JP7025524B2 - 非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法 - Google Patents

非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、バイオテクノロジーに属し、細胞生物学、非動員末梢血、不均一性造血幹細胞・前駆細胞、及び細胞捕獲、培養、増幅、機能維持等のバイオテクノロジーに関する。特に、非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法に関する。
より具体的には、本発明は、非動員末梢血中の希少不均一性造血幹細胞・前駆細胞を捕獲して、増幅する技術システムを有し、且つ造血再構築、薬剤開発、移植及び免疫療法、遺伝子編集の細胞種類を有する技術的方法を提供する。
癌は、人間の健康のナンバーワンのキラーになった。2015年には、世界で毎年2100万人以上の癌の新規症例があり、中国は全地球の新規症例の約20%を占め、429.2万人であり、281.4万人が死亡した、1日当たり12000人の新規症例があり、7500人が癌により死亡したことに相当する。米国では、2016年に、1685210の癌の新しい症例が診断され、そのうち595690万人が該疾患により死亡した。2017年3月に、中国の最新の癌データは、全中国に毎日約1万人が癌と診断されており、毎分間約7人が癌と診断されており、85歳まで、一人の癌のリスクが36%であることを示しており、また、2025年まで中国癌患者の数が1900万人に増加すると予想され、2030年までアジアでは約40%の癌病例を増加して、2035年に2400万人に達し、その死亡率が約50%増加すると予想されている。癌の予防と治療は、中国及び世界の重要な公衆衛生問題となっている。
放射線化学療法及び手術は、現在で、癌を治療する主な方法である。手術治療は、主に転移のない固形腫瘍に対するものである。手術で完全に切除できない腫瘍患者及び進行期の患者に対して、放射線療法と化学療法は、患者の生命を救って延長させるための最も効果的な治療方法の1つである。化学療法、手術又は放射線療法のいずれであっても、癌の治療は、身体に極めて大きな負担をかけるものであり、且つ悪性転移が発生した後、どの方式を使用しても徹底的に治癒することが困難である。従って、癌の治療は依然として人間にとって直面する大きな試練である。
高線量放射線化学療法の後、患者の免疫細胞等の血液システムがひどく損傷され、造血幹細胞移植は、高線量放射線化学療法の腫瘍治療の重要な手段の1つになっている。現在、その応用範囲は、ますます広くなっており、さまざまな悪性腫瘍、血液悪性腫瘍等を含み、悪性腫瘍には、乳癌、卵巣癌、精巣癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌等を有し、悪性血液疾患の治療は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群等を含み、非悪性血液腫瘍は、主に骨髄線維症、再生不良性貧血、無巨核球性血小板減少症、地中海貧血、ファンコニー貧血、鎌状赤血球貧血、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症等である。他の非血液疾患は、主に重症複合免疫不全症、重度の自己免疫疾患等の重度の難治性自己免疫性疾患である。造血幹細胞移植は、腫瘍を含むさまざまな疾患治療の重要な手段に徐々になっている。
造血幹細胞移植の研究は1939年に始まったが、第一回の移植試験が失敗した。約四十年にわたる広範な検討、動物実験及び再評価を経て、人間は骨髄移植の理解を徐々に深め、1975年に、第一回の大規模な同種造血幹細胞移植が始まった。それ以来、造血幹細胞移植は人間の抗癌の歴史に重要な役割を果たしている。現在、造血幹細胞・前駆細胞移植の細胞の供給源は主に、動員後の末梢血造血幹細胞・前駆細胞(骨髄供給源)と臍帯血造血幹細胞・前駆細胞である。臍帯血供給源の造血幹細胞・前駆細胞は数が少なく、造血系の再構築が遅れており、成人の臨床における造血幹細胞・前駆細胞移植の数のニーズに適しない。現在、臨床に用いられる細胞は、主に動員後の末梢血から供給源し、その中に骨髄に供給源する造血幹細胞・前駆細胞を含んでいる。この場合、ドナーは、動員促進剤である顆粒球コロニー刺激因子G-CSF、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF等を約1週間連続的に服用して、骨髄中の造血幹細胞・前駆細胞を末梢血に動員する必要があり、次にセルハーベスターを利用して造血幹細胞・前駆細胞を収集して細胞移植を行う。しかし、移植用の造血幹細胞・前駆細胞は患者とうまくマッチングする必要があり、且つ移植片対宿主病(GVHD)の反応を低減させるために、患者は免疫抑制剤を長期服用する必要がある。造血幹細胞のマッチングの成功率が非常に低いことに鑑み、造血幹細胞の供給源の深刻な不足により、該技術の臨床応用での広さ及び効果的な応用が制限されており、免疫抑制剤を長期服用すると、患者に再発、感染、二次腫瘍等の危険ももたらす。また、臨床使用に必要な赤血球、血小板などの血液源は非常に不足であり、希少血液型の保存及び使用等を含み、血液源汚染及び血液製剤による疾患の伝染等はいずれも全世界的な難題であり、新たな造血幹細胞・前駆細胞、患者の特異性造血幹細胞・前駆細胞の供給源を探索することは急に解決すべき問題である。
20世紀50年代に、研究者は末梢血中のリンパ性白血球を放射線動物の体に導入し、一定時間の後、放射線動物の顆粒球系はある程度で回復し、放射線動物の生命はある程度で保護され延長される。1957年に、Congdons C.C.らの研究者は、末梢血リンパ性白血球を致死量の放射線を照射した動物に移植して、動物の生存率は細胞の移植数に緊密に関連していることを発見した。1968年に、Lewisらの研究者は、末梢血リンパ性白血球をマウスに移植し、一定時間の後、移植されたマウスの脾臓に結節が見つかり、更なる実験により、これらの結節中の細胞が移植されたリンパ系末梢血に供給源することを証明し、このリンパ系細胞群が骨髄供給源の造血幹細胞・前駆細胞の多分化能を有することが証明した。
上記の研究の歴史は、主に動物体内の同類動物の末梢血中のリンパ系細胞の移植に基づいており、且つ移植された動物の形成された脾臓結節の数を検出することにより、末梢血中の造血幹細胞・前駆細胞の存在可能性を検出し、20世紀60-70年代での研究が比較的多くなった。しかし、末梢血中の造血幹細胞・前駆細胞の数が極めて少ない(循環造血幹細胞・前駆細胞と呼ばれる)ため、今まで、効果的な捕獲、維持及び増幅システムがなく、従って、この細胞群が正常な人体末梢血に存在するか否かについては大きな論争があり、循環造血幹細胞・前駆細胞の生物学的特性はさらに空白である。現在で、関連する研究報告がほとんどない。現在、主に疾患状態での循環内皮細胞の疾患の進行における作用及び機能を検討し、主な技術手段はフローサイトメトリー及びクローン形成実験による検出のみであるが、循環造血幹細胞・前駆細胞の生物学的特性、特に自己複製及び分化能力の検出を更に探索する効果的な捕獲、増幅及び培養系はない。
造血幹細胞・前駆細胞は腫瘍治療、造血免疫再構築、遺伝子治療、老化の遅延等の方面に重要な作用を有するため、機能的循環造血幹細胞・前駆細胞の捕獲、増幅及び培養を探索し及びその機能を維持することは、大きな経済的及び社会的利益がある。
本発明の1つの目的は、非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法を提供することであり、マイクロカプセル培養系を利用して非動員末梢血中の希少造血幹細胞・前駆細胞を捕獲し、これに基づき不均一性造血幹細胞・前駆細胞クローンを製造し、且つ造血幹細胞・前駆細胞を増幅して、造血幹細胞・前駆細胞の生物学的機能を維持する。上記方法は、以下の技術案で実現される。
1.開始細胞の供給源及び用意
培養開始細胞の供給源が動員促進剤で処理されない正常な末梢血である。血液の量が制限されず、1ml未満であってもよく、1mlを超えてもよく、具体的な血液の使用量をニーズに応じて収集することができる。得られる血液製剤から、リンパ球分離溶液又は赤血球溶解バッファーで赤血球を除去し、得られた単核細胞を、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液で2-3回洗浄し、培養開始細胞として造血幹細胞・前駆細胞の製造、培養及び捕獲を行う。
2.不均一性造血幹細胞・前駆細胞クローンの捕獲及び製造
上記得られる単核細胞を、ハイドロゲルを含むがこれに制限されない柔らかさ及び硬さが適切な細胞培養材料で、包んで植え、マイクロカプセル培養系とする。10%スクロース溶液で一回洗浄して、20%スクロース溶液に再懸濁し、一定の細胞密度で材料と混合し、対応するウェルプレートに植える。幹細胞増殖因子SCF(20-150ng/ml)、FMS関連チロシンキナーゼ3リガンド抗体(20-150ng/ml)、トロンボポエチンTPO(20-100ng/ml)、インターロイキン6 IL6 (10-50ng/ml)、インターロイキン3 IL3 (10-50ng/ml)、血管増殖因子VEGF(2-10ng/ml)、ビタミンC(Vc、10-20ug/ml)、ピューロマイシン誘導体StemRegenin1(SR1)等を含む造血幹細胞・前駆細胞の増殖に適する培養系で培養を行う。2-3日ごとに培養液を交換する。約5日間培養の後、血液中の分化された末期血球のほとんどが徐々に死亡し、マイクロカプセル細胞培養系に異なる形態のクローンが現れ始める。培養時間の増加に伴って、クローンが徐々に増加する。これらのクローンは、密集型クローン、血管状クローン、敷石状クローン、自在分散型クローン等を含む。同じ条件での非マイクロカプセル細胞培養に比べて、ハイドロゲル等の材料で標的細胞を包まないだけでなく、培養条件が同じである他のシステムにおいて、上記説明された各種の細胞クローンが発生しない。
3.単一細胞シーケンシング技術による造血幹細胞・前駆細胞クローンの不均一性の検出
形態的特徴に基づき、異なるクローン中の個別細胞を選択し、単一細胞シーケンシングを行う。単一細胞のRNAを抽出して、Oligo(dT)付き磁気ビーズで真核生物mRNAを濃縮し、切断されたmRNAをテンプレートとしてcDNAを合成する。該cDNAをキットで精製して回収し、PCRによる増幅及びライブラリの構築を行い、構築されたライブラリをシーケンシングして、単一細胞シーケンシングの転写発現の状況を検出する。遺伝子シーケンシングで得られるreads数に基づいて、遺伝子発現、遺伝子構造の最適化、選択的スプライシング、新しい転写産物の予測と注釈、SNP検出等を分析し、且つ遺伝子発現結果から、サンプル間で差次的に発現された遺伝子をスクリーニングし、差次的に発現された遺伝子に基づいて、GO機能の有意性濃縮分析及びpathwayの有意性濃縮分析を行う。単一細胞に対して主成分の細胞クラスタリング分析を行い、それにより上記各種のクローンの不均一性を検出する。
4.不均一性造血幹細胞・前駆細胞クローンの表面分子発現
マイクロカプセル培養系中の各種クローンは一定のサイズ、約各クローンが30-80個の細胞を含むように増殖するとき、系をほぐし、混合し、エチレンジアミン四酢酸消化液で消化し、70umメッシュのふるいを通過させ、遠心分離し、細胞を得、得られた細胞に対してフローサイトメトリー技術で造血幹細胞・前駆細胞の表面分子のCD34、CD43、CD45、CD90等を含む発現の状況を検出する。
5.インビトロ分化能の検出
マイクロカプセル培養系に現れる密集型クローン、血管状クローン、敷石状クローン、自在分散型クローン等を含むいくつかの細胞タイプのクローンに対して、クローンの形状に基づき選択し、各種のクローンから200-300個の細胞を選択し、増殖因子を含む半固体のメチルセルロース培地でクローン形成実験を行い、赤芽球バーストコロニー、一般的な小さな赤芽球コロニー、顆粒球コロニー、顆粒球-マクロファージコロニー、赤芽球-顆粒球-マクロファージ混合コロニー等を含む異なるクローンの多分化能を検出する。
6.異なるクローンの増殖能の検出
マイクロカプセル培養系に現れる密集型クローン、血管状クローン、敷石状クローン、自在分散型クローン等を含むいくつかの細胞タイプのクローンに対して、クローンの形状に基づき選択し、異なるクローンを別々に選択して、造血幹細胞・前駆細胞の増殖因子を含む培地において増殖能研究実験を行い、異なるクローンの自己複製能を検出する。
7.マイクロカプセル培養系中の造血幹細胞転写因子の発現の検出
マイクロカプセル細胞培養系の細胞集団全体の分子レベルでの生物学的特性に関する研究を行う。RNAシーケンシングの方式を利用して、マイクロカプセル培養系中の細胞の、特に造血幹細胞に関連する転写因子、シグナル伝達経路、及び微小環境に関連する因子のトランスクリプトームレベルでの変化を検出し、転写因子は、CD34、Runx1、GATA2、c-MYC、HoxA9、HoxB4、GATA1、Tie2等を含み、シグナル伝達経路は、主に造血幹細胞の幹細胞性維持、代謝、通路遺伝子の分化を有し、微小環境に関連する因子は、主にホーミング、細胞接着関連因子等である。
8.マイクロカプセル細胞培養系全体中の細胞集団全体のインビボ造血分化能の検出
各種の造血コロニーをほぐした後に形成された細胞集団を移植実験を行い、骨髄腔に標的細胞を移植し、細胞のインビボにおける長期的な自己複製能及び多分化能を検出する。マウスのインビボにおけるヒト化細胞の移植状況を定期的に検出する。同じ条件でのマイクロカプセル培養されない細胞を対照とする。
本発明の方法の特徴は、マイクロカプセル培養系で非動員末梢血中の希少造血幹細胞・前駆細胞を捕獲して、増幅し、不均一性の造血幹細胞・前駆細胞クローンを製造することである。該システムは、非動員末梢血中の希少不均一性幹細胞を初回で捕獲し、且つ非動員末梢血の中に不均一性造血幹細胞・前駆細胞が存在することを初回で形態学的に検証した。該方法は、患者の固有の機能的造血幹細胞を得るために信頼できる細胞の供給源を提供し、且つ非動員造血幹細胞・前駆細胞の臨床応用を積極的に促進する。
非動員末梢血を利用して造血幹細胞・前駆細胞を取得する技術フローチャートである。ドナーの非動員末梢血を採取する。単核細胞を得て、マイクロカプセル培養系で上記単核細胞の処理及び培養を行い、異なる形態のクローンの発生及び増殖状況を定期的に検出する。
非動員末梢血に異なる形態のクローンが現れ、形態学的に著しく変化することを表す図である。
フローサイトメトリーによるマイクロカプセル培養における非動員末梢血細胞中の造血幹細胞・前駆細胞のマーク発現の変化状況の検出を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養による細胞と、動員後に分離された造血幹細胞とのクローン形成能力の比較を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養と非マイクロカプセル培養後の細胞増殖状況の比較分析を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養と非マイクロカプセル培養後の細胞のインビボの長期的な自己複製能及び多分化能の検出模式図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養と非マイクロカプセル培養後の細胞のインビボの取得されたT細胞の検出を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養と非マイクロカプセル培養後の細胞のインビボの取得された骨髄細胞の検出を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養と非マイクロカプセル培養後の細胞のインビボの取得されたB細胞の検出を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養と非マイクロカプセル培養後の細胞のインビボの取得されたヒトTh1細胞の検出を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養と非マイクロカプセル培養後の細胞のインビボの取得されたヒトTh2細胞の検出を表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の末梢血の中にヒト細胞を含むことを検出するフローチャートである。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の骨髄の中にヒト細胞を含むことを検出するフローチャートである。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の肝臓の中にヒト細胞を含むことを検出するフローチャートである。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の脾臓の中にヒト細胞を含むことを検出するフローチャートである。
二次移植された末梢血中のヒト細胞を検出して非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の長期的な自己複製及び分化能力を検出することを表す図である。
二次移植された骨髄中のヒト細胞を検出して非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の長期的な自己複製及び分化能力を検出することを表す図である。
二次移植された肝臓中のヒト細胞を検出して非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の長期的な自己複製及び分化能力を検出することを表す図である。
二次移植された脾臓中のヒト細胞を検出して非動員末梢血のマイクロカプセル培養後の長期的な自己複製及び分化能力を検出することを表す図である。
非動員末梢血のマイクロカプセル培養、非マイクロカプセル培養後、非動員末梢血及び動員後の造血幹細胞中の重要な造血転写因子発現の検出を表す図である。
単一細胞蛍光定量的PCR技術で検出されたマイクロカプセル培養、非マイクロカプセル培養での非動員末梢血、非動員末梢血及び動員後の造血幹細胞における重要な転写因子、シグナル伝達経路等の発現状況の比較分析を表す図である。
透過型電子顕微鏡を利用して細胞内のオルガネラの超微細構造を観察する図である。動員後の造血幹細胞を陽性対照とする。マイクロカプセル培養及び非マイクロカプセル培養の核質比がいずれも増加した。マイクロカプセル培養及び非マイクロカプセル培養の培養過程において大量の小胞体、活発なミトコンドリア数、及びクリステの折り畳みが観察された。
本発明は、図面と実施例を参照しながら更に説明する。以下の実施例に使用される材料、試薬等は、特に説明がない限り、いずれも商業的供給元から入手できる。
実施例1 非動員末梢血を利用して不均一性造血幹細胞・前駆細胞クローンを製造する
以下のとおり要約する:
1.本発明は、マイクロカプセル培養系を利用して、非動員末梢血中の希少幹細胞を捕獲し、且つ不均一性造血幹細胞・前駆細胞クローンを製造する方法を提供し、不均一性造血幹細胞・前駆細胞クローンを得た上で、少量の非動員末梢血を利用して大量の造血幹細胞・前駆細胞を得ることができ、且つ下流の分子及び細胞の生物学的機能の検出に続いて用いることができる。具体的な技術案は図1に示される。
2.非動員末梢血を利用して単核細胞を得る
ボランティアを募集し、実験のニーズに応じて、1ml未満であってもよく、1mlを超えてもよい血液製剤を無菌的に採取し、滅菌抗凝固チューブで収集する。
2.1 赤血球溶解バッファーを利用して赤血球を溶解する
赤血球溶解バッファーで赤血球を溶解し、1ml当たりの非動員末梢血に2-4mlの溶解液を加え、氷上で5-8分間溶解し、血液製剤の色の変化を観察したところ、元の深赤色から薄赤色になり、血液製剤が元の非透明状から透明状に徐々になり、このとき、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含まない適量のリン酸緩衝液を加えて中和することができ、1500回転/分、5分間で、遠心分離し、単核細胞を得て、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液で2-3回洗浄し、得られる単核細胞を次のステップの実験に用いる。
2.2 リンパ球分離溶液を利用して血液製剤の単核細胞の分離を行う
リンパ球分離溶液と非動員末梢血を1:2の割合で遠心分離管に加え、2500回転/分、25分間、4度で、中央の白い膜層を吸引して、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液で2-3回洗浄し、得られる単核細胞を次のステップの実験に用いる。
3.不均一性造血幹細胞・前駆細胞のクローンを製造する
柔らかさ及び硬さが適切なハイドロゲルで非動員末梢血中の得られる単核細胞を包み、細胞が材料に包まれ、カプセルに類似し、マイクロカプセル培養系とし、20-200ng/mlのSCF、20-200ng/mlのFLT3L、10-20ng/mlのIL-3、10-20ng/mlのIL-6、10-100ng/mlのTPO、2-10ng/mlのVEGF、5-30ug/mlのビタミンCを含む無血清造血幹細胞増幅培地SFEM(STEMCELL TECHNOLOGY)で培養し、2日間ごとに培地を交換する。顕微鏡で細胞とクローンの増殖状態を観察する。クローンの増殖形態及びその変化を記録する。形態学的変化が図2に示される。
4.フローサイトメトリーで、マイクロカプセル培養系における造血幹細胞・前駆細胞の関連する表面のマーク発現の状況を検出する
クローンが一定のサイズに増殖するとき、クローン細胞をほぐし、緩衝液で洗浄し、フローサイトメトリーでマイクロカプセル培養系における細胞内の造血幹細胞・前駆細胞のマーク発現の状況を検出する。
具体的には以下のとおりである:
マイクロカプセル培養系におけるクローンが約50-80umに増殖するとき、ピペットチップでシステム全体を軽くピペッティングし、カプセルシステムを分解し、遠心分離し、細胞を収集し、0.25%トリプシン/エチレンジアミン四酢酸で10分間消化し、ウシ胎児血清を含む培地で消化を終了し、軽くピペッティングし、70umメッシュの細胞フィルタを通過させ、1000回転/分、5分間で、細胞を収集する。カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液で2-3回洗浄し、細胞を収集する。細胞密度を、1ミリリットル当たり10-10個の細胞に調節し、CD34、CD45、CD43、CD90、CD309、CD117、CD19、CD15、CD3等を含む対応するフロー抗体を加え、室温で暗所で30分間インキュベートし、リン酸緩衝液で2-3回洗浄し、500マイクロリットルのリン酸緩衝液(1%のFBS及び1mMのエチレンジアミン四酢酸を加える)で細胞を再懸濁し、BD FACScalibur instrument(Becton Dickinson)でマイクロカプセル培養系における複数種の造血細胞表面抗原の発現状況を検出する。アイソタイプIgを対照とする。FlowJo Version 7.2.5のソフトウェアでデータを分析する。フロー検出の統計分析結果が図3に示される。
5.マイクロカプセル培養系における各種のクローンのインビトロクローン形成能の検出
クローンの形態に基づき、各種のクローンから200-300個の細胞を選択して、造血増殖因子20ng/mLSCF、20ng/mLIL-3、20ng/mLIL-6、20ng/mLG-CSF、20ng/mLGM-CSF、20ng/mLTPO、3U/mLEPOを含む半固体のメチルセルロース培地に培養し、約2週間で、各種の造血クローンの形成状況を検出する。造血コロニーの形成構造、細胞のサイズ、色及び屈折率等の形態学的特徴等に基づき、各種の造血細胞コロニーの形成状況を判断してカウントする。結果が図6に示される。図6は、非動員末梢血から得られる敷石状クローンを、造血増殖因子を含む半固体のメチルセルロース培地に、約2週間培養し、赤芽球バースト、巨核球、顆粒球/マクロファージ、赤芽球/顆粒球/マクロファージ/巨核球造血コロニーを生成する。異なる培養系における細胞のクローン形成能力の検出が図4に示される。
6.マイクロカプセル培養系における各種のクローンの増殖能分析
クローンの形態に基づき、異なるクローンを選択し、カウントし、各種のクローンから5000個の細胞を選択して、20-200ng/mlSCF、20-200ng/mlFLT3L、10-20ng/mlIL-3、10-20ng/mlIL-6、10-100ng/mlTPO、2-10ng/mlVEGF、5-30ug/mlビタミンCを含む無血清造血幹細胞増幅培地SFEM(STEMCELL TECHNOLOGY)で継代培養を行い、2日間ごとに培地を交換し、7-14日間培養し、細胞をカウントし、細胞の増幅状況を計算する。異なる培養系における細胞の増殖状況の検出が図5に示される。
7.マイクロカプセル培養系及び非マイクロカプセル培養系における得られる細胞のインビボの自己複製能及び多分化能の検出
非動員末梢血単核細胞を、マイクロカプセル培養系及び非マイクロカプセル培養系で約2週間培養し、免疫不全マウスに移植し、細胞の自己複製能及び多分化能のインビボ検出を行い、マウスインビボのヒト細胞のキメラ状況を定期的に検出し、末梢血、骨髄、脾臓及び肝臓等の臓器を含み、細胞タイプは、ヒトT細胞、B細胞、骨髄細胞を含み、T細胞はTh1及びTh2タイプを含む。マイクロカプセル培養及び非マイクロカプセル培養後の非動員末梢血細胞のインビボの自己複製及び多分化能力の検出結果が図6-図15に示される。
8.マイクロカプセル培養系及び非マイクロカプセル培養系における得られる細胞のインビボの長期的な自己複製能及び多分化能の検出
成功に移植されたマウスにヒト細胞キメラが存在し、移植された細胞が自己複製能及び多分化能を有することを説明する。移植の4ヶ月の後、その骨髄細胞を採取して、二回目の移植を行い、それにより細胞の長期的な自己複製能及び多分化能を検出する。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月及び4ヶ月でヒト細胞の含有量を検出し、具体的な内容は、末梢血、骨髄、脾臓及び肝臓等の臓器を含み、細胞タイプはヒトT細胞、B細胞、骨髄細胞を含む。結果が図16-図19に示される。
9.トランスクリプトームシーケンシングはマイクロカプセル培養系の細胞の分子レベルでの調節メカニズムを検出する
具体的なステップは以下のとおりである:サンプルからトータルRNAを抽出し且つDNase IでDNAを消化した後、Oligo(dT)付きの磁気ビーズで真核生物mRNAを濃縮し、切断用試薬を加えて、Thermomixerで、適切な温度でmRNAを短い断片に切断し、切断されたmRNAをテンプレートとして1本鎖cDNAを合成し、次に2本鎖合成反応システムを調製して2本鎖cDNAを合成し、且つキットで精製して回収し、粘着末端を修復し、cDNAの3’末端に塩基「A」を追加してアダプターに接続し、次に断片のサイズを選択して、最終的にPCRによる増幅を行い、構築されたライブラリをAgilent 2100 Bioanalyzer及びABI StepOnePlus Real-Time PCR Systemで認定した後、Illumina HiSeqTM 2000シーケンサーでシーケンシングを行う。
Illumina HiSeqTM 2000シーケンシングで得られるデータに対して情報分析を行い、生データraw readsを品質管理(QC)し、シーケンシングデータが後続分析に適用できるか否かを決定する。濾過して得られたclean readsを参照シーケンスに合わせて比較する。比較が終了した後、比較率、readsの参照シーケンスでの分布状況等を統計することにより、比較結果が2番目の品質管理(QC of alignment)に合格するか否かを判断する。合格した場合、遺伝子と転写物の定量的分析、遺伝子発現レベルに基づくさまざまな分析(主成分、関連性、条件特異的発現、差次的遺伝子スクリーニング等)、エクソン定量、遺伝子構造の最適化、選択的スプライシング、新しい転写産物の予測と注釈、SNP検出、Indel分析、遺伝子融合等の一連の後続分析を行い、且つスクリーニングされたサンプル間で差次的に発現された遺伝子に対して、重要な転写因子の検索及び分析を行う。結果が図20に示される。
10.ハイスループット蛍光定量的PCRでマイクロカプセル培養及び非マイクロカプセル培養後の非動員末梢血細胞中の重要な造血転写調製因子の発現状況を検出する。プライマー配列がタイピング配列表に示されている。結果が図21に示される。
11.走査及び透過型電子顕微鏡で細胞の形態及び内部構造特徴を検出する
透過型電子顕微鏡(TEM)で細胞の超微細構造を分析する。サンプルを2.5%グルタルアルデヒド溶液で4時間より大きい時間で固定する。カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液で洗浄した後、1%オスミウム酸で1h処理し、蒸留水で2-3回洗浄する。2%酢酸ウランで固定した後、一連の濃度が50%、70%、90%、100%のエタノールで細胞脱水を行い、毎回10-15分間であり、最終的に100%アセトンに2回浸し、毎回10-15分間である。 浸潤後に、分画、重合、及び酢酸ウラニルとクエン酸鉛溶液で染色した後、低温で透過型電子顕微鏡TEM (Tecnai Spirit)で細胞の内部構造を観察する。結果が図22に示される。

Claims (4)

  1. 非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法であって、
    培養の開始細胞の供給源として、前記非動員末梢血である正常な末梢血であって、骨髄に顆粒球コロニー刺激因子G-CSF又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子GM-CSFを含む動員促進剤で処理されていない正常な末梢血を用い、得られ血液製剤から、リンパ球分離溶液又は赤血球溶解バッファーで赤血球を除去し、得られた単核細胞を、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液で2~3回洗浄し、使用に供する、開始細胞の供給源及び該開始細胞の用意のステップ(1)と、
    得られた上記単核細胞を細胞培養材料であるハイドロゲルで包んで播種して、マイクロカプセル培養系とし、10%スクロース溶液で一回洗浄して、20%スクロース溶液に再懸濁し、ウェルプレート中に播種し、培養液で培養し、2~3日ごとに培養液を交換し、形態の異なるクローンが現れ、前記培養液は、20~150ng/mlの幹細胞増殖因子SCF、20~150ng/mlのFMS関連チロシンキナーゼ3リガンド抗体、20~100ng/mlのトロンボポエチンTPO、10~50ng/mlのインターロイキン6 IL6、10~50ng/mlのインターロイキン3 IL3、2~10ng/mlの血管増殖因子VEGF、10~20ug/mlのビタミンC、及びピューロマイシン誘導体StemRegenin1からなる、不均一性造血幹細胞・前駆細胞のクローンの捕獲及び製造のステップ(2)と、
    形態的特徴に基づき、クローン中の個別細胞を選択し、単一細胞シーケンシングを行い、単一細胞のRNAを抽出して、Oligo付き磁気ビーズで培養系内の各単一細胞のmRNAを濃縮し、切断されたmRNAをテンプレートとしてcDNAを合成し、該cDNAをキットで精製して回収し、PCRによる増幅及びライブラリの構築を行い、構築されたライブラリをシーケンシングして、単一細胞シーケンシングの転写の発現の状況を検出し、遺伝子シーケンシングで得られるreads数に基づいて、遺伝子発現、遺伝子構造の改善方式、選択的スプライシング、新しいトランスクリプトの予測と注釈、及びSNP検出を分析し、且つ遺伝子発現結果から、サンプル間で差次的に発現された遺伝子をスクリーニングする、単一細胞シーケンシング技術により造血幹細胞・前駆細胞のクローンの不均一性を検出するステップ(3)と、
    マイクロカプセル培養系中の各種のクローンが各クローンに30~80個の細胞を含むまで増殖したとき、系をほぐし、混合し、エチレンジアミン四酢酸で各クローンを個々の細胞に分割し、70umメッシュのふるいを通過させ、遠心分離し、細胞を得、得られた細胞に対して、フローサイトメトリー技術で造血幹細胞・前駆細胞の表面分子のCD34、CD43、CD45、及びCD90を含む発現の状況を検出する、不均一性造血幹細胞・前駆細胞のクローンの表面分子の発現のステップ(4)と、
    マイクロカプセル培養系に現れるいくつかの異なる形態のクローンに対して、クローンの形状に基づき選択し、各種のクローンから200~300個の細胞を選択し、増殖因子を含む半固体のメチルセルロース培地でクローン形成実験を行い、赤芽球バーストコロニー、顆粒球コロニー、顆粒球-マクロファージコロニー、及び赤芽球-顆粒球-マクロファージ混合コロニーを含む異なるクローンの多分化能を検出する、インビトロ分化能を検出するステップ(5)と、
    マイクロカプセル培養系に現れる密集型クローン、血管状クローン、敷石状クローン、及び自在分散型クローンを含むいくつかの細胞タイプのクローンに対して、クローンの形状に基づき選択し、異なるクローンを別々に選択して、造血幹細胞・前駆細胞の増殖因子を含む培地において増殖能研究実験を行い、異なるクローンの自己複製能を検出する、異なるクローンの増殖能を検出するステップ(6)と、
    マイクロカプセル培養系の細胞集団全体の分子レベルでの細胞生物学的特性の研究を行い、RNAシーケンシングの方式を利用して、マイクロカプセル培養系中の細胞の、造血幹細胞に関連する転写因子、シグナル伝達経路、及び微小環境に関連する因子のトランスクリプトームレベルでの変化を検出する、マイクロカプセル培養系中の造血幹細胞の転写因子の発現を検出するステップ(7)と、
    各種の造血コロニーをほぐした後に形成された細胞集団をマウスを用いた移植実験を行い、細胞のインビボにおける長期的な自己複製能及び多分化能を検出し、マウスのインビボにおけるヒト化細胞の移植状況を定期的に検出し、同じ条件でのマイクロカプセル培養されない細胞を対照とする、マイクロカプセル培養系全体中の細胞集団全体のインビボ造血分化能を検出するステップ(8)と、によって実現される、ことを特徴とする非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法。
  2. ステップ(2)では、培養した後、密集型クローン、血管状クローン、敷石状クローン、及び自在分散型クローンを含む異なる形態のクローンが現れる、ことを特徴とする請求項1に記載の非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法。
  3. ステップ(3)では、差次的に発現された遺伝子に基づいて、遺伝子オントロジー(Gene Ontology)による遺伝子の機能の有意性濃縮分析及び遺伝子のパスウェイにおける有意性濃縮分析を行い、単一細胞に対して主成分の細胞クラスタリング分析を行い、それにより上記各種のクローンの不均一性を検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法。
  4. ステップ(7)における転写因子は、CD34、Runx1、GATA2、c-MYC、HoxA9、HoxB4、GATA1、及びTie2を含み、シグナル伝達経路は、造血幹細胞の幹細胞性維持に関連するシグナル伝達経路及び造血幹細胞の代謝に関連するシグナル伝達経路を含み、微小環境に関連する因子は、ホーミング関連因子及び細胞接着関連因子を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の非動員末梢血を利用した不均一性造血幹細胞・前駆細胞の製造方法。

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