JP7026438B2 - 既存構造物の管理情報確認システム - Google Patents

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Description

本発明は、既存構造物の管理情報確認システムに関するものであり、詳しくは、既存構造物に関する管理情報を作業員等の利用者が視認可能とすることにより、現場においてリアルタイムに正確な管理情報を確認することが可能な技術に関するものである。
既存構造物は定期的に点検することにより、適切な維持管理を行うことができる。従来、既存構造物を維持管理するために、現地にて実地調査を行って点検結果を調査票に記載し、その後、管理事務所へ戻って点検帳票を作成していた。このような点検帳簿は、点検を重ねる毎に膨大なものとなり、後日、現地にて点検結果を確認する必要が生じた場合であっても、いちいち現地に持参することは難しく、一旦、管理事務所へ戻って点検帳簿の中から必要な情報を探し出していたため、迅速かつ正確な維持管理ができないという問題があった。
このような問題に鑑み、既存構造物の管理情報を電子情報として記憶しておき、後日、データ読取装置を用いて管理情報を参照することができるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載された技術は、建築物等の竣工図書に記載されている詳細情報を後日、現場で容易に確認することが可能な施工情報確認システムに関するものであり、施工対象に関する詳細情報を記憶するための情報記録媒体と、情報記録媒体から詳細情報を読み取るための携行可能な情報読取手段と、読み取った情報を表示するための携行可能な表示手段とを備えている。そして、施工対象の任意の箇所であって、情報読取手段により詳細情報を読取可能な位置に情報記録媒体を取り付ける。情報記録媒体は、区画された複数の情報記憶領域を有しており、各情報記憶領域には、詳細情報を種別毎に分類し、2次元コード化して記録するようになっている。
また、既存構造物の施工管理に関する履歴情報をデータベース化するとともに、構造物にICタグを貼り付け、ICタグの識別情報に基づいてデータベースから必要な履歴情報を取得する方法が提案されている。
特開2010-160531号公報
ところで、トンネル等の既存構造物では、照度が不足しているために、現地に点検帳票を持参して確認することが困難な場合がある。また、管理情報をデータベース化している場合であっても、管理情報は表示装置の表示画面に一覧表示されるだけであり、実際の施工箇所と管理情報との関係を直感的に把握できないことがある。
また、トンネルの内面には覆工が施工されているが、覆工は種々の要因により、ひび割れが生じたり、水漏れが生じたりすることがある。この場合には、ひび割れや水漏れの経時的変化を確認することにより、迅速かつ適切な管理を行うことができるため、このようなシステムの構築が望まれていた。
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、既存構造物の管理を行う際に、利用者に対して必要な管理情報を迅速に提供することにより、正確かつ適切な管理情報に基づいて既存構造物の管理を行うことが可能な管理情報確認システムを提供することを目的とする。
本発明の既存構造物の管理情報確認システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の既存構造物の管理情報確認システムは、既存構造物の管理情報を確認するためのシステムであって、既存構造物の管理情報を記憶する管理情報記憶手段と、管理情報記憶手段に記憶した管理情報を既存構造物における施工位置と関連付くようにして、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末を用いて表示させるための表示制御手段とを備えている。そして、透過型ウェアラブル端末は、同時に複数の利用者がそれぞれ装着するとともに、各透過型ウェアラブル端末では、同時にそれぞれ異なる管理情報を既存構造物における施工位置と関連付けて表示することを特徴とするものである。
なお、利用者とは、既存構造物の管理作業を行う作業員等のことをいうが、管理事務所に駐在する管理者や作業現場において監督を行う監督者等、既存構造物の管理に必要な管理情報を利用する人員のすべてを含んでいる。
また、上述した構成からなる既存構造物の管理情報確認システムにおいて、透過型ウェアラブル端末に表示する管理情報は、当該管理情報を記憶した時間情報及び当該管理情報の表示位置情報を含んでいることが好ましい。
また、上述した構成からなる既存構造物の管理情報確認システムにおいて、透過型ウェアラブル端末に表示する管理情報は、三次元的に表現することが好ましい。
本発明に係る既存構造物の管理情報確認システムでは、同時に複数の利用者がそれぞれ装着した透過型ウェアラブル端末を用いて、施工位置と関連付くようにして既存構造物の管理情報を表示するので、正確かつ適切な管理情報に基づいて、迅速に既存構造物の異常等を発見することができる。また、作業員の勘や経験に頼る必要がないので、熟練した作業員は勿論のこと、経験が少ない作業員であっても、迅速かつ適切な既存構造物の管理を行うことができる。特に、各透過型ウェアラブル端末では、同時にそれぞれ異なる管理情報を既存構造物における施工位置と関連付けて表示するため、確認事項を分担して同時に確認作業を行うことができ、管理者各自の専門性に応じた判断を同時に行うことが可能となる。
本発明の実施形態に係る既存構造物の管理情報確認システムの構成を示すブロック図。 本発明の実施形態における管理情報表示の態様を示す模式図(1)。 本発明の実施形態における管理情報表示の態様を示す模式図(2)。 トンネル内壁面に関連付けて表示する管理情報の一例を示す説明図。
以下、図面を参照して、本発明に係る既存構造物の管理情報確認システムの実施形態を説明する。図1~図4は本発明の実施形態に係る既存構造物の管理情報確認システムを説明するもので、図1は既存構造物の管理情報確認システムの構成を示すブロック図、図2及び図3は管理情報表示の態様を示す模式図、図4は管理情報の一例を示す説明図である。
<既存構造物の管理情報確認システムの概要>
本発明の実施形態に係る既存構造物の管理情報確認システムは、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて、施工位置と関連付くようにして既存構造物の管理情報を表示することにより、リアルタイムに正確な既存構造物の管理情報を確認することができるシステムであって、図1に示すように、既存構造物の管理情報を記憶する管理情報記憶手段10と、管理情報記憶手段10に記憶した管理情報を既存構造物における施工位置と関連付くようにして、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて表示させるための表示制御手段20とを備えている。
なお、図2~図4に示す例は、既存構造物としてトンネルについて説明しているが、本発明の管理情報確認システムを適用する既存構造物はトンネルに限られず、ビル等の建築物、橋脚、カルバート等、どのような構造物であってもよい。
<管理情報記憶手段>
管理情報記憶手段10は、例えば、HDD等の大容量記憶装置からなり、既存構造物の管理を行うための種々の管理情報が記憶されている。記憶された管理情報のデータフォーマットはどのようなものであってもよいが、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて表示する際に映像化する必要がある。
このため、管理情報記憶手段10に記憶される管理情報は、JPEG、GIF、TIFF等の画像フォーマットや、MPEG、AVI等の動画フォーマット等のデータであってもよいし、透過型ウェアラブル端末30を用いて管理情報を表示する際に、これらのフォーマットに変換可能なフォーマットであってもよい。すなわち、管理情報記憶手段10に記憶し、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて表示する管理情報は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。
また、管理情報は、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて表示する情報であるため、既存構造物の施工位置と管理情報の表示位置とを一致させる必要がある。このため、管理情報には、既存構造物の施工位置との関係が記憶されている。また、管理情報の履歴を明らかにするため、当該管理情報を記憶した時間情報を含んでいる必要がある。例えば、トンネル覆工に関する管理情報の場合には、坑口からの距離や天端からの距離、トンネル中心線に対する方向等の位置情報と、当該管理情報の取得時間情報を管理情報に関連づけて記憶しておく。
また、過去の施工において収集した種々の管理情報を記憶しておき、同様の事象が発生した場合に、対処方法の一例として記憶した管理情報の中から該当する管理情報を検索し、表示する管理情報としてもよい。また、上述した各種の管理情報及び過去の施工において収集した種々の管理情報は、各管理情報に対して検索インデックスを付した管理情報データベース11として、管理情報記憶手段10に記憶しておくことが好ましい。なお、管理情報記憶手段10に記憶する管理情報は、上述したものに限られず、既存構造物の管理に必要な管理情報として、これらの管理情報の一部であってもよいし、他の管理情報を付加してもよい。
なお、管理情報記憶手段10は、図3に示すように、パーソナルコンピュータ等に内蔵(付帯)していてもよいが、図4に示すように、データ通信回線40を介して表示制御手段20に接続してもよい。例えば、管理施設に設置したサーバー(図示せず)を管理情報記憶手段10として機能させるとともに、サーバーと表示制御手段20とをデータ通信回線40を介して接続することにより、管理情報を送受信してもよい。この場合、サーバーはクラウドシステム上に構築した仮想サーバーであってもよい。また、データ通信回線40は、データの送受信を行うことができればどのような回線であってもよく、インターネット、公衆電話回線、専用データ通信回線、無線LAN回線、有線LAN回線等を、単独であるいは組み合わせて用いることができる。このように、管理情報記憶手段10をサーバーの機能とすることにより、管理情報を一元管理することができるとともに、遠隔地において多様な管理情報を利用することができる。
<透過型ウェアラブル端末>
透過型ウェアラブル端末30は、例えば、ゴーグル及びゴーグルのレンズ面に映像を表示させるための表示装置からなり、種々の形態がある。例えば、ゴーグル本体の側面あるいは両側面にプロジェクタを配設し、このプロジェクタからレンズ面に映像を投写し、レンズ内に埋め込まれたホログラムによって光を反射させることにより、利用者が目視している物体に重ね合わせて情報を表示するものがある。この透過型ウェアラブル端末30は、情報の表示形式を限定するものではなく、既存構造物の管理情報を施工位置と関連付けて表示することができれば、どのような態様であってもよい。
また、既存構造物の管理情報を施工位置と関連付けて表示するためには、透過型ウェアラブル端末30の現在位置やレンズ面の向き等に関する位置情報を取得する必要がある。位置情報の取得には、地磁気センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、GNSS、位置情報を発信するビーコン、撮影したマーカーの撮像データを用いた位置解析等のシステムを、単独または組み合わせて用いることができる。
<表示制御手段>
表示制御手段20は、透過型ウェアラブル端末30における管理情報の表示を制御するための電子機器及びソフトウェアからなる。なお、ソフトウェアは、これと同等の機能を有する論理回路であってもよい。また、管理情報を三次元的に表現するには、拡張現実(AR)技術、複合現実(MR)技術、仮想現実(VR)技術を利用する。拡張現実(AR)技術、複合現実(MR)技術、仮想現実(VR)技術を利用すると、利用者は、ゴーグルのレンズ面を通して実際のトンネル内壁面を目視しながら、レンズ面に表示された施工管理に必要な管理情報を重ね合わせて認識することができる。
<既存構造物の管理方法>
本実施形態では、上述した管理情報確認システムにより、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて、既存構造物における施工位置と関連付くようにして管理情報を表示することにより、既存構造物の管理を行う。すなわち、HDD等からなる管理情報記憶手段10により、既存構造物の管理に必要な管理情報を記憶しておき、表示制御手段20の制御により、管理情報記憶手段10に記憶した管理情報を利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30に表示する。これにより、既存構造物の管理に必要な管理情報をリアルタイムに提示することができる。
<透過型ウェアラブル端末を用いて表示する管理情報>
既存構造物の管理に必要な管理情報(画像)は、例えば、図4に示すように、過去の点検時における覆工のひび割れの位置や幅である。また、本実施形態をトンネルの管理に適用した場合には、施工時の岩盤写真や地質区分、漏水の発生箇所、裏面排水の設置位置等の管理情報を管理情報記憶手段10に記憶しておき、これらの管理情報を利用者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて表示してもよい。
なお、管理情報は、管理を行う既存構造物の種類等にあわせて、どのような管理情報を記憶しておいてもよく、必要に応じて、記憶した管理情報の中から適宜な管理情報を選択して表示することができる。
<他の実施形態>
上述した実施形態では、トンネルの施工管理を行う際に、作業者が装着した透過型ウェアラブル端末30に種々の管理情報を表示しているが、トンネル内壁面をウェブカメラ等により撮影し、管理事務所等に設置した表示装置の表示画面に撮影した画像を表示するとともに、管理者が透過型ウェアラブル端末30を装着して、実際のトンネル内壁面と関連付けた管理情報を目視することにより、現場作業の監督管理を行うことができる。
一般的に、管理事務所では、管理情報を表示装置の表示画面に表示することにより、管理者が作業現場に出向くことなく、現場の管理情報を確認している。また、管理事務所と作業者との間では、無線通信等により情報の伝達(意思の疎通)を図っている。したがって、管理者が透過型ウェアラブル端末30を装着することにより、実際の現場で管理作業を行っている作業員と管理情報を共有しながら、適切な指示を行うことができるので、作業の適切化を図ることができる。特に、作業に未熟な作業者であっても、リアルタイムで熟練者の指示を受けることができるので、より一層適切な管理を行うことができる。
なお、表示装置の表示画面に現場の状況をリアルタイムに表示するとともに、施工管理に必要な管理情報をトンネル内壁面と関連付けて表示することもできる。この場合には、表示装置の表示画面を見るすべての者が、同時に管理情報を得ることができるという利点がある反面、同時に同一の管理情報のみしか得ることができない。しかし、透過型ウェアラブル端末30を利用して管理情報を表示する場合には、複数の者が、それぞれ異なる管理情報をトンネル内壁面と関連付けて認識することができる。すなわち、確認事項を分担して同時に確認作業を行うことができるので、管理者各自の専門性に応じた判断を同時に行うことが可能となる。
<従来技術と比較した有利な効果>
本発明の既存構造物の管理情報確認システムによれば、例えば、トンネル等の点検時に、施工時のデータや過去の点検結果を作業者が装着した透過型ウェアラブル端末30を用いて表示することにより、異常の進行状況を確認しながら点検を実施することが可能となる。例えば、過去の点検時のひび割れの位置や幅等に関する情報を表示することで、前回の点検時からひび割れが進展したか、幅が広くなってきたか等を明確に理解できるようになる。また、施工時の岩盤写真や地質区分、漏水の発生箇所、裏面排水の設置位置などを表示することで、発生した異常の原因を、現地でリアルタイムに作業員(技術者)が判断できるようになる。
このように、管理の対象となる既存構造物の管理情報を、現地でリアルタイムかつ視覚的に閲覧できるようにしたので、従来のように点検結果を調査票に記入するだけの点検作業ではなく、様々な管理情報に基づいて技術的判断を伴う作業に高度化させることが可能となる。さらに、従来の技術では、管理事務所等においてデータを確認した後に、現地で再調査を実施する必要があったが、本発明では、再調査の頻度を低減させることが可能である。
10 管理情報記憶手段
11 管理情報データベース
20 表示制御手段
30 透過型ウェアラブル端末
40 データ通信回線

Claims (3)

  1. 既存構造物の管理情報を確認するためのシステムであって、
    既存構造物の管理情報を記憶する管理情報記憶手段と、
    前記管理情報記憶手段に記憶した管理情報を前記既存構造物における施工位置と関連付くようにして、利用者が装着した透過型ウェアラブル端末を用いて表示させるための表示制御手段と、
    を備え、
    前記透過型ウェアラブル端末は、同時に複数の利用者がそれぞれ装着するとともに、各透過型ウェアラブル端末では、同時にそれぞれ異なる管理情報を前記既存構造物における施工位置と関連付けて表示する、ことを特徴とする既存構造物の管理情報確認システム。
  2. 前記透過型ウェアラブル端末に表示する管理情報は、当該管理情報を記憶した時間情報及び当該管理情報の表示位置情報を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の既存構造物の管理情報確認システム。
  3. 前記透過型ウェアラブル端末に表示する管理情報は、三次元的に表現する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の既存構造物の管理情報確認システム。
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