JP7024965B2 - HepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現促進剤の製造方法 - Google Patents

HepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現促進剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、HepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現促進剤の製造方法に関する。
近年、日本等の先進諸国を始め、急速な近代化および欧米化が進展しているアジア諸国等では、食生活やライフスタイルの変化等に伴い、人口に占める肥満者の割合が増加し、これに起因する生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症等)の罹患者も増加している。このようなことから、肥満を改善することが重要である。
肥満を改善するためには、一般に、摂取エネルギーを制限することや、既に体内に蓄積している脂肪を低減させることが考えられる。肥満症の治療においては、摂取エネルギーを制限することを中心に考えられている。
しかしながら、摂取エネルギーを制限することは、空腹感あるいはストレスといった肉体的および精神的苦痛を強いるものである。そのため、脂肪代謝を改善し、体内に蓄積している脂肪を低減させること(例えば、脂肪の分解を促進すること、または体脂肪の蓄積を抑制すること等)が注目されている。
植物由来の成分は、種々の研究によって様々な生理機能性を有することが確認されており、また、一般に、副作用の可能性が小さいという点において、生理機能改善剤としての利用が期待されている。
脂肪の分解を促進したり、体脂肪の蓄積を抑制したりする脂肪代謝改善剤においても、植物由来の成分として、藻類の抽出物(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
しかしながら、従来の植物由来成分は、総合的脂肪代謝に対する幅広い機能性を有するという点において十分満足できるものではなく、細胞レベルで脂肪代謝を改善し、これらの性質を満足する脂肪代謝改善剤が切望されている。
特開2000-72642号公報
本発明の目的は、HepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現を促進するHepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現促進剤の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)に記載の本発明により達成される
) 抽出溶媒としての14体積%以上60体積%以下のエタノール水溶液と、ロサ・センチフォリアの花弁とを接触させて、前記花弁の含有成分を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で得られた抽出物を、40体積%以上85体積%以下のエタノール水溶液を溶離液として用い、充填材として合成吸着樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーに供することにより精製する精製工程と、
前記精製工程で得られた溶出液を濃縮する濃縮工程とを有することを特徴とするHepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現促進剤の製造方法。
本発明によれば、HepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現を促進するHepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現促進剤の製造方法を提供することができる。
HepG2細胞におけるLDLR遺伝子に対するバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の影響を示すグラフである。 HepG2細胞におけるACC1遺伝子に対するバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の影響を示すグラフである。 HepG2細胞におけるFAS遺伝子に対するバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の影響を示すグラフである。 HepG2細胞におけるSREBP1c遺伝子に対するバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の影響を示すグラフである。 HepG2細胞におけるACOX遺伝子に対するバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の影響を示すグラフである。 HepG2細胞におけるCPT1a遺伝子に対するバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の影響を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[脂肪代謝改善剤]
まず、本発明の脂肪代謝改善剤について説明する。
本発明の脂肪代謝改善剤は、バラ花弁抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明に係るバラ花弁抽出物は、動物に投与されたときに、脂肪代謝(特に肝臓(肝細胞)における脂肪代謝)に関連する遺伝子(脂肪代謝遺伝子)の発現を調節する作用を有する。具体的には、血漿中から肝細胞内へLDL(低比重リポタンパク質:Low Density Lipoprotein)の取り込みに関与する遺伝子の発現を促進することによって脂肪輸送を促進する。また、脂肪酸のβ酸化に関与する遺伝子の発現を促進することによって蓄積脂肪の分解を促進するとともに、脂肪酸の合成に関与する遺伝子の発現を抑制することにより脂肪の蓄積を抑制する。これらが相乗的に作用することにより、細胞レベルでの総合的な脂肪代謝がより効果的に改善される。
そして、本発明の脂肪代謝改善剤は、上記のような作用を有するバラ花弁抽出物を有効成分として含むことにより、従来の脂肪代謝改善剤とは異なり、細胞レベルで総合的に脂肪代謝を改善することができる。
したがって、本発明の脂肪代謝改善剤は、例えば、脂肪代謝促進(特に、肝臓の脂肪代謝促進)、体脂肪低減促進、脂肪肝の予防または治療、肥満の予防または治療、メタボリックシンドロームの予防または治療、肥満に起因する糖尿病、高血圧、高脂血症等の生活習慣病の予防または治療等のために用いることができる。
本発明の脂肪代謝改善剤(後述する本発明の組成物、成形体も同様)は、動物としてのヒトに適用されるものであってもよいし、ヒト以外の動物に適用されるものであってもよい。
なお、本明細書において、脂肪代謝とは、血漿中から肝細胞内へLDLを取り込む作用、肝細胞において脂肪酸をβ酸化により分解する作用、および、肝細胞における脂肪酸の合成を抑制する作用を含む概念である。
本発明の脂肪代謝改善剤によって発現が調整される脂肪代謝遺伝子としては、具体的には、以下のようなものが挙げらる。すなわち、脂肪輸送に関与する遺伝子としては、例えば、LDL受容体(LDLR:Low Density Lipoprotein Receptor)遺伝子等が挙げられる。また、脂肪酸のβ酸化に関与する遺伝子としては、例えば、CPT1a(Carnitine/Palmitoyl-transferase 1a)遺伝子、ACOX(Peroxisomal asyl-CoA oxide)遺伝子等が挙げられる。また、脂肪酸の合成に関与する遺伝子としては、例えば、ACC1(Acetyl CoA Carboxylase 1)遺伝子、ACC2(Acetyl CoA Carboxylase 2)遺伝子、SREBP2(Sterol Regulatory Element-Binding Protein 2)遺伝子、SREBP1c(Sterol Regulatory Element-Binding Protein 1c)遺伝子、FAS(Fatty acid synthase)遺伝子等が挙げられる。
本発明に係るバラ花弁抽出物と上記の遺伝子との関係の具体例は、以下のとおりである。
すなわち、本発明に係るバラ花弁抽出物は、LDLR遺伝子の発現を促進する作用を有する。細胞内へのLDL受容体遺伝子の発現が促進されることによって、血漿中から細胞内への、LDL(低比重リポタンパク質)の取り込み(脂肪輸送)が促進される、特に、肝臓に発現するLDLR遺伝子は、血漿LDLの減少に大きな役割を果たしている。
また、本発明に係るバラ花弁抽出物は、CPT1a遺伝子、ACOX遺伝子の発現を促進する作用を有する。これらの遺伝子の発現が促進されることによって、脂肪酸のβ酸化が促進され、蓄積脂肪の分解が促進される。
さらに、本発明に係るバラ花弁抽出物は、ACC1遺伝子、SREBP1c遺伝子の発現を抑制する作用を有する。これらの遺伝子の発現が抑制されることによって、肝臓における脂肪酸の合成が抑制され、脂肪の蓄積が抑制される。
また、本発明に係るバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)は、バラ特有の優れた香気を有している。特に、経口で摂取した場合にも、穏やかな香気を感じることができ、かつ、苦み、渋み、えぐみ等の不快な味覚は抑えられているため、全体として優れた風味が得られる。したがって、経口等の各種の方法での摂取において、不快感を生じにくい。
<バラ花弁抽出物>
本発明に係るバラ花弁抽出物は、バラ科に属する植物の花弁の抽出物であればよいが、バラ亜科に属する植物の花弁の抽出物であるのが好ましく、バラ属に属する植物の花弁の抽出物であるのがより好ましい。
これにより、抽出物中の有効成分の含有率をより高いものとすることができ、複数の成分を含む抽出物全体としての脂肪代謝に関する作用をより高いものとすることができる。
バラ属に属するバラとしては、例えば、一重咲きのもの、半八重咲きのもの、八重咲きのもの等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、バラ属に属するバラの花型としては、例えば、平咲き、カップ咲き、ロゼット咲き、クオーター咲き、ポンポン咲き、剣弁高芯咲き、半剣弁高芯咲き、丸弁抱え咲き等が挙げられるが、これらのいずれのものを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、バラ属に属するバラには、一季咲きのもの、返り咲きのもの、繰り返し咲きのもの、四季咲きのものが挙げられるが、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、バラ属に属するバラの樹形としては、例えば、ブッシュ(木立性)、シュラブ(半つる性)、クライミング(つる性)等が挙げられるが、これらのいずれのものを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バラ属に属するバラとしては、例えば、ロサ・アルバ(Rosa alba)、ロサ・カニナ(Rosa canina)、ロサ・ガリカ(Rosa gallica)、ロサ・キナモメナ(Rosa cinnamomea)、ロサ・グラウカ(Rosa glauca)、ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)、ロサ・スピノシッシマ(Rosa spinosissima)、ロサ・ウィクライアナ(Rosa wichuraiana)、ロサ・フェティダ(Rosa foetida)、ロサ・フェティダ・ビコロール(Rosa foetida bicolor)、ロサ・フェティダ・ペルシアナ(Rosa foetida persiana)、ロサ・フェッチェンコアナ(Rosa fedtschenkoana)、ロサ・ダマスケナ(Rosa damascena)、コウシンバラ(Rosa chinensis)、ナニワイバラ(Rosa laevigata)、ロサ・ギガンティア(Rosa gigantea)、ロサ・プリムラ(Rosa primula)、ロサ・マリガニー(Rosa mulliganii)、ロサ・セリカナ・プテラカンサ(Rosa sericana pteracantha)、ロサ・ユゴニス(Rosa hugonis)、ロサ・バンクシアエ・ルテア(Rosa banksiae lutea)(モッコウバラ)、ロサ・キネンシス(Rosa chinensis)、テリハノイバラ(照葉野茨)イザヨイバラ(Rosa roxburghii)、サンショウバラ(Rosa hirtula)、タカネイバラ(Rosa aciculaisis nipponensis)、ノイバラ(Rosa multiflora)、テリハノイバラ(Rosa wichuraiana)、ハマナス(Rosa rugosa)、サクライバラ(Rosa uchiyamana)、モリイバラ(Rosa jasminoides)、フジイバラ(Rosa fujisanensis)、ロサ・キンナモメア(Rosa cinnamomea)、ロサ・ニティダ(Rosa nitida)、ロサ・カリフォルニカ(Rosa californica)、ロサ・ヴィルギニアナ(Rosa virginiana)、ロサ・パルストリス(Rosa palustris)、ロサ・モスカータ(Rosa moschata)等の原種(野生種)や、オールドローズ、モダンローズ等の園芸種が挙げられる。
オールドローズとしては、例えば、アルバ(Alba)、センチフォリア(Centifolia)、ダマスク(Damask)、ガリカ(Gallica)、ブルボン(Bourbon)、ノワゼット(Noisette)、ティ(Tea)、チャイナ(China)、モス(Moss)、ポートランド(Portland)、ポリアンサ(Polyantha)、ランブラー(Rambler)、エグラテリア・ローズ(Eglanteria Roses)、ハイブリッド・パーペチュアル(H.Perpetual)、ハイブリッド・フェティダ(H.Foetida)、ハイブリッド・マクランタ(H.Macrantha)、ハイブリッド・ムスク(H.Musk)、ハイブリッド・モエシー(H.Moyesii)、ハイブリッド・センパビエレン(H.Semperviren)、ハイブリッド・ムルティフローラ(H.Multiflora)、ハイブリッド・ルゴサ(H.Rugosa)等が挙げられる。
また、モダンローズとしては、例えば、ハイブリッド・ティー(Hybrid Tea)、フロリバンダ(Floribunda)、ミニチュア(Miniature)、つるハイブリッド・ティー(Climbing Hybrid Tea)、つるフロリバンダ(Climbing Floribunda)、つるミニチュア(Climbing Miniature)、つる(Climbing)、シュラブ(Shrub)、イングリッシュ・ローズ(English Roses)、修景用(Landscape Roses)、ハイブリッド・コルデシー(H.Kordesii)等が挙げられる。
本発明の脂肪代謝改善剤は、バラ花弁抽出物を含んでいればよく、その他の成分、例えば、バラの花弁以外の部位の抽出物や、バラ由来の非抽出成分(例えば、製造過程で生じたバラ由来の微粉末等)等を含んでいてもよい。
ただし、本発明の脂肪代謝改善剤中におけるバラ花弁抽出物の含有率は、90質量%以上であるのが好ましく、95質量%以上であるのがより好ましく、99質量%以上であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
本発明に係るバラ花弁抽出物は、いかなる方法、条件で抽出されたものであってもよいが、エタノールを含有する抽出溶媒による抽出物であるのが好ましい。
これにより、有効成分の抽出効率が高まり、単位重量の原料(バラ花弁抽出物)当たりの有効成分の抽出量を増やすことができるとともに、抽出物中に含まれる複数種の有効成分の含有率のバランスをより好適なものとすることができる。その結果、前述したような脂肪代謝改善効果がより顕著に発揮される。また、単位重量の原料から十分な量の有効成分を抽出するのに要する時間を短縮することができ、脂肪代謝改善剤の生産性を向上することができるとともに、脂肪代謝改善剤の製造過程における有効成分の劣化等を効果的に防止することができる。また、有効成分の抽出効率を高めつつ、不要成分の抽出を効果的に防止することができる。また、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の香気、風味等をより優れたものとすることができる。
なお、本発明の脂肪代謝改善剤の製造方法(バラ花弁抽出物の抽出方法を含む)については、後に詳述する。
本発明の脂肪代謝改善剤は、粉末状(顆粒を含む)、フィルム状、液状、ペースト状等、いかなる形状のものであってもよいが、粉末状をなすものであるのが好ましい。
これにより、脂肪代謝改善剤を経口で摂取した場合に、脂肪代謝改善効果がより顕著に発揮され易くなる。また、脂肪代謝改善剤を後述するような本発明の組成物、成形体の製造により好適に用いることができる。また、脂肪代謝改善剤の生産性をより優れたものとすることができる。
本発明の脂肪代謝改善剤が粉末状をなすものである場合、その平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上5000μm以下であるのが好ましく、10μm以上3000μm以下であるのがより好ましく、100μm以上1000μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、脂肪代謝改善剤を経口で摂取した場合に、脂肪代謝改善効果がさらに顕著に発揮され易くなる。また、脂肪代謝改善剤を後述するような本発明の組成物、成形体の製造にさらに好適に用いることができる。また、脂肪代謝改善剤の生産性をさらに優れたものとすることができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積平均粒径のことを言う。
[脂肪代謝改善剤の製造方法]
次に、本発明の脂肪代謝改善剤の製造方法について説明する。
本発明の脂肪代謝改善剤の製造方法は、エタノールを含有する抽出溶媒と、バラの花弁とを接触させて、バラ花弁の含有成分を抽出する抽出工程を有することを特徴とする。
これにより、前述したような脂肪代謝改善剤を効率よく製造することができる脂肪代謝改善剤の製造方法を提供することができる。また、有効成分の抽出効率が高まり、単位重量の原料(バラ花弁抽出物)当たりの有効成分の抽出量を増やすことができるとともに、抽出物中に含まれる複数種の有効成分の含有率のバランスをより好適なものとすることができる。その結果、前述したような脂肪代謝改善効果がより顕著に発揮される。また、有効成分の抽出効率を高めつつ、不要成分の抽出を効果的に防止することができる。また、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の香気、風味等をより優れたものとすることができる。
<抽出工程>
抽出工程では、エタノールを含有する抽出溶媒と、バラの花弁とを接触させて、バラ花弁の含有成分を抽出する。
本工程では、例えば、摘み取ったバラの花弁をそのまま用いてもよいし、バラの花弁に予め前処理を施したものを用いてもよい。
バラの花弁に対する前処理としては、例えば、洗浄処理、乾燥処理、凍結処理、加熱処理、粉砕処理、揉処理、発酵処理等が挙げられる。
抽出溶媒とバラの花弁との接触は、いかなる方法で行ってもよく、例えば、バラの花弁と抽出溶媒とを混合した後、有効成分の活性を失活させない程度に加温加熱する加熱抽出法や、超臨界抽出法等を採用することできる。また、所定量の抽出溶媒にバラの花弁を浸漬してバッチ処理する浸漬抽出法や連続的にバラの花弁を送り続ける連続抽出法等を採用することができる。
特に、本工程は、バラの花弁を前記抽出溶媒中に浸漬すること(浸漬抽出法)により行うのが好ましい。
これにより、低コストで、有効成分の抽出効率を高めることができ、単位重量の原料(バラ花弁抽出物)当たりの有効成分の抽出量を増やすことができるとともに、抽出物中に含まれる複数種の有効成分の含有率のバランスをより好適なものとすることができる。その結果、前述したような脂肪代謝改善効果がより顕著に発揮される。また、有効成分の抽出効率を高めつつ、不要成分の抽出をより効果的に防止することができる。また、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の香気、風味等をより優れたものとすることができる。
抽出溶媒は、エタノールを含有していればよいが、抽出溶媒中におけるエタノールの含有率は、2体積%以上80体積%以下が好ましく、8体積%以上70体積%以下がより好ましく、14体積%以上60体積%以下がさらに好ましい。
これにより、有効成分の抽出効率がさらに高まり、単位重量の原料(バラ花弁抽出物)当たりの有効成分の抽出量をさらに増やすことができるとともに、抽出物中に含まれる複数種の有効成分の含有率のバランスをより好適なものとすることができる。その結果、前述したような脂肪代謝改善効果がより顕著に発揮される。また、単位重量の原料から十分な量の有効成分を抽出するのに要する時間をさらに短縮することができ、脂肪代謝改善剤の生産性をさらに向上することができるとともに、脂肪代謝改善剤の製造過程における有効成分の劣化等をより効果的に防止することができる。また、有効成分の抽出効率を高めつつ、不要成分の抽出をより効果的に防止することができる。また、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の香気、風味等をさらに優れたものとすることができる。
また、抽出溶媒は、エタノールに加え、水を含む混合溶媒であるのが好ましい。
これにより、水溶性に優れたバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を得ることができ、その後の処理が容易になるとともに、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の生体吸収性をより優れたものとすることができる。また、有効成分の抽出効率がさらに高まり、単位重量の原料(バラ花弁抽出物)当たりの有効成分の抽出量をさらに増やすことができるとともに、抽出物中に含まれる複数種の有効成分の含有率のバランスをより好適なものとすることができる。その結果、前述したような脂肪代謝改善効果がより顕著に発揮される。また、単位重量の原料から十分な量の有効成分を抽出するのに要する時間をさらに短縮することができ、脂肪代謝改善剤の生産性をさらに向上することができるとともに、脂肪代謝改善剤の製造過程における有効成分の劣化等をより効果的に防止することができる。また、有効成分の抽出効率を高めつつ、不要成分の抽出をより効果的に防止することができる。また、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の香気、風味等をさらに優れたものとすることができる。
抽出溶媒中における水の含有率は、20体積%以上95体積%以下が好ましく、30体積%以上90体積%以下がより好ましく、40体積%以上85体積%以下がさらに好ましい。
これにより、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の水溶性をさらに向上させることができる。有効成分の抽出効率がさらに高まり、単位重量の原料(バラ花弁抽出物)当たりの有効成分の抽出量をさらに増やすことができるとともに、抽出物中に含まれる複数種の有効成分の含有率のバランスをさらに好適なものとすることができる。その結果、前述したような脂肪代謝改善効果がさらに顕著に発揮される。また、単位重量の原料から十分な量の有効成分を抽出するのに要する時間をさらに短縮することができ、脂肪代謝改善剤の生産性をさらに向上することができるとともに、脂肪代謝改善剤の製造過程における有効成分の劣化等をさらに効果的に防止することができる。また、有効成分の抽出効率を高めつつ、不要成分の抽出をさらに効果的に防止することができる。また、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の香気、風味等をさらに優れたものとすることができる。
また、抽出溶媒は、エタノールおよび水以外の成分を含むものであってもよいが、エタノールおよび水以外の成分(その他の成分)の含有率は、3体積%以下であるのが好ましく、2体積%以下であるのがより好ましく、1体積%以下であるのがさらに好ましい。
また、抽出溶媒のpHは、4.0以上9.0以下が好ましく、4.5以上8.5以下がより好ましく、5.0以上8.0以下がさらに好ましい。
これにより、有効成分の不本意な変性等を効果的に防止し、より好適な組成の抽出物をさらに効率的に得ることができる。
抽出温度は、特に限定されないが、5℃以上80℃以下であるのが好ましく、10℃以上60℃以下であるのがより好ましく、15℃以上50℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、有効成分の不本意な変性等を効果的に防止し、より好適な組成の抽出物を短時間で効率的に得ることができ、脂肪代謝改善剤の生産性をより向上させることができる。
また、抽出時間は、特に限定されないが、1時間以上10日間以下であるのが好ましく、3時間以上7日間以下であるのがより好ましく、5時間以上5日間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、有効成分の不本意な変性等を効果的に防止し、より好適な組成の抽出物をさらに効率的に得ることができ、脂肪代謝改善剤の生産性をより向上させることができる。
特に、本工程を浸漬抽出法により行い場合、抽出時間(抽出溶媒への浸漬時間)は、6時間以上10日間以下であるのが好ましく、12時間以上7日間以下であるのがより好ましく、1日間以上5日間以下であるのがさらに好ましい。
<後処理工程>
上記のような抽出工程の後、必要に応じて、後処理工程を行ってもよい。
後処理工程としては、例えば、抽出液中に含まれる異物である固形分を、濾過、デカンテーション、遠心分離等により除去する固形分除去処理を行う固形分除去工程、溶媒の少なくとも一部を除去する濃縮処理を行う濃縮工程、抽出物中に含まれる成分の少なくとも一部に対して、化学構造の変換を伴う化学反応処理を行う化学反応工程、抽出物中に含まれる不要成分の少なくとも一部を除去する精製処理を行う精製工程、得られた抽出物を所定の形状に成形する成形処理を施す成形工程等が挙げられ、これらのうち1つまたは2つ以上を組み合わせて行ってもよい。
例えば、化学反応工程を行うことにより、抽出物中に含まれる有効成分以外の成分(例えば、有効成分の前駆体等の非有効成分)を有効成分に変換することにより、最終的に得られる脂肪代謝改善剤中における有効成分の含有率を高めたり、複数種の有効成分の比率がより好適なものとなるように調整することができる。また、抽出物中に含まれる有効成分についても、化学反応を行ってもよい。これにより、例えば、抽出物中に含まれる複数種の有効成分の比率がより好適なものとなるように調整することができる。
精製工程で行う精製処理としては、例えば、分液漏斗等を用いた分液処理、薄層クロマトグラフィー(TLC)やカラムクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等を含む)等が挙げられる。
上記のうち少なくとも1つの工程は、例えば、異なるタイミングで複数回行ってもよい。例えば、濃縮工程を複数回行う場合、前記抽出工程で得られた抽出溶媒を含む抽出物に対して行い(第1の濃縮工程)、その後に行う精製工程後に、再度、精製工程で用いた溶媒(溶離液、展開溶媒等)を除去する濃縮工程(第2の濃縮工程)を行ってもよい。
また、精製工程を複数回行う場合、例えば、分液漏斗等を用いた分液処理を行う精製工程(第1の精製工程)と、カラムクロマトグラフィーを用いた精製処理を行う精製工程(第2の精製工程)とを組み合わせて行ってもよい。第1の精製工程と、第2の精製工程との間には、濃縮工程を行ってもよい。
カラムクロマトグラフィーで用いる充填材としては、例えば、イオン交換樹脂、合成吸着樹脂、活性炭、キレート樹脂、シリカゲル、アルミナ、デキストランや、これらの修飾体(例えば、オクタデシル化シリカゲル(ODS)、ヒドロキシプロピル化デキストラン等)等が挙げられる。
各種クロマトグラフィーにおける溶離液・展開溶媒としては、例えば、水、水溶性溶媒、低極性溶媒、無極性溶媒等を用いることができ、2種以上の溶媒の混合物(混合溶媒)を用いてもよい。
水溶性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコール;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;アセトニトリル等が挙げられるが、炭素数1以上5以下の1価のアルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましい。
特に、溶離液・展開溶媒としては、水と水溶性溶媒との混合溶媒を用いるのが好ましく、水とエタノールとの混合溶媒を用いるのがより好ましい。
溶離液・展開溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いる場合、当該混合溶媒中におけるエタノールの含有率は、20体積%以上95体積%以下が好ましく、30体積%以上90体積%以下がより好ましく、40体積%以上85体積%以下がさらに好ましい。
これにより、不要成分を効率よく除去することができ、より好適な組成の抽出物を容易に得ることができる。
溶離液・展開溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いる場合、当該混合溶媒中における水の含有率は、2体積%以上80体積%以下が好ましく、8体積%以上70体積%以下がより好ましく、14体積%以上60体積%以下がさらに好ましい。
これにより、不要成分を効率よく除去することができ、より好適な組成の抽出物を容易に得ることができる。
濃縮処理を行う場合、当該濃縮処理としては、例えば、エバポレーターを用いた処理、噴霧乾燥(スプレードライ)、真空乾燥、凍結乾燥等の方法が挙げられる。
[組成物、成形体]
次に、本発明の組成物、成形体について説明する。
本発明の組成物および成形体は、前述したような本発明に係る脂肪代謝改善剤に加え、他の成分(その他の成分)を含有することを特徴とする。
これにより、細胞レベルでの総合的な脂肪代謝を効果的に改善する脂肪代謝改善剤を含有する組成物、成形体を提供することができる。特に、脂肪代謝改善効果を得つつ、その他の成分に対応する機能を発揮させることができ、例えば、食品や医薬品、医薬部外品等の各種組成物、各種成形体に好適に適用することができる。
また、上記のように、本発明に係るバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)は、バラ特有の優れた香気を有しており、穏やかな香気を感じることができ、かつ、苦み、渋み、えぐみ等の不快な味覚は抑えられており、全体として優れた風味が得られる。したがって、本発明の組成物、成形体においても、上記のような効果が得られる。
また、本発明に係るバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)自体が、優れた香気、風味を有しているため、矯味剤や香料等を使用しなかったり、矯味剤の使用量を抑制した場合であっても、本発明の組成物、成形体全体としての風味等を優れたものとすることができる。
本発明の成形体は、所定の形状に成形されたものである。
成形体を得るための成形方法は、特に限定されないが、例えば、圧縮成形、圧粉成形(打錠を含む)、押出成形、射出成形、カプセルへの充填、三次元造形法による成形等が挙げられる。
本発明の組成物、成形体の動物への投与方法は、特に限定されないが、例えば、経口投与、頬側投与、舌下投与、直腸投与、血管内投与(静脈内投与、動脈内投与等)、骨内投与、筋肉内投与、脳内投与、脳室内投与、髄腔内投与、皮下投与、腹腔内投与、眼内投与、鼻腔内投与、気管内投与、気管支内投与、経真皮投与、硬膜外投与、頭蓋内投与、経皮投与、膣内投与、子宮内投与、硝子体内投与、経粘膜投与等が挙げられる。
特に、本発明の組成物、成形体は、口腔内に付与して用いられる経口物であるのが好ましい。
経口物としては、例えば、食品、内服薬、吸入薬等の経口医薬品等のように口腔内に付与された後に、その大部分が食道、気道等の体腔(口腔以外の体腔)に導入されるものや、口腔用錠剤(舌下錠等)、口腔用軟膏等の経口医薬品のようにその大部分が口腔内の粘膜から吸収されるもの、歯磨き、うがい薬、洗口剤等の口腔ケア製品、噛みたばこ、ガム等のように一旦口腔内に付与した後に、その大部分が口から体外に排出されるもの等が挙げられる。
組成物、成形体の用途としては、例えば、食品;嗜好品(例えば、噛みたばこ等);歯磨き、うがい薬、洗口剤等の口腔ケア製品;医薬品;医薬部外品;石鹸、ボディーソープ、手洗い用洗剤(ハンドソープ)、食器用洗剤、衣類用洗剤(柔軟剤を含む)、浴室用洗剤、トイレ用洗剤、ガラス用洗剤、車両用洗剤等の各種洗剤;シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、整髪料、毛染め剤、育毛剤、セッティング剤・スタイル保持剤(例えば、ジェル、ムース、スプレー等)、ポマード等のヘアケア製品;化粧水、クリーム、乳液、美容液、美白剤、洗顔料(洗顔用クレンザーを含む)等のスキンケア製品;リップクリーム、口紅等のリップ用製品;化粧下地、チーク、ファンデーションクリーム、マスカラ等の化粧品;ポリッシュ、ポリッシュリムーバー、ストレンスナー、レングスナー、ハードナー、キューティクルリムーバー、ソフナー等のネイルケア製品;シェービングクリームおよびローション、脱毛剤、髭剃り後のスキンコンディショナー等の脱毛関連製品;その他、アンチエイジング剤、制汗剤、日焼け止め剤、日焼け促進剤、香水、各種ワックス、入浴剤、冷却用スプレー等の冷却剤等が挙げられる。
なお、食品の形態には、固形状、半固形状(ゼリー、プリン等のゲル状等)に加え、液状が含まれ、食品は、飲み物等も含む概念である。また、調味料や風味剤、食品添加物、サプリメント(健康補助食品)も食品の概念に含まれる。
本発明に係る組成物、成形体を医薬品や医薬部外品に適用する場合、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等の経口剤、坐剤、軟膏、噴霧剤、注射剤、点滴剤、スプレー剤、点眼剤、経鼻投与剤、貼付剤等の非経口剤の形態とすることができる。
前記他の成分として、例えば、賦形剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、結合剤、凝固剤、滑たく剤、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウム等の崩壊剤、ラクトース等の安定化剤、グルタミン酸、アスパラギン酸等の溶解補助剤、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の希釈剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、エリキシル剤、風味剤、芳香剤、甘味料、清涼化剤、香料、矯味剤、コーティング剤、他の有効成分(薬効成分)等を含ませてもよい。
特に、本発明を錠剤に適用する場合、例えば、ショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣、または胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されない。
例えば、前述した実施形態では、食品等の用途(例えば、[組成物、成形体]の項で例示した用途)には、脂肪代謝改善剤とその他の成分を含む組成物または成形体を適用する場合について代表的に説明したが、本発明の脂肪代謝改善剤(バラ花弁抽出物やその精製物等)そのものを、その他の成分と混合等することなく、上記のような用途に用いてもよい。この場合、これらの用途に用いられるものの形態としては、例えば、[組成物、成形体]の項で例示したようなもの等が挙げられる。
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件、湿度条件を示していない処理は、室温(23℃)、相対湿度50%において行ったものである。また、各種測定条件についても、特に温度条件、湿度条件を示していないものは、室温(23℃)、相対湿度50%における数値である。
[バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の調製]
(実施例1)
まず、バラとしてロサ・センチフォリアを用意した。
ロサ・センチフォリアに乾燥処理を施し、この乾燥したロサ・センチフォリアの花弁20kgに、30体積%のエタノール水溶液300Lを加えて攪拌抽出した。
その後、ろ過により固形物を除去した後、得られた抽出液を減圧濃縮し、合成吸着剤を充填したカラムを用いたカラムクロマトグラフィーに供した。溶離液としては、70体積%のエタノール水溶液を用いた。
得られた溶出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥することにより、平均粒径420μmの粉末状のバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を得た。
[評価]
以下に示す評価では、ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞に、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を添加し、24時間放置した際の、脂肪代謝関連遺伝子の各mRNAレベルに与える影響を、Real-time定量PCR(polymerase chain reaction)法により検討した。
<条件1>
(1日目)
チャコールデキストラン処理した10%FBS(ウシ胎児血清)を含有する、フェノールレッドフリーDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)を培地として用いた。
11×10cells/wellとなるように6ウェル(well)プレートにHepG2細胞をまき、37℃、5%のCO存在下で、24時間培養した。
FBSとしては、GE Helthcare社製、HyClone(登録商標)、SH30068-03を用いた。また、フェノールレッドフリーDMEMとしては、MP Biomedicals社製、1642754を用いた。また、6ウェルプレートとしては、Corning社製、FALCON(登録商標)、No.353046を用いた。
(2日目(24時間後))
10%FBS含有、フェノールレッドフリーDMEMで培地交換し、24時間培養した。
(3日目(48時間後))
培地を吸引除去し、HepG2細胞を2.5mLの血清フリーフェノールレッドフリーDMEMで洗浄した。
バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を1.0μg/mLでHepG2細胞に添加し、24時間培養した。
<条件2>
バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の添加量を2.5μg/mLとした以外は、前記条件1と同様にして培養した。
<条件3>
バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)の添加量を5.0μg/mLとした以外は、前記条件1と同様にして培養した。
<コントロール>
バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を添加しなかった(0.0μg/mL)以外は、前記条件1と同様にして培養した。
24時間培養後、すべてのHepG2細胞からtotal RNAを回収し、Real-time PCRによってHepG2細胞中の脂肪代謝関連遺伝子、およびβ-actinのmRNAレベルを測定した。
脂肪代謝関連遺伝子としては、標的遺伝子としてLDLR遺伝子、ACC1遺伝子、FAS遺伝子、ACOX遺伝子、CPT1a遺伝子、SREBP1c遺伝子について、そのRNAレベルを測定した。
また、β-actin mRNAレベルは、データ補正として用いた。
LDLの取り込みに関与するLDLR遺伝子の発現がコントロールに比べて増加したときは、脂肪輸送を促進するものと判断することができる。
脂肪酸のβ酸化に関与するCPT1a遺伝子、ACOX遺伝子の発現がコントロールに比べて増加したときは、脂肪の分解を促進するものと判断することができる。
脂肪酸の合成に関与するACC1遺伝子、SREBP1c遺伝子、FAS遺伝子の発現がコントロールに比べて減少したときは、脂肪の蓄積を抑制するものと判断することができる。
Real-time PCRで用いた、標的遺伝子の逆転写反応におけるプライマーの配列を表1に示す。実験結果の統計分析にはテューキーの検定(Tukey’s test)を用いた。
HepG2細胞にバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を各種濃度で添加した場合の、LDLR遺伝子に対する影響を表2および図1に、ACC1遺伝子に対する影響を表3および図2に、FAS遺伝子に対する影響を表4および図3に、SREBP1c遺伝子に対する影響を表5および図4に、ACOX遺伝子に対する影響を表6および図5に、CPT1a遺伝子に対する影響を表7および図6に、それぞれ示す。
なお、表2~表7および図1~図6において、「% of Control」は、コントロールに対する各遺伝子発現量の変化割合を示す。
Figure 0007024965000001
Figure 0007024965000002
Figure 0007024965000003
Figure 0007024965000004
Figure 0007024965000005
Figure 0007024965000006
Figure 0007024965000007
表2~表7および図1~図6から明らかなように、条件1~条件3のいずれにおいても、本発明の脂肪代謝改善剤(バラ花弁抽出物)では、LDLの取り込みに関与するLDLR遺伝子の発現がコントロールに比べて増加する傾向が認められ、脂肪酸のβ酸化に関与するCPT1a遺伝子、ACOX遺伝子の発現がコントロールに比べて増加する傾向が認められ、脂肪酸の合成に関与するACC1遺伝子、SREBP1c遺伝子、FAS遺伝子の発現がコントロールに比べて減少する傾向が認められた。
特に、LDLR遺伝子の発現については、条件1~条件3のいずれにおいても有意に増加しており、ACC1遺伝子の発現については、条件2において有意に増加しており、SREBP1c遺伝子の発現については、条件2および条件3において有意に減少しており、ACOX遺伝子の発現については、条件1~条件3のいずれにおいても有意に増加しており、CPT1a遺伝子の発現については、条件2および条件3において有意に増加していた。
このように、ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞に、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を投与することにより、非添加の場合(コントロール)に比べて、LDLの取り込みに関与するLDL受容体遺伝子、脂肪酸のβ酸化に関与するCPT1a遺伝子、ACOX遺伝子の発現が増加しており、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)は、LDLの取り込みを促進し、さらに脂肪酸のβ酸化を促進するものと判断することができる。
また、HepG2細胞に、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を投与することにより、非添加の場合(コントロール)に比べて、脂肪酸の合成に関与するACC1遺伝子、SREBP1c遺伝子の発現が減少しており、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)は、脂肪酸の合成を抑制するものと判断することができる。
したがって、バラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)は、動物に投与されることで、血漿中から肝細胞へのLDLの取り込み(脂肪輸送)、および、肝細胞における脂肪酸のβ酸化(脂肪分解)を促進し、かつ、肝細胞における脂肪酸の合成(脂肪蓄積)を抑制するという、細胞レベルで総合的に脂肪代謝をより効果的に改善するものと判断することができる。
また、バラとして、ロサ・センチフォリアの代わりにロサ・ガリカを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を得、これについて前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、抽出溶媒としての水とエタノールとの混合溶媒中におけるエタノールの含有率を5体積%以上80体積%以下の範囲で種々変更し、水の含有率を20体積%以上95体積%以下の範囲で種々変更した以外は、前記と同様にしてバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を得、これについて前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、溶離液としての水とエタノールとの混合溶媒中におけるエタノールの含有率を20体積%以上95体積%以下の範囲で種々変更し、水の含有率を5体積%以上80体積%以下の範囲で種々変更した以外は、前記と同様にしてバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤)を得、これについて前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、前記のようにして得られたバラ花弁抽出物(脂肪代謝改善剤):100質量部に対して、粉末状の澱粉:395質量部、微粒二酸化ケイ素:5質量部を混合して、食品(組成物)としての粉末混合品を得た。
また、当該組成物を圧縮成形して、ブロック状の食品(成形体)を得た。
これらの食品(粉末状の組成物およびブロック状の成形体)をボランティアの被験者に食してもらったところ、バラの香気が感じられる一方で、苦み、渋み、えぐみ等の不快な味覚は感じられず、全体として優れた風味が得られた。

Claims (1)

  1. 抽出溶媒としての14体積%以上60体積%以下のエタノール水溶液と、ロサ・センチフォリアの花弁とを接触させて、前記花弁の含有成分を抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程で得られた抽出物を、40体積%以上85体積%以下のエタノール水溶液を溶離液として用い、充填材として合成吸着樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーに供することにより精製する精製工程と、
    前記精製工程で得られた溶出液を濃縮する濃縮工程とを有することを特徴とするHepG2細胞におけるLDLR遺伝子の発現促進剤の製造方法
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