JP7026414B1 - 金属光沢を有する紙 - Google Patents
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ところが、このような紙を廃棄する際に、PETフィルムは生分解性ではなく、かつ焼却時に発生する燃焼カロリーが紙よりも高いので、焼却炉への負担も大きかった。
そのため、外観はアルミニウム蒸着PETフィルムを使用したときと同じであり、同時に廃棄時の環境負荷や焼却炉への負荷が低い材料を得ることが望まれていた。
また、特許文献2に記載のように、原紙の片面にクレーコート層とアンカーコート層を順に設け、アンカーコート層上に金属を蒸着して金属蒸着層を形成し、さらにトップコート層を順次設けて、ラベル用金属蒸着紙を得ることは公知である。
1.アルミニウム蒸着層を有するセロファンフィルムに60~90N/mの張力をかけながら、該アルミニウム蒸着層側に水系接着剤を固形分で3.0~5.0g/m2となるように塗布し基紙とを密着させ、更にフィルム側にプライマー層を設けた後90℃以下で接着剤層及びプライマー層を乾燥形成するセロファン蒸着貼合紙の製造方法。
2.基紙が米坪250~400g/m2、厚み250μm~500μmである、ノーコート紙又はコート紙である1に記載のセロファン蒸着貼合紙の製造方法。
3.基紙、固形分で3.0~5.0g/m2の水系接着剤層、アルミニウム蒸着セロファンフィルム、プライマー層を順に積層してなるセロファン蒸着貼合紙。
(基紙)
本発明に使用できる基紙としては、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは平滑な原紙が好ましい。
基紙を構成するパルプとしては木材や非木材(ケナフ・バガス・バンブー)の化学パルプを主な原料としたものが好ましい。
中でも、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ等の天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いる。この基紙には一般に製紙で用いられている内添サイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合されてもよい。
さらに、表面サイズ剤、表面紙力増強剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が片面又は両面に塗布されていてもよい。これらの剤が塗布された紙の中でもコート紙やキャストコート紙を使用することが好ましい。
また、基紙の厚みに関して特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等して表面平滑性が良好なものが好ましい。
中でも、米坪250~400g/m2、厚み250μm~500μmであることが好ましい。このような基紙を採用することにより、用途にもよるが、化粧箱用にする場合には、箱に十分な剛度と厚みを持たせることができる。
このような基紙としては、ノーコート紙及びコート紙のいずれも好ましい。コート紙の中でもキャストコート紙は平滑で美粧性に優れた効果が得られるので好ましい。
水系接着剤としては、水溶性又は水分散性接着剤を使用できる。
そのような水系接着剤として、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン等の天然高分子系水溶性接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリビニルアクリルアミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、レゾール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂等を使用した合成高分子系水溶性接着剤が挙げられる。
中でも、水溶性アクリル樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂接着剤が好ましい。
また、水分散性接着剤としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、アクリル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂、スチレンブタジエン共重合体樹脂、スチレンブタジエンアクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリルブタジエン共重合体樹脂、スチレンイソプレン共重合体樹脂等のジエン系共重合体樹脂、ポリウレタン、シリル化ウレタン等のウレタン樹脂、アクリル-シリコン複合体、アクリル-シリコン-ウレタン複合体、アイオノマー型ウレタン系樹脂ラテックス、コアシェル構造を有する(メタ)アクリルアミド共重合体等を使用したラテックス系接着剤、エマルジョン型接着剤を挙げることができる。
これらの中で、アクリル酢酸ビニル共重合樹脂のエマルジョン接着剤やエチレン酢酸ビニル共重合樹脂のエマルジョン接着剤が優れた接着性を発揮する点で好ましい。
本発明における水系接着剤の塗布方法としては、公知の任意の手段を採用できる。そのため、ウェットラミネーターやグラビアコーター等の、接着剤を塗布する際に使用できる通常の装置を使用して、通常の条件で塗布できる。
その際の水系接着剤の塗布量は固形分で3.0~5.0g/m2が好ましい。3.0g/m2未満であると、十分な接着力を発揮できず、5.0g/m2を超えると、金属蒸着層を有するセロファンを貼り合わせる際に、過剰な水分がセロファンに吸湿される。そのため、加熱条件下でセロファンに吸湿シワが発生しやすい。
なお、この工程にて使用されるアルミニウム蒸着層を有するセロファンは、セロファンフィルムの一面にアルミニウムが蒸着されたものであり、公知の手段から任意に選択して得ることができる。
セロファンフィルムは、再生可能な植物バイオマスである木材パルプを原料として、さらにアルカリと二硫化炭素でビスコース化し製膜したものである。セロファンは生分解性を有し、かつ焼却しても有害ガスが発生しない環境に優しい材料である。
アルミニウム蒸着層は、公知の条件および手段により蒸着されて形成されたものであり、その厚さは0.02~0.10μmである。このため、使用するアルミニウムの量を大幅に削減でき、かつ本発明の紙が海洋投棄や土中投棄された場合でも、アルミニウム蒸着層は酸化されやすく酸化アルミとなるので金属感が無くなり、原形を留めない。
また、このアルミニウム蒸着層は、金属箔(厚さ7.0~10μm程度)よりも格段に薄いので、金属光沢を十分に有しつつ、シワ等を発生させずに円滑に折り曲げ加工できる。
アルミニウム蒸着層を有するセロファンの該アルミニウム蒸着層表面及び/又は基紙表面に水系接着剤を塗布する。その後、ラミネーターを使用して、基紙表面とアルミニウム蒸着層を有するセロファンの該アルミニウム蒸着層側を、基紙とセロファンのそれぞれに張力をかけながら、水系接着剤層を介して圧着し、加熱する。このときにセロファンにかかる張力は60~90N/mであり、なかでも65N/mが好ましく、80N/m以下が好ましい。60N/m未満のときにはセロファンにシワが入りやすくなり、90N/mを超えるとセロファンが切れやすくなる。
本発明におけるプライマー層は、セロファン表面に形成され、セロファン蒸着貼合紙に印刷インキにより印刷する際に、該インキを表面に保持することができる層である。プライマー層を形成する樹脂は水溶性又は水分散性でありプライマー組成物は水性である。
このようなプライマー層としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂等を用いることができる。中でも水性ポリエステル樹脂が好ましく、例えば水性ウレタンアクリル樹脂はセロファンとの密着性に若干劣っていた。
プライマー層の厚さは0.5~3.0μmが好ましい。この範囲の厚さであると、各種の手段により印刷をしても、印刷インキを確実に密着したり担持させたりすることができ、印刷が意図する美粧性を発揮できる。また、0.5μm未満で平滑表面のプライマー層を形成することは困難であり、3.0μmを超えるプライマー層を形成しても、3.0μmの厚さ以上の効果を発揮できない。
なお、プライマー層中に、帯電防止剤、蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料等の1種以上を添加してもよい。
基紙として、巾800mm、坪量315g/m2のキャストコート紙(五條製紙/グロリアコート)を使用しウェットラミネーターで、セロファンフィルム(フタムラ化学/23μm)にアルミニウムを真空蒸着したフィルムに65N/mの張力をかけた状態で、アクリル酢酸ビニル共重合樹脂(GP102、濃度48%、粘度4500mPa・s、サイデン化学製)を接着剤として、塗布量が固形分3.0g/m2となるように塗布しながら、セロファンフィルムのアルミニウム蒸着面とキャストコート面とを貼合した。更にセロファンフィルム面の上に、印刷適性を向上させる目的で、プライマー剤(高松油脂/ペスレジン)を固形分0.3g/m2となるように、グラビアコーターにより塗布し、70℃で乾燥して、美麗なアルミ蒸着セロファンフィルム貼合紙を得た。
この工程のライン速度は、100m/分であった。
基紙として、巾800mm、坪量310g/m2のコート紙(日本製紙/JETエース)を使用しセロファンフィルムにアルミニウムを真空蒸着した実施例1と同じフィルムに80N/mの張力をかけた状態で、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(DB314、濃度53%、粘度500mPa・s、サイデン化学製)を接着剤として、塗布量が固形分5g/m2となるように塗布しながら、アルミニウム蒸着面とコート面とを貼合した。更に実施例1と同様にセロファンフィルム面の上に、印刷適正を向上させる目的で、実施例1と同様条件にてプライマー剤を塗布し、70℃で乾燥して、美麗なアルミ蒸着セロファンフィルム貼合紙を得た。
この工程のライン速度は100m/分であった。
基紙として、巾800mm、坪量315g/m2のキャストコート紙(五條製紙/グロリアコート)を使用しウェットラミネーターで、アルミニウムを真空蒸着したセロファンフィルムに65N/mの張力をかけた状態で、実施例1のアクリル酢酸ビニル共重合樹脂を接着剤として、塗布量が固形分6.0g/m2となるように塗布しながら、セロファンフィルムのアルミニウム蒸着面とキャストコート面とを貼合した。更にセロファンフィルム面の上に、印刷適性を向上させる目的で、実施例1と同様にプライマー剤をグラビアコーターにより塗布し、100℃で乾燥した。しかし、水系接着剤の塗布量が多く、かつ加熱温度が高温であった結果、ドライヤー内でしわが入り、且つフィルムの耐熱性が弱かったためか表面が虹化した。その工程のライン速度は100m/分であった。
基紙として、巾800mm、坪量315g/m2のキャストコート紙(五條製紙/グロリアコート)を使用しウェットラミネーターで、アルミニウムを真空蒸着したセロファンフィルムに100N/mの張力をかけた状態で、実施例1のアクリル酢酸ビニル共重合樹脂を接着剤として、塗布量が固形分3.0g/m2となるように塗布しながら、セロファンフィルムのアルミニウム蒸着面とキャストコート面とを貼合しようとした。このとき、セロファンフィルムの張力が強すぎたので、貼合工程でセロファンフィルムが裂けてしまい貼合出来なかった。
基紙として、巾800mm、坪量315g/m2のキャストコート紙(五條製紙/グロリアコート)を使用しウェットラミネーターで、アルミニウムを真空蒸着したセロファンフィルムに50N/mの張力をかけた状態で、実施例1のアクリル酢酸ビニル共重合樹脂を接着剤として、塗布量が固形分4.0g/m2となるように塗布しながら、セロファンフィルムのアルミニウム蒸着面とキャストコート面とを貼合した。更にセロファンフィルム面の上に、印刷適性を向上させる目的で、実施例1と同様にプライマー剤をグラビアコーターにより塗布し、70℃で乾燥したが、張力が弱かったので、貼合工程でセロファンフィルムにしわが入りきれいな面感が出来なかった。
この工程のライン速度は100m/分であった。
基紙として、巾800mm、坪量310g/m2のコート紙(日本製紙/JETエース)を使用しウェットラミネーターで、アルミニウムを真空蒸着したセロファンフィルムに80N/mの張力をかけた状態で、実施例1のアクリル酢酸ビニル共重合樹脂を接着剤として、塗布量が固形分2.0g/m2となるように塗布しながら、セロファンフィルムのアルミニウム蒸着面とキャストコート面とを貼合した。更にセロファンフィルム面の上に、印刷適性を向上させる目的で、実施例1と同様にプライマー剤をグラビアコーターにより塗布し、70℃で乾燥したが、水系接着剤の塗布量が少なかったため、紙表面のへこんだ部分で、接着が不十分な箇所が発生し美麗な面感とならなかった。
この工程のライン速度は100m/分であった。
Claims (2)
- アルミニウム蒸着層を有するセロファンフィルムに60~90N/mの張力をかけながら、該アルミニウム蒸着層側に水系接着剤を固形分で3.0~5.0g/m2となるように塗布し基紙とを密着させ、更にフィルム側にプライマー層を設けた後90℃以下で接着剤層及びプライマー層を乾燥形成するセロファン蒸着貼合紙の製造方法。
- 基紙が米坪250~400g/m2、厚み250μm~500μmである、ノーコート紙又はコート紙である請求項1に記載のセロファン蒸着貼合紙の製造方法。
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