JP7028120B2 - 化学機械研磨用水系分散体及びその製造方法、並びに化学機械研磨方法 - Google Patents
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コロイダルシリカ砥粒と、アミン化合物と、金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有する化学機械研磨用水系分散体の製造方法であって、
第三級アミン化合物が存在する水系媒体中において、シリコンアルコキシドを加水分解・縮合させる工程(I)と、
前記工程(I)後に、さらに前記水系媒体にシリコンアルコキシドを滴下して、ゼータ電位が+1mV以上+5mV以下のコロイダルシリカ砥粒を成長させる工程(IV)と、
前記工程(IV)後に、前記水系媒体に、アミン化合物と、金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、を添加する工程(V)と、
を含む。
さらに、前記工程(I)後かつ前記工程(IV)前に、前記水系媒体を濃縮してアルコール成分を除去する工程(II)を含むことができる。
さらに、前記工程(I)後かつ前記工程(IV)前に、前記水系媒体に第三級アミンを添加する工程(III)を含むことができる。
さらに、前記工程(V)後に、過酸化水素を添加する工程(VI)を含むことができる。
前記化学機械研磨用水系分散体が、タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板研磨用であることができる。
(A)+1mV以上+5mV以下の永久正電荷を有するコロイダルシリカ砥粒と、
(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(C)アミン化合物及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(D)前記(C)成分以外のキレート剤と、
を含有し、pHが1以上3以下である。
第三級アミン化合物が前記コロイダルシリカ砥粒に含まれていることができる。
前記第三級アミン化合物が前記コロイダルシリカ砥粒に内包されていることができる。
タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板研磨用であることができる。
前記いずれかの態様の化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板を研磨する工程を含む。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体の製造方法は、コロイダルシリカ砥粒と、アミン化合物と、金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有する化学機械研磨用水系分散体を製造するための方法である。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体の製造方法は、第三級アミン化合物が存在する水系媒体中において、シリコンアルコキシドを加水分解・縮合させる工程(I)と、前記工程(I)後に、さらに前記水系媒体にシリコンアルコキシドを滴下して、ゼータ電位が+1mV以上+5mV以下のコロイダルシリカ砥粒を成長させる工程(IV)と、前記工程(IV)後に、前記水系媒体に、アミン化合物と、金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、を添加する工程(V)と、を含む。以下、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体の製造方法に含まれる各工程について詳細に説明する。
工程(I)では、第三級アミン化合物が存在する水系媒体中において、シリコンアルコキシドを加水分解・縮合させる。具体的には、水系媒体を100質量部としたときに、第三級アミン化合物を0.03質量部以上2質量部以下添加し、十分な撹拌を行った後に、シリコンアルコキシドを1.4質量部以上50質量部以下添加して、25℃以上100℃以下の温度条件下で加水分解及び縮合させる。このようにして、コロイダルシリカ砥粒を含む水系分散体を得ることができる。
0質量部としたときに、0.03質量部であることが好ましく、0.1質量部であることがより好ましく、0.3質量部であることが特に好ましい。一方、第三級アミン化合物の添加量の上限値は、2質量部であることが好ましく、1質量部であることがより好ましく、0.6質量部であることが特に好ましい。第三級アミン化合物の添加量が前記範囲内であれば、得られるシリカ砥粒のゼータ電位を+1mV以上+5mV以下に調整しやすくなる。
次いで、前記工程(I)後かつ後記工程(IV)前に、前記工程(I)で得られたコロイダルシリカ砥粒を含む水系分散体を濃縮して、アルコール成分を除去する工程(II)を行うことが好ましい。工程(II)は、前記工程(I)後かつ後記工程(III)前に行うことがより好ましい。
次いで、前記工程(I)後かつ後記工程(IV)前に、前記水系分散体に第三級アミン化合物をさらに添加する工程(III)を含むことが好ましい。工程(III)は、前記工程(II)後かつ後記工程(IV)前に行うことがより好ましい。
優れるコロイダルシリカ砥粒が製造されやすくなる。
次いで、工程(IV)では、前記工程(I)後に、さらに前記水系分散体にシリコンアルコキシドを滴下して、ゼータ電位が+1mV以上+5mV以下のコロイダルシリカ砥粒を成長させる。工程(IV)を経ることにより、工程(I)で得られたコロイダルシリカ砥粒を成長させることができ、研磨特性に優れるコロイダルシリカ砥粒を含む水系分散体を製造することができる。
次いで、工程(V)では、工程(IV)後に、前記コロイダルシリカ砥粒を含む水系分散体に、アミン化合物と、金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを添加する。工程(V)を経ることにより、本願発明の化学機械研磨用水系分散体が得られる。本願発明の化学機械研磨用水系分散体は、配線材料の腐食を抑制しながら、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料等の複数の材料を含む基板を高速で研磨することができる。また、本願発明の化学機械研磨用水系分散体は、コロイダルシリカ砥粒の分散安定性を向上させることができる。
きに、0.001質量部であることが好ましく、0.01質量部であることがより好ましい。一方、アミン化合物の添加量の上限値は、1質量部であることが好ましく、0.5質量部であることがより好ましい。
次いで、工程(V)後に、工程(V)で得られた化学機械研磨用水系分散体に過酸化水素を添加する工程(VI)を含んでもよい。工程(V)で添加した金属硫酸塩及び/又は金属硝酸塩と過酸化水素とを併用することで、強い酸化反応(フェントン反応)を起こし、配線材料やバリアメタル材料を高速研磨できる場合がある。過酸化水素は不安定で酸素を放出しやすく、非常に強力な酸化力を持つヒドロキシラジカルを生成しやすいので、工程(VI)はCMPを実施する直前に行うことが好ましい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上述の製造方法によって製造することができるが、上述の製造方法によって製造されたものに限定されない。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)+1mV以上+5mV以下の永久正電荷を有するコロイダルシリカ砥粒(「(A)成分」ともいう。)と、(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種(「(B)成分」ともいう。)と、(C)アミン化合物及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種(「(C)成分」ともいう。)と、(D)前記(C)成分以外のキレート剤(「(D)成分」ともいう。)と、を含有し、pHが1以上3以下である。以下、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について詳細に説明する。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)+1mV以上+5mV以下の永久正電荷を有するコロイダルシリカ砥粒を含有する。(A)成分の機能の一つとしては、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料等の複数の材料を含む基板を機械的に研磨
して研磨速度を向上させることが挙げられる。特に、配線材料としてタングステン、絶縁膜材料として二酸化ケイ素、バリアメタル材料として窒化チタンを含む基板の研磨速度を向上させることができる。
ザー「DelsaNanoS」、Malvern社製の「Zetasizernanozs」等が挙げられる。なお、動的光散乱法を用いて測定した平均粒子径は、一次粒子が複数個凝集して形成された二次粒子の平均粒子径を表している。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。(B)成分の機能の一つとしては、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料等の複数の材料を含む基板の表面に酸化物層を作り出し、研磨速度を向上させることが挙げられる。これらの材料の中でも、特に配線材料としてタングステンを含む基板に対する研磨速度を向上させることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)アミン化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。(C)成分の機能の一つとしては、配線材料等の腐食を抑制することが挙げられる。特に、配線材料としてタングステンを含む基板の腐食を抑制することができる。また、(C)成分の他の機能としては、化学機械研磨用水系分散体中における(A)成分の分散安定性を向上させることが挙げられる。
しい。このようなアミン化合物を含有する化学機械研磨用水系分散体であると、配線材料の腐食を抑制しながら、水系分散体中におけるコロイダルシリカ砥粒の分散安定性を向上させることができる。(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、任意の割合で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(D)前記(C)成分以外のキレート剤を含有する。(D)成分の機能の一つとしては、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料等の複数の材料を含む基板に対する研磨速度を向上させることが挙げられる。特に、配線材料としてタングステンを含む基板に対する研磨速度を向上させることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体である水の他に、必要に応じて、水溶性高分子、酸化剤、界面活性剤、含窒素複素環化合物、pH調整剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体として水を含有する。水としては、特に制限されるものではないが、純水が好ましい。水は、上述した化学機械研磨用水系分散体の構成材料の残部として配合されていればよく、水の含有量については特に制限はない。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、水溶性高分子を含有してもよい。水溶性高分子を含有することにより、配線材料等の被研磨面に吸着して研磨摩擦を低減できる場合がある。水溶性高分子としては、ポリカルボン酸であることが好ましく、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、及びこれらの共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)成分とは異なる酸化剤を含有してもよい。(B)成分とは異なる酸化剤を含有することにより、配線材料等を酸化して研磨液成分との錯化反応を促すことにより、被研磨面に脆弱な改質層を作り出すことができるため、研磨しやすくなる場合がある。
%である。なお、酸化剤として過酸化水素を添加する場合、過酸化水素は不安定で酸素を放出しやすく、非常に強力な酸化力を持つヒドロキシラジカルを生成しやすいので、CMPを実施する直前に添加することが好ましい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上記で例示した界面活性剤以外の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を含有することにより、化学機械研磨用水系分散体に適度な粘性を付与できる場合がある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、含窒素複素環化合物を含有してもよい。含窒素複素環化合物を含有することにより、配線材料の過剰なエッチングを抑制し、かつ、研磨後の表面荒れを防ぐことができる場合がある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、pHを1以上3以下に調整するために、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤を含有することにより、本発明の所望の効果が得られるように、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の添加量を適宜調整しながら、pHを1以上3以下にすることが容易になる場合がある。pH調整剤としては、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、及びこれらの塩が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHの値は、1以上3以下であり、1以上2.5以下であることがより好ましい。pHが前記範囲であると、(A)成分のゼータ電位を+1mV以上+5mV以下に維持しやすくすることができる。その結果、化学機械研磨用水系分散体中における(A)成分の分散安定性が向上する。また、pHが前記範囲であると、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料等の複数の材料を含む基板に対する研磨速度が向上する。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料等の複数の材料を含む基板を高速で研磨するのに適した組成であり、CMP工程において配線材料やバリアメタル材料の腐食を抑制することもできる。これらの材料の中でも、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、配線材料としてタングステン、絶縁膜材料として二酸化ケイ素等のケイ素が含まれる材料、バリアメタル材料として窒化チタンを含む基板を特に高速で研磨することができ、タングステンや窒化チタンの腐食を特に抑制することができる。したがって、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板を研磨するのに特に適している。
本実施形態に係る化学機械研磨方法は、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板を(化学機械)研磨する工程を含む。本実施形態に係る化学機械研磨方法によれば、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いることで、タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンを高速で研磨することができ、タングステンや窒化チタンの腐食を抑制することもできる。
る。図1は、研磨装置100を模式的に示した斜視図である。上述の化学機械研磨では、スラリー供給ノズル42からスラリー(化学機械研磨用水系分散体)44を供給し、かつ研磨布46が貼付されたターンテーブル48を回転させながら、基板50を保持したキャリアーヘッド52を当接させることにより行う。なお、図1には、水供給ノズル54及びドレッサー56も併せて示してある。
TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」;AMAT社製、型式「Reflexion LK」;FILTEC社製、型式「FLTec-15」;東京精密社製、型式「ChaMP」等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(1)コロイダルシリカA1を含む水分散体の調製
容量2000cm3のフラスコに28%アンモニア水100g、イオン交換水160g、メタノール1250gを投入し、180rpmで攪拌しながら35℃に昇温した。この溶液に、テトラメトキシシラン160gとメタノール40gの混合液を徐々に滴下することにより、コロイダルシリカ/アルコール分散体を得た。次いで、エバポレーターにより、80℃でこの分散体にイオン交換水を添加しながらアルコール分を除去する操作を数回繰り返して分散体中のアルコールを除き、固形分濃度15%のコロイダルシリカA1を含む水分散体を調製した。
上記で調製されたコロイダルシリカA1を含む水分散体1000gを撹拌しながら60℃に昇温し、更にメルカプト基含有シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名「KBE803」)1gを投入し、さらに2時間撹拌を継続した。その後、35%過酸化水素水を8g投入し、8時間撹拌しながら60℃に保持した。その後、室温まで冷却して、スルホ基で修飾されたコロイダルシリカA2の水分散体を得た。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、68nmであった。また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA2が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、pH2.4に調整したときのコロイダルシリカA2のゼータ電位は-34mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)に3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA2のゼータ電位は-31mVであった。
上記で調製されたコロイダルシリカA1を含む水分散体1000gに28%アンモニア水を加えてpH10.2に調整した。この溶液に、メタノール19gと3-アミノプロピルトリメトキシシラン1gの混合液を、液温を30℃に保ちつつ10分かけて滴下した後、常圧下2時間還流を行うことにより、アミノ基で修飾されたコロイダルシリカA3を含む水分散体を得た。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、68nmであった。また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA3が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、pH2.4に調整したときのコロイダルシリカA3のゼータ電位は+29mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)に3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA3のゼータ電位は+25mVであった。
容量2000cm3のフラスコに、28%アンモニア水60g、イオン交換水1500gを入れ、180rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。この溶液に、テトラメトキシシラン280gとメタノール75gの混合液を徐々に滴下することにより、コロイダルシリカ/アルコール分散体を得た。次いで、エバポレーターにより、60℃でこの分散体にイオン交換水を添加しながらアルコール分を除去する操作を数回繰り返して分散体中のアルコールを除き、固形分濃度15%のコロイダルシリカA4を含む水分散体を調製した。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、27nmであった。また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA4が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、pH2.4に調整したときのコロイダルシリカA4のゼータ電位は-0.3mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)に3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA4のゼータ電位は-1mVであった。
容量2000cm3のフラスコに、トリエタノールアミン6g、イオン交換水1500gを入れ、180rpmで攪拌しながら70℃に昇温した。この溶液に、テトラメトキシシラン280gを徐々に滴下することにより、コロイダルシリカ/メタノール分散体を得た。次いで、エバポレーターにより、60℃でこの分散体にイオン交換水を添加しながらメタノール分を除去する操作を行い、分散体中のメタノールを除き、固形分濃度15%のコロイダルシリカA5を含む水分散体を調製した。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、15nmであった。
また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA5が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、pH2.4に調整したときのコロイダルシリカA5のゼータ電位は-0.3mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)に3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA5のゼータ電位は-1mVであった。
容量2000cm3のフラスコに、上記で調製されたコロイダルシリカA5を含む水分散体120g、イオン交換水1300g、トリエタノールアミン10gを入れ、180rpmで攪拌しながら70℃に昇温した。この溶液に、テトラメトキシシラン280gを徐々に滴下することにより、コロイダルシリカ/メタノール分散体を得た。次いで、エバポレーターにより、60℃でこの分散体にイオン交換水を添加しながらメタノール分を除去する操作を行い、分散体中のメタノールを除去し、固形分濃度15%のコロイダルシリカA6を含む水分散体を調製した。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、38nmであった。また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA6が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、pH2.4に調整したときのコロイダルシリカA6のゼータ電位は+2.6mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)に3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA6のゼータ電位は+3.5mVであった。
容量2000cm3のフラスコに、上記で調製されたコロイダルシリカA5を含む水分散体120g、イオン交換水1300g、トリエタノールアミン10gを入れ、180rpmで攪拌しながら70℃に昇温した。この溶液に、テトラメトキシシラン200gを徐々に滴下することにより、コロイダルシリカ/メタノール分散体を得た。次いで、エバポレーターにより、60℃でこの分散体にイオン交換水を添加しながらメタノール分を除去する操作を行い、分散体中のメタノールを除き、固形分濃度15%のコロイダルシリカA7を含む水分散体を調製した。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、33nmであった。また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA7が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、pH2.4に調整したときのコロイダルシリカA7のゼータ電位は+1.8mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)に3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA7のゼータ電位は+3mVであった。
容量2000cm3のフラスコに、上記で調製されたコロイダルシリカA5を含む水分散体120g、イオン交換水1300g、トリエタノールアミン10gを入れ、180rpmで攪拌しながら70℃に昇温した。この溶液に、テトラメトキシシラン570gを徐々に滴下することにより、コロイダルシリカ/メタノール分散体を得た。次いで、エバポレーターにより、60℃でこの分散体にイオン交換水を添加しながらメタノールを除去する操作を行い、分散体中のメタノールを除き、固形分濃度15%のコロイダルシリカA8を含む水分散体を調製した。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、57nmであった。また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA8が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、
pH2.4に調製したときのゼータ電位は+4.6mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)を3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA8のゼータ電位は+3.5mVであった。
容量2000cm3のフラスコに、上記で調製されたコロイダルシリカA1を含む水分散体1000gに28%アンモニア水を加えてpH10.2に調整した。この溶液に、メタノール19gと3-アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gの混合液を、液温を30℃に保ちつつ10分かけて滴下した後、常圧下2時間還流を行うことにより、アミノ基修飾コロイダルシリカA9を含む水分散体を得た。
この水分散体の一部を取り出しイオン交換水で希釈したサンプルについて、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として測定したところ、65nmであった。また、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)を用い、この水分散体をコロイダルシリカA9が1質量%となるようにイオン交換水で希釈して、pH2.4に調製したときのゼータ電位は+20mVであった。なお、インテグリス社製の孔径が0.3μmのポリプロピレン濾過フィルター(型番Planargard PCL0301E6)を3回通過させた濾過後のコロイダルシリカA9のゼータ電位は10mVであった。
上記で調製したコロイダルシリカを含む水分散体の何れかの所定量を容量5リットルのポリエチレン製の瓶に投入し、これに表1又は表2に記載のアミン化合物、金属硝酸塩又は金属硫酸塩、及びキレート剤を各々の含有量となるように添加し、十分に攪拌した。その後、pH調整剤として硝酸を添加し、pHを表1又は表2に示す値となるように調整した。その後、孔径0.3μmのフィルターで濾過し、実施例1~5及び比較例1~9の化学機械研磨用水系分散体を得た。なお、後述の各種評価試験行う直前に、35質量%過酸化水素水を過酸化水素に換算して2質量%となるように、上記で調製した化学機械研磨用水系分散体にそれぞれ添加した。
4.3.1.研磨速度の評価
上記で調製した化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステンウエハ、二酸化ケイ素ウエハ、及び窒化チタンウエハを被研磨体として、下記の研磨条件で1分間の化学機械研磨試験を行い、研磨速度を評価した。評価基準は下記の通りである。その結果を表1及び表2に併せて示す。
・研磨装置:東京精密社製、型式「ChaMP」
・研磨パッド:ニッタ・ハース製、「IC1000」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:200mL/分
・定盤回転数:80rpm
・ヘッド回転数:70rpm
・ヘッド押し付け圧:4psi
研磨速度(nm/分)=(研磨前の各膜の厚さ-研磨後の各膜の厚さ)/研磨時間
ート抵抗値とタングステン膜又は窒化チタン膜の体積抵抗率とから下記式によって算出した。
膜の厚さ(nm)=[タングステン膜又は窒化チタン膜の体積抵抗率(Ω・m)÷シート抵抗値(Ω))]×109
・タングステン膜の研磨速度が400nm/分以上である場合、研磨速度が十分に大きいため実際のデバイスウエハ研磨において高速処理が可能であり、実用的であるため特に良好と判断し、表1及び表2中に「◎」と表記した。
・タングステン膜の研磨速度が300nm/分以上400nm/分未満である場合、研磨速度が大きいため実際のデバイスウエハ研磨において高速処理が可能であり、実用的であるため良好と判断し、表1及び表2中に「○」と表記した。
・研磨速度が300nm/分未満である場合、研磨速度が小さいため、実用困難であり不良と判断し、表1及び表2中に「×」と表記した。
・二酸化ケイ素膜の研磨速度が40nm/分以上である場合、研磨速度が十分に大きいため実際のデバイスウエハ研磨において高速処理が可能であり、実用的であるため特に良好と判断し、表1及び表2中に「◎」と表記した。
・二酸化ケイ素膜の研磨速度が20nm/分以上40nm/分未満である場合、研磨速度が大きいため実際のデバイスウエハ研磨において高速処理が可能であり、実用的であるため良好と判断し、表1及び表2中に「○」と表記した。
・二酸化ケイ素膜の研磨速度が20nm/分未満である場合、研磨速度が小さいため、実用困難であり不良と判断し、表1及び表2中に「×」と表記した。
・窒化チタン膜の研磨速度が300nm/分以上である場合、研磨速度が十分に大きいため実際のデバイスウエハ研磨において高速処理が可能であり、実用的であるため特に良好と判断し、表1及び表2中に「◎」と表記した。
・窒化チタン膜の研磨速度が200nm/分以上300nm/分未満である場合、研磨速度が大きいため実際のデバイスウエハ研磨において高速処理が可能であり、実用的であるため良好と判断し、表1及び表2中に「○」と表記した。
・窒化チタン膜の研磨速度が200nm/分未満である場合、研磨速度が小さいため、実用困難であり不良と判断し、表1及び表2中に「×」と表記した。
上記研磨速度の評価で使用したタングステンウエハと同じものを3cm×3cmに切断した試験片を被処理体として、液温60℃で、化学機械研磨用水系分散体中に5分間浸漬して、タングステン膜のエッチング速度を測定した。その評価基準は下記の通りである。その結果を表1及び表2に併せて示す。なお、エッチング速度は、上記研磨速度評価と同様にして測定した。
・エッチング速度(nm/分)=((エッチング前のタングステンウエハ重量-エッチング後のタングステンウエハ重量)/(タングステン密度×タングステン基板面積))/エッチング時間
・エッチング速度が0nm/分以上5nm/分未満である場合、エッチング速度が特に小さいため実際のデバイスウエハ研磨において研磨速度とのバランスが容易に確保でき、実用的であるため特に良好と判断し、表1及び表2中で「◎」と表記した。
・エッチング速度が5nm/分以上10nm/分未満である場合、エッチング速度がやや
大きいため、実際のプリント基板研磨において研磨速度とのバランスを確保する必要があるが、実用可能であるため良好と判断し、表1及び表2中で「○」と表記した。
・エッチング速度が10nm/分以上である場合、エッチング速度が大きすぎるため、実用困難であり不良と判断し、表1及び表2中で「×」と表記した。
各実施例及び各比較例の化学機械研磨用水系分散体を調製した後、60℃、常圧で静置し、5日間静置後の各化学機械研磨用水系分散体を目視にて観察することによって分散安定性を評価した。分散安定性の評価の指標としては、動的光散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「LB550」)を用い、算術平均径を平均粒子径として、調製直後の平均粒子径と5日間静置後における平均粒子径との変化が5nm未満の場合を「◎」とし、5nm以上10nm未満の場合を「○」とし、10nm以上もしくはコロイダルシリカ砥粒の凝集沈降が生じている場合を「×」とし、その結果を表1及び表2に表記した。
各実施例及び各比較例で使用した化学機械研磨用水系分散体の組成、物性、及び各評価結果を下表1及び下表2に示す。
例において、各成分の合計量は100質量部となり、残部はイオン交換水である。
<砥粒>
・A1~A9:上記で調製したコロイダルシリカA1~A9
<金属硝酸塩、金属硫酸塩>
・硝酸鉄:多摩化学工業社製、商品名「FN-376」
・硫酸鉄:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硫酸鉄(II)七水和物」
<アミン化合物>
・ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム:竹本油脂製、商品名「パイオニンC-158D」
・N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム:三洋化成工業株式会社製、商品名「レボン101-H」
<キレート剤>
・マロン酸:扶桑化学工業社製、商品名「マロン酸」
<酸化剤>
・過酸化水素:富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名「過酸化水素水(30%)」
<pH調整剤>
・硝酸: 関東化学株式会社製、商品名「硝酸1.38」
Claims (10)
- コロイダルシリカ砥粒と、アミン化合物と、金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有する化学機械研磨用水系分散体の製造方法であって、
第三級アミン化合物が存在する水系媒体中において、シリコンアルコキシドを加水分解・縮合させる工程(I)と、
前記工程(I)後に、さらに前記水系媒体にシリコンアルコキシドを滴下して、ゼータ電位が+1mV以上+5mV以下のコロイダルシリカ砥粒を成長させる工程(IV)と、
前記工程(IV)後に、前記水系媒体に、アミン化合物と、金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、を添加する工程(V)と、
を含む、化学機械研磨用水系分散体の製造方法。 - さらに、前記工程(I)後かつ前記工程(IV)前に、前記水系媒体を濃縮してアルコール成分を除去する工程(II)を含む、請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
- さらに、前記工程(I)後かつ前記工程(IV)前に、前記水系媒体に第三級アミンを添加する工程(III)を含む、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
- さらに、前記工程(V)後に、過酸化水素を添加する工程(VI)を含む、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
- 前記化学機械研磨用水系分散体が、タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板研磨用である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
- (A)+1mV以上+5mV以下の永久正電荷を有するコロイダルシリカ砥粒と、
(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(C)アミン化合物及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(D)前記(C)成分以外のキレート剤と、
を含有し、pHが1以上3以下である、化学機械研磨用水系分散体。 - 第三級アミン化合物が前記コロイダルシリカ砥粒に含まれている、請求項6に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 前記第三級アミン化合物が前記コロイダルシリカ砥粒に内包されている、請求項7に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板研磨用である、請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステン、二酸化ケイ素、及び窒化チタンよりなる群から選択される1種以上を含む基板を研磨する工程を含む、化学機械研磨方法。
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