JP7026207B2 - リチウムイオン電池用電極、リチウムイオン電池およびリチウムイオン電池用電極ロール体 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極、リチウムイオン電池およびリチウムイオン電池用電極ロール体 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用電極、リチウムイオン電池およびリチウムイオン電池用電極ロール体に関する。
リチウムイオン電池は、2次電池の代表格として、現代社会において既に欠かせないものとなっている。また、各種の電気・電子機器の高性能化などに伴い、更なる大容量化、安全性向上、生産コスト削減等のための開発が行われている。例えば、以下の特許文献1~4に記載されているような開発が行われている。
特許文献1には、組成式:Li(Ni1-y)O(式中、MはMn及びCoであり、xは0.9~1.2であり、yは0.3~0.9であり、zは1.8~2.4である)で表される層構造を有するリチウムイオン電池用正極活物質や、この正極活物質を含む正極合剤を集電体の表面に塗布して作製されたリチウムイオン電池用正極が記載されている。この正極を、測定長さ4mmで走査して測定した表面粗さ(Rzjis)は、10μm以下であると記載されている。
特許文献2には、リチウムイオンを可逆的に挿入及び離脱することができる正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極および電解液を含むリチウムイオン電池が記載されている。このリチウムイオン電池においては、充放電工程を実施した後の正極の表面粗度の算術平均値であるRaは155~419nm、または、負極の表面粗度の算術平均値であるRaは183~1159nmであると記載されている。
特許文献3には、「セパレータ」について、(i)多孔質膜からなる基材と、(ii)基材の少なくとも一方の面に形成され、粒子と樹脂材料とを含有し、表面の算術平均粗さが1.0μm以上4.0μm以下の凹凸形状を有する多孔質の表面層とを備える非水電解質電池用セパレータが記載されている。
特許文献4は、特許文献3と同じく「セパレータ」に関する文献である。このセパレータは、主成分がポリオレフィンである多孔質フィルムを含む基材から構成され、その基材の表面にフィラーが付着されて、潤滑層が形成されている。この潤滑層の表面粗さは、三次元表面粗さで0.2~1.4μmであると記載されている。
特開2011-187178号公報 特開2005-108810号公報 特開2013-137984号公報 特開2010-244875号公報
リチウムイオン電池の電極(例えば正極)は、通常、金属箔などの集電体上に形成された活物質粒子をプレスして製造される。長尺の集電体を用いる場合には、電極は巻き芯の周囲に複数周に巻き取られたロール体の状態で保管、輸送される。電極を組み立てる際にはロール体から引き出されて所定の形状に加工される。
近年、プレス圧力を高めて、電極を高密度化し、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させる方向性にある。
しかし、活物質粒子をプレスする際のプレス圧が大きすぎると、活物質粒子間のすき間が小さくなりすぎ、その結果として、電解液が活物質層に十分に行きわたらない事態が発生しうる。かといって、プレス圧が小さすぎると、電極が低密度となり、レート特性の向上が望めなくなる。
つまり、プレス条件を適切にするなどして、活物質間に適度なすき間を作り、電極の密度と電解液の浸透性とを適切に両立させて、レート特性を向上させることが望まれる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。つまり、電解液の浸透性が良く、そしてレート特性が良好なリチウムイオン電池の電極を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意検討した。その結果、以下に提供される発明を完成させた。
本発明によれば、
リチウムイオン電池用電極であって、
当該リチウムイオン電池用電極は、集電体と、前記集電体の表面に形成された活物質層とを備え、
前記活物質層は、メジアン径が5~50μmである正極活物質粒子とバインダー樹脂とを含み、
前記活物質層の表面の、ISO 25178の規定に沿って求められる算術平均高さSaが0.2~1.0μmであり、
前記活物質層の表面の、JIS B 0601-2001の規定に沿って求められる算術平均粗さRaが0.1~1.0μmであり、
前記正極活物質粒子の含有量は、前記活物質層の全体を100質量部としたとき、85質量部以上99.4質量部以下である、リチウムイオン電池用電極
が提供される。
また、本発明によれば、
上記のリチウムイオン電池用電極を備えたリチウムイオン電池
が提供される。
また、本発明によれば、
上記のリチウムイオン電池用電極を、巻き芯に巻き取った、電極ロール体
が提供される。
本発明によれば、電解液の浸透性が良く、そしてレート特性が高いリチウムイオン電池の電極を提供することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
電極の断面ないし層構成を模式的に示す図である。 電極の製造方法を模式的に説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは、1質量%以上5質量%以下のことを表す。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
<リチウムイオン電池用電極>
図1は、本実施形態のリチウムイオン電池用電極の一例(断面、層構成)を示すものである。
図1において、リチウムイオン電池用電極1(以下、単に「電極1」とも記載する)は、少なくとも、集電体2と、その少なくとも片面の表面に形成された活物質層3と備える。(なお、活物質層3は、集電体2の両面に備わっていてもよい。)
活物質層3は、活物質粒子とバインダー樹脂とを含む。
活物質層3の表面の、ISO 25178の規定に沿って求められる算術平均高さSは、0.2~1.0μmである。
活物質層3の表面の、JIS B 0601-2001の規定に沿って求められる算術平均粗さRは、0.1~1.0μmである。
このような電極1により、電解液の浸透性が良く、そしてレート特性に優れるリチウムイオン電池の電極を提供することができる理由は、必ずしも全てが明らかではないが、以下のように推定される。
プレスの強さと、電極表面の粗さは、ある程度相関すると考えられる。具体的には、プレス圧が大きい場合は、電極表面の粗さは小さくなる傾向にあり、プレス圧が小さい場合は、電極表面の粗さは大きくなる傾向にある。
つまり、電極表面の粗さが適度な値となる(小さすぎず、かつ、大きすぎない値となる)ようにプレスすること等により、適切な電極の圧縮状態が実現され、活物質間に適度なすき間ができると考えられる。そして、活物質粒子の密度と電解液の浸透性とが両立することとなり、レート特性が向上すると考えられる。
具体的には、電極1の表面の粗さについて、Sが0.2~1.0μm、Rが0.1~1.0μmとなるようにプレスを行うことにより、上記の「適切な電極の圧縮状態」が実現されたものと考えられる。
また、電極1においては、SとRという「2つ」の指標で表面粗さを規定し、それぞれが特定の数値範囲内であることを必須としている。これにより、電極全体としての圧縮状態が適切であることが担保されると考えられる。具体的には、特定の1次元方向(線分)に沿った測定に基づくRが所定の数値範囲内であることだけでなく、測定対象領域を「面」として捉えて測定されるSも所定の数値範囲内であることで、電極全体としての圧縮状態が適切であることが担保されると考えられる。
ちなみに、SとRのいずれか一方でも所定の数値範囲外である場合は、電極中に、部分的に粗さが異常な部分があることなどを示すものと推測される。
およびRについて補足する。
について具体的にはISO 25178に定義されており、また、RについてはJIS B 0601-2001に定義されているが、これらを測定する具体的な装置としては、例えばキーエンス社のVR-3000を用いることができる。
測定においては、測定位置による測定結果の恣意性をなくすべく、例えば、電極の重心1点と、その重心を基準にxy座標をとったときにx軸方向に±5mm離れた2点と、y軸方向に±5mm離れた2点の、計5点でSおよびRを測定することができる。そして、5点での測定結果の平均値を、本明細書におけるSおよびRとすることができる。
は、その定義上、電極1の表面を、特定の1次元方向(線分)に沿って測定するものである。つまり、測定方向により、値が変わりうる。
本実施形態のリチウムイオン電池用電極においては、電極1の表面の、少なくとも1つの1次元方向(線分)において、Rが0.1~1.0μmであればよい。より具体的には、電極1の全体形状が長方形である(ラミネート型のリチウムイオン電池の電極にしばしば用いられる)場合、その長方形の短辺方向と長辺方向の2方向で測定されたRがともに0.1~1.0μmであることが好ましい。
は、0.2~1.0μm、好ましくは0.2~0.6μm、より好ましくは0.2~0.5μmである。
また、Rは、0.1~1.0μm、好ましくは0.1~0.5μm、より好ましくは0.15~0.5μmである。
およびRの値を適切に調整することで、より一層、レート特性を高めたり、電解液の浸透性を高めたりすることができる。
電極1の構成、素材等について、以下、より具体的に説明する。
電極1は、リチウムイオン電池用の正極または負極である。
まず、電極1が、リチウムイオン電池用の正極である場合について説明する。
(正極の集電体2)
正極の集電体2は、導電性のある任意の物質を用いることができる。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金等を用いることができる。これらの中では、価格や入手容易性、電気化学的安定性等の観点から、アルミニウムが好ましい。また、集電体の形態についても特に限定されず、箔状、平板状、またはメッシュ状などであってよい。集電体の厚さは、好ましくは、0.001~0.5mm(1~500μm)、より好ましくは5~100μm、更に好ましくは0.01~0.02mm(10~20μm)の範囲である。
(正極の活物質層3)
活物質層3は、その表面については上述したSやRの規定を満たす必要があるが、化学的な素材、組成などについては従来技術を適宜適用してよい。
電極1が正極である場合、活物質層3は、好ましくは、正極活物質粒子を含む。また、さらにバインダー樹脂や導電助剤を含むことが好ましい。もちろん、これら以外の成分を含んでもよい。
以下、電極1が正極である場合に、活物質層3が含んでもよい成分について説明する。
・正極活物質粒子
正極活物質粒子は、リチウムイオン二次電池の正極に使用可能な正極活物質粒子であれば特に限定されない。例えば、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケルマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物、リチウムニッケルマンガンアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物等のリチウムと遷移金属との複合酸化物;TiS、FeS、MoS等の遷移金属硫化物;MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物、オリビン型リチウムリン酸化物等の粒子が挙げられる。オリビン型リチウムリン酸化物は、例えば、Mn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nb、およびFeよりなる群のうちの少なくとも1種の元素と、リチウムと、リンと、酸素とを含んでいる。これらの化合物はその特性を向上させるために一部の元素を部分的に他の元素に置換したものであってもよい。また、複数種の正極活物質粒子を併用してもよい。
本実施形態においては、正極活物質粒子は、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケル酸化物およびリン酸鉄リチウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。これにより、リチウムイオン電池としたときの充放電容量の増加などが期待できる。
なお、上記において、例えば「リチウムコバルト酸化物」は、リチウム、コバルトおよび酸素以外の元素を含んでもよい。他の化合物についても同様である。
正極活物質粒子の平均粒子径(下限)は、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。また、平均粒子径(上限)は、80μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。入出力特性や電極作製上の観点から、適切な粒径が選択される。
ここで、平均粒径は、レーザ回折散乱法による粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒子径(メジアン径:D50)を意味する。この数値範囲内とすることで、充放電時の副反応を抑えて充放電効率の低下を抑えられる。
正極活物質粒子の含有量は、活物質層3の全体を100質量部としたとき、85質量部以上99.4質量部以下であることが好ましく、90.5質量部以上98.5質量部以下であることがより好ましく、90.5質量部以上97.5質量部以下であることがさらに好ましい。これによりリチウムの十分な吸蔵および放出が期待できる。
・バインダー樹脂
バインダー樹脂は公知のものを適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の通常用いられるものを用いることができる。これらバインダー樹脂は、適当な溶媒(代表的にはN-メチル-ピロリドン(NMP)等の有機溶剤)を用いて、他成分と混合される。
バインダー樹脂の含有量は、活物質層3の全体を100質量部としたとき、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以上5.0質量部以下がさらに好ましい。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内であると、電極スラリーの塗工性、バインダーの結着性および電池特性のバランスがより一層優れる。また、バインダー樹脂の含有量が上記上限値以下であると、電極活物質の割合が大きくなり、電極質量当たりの容量が大きくなるため好ましい。バインダー樹脂の含有量が上記下限値以上であると、電極剥離が抑制されるため好ましい。
・導電助剤
導電助剤は、電極の導電性を向上させるものであれば特に限定されない。例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、炭素繊維等が挙げられる。これらの導電助剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
導電助剤の含有量は、活物質層3の全体を100質量部としたとき、0.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上4.5質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以上4.5質量部以下がさらに好ましい。導電助剤の含有量が上記範囲内であると、電極スラリーの塗工性、バインダーの結着性および電池特性のバランスがより一層優れる。また、導電助剤の含有量が上記上限値以下であると、電極活物質の割合が大きくなり、電極質量当たりの容量が大きくなるため好ましい。導電助剤の含有量が上記下限値以上であると、電極の導電性がより良好になるため好ましい。
・活物質層3の密度
活物質層3の密度は特に限定されないが、典型的には2.0g/cm以上、好ましくは3.0g/cm以上、より好ましくは3.4g/cm以上である。また、製造のしやすさ等の観点から、典型的には4.0g/cm以下、好ましくは3.5g/cm以下である。この数値範囲内とすると、高放電レートでの使用時における放電容量が向上するため好ましい。
・活物質層3の厚み
活物質層3の厚みは特に限定されるものではなく、所望の特性に応じて適宜設定することができる。例えば、エネルギー密度の観点からは厚く設定することができ、また出力特性の観点からは薄く設定することができる。集電体の片面あたりの活物質層3の厚みは、例えば、10~250μmの範囲で適宜設定でき、20~200μmが好ましく、50~150μmがより好ましく、50~100μmが更に好ましい。
なお、活物質層3は、集電体2の片面だけでなく両面に設けられていてもよいため、ここでは念のため活物質層3の厚みを「片面あたり」と表記している。
(製造方法)
本実施形態のリチウムイオン電池用電極(例えば正極)を得るにあたり、その製造方法は限定されない。任意の方法により上述のSやRを満足する電極を得ればよい。
例えば、(i)まず、正極活物質粒子、バインダー樹脂および導電助剤を適当な溶媒(典型的にはN-メチルピロリドン等の有機溶媒)に分散ないし溶解させた電極スラリーを調製し、(ii)次に、その電極スラリーを集電体2の片面または両面に塗布し、乾燥させて活物質層3を設け、(iii)その後、集電体2の上に形成した活物質層3を、集電体2と一緒にプレス(ロールプレス等)することで、本実施形態のリチウムイオン電池用電極を得ることができる。
ここで、本発明者の知見によれば、上述のSやRを満足する電極を得るためには、上記(iii)のプレス工程を工夫することが望ましい。これについて、図2を参照しつつ説明する。
図2は、プレス工程(ロールプレス)の一例を模式的に表したものである。電極1(図には明記していないが、集電体2および活物質層3を備える)は、緩衝フィルム5を介したうえで、互いに対向するように配置された2本のロール10により挟持される。挟持された電極1および緩衝フィルム5は、2本のロール10の回転(図2に矢印で示されている)の力などにより、図2の左方向から右方向に送られる。このとき、電極1表面の活物質層3は、緩衝フィルム5を介してロール10でプレスされることにより、圧縮および/または平坦化される。
なお、図2では、電極1の「両面」に緩衝フィルム5が存在しているが、これは必須ではない。例えば、電極1において、活物質層3が、集電体2の片面にのみ存在する場合には、その集電体2の側にのみ緩衝フィルム5を存在させる態様であってもよい。
本発明者の知見によれば、このように、プレス工程(ロールプレス)において、緩衝フィルム5を介して活物質層3に圧力が加えられることで、上述のSやRを満足する電極を得ることができる。
このような製法上の工夫により上述のSやRを満足する電極を得ることができる理由は、以下のように推定される。
リチウムイオン電池の製造でしばしば適用されるロールプレスは、大きな圧力をかけやすいという利点がある。しかし、ロールと電極との接触部分が、面ではなく線となるため、特定の方向に応力がかかりがちな傾向があった。
一方、緩衝フィルム5を介して活物質層3がロールプレスされると、緩衝フィルム5が「犠牲」となって、応力を緩和してくれるものと考えられる。これにより、面全体として適度な圧力で均一なプレスを行うことができ、SやRを満足する電極が得られるものと考えられる。
緩衝フィルム5としては、上述の応力緩和の観点から、好ましくは、ある程度柔らかく、変形性があるものが選択される。
入手性やハンドリング性なども踏まえると、緩衝フィルム5としては、例えばアルミニウムフィルムが選択される。なお、ここでの「アルミニウムフィルム」とは、純アルミニウム製のフィルムのみを指すのではなく、アルミニウムとその他微量の金属元素等との合金のフィルム等も含むものである。
また、合成樹脂フィルムも、柔らかさや変形性の観点から好ましく選択される。合成樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム(PETフィルム等)、ポリオレフィンフィルム(ポチエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム)、その他公知の合成樹脂フィルム各種を適用可能である。
さらに、緩衝フィルム5の選択肢に関する別の観点としては、活物質層3に含まれる正極活物質粒子の硬さを基準として、それより柔らかい材質の緩衝フィルム5を選択することが考えられる。
緩衝フィルム5は、好ましくは、その表面(電極1と接する面)がある程度平坦であることが好ましい。緩衝フィルム5の、電極1と触れる面の算術平均粗さは、例えば0.1~2.0μm、好ましくは0.5~1.5μm、より好ましくは0.6~0.8μmである。この数値範囲を満たすことで、活物質層3の表面をより一層平滑にできると考えられる。
緩衝フィルム5の厚みは特に限定されないが、ハンドリング性などの観点から、例えば10~100μm、好ましくは10~50μm、より好ましくは15~25μmである。
図2において、電極1の搬送速度(ロール10の回転の線速度とほぼ対応する)は、特に限定されないが、典型的には1~100m/分、好ましくは2~50m/分である。
また、ロールプレスの圧力は、特に限定されないが、典型的には0.7~2.0[t/cm]、好ましくは1.3~1.7[t/cm]である。適切な圧力とすることで、SおよびRが適当な値の電極1を製造しやすくなる。
なお、プレスの方法として、図2に示したロールプレス以外の方法も適用可能であることは言うまでもない。ただし、大きな圧力のかけやすさや、連続的な生産の容易性などから、ロールプレスが好ましい。
以上、電極1がリチウムイオン電池用の正極である場合について説明した。
次に、電極1がリチウムイオン電池用の負極である場合について説明する。図面については、正極と同様のもの(図1等)を参照されたい。
(負極の集電体2)
電極1が、リチウムイオン電池用の負極である場合、その集電体2は、導電性のある任意の物質を用いることができる。素材としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、これらの合金などを用いることができる、厚み等は、正極としての集電体2に関して説明したとおりである。
(負極の活物質層3)
負極としての活物質層3は、好ましくは、負極活物質粒子を含む。また、必要に応じてバインダー樹脂や導電助剤を含んでもよい。
負極活物質粒子としては、黒鉛、非晶質炭素、シリコン、シリコン酸化物、金属リチウムなどが好ましく挙げられるが、リチウムを吸蔵および放出することが可能な物質であればこれらに限定されない。
負極活物質粒子の平均粒子径(下限)としては、入出力特性や電極作製上の観点から、1μmが好ましく、2μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。また、平均粒子径(上限)としては、80μmが好ましく、40μmがより好ましい。ここで、平均粒径は、レーザ回折散乱法による粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒子径(メジアン径:D50)を意味する。この数値範囲とすることで、充放電時の副反応を抑えて充放電効率の低下を抑えられる。
負極としての活物質層3が含んでもよいバインダー樹脂や導電助剤としては、前述した正極としての活物質層3に用いることができるものと同様のものを用いることができる。なお、バインダー樹脂としてはスチレン・ブタジエンゴムなどを用いることもできる。また、塗布時の溶媒として、有機溶剤ではなく水を用いることもできる。
負極における各成分の量は、電池の性能や、製造適性、集電体との密着性など観点から、適宜調整される。
<電極ロール体>
長尺状の電極1を巻き芯に巻き取ることで、電極ロール体を製造することができる。
具体的には、長尺状の電極1の一端を巻き芯に固定し、巻き芯の周囲に複数周に渡って電極1を巻き取ることで、電極ロール体を製造することができる。電極1がたるむことや、電極1が巻き芯の軸と平行な方向にずれることがないようにするために、電極1に張力をかけて巻き取ることが好ましい。
電極1は、工業的には、通常、電極ロール体の形で保管、輸送に供される。
一般に、電極が長尺になると、重量が増し、かつ、径方向に大きくなるため、張力をかけて巻き取っても巻きずれを生じる可能性が高まる。しかし、SやRを満足する電極1を用いることで、輸送等による巻きずれを生じにくい電極ロール体を製造することができる。この理由は、SやRが適当な値であることにより、電極同士が滑りにくくなり、また、電極間にエアを巻き込むことが抑制されるためと考えられる。
<リチウムイオン電池>
本実施形態のリチウムイオン電池は、上述のリチウムイオン電池用電極を備えたものである。
一般にリチウムイオン電池は、正極と負極とを備える。本実施形態のリチウムイオン電池においては、その少なくとも一方が、上述のSやRの規定などを満たす電極で構成される。換言すると、正極と負極の一方のSやRが特定数値内であり、他方のSやRが特定数値外であるリチウムイオン電池であっても、その電池は本実施形態のリチウムイオン電池たりうる。ただし、好ましくは、少なくとも正極が、上述のSやRの規定を満たす。
本実施形態のリチウムイオン電池は、一態様として、正極および負極のほか、電解液、セパレータ、外装容器などを備える。これらについて説明する。
(電解液)
電解液は、通常、リチウム塩を含有する非水系のものが用いられる。
リチウム塩の例としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、CFSOLi、CHSOLi、LiCSO、Li(CFSON、低級脂肪酸カルボン酸リチウム等を挙げることができる。
リチウム塩を溶解する溶媒としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ビニレンカーボネート(VC)等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素溶媒;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の有機酸エステル類;リン酸トリエステルやジグライム類;トリグライム類;スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン類;3-メチル-2-オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(セパレータ)
セパレータとしては公知のものを用いることができる。
セパレータは、例えば、樹脂製の多孔膜、織布、不織布等からなる。その樹脂成分としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、またはナイロン樹脂等を用いることができる。特にポリオレフィン系の微多孔膜は、イオン透過性と、正極と負極とを物理的に隔離する性能に優れているため好ましい。
また、必要に応じて、セパレータには無機物粒子を含む層が形成されていてもよい。ここでの無機物粒子としては、絶縁性の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物等を挙げることができる。なかでもTiOおよび/またはAlを含むことが好ましい。
(外装容器)
外装容器には公知の部材を用いることができる。電池の軽量化の観点からは可撓性フィルムを用いることが好ましい。
可撓性フィルムとしては、基材となる金属層の表裏面に樹脂層が設けられたものを用いることができる。金属層には電解液の漏出や外部からの水分の侵入を防止する等のバリア性を有するものを選択することができ、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
リチウムイオン電池用電極であって、
当該リチウムイオン電池用電極は、集電体と、前記集電体の表面に形成された活物質層とを備え、
前記活物質層は、活物質粒子とバインダー樹脂とを含み、
前記活物質層の表面の、ISO 25178の規定に沿って求められる算術平均高さS が0.2~1.0μmであり、
前記活物質層の表面の、JIS B 0601-2001の規定に沿って求められる算術平均粗さR が0.1~1.0μmである、リチウムイオン電池用電極。
2.
1.に記載のリチウムイオン電池用電極であって、
前記活物質粒子のメジアン径が5~50μmである、リチウムイオン電池用電極。
3.
1.または2.に記載のリチウムイオン電池用電極であって、
前記活物質層の密度が3.4g/cm 以上であるリチウムイオン電池用電極。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載のリチウムイオン電池用電極であって、
集電体の片面あたりの前記活物質層の厚みが50~100μmであるリチウムイオン電池用電極。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載のリチウムイオン電池用電極であって、
前記活物質粒子が、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケル酸化物およびリン酸鉄リチウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むリチウムイオン電池用電極。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載のリチウムイオン電池用電極を備えたリチウムイオン電池。
7.
巻き芯にリチウムイオン電池用電極が巻き取られたリチウムイオン電池用電極ロール体であって、
当該リチウムイオン電池用電極は、集電体と、前記集電体の表面に形成された活物質層とを備え、
前記活物質層は、活物質粒子とバインダー樹脂とを含み、
前記活物質層の表面の、ISO 25178の規定に沿って求められる算術平均高さS が0.2~1.0μmであり、
前記活物質層の表面の、JIS B 0601-2001の規定に沿って求められる算術平均粗さR が0.1~1.0μmである、リチウムイオン電池用電極ロール体。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
1.活物質層形成のためのスラリーの作製
(1)正極スラリー1の作製
まず、以下の素材を、表示された比率で均一に混合した。
・正極活物質:リチウムニッケル酸化物の粒子(D50:8μm)とリチウムマンガン酸化物の粒子(D50:12μm)を、質量比3:7で混合したもの・・・93質量%
・導電助剤:カーボンブラック・・・3質量%
・バインダー樹脂:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)・・・4質量%
この混合物に、更に溶剤NMP(N-メチル-2-ピロリドン)を混合し、正極スラリー1を作製した。
(2)正極スラリー2の作製
正極活物質として、リチウムニッケル酸化物とリチウムマンガン酸化物を、質量比7:3で混合した以外は上記(1)と同様にして正極スラリー2を調製した。
(2)正極スラリー3の作製
正極活物質としてリチウムニッケル酸化物のみを用いた以外は上記(1)と同様にして正極スラリー3を作製した。
2.集電体上へのスラリーの塗布、ロールプレス等
上記1.で作製された各正極スラリーを、集電体となるアルミニウム基材(厚さ約15μm)の両面に塗布し、乾燥させて、活物質層が未圧縮の正極を得た。
この、活物質層が未圧縮の正極を、ロールプレス装置を用いて、図2で説明したように両面から緩衝フィルムを介して、1.6t/cmでプレスした(ロールの直径:φ300、搬送速度:3m/min)。
ここで、緩衝フィルムとしては、アルミニウム基材(厚さ20μm、表面粗さ(算術平均粗さ)0.7μm)を用いた。
以上により、正極スラリー1、2または3による活物質層が形成されたリチウムイオン電池用電極(正極)を得た。活物質層の密度は3.4g/cm以上であった。また、集電体の片面あたりの活物質層の厚みは70μmであった。
ここで、正極スラリー1を用いて得た正極を「実施例1の正極」、正極スラリー2を用いて得た正極を「実施例2の正極」、正極スラリー3を用いて得た正極を「実施例3の正極」とする。
一方、比較例1および比較例2の正極を、以下のようにして得た。
<比較例1>
上記「2.集電体上へのスラリーの塗布、ロールプレス等」において、2.4t/cmでプレスした以外は、実施例1の正極と同様にして、比較例1の正極を得た。
<比較例2>
上記「2.集電体上へのスラリーの塗布、ロールプレス等」において、ロールプレスしなかった以外は、実施例1の正極と同様にして、比較例2の正極を得た。
3.SおよびRの測定
まず、上記2.で得られた各実施例および各比較例の正極を、縦10cm×横5cmの長方形状に切り出し、表面粗さ測定用の電極を得た。
この測定用の電極の表面(活物質層が塗布され圧縮された面)のSおよびRを測定した。測定は、前述のように、キーエンス社のVR-3000を用い、電極の重心1点と、その重心を基準にxy座標をとったときにx軸方向に±5mm離れた2点と、y軸方向に±5mm離れた2点の、計5点で測定した。5点での測定の平均値を、SおよびRとして採用した。
<評価用の電池の作製>
上記1.および2.で作製した正極と、以下の負極、電解液、セパレータなどを用いて、リチウムイオン二次電池を作製した。
すなわち、上記で得られた正極と、以下の負極とを、以下のセパレータを介して積み重ねて積層体を製作し、ラミネート外装体に収容した。その後、以下の電解液を注液し、ラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
・負極:以下方法により作製したもの
負極活物質として黒鉛97質量%と、バインダーとしてスチレン・ブタジエンゴム2%とカルボキシルメチルセルロース1%とをイオン交換水を加えて混合して負極スラリーを作製した。これを集電体となる銅箔の両面に塗布、乾燥、そしてロールプレスして負極を作成した。なお、負極活物質層の塗布量は16mg/cm、密度は1.5g/cmになるように調整した。
・セパレータ
厚さ25μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを用いた。
・電解液
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で30:70で混合し、リチウム塩としてLiPFを1.0mol/Lとなるように溶解した電解液に、ビニレンカーボネート(以下、VC)を1質量%添加したものを用いた。
<レート特性評価>
作製した各電池を用いて充放電試験をおこなった。25℃雰囲気において、上限電圧4.2V、充電電流70mA、合計充電時間150分の条件で定電流・定電圧充電をおこなった。その後、下限電圧3.0V、放電電流70mAの条件で定電流放電(1C放電)をおこなった。次いで、10分間の休止時間を設けた後、下限電圧3.0V、放電電流14mAの条件で再び定電流放電(0.2C放電)をおこなった。
この試験において、充電容量に対する、1C放電時の放電容量および0.2C放電容量の合計容量(充放電効率)を計算し、レート特性とした。
表1に、レート特性が90%以上であるものを○(良好)、90%未満であるものを×(不良)として記載した。
<電解液の浸透性評価>
以下のようにして、電解液の浸透時間を測定した。
まず、電極を5cm×5cmに切り出し、これを水平な試験台の上に載置した。
この評価用の電極の表面に、高さ1mmから、ディスペンサーのノズル先端から1μLのプロピレンカーボネート溶剤(模擬的な電解液)を滴下した。その滴下時点から、電極活物質層に滴下液全体が染み込んだ時点(消失した時点)までの時間を測定した(25℃の乾燥大気雰囲気、露点温度:-40℃以下)。この時間を浸透時間とした。
なお、滴下液が消失する時点とは、電極上の基点から任意に定めた1方向において電極表面から滴下液が消失したことが目視で確認される時点とし、これを滴下液全体が染みこんだ時点とみなした。電極上の基点は、ディスペンサーの吐出口の先端の鉛直真下とした。
浸透時間が800秒を超えた場合を×(不良)、800秒未満であった場合を○(良好)とした。
およびRの測定結果、ならびに、レート特性および電解液の浸透性評価の結果を下表に示す。
Figure 0007026207000001
表1に示されるとおり、実施例1~3の正極(Sが0.2~1.0μmであり、かつ、Rが0.1~1.0μmである正極)を用いたリチウムイオン2次電池は、レート特性および浸透性において良好な結果を示した。
一方、比較例1の正極を用いたリチウムイオン2次電池は、レート特性および浸透性の両方において悪い結果であった。比較例1の正極は、表面粗さは小さいが、圧縮されすぎているために電解液の浸透性が悪く、電解液と活物質間のイオン抵抗が高くなり、良好なレート特性が得られなかったものと推定される。
また、比較例1から、表面粗さが小さければ小さいほどよいということではなく、レート特性や電解液の浸透性の観点からは、適当な表面粗さがあることが読み取れる。
また、比較例2の正極を用いたリチウムイオン2次電池は、浸透性は良好であるものの、レート特性は悪い結果であった。比較例2の正極は、電解液の浸透性は良いものの、活物質同士の密着性が低く、導電材を介した電子抵抗が高くなったため、良好なレート特性が得られなかったものと推定される。
<電極ロール体の製造>
実施例1~3で製造された正極を、張力を加えつつ巻き芯に巻き取って、電極ロール体を製造した。また、得られた電極ロール体に対し、輸送で想定される衝撃ないし外力を加えた。この後、電極ロール体を観察したが、目立った巻きずれ等の不具合は確認されなかった。
この出願は、2018年3月28日に出願された日本出願特願2018-062396号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (6)

  1. リチウムイオン電池用電極であって、
    当該リチウムイオン電池用電極は、集電体と、前記集電体の表面に形成された活物質層とを備え、
    前記活物質層は、メジアン径が5~50μmである正極活物質粒子とバインダー樹脂とを含み、
    前記活物質層の表面の、ISO 25178の規定に沿って求められる算術平均高さSが0.2~1.0μmであり、
    前記活物質層の表面の、JIS B 0601-2001の規定に沿って求められる算術平均粗さRが0.1~1.0μmであり、
    前記正極活物質粒子の含有量は、前記活物質層の全体を100質量部としたとき、85質量部以上99.4質量部以下である、リチウムイオン電池用電極。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン電池用電極であって、
    前記活物質層の密度が3.4g/cm以上であるリチウムイオン電池用電極。
  3. 請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用電極であって、
    集電体の片面あたりの前記活物質層の厚みが50~100μmであるリチウムイオン電池用電極。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極であって、
    前記活物質粒子が、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケル酸化物およびリン酸鉄リチウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むリチウムイオン電池用電極。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極を備えたリチウムイオン電池。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極を、巻き芯に巻き取った、電極ロール体。
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