JP2021021785A - 画像形成装置 - Google Patents

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考平 松田
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健太郎 河田
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Kazunori Hashimoto
和則 橋本
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Yasushi Katsuta
恭史 勝田
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勝広 小島
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Koichiro Masui
宏一郎 増井
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俊 佐藤
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健太 上倉
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Abstract

【課題】使用環境が変化しても、トナー帯電量の変動を抑制できるトナーを用いることで、使用環境によらずに安定した画像を出力できる画像形成装置を提供すること。【解決手段】記録材に画像を形成する画像形成装置において、像担持体と、結着樹脂を含有するトナー粒子を有する現像剤であって、前記トナー粒子の表面が、多価酸と、第4族元素を含む化合物と、の反応物を有する現像剤を前記像担持体の表面に供給して現像剤像を形成するために、前記現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触する接触部材と、前記現像剤担持体に第1の電圧を印加する第1の電圧印加部と、前記接触部材に第2の電圧を印加する第2の電圧印加部と、前記第1の電圧印加部と前記第2の電圧印加部と、を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、画像形成動作において、前記第1の電圧と前記第2の電圧を印加するように制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置と、これに着脱可能なプロセスカートリッジ、及びこれらに用いる現像剤(トナー)に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、ワードプロセッサ等が知られている。これらの画像形成装置においては、複数のプロセスを経て、画像が形成されるようになっている。複数のプロセスとしては、一般に感光ドラムを帯電する帯電プロセス、感光ドラムにレーザー光等により静電潜像を形成する露光プロセス、静電潜像が形成された感光ドラム上に現像剤(トナー)を現像させることによりトナー像を形成し可視像化する現像プロセス、可視像化された感光ドラム上のトナー像を記録媒体に転写する転写プロセス、記録媒体上のトナー像を定着させる定着プロセス、及び転写プロセス後の感光ドラムを清掃するクリーニングプロセス、が挙げられる。
近年、画像形成装置は様々な環境で使用されることが多くなってきており、温度や湿度といった画像形成装置の使用環境に対して、トナー帯電量の変動が少ない(環境安定性に優れた)トナーが求められてきている。そこで特許文献1では、樹脂帯電制御剤と疎水性酸化チタンを併用することで、トナー帯電量を安定的に制御できるトナーが開示されている。特許文献2には、リン酸カルシウム系化合物粒子とシリカ粒子を併用することで、長期にわたり帯電性が安定したトナーが開示されている。
また、現像ローラ上のトナー層厚の制御を目的として、画像形成装置の現像プロセスで使用される現像ブレード及びトナー供給ローラに、バイアスを印加する方法が知られている。
特開2006−072199号公報 特開2012−208409号公報
特許文献1に記載されたトナーは、スルホン酸塩基含有モノマーと電子吸引基を有する芳香族モノマー並びにアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタアクリル酸エステルモノマーを併用した帯電制御樹脂を用いている。該帯電制御樹脂により、帯電性を確保しつつ、環境安定性を向上させている。また、同時に、水可溶性成分量0.2重量%以上ある酸化チタン微粒子を疎水化処理したものを用いることにより、チャージアップを抑制している。しかし、本発明者らの検討では、特許文献1で開示されているようなトナーを使用した場合でも、画像形成装置の使用環境の変動(空気中の水分量の変動)に対して、安定的に制御することは困難であった。これは、帯電制御樹脂のスルホン酸塩基の吸湿性を完全に制御できなかったと同時に、酸化チタン微粒子の水可溶性成分の吸湿性によるものと考えている。
酸化チタン微粒子は、一般的に湿式法により製造されるため、水可溶性成分がある程度残存する。またこの水可溶性成分は、酸化チタン微粒子の抵抗を低く設定するために必須の成分である(酸化チタン微粒子の抵抗を低くすることで、トナーのチャージアップを抑制する働きがある)。画像形成装置の使用環境が変化して、空気中の水分量が変動した場
合、このような水可溶性成分に、空気中の水分が吸着することによって、トナー帯電量の変動が発生しやすくなる場合があった。
特許文献2のトナーは、リン酸カルシウム系化合物粒子を用いることにより、帯電性を向上させている。しかしながら、本発明者らの検討では、画像形成装置の使用環境が変化して、空気中の水分量が変動した場合、リン酸カルシウム系化合物の吸湿性のために、トナー帯電量の変動が発生しやすくなる場合があった。
さらに、現像ブレードやトナー供給ローラにバイアスが印加されている場合、トナー帯電量が変動すると、これらのバイアスによって形成される電界による効果が弱くなってしまうことがある。例えば現像ブレードの場合には、現像ブレードに印加されたバイアスにより、現像ブレードと現像ローラの間に、トナーを現像ローラ側に押し付ける力が働く。この力により、トナーは現像ローラ側に押し付けられながら現像ブレードを通過する。トナー帯電量が低下した時には、トナーが押し付けられる力が弱くなることで現像ブレードへのトナー付着が発生し、その付着物によりトナーの通過が阻害されてしまう。その結果、現像ブレード通過後の均一なトナーコートを形成することができなくなり、縦スジ、濃度低下、及びカブリ等の画像不良が発生してしまうことがあった。
そこで本発明は、画像形成装置の使用環境が変化しても、トナー帯電量の変動を抑制できるトナーを用いることで、使用環境によらずに安定した画像を出力できる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置において、像担持体と、結着樹脂を含有するトナー粒子を有する現像剤であって、前記トナー粒子の表面が、多価酸と、第4族元素を含む化合物と、の反応物を有する現像剤を前記像担持体の表面に供給して現像剤像を形成するために、前記現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触する接触部材と、前記現像剤担持体に第1の電圧を印加する第1の電圧印加部と、前記接触部材に第2の電圧を印加する第2の電圧印加部と、前記第1の電圧印加部と前記第2の電圧印加部と、を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、画像形成動作において、前記第1の電圧と前記第2の電圧を印加するように制御することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置の使用環境が変化しても、トナー帯電量の変動を抑制できるトナーを用いることで、使用環境によらずに安定した画像を出力できる画像形成装置を提供することができる。
実施例1に係る画像形成装置の概略断面図 実施例1に係るプロセスカートリッジの模式的断面図 実施例1に係る現像装置の模式的断面図 実施例1に係る規制ブレードの模式図 実施例2に係るプロセスカートリッジの模式的断面図 実施例3に係るプロセスカートリッジの模式的断面図 実施例3に係るトナー漏れ防止シートの模式的断面図 本発明に係るトナー粒子の断面図
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは
、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り、後の説明においても初めの説明と同様のものである。
(実施例1)
<画像形成装置>
図1及び図2を参照して、画像形成装置全体の構成について説明する。図1は本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略構成を断面的に示したものである。なお、図1においては、各構成については簡略的に示している。図2は本発明の実施例1に係る画像形成装置に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの模式的断面図である。
本実施例に係る画像形成装置100は、装置本体に対して着脱自在に構成される4つのプロセスカートリッジ10a,10b,10c,10d(以下、適宜、カートリッジ10と称する)を備えている。なお、カートリッジ10aはイエローカートリッジであり、カートリッジ10bはマゼンタカートリッジであり、カートリッジ10cはシアンカートリッジであり、カートリッジ10dはブラックカートリッジである。各カートリッジ10は、それぞれ像担持体としての感光ドラム11を備えている。この感光ドラム11の周囲には、感光ドラム11の表面を帯電するための帯電ローラ12、感光ドラム11の表面に形成された静電潜像を現像剤であるトナーにより現像する現像装置20、が設けられている。なお、感光ドラム11の表面に照射される露光装置101からのレーザー光の通り道を確保するために開口部13も設けられている。さらに、後述の現像ローラ23や、剥ぎ取りローラ等に所定のバイアス(電圧)を印加する複数のバイアス電源(第1の電圧印加部と第2の電圧印加部を含む)を制御する電圧制御部29が設けられている。
<画像形成装置の動作>
次に画像形成装置100の動作について説明する。画像形成が始まると、感光ドラム11は図2中矢印A方向に回転し、帯電ローラ12は感光ドラム11の回転に従動して、矢印B方向に回転する。そして、感光ドラム11の表面は帯電ローラ12により一様に帯電される。その後、感光ドラム11の表面には、露光装置101からレーザー光が照射されて、静電潜像が形成される。一方、現像装置20においては、感光ドラム11の回転開始後に、感光ドラム11から離間していた現像剤担持体である現像ローラ23が感光ドラム11と当接する方向に移動する。続いて、現像ローラ23は、感光ドラム11の表面と接触し現像ローラ23は図2中矢印C方向に、剥ぎ取りローラ24は矢印D方向にそれぞれ回転を始める。そして、感光ドラム11上(像担持体上)に形成された静電潜像は、現像ローラ23と感光ドラム11の表面が接触することで形成される現像部にて、現像装置20で現像される。現像されたトナー像(現像剤像)は、転写部材の1つである1次転写ローラ103との電位差により、トナー像と当接している被転写体の1つである中間転写体104に1次転写される。
以上のプロセスが、カートリッジ10a、カートリッジ10b、カートリッジ10c、カートリッジ10dにより順次行われ、中間転写体104上に全ての色のトナー像が重ね合わされる。その後、トナー像は、2次転写ローラ105との電位差により紙などの記録媒体(記録材)に転写される。トナー像が転写された記録媒体は、定着装置106に搬送されて、加熱かつ加圧される。これにより、記録媒体上にトナー像が定着される。その後、記録媒体は画像形成装置100の外部に排出される。以上が、本実施例における画像形成動作となる。その後、再び、上記の動作が繰り返される。
<カートリッジ>
次にカートリッジ10について、図2及び図3を参照して詳細に説明する。
感光ドラム11は、図2中矢印A方向に回転駆動される。本実施例では、感光ドラム11として、直径24mmの導電性のアルミシリンダ上に、下引き層、キャリア発生層、キャリア輸送層、を順次形成したものを用いた。
帯電ローラ12は、感光ドラム11に接触し、感光ドラム11の回転に伴って図2中矢印B方向に従動回転して画像形成を行う。また帯電ローラ12には、帯電バイアス電源12cから所定のバイアスが印加され、感光ドラム11を一様に帯電する。本実施例の帯電ローラ12は、導電性支持体である直径6mmの芯金12aと、厚さ約2mmのヒドリンゴムからなる導電性弾性層12bと、から構成される。導電性弾性層12bの表面には、厚さ数μmのウレタンゴムにカーボンブラックを分散させた高抵抗層を形成したものを用いた。ローラ全体の直径は10mmである。
現像装置20は、感光ドラム11との対向位置に開口部を有する現像容器21を備えている。この現像容器21には、現像剤担持体である現像ローラ23、剥ぎ取りローラ24、規制ブレード25、トナー収容部26、トナー漏れ防止シート27、が備えられている。トナー収容部26には、現像剤としてのトナーTが収容されており、トナーTとして負帯電性のものを用いた。本実施例に用いたトナーTは1成分現像剤とした。
現像ローラ23は、感光ドラム11に接触し、かつ感光ドラム11に対して所定の周速比をもって図2中矢印Cに回転駆動されている。また現像ローラ23には、複数の電圧印加部の1つである現像バイアス電源23c(第1の電圧印加部)から、現像電圧として所定のバイアス(第1の電圧)が印加され、感光ドラム11上の静電潜像をトナーTで現像して可視像化させる。本実施例の現像ローラ23は、導電性支持体である直径6mmの芯金23aと、厚さ2.75mmのシリコーンゴムからなる導電性弾性層23bと、から構成される。導電性弾性層23bの表面には、厚さ10μm程度のウレタンゴムにカーボンブラックを分散させた高抵抗層を形成したものを用いた。ローラ全体の直径は11.5mmである。
剥ぎ取りローラ24は、現像ローラ23に接触して所定の侵入量で侵入させ、現像ローラ23の回転方向と同一方向(図2中矢印D方向)に回転する。また剥ぎ取りローラ24には、複数の電圧印加部の1つである現像バイアス電源23cから現像ローラ23に印加するバイアスと同電位のバイアスが印加されている。本実施例の剥ぎ取りローラ24は、導電性支持体である直径5mmの芯金24aと、厚さ3mmのウレタンフォームからなる表層24bと、から構成される。このウレタンフォームの発泡セルは、ウレタン内部へトナーTが出入りできるよう連泡となっており、ウレタンフォームを含むローラ全体の直径は11mmである。
規制ブレード25は、その一端が現像容器21に固定され、その自由端を現像ローラ23の回転方向(図2中矢印C方向)に対して、カウンター方向に接触配置される。また規制ブレード25は、トナーTに電荷を付与すると共に、複数の電圧印加部の1つであり、本実施例における第2の電圧印加部に相当するブレードバイアス電源25cから所定のバイアス(第2の電圧)が印加される。さらに規制ブレード25は、現像ローラ23上(現像剤担持体上)のトナー量を規制して薄層化し、均一なトナー層厚を形成する。本実施例の規制ブレード25は、厚さ1mmのSUS板をL字曲げ加工した支持板金25aと、支持板金にレーザー溶接で接合される厚さ100μmのSUS板からなるブレード25bと、から構成される。
トナー漏れ防止シート27は、その一端が現像容器21に固定され、その自由端を現像ローラ23の回転方向(図3中矢印C方向)に対して、カウンター方向に接触配置される。本実施例では、トナー漏れ防止シート27として、厚さ50μmのPETからなるシートを用いた。
このように、本実施例においては、剥ぎ取りローラ24、規制ブレード25、トナー漏れ防止シート27が、現像剤担持体である現像ローラ23と接触する接触部材に相当する。すなわち、本実施例では、接触部材が複数設けられていることになる。
<カートリッジの動作>
次に、図1及び図2を用いて、本実施例における、カートリッジ10の動作について説
明する。
まず、感光ドラム11を回転駆動させ、帯電ローラ12へ帯電バイアス−1200Vを印加して、感光ドラム11表面を暗電位VD=−700Vに一様に帯電させる。次に帯電された感光ドラム11に対して、露光装置101からの画像情報に基づいた露光を行い、感光ドラム11表面に静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光ドラム11表面は、明電位VL=−100Vとなる。次に、現像バイアス−300Vが印加された現像ローラ23を感光ドラム11に当接させて現像部を形成し、トナーTを静電潜像に応じて感光ドラム11に現像させることで、トナー像を形成する。
現像装置20では、トナーTは、剥ぎ取りローラ24の回転によって、剥ぎ取りローラ24と現像ローラ23との接触部に送られる。現像ローラ23に送られたトナーは、現像ローラ23の回転に伴って、上述の複数の接触部材の1つである現像剤規制部材としての規制ブレード25に送られる。規制ブレード25は、トナーに電荷を付与すると共に、現像ローラ23表面のトナー量を規制して均一なトナー層厚を形成する。ここで、現像ローラ23には現像バイアス−300V、規制ブレード25にはブレードバイアス−500V、が印加されている。ブレードバイアスを印加することによって、現像剤規制部材としての規制ブレード25はトナー量を規制して薄層化するだけでなく、均一なトナー層厚を形成する。規制ブレード25通過後のトナーは、現像ローラ23の回転に伴い感光ドラム11との接触部に送られ、感光ドラム11上に形成された静電潜像を現像するために用いられる。現像後の現像ローラ23の表面に残留したトナーは、剥ぎ取りローラ24との接触部に搬送され、剥ぎ取りローラ24により現像ローラ23の表面から除去される(剥ぎ取られる)。除去されたトナーは、トナー収容部26に送られ、再び剥ぎ取りローラ24へ搬送されることになる。
感光ドラム11上(像担持体上)に形成されたトナー像は、転写部材の1つである1次転写ローラ103に電圧を印加することによって、感光ドラム11から被転写体の一例である中間転写体104に転写される。トナー像が転写された記録媒体は、定着装置106でトナー像が定着され、出力物となる。ここで中間転写体104に転写した後に、感光ドラム11上(像担持体上)に残留した転写残トナーは、帯電ローラ12を通過する際に、帯電ローラ12の放電により電荷を付与される。電荷を付与されたトナーTは、感光ドラム11の回転に伴い現像ローラ23との接触部に送られる。そして現像ローラ23を通過する際に、現像ローラ23に回収されてトナー収容部25に送られ、トナーとして再利用されることになる。
カートリッジBでは、上記の動作を繰り返し行うことで、画像形成を行っている。
<トナー>
本発明において用いる現像剤としてのトナーTは、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子の表面が、図8に示すような多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを有することを特徴とする。発明者らは、使用環境が変化しても、トナー帯電量の変動を抑制できるトナーを用いることで、使用環境によらずに安定した画像を出力できる画像形成装置を提供することを鋭意検討した。その中で、トナーとして、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子の表面が、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を有するトナーを用いる。これにより、帯電の立ち上がり性、環境安定性、及びチャージアップ抑制性能が向上することを見出した。そのメカニズムは明確ではないが、本発明者らは以下の様に推察している。
該多価酸は電子対を受け取り、負に帯電しやすい。そのため、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物も、負に帯電しやすく、帯電性に優れている。さらに、第4族元素は、酸化数が+4の状態が最も安定である。そのため、多価酸と架橋構造を作り、その架橋構造により電子の移動を促進し、帯電の立ち上がり性の向上と、チャージアップの抑制を
達成することができる。また、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物は、該架橋構造により水分子をブロックすることで、環境安定性が良好になる。
以上の様に、多価酸と第4族元素を含む化合物とが、反応物になることで初めて他の多価酸を含む化合物や、他の第4族元素を含む化合物をそれぞれ用いただけでは達成できない性能を達成することができる。
一方、従来から用いられている酸化チタン(TiO)は極めて安定な化合物であるため、多価酸と反応物を作ることができず、帯電性が低い。また、チャージアップ抑制も不十分である。また、第4族元素以外の多価酸塩、例えば、アルカリ土類金属の多価酸塩では、水分の吸着の抑制が不十分であった。
以下、本発明において用いるトナーの具体的な構成について説明する。
該多価酸は、2価以上の酸であればどのようなものでも構わない。具体例としては、以下のものがあげられる。
リン酸、炭酸、硫酸などの無機酸;ジカルボン酸、トリカルボン酸などの有機酸。有機酸の具体例としては、以下のものがあげられる。
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸。クエン酸、アコニット酸、無水トリメリト酸などのトリカルボン酸。そのなかでも、多価酸が、炭酸、硫酸、及びリン酸からなる群より選ばれた少なくとも一つを含有することが、第4族元素と強固に反応し、吸湿しにくいことから好ましい。より好ましくは、多価酸が、リン酸を含有することである。
該多価酸は、多価酸をそのまま用いてもよいし、多価酸とナトリウム、カリウム、リチウムなどとのアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどとのアルカリ土類金属塩;又は、多価酸のアンモニウム塩として用いてもよい。第4族元素を含む化合物は、第4族元素を含む化合物であれば、特段限定されず、どのようなものでも構わない。第4族元素としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどが挙げられる。そのなかでも、第4族元素は、チタン及びジルコニウムの少なくとも一方を含有することが好ましい。
チタンを含む化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネートなどのチタンアルコキシド。チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート、チタンイソステアレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート、チタントリエタノールアミネートなどのチタンキレート。
中でもチタンキレートは多価酸と反応しやすいため好ましい。また、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩がより好ましい。
ジルコニウムを含む化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドなどのジルコニウムアルコキシド。ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩などのジルコニウムキレート。
中でもジルコニウムキレートは多価酸と反応しやすいため好ましい。また、ジルコニウムラクテート、及び、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩がより好ましい。
ハフニウムを含む化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ハフニウムラクテート、ハフニウムラクテートアンモニウム塩などのハフニウムキレート。
トナー粒子の表面が、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を有するとは、例えば、トナー粒子の表面に、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物が存在している状態が挙げられる。トナー粒子の表面に、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を存在させる方法としては、従来公知の様々な方法を用いることができるが、例えば下記方法がある。
トナー母粒子の分散液中で、多価酸と第4族元素を含む化合物を反応させて、得られた反応物をトナー母粒子の表面に付着させてトナー粒子を得る方法。例えば、トナー母粒子の分散液に、多価酸及び第4族元素を含む化合物を添加及び混合することで、多価酸と第4族元素を含む化合物とを反応させ、反応物Tbを得る。それと同時に、分散液を撹拌しておくことで、トナー母粒子Taの表面に付着させてトナー粒子を得る方法が挙げられる。
また、例えば、多価酸と第4族元素を含む化合物とを反応させ、反応物Tbを含有する微粒子を作成し、トナー母粒子Taと混合することでトナー母粒子Taの表面に該反応物Tbを含有する微粒子を付着させてトナー粒子を得る方法が挙げられる。
具体的には、FMミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)など、せん断力を与える高速撹拌機を用いて、トナー母粒子と該反応物の微粒子を混合するとよい。
なお、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物は、溶媒中で多価酸及び第4族元素を含む化合物を反応させることで得ることができる。該溶媒としては、どのようなものでも構わない。該溶媒の具体例としては、以下のものが挙げられる。ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、エタノール、水。
多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物の種類については、特に限定されない。しかしながら、多数枚印刷時の画像劣化抑制の観点から、硫酸チタン、炭酸チタン、リン酸チタン、硫酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、及びリン酸ジルコニウムからなる群より選ばれた少なくとも一つを含有することが好ましい。より好ましくは、リン酸チタン及びリン酸ジルコニウムの少なくとも一方を含有することである。
多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を含有する微粒子の個数平均粒径は、1nm以上400nm以下であることが好ましく、1nm以上200nm以下であることがより好ましく、1nm以上60nm以下であることがさらに好ましい。該微粒子の個数平均粒径を上記範囲にすることで、該微粒子の脱離による部材汚染を抑制することができる。該微粒子の個数平均粒径を上記範囲に調整する手法は、該微粒子の原料である多価酸と第4族元素を含む化合物の添加量や、それらが反応するときのpH、反応時の温度などが挙げられる。
トナー粒子中の多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbの含有量は、0.01質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上3.00質量%以下であることがより好ましい。
本発明において用いるトナーは、多価酸と共に金属塩を用いる場合において、金属塩に含まれる金属元素を金属元素Mとする。そして、トナーのX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求めるトナー表面の構成元素比率における、金属元素Mの比率をM
1(at%)としたときに、M1が1.0(at%)以上10.0(at%)以下であることが好ましい。
また、本実施例におけるトナー1g(現像剤1g)を61.5%のショ糖水溶液31gと、非イオン性界面活性剤と陰イオン界面活性剤からなる10%の精密測定器洗浄用中性洗剤水溶液6gからなる混合水溶液に分散させる。次に、シェーカーを用いて1分間に300回振とうする処理(a)を施して得たトナーをトナー(a)とする。そして、トナー(a)のX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求めるトナー表面の構成元素比率における、金属元素Mの比率をM2(at%)とする。このとき、M1とM2がともに1.0以上10.0以下であり、M1およびM2が以下の関係式(ME−1)を満たすことが好ましい。
0.90≦M2/M1 (ME−1)
上記処理(a)では、トナー表面に弱く付着している多価酸金属塩を取り除くことができる。具体的には、トナー母粒子に対し、乾式法で付着させた多価酸金属塩は上記処理(a)によって取り除かれやすい。このように、上記処理(a)によってトナー表面に存在する多価酸金属塩を評価することが可能である。上記処理(a)による各パラメータの変化が小さいほど、多価酸金属塩がトナー母粒子に強く固着していることを示す。
上記M1およびM2は各処理の前後における、多価酸金属塩によるトナー表面の被覆状態を表す。そして、多価酸金属塩によるトナー表面の被覆状態は帯電性および電荷の移動性に寄与する。
上記M1およびM2は1.0(at%)以上、10.0(at%)以下であることが好ましい。上記M1およびM2が上記範囲であると、トナーの負帯電性および電荷の移動性が更に良好になる。
上記M1およびM2は1.0(at%)以上、7.0(at%)以下であるとより好ましく、1.5(at%)以上、5.0(at%)以下であるとさらに好ましい。
上記式(ME−1)は、上記処理(a)において多価酸金属塩がトナー表面から剥離せず、残存している比率を意味している。上記式(ME−1)が0.90以上となる場合、トナー表面に多価酸金属塩が強く固着しているため、トナーから部材への多価酸金属塩の移行が抑制される。よって、長期にわたる使用時にも安定し、耐久性に優れたトナーを得ることができる。
トナー母粒子Taの分散液中で、多価酸と第4族元素を含む化合物とを反応させ、得られた反応物Tbをトナー母粒子表面に付着させてトナー粒子を得る場合、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物を併用することが好ましい。該有機ケイ素化合物を併用することで、得られた反応物が該有機ケイ素化合物の重合によって生成した有機ケイ素重合体により強固にトナー粒子に固着し、かつ、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbが疎水化され、環境安定性がさらに向上する。
具体的には、まず、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物を事前に加水分解するか、トナー母粒子Taの分散液中で加水分解する。その後、得られた有機ケイ素化合物の加水分解物を縮合させ、縮合物とする。該縮合物はトナー粒子表面に移行する。該縮合物は粘性があるため、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを、トナー粒子の表面に密着させ、該反応物をより強固にトナー粒子に固着することができる。
また、該反応物の表面にも該縮合物は移行し、該反応物を疎水化し、環境安定性をさらに向上させることができる。
Ra(n)−Si−Rb(4−n) (1)
式(1)中、Raは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を示し、Rbは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基又はメタクリロキシアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。ただし、Ra及びRbが複数存在する場合、複数のRa、複数のRbの置換基は、それぞれ、同一でも異なってもよい。
以降、式(1)中のRaを官能基、Rbを置換基と呼称する。式(1)で示される有機ケイ素化合物としては、特段の制限なく、公知の有機ケイ素化合物を用いることができる。具体的には、以下の、官能基を二つ有する二官能シラン化合物、官能基を三つ有する三官能シラン化合物、官能基を四つ有する四官能シラン化合物が挙げられる。
二官能シラン化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
三官能シラン化合物として、以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシランなどの置換基としてアルキル基を有する三官能シラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどの置換基としてアルケニル基を有する三官能シラン化合物;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの置換基としてアリール基を有する三官能シラン化合物;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジエトキシメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルエトキシジメトキシシランなどの置換基としてメタクリロキシアルキル基を有する三官能シラン化合物など。
四官能シラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられる。
該有機ケイ素重合体としては、特段の制限なく従来公知の有機ケイ素重合体を用いることができる。中でも、下記式(I)で表される構造を有する有機ケイ素重合体を用いることが好ましい。
R−SiO3/2 式(I)
式(I)中、Rは、(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6の)アルキル基、(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の)アルケニル基、(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の)アシル基、(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜10の)アリール基又はメタクリロキシアルキル基を示す。
式(I)は、有機ケイ素重合体が有機基と、ケイ素重合体部を有することを表している。このことにより、式(I)で表される構造を含む有機ケイ素重合体において、有機基がトナー母粒子又はトナー粒子との親和性を有することでトナー母粒子又はトナー粒子と強く固着する。そして、ケイ素重合体部が多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物との親和性を有することで多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物と強く固着する。
このように、有機ケイ素重合体が、トナー粒子と、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物とを固着させる働きを有することで、有機ケイ素重合体を介して、より強固に多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物をトナー粒子に固着させることができる。
また、式(I)は有機ケイ素重合体が架橋していることを表している。有機ケイ素重合体が架橋構造を有することで、有機ケイ素重合体の強度が増すとともに、残存するシラノール基が少なくなることで疎水性が増す。よって、さらに耐久性に優れ、高湿環境下でも安定して性能を発揮するトナーを得ることができる。
式(I)中、Rがメチル基、プロピル基、ノルマルヘキシル基などの炭素数1以上6以
下のアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタクリロキシプロピル基であることが好ましく、炭素数1以上6以下のアルキル基又はビニル基であることがより好ましい。
上記構造を有する有機ケイ素重合体は、有機基の分子運動性が制御されることで硬さと柔軟性を併せ持つため、長期にわたって使用された場合においてもトナーの劣化が抑制され、優れた性能を示す。
トナー粒子中の、式(1)で示される有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を重合して得られる有機ケイ素重合体の含有量は、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。さらには、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましい。
該トナー母粒子Taの製造方法は、特に限定されることはなく、公知の懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、及び粉砕法などを用いることができる。
トナー粒子の表面に、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを存在させる場合、水系媒体中でトナー母粒子Taを製造した場合は、そのまま、トナー母粒子Taの分散液として用いてもよい。また、洗浄やろ過、乾燥を行った後、水系媒体中に再分散させて、トナー母粒子Taの分散液としてもよい。
一方、乾式でトナー母粒子Taを製造した場合は、公知の方法によって水系媒体に分散させて、トナー母粒子Taの分散液としてもよい。トナー母粒子Taを水系媒体中に分散させるために、水系媒体が分散安定剤を含有していることが好ましい。
以下、懸濁重合法を用いた、トナー母粒子の製造例を具体的に述べる。
まず、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて各種添加物を混合し、分散機を用いて、該材料を溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。各種添加物として、着色剤、ワックス、荷電制御剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。分散機としては、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、又は超音波分散機が挙げられる。
次いで、重合性単量体組成物を、難水溶性の無機微粒子を含有する水系媒体中に投入し、高速攪拌機又は超音波分散機などの高速分散機を用いて、重合性単量体組成物の液滴を調製する(造粒工程)。
その後、該液滴中の重合性単量体を重合してトナー母粒子Taを得る(重合工程)。重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に混合してもよく、水系媒体中に液滴を形成させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。
また、液滴の造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。重合性単量体を重合して樹脂粒子を得たあと、必要に応じて脱溶剤処理を行い、トナー母粒子Taの分散液を得るとよい。
該結着樹脂としては、以下の樹脂又は重合体が例示できる。
ビニル系樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;シリコーン樹脂。これらの中でも、ビニル系樹脂が好ましい。なお、ビニル系樹脂としては、下記単量体の重合体又はそれらの共重合体が挙げられる。中でも、スチレン系単量体と不飽和カルボン酸エステルとの共重合体が好ましい。
スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;マレイン酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物;アクリロニトリルなどのニトリル系ビニル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン含有ビニル単量体;ニトロスチレンなどのニトロ系ビニル単量体。
着色剤として、以下に挙げるブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが用いられる。
ブラック顔料としては、カーボンブラックなどが挙げられる。
イエロー顔料としては、モノアゾ化合物;ジスアゾ化合物;縮合アゾ化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;ベンズイミダゾロン化合物;アントラキノン化合物;アゾ金属錯体;メチン化合物;アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、111、128、155、174、180、185などが挙げられる。
マゼンタ顔料としては、モノアゾ化合物;縮合アゾ化合物;ジケトピロロピロール化合物;アントラキノン化合物;キナクリドン化合物;塩基染料レーキ化合物;ナフトール化合物:ベンズイミダゾロン化合物;チオインジゴ化合物;ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが挙げられる。
シアン顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体;アントラキノン化合物;塩基染料レ−キ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
また、顔料とともに、着色剤として従来知られている種々の染料を併用してもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
トナーは、磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性体は着色剤の役割を兼ねることもできる。磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどに代表される酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルなどに代表される金属又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどの金属との合金及びその混合物などが挙げられる。
ワックスを以下に例示する。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルなどの1価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートなどの2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;グリセリントリベヘネートなどの3価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、3価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートなどの4価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、4価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの6価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、6価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ポリグリセリンベヘネートなどの多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、多価カルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステルワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックスが挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
トナーは、特性又は効果を損なわない程度に、トナー粒子に各種有機又は無機微粒子を外添してもよい。有機又は無機微粒子としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えば、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば、窒化ケイ素)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)、金属塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂微粒子(例えば、フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
有機又は無機微粒子は疎水化処理することもできる。有機又は無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いられてもよい。
以下に、本実施例におけるトナーの各物性値の測定方法を記載する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1.0%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。
「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200.0mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30.0mLを入れる。こ
の中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2.0mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)を指している。また、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)を指している。
<トナー粒子のガラス転移温度(Tg)の測定方法>
トナー粒子のガラス転移温度(Tg)は示差走査型熱量計(以下「DSC」とも表記する。)を用いて測定する。
DSCによるガラス転移温度の測定はJIS K 7121(国際規格はASTM D3418−82)に準拠して行う。
本測定では、「Q1000」(TA Instruments社製)を用い、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
測定は、測定試料10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。
第1の昇温過程では測定試料を20℃から200℃まで10℃/分で昇温しながら測定を行う。その後、200℃で10分間保持した後に200℃から20℃まで10℃/分で冷却する冷却過程を行う。
さらに、20℃で10分間保持した後に、第2の昇温過程では再び20℃から200℃まで10℃/分で昇温を行う。ガラス転移温度は中間点ガラス転移温度である。前述の測定条件によって得られる第2の昇温過程におけるDSC曲線において、次のように定義する。すなわち、ガラス転移温度の階段状変化の低温側及び高温側の各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
なお、水系媒体中などでトナー粒子を作製している場合などは一部をサンプリングしてトナー粒子以外を洗浄後に乾燥してからDSCの測定を行う。
<X線光電子分光法を用いた金属元素Mの比率M1およびM2の算出方法>
・処理(a)
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学(株)製)160gを加え、湯せん
をしながら溶解させ、61.5%のショ糖水溶液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31.0gと、コンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6g入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェーカーにて300spm(strokes per min)、20分で振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30分の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させる。乾燥品をスパチュラで解砕してトナー(a)を得る。
本実施例におけるトナー、上記トナー(a)について、X線光電子分光法を用いて、以下の通りに測定を行い、上記M1およびM2を算出する。
金属元素Mの比率M1およびM2の比率は、トナーを以下の条件で測定し、算出する。
・測定装置:X線光電子分光装置:Quantum2000(アルバックファイ株式会社製)
・X線源:モノクロAl Kα
・Xray Setting:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取りだし角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:300×200μm
・Pass Energy:58.70eV
・ステップサイズ:0.1.25eV
・解析ソフト:Maltipak(PHI社)
ここで、例えばTi原子の定量値の算出には、Ti 2p(B.E.452〜468eV)のピークを使用する。ここで得られたTi元素の定量値をM1(at%)とする。
上記方法を用いて、本実施例におけるトナーおよび上記トナー(a)を測定し、各トナーの金属元素Mの比率をそれぞれ、M1(at%)およびM2(at%)とする。
<多価酸金属塩の検出方法>
飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて、トナー表面の多価酸金属塩を以下の方法により検出する。
トナーサンプルをTOF−SIMS(TRIFTIV:アルバック・ファイ社製)を用いて以下の条件で分析する。
・一次イオン種: 金イオン (Au
・一次イオン電流値: 2pA
・分析面積: 300×300μm
・画素数: 256×256pixel
・分析時間: 3min
・繰り返し周波数: 8.2kHz
・帯電中和: ON
・二次イオン極性: Positive
・二次イオン質量範囲: m/z 0.5〜1850
・試料基板:インジウム
上記条件で分析を行い、金属イオンと多価酸イオンとを含む二次イオン(例えばリン酸チタンの場合はTiPO(m/z 127)、TiP(m/z 207)等)に由来するピークが検出される場合、トナー表面に多価酸金属塩が存在するものとする。
以下にトナーおよびトナーの製造方法について記載する。実施例中および比較例中の「
部」および「%」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<トナー母粒子分散液の製造例>
イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(12水和物)11.2部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmにて撹拌した。撹拌を維持しながら、イオン交換水10.0部に7.4部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を反応容器に一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、反応容器内の水系媒体に1.0mol/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
(重合性単量体組成物の調製)
・スチレン 60.0部
・C.I.Pigment Blue15:3 6.3部
上記材料をアトライタ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料が分散された着色剤分散液を調製した。
次いで、該着色剤分散液に下記材料を加えた。
・スチレン 10.0部
・アクリル酸n−ブチル 30.0部
・ポリエステル樹脂 5.0部
(テレフタル酸と、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物との縮重合物、重量平均分子量Mw=10,000、酸価:8.2mgKOH/g)
・HNP9(融点:76℃、日本精蝋社製) 6.0部
上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12,000rpmに保ちながら、水系媒体中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート8.0部を添加した。そのまま撹拌装置にて12,000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機に変更し、200rpmで撹拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、さらに85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行った。さらに、98℃に昇温して3.0時間加熱することで残留モノマーを除去し、イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が30.0%になるように調整し、トナー母粒子Taが分散したトナー母粒子分散液1を得た。
トナー母粒子の個数平均粒径(D1)は6.1μm、重量平均粒径(D4)は6.6μmであった。
<有機ケイ素化合物液の製造例>
・イオン交換水 70.0部
・メチルトリエトキシシラン 30.0部
上記材料を200mLのビーカーに秤量し、10%塩酸でpHを3.5に調整した。その後、ウォーターバスで60℃に加熱しながら1.0時間撹拌し、有機ケイ素化合物液を作製した。
<多価酸と4族元素を含む化合物の反応物の製造例>
・イオン交換水 100.0部
・リン酸ナトリウム(12水和物) 8.5部
以上を混合したのち、室温で、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10,000rpmにて撹拌する。撹拌と同時に、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩(ZC−300、マツモトファインケミカル株式会社)60.0部(ジルコニウムラクテートアンモニウム塩として7.2部相当)を添加した。1.0mol/Lの塩酸を加えpHを7.0に調整した。温度を25℃に調整し、撹拌を維持しながら1時間反応を行った。
その後、遠心分離で固形分を取り出した。続いて、イオン交換水に再度分散、遠心分離で固形分を取り出すという工程を3回繰り返し、ナトリウムなどのイオンを除去した。再度、イオン交換水に分散させ、スプレードライで乾燥し、個数平均粒径が124nmの多価酸と4族元素を含む化合物の反応物であるリン酸ジルコニウムを含む、リン酸ジルコニウム化合物微粒子を得た。
<トナー粒子の製造例>
<トナー粒子1>
(多価酸金属塩付着工程)
反応容器内に下記サンプルを秤量し、プロペラ撹拌翼を用いて混合した。
・トナー母粒子分散液 500.0部
・チタンラクテート44%水溶液(TC−310:マツモトファインケミカル社製)
3.2部(チタンラクテートとして1.4部相当)
・有機ケイ素化合物液 10.0部
次に、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いて、得られた混合液のpHを9.5に調整し、5.0時間保持した。温度を25℃に下げたのち、1.0mol/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1.0時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過した。得られた粉体を恒温槽で乾燥した後、風力式分級機で分級することにより、トナー粒子1を得た。トナー粒子1の個数平均粒径(D1)は6.2μm、重量平均粒径(D4)は6.9μmであった。トナー粒子1をTOF−SIMS分析することでリン酸チタン由来のイオンが検出された。
なお、前記リン酸チタン化合物は、チタンラクテートと、水系媒体中のリン酸ナトリウム、またはリン酸カルシウム由来のリン酸イオンとの反応物である。
<トナー粒子2>
トナー粒子2の製造方法は、次の2点を除きトナー粒子1と同様である。1つ目は、チタンラクテート44%水溶液(TC−310:マツモトファインケミカル社製)3.2部に替えた点である。2つ目は、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩(ZC−300、マツモトファインケミカル株式会社)11.7部(ジルコニウムラクテートアンモニウム塩として1.4部相当)を添加した点である。トナー粒子2の個数平均粒径(D1)は6.2μm、重量平均粒径(D4)は6.9μmであった。トナー粒子2をTOF−SIMS分析することでリン酸ジルコニウム由来のイオンが検出された。なお、前記リン酸ジルコニウム化合物は、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩と、水系媒体中のリン酸ナトリウム、またはリン酸カルシウム由来のリン酸イオンとの反応物である。
<トナー粒子3>
反応容器内に下記サンプルを秤量し、プロペラ撹拌翼を用いて混合した。
・トナー母粒子分散液 500.0部
次に、温度を25℃に保持しながら、1.0mol/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1.0時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過した。得られた粉体を恒温槽で乾燥した後、風力式分級機で分級することにより、トナー粒子3を得た。
<トナーの製造方法>
<トナー1、2>
トナー粒子1、2をトナー1、2として用いた。
<トナー3>
・トナー粒子3 100.0部
・疎水性シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザン処理:個数平均粒径12nm) 1.0部
・リン酸ジルコニウム化合物微粒子 2.0部
上記材料をSUPERMIXER PICCOLO SMP−2(株式会社カワタ製)に投入して、3,000rpmで20分間混合を行った。その後、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー3を得た。トナー3の個数平均粒径(D1)は6.2μm、重量平均粒径(D4)は6.9μmであった。トナー3をTOF−SIMS分析したところ、リン酸ジルコニウム由来のイオンが検出された。
<トナー4>
トナー3の製造例において、リン酸ジルコニウム化合物微粒子に替えて、個数平均粒径が28nmの酸化チタン微粒子を2.0部、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で混合することでトナー4を得た。トナー4をTOF−SIMS分析したところ、多価酸金属塩由来のイオンは検出されなかった。
<トナー5>
トナー3の製造例において、リン酸ジルコニウム化合物微粒子に替えて、個数平均粒径が482nmのリン酸三カルシウム微粒子を2.0部、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で混合することでトナー5を得た。トナー5をTOF−SIMS分析したところ、リン酸三カルシウム由来のイオンが検出された。
トナー1〜5の物性値を表1に示す。
Figure 2021021785
<トナー表面の電荷保持メカニズム>
トナーTの電荷保持メカニズムについての考察を説明する。規制ブレード25にて電荷を付与されたトナーTは、その表面上に電荷を保持した状態で現像ローラ23上や感光ドラム11上に担持される。一般的に空気中の水分は、トナーTの帯電量に影響することが知られている。空気中の水分が多いとトナー帯電量は少なくなり、空気中の水分が少ないとトナー帯電量は多くなる。つまり空気中の水分量によってトナーTの帯電量が変動することになる。これは空気中の水分子がトナー表面に付着することで、トナーの抵抗値が変動するためであると考えられている。
本実施例1でトナーTとして用いたトナー1〜3のトナー粒子表面は、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを有している。その反応物により、空気中の水分子が、
トナー表面に付着しにくくしている。これにより、空気中の水分子の付着によるトナー帯電量の変動を抑制することができると考えている。
一方、特許文献1で開示されているような酸化チタンをトナー粒子表面に外添したトナー4では、酸化チタン微粒子の水可溶性成分により、空気中の水分子が、トナー表面に付着しやすくなる。したがって、このようなトナーでは、空気中の水分子により、トナー帯電量の変動を抑制することが、困難となると考えている。リン酸三カルシウムをトナー粒子表面に外添したトナー5では、リン酸カルシウム系化合物の吸湿性により、空気中の水分子が、トナー表面に付着しやすくなる。したがって、このようなトナーでは、空気中の水分子により、トナー帯電量の変動を抑制することが、困難となると考えている。
<規制ブレードへのバイアス印加の効果>
本実施例において、トナーTとしてトナー1〜3を用いた時の、規制ブレード25へのバイアス印加の効果について説明する。
現像剤規制部材としての規制ブレード25は、トナーTに電荷を付与すると共に、ブレードバイアス電源25cから所定のバイアスが印加され、現像ローラ23上(現像剤担持体上)のトナー量の規制と、均一なトナー層厚を形成する。ここで本実施例では、先ほども述べたように、現像ローラ23には現像バイアス−300V、規制ブレード25にはブレードバイアス−500V、が印加されている。規制ブレード25は、トナー量を規制して薄層化するだけでなく、ブレードバイアスを印加することによって、均一なトナー層厚を形成することができる。これは現像ローラ23と規制ブレード25との間に形成された電界によって、所定の電荷量を持ったトナーTが、現像ローラ23側に押し付けられた状態で規制ブレード25を通過するためである。
ここで、画像形成装置100の使用環境が変化して、水分子の影響でトナーTの帯電量が変動すると、トナーTが電界によって現像ローラ23側に押し付けられる力も変動してしまう。トナーTが現像ローラ23側に押し付けられる力が弱いと、トナーTが規制ブレード25を通過する際に、規制ブレード25へ付着することがある。トナーTが規制ブレード25に付着すると、トナーTが規制ブレード25を通過するのを阻害するため、規制ブレード25通過後のトナー量が変動する。規制ブレード25を通過するトナー量が変動すると、規制ブレード25通過後のトナー層厚が不均一になり、縦スジ、濃度低下、及びカブリ等の画像不良の発生につながることになる。
本実施例で用いたトナーTのトナー粒子表面は、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを有している。その反応物Tbにより、空気中の水分子が、トナー表面に付着しにくくしている。これにより、空気中の水分子の付着によるトナー帯電量の変動を抑制することができると考えている。それにより規制ブレード25へのトナー付着が抑制され、規制ブレード25通過後のトナー層厚を均一に保つ。その結果、縦スジ、濃度低下、及びカブリ等の画像不良の発生を抑制することができる。
<比較検討1>
次に本実施例の画像形成装置100で、トナー1〜5を用いて比較検討を行った結果について説明する。比較に当たっては、各トナーがトナー収容部26に収容された現像装置20を用意した。それぞれの現像装置20を画像形成装置100に装着し、画像評価試験を行った。評価結果を表2に示す。画像評価試験は、環境L:温度15℃/湿度10%Rh(絶対水分量1.1)、環境N:温度23℃/湿度50%Rh(絶対水分量8.9)、環境H:温度30℃/湿度80%Rh(絶対水分量21.7)、の3つの環境で行った。それぞれの環境で、10000枚の通紙を行い、縦スジ、濃度低下、及びカブリ等の画像不良発生の有無を調べ、以下の基準により判定した。
A:画像不良の発生無し
B:極軽微な画像不良の発生があるものの問題無し
C:画像不良の発生有り
Figure 2021021785
トナー1〜3に関しては、規制ブレード25通過後の現像ローラ23上に、均一なトナー層厚を形成することができ、各環境で安定した画像を出力することができた。一方、トナー4、5に関しては、現像ローラ23上に均一なトナー層厚を形成することができず、安定した画像を出力することができなかった。
以上説明したように、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を有したトナーTを用いることで、使用環境が変化しても、トナー帯電量が変動することなく、安定した画像を出力できる画像形成装置100を提供することができる。
本実施例では、感光ドラム11に現像ローラ23を接触させてトナー像を現像する、所謂接触現像方式について説明したが、これに限定されるわけでは無い。すなわち、所謂ジャンピング現像方式を用いてもかまわない。その場合には、感光ドラム11と現像ローラ23との間に200〜300μm程度の空隙(ギャップ)を設け、現像ローラ23に印加する電圧(バイアス)として、直流電圧(バイアス)に交流電圧(バイアス)を重畳させたものを印加してトナー像を現像する。なお、ジャンピング現像方式を用いる場合には、本実施例で説明したシリコーンゴムからなる現像ローラ23では無く、アルミシリンダからなる現像スリーブを用いても良い。
また本実施例では、トナー像を中間転写体104に転写した後の感光ドラム11に残留した転写残トナーを、帯電ローラ12を通過する際に放電により電荷を付与させて、現像ローラ23に回収する場合について説明したが、これに限定されるわけでは無い。転写後の残留トナーを回収するウレタンゴムからなるクリーニングブレードを設けて、転写残トナーを回収する構成としても良い。この場合には、感光ドラム11の回転方向に対して、転写後かつ帯電前にクリーニングブレードを所定の圧で感光ドラム11にカウンター当接させて設けると良い。
また本実施例では、規制ブレード25として厚さ100μmのSUSの平板を用いたが、この限りでは無い。規制ブレード25は、様々なものを用いることができる。その一例として、SUS板の先端にカーボン等の導電材を付与した樹脂(ポリアミドエラストマー)で覆われたものもの(図4(a))、その先端樹脂に突起形状のあるもの(図4(b))、SUS板の先端が矩形断面を持つもの(図4(c))、SUS板の先端がL字形状のもの(図4(d))、等がある。
(実施例2)
本実施例では、上述の複数の接触部材のうち剥ぎ取りローラ24に、現像ローラ23とは異なるバイアスを印加する場合について説明する。尚、本実施例では、実施例1で述べた部分と異なる部分について詳細に説明する。よって、ここでは剥ぎ取りローラ24に印加するバイアス、剥ぎ取りローラ24にバイアスを印加した時の効果、について詳しく説明する。
<剥ぎ取りローラバイアス>
図5に本実施例を適用させたカートリッジ10の模式的断面図を示す。剥ぎ取りローラ24は、現像ローラ23に接触して、所定の侵入量で侵入させ、現像ローラ23の回転方向と同一方向(図5中矢印D方向)に回転する。また剥ぎ取りローラ24には、本実施例における第2の電圧印加部に相当する剥ぎ取りバイアス電源24cから所定のバイアス(第2の電圧)が印加され、現像ローラ23にトナーTを供給する。よって、本実施例における剥ぎ取りローラ24は、現像剤担持体である現像ローラ23にトナーTを供給する現像剤供給部材としても機能する。本実施例では実施例1と同様に、剥ぎ取りローラ24として、導電性支持体である直径5mmの芯金24aと、厚さ3mmのウレタンフォームからなる表層24bと、から構成されるものを用いた。
現像装置20では、トナーTは、剥ぎ取りローラ24の回転によって、剥ぎ取りローラ24と現像ローラ23との接触部に送られる。ここで、現像ローラ23には現像バイアス−300V、剥ぎ取りローラ24には供給バイアス−500V、が印加されている。供給バイアスを印加することによって、剥ぎ取りローラ24から現像ローラ23へのトナーTの供給を補助する。
<剥ぎ取りローラへのバイアス印加の効果>
本実施例において、トナーTとしてトナー1〜3を用いた時の、剥ぎ取りローラ24のバイアス印加の効果について説明する。
現像後の現像ローラ23の表面に残留したトナーTは、剥ぎ取りローラ24との接触部に搬送される。現像ローラ23に現像バイアス−300V、剥ぎ取りローラ24に供給バイアス−500Vが印加されている場合、トナーTが剥ぎ取りローラ24から現像ローラ23に押し付けられる方向の電界が形成されている。この電界によって、所定の電荷量を持ったトナーTの剥ぎ取りローラ24から現像ローラ23側への供給が促進、及び補助される。画像形成装置100の使用環境が変化して、水分子の影響でトナーTの帯電量が変動すると、トナーTが現像ローラ23と剥ぎ取りローラ24との間に形成された電界から受ける力も変動してしまう。そのため、剥ぎ取りローラ24から現像ローラ23へ供給するトナー量も変動することになる。現像ローラ23へ供給するトナー量が変動すると、規制ブレード25を通過後のトナー層厚も変動するため、トナー供給不足によるベタ追従性不良や濃度低下等の画像不良の発生につながることになる。
本実施例で用いたトナーTのトナー粒子表面は、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを有している。その反応物により、空気中の水分子が、トナー表面に付着しにくくしている。これにより、空気中の水分子の付着によるトナー帯電量の変動を抑制することができる。それにより剥ぎ取りローラ24による現像ローラ23へのトナーの供給/剥ぎ取りが積極的に促進、及び補助される。その結果、ベタ追従性不良、濃度低下、濃度ムラ、及びゴースト等の画像不良の発生を抑制することができる。
<比較検討2>
次に本実施例の画像形成装置100で、トナー1〜5を用いて比較検討を行った結果について説明する。比較に当たっては、各トナーがトナー収容部26に収容された現像装置20を用意した。それぞれの現像装置20を画像形成装置100に装着し、画像評価試験を行った。評価結果を表3に示す。画像評価試験は、環境L:温度15℃/湿度10%Rh(絶対水分量1.1)、環境N:温度23℃/湿度50%Rh(絶対水分量8.9)、環境H:温度30℃/湿度80%Rh(絶対水分量21.7)、の3つの環境で行った。それぞれの環境で、10000枚の通紙を行い、ベタ追従性不良、濃度低下、濃度ムラ、及びゴースト等の画像不良発生の有無を調べ、以下の基準により判定した。
A:画像不良の発生無し
B:極軽微な画像不良の発生があるものの問題無し
C:画像不良の発生有り
Figure 2021021785
トナー1〜3に関しては、剥ぎ取りローラ24による現像ローラ23へのトナー供給/剥ぎ取りが促進及び補助され、各環境で安定した画像を出力することができた。一方、トナー4、5に関しては、現像ローラ23へ供給するトナー量が変動してしまい、現像ローラ23上に均一なトナー層厚を形成することができず、安定した画像を出力することができなかった。
以上説明したように、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を有したトナーTを用いることで、使用環境が変化しても、トナー帯電量が変動することなく、安定した画像を出力できる画像形成装置100を提供することができる。
本実施例2では、供給バイアスを印加する場合について説明したが、現像ローラ23に現像バイアス−300V、剥ぎ取りローラ24に剥ぎ取りバイアス−100Vを印加する構成としても良い。この場合には剥ぎ取りバイアスを印加することによって、現像ローラ23からのトナーの剥ぎ取りを補助する。供給バイアスと剥ぎ取りバイアスは、画像形成装置100の通紙枚数に応じて順次切り替える構成、もしくは画像形成前の前回転や画像形成後の後回転で切り替える構成、等適宜切り替えて使用することも可能である。
(実施例3)
本実施例では、複数の接触部材の1つである、シート部材としてのトナー漏れ防止シート27にバイアスを印加する場合について説明する。尚、本実施例では、実施例1及び実施例2で述べた部分と異なる部分について詳細に説明する。よってここではトナー漏れ防止シート27に印加するバイアス、トナー漏れ防止シート27にバイアスを印加した時の効果、について詳しく説明する。
<トナー漏れ防止シート>
図6に本実施例を適用させたカートリッジ10の模式的断面図を示す。トナー漏れ防止シート27は、その一端が現像容器21に固定され、その自由端を現像ローラ23の回転方向(図6中矢印C方向)に対して、カウンター方向に接触配置される。トナー漏れ防止シート27は、現像ローラ23に所定の圧力で押圧して当接することで、現像容器21からトナーTが漏れるのを抑制している。またトナー漏れ防止シート27には、本実施例における第2の電圧印加部に相当するシートバイアス電源27cから所定のバイアス(第2の電圧)が印加されている。これは、所定の押圧力で現像ローラ23に当接しているトナー漏れ防止シート27と現像ローラ23との接触部を、現像後のトナーTが通過するのを補助するためである。それにより現像容器21からのトナー漏れと、現像後の現像容器21へのトナーTの回収不良を効果的に抑制することができる。本実施例では、トナー漏れ防止シート27として図7に示すように、厚さ50μmのPETシート27aの表面にアルミ蒸着面27bを形成したものを用いた。そしてそのアルミ蒸着面27bを、現像ローラ23に接触させるように配置した。また本実施例3では、現像ローラ23には現像バイアス−300V、トナー漏れ防止シート27にはシートバイアス−400V、を印加する構成とした。
<トナー漏れ防止シートへのバイアス印加の効果>
本実施例において、トナーTとしてトナー1〜3を用いた時の、シート部材であるトナー漏れ防止シート27へのバイアス印加の効果について説明する。
現像後の現像ローラ23の表面に残留したトナーTは、トナー漏れ防止シート27との接触部に搬送される。本実施例では、上述したように、現像ローラ23には現像バイアス−300V、トナー漏れ防止シート27にはシートバイアス−400V、が印加されている。したがって、トナーTがトナー漏れ防止シートから現像ローラ23に押し付けられる方向の電界が形成されている。この電界によって所定の電荷量を持ったトナーTが、現像ローラ23側に押し付けられながら、トナー漏れ防止シート27を通過する。
ここで、画像形成装置100の使用環境が変化して、水分子の影響でトナーTの帯電量が変動すると、トナーTが電界によって現像ローラ23側に押し付けられる力も変動してしまう。トナーTが現像ローラ23側に押し付けられる力が弱いと、トナーTがトナー漏れ防止シート27を通過する際に、トナー漏れ防止シート27へ付着して、塊となって固着してしまうことがある。トナーTがトナー漏れ防止シート27に固着すると、トナー漏れ防止シート27と現像ローラ23の間に隙間ができてしまい、そこから現像容器21内のトナーTが漏れてしまう。また水分子の影響でトナーTの帯電量が少なくなると、トナーTを現像ローラ23表面へ保持しておくための鏡映力も弱くなる。そのためトナーTがトナー漏れ防止シート27を通過できずに、トナー漏れ防止シート27と現像ローラ23とのくさび部28に溜まりやすくなる(図3参照)。このように漏れたトナーや溜まってしまったトナーは、中間転写体104の上に落下して、ボタ汚れ発生につながることになる。
本実施例で用いたトナーTのトナー粒子表面は、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを有している。その反応物により、空気中の水分子が、トナー表面に付着しにくくしている。これにより、空気中の水分子の付着によるトナー帯電量の変動を抑制することができる。それにより現像後のトナーTを効果的にトナー漏れ防止シート27を通過させて、ボタ汚れの発生を抑制することができる。
<比較検討3>
次に本実施例の画像形成装置100で、トナー1〜5を用いて比較検討を行った結果について説明する。比較に当たっては、各トナーがトナー収容部26に収容された現像装置20を用意した。それぞれの現像装置20を画像形成装置100に装着し、画像評価試験を行った。評価結果を表4に示す。画像評価試験は、環境L:温度15℃/湿度10%Rh(絶対水分量1.1)、環境N:温度23℃/湿度50%Rh(絶対水分量8.9)、環境H:温度30℃/湿度80%Rh(絶対水分量21.7)、の3つの環境で行った。それぞれの環境で、10000枚の通紙を行い、ボタ汚れ発生の有無を調べ、以下の基準により判定した。
A:ボタ汚れの発生無し
B:極軽微なボタ汚れの発生があるものの問題無し
C:ボタ汚れの発生有り
Figure 2021021785
トナー1〜3に関しては、トナー漏れ防止シート27へトナーが付着することなく、各環境で安定した画像を出力することができた。一方、トナー4、5に関しては、トナー漏れ防止シート27へのトナー付着が発生して、安定した画像を出力することができなかった。
以上説明したように、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物Tbを有したトナーTを用いることで、使用環境が変化しても、トナー帯電量が変動することなく、安定した画像を出力できる画像形成装置100を提供することができる。
11…感光ドラム、23…現像ローラ、24…剥ぎ取りローラ、25…規制ブレード、27…漏れ防止シート部材、24c…剥ぎ取りバイアス電源、25c…ブレードバイアス電源、27c…シートバイアス電源、T…トナー

Claims (12)

  1. 記録材に画像を形成する画像形成装置において、
    像担持体と、
    結着樹脂を含有するトナー粒子を有する現像剤であって、前記トナー粒子の表面が、多価酸と、第4族元素を含む化合物と、の反応物を有する現像剤を前記像担持体の表面に供給して現像剤像を形成するために、前記現像剤を担持する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に接触する接触部材と、
    前記現像剤担持体に第1の電圧を印加する第1の電圧印加部と、
    前記接触部材に第2の電圧を印加する第2の電圧印加部と、
    前記第1の電圧印加部と前記第2の電圧印加部と、を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、画像形成動作において、前記第1の電圧と前記第2の電圧を印加するように制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記反応物に、前記多価酸と共に金属塩を用いる場合において、
    前記金属塩に含まれる金属元素を金属元素Mとしたとき、
    前記現像剤のX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求める前記トナー粒子の表面が有する前記反応物の構成元素比率における、前記金属元素Mの比率M1が1.0(at%)以上10.0(at%)以下である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記現像剤1gを61.5%のショ糖水溶液31gと、非イオン性界面活性剤と陰イオン界面活性剤からなる10%の精密測定器洗浄用中性洗剤水溶液6gからなる混合水溶液に分散させ、シェーカーを用いて1分間に300回振とうする処理(a)を施して得たトナーをトナー(a)とし、
    前記トナー(a)のX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求められるトナー粒子の表面が有する前記反応物の構成元素比率における、前記金属元素Mの比率をM2(at%)とし、
    前記M1と前記M2がともに1.0以上10.0以下であり、
    前記M1およびM2が以下の関係式(ME−1)を満たす、
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

    0.90≦M2/M1 (ME−1)
  4. 前記現像剤は、結着樹脂を含有する前記トナー粒子の表面に有機ケイ素重合体を含む、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記画像形成動作において、前記現像剤担持体は、前記像担持体の表面と接触して現像部を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記画像形成動作において、前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間にギャップが形成され、
    前記第1の電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記像担持体上に形成された前記現像剤像を被転写体に転写する転写部材をさらに有し、
    前記転写部材によって前記現像剤像を被転写体に転写した後に、前記像担持体上に残った前記現像剤を前記現像剤担持体で回収することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の画像形成装置。
  8. 前記現像剤は1成分現像剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記接触部材は、複数設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 複数の前記接触部材は、前記現像剤担持体上の前記現像剤を規制する現像剤規制部材を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 複数の前記接触部材は、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
  12. 複数の前記接触部材は、前記現像剤担持体に当接し、前記現像剤を収容する現像容器からの前記現像剤の漏れを抑制するシート部材を含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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