ、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動しているときは、掻上部130を高速で回転させる。このとき、傾斜面121上の薬剤の量が少なくなるにしたがって、腕部132が傾斜面121上の下側の領域を移動しているときの掻上部130の回転速度は変更することなく、腕部132が傾斜面121上の上側の領域を移動しているときの掻上部130の回転速度を徐々に高くする。
本実施形態に係る薬剤供給装置100においては、掻上部130は、上記直交軸の周方向の一方側および他方側の両方に回転可能に設けられているため、仮に、薬剤が、当接部132tと周壁部172との間、または、傾斜面121と周壁部172との間にて詰まった場合には、掻上部130を上記直交軸の周方向の他方側に回転させることにより、確実に薬剤の詰まりを解消することができる。
本実施形態に係る薬剤供給装置100においては、支持面111に少なくとも1つの滑り止め部112が設けられており、滑り止め部112は、滑り止め部112および案内部140の平面部142の各々に接触している薬剤が、支持面111に対して、案内部140の案内方向4とは反対方向に滑ることを抑制する。
具体的には、滑り止め部112は、回転体110の回転に伴って、案内部140の平面部142に接触している薬剤に対して、案内部140の案内方向4に向いた成分の力を作用させる。この力が、薬剤と案内部140の平面部142との摺接時の摩擦力に対抗するため、薬剤の薬剤排出口51への排出を安定化することができる。
本実施形態においては、滑り止め部112が、支持面111の径方向外側に設けられている。支持面111の径方向外側の位置は、案内部140の案内方向4と、回転体110の回転方向1とが、略直交するため、薬剤の排出が滞りやすくなる位置である。滑り止め部112が支持面111の径方向外側に設けられていることにより、薬剤に作用する案内部140の案内方向4に向いた成分の力を滑り止め部112によって補って、薬剤の排出を安定化させることができる。
滑り止め部112は、支持面111上にある薬剤の下部に対して、回転体110の回転方向の後方から接触する。これにより、滑り止め部112は、薬剤の大きさに関わらず、薬剤と接触することができる。
滑り止め部112は、支持面111の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。これにより、複数の薬剤を安定して排出することができる。
滑り止め部112は、支持面111の径方向の外方に進むにつれて回転体110の回転方向1の後方に退くように配置されている。これにより、回転体110の回転に伴って、薬剤を滑り止め部112に沿わせつつ案内部140の案内方向4に排出することができる。
滑り止め部112は、支持面111の凹凸によって構成されている。具体的には、滑り止め部112は、凹部の外周に位置する壁面によって構成されている。これにより、支持面111に容易に滑り止め部112を形成することができる。また、凹部の壁面によって薬剤を押し出すことにより、確実に薬剤を案内部140の案内方向4に排出することができる。
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。