JP7027180B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真及び静電印刷などの画像形成方法に用いられる静電荷像を現像するためのトナーに関する。
近年、プリンターやコピー機において、一枚目の印刷物が出力されるまでの時間であるFPOT(First Printout Time)やFCOT(First Copyout Time)が重視されるようになってきている。そこで、FPOTやFCOTを短縮するために様々な検討が行われている。また、トナーカートリッジの交換頻度を下げてメンテナンス性を向上するために、トナーカートリッジの印刷可能枚数の増加が求められている。
FPOTやFCOTの短縮のためには、現像ローラやキャリア等の帯電部材との摩擦によって迅速に帯電する、優れた帯電立ち上がり性を有するトナーが必要である。トナーは現像ローラやキャリア等の電荷付与部材と接触した際に電荷付与部材からの電荷の移動によって帯電する。したがって、優れた帯電立ち上がり性をトナーに付与するためには、電荷付与部材との接触時に電荷をスムーズに移動させることが有効である。そのため、抵抗の低い金属元素を含有する微粒子をトナー粒子表面に含有させることで、トナーの帯電立ち上がり性を向上させる検討が行われている。
また、トナーカートリッジの印刷可能枚数増加のためには、長期使用時にもトナー粒子表面から微粒子が脱離しにくく、帯電立ち上がり性の低下や現像ローラの汚染が少ないトナーが必要である。そこで、微粒子をトナー粒子表面に固着させることで、長期使用時における微粒子の現像ローラへの移行を抑制する検討が行われている。
特許文献1には、優れた帯電立ち上がり性と電荷保持性を有し、画像濃度の変動やカブリを抑制できるトナーとして、トナー粒子表面にチタン原子、アルミニウム原子、ジルコニウム原子、カルシウム原子から選ばれる1種類以上の原子とケイ素原子とを含む複合酸化物微粒子を含有させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、無機微粒子と現像部材の直接接触を防止し、無機微粒子の現像ローラへの移行を抑制できるトナーとして、トナー粒子表面に無機微粒子を付着させた後に、シランカップリング剤の膜で被覆する方法が開示されている。
特開2010-72285号公報 特開平8-292599号公報
特許文献1に記載のトナーは、トナー粒子表面に複合酸化物微粒子を有することで、優れた帯電立ち上がり性と電荷保持性を有する。しかし、高速な帯電プロセスなど、トナーに高い負荷のかかる環境では、トナー粒子から複合酸化物微粒子が脱離することがある。そうすると、トナーの帯電性能の低下とともに、脱離した複合酸化物微粒子が現像ローラに移行し、現像ローラを汚染することによる帯電付与能の低下が生じる場合がある。この場合、トナー帯電性能の低下及び現像ローラ材の汚染により、初期と同様の帯電立ち上がり性が得られなくなることがわかった。
また、特許文献2に記載のトナーは、シランカップリング剤で被覆することで無機微粒子を従来よりも外れにくくすることができる。しかし、特許文献1と同様に、トナーに高
い負荷がかかる場合には、トナー粒子から無機微粒子が脱離することで、初期と同様の帯電立ち上がり性が得られなくなる場合がある。これは、無機微粒子とシランカップリング剤の膜が異なる材料であり、界面での密着性が低いので、トナー粒子表面をシランカップリング剤の膜で被覆しても無機微粒子を固定する力も弱いためだと考えられる。
本発明はこれらのような課題を解決することを目的とする。すなわち、優れた帯電立ち上がり性を有すると同時に、長期使用時においても帯電立ち上がり性が低下せず、現像ローラ汚染も起こさないトナーを得ることを目的とする。
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子、有機ケイ素化合物の縮合体を含有する表層を有し、
該表層が、さらに複合化合物を含有する微粒子を有し、
該複合化合物
第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する金属化合物と、
有機ケイ素化合物と、
の複合化合物であり、
該金属化合物が、
該金属元素を含む化合物と、
リン酸又はその塩と、
の反応物である
ことを特徴とするトナーである

本発明によれば、優れた帯電立ち上がり性を有すると同時に、長期使用時においても帯電立ち上がり性が低下せず、現像ローラ汚染も起こさないトナーを提供することができる。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明のトナーは、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子は、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層を有し、該表層に複合化合物を含有する微粒子を有し、該複合化合物は、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一つの金属元素を含有する金属化合物と、有機ケイ素化合物と、の複合化合物であることを特徴とする。
上記構成により、優れた帯電立ち上がり性を有すると同時に、長期使用時においても帯電立ち上がり性が低下せず、現像ローラ汚染も起こさないトナーを提供できるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推定している。
従来のトナーは抵抗の低い金属化合物を含有する微粒子(以下、金属化合物微粒子ともいう)を添加することで、帯電立ち上がり性を向上させていた。しかしながら、金属化合物微粒子が現像ローラに移行することにより、長期使用時におけるトナーの帯電立ち上がり性の低下を起こす場合があった。また、金属化合物微粒子はトナーの帯電立ち上がり性を改善する効果がある一方で、現像ローラに付着した場合には現像ローラの電荷付与能を低下させる場合があった。これは、通常の場合、現像ローラとトナーは逆極性に帯電しやすい材料で構成されていることによる。
このように、金属化合物微粒子を添加したトナーは、長期使用時において帯電立ち上がり性の低下や現像ローラの汚染を引き起こしやすい。したがって、金属化合物微粒子が現像ローラに移行することを抑制させるために、金属化合物微粒子をトナー粒子表面に強固
に固着させる必要がある。
そこで、本発明では、前記金属化合物微粒子の代わりに、金属化合物と有機ケイ素化合物との複合化合物を含有する微粒子(以下、複合化合物微粒子ともいう)を用いる。金属化合物微粒子に比べて複合化合物微粒子は、トナー粒子表面の有機ケイ素化合物の縮合体に固着しやすいため、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制することができる。複合化合物微粒子とトナー粒子表面の有機ケイ素化合物の縮合体との固着性は、複合化合物が含有する有機ケイ素化合物のシラノール基と有機ケイ素化合物の縮合体のシラノール基とのシラノール縮合による結合形成により担保しうる。
本発明では、トナー粒子は、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層を有し、該表層に複合化合物を含有する。あるいはトナー粒子の表面に、有機ケイ素化合物の縮合体と、該有機ケイ素化合物の縮合体に固着している複合化合物を含有する微粒子と、を有する。
複合化合物微粒子とトナー粒子表面の有機ケイ素化合物の縮合体との固着について、トナー母粒子が分散した水系媒体中で複合化合物微粒子を作製する製造方法を例に説明する。これ以外の製造方法については後述する。
当該製造方法では、トナー母粒子が分散した水系媒体中で複合化合物微粒子の原材料となる有機ケイ素化合物及び金属源を酸又は水と反応させ、複合化合物微粒子を析出させた後、複合化合物微粒子を表面に有機ケイ素化合物の縮合体を含有するトナー粒子上に固着させる。
複合化合物微粒子がトナー粒子表面の有機ケイ素化合物の縮合体に固着する過程について、詳しく述べる。まず、疎水性である有機ケイ素化合物の縮合体が、同じく疎水性であるトナー粒子表面に移行する。次に、有機ケイ素化合物の縮合体は粘性があるために、複合化合物微粒子が、トナー粒子表面に移行した有機ケイ素化合物の縮合体に密着する。続いて、複合化合物が含有する有機ケイ素化合物のシラノール基と有機ケイ素化合物の縮合体のシラノール基とがシラノール縮合により結合することで、複合化合物微粒子と有機ケイ素化合物の縮合体とが固着する。
また、有機ケイ素化合物がトナー粒子表面に移行する際すでにトナー粒子表面に付着している複合化合物微粒子や、一部に有機ケイ素化合物の縮合体が付着した状態でトナー粒子表面の有機ケイ素化合物縮合体に密着する複合化合物微粒子も存在する。そのため、複合化合物微粒子は、表層の縮合体に乗って固着されているものから表層の縮合体に一部または全部が包まれているものまで様々な態様で存在しうる。
この結果、トナー粒子への複合化合物微粒子の固着性を大幅に向上させ、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制することができる。本発明により、優れた帯電立ち上がり性を有すると同時に、長期使用時においても帯電立ち上がり性が低下せず、現像ローラ汚染も起こさないトナーを提供することができる。
ここで、本発明に用いられる有機ケイ素化合物の縮合体について詳細に述べる。
<有機ケイ素化合物の縮合体>
トナー粒子は、表面に有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層を有する。
有機ケイ素化合物の縮合体は表面自由エネルギーが低いため、トナーの流動性が向上し、帯電立ち上がり性がさらに良化する。
有機ケイ素化合物は、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物であることが好ましい。下記式(1)で表される有機ケイ素化合物の縮合体は疎水性が高いため、高湿環境下での帯電性が良好となる。
Ra(n)-Si-Rb(4-n) (1)
(式(1)中、Raは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又は(好ましくは炭素数1~4、より好ましくは炭素数1~3の)アルコキシ基を示し、Rbは、それぞれ独立して、(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数3~6の)アルキル基、(好ましくは
炭素数1~6、より好ましくは炭素数3~6の)アルケニル基、(好ましくは炭素数6~14、より好ましくは炭素数6~10の)アリール基、(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~4の)アシル基又はアルキル部分の炭素数1~3のメタクリロキシアルキル基(好ましくはメタクリロキシプロピル基)を示す。nは1~4(好ましくは1~3、より好ましくは3)の整数を示す。)
式(1)で表される有機ケイ素化合物としては、一官能、二官能、三官能、四官能の各種有機ケイ素化合物が挙げられる。
具体的には、一官能の有機ケイ素化合物として、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリイソブチルメトキシシラン、トリイソプロピルメトキシシラン、トリ2-エチルヘキシルメトキシシラン等が挙げられる。
二官能の有機ケイ素化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
三官能の有機ケイ素化合物として、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシランの三官能のメチルシラン化合物;
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等の三官能のシラン化合物(なお、プロピルはn-プロピル又はイソプロピルを含み、ブチルは、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチルを含む。以下同様);
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の三官能のフェニルシラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の三官能のビニルシラン化合物;
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルジエトキシメトキシシラン、アリルエトキシジメトキシシラン等の三官能のアリルシラン化合物;
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジエトキシメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルエトキシジメトキシシラン等の三官能のγ-メタクリロキシプロピルシラン化合物;等が挙げられる。
四官能の有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
X線光電子分光法により求められる、Si元素のトナー粒子表面における含有率は、2.0atomic%以上であることが好ましい。より好ましくは3.0atomic%以上である。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは15.0atomic%以下、より好ましくは10.0atomic%以下である。
ここで、前記式(1)で表されるように、有機ケイ素化合物はSi元素を含む化合物である。したがって、トナー粒子表面におけるSi元素の含有率が高いということは、トナー粒子表面において有機ケイ素化合物の占める面積が広い、すなわち、有機ケイ素化合物の縮合体がトナー粒子表面を十分に被覆していることを示す。
2.0atomic%以上であると、有機ケイ素化合物の縮合体がトナー粒子表面を十分に被覆するため、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制することができる。
このメカニズムについて、以下のように推定している。まず、有機ケイ素化合物の縮合体がトナー粒子表面を十分に被覆することで、有機ケイ素化合物の縮合体がトナー粒子表面にネットワークを形成する。そうすると、複合化合物微粒子は有機ケイ素化合物の縮合体を介してトナー粒子表面に強固に固着しやすくなる。これにより、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制できる。
また、2.0atomic%以上であると、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制することに加えて、転写効率が高くなる。
このメカニズムについて、以下のように推定している。有機ケイ素化合物の縮合体がトナー粒子表面にネットワークを形成することで、複合化合物微粒子と現像ローラとの摺擦で発生した電荷が有機ケイ素化合物の縮合体のネットワークを通してトナー粒子全体に移動することができる。これにより、トナー粒子内の帯電を均一にすることができ、転写工程において電位に追従しやすくなることで転写効率が高くなる。
転写効率が高いトナーは、長期使用時のトナー消費量を抑えることにより、トナーカートリッジの印刷可能枚数を増加させることができる。
Si元素のトナー粒子表面における含有率は、pH、反応温度、反応時間等の反応条件及び原材料として用いる有機ケイ素化合物の添加量などによって制御することが可能である。
続いて、本発明に用いられる複合化合物微粒子について詳細に述べる。
<複合化合物微粒子>
複合化合物微粒子は、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一つの金属元素を含有する金属化合物と、有機ケイ素化合物との複合化合物を含有する微粒子である。
前記複合化合物とは、有機ケイ素化合物と金属化合物とが微細かつ均一に分散した構造を持つ化合物である。ここで、「微細かつ均一に分散」とは、それぞれの化合物がナノオーダーで大きな偏りなく分布した状態である。
前記複合化合物が、有機ケイ素化合物と、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一つの金属元素を含有する金属化合物との複合化合物であることにより、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制するとともに、トナーの帯電立ち上がり性をさらに良化することができる。
このメカニズムについて、以下のように推定している。複合化合物が有機ケイ素化合物を含有することにより、トナー粒子表面を被覆する有機ケイ素化合物の縮合体のシラノール基と複合化合物に含まれる有機ケイ素化合物のシラノール基とがシラノール縮合により結合する。これにより、複合化合物微粒子がトナー粒子表面に強固に固着することで、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制できる。
さらに、第3族から第13族までに属する金属元素は価数が2以上であり、有機ケイ素化合物と架橋構造を形成することができる。これにより、第3族から第13族までに属する金属元素を有する金属化合物は、複合化合物微粒子内及びトナー粒子表面の有機ケイ素化合物の縮合体との架橋構造を形成しやすくする。この金属化合物による架橋構造によって、複合化合物微粒子の現像ローラへの移行を抑制するとともに、電子の移動を促進することで、トナーの帯電立ち上がり性をさらに良化することができる。
なお、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層を形成する有機ケイ素化合物と、複合化合物微粒子を形成する有機ケイ素化合物とは、同じであってもよいし異なってもよい。これらの有機ケイ素化合物は、それぞれ前記式(1)で表される有機ケイ素化合物であることが好ましく、同一の化合物であることがより好ましい。
有機ケイ素化合物と金属化合物の好ましい存在状態は、下記のように数値化できる。
エネルギー分散型X線分光法(以下、EDXと記載)により求めた、トナー粒子表面のSi元素及び第3族から第13族までに属する金属元素のそれぞれの存在比率の最大値を100にしたとき、Si元素の存在比率と第3族から第13族までに属する金属元素の存在比率との重なりが40%以上であることが好ましい。
ここで、トナー粒子表面のSi元素及び第3族から第13族までに属する金属元素の存在比率とは、トナー粒子の表面(トナーの頭頂部から厚み50nmまで切り出した薄片状のサンプルの表面)を透過型電子顕微鏡(以下、TEMと記載)で観察し、EDXを利用
してトナー粒子表面のSi元素及び第3族から第13族までに属する金属元素をマッピングしたTEM-EDX像において、各元素のピーク強度をライン分析したときのピーク強度の比率を表す。ライン分析は、トナー粒子表面上の直線200nmに対して、等間隔に256点のピーク強度を測定しており、ナノオーダーでのSi元素及び金属元素の分布分析が可能である。
また、Si元素及び金属元素の存在比率の重なりとは、Si元素及び金属元素の存在比率の最大値を100に規格化したとき、各元素のうち、存在比率の最大値の総和で存在比率の最小値の総和を割った値を表す。Si元素及び金属元素の存在比率の重なりが大きいと、各元素が同じ領域に均一に存在していることを示す。一方、Si元素及び金属元素の存在比率の重なりが小さいと、各元素が別々に存在していることを示す。
Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりが40%以上であると、トナーの過帯電を抑制することができる。
Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりが大きいということは、複合化合物微粒子に含まれる金属化合物と有機ケイ素化合物が微細に入り混じった状態であることを示す。また、複合化合物微粒子に含まれる金属化合物は導体、有機ケイ素化合物は誘電体として機能する。これらのことから、トナーを帯電させると複合化合物微粒子に含まれる有機ケイ素化合物が誘電分極を起こし、複合化合物微粒子が過剰な帯電を抑制するというコンデンサのような役割を果たす。これにより、トナーの過帯電を抑制できる。
トナーの過帯電を抑制すると、トナーと現像ローラの静電付着力が安定することで、規制ブレードでの安定した規制が可能になる。よって、現像ローラ上のトナー層が厚くならず、画像上に濃度ムラが発生を抑制することができる。したがって、過帯電抑制に優れるトナーの場合には、画像上に濃度ムラが発生せず、良好な画像を得ることができる。
Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりは50%以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりは、有機ケイ素化合物及び金属源の種類並びに添加量により制御することができる。
複合化合物微粒子の個数平均粒径は、1nm以上200nm以下であることが好ましい。この範囲にすることにより、複合化合物微粒子が脱離しにくくなり、トナー粒子表面の変化と現像ローラの汚染を抑制できる。より好ましくは5nm以上150nm以下である。
複合化合物微粒子の個数平均粒径は、生成時の反応温度等によって制御することが可能である。具体的には、反応温度が高いほど複合化合物微粒子の個数平均粒径は小さくなる傾向がある。
続いて、本発明に用いられる金属化合物について詳細に述べる。
<金属化合物>
金属化合物は、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一つの金属元素を含有する。このような金属化合物をトナー粒子表面に配置することで、トナーの抵抗が下がり、トナーの帯電立ち上がり性が良化する。
金属元素として、具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、銅、鉄、銀、亜鉛、インジウム、アルミニウムなどが挙げられる。より好ましくは、チタン、ジルコニウム、銅及びアルミニウムである。
また、該金属元素のポーリングの電気陰性度は、1.25以上1.85以下であることが好ましく、1.30以上1.75以下であることがより好ましい。電気陰性度が上記範囲の金属元素を含む金属化合物は、吸湿性が抑えられることに加え、金属化合物内での分極が大きくなるため、帯電立ち上がり性に対する効果をより向上させることができる。
なお、ポーリングの電気陰性度は「日本化学会編(2004)『化学便覧 基礎編』改訂5版、表表紙裏の表、丸善出版」記載の値を用いる。
一方、第1族及び第2族の金属元素のみを有する金属化合物は不安定であり、空気中の水と反応したり、空気中の水を吸収したりすることで特性が変化しやすいため、長期使用時に性能が変化しやすい。
また、金属化合物は、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一つの金属元素を含む化合物と、多価酸又はその塩との反応物であることが好ましい。多価酸は、2価以上の酸であればどのようなものでも構わない。2価以上の酸との金属塩は、金属化合物と多価酸との間で架橋構造を作り、その架橋構造により電子の移動を促進し、帯電立ち上がり性を向上させることができる。金属化合物を得るために使用しうる、金属源及び酸については後述するが、例えば、リン酸、炭酸、硫酸などの多価酸、又はそのアルカリ金属塩などの塩が好ましい。
具体的な金属化合物としては以下の;リン酸とチタンを含む化合物との反応物、リン酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、リン酸とアルミニウムを含む化合物との反応物、リン酸と銅を含む化合物との反応物、リン酸と鉄を含む化合物との反応物等に代表されるリン酸金属塩;硫酸とチタンを含む化合物との反応物、硫酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、硫酸と銀を含む化合物との反応物等に代表される硫酸金属塩;炭酸とチタンを含む化合物との反応物、炭酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、炭酸と鉄を含む化合物との反応物等に代表される炭酸金属塩;アルミナ(酸化アルミニウム:Al)、アルミナ水和物、チタニア(酸化チタン:TiO)、チタン酸ストロンチウム(TiSrO)、チタン酸バリウム(TiBaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe、Fe)、酸化インジウム(In)、酸化インジウムスズ等に代表される金属酸化物;等が挙げられる。
例えば、リン酸金属塩は、リン酸イオンが金属間を架橋することで強度が高く、分子内にイオン結合を有することで帯電立ち上がり性にも優れており、好ましい。具体的には、リン酸とチタンを含む化合物との反応物、リン酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、又はリン酸とアルミニウムを含む化合物との反応物などが好ましい。
続いて、以下に本発明に用いられるその他の材料について詳細に述べる。
<結着樹脂>
本発明のトナーは、結着樹脂を含有する。
結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。結着樹脂は、ビニル系樹脂又はポリエステル樹脂を含むことが好ましい。結着樹脂には、ポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合した重合体などを添加してもよい。
ビニル系樹脂の合成に用いることのできるビニル系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル;
アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;
マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;
マレイン酸無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物;
アクリロニトリル等のニトリル系ビニル単量体;塩化ビニル等の含ハロゲン系ビニル単量体;
ニトロスチレン等のニトロ系ビニル単量体;等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分及び酸成分の縮重合物であることが好ましい。ポ
リエステル樹脂を生成するモノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のような2価のアルコールが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、並びに下記(I)式で表されるビスフェノール及びその誘導体。
アルコール成分には、3価以上の多価アルコールとして、1,2,3-プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを用いてもよい。
Figure 0007027180000001
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、X及びYはそれぞれ0以上の整数であり、かつX+Yの平均値は0以上10以下である。)
酸成分としては、以下のような2価のカルボン酸が挙げられる。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基若しくは炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
酸成分には3価以上の多価カルボン酸を用いることも好ましい。例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。
<重合開始剤>
結着樹脂の生成には重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、特段の制限なく公知の重合開始剤を用いることができる。
具体的には以下のものが挙げられる。
過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレ-ト、t-ブチルパーオキシイソブチレ-ト、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等に代表される過酸化物系重合開始剤;
2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等に代表されるアゾ系またはジアゾ系重合開始剤等。
<着色剤>
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。
着色剤としては、特段の制限なく従来公知のブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各色及び他の色の顔料並びに染料や、磁性体等を用いることができる。
ブラック着色剤としては、具体的にはカーボンブラック等に代表されるブラック顔料等が用いられる。
イエロー着色剤としては、具体的には、モノアゾ化合物;ジスアゾ化合物;縮合アゾ化合物;イソインドリノン化合物;ベンズイミダゾロン化合物;アンスラキノン化合物;アゾ金属錯体;メチン化合物;アリルアミド化合物等に代表されるイエロー顔料及びイエロー染料等が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー74,93,95,109,111,128,155,174,180,185,C.I.ソルベントイエロー162等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、具体的には、モノアゾ化合物;縮合アゾ化合物;ジケトピロロピロール化合物;アントラキノン化合物;キナクリドン化合物;塩基染料レーキ化合物;ナフトール化合物:ベンズイミダゾロン化合物;チオインジゴ化合物;ペリレン化合物等に代表されるマゼンタ顔料及びマゼンタ染料等が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2,3,5,6,7,23,48:2,48:3,48:4,57:1,81:1,122,144,146,150,166,169,177,184,185,202,206,220,221,238,254,269、C.I.ピグメントバイオレッド19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、具体的には銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物;塩基染料レーキ化合物等に代表されるシアン顔料及びシアン染料等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66等が挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成しうる重合性単量体100.0質量部に対して1.0~20.0質量部であることが好ましい。
トナーは、磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等に代表される酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケル等に代表される金属、あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金及びその混合物等が挙げられる。
<ワックス>
トナー粒子はワックスを含有してもよい。
具体的には、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル等の1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
セバシン酸ジベヘニル等の2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;
エチレングリコールジステアレート、ヘキサンジオールジベヘネート等の2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
グリセリントリベヘネート等の3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート等
の4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ポリグリセリンベヘネート等の多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステルワックス類;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系炭化水素ワックス及びその誘導体;
フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系炭化水素ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;
ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸;酸アミドワックス等が挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成しうる重合性単量体100.0質量部に対して1.0~30.0質量部であることが離型性の観点から好ましい。5.0~20.0質量部であるとより好ましい。
<荷電制御剤>
トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。
荷電制御剤としては、特段の制限なく従来公知の荷電制御剤を用いることができる。具体的には、負帯電制御剤として、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物又は前記芳香族カルボン酸の金属化合物を有する重合体又は共重合体;
スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体;アゾ染料若しくはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;
ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。
一方、正帯電制御剤として、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物等が挙げられる。
なお、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体としては、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル系モノマーの単重合体あるいは結着樹脂の項に示したビニル系単量体と前記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの共重合体等を用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成しうる重合性単量体100.0質量部に対して0.01~5.0質量部であることが好ましい。
<外添剤>
トナー粒子は、複合化合物微粒子を有することによって、外添剤がない場合においても、優れた流動性等の特性を示す。しかし、更なる改善を目的として、外添剤を含有してもよい。
外添剤としては特段の制限なく従来公知の外添剤を用いることができる。具体的には、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の原体シリカ微粒子又はそれら原体シリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等の処理剤により表面処理を施したシリカ微粒子、フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子等の樹脂微粒子等が挙げられる。
外添剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して0.1~5.0質量部であることが好ましい。
トナーの製造方法について詳細に述べる。
<有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層の形成>
トナー粒子の製造方法については特に限定されないが、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層を形成するには、具体的に下記の製造方法が挙げられる。
1.トナー母粒子が分散した水系媒体中で有機ケイ素化合物を縮合させる製造方法。
2.有機ケイ素化合物を有する溶媒をスプレードライ法によりトナー母粒子表面に噴射し、熱風によって表面で縮合した後に乾燥させて、トナー母粒子表面に有機ケイ素化合物の縮合体を形成する方法。
この中でも、トナー母粒子が分散した水系媒体中で有機ケイ素化合物を縮合させる方法が、膜の均一性の観点から好ましい。
有機ケイ素化合物は、任意の方法で水系媒体に添加・混合することができる。例えば、有機ケイ素化合物をそのまま添加してもよい。また、水系媒体と混合し加水分解した後に添加してもよい。
<複合化合物微粒子トナー粒子の表面に固着させる方法>
複合化合物微粒子をトナー粒子の表面に固着させるには、具体的に下記の製造方法が挙げられる。
I.トナー母粒子が分散した水系媒体中で複合化合物微粒子の原材料となる有機ケイ素化合物及び金属源を酸又は水と反応させ、複合化合物を微粒子として析出させ、トナー母粒子上に固着させることで、トナー粒子を得る製造方法。当該製造方法では、有機ケイ素化合物及び金属源を酸と反応させることが好ましく、これにより金属元素を含有する金属化合物と、有機ケイ素化合物と、の複合化合物を得ることができる。
II.有機ケイ素化合物とトナー母粒子が分散した水系媒体中に、事前に作製しておいた複合化合物微粒子を加え、トナー母粒子上に固着させることで、トナー粒子を得る製造方法。
有機ケイ素化合物には、前述した材料を用いることができる。
本発明では、上記1.及びI.の方法を採用することが好ましい。すなわち、トナー母粒子が分散した水系媒体中で有機ケイ素化合物を縮合させて、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層を形成しつつ、該有機ケイ素化合物及び金属源を酸と反応させて複合化合物微粒子(金属化合物と有機ケイ素化合物との複合化合物の微粒子)を析出させ、該複合化合物微粒子を該表層に固着させる方法が好ましい。
有機ケイ素化合物の縮合反応はpH依存性があることが知られており、縮合の進行には水系媒体のpHは6.0以上12.0以下であることが好ましい。水系媒体又は混合液のpH調整は、既存の酸又は塩基でコントロールすればよい。pHを調整する酸としては、以下のものが挙げられる。
塩酸、臭酸、ヨウ素酸、過臭素酸、過臭素酸、メタ過ヨウ素酸、過マンガン酸、チオシアン酸、硫酸、硝酸、ホスホン酸、リン酸、二リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、トリポリリン酸、アスパラギン酸、o-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、イソニコチン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、2-グリセリンリン酸、グルタミン酸、シアノ酢酸、シュウ酸、トリクロロ酢酸、o-ニトロ安息香酸、ニトロ酢酸、ピクリン酸、ピコリン酸、ピルビン酸、フマル酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、o-ブロモ安息香酸、マレイン酸、マロン酸。
pHを調整する塩基としては、以下のものが挙げられる。
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物及びそれらの水溶液、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属の炭酸塩及びそれらの水溶液、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム等のアルカリ金属の硫酸塩及びそれらの水溶液、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム等のアルカリ金属のリン酸塩及びそれらの水溶液、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物及びそれらの水溶液、アンモニア、ヒスチジン、アルギニ
ン、リシン等の塩基性アミノ酸及びそれらの水溶液、トリスヒドロキシメチルアミノメタン。
上記I.の製造方法でトナーを得る場合、金属源としては特段の制限なく従来公知の材料を用いることができる。金属化合物に含まれる金属元素は該金属源に由来する。具体的には以下のものが挙げられる。
チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタニウムジ-2-エチルヘキソキシビス2-エチル-3-ヒドロキシヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート、チタンイソステアレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート、チタントリエタノールアミネート;
ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩;
アルミニウムラクテート、アルミニウムラクテートアンモニウム塩、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート;
鉄(II)ラクテート;銅(II)ラクテート;銀(I)ラクテート;
等に代表される金属キレート化合物。
テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、トリスイソプロポキシ鉄、テトライソプロポキシハフニウム等に代表される金属アルコキシド化合物。
塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム等に代表される金属ハロゲン化物。
中でも金属キレート化合物を用いると、反応速度を抑えることで複合化合物微粒子の凝集を抑制することで、本発明の規定を満たすトナーを得やすいため、好ましい。
さらに、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩、アルミニウムラクテート、アルミニウムラクテートアンモニウム塩がより好ましい。
一方、金属源と反応させる酸としては、特段の制限なく従来公知の酸を用いることができる。具体的には以下のものが挙げられる。
リン酸、炭酸、硫酸等に代表される無機の多価酸;
硝酸等に代表される無機の一価酸;
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等に代表される有機の多価酸;
ギ酸、酢酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸等に代表される有機の一価酸等が挙げられる。
中でも、無機の多価酸を用いると、金属原子間を架橋することで強度の高い複合化合物微粒子が得られるため、耐久性に優れ、好ましい。
さらに、リン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなど多価酸のイオンを用いることがより好ましい。なお、前記酸は、酸のままで用いてもよく、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩や、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、又は、アンモニウム塩として用いてもよい。
続いて、以下に本発明のトナーの測定方法について説明する。
<トナー表面のSi元素及び金属元素の存在比率の測定方法と、それぞれの存在比率の重
なりの算出方法>
TEMを用いてトナーの断面観察を以下の方法により行う。
トナーの断面を観察する具体的な方法は以下の通り。常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、トナーの頭頂部から厚み50nmの薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルをTEM(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)で50万倍の倍率に拡大し、薄片状のサンプルの頭頂部側の表面を観察する。トナーの個数平均粒径±10%の長径(μm)を有するトナー断面を選択するものとする。
元素分析は、トナー表面の各元素をマッピングしたTEM-EDX像において、各元素のピーク強度をライン分析することによって行う。
各トナーに対して、前記方法で20個のトナーの表面(トナーの頭頂部から厚み50nmの薄片状のサンプルの表面)を観察し、EDXを用いて直線200nmをライン分析(256点)することで、Si元素及び第3族から第13族までに属する全ての金属元素のピーク強度を測定する。上記256点の各点における各元素のピーク強度の比率を存在比率とする。
また、上記256点における各元素の存在比率の最大値をそれぞれ100に規格化したとき、『上記256点において、Si元素、及び第3族から第13族までに属する全ての金属元素のうち最も存在比率が高い元素の存在比率の値の総和』で、『上記256点において、Si元素、及び第3族から第13族までに属する全ての金属元素のうち最も存在比率が低い元素の存在比率の値の総和』を割った値×100を、それぞれの存在比率の重なりとして算出する。20個のトナーそれぞれの存在比率の重なりを求め、その相加平均値を採用する。
なお、実施例においては、最も存在比率が高い元素としてSiが検出され、最も存在比率が低い元素として、使用した金属化合物材料に由来する金属元素が検出されるため、これらの重なりを測定することで複合化合物を評価できる。
<有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層の存在の確認>
有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層の存在は、以下のようにして確認することができる。
上記と同様の方法で、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、トナーの中心部付近において厚み50nmの薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルをTEM(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)で50万倍の倍率に拡大し、トナー断面を観察する。トナーの個数平均粒径±10%の長径(μm)を有するトナー断面を選択するものとする。このとき、元素マッピングにより、トナー表層にSi元素が検出され、金属元素が検出されなかった場合、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層が存在していると判断する。
<複合化合物微粒子の個数平均粒径の測定方法>
複合化合物微粒子の個数平均粒径は、トナー粒子表面の観察より算出する。
トナー粒子の観察は、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて行う。S-4800の観察条件は以下の通りである。
S-4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移
動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[2.0kV]、エミッション電流を[10μA]に設定する。
同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
アパーチャアライメントの調整後、倍率を100,000(100k)倍に設定、ピントを合わせる。モードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影する。
トナー粒子を観察し、トナー粒子表面に存在する複合化合物微粒子の粒子径を算出する。複数のトナーに対し、複合化合物微粒子100個の最大径を算出、その平均値を個数平均粒径とした。
<トナー粒子表面におけるSi元素の含有率>
トナー粒子表面のSi元素の含有率(atomic%)は、X線光電子分光分析(ESCA)により表面組成分析を行い算出する。
なお、トナーに外添剤が存在する場合は、下記の処理を行い、外添剤を除去したトナー粒子としてから表面組成分析を行う。
イソプロパノール中にトナーを入れ、超音波洗浄機にて10分振動を与える。その後、遠心分離機(1000rpmにて5分間)にて、トナー粒子と溶液を分離する。上澄み液を分離し、沈殿しているトナー粒子を真空乾燥することで乾固させて外添剤を除去したトナー粒子とする。
ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC-PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件: X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 10回
測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いてSi元素の含有率(atomic%)を算出する。
<トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定>
トナー等(トナー、トナー粒子又はトナー母粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1.0%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。ま
た、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液200.0mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液30.0mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2.0mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。実施例中及び比較例中の「部」及び「%」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<有機ケイ素化合物液1の調製方法>
イオン交換水 90.0部
ヘキシルトリメトキシシラン 10.0部
前記材料を200mLのビーカーに秤量し、10%塩酸でpHを3.5に調整した。その後、ウォーターバスで60℃に加熱しながら1時間撹拌し、有機ケイ素化合物液1を調製した。
<有機ケイ素化合物液2~6の調製方法>
有機ケイ素化合物の種類を表1のように変更した以外は、有機ケイ素化合物液1の調製方法と同様にして、有機ケイ素化合物液2~6を調製した。
Figure 0007027180000002
<トナー母粒子分散液1の作製方法>
(水系媒体の調製)
イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(ラサ工業株式会社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素置換した後、65℃で1時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を反応容器に一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。更に、反応容器内の水系媒体に1.0mol/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
(重合性単量体組成物の調製)
スチレン 60.0部
C.I.ピグメントブルー15:3 6.5部
前記材料をアトライタ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、更に直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を調製した。次いで、顔料分散液に下記材料を加えた。
スチレン 10.0部
アクリル酸n-ブチル 30.0部
ポリエステル樹脂(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性(2モル付加)ビスフェノールA共重合体) 5.0部
フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12,000rpmに保ちながら、水系媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま撹拌装置にて12,000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
T.K.ホモミクサーからプロペラ撹拌羽根に撹拌装置を変更し、150rpmで撹拌しながら70℃を保持して5時間重合を行い、さらに85℃に昇温して2時間加熱することで重合反応を行った。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子1が分散したトナー母粒子分散液1を得た。
トナー母粒子1の個数平均粒径(D1)は5.9μm、重量平均粒径(D4)は6.5μmであった。
<トナー母粒子分散液2の作製方法>
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、下記材料を混合した。
テレフタル酸 29.0部
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
80.0部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1部
窒素置換した後、200℃に加熱し、生成する水を除去しながら9時間反応させた。更に、無水トリメリット酸5.8部を加え、170℃に加熱し、3時間反応させてポリエステル樹脂Aを合成した。
次いで、下記材料をオートクレーブに仕込み、窒素置換した後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。
低密度ポリエチレン(融点100℃) 20.0部
スチレン 64.0部
アクリル酸n-ブチル 13.5部
アクリロニトリル 2.5部
続いて、系内に、2.0%のt-ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50.0部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンにスチレンアクリル共重合体がグラフトしたグラフト重合体Aを得た。
下記材料をFMミキサ(日本コークス工業社製)でよく混合した後、温度100℃に設定した二軸混練機(池貝鉄工株式会社製)で溶融混練した。
ポリエステル樹脂A 100.0部
フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 5.0部
グラフト重合体A 5.0部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。次に、得られた粗砕物を、ターボ工業社製のターボ・ミルを用いて、5μm程度の微粉砕物を得た後に、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー母粒子2を得た。トナー母粒子2の個数平均粒径(D1)は5.6μm、重量平均粒径(D4)は、6.5μmであった。
イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(ラサ工業株式会社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を反応容器に一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。更に、反応容器内の水系媒体に1.0mol/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
水系媒体中にトナー母粒子2を200.0部投入し、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて5,000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液2を得た。
<トナー母粒子分散液3の作製方法>
下記材料を秤量し、混合・溶解させた。
スチレン 82.6部
アクリル酸n-ブチル 9.2部
アクリル酸 1.3部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
n-ラウリルメルカプタン 3.2部
この溶液にネオゲンRK(第一工業製薬株式会社製)の10%水溶液を添加して、分散させた。更に10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.15部をイオン交換水10.0部に溶解させた水溶液を添加した。窒素置換した後、温度70℃で6.0時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5%、個数平均粒径が0.2μmの樹脂粒子分散液を得た。
以下の材料を秤量し混合した。
エステルワックス(融点70℃) 100.0部
ネオゲンRK 15.0部
イオン交換水 385.0部
湿式ジェットミルJN100(株式会社常光製)を用いて1時間分散してワックス分散液を得た。ワックス粒子分散液の固形分濃度は20.0%であった。
以下の材料を秤量し混合した。
C.I.ピグメントブルー15:3 100.0部
ネオゲンRK 15.0部
イオン交換水 885.0部
湿式ジェットミル JN100を用いて1時間分散して着色剤分散液を得た。着色剤分散液の固形分濃度は10.0%であった。
樹脂粒子分散液 160.0部
ワックス分散液 10.0部
着色剤分散液 10.0部
硫酸マグネシウム 0.2部
ホモジナイザー(IKA社製)を用いて分散させた後、撹拌させながら、65℃まで加温した。65℃で1時間撹拌した後、光学顕微鏡にて観察すると、個数平均粒径が6.0μmである凝集体粒子が形成されていることが確認された。ネオゲンRK(第一工業製薬株式会社製)2.2部加えた後、80℃まで昇温して2時間撹拌して、融合したトナー粒子前駆体を得た。
冷却後、ろ過し、ろ別した固体を720.0部のイオン交換水で、1時間撹拌洗浄した。トナー粒子前駆体を含む分散液をろ過してから乾燥させ、トナー母粒子3を得た。トナー母粒子3の個数平均粒径(D1)は6.2μm、重量平均粒径(D4)は、7.1μmであった。
イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(ラサ工業株式会社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入した。更に、1.0mol/Lの塩酸を投入した後、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
水系媒体中にトナー母粒子3を100.0部投入し、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて5000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子3の固形分濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液3を得た。
<トナー母粒子分散液4の作製方法>
イオン交換水660.0部、48.5%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液25.0部を混合し、T.K.ホモミクサーを用いて、10,000rpmにて撹拌して水系媒体を調製した。
下記材料を酢酸エチル500.0部へ投入し、プロペラ撹拌羽根にて100rpmで溶解して溶解液を調製した。
スチレン/ブチルアクリレート共重合体(共重合比:80/20) 100.0部
ポリエステル樹脂 3.0部
(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性(2モル付加)ビスフェノールA共重合体)C.I.ピグメントブルー15:3 6.5部
フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 9.0部
次に水系媒体150.0部を容器に入れ、T.K.ホモミクサーを用い、回転数12,000rpmで撹拌し、これに前記溶解液100.0部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを調製した。
その後、脱気用配管、撹拌装置及び温度計をセットしたフラスコに、乳化スラリー100.0部を仕込み、撹拌周速20m/分間で撹拌しながら30℃にて12時間減圧下、脱溶剤し45℃で4時間熟成させて、脱溶剤スラリーとした。脱溶剤スラリーを減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水300.0部を添加し、T.K.ホモミクサーで混合、再分散(回転数12000rpmにて10分間)した後、濾過した。
得られた濾過ケーキを乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー母粒子4を得た。トナー母粒子4の個数平均粒径(D1)は5.7μm、重量平均粒径(D4)は、6.9μmであった。
イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(ラサ工業株式会社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入した。更に、1.0mol/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
水系媒体中にトナー母粒子4を100.0部投入し、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて5000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子4の固形分濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液4を得た。
<トナー1の作製方法>
反応容器内に下記材料を秤量し、混合した。
チタンラクテート44%水溶液(TC-310:マツモトファインケミカル社製):
1.50部(チタンラクテートとして0.66部相当)
トナー母粒子分散液1: 500.0部
次に、1.0mol/Lの塩酸を加えて混合液のpHを5.5に調整した後に、有機ケイ素化合物液1を10.0部添加し、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpHを7.0に調整した。混合液の温度を60℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。
その後、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は60℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0mol/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、トナー粒子1を得た。これをトナー1とした。
トナー粒子の元素マッピングの結果、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層と、該表層上に複合化合物微粒子が存在していることを確認した。Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりは66.8%、複合化合物微粒子の個数平均粒径は15nm、トナー粒子表面のSi元素の含有率は4.5atomic%であった。
なお、トナー1では、チタンラクテートを(金属元素を含む)金属源とし、水系媒体に含まれるリン酸ナトリウムを酸(多価酸の塩)として、金属化合物が形成され、さらに該金属化合物と有機ケイ素化合物とが複合化合物微粒子を形成している。
<トナー2~21の作製方法>
トナー母粒子分散液の種類、有機ケイ素化合物液及び金属化合物材料の種類と量、並びに反応温度を表2に示すように変更した以外はトナー1の作製方法と同様にしてトナー2~21を得た。また、得られたトナーの物性を、表3に示す。
<トナー22の作製方法>
100.0部のトナー母粒子1に対して、体積平均粒径15nmのデシルシラン処理の疎水性チタニア1.6部、体積平均粒径30nmの疎水性シリカ(NY50:日本アエロジル社製)2.2部、体積平均粒径100nmの疎水性シリカ(X-24:信越化学工業社製)2.0部となるようにFMミキサ(日本コークス工社製)で周速32m/sで10分間混合し、開口部が45μmのメッシュで粗大粒子を除去してトナー22を得た。
トナー粒子の元素マッピングの結果、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層と、該表層上の複合化合物微粒子が存在しないことを確認した。Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりは8.6%、トナー粒子表面のSi元素は検出できなかった。
<トナー23の作製方法>
反応容器内に下記サンプルを秤量し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて10000rpmにて混合した。
酸化チタン(体積平均粒径15nm) 1.6部
トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、1.0mol/Lの塩酸を加えて混合溶液のpHを5.5に調整した後に、有機ケイ素化合物液1を10.0部添加し、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpHを7.0に調整した。
混合液の温度を60℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。その後、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は60℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0mol/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、前記の酸化チタンが表面に存在するトナー粒子23を得た。これをトナー23とした。
トナー粒子の元素マッピングの結果、有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層が存在していることと、該表層上に複合化合物微粒子が存在しないことを確認した。Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりは23.8%、トナー粒子表面のSi元素の含有率は4.3atomic%であった。
<複合化合物微粒子22の作製方法>
イオン交換水 100.0部
リン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕 8.5部
前記材料を混合したのち、室温で、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10,000rpmにて攪拌しながら、チタンラクテート(TC-310、マツモトファインケミカル株式会社)10.0部を添加した。次に、1.0mol/Lの塩酸を加えて混合溶液のpHを5.5に調整した後に、有機ケイ素化合物液1を5.0部添加し、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpHを7.0に調整した。混合液の温度を60℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。その後、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は60℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
その後、遠心分離で固形分を取り出した。その後、イオン交換水に再度分散、遠心分離で固形分を取り出すという工程を3回繰り返し、ナトリウム等のイオンを除去した。再度、イオン交換水に分散させ、スプレードライで乾燥し、個数平均粒子径が15nmの複合化合物微粒子22を得た。
<トナー24の作製方法>
100.0部のトナー母粒子1に対して、1.6部の複合化合物微粒子22、体積平均粒径30nmの疎水性シリカ(NY50:日本アエロジル社製)2.2部、体積平均粒径100nmの疎水性シリカ(X-24:信越化学工業社製)2.0部となるようにFMミキサ(日本コークス工業社製)で周速32m/sで10分間混合し、開口部が45μmのメッシュで粗大粒子を除去してトナー24を得た。
Si元素の存在比率と金属元素の存在比率との重なりは53.1%、複合化合物微粒子の個数平均粒径は15nm、トナー粒子表面の有機ケイ素化合物の縮合体を含む表層は検出できなかった。
Figure 0007027180000003

(表2中、金属化合物材料の量は、材料そのものの投入量を示す。)
Figure 0007027180000004
[実施例1~21、比較例1~3]
前記トナー1~24を用いて、下記評価を行った。評価結果を表4に示す。
以下に、本発明の評価方法及び評価基準について説明する。
画像形成装置としては市販のレーザープリンターであるLBP-7700C(キヤノン製)をプロセススピードが240mm/secとなるよう改造した改造機及び市販のプロセスカートリッジであるトナーカートリッジ323(ブラック)(キヤノン製)を用いた。カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、評価するトナーを150g充填した。
なお、イエロー、マゼンタ、シアンの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたイエロー、マゼンタ及びシアンカートリッジを挿入して評価を行った。
(評価前準備)
前記プロセスカートリッジ、前記レーザープリンターの改造機、及び評価用紙(GF-C081(キヤノン製)A4:81.4g/m)を低温低湿環境(15℃/10%RH、以下L/L環境)に48時間静置した。その後、全黒画像部の紙上での載り量が0.4
0mg/cmになるように調整した。
〈1.帯電立ち上がり性の評価〉
L/L環境において、評価用紙上に全黒画像を出力して、全黒画像上部から現像ローラ一周分に対応する部分の画像濃度と、現像ローラ二周目以降に対応する部分の画像濃度をカラー反射濃度計(X-Rite 404A)で測定し、その際の画像濃度差より以下の
ように評価した。
(帯電立ち上がり性の評価基準)
A:画像濃度差が0.05未満である。
B:画像濃度差が0.05以上0.10未満である。
C:画像濃度差が0.10以上0.15未満である。
D:画像濃度差が0.15以上である。
〈2.耐久性の評価〉
帯電立ち上がり性の評価後に、L/L環境において、評価用紙上に印字比率0.5%の画像を25,000枚連続で出力した。同環境で24時間静置したのち、帯電立ち上がり性の評価と同様の評価を行った。
前記帯電立ち上がり性の評価基準に従って評価し、耐久性の評価とした。また、現像ローラを目視観察し、微粒子による汚染の有無を確認した。
〈3.過帯電抑制の評価〉
L/L環境において、評価用紙上に印字率0.5%の画像を10,000枚連続で出力した。その後、載り量0.20mg/cmのハーフトーン画像を1枚出力し、画像を確認した。同時に、現像ローラ上を目視で観察し、現像ローラ上のトナー層の状態を確認した。以下の評価基準に基づき、過帯電抑制の性能を評価した。
(過帯電抑制の評価基準)
A:現像ローラ上のトナー層は均一であり、画像にも濃度ムラがない。
B:現像ローラ上のトナー層は端部がやや厚くなっているが、画像には濃度ムラがない。C:現像ローラ上のトナー層は全体的にややムラがあるが、画像には濃度ムラがない。
D:現像ローラ上のトナー層は全体的にややムラがあり、画像端部に微小な濃度ムラが生じる。
〈4.転写効率の評価〉
L/L環境において、評価用紙上に全黒画像を出力し、感光体から中間転写体への転写中に装置を停止し、転写工程前の感光体上トナー載り量M1(mg/cm)と転写工程後の感光体上トナー載り量M2(mg/cm)を測定した。
トナー載り量の測定には、まず、感光体上のトナーを、フィルター(THIMBLE FILTER(ADVANTEC製))を取り付けた吸引装置(VF-50(アマノ株式会社製))で20.0cmの範囲で吸い取り、フィルターに補足されたトナー量を秤量した。次に、フィルターに補足されたトナー量を吸い取った面積(20.0cm)で割った値をトナー載り量として算出した。得られたトナー載り量から、(M1-M2)×100/M1を転写効率(%)とした。
(転写効率の評価基準)
A:転写効率95%以上である。
B:転写効率90%以上95%未満である。
C:転写効率85%以上90%未満である。
D:転写効率85%未満である。
Figure 0007027180000005

Claims (10)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー粒子が、有機ケイ素化合物の縮合体を含有する表層を有し、
    該表層が、さらに複合化合物を含有する微粒子を有し、
    該複合化合物が、
    第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する金属化合物と、
    有機ケイ素化合物と、
    の複合化合物であり、
    該金属化合物が、
    該金属元素を含む化合物と、
    リン酸又はその塩と、
    の反応物である
    ことを特徴とするトナー。
  2. エネルギー分散型X線分光法により求めた、前記トナー粒子の表面のSi元素及び前記金属元素のそれぞれの存在比率の最大値を100にしたとき、該Si元素の存在比率と、前記金属元素の存在比率と、の重なりが、40%以上である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記金属元素のポーリングの電気陰性度が、1.25以上1.85以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記縮合体を形成する前記有機ケイ素化合物、及び前記複合化合物を形成する前記有機ケイ素化合物が、それぞれ、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
    Ra(n)-Si-Rb(4-n) (1)
    (式(1)中、Raは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又はアルコキシ基を示し、Rbは、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基又はアルキル部分の炭素数1~3のメタクリロキシアルキル基を示す。nは1~4の整数を示す。)
  5. 前記微粒子の個数平均粒径が、1nm以上200nm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  6. X線光電子分光法により求められる、前記トナー粒子の表面におけるSi元素の含有率が、2.0atomic%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記金属元素が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、銅、鉄、銀、亜鉛、インジウム、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素である、請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記金属元素が、チタン、ジルコニウム、銅、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素である、請求項に記載のトナー。
  9. 前記縮合体を形成する前記有機ケイ素化合物と、前記複合化合物を形成する前記有機ケイ素化合物とが、同一の化合物である、請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  10. 前記結着樹脂が、ビニル系樹脂又はポリエステル樹脂を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
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