JP7025229B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
黒色発色性を高める方法として、熱可塑性樹脂に黒色染料を配合することが知られている。しかし、黒色染料は発色性に優れるものの、耐候性が低いという問題を有していた。
そこで、黒色着色剤としてカーボンブラックを用いることにより、黒色発色性と耐候性とを高めることが検討されている。
例えば、特許文献1には、アクリル系樹脂に、数平均粒子径が10~40nmのカーボンブラックと、脂肪酸エステル又は脂肪酸アミド等の滑剤とを配合することにより、成形品の黒色発色性及び耐候性を高めることが記載されている。
特許文献2には、メタクリル系樹脂に、脂肪酸塩又は脂肪酸アミドがコーティングされたカーボンブラックと、染料とを配合することにより、成形品の黒色発色性及び耐候性を高めることが記載されている。
本発明は、黒色発色性及び耐候性が共に優れた成形品が容易に得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、黒色発色性及び耐候性が共に優れた成形品を提供することを目的とする。
[1]アクリル系樹脂と、一次粒子の数平均粒子径が10~20nmのカーボンブラックと、脂肪酸塩とを含有する、熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記カーボンブラックの質量Mcと前記脂肪酸塩の質量Mfとの比率(Mc/Mf)が下記式(1)で表される条件を満たす、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
0.05≦Mc/Mf≦30 ・・・(1)
[3][1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する成形品。
本発明の成形品は、黒色発色性及び耐候性が共に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の一態様について説明する。
本様態の熱可塑性樹脂組成物は、アクリル系樹脂とカーボンブラックと脂肪酸塩とを含有する。
本態様の熱可塑性樹脂組成物に含まれるアクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(メタクリル酸メチルの単独重合体)、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の他のアクリルモノマーとの共重合体、メタクリル酸メチルとアクリルモノマー以外の他のビニル系モノマーとの共重合体(但し、メタクリル酸メチル単位含有量が50質量%以上100質量%未満)等が挙げられる。前記アクリル系樹脂のなかでも、ポリメタクリル酸メチルを用いた場合に本発明はより有用になる。アクリル系樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
他のアクリルモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
他のビニル系モノマーとしては、例えば、芳香族ビニル(例えば、スチレン、α-メチルスチレン等)、シアン化ビニル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)が挙げられる。
他のアクリルモノマー及び他のビニル系モノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の熱可塑性樹脂組成物に含まれるカーボンブラックは、一次粒子の数平均粒子径が10~20nmの範囲内にある小粒径のカーボンブラックであり、黒色着色剤としての役割を果たす。前記カーボンブラックの一次粒子の数平均粒子径は10~15nmであることが好ましい。
カーボンブラックの一次粒子の数平均粒子径が前記下限値以上であることにより、カーボンブラックのブリードアウトを抑制でき、耐候性を向上させることができる。カーボンブラックの一次粒子の数平均粒子径が前記上限値以下であることにより、成形品の黒色発色性を向上させることができる。
本発明における数平均粒子径は、以下のように求めた値である。
電子顕微鏡を用いてカーボンブラック凝集体を観察し、輪郭を有して分離できない粒子の直径を測定する。10個以上の粒子の直径を測定し、Σ(nd)/Σnの式(nは粒子の個数、dは粒子の直径である。)より数平均粒子径を求める。
また、カーボンブラックは、図1に示すように、一次粒子が凝集したストラクチャー構造を形成することが知られており、このストラクチャーを構成する1つ1つの粒子も一次粒子として測定する。
ストラクチャーの数平均粒子径としては、好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。ストラクチャー粒子径が上記範囲内であれば、発色性がより向上する。
また、カーボンブラックの分散状態は、黒色を発色させるという点で、一次分散であることが好ましい。ここで、一次分散とは、カーボンブラックの粒子が一次粒子で、すなわち単位粒子が他の粒子と凝集することなく分散している状態を指す。カーボンブラックの分散は、透過型電子顕微鏡による観察により確認することができる(図2参照)。
カーボンブラックは、表面処理されたものであってもよい。表面処理としては、例えば、表面に官能基を付与するための酸化処理、黒鉛化するための不活性雰囲気下での加熱処理、水蒸気処理、炭酸ガス処理等が挙げられる。
酸化処理としては、オゾン、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素のいずれかによる処理が挙げられる。酸化処理によってカーボンブラックの表面に、カルボキシ基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を生成させることができる。これにより、カーボンブラックの表面における濡れ性が高くなるため、アクリル樹脂中のカーボンブラックの分散性がより高くなる。
カーボンブラックは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。一次粒子の数平均粒子径が10~20nmの範囲内のカーボンブラックを含んでいれば、一次粒子径の数平均粒子径が前記範囲外のカーボンブラックを少量(例えば、アクリル系樹脂を含む熱可塑性樹脂100質量部に対して3質量部以下)含んでもよい。
脂肪酸塩は、直鎖炭化水素のモノカルボン酸塩であり、前記カーボンブラックの分散剤としての役割を果たす。脂肪酸塩の炭素数は、成形品の黒色発色性及び耐候性がより高くなることから、5以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。実用の点から、脂肪酸塩の炭素数は30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
脂肪酸塩を構成する脂肪酸は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、飽和脂肪酸が好ましい。
上記のことから、脂肪酸塩を構成する脂肪酸としては、炭素数12~20の飽和脂肪酸がさらに好ましい。炭素数12~20の飽和脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸等が挙げられる。炭素数12~20の飽和脂肪酸のなかでも、成形品の黒色発色性及び耐候性を向上させる効果が特に高くなることから、ステアリン酸が好ましい。
ステアリン酸塩としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
脂肪酸塩は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸塩は、前記カーボンブラックの表面を覆っていてもよいし、前記カーボンブラックとは別に熱可塑性樹脂組成物中に存在していてもよい。
本態様の熱可塑性樹脂組成物は、前記カーボンブラック及び前記脂肪酸塩以外の添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
本態様の熱可塑性樹脂組成物は、少量であれば、染料を含有してもよい。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン(但し、ゴム成分を含むものを除く。)、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル-スチレン-N-置換マレイミド三元共重合体、スチレン-無水マレイン酸-N-置換マレイミド三元共重合体、メチルメタクリレート-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリアミド、スチレン系エラストマー(スチレン-ブタジエン
-スチレン(SBS)、スチレン-ブタジエン(SBR)、水素添加SBS、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)等)、各種のオレフィン系エラストマー、各種のポリエステル系エラストマー等が挙げられる。他の熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の熱可塑性樹脂組成物における前記カーボンブラックの含有量は、前記アクリル系樹脂を含む熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましく、0.3~3質量部であることがより好ましい。カーボンブラックの含有量が前記下限値以上であれば、成形品の黒色発色性がより高くなる。カーボンブラックの含有量が前記上限値以下であれば、成形品の耐候性がより高くなる。
本態様の熱可塑性樹脂組成物における前記脂肪酸塩の含有量は、前記アクリル系樹脂を含む熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましく、0.3~3質量部であることがより好ましい。脂肪酸塩の含有量が前記下限値以上であれば、成形品の黒色発色性及び耐候性がより高くなる。脂肪酸塩の含有量が前記上限値以下であれば、成形品の機械的物性を良好にできる。
前記カーボンブラックの質量Mcと前記脂肪酸塩の質量Mfとの比率(Mc/Mf)は、下記式(1)で表される条件を満たすことが好ましく、下記式(2)で表される条件を満たすことがより好ましく、下記式(3)で表される条件を満たすことがさらに好ましい。Mc/Mfが前記範囲内であれば、成形品の黒色発色性及び耐候性を向上させる効果をより発揮させることができる。
0.05≦Mc/Mf≦30 ・・・(1)
0.2≦Mc/Mf≦10 ・・・(2)
0.5≦Mc/Mf≦5 ・・・(3)
また、全添加剤の合計の含有量は、成形品の機械的物性低下を防ぐことから、0質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
本態様の熱可塑性樹脂組成物が染料を含有する場合、成形品の耐候性低下を防止することから、染料の含有量が少ないことが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂組成物における染料の含有量は、前記アクリル系樹脂を含む熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して1.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましく、0質量部であることが特に好ましい。
本態様の熱可塑性樹脂組成物が他の熱可塑性樹脂を含有する場合、成形品の耐候性低下を防止することから、他の熱可塑性樹脂の含有量が少ないことが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂組成物における他の熱可塑性樹脂の含有量は、他の熱可塑性樹脂及び前記アクリル系樹脂の合計100質量%に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
本態様の熱可塑性樹脂組成物は、前記アクリル系樹脂に前記カーボンブラックと前記脂肪酸塩と必要に応じてその他の添加剤とを添加することにより得られる。前記アクリル系樹脂に前記カーボンブラックと前記脂肪酸塩と必要に応じてその他の添加剤を添加した後には、ミキサを用いて充分に混合して混合物を調製し、前記混合物を、混練機を用いて溶融混練することが好ましい。
ミキサとしては、例えば、ヘンシェルミキサ、V型ブレンダ、タンブラーミキサ等を使用することができる。
混練機としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ミキシングロール等を使用することができる。
溶融混練後、得られた溶融混練物を冷却した後、ペレタイザを用いてペレット化することが好ましい。
前記カーボンブラック混合物に含まれる希釈用樹脂としては、前記アクリル系樹脂及び前記他の熱可塑性樹脂と同様の樹脂を使用できる。希釈用樹脂は前記アクリル系樹脂と同一の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。希釈用樹脂が前記アクリル系樹脂とは異なる場合、希釈用樹脂として他の熱可塑性樹脂のうちの少なくとも1種を用いることができる。
例えば、前記アクリル系樹脂がポリメタクリル酸メチルの場合、希釈用樹脂はポリメタクリル酸メチルであってもよいし、ポリメタクリル酸メチル以外の樹脂(例えば、スチレン-アクリロニトリル共重合体等)であってもよい。
前記カーボンブラック混合物においては、前記カーボンブラックの分散性をさらに向上させるための滑剤を含有してもよい。滑剤としては、公知のものを制限なく使用できる。滑剤の具体例としては、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等が挙げられる。
前記カーボンブラック混合物におけるカーボンブラックの含有量は、前記カーボンブラックと前記希釈用樹脂の合計を100質量%とした際の20~70質量%であることが好ましく、30~60質量%であることがより好ましい。カーボンブラックの含有量が前記範囲内であれば、成形品の黒色発色性及び耐候性を充分に向上させることができる。
前記カーボンブラック混合物は溶融混練されていることが好ましい。また、前記カーボンブラック混合物は、溶融混練後にペレット化されていることが好ましい。
本態様の熱可塑性樹脂組成物では、黒色着色剤として、一次粒子の数平均粒子径が10~20nmの小粒径カーボンブラックを使用している。小粒径カーボンブラックは、成形品の黒色発色性を高めやすい反面、凝集するなどして樹脂中の分散性が低下し、発色性を充分に発揮できないことがある。
しかし、本態様の熱可塑性樹脂組成物においては、小粒径カーボンブラックと共に脂肪酸塩を含有しており、脂肪酸塩によってアクリル系樹脂中の小粒径カーボンブラックの分散性を向上させることができる。したがって、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の黒色発色性を向上させることができる。
カーボンブラックは材料としての耐候性は染料よりも高いが、アクリル系樹脂との相溶性が低い傾向にある。そのため、アクリル系樹脂及びカーボンブラックを含む成形品に紫外線が長時間照射されると、カーボンブラックが成形品の表面にブリードアウトして成形品表面の色調を変化させることがある。紫外線照射によって色調が変化しやすい成形品は、耐候性が低いものである。
しかし、本態様の熱可塑性樹脂組成物においては、脂肪酸塩によって、アクリル系樹脂に対するカーボンブラックの相溶性を向上させることができる。そのため、本態様の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品に紫外線が長時間照射されても、小粒径カーボンブラックが成形品の表面にブリードアウトしにくく、成形品表面の色調を変化させにくい。したがって、成形品としての耐候性を向上させることができる。
以上のことから、本態様の熱可塑性樹脂組成物によれば、黒色発色性及び耐候性が共に優れた成形品を容易に製造できる。
また、本態様の熱可塑性樹脂組成物によれば、カーボンブラックの凝集物の発生を抑制できるため、外観に優れた成形品を容易に製造できる。
本態様の成形品は、前記態様の熱可塑性樹脂組成物を含有する。本態様の成形品は、公知の成形方法によって成形加工して得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本態様の成形品は、前記態様の熱可塑性樹脂組成物を含有するため、黒色発色性及び耐候性に優れる。このような本態様の成形品は、自動車の内装材及び外装材、事務機器用部品、家電用部品、医療機器用部品、電子機器用部品、建材、日用品等として好適である。
下記例中の「%」及び「部」は、特に断りのない限り、「質量%」及び「質量部」のことである。
(熱可塑性樹脂)
A-1:ポリメタクリル酸メチル(三菱ケミカル株式会社製、「アクリペットVH5」)。
A-2:ポリメタクリル酸メチル(株式会社日本触媒製、「ポリイミレックスPML203」)。
A-3:アクリロニトリル27部とスチレン73部とを懸濁重合して得たアクリロニトリル-スチレン共重合体。N,N-ジメチルホルムアミド溶液として25℃で測定した還元粘度が0.61dl/g。
(カーボンブラック)
B-1:三菱ケミカル株式会社製、三菱カーボンブラック#2900B。一次粒子の数平均粒子径が15nm。
B-2:三菱ケミカル株式会社製、三菱カーボンブラック#2600B。一次粒子の数平均粒子径が13nm。
B-3:三菱ケミカル株式会社製、三菱カーボンブラック#750B。一次粒子の数平均粒子径が22nm。
(分散剤)
C-1:大日化学工業株式会社製、ステアリン酸マグネシウム。
C-2:大日化学工業株式会社製、ステアリン酸カルシウム。
C-3:大日化学工業株式会社製、ステアリン酸亜鉛。
C-4:大日化学工業株式会社製、ステアリン酸ナトリウム。
C-5:第一工業製薬株式会社製、エチレンビスステアリルアミド。
(染料)
D-1:有本化学工業株式会社製Plast Black DA-423。
ポリメタクリル酸メチル(A-1)100質量部、カーボンブラック(B-1)1.0質量部、ステアリン酸マグネシウム(C-1)1.0質量部、エチレンビスステアリルアミド(花王株式会社製)0.4質量部、酸化防止剤(株式会社ADEKA製アデカスタブAO-60)0.2部と、光安定剤(株式会社ADEKA製アデカスタブLA-57)0.4部とを、ヘンシェルミキサを用いて混合した。得られた混合物を、スクリュー式押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX-30α型二軸押出機)を用い、250℃の条件で溶融混練した。これにより得た溶融混練物を冷却後、ペレタイザを用いてペレット化して、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
表1又は表2に示すように配合を変更した以外は実施例1と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
なお、表1及び表2における「Mc/Mf」は、カーボンブラックの質量Mcと分散剤の質量Mfとの比率である。
各例の熱可塑性樹脂組成物について下記のように成形し、成形品の外観、黒色発色性及び耐候性を評価した。
各例の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(株式会社日本製鋼所製)を用いて成形して、100mm四方、厚み3mmの試験片(成形品1)を作製した。
デジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社製「UGV-5D」)を使用して、JISZ8741で定義される、入射角60°における成形品1の表面の光沢度(Gs)を測定した。光沢度が高い程、成形品の外観に優れる。
SCE方式の測色計(コニカミノルタジャパン株式会社製、「CM-508D」)を用い、前記成形品1の色調(L*)を測定した。L*の値が小さい程、成形品の黒味が濃く、黒色発色性に優れる。
前記成形品1を、スガ試験機株式会社製の「サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターWEL-SUN-DCH型」を用い、63℃、サイクル条件:60分(降雨:12分)の環境下に2000時間暴露して、耐候試験をおこなった。耐候試験前後の成形品1の変色の度合い(ΔE)を、前記測色計を用いて測定した。ΔEの値が小さい程、耐候性に優れる。
表1に示すように、各実施例の熱可塑性樹脂組成物によれば、光沢度が高く、L*が小さく、耐候試験前後の△Eが小さい成形品が得られた。したがって、各実施例の熱可塑性樹脂組成物によれば、外観、黒色発色性及び耐候性のいずれもが優れた成形品を得ることができた。
これに対し、表2に示すように、各比較例の熱可塑性樹脂組成物より得た成形品では、黒色発色性及び耐候性の一方が不充分であった。
具体的には、熱可塑性樹脂組成物がアクリル系樹脂を含まずアクリロニトリル-スチレン共重合体を含む比較例1では、成形品の耐候性が低かった。
熱可塑性樹脂組成物に含まれるカーボンブラックの一次粒子の数平均粒子径が20nmを超える比較例2では、成形品の黒色発色性が不充分であった。
熱可塑性樹脂組成物がステアリン酸塩を含まない比較例3,4では、成形品の耐候性が不充分であった。
熱可塑性樹脂組成物が黒色着色剤としてカーボンブラックを含まず染料のみを含む比較例5では、成形品の耐候性が不充分であった。
なお、実施例4~13は比較例である。
Claims (2)
- アクリル系樹脂を含む熱可塑性樹脂と、一次粒子の数平均粒子径が10~20nmのカーボンブラックと、ステアリン酸マグネシウムとを含有する、熱可塑性樹脂組成物(ただし、染料を含むものを除く。)であって、
前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記カーボンブラックの含有量が0.1~5質量部であり、前記ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.1~5質量部であり、
前記カーボンブラックの質量Mcと前記ステアリン酸マグネシウムの質量Mfとの比率(Mc/Mf)が下記式(3)で表される条件を満たす、熱可塑性樹脂組成物。
0.8<Mc/Mf≦1.0 ・・・(3) - 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する成形品。
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