JP7026296B2 - マグネットホルダーおよびリムーバー - Google Patents
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Description
ネオジム磁石はフェライト系磁石に比べて磁気吸着力が極めて強く、十分な磁気吸着力を得るのに必要な磁石は、本来小型化が可能である。但し、磁石のみで構成した場合、小さ過ぎて取り外しが難しくなる。
吸着面積を小さくして厚さの大きな磁石すなわち長軸方向に着磁した棒状の磁石を用いればそのような問題は解決できるが、磁石体積が増加する割に磁気吸着力は大きくならず、コストパフォーマンスが低下し現実的な解決方法とはなり得なかった。
そのため、実際に製造販売されているネオジム磁石を用いたマグネットホルダーのほとんど全てが、取り外しが容易となるようにプラスチック等の本体部に組み込まれている。それらの一例を図7に示す(例えば、特許文献1参照)。
特許文献2に開示された方法では、マグネットホルターは希土類磁石のみで構成し、ディスク形状あるいはリング形状の面に垂直方向に磁場配向させ、かつ面方向に片側半分ずつ着磁方向を変えた希土類磁石を用いている。あるいは直径方向に磁場配向着磁した希土類磁石を用いている。
そして、リムーバーとして、マグネットホルダーを構成する希土類磁石と同等以上の磁気吸着力でかつ同じ磁場配向着磁形式の希土類磁石を、グリップ部の先端に回転自在に取り付けている。そのように構成することで、リムーバーをマグネットホルダーに近づけると、リムーバー先端の磁石は、適宜位置を回転調整し、マグネットホルダーと磁気吸着しあうため、簡単に被掲示体からマグネットホルダーを外すことができる。
マグネットホルダーとしては、極めてシンプルで、リムーバーも単に柱状の本体の両側に、極性を変えた磁石を貼りつけただけの構造で比較的シンプルといった利点はある。
ただし、リムーバー先端に取り付ける磁石は回転時自在に取り付ける必要があり、構造が複雑となり、その製作コストも高くなるといった問題点が存在する。
また、厚さ方向に磁場配向させた磁石を、片側半分ずつ、極性を変えて着磁するためには、専用の着磁コイルが必要となり、また同時に着磁できる磁石の数が極端に少なくなり、製作コストは高くなる。
請求項1に記載のマグネットホルダーは、マグネットタイプのホワイトボードや掲示板、あるいはスチール製の冷蔵庫の扉等、家電機器の表面に、紙片やメモを固定保持するためのマグネットホルダーであって、
実質的に直方体形状のネオジム磁石のみから構成され、3辺をa、b、c、ならびにそれぞれの辺の寸法をLa、Lb、Lcとして、
La≧3Lc、Lb≧3Lc、
であり、面積が最も広い長方形のab面を磁気吸着面として、
磁石の着磁方向が辺aに平行な方向であり、
Laは6mm以上であり、さらに、
0.5≦La/Lb≦2、
を満足するマグネットホルダーとした。
直方体形状のネオジム磁石の磁気吸着力を高めるためには、本来、面積が広いab面を吸着面とする場合、それに垂直な方向、すなわち厚さに相当する辺cに平行な方向に磁場配向着磁した方が有利となる。本発明では、後述するリムーバーを用いて取り外しを容易にすることを目的として、それとは異なる辺aに平行な方向を磁場配向着磁方向としてある。そして、各辺の長さを、
La≧3Lc、Lb≧3Lc、
Laは6mm以上であり、さらに、
0.5≦La/Lb≦2、
としている。
さらに、未使用時に磁極面のbc面を磁気吸着面として、辺aに平行な方向が被掲示体面に垂直になるように置いた場合(以後、そのような状態を“縦置状態”と呼ぶ)、つかみ易く取扱い易くなるからである。
なお、本発明でab面とは直方体形状の辺aと辺bで構成される長方形の面を意味し、bc面等も同様である。
前記La/Lbの値を、
0.5≦La/Lb≦0.9 あるいは、1.1≦La/Lb≦2.0
を満足するマグネットホルダーとすることが好ましい。
0.5≦La/Lb≦0.9とするか、あるいは1.1≦La/Lb≦2.0
と限定したマグネットホルダーである。
横置状態で、LaとLbの寸法差を一見しただけで識別し易く、着磁方向を見分けることができるようになる。それにより、後述するリムーバーによる取り外し作業を容易にしたマグネットホルダーである。
このような前記のマグネットホルダーの中でLcが1mm以上かつ4mm以下とすることが好ましい。
厚さに相当するLcが1mm未満では、マグネットホルダーとしての磁気吸着力が弱くなる。同時に、磁石の製作時の切削歩留まりも低くなり、製作費は割高となる。そのためマグネットホルダーとしてのコストパフォーマンスが低下する。またLcが1mm未満では割れやすくなる。そのため、Lcは1mm以上としてある。一方、Lcが4mmを越えると、磁気吸着力が必要以上に強くなり、取扱いが難しくなるため4mm以下のマグネットホルダーとすることが好ましい。
さらにこのようなマグネットホルダーの中で、Laが20mm以下とするマグネットホルダーが好ましい。
Laが20mmを越えると、磁気吸着力が強すぎ、取扱いが難しくなるため20mm以下としたマグネットホルダーが好ましい。
このようなマグネットホルダーの中で、少なくとも片側のab面に着磁方向を示す表示をしたことを特徴とするマグネットホルダーである。
特に、La/Lbが1に近づくと、着磁方向に平行な辺aとそれに直交する辺bの区別がつきにくくなるため、両者を簡単に識別できるようにab面に表示したマグネットホルダーである。
マグネットホルダーはリムーバーからスライドさせることにより、リムーバーから容易に取り外すことが可能となる。
特に、マグネットホルダー用のネオジム磁石とリムーバー用のネオジム磁石を同じ寸法に統一することで、量産し易くし、製作コストを低減することができる。
このようにリムーバーを構成することで、リムーバーをマグネットホルダーに着磁方向を垂直となるように保って近づけた時の、マグネットホルダーのab面内の回転力を増して、互いに磁気吸着し易くすることができる。このように取り外し易さを改善したリムーバーである。
このようにリムーバーを構成することで、リムーバーに固定するネオジム磁石のab面すなわち磁気吸着面を広くすることができる。それにより、マグネットホルダーに着磁方向が互いに垂直となるように近づけるときの、寸法的な余裕が生まれ、近づけやすくなる。さらに、同時に回転力を高めてマグネットホルダーの取り外し易さを改善することができる。
前述のリムーバーの中でグリップ部本体に磁石の着磁方向、すなわち辺aに平行な方向が分かるように表示したマグネットホルダーのリムーバーである。
リムーバーのグリップ本体部材として透明性の低いプラスチックを用いたり、あるいは表面にシールを貼ったりした場合でも、裏側に固定してある磁石の辺aに平行な方向すなわち着磁方向を知ることができる。それにより、リムーバーに取り付けた磁石とマグネットホルダーの着磁方向が垂直となるように近づけることができ、取り外しが容易となる。
本発明のマグネットホルダーとして用いている小型の直方体形状のネオジム磁石は、磁気特性を向上するのに適した横磁場成型法を用いて製造した大きなブロック状の焼結体を素材として、その後、切削等の機械加工により製作される。そのため、円柱ディスク状の磁石等より、量産性に優れ、重量当たりの価格が安い、特性に優れた磁石の入手が可能である。
以下、図面を使用して本発明を詳細に説明する。
図1に本発明のマグネットホルダーを鉛直状態で置かれた被掲示体に直接吸着させた状態を斜視図で示す。図1で符号10および11はネオジム磁石製のマグネットホルダーであって、矢印は磁石の着磁方向を示している。磁石はいずれも直方体で、直方体の辺をa、b、c、それぞれの辺の長さをLa、Lb、Lcとして、La≧3Lc、Lb≧3Lcであり、着磁方向は辺aに平行な方向としてある。図1(1)に示すマグネットホルダー10は、La>Lbの例、図1(2)に示すマグネットホルダー11は反対にLa<Lbの例を示す。
なお、本発明のマグネットホルダーにおいては、用紙等の掲示物を保持する場合は、マグネットホルダーのab面を掲示物を介して被掲示体に吸着させて使用する。
ネオジム磁石の3辺をd、e、fとして、それぞれの辺の長さはLd>Le>Lfであり、いずれも、面積が最も大きな、de面を磁気吸着させてある。
図2(1)に示す辺dに平行に着磁した磁石あるいは図2(2)に示す辺eに平行な方向に着磁した磁石を用いたマグネットホルダーは、図2(3)に示す、最も寸法が小さな厚さに相当する辺fに平行な方向を着磁方向として製作した磁石のマグネットホルダーより磁気吸着力は弱くなる。すなわち、もっとも広いde面を磁極面とした方が磁気吸着力は強くなる。
しかしながら、本発明では、実質的に強力なネオジム磁石のみで構成され、小型で強力なマグネットホルダーを実現し、さらに、取外し易さに重点を置いて、(1)あるいは(2)の着磁状態の磁石と用いている。すなわち、(1)の例では辺d、辺e、辺fが、そして(2)の例では辺e、辺d、辺fが、それぞれ辺a、辺b、辺cに相当する磁石を用いて、磁気吸着面をab面としたマグネットホルダーである。
一方、(2)のように、被掲示体に吸着しているマグネットホルダー13のN極とS極が(1)とは反対方向の場合、異なる磁極同志の吸引力、同極同士の反発力により、マグネットホルダー13は(1)とは反対に時計の針とは反対方向に回転し、重なり合う。このように、マグネットホルダーが被掲示体に吸着しているときに、どちらがN極かS極かには関係なく、互いの着磁方向が垂直となるように近づけさえすれば、マグネットホルダーを回転させて互いに磁気吸着させ重ね合わせることができる。
リムーバーの磁石にマグネットホルダーを磁気吸着させた状態では、被掲示体への吸着力は弱まり、被掲示体から簡単に引き離すことができる。引き離し後は、マグネットホルダーを面方向に滑らすことにより、簡単にリムーバーから外すことができる。
後者の(2)の状態では、図に示すように、NSの方向が互いに反対方向に吸着し合った2個の磁石15と25が互いに磁束分布の閉回路を形成するようになり、(1)に比べて被掲示体を通る磁束が減って、磁気吸着力が弱まると考えることができる。
しかしながら、そのような磁石をマグネットホルダーとして採用しde面を吸着面として被掲示体に吸着させた場合、掴みにくく、取り外しは不可能となる。
その場合も、同じ形状寸法着磁方向の磁石をグリップ部本体に固定したリムーバーを用いれば、吸着させて、取り外すことはできないことはない。しかしながら、そのような構造のリムーバーをマグネットホルダーに近づけると互いに強力な磁気吸着力が働き、衝突しあうようになる。さらに、被掲示体への吸着力が強まり、外しにくくなる。このように、極めて使い勝手は悪くなる。
最初に、本発明のマグネットホルダーではネオジム磁石の3辺をa、b、c、ならびにそれぞれの辺の寸法をLa、Lb、Lcとしたときに、La≧3Lc、Lb≧3Lc、であり、Laは6mm以上であり、さらに、0.5≦La/Lb≦2とした理由について説明する。
被掲示体に掲示物を介してあるいは介さずに横置状態で磁気吸着させたマグネットホルダーにリムーバーの磁石と着磁方向が垂直となるように近づける際に、マグネットホルダーを回転させ、互いに磁気吸着させるためには、中心はほぼ一致させる必要がある。そして、Lcに対してLa、Lbが小さくなると、長方形のab面の面積が小さくなり、中心を合わせにくくなる。
また、La<3Lc、Lb<3Lcでは、マグネットホルダーの被掲示体への磁気吸着力に比べて、リムーバーを近づけた際の回転力が弱くなり、使い勝手が悪くなる。そのため、La≧3Lc、Lb≧3Lcとする。
そして、La≧3Lc、かつLaを6mm以上とすることにより、縦置状態でつかみ易く、リムーバーを用いなくても取り外しは可能となり使い勝手が向上する。
さらに望ましくはLa/Lbは0.6~1.8の範囲に限定することにより、回転し易くして、マグネットホルダーとリムーバーの磁石同志を磁気吸着させて、取外すことが容易となる。
ただし、そのためには、マグネットホルダーとリムーバーの着磁方向すなわちどちらがN極かS極かまで把握して、互いに反対となるようにして重ね合わせる必要が生じる。向きが異なる場合、リムーバーを持ち替えて、180度回転させる必要が生じる。
その場合の、互いの磁気吸着力は強く、しかも近づくほど強くなる。そのため、使い勝手は悪い。
そのようにLa/Lbの寸法比を規定することで、横置状態で、長方形ab面の長辺と短辺の差の見分けが容易となる。そのため、マグネットホルダーには着磁方向を表示しなくても、リムーバーに固定した磁石に互いに垂直に近づけることが可能となり、それにより、マグネットホルダーを回転させ、リムーバーに磁気吸着させて取外すことが可能となるからである。
その際、着磁方向については気にする必要がない。すなわち、マグネットホルダーのab面の長方形がリムーバーに取り付けたネオジム磁石のab面の長方形と互いに垂直を保つように近づけさえすれば着磁方向も互いに垂直となるからである。
さらに、望ましくは、0.6≦La/Lb≦0.85 あるいは、1.15≦La/Lb≦1.8とすることにより、長辺と短辺の見分けがさらに容易となり、かつリムーバーを用いた時に、マグネットホルダーを回転し易くして、使い勝手を一層向上させることができる。
両側のab面に表示するのがさらに望ましい。
既に述べたように、直方体形状のネオジム焼結磁石は、大き目の焼結体ブロックから切削加工して切り分けて製作される。切削には、マルチワイヤーソーや内周刃を用いた切断機が用いられ、その際の切り代は0.2mm~0.5mm程度である。そのため、特に厚さが1mm以下となると、切削時の歩留まりが低下し、さらに、割れや、チッピング不良の発生による、不良品の発生比率も増える傾向となる。そのため、体積当たり(重さ当たり)の価格はかなり高くなる。
また、マグネットホルダーとして用いた場合も、1mm以下となると磁気吸着力が弱くなり、コストパフォーマンスが低下する。さらに、縦置状態で用いたり、保管したりしようとする場合にも倒れやすくなり、使い勝手が悪くなる。そのため、Lcは1mm以上とする。
一方、Lcが4mmを越えると、強くなりすぎ、不用意に扱うと、指を挟んだりして、使い勝手が悪くなるため、4mm以下とした。また同じ理由から、Laは20mm以下とする。
ポスター等の厚めで広目の用紙等の掲示物を被掲示体に固定する場合、複数個のマグネットホルダーを用いれば問題なく、固定保持可能となり、その方が使い勝手が良い。
本発明のリムーバーは、マグネットホルダーの磁石と寸法La、Lb、Laが同じ磁石を、プラスチック等の非磁性材料よりなるグリップ部本体にab面を露出面として、固定することにより、製作することができる。
マグネットホルダー用のネオジム磁石とリムーバー用のネオジム磁石を同じ寸法に統一することで、量産し易くし、製作コストを低減することができる。
マグネットホルダーはリムーバーからスライドさせることにより、リムーバーから容易に取り外すことが可能となる。
直方体形状の磁石の厚さに相当するLcを長目にすることで、対象とするマグネットホルダーに着磁方向が垂直となるように近づけたときに、マグネットホルダーのab面内の回転力を強めることができ、回転させやすくなり、取り外しを容易にすることができ望ましい。
La、Lbともに1.5倍以上にすると、マグネットホルダーとの寸法差が大きくなりすぎ、互いに磁気吸着させた際に、中心がずれ、片寄る傾向が増し、使い勝手は悪くなる。
リムーバーの本体部材として透明性の低いプラスチックを用いたり、あるいは表面にシールを貼ったりした場合でも、裏側に固定してある磁石の辺aに平行な方向すなわち着磁方向を知ることができる。それにより、リムーバーに取り付けた磁石とマグネットホルダーの着磁方向が垂直となるように近づけ易くなり、取り外しが容易となる。
表示はグリップ部本体に直接描いても良い。あるいは、着磁方向を表示したシールを貼ることもできる。あるいは、グリップ部本体の形状を工夫して、磁石のab面に平行な面で90度回転させた場合に同じ形状にならないようにすることで、すなわち90度非回転対称形状とすることにより区別する方法も含まれる。
複数のマグネットホルダーを退避させる場合は、互いの距離を適度に空ければ良い。そのようにすることにより、再度、マグネットホルダーとして使用する際に、直ぐに再利用することが可能となる。
なお、マグネットホルダーを利用しない場合は、マグネットホルダーの互いのN極S極が反対方向になるようにab面が重なるようにして複数個をまとめておくことも可能である。コンパクトに保管することが可能となる。その状態でも、被掲示体に吸着させた状態で保管可能であり、しまい忘れたりして探す手間がかかることはない。
さらに、リムーバーも複数個配置して、マグネットホルダーとしても併用することもできる。そのような使用方法により、手の届く範囲で、探して取り外し、本来の機能であるリムーバーとして利用することが可能である。
(実施例1~実施例4)
表1にLa、Lbがともに10mmで、Lcを1.0mm、1.5mm、2mm、3mmとしたいずれも(BH)maxが35MGOeのネオジム磁石を用いて作製したマグネットホルダーを用いて、冷蔵庫の扉を被掲示体として、A4用紙の保持試験を行った。なお、試験に用いたA4用紙の1枚当たりの重さは4.2gで、厚さは、0.09mmである。
このように、小型で薄いマグネットホルダーであっても、十分な保持能力を有している。
縦置状態では、横置状態に比べてやや保持枚数は減る傾向があるがそれでも十分な保持枚数となる。しかも、縦置状態では把持し易く、いずれも取外し易さには問題がなかった。特に、実施例1~3については、La/Lcが5以上で3より十分大きく、取り外し易さは極めて良好であった。
参考例として、表1には(BH)maxが同じ35MOeで、それぞれ実施例1~実施例4と同じ形状、寸法で、着磁方向のみを最も短い辺すなわち厚さ方向に変えた磁石について、実施例1~実施例4の場合と同様に、A4用紙の保持試験を行った結果も示してある。
ただし、磁気吸着面はab面でなく、磁極面のbc面として試験した。
表1から、同じ形状寸法の磁石の比較では(すなわち実施例1と参考例1の比較、以下同様)、着磁方向を最も小さな寸法の、すなわち厚さ方向に着磁した磁石を用いた方が、保持枚数が多くなることが分かる。
ただし、2枚重ねた場合、さらに保持枚数は大幅に増加し、すなわち、磁気吸着力が増加し、実施例1と同様にして、リムーバーを作製して用いたとしても、外しにくくなることが分かる。
表2に示す、種々の寸法の直方体形状のネオジム磁石を用いたマグネットホルダーを製作した。併せて、マグネットホルダー毎に、それぞれ同じ磁石をab面を露出面として、プラスチック製グリップ部本体に固定することによりリムーバーを作製した。
表2には、マグネットホルダーに用いた直方体形状の磁石の代表寸法La、Lb、Lcに加えて、寸法比のLa/Lc、Lb/Lc、Lb/Laも示した。
また、冷蔵庫の扉に磁気吸着させたそれぞれのマグネットホルダーに、リムーバーを磁気吸着させ重ねた状態での、A4用紙の保持試験を行った結果を示した。併せて、マグネットホルダーを縦置状態としたときのA4用紙の保持枚数も示した。
また、マグネットホルダーとリムーバーの磁石同志の中心がほぼ一致するように、さらに互いに着磁方向が垂直を保つように接近させて、マグネットホルダーを回転させ磁気吸着させ取外すときの容易さも示した。さらに、マグネットホルダーを縦置状態としたときの取外し易さも示した。
一方、これらの寸法条件を満足していない、比較例1~比較例5のマグネットホルダーでは、リムーバーを用いた時に回転しにくくなり、あるいは回転できたとしても、縦置状態では取外しにくく、使い勝手が悪いことが知られる。
いずれの場合も、互いに磁気吸着させたときの、被掲示体への吸着力が低下し、同じ厚さ、あるいは同じ磁気エネルギー積のマグネットホルダーを用いた場合より、さらに取外し易くなる。本発明には、このようなマグネットホルダーとリムーバーの組み合わせも含まれる。
La、Lbが若干大きい方が着磁方向を垂直にして、マグネットホルダーに近づける際、寸法的に余裕が増し、使い勝手は向上する。
実施例2のマグネットホルダーに用いたLa、Lbがともに10mmの磁石で、Lcが1.5mmと2.0mmの磁石を、グリップ本体用に平面寸法が10mm角で厚さが約4mmのガラスタイルを用いて、それに接着剤で固定してリムーバーを作製した。ガラスタイルの表面には、ダイヤモンドカッターを用いて、磁石の着磁方向が分かるようにそれに平行に線状に疵を付けた。マグネットホルダーのab面には両側を覆うようにシールを貼って、そのシールにも着磁方向に合わせて、線を引きマグネットホルダーとした。
このようにして作製したリムーバーを用いてマグネットホルダーに両方の磁石の着磁方向が垂直になるように近づけることにより、回転させて、互いに磁気吸着させて簡単に取り外せることを確認した。
なお、このようにして作製したリムーバーも被掲示体に磁気吸着させた状態で、取り外しが容易であり、マグネットホルダーとしても利用できることを確認した。
実施例3のマグネットホルダーに用いた磁石を用いて、実施例15と同様にリムーバーとマグネットホルダーを作製した。そのようにして作製したリムーバーを用いて、実施例15と同様にしてマグネットホルダーを簡単に取り外せることを確認した。さらに、実施例15のマグネットホルダーも簡単に取外せることを確認した。
実施例10に用いたマグネットホルダーに用いた磁石を用いて、実施例15、実施例16と同様に10mm角のガラスタイルをグリップ部本体として、リムーバーを作製した。マグネットホルダーは、Laが10mmに対し、Lbが8mmと小さく、着磁方向を表示しなくても、目視で識別し易い。そのため、表示がなくても、互いに着磁方向が垂直になるように両者を近づけ、マグネットホルダーを回転させ、磁気吸着させて、容易に取り外すことができた。
画鋲の頭の円形部分の直径は約11mmであり、厚さも例えば冷蔵庫の扉等に用いられている鉄板材よりも厚い。そのため、例えばLaがいずれも10mmの実施例15.実施例16、実施例17のマグネットホルダーを用いると、冷蔵庫の扉に用紙を固定するときよりも十分大きな保持力で固定保持できることが確認できた。
図5に、プラスチック製で作製したグリップ本体に磁石を取り付けた別のリムーバーの例を示す。(1)のリムーバー40はLa>Lbの例を、(2)のリムーバー41は反対にLa<Lbの例を示し、磁石のab面が長方形で長辺と短辺が簡単に識別できる例である。いずれのリムーバーでもグリップ部の長辺に沿った側面に凹みを設けてグリップし易いようにすると同時に、長辺と短辺の差を際立たせて区別し易いようにしてある。
(3)のリムーバー42はLa=Lbすなわちab面が正方形の場合であり、着磁方向に直交する方の側面に凹みを設けてある。
ただし、この場合は反対に、(2)と同様に、着磁方向に平行する方の側面に凹みをつけることも可能である。どちらの方法でも、90度回転対称形状としなければ、着磁方向の区別は可能となるためである。
なお、これらのリムーバーの製作例は実施例1から実施例14で示したマグネットホルダーのリムーバーにも適用できる。
図6に、磁石29がLa<Lbの場合の別のリムーバーの実施例を示す。リムーバー43は磁石29の表面を上向きの状態で置いた状態で、第三角法で(1)平面図、(2)正面図、(3)側面図を描いてある。
磁石29を埋め込んだプラスチック本体部33は、磁石の辺の長さLbが短い辺bに平行な方向に湾曲面になるように作製してある。このように製作することにより、リムーバーを被掲示体に吸着させた状態でも、湾曲面を利用してプラスチック本体部を傾けることにより、磁気吸着力を弱め取り外しが容易となる。
23、24、25、26、27、28、29・・リムーバーに取り付けたネオジム磁石
30、31、32、33・・・グリップ部本体
40、41、42、43・・・リムーバー
50・・・被掲示体
Claims (3)
- 実質的に直方体形状のネオジム磁石のみから構成され、3辺をa、b、c、ならびにそれぞれの辺の寸法をLa、Lb、Lcとしたときに、
La≧3Lc、Lb≧3Lcであり、
面積が最も広い長方形のab面を磁気吸着面として、
磁石の着磁方向が辺aに平行な方向であり、
Laは6mm以上かつ20mm以下であり、
La/Lbの値が0.5≦La/Lb≦0.9 あるいは、1.1≦La/Lb≦2.0を満足し、
Lcが1mm以上かつ4mm以下であることを特徴とするマグネットホルダー。 - 請求項1に記載のマグネットホルダーを1個以上と、
ab面を磁気吸着面として使用中の当該マグネットホルダーを取り外すのに用いるリムーバーを1個以上組み合わせたセット品であって、
当該リムーバーは、マグネットホルダーに用いているネオジム磁石と同じ寸法La、LbおよびLcで、かつ同じ着磁状態のネオジム磁石を、プラスチック等の非磁性の材料で構成したグリップ部本体に、ネオジム磁石の片側のab面 が露出するように固定したことを特徴とする、マグネットホルダーとリムーバーのセット品。 - リムーバーのグリップ部本体にネオジム磁石の着磁方向、すなわち辺aに平行な方向が分かるように表示したことを特徴とする請求項2に記載の、マグネットホルダーとリムーバーのセット品。
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