JP2005281262A - メラニン生成抑制剤、並びに該メラニン生成抑制剤を含有する化粧品素材、化粧品、飲食品用添加剤、飲食品及び入浴剤 - Google Patents

メラニン生成抑制剤、並びに該メラニン生成抑制剤を含有する化粧品素材、化粧品、飲食品用添加剤、飲食品及び入浴剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 メラニン生成抑制剤及びその製造方法、並びに該メラニン生成抑制剤を含有する化粧品素材、化粧品、飲食品用添加剤、飲食品及び入浴剤を提供する。
【解決手段】 本発明のメラニン生成抑制剤は、バラの花びら等から抽出して得られるオイゲニインを有効成分として含有する。本発明のメラニン生成抑制剤は、化粧品素材や飲食品用添加剤等として、化粧品、飲食品、入浴剤に添加することにより、これらにメラニン生成抑制作用及び美白作用を付与することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、メラニン生成抑制剤、並びに該メラニン生成抑制剤を含有する化粧品素材、化粧品、飲食品用添加剤、飲食品及び入浴剤に関する。
近年、オゾンホールの拡大に伴い、地上へ到達する紫外線量の増加が懸念されている。紫外線により惹起される皮膚への悪影響、即ち、「くすみ」や「しみ」は、紫外線がメラノサイト(メラニンを合成する細胞)を活性化することにより、メラニン色素の生成が増加し、それが表皮に蓄積することにより起こる。即ち、メラノサイト内でチロシンにチロシナーゼが活性作用して、チロシンが酸化され、ドーパ、ドーパキノンに変換され、更に自動酸化等を経て、最終的にメラニン色素になる。このように生成されたメラニンが角質層に達し、このメラニンに紫外線が照射されると、既存のメラニンが酸化され、一時的に黒くなることも報告されている。
上記観点から従来より、美白を目的とした素材の開発、検討がなされてきている。従来、かかる美白等を目的とした化粧品等では、主に化学物質を配合することが多いが、使用者によっては肌に合わないこともあり、かぶれや痒みの原因となることがある。そこで、人工の化学物質と比べて安全な機能性素材として、植物等の天然物由来の抗チロシナーゼ活性作用及びメラニン色素生成抑制作用を有する物質が注目を集めている。例えば、下記特許文献1には、バラの抽出エキス又はキクの抽出エキスを有効成分として含有する経口用メラニン生成抑制組成物が記載されている。
また、バラ等の植物の抽出物には、タンニン類の一種であるオイゲニイン等の各種ポリフェノール系物質が含まれていることは広く知られている。そして従来、かかるオイゲニイン等の各種ポリフェノール系物質の生理作用について研究がなされている。これらの生理作用としては、抗血小板凝集作用、抗アレルギー作用(下記特許文献2)、α−グルコシダーゼ阻害作用(下記特許文献3)、及びDNA合成阻害作用(下記特許文献4)等が知られている。
特開2001−48801号公報 特開平11−269075号公報 特開2000−72682号公報 特開平10−195095号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、メラニン生成抑制剤、並びに該メラニン生成抑制剤を含有する化粧品素材、化粧品、飲食品用添加剤、飲食品及び入浴剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決すべくバラ抽出物中の美白成分について検討を重ねた結果、バラ等に含まれるオイゲニイン(Eugeniin)が、全く意外にも、メラニン生成抑制作用を奏することを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に示す通りである。
〔1〕下記化学式(1)で表されるオイゲニインを有効成分として含有することを特徴とするメラニン生成抑制剤。
Figure 2005281262
〔2〕上記化学式(1)で表されるオイゲニインは、バラ、ダイコン草、丁香、芍薬又は牡丹から抽出して得られるオイゲニインである上記〔1〕記載のメラニン生成抑制剤。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする化粧品素材。
〔4〕上記〔1〕又は〔2〕記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする化粧品。
〔5〕上記〔1〕又は〔2〕記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする飲食品用添加剤。
〔6〕上記〔1〕又は〔2〕記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする飲食品。
〔7〕上記〔1〕又は〔2〕記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする入浴剤。
本発明のメラニン生成抑制剤は、上記化学式(1)で表されるオイゲニインを有効成分として含有することにより、優れたメラニン生成抑制作用及び美白作用を奏する。
本発明の化粧品素材は、化粧品に添加することにより、化粧品にメラニン生成抑制作用及びこれに基づく美白作用を付与することができる。
本発明の化粧品は、メラニン生成抑制作用及び美白効果を奏する。
本発明の飲食品用添加剤は、飲食品に添加することにより、飲食品にメラニン生成抑制作用及びこれに基づく美白作用を付与することができる。
本発明の飲食品は、日常的に摂取することができ、その結果、日常的にメラニン生成抑制及び美白効果を実現することができる。
本発明の入浴剤は、入浴により日常的に皮膚に接触させることにより、日常的にメラニン生成抑制及び美白効果を実現することができる。
以下、本発明を説明する。
本発明のメラニン生成抑制剤は、上記化学式(1)で表されるオイゲニインを有効成分として含有することを特徴とする。
上記オイゲニイン(1,2,3−trigalloyl−4,6−hexahydroxydiphenyl−β−D−glucopyranose)は、上記化学式(1)で示されるタンニン類の一つである。上記オイゲニインを含む植物としては、例えば、バラ、ダイコン草(Geum japonicum Thunb.)、丁香〔Syzygium aromaticum(L.)Merr.〕、芍薬、牡丹等が挙げられる。尚、上記オイゲニインの由来は、これらの植物に限定されるものではなく、どのような由来のものであってもよい。
上記「バラ」としては、バラ科バラ属に属するバラ(Rosa spp.)が好ましく、具体的には、ロサ・ガリカ(Rosa gallica)、ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)、ロサ・モスカタ(Rosa moschata)、ロサ・フォエティダ(Rosa foetida)、ロサ・ギガンテア(Rosa gigantea)、ノイバラ(Rosa multiflora)、テリハノイバラ(Rosa wichuraiana)等の野生種、又はこれらを交配して得られた園芸種が挙げられる。また、上記オイゲニインを植物から抽出して得る場合、その使用部位について特に限定はなく、花、花びら、葉、茎、根及び種子等のどの部分を使用してもよい。例えば、上記バラの花、花びら、葉、茎、根及び種子等を利用することができる。更に、上記オイゲニインを植物から抽出して得る場合、抽出原料は未粉砕でも、粉砕したものでもよく、不純物除去等の前処理をしてもよい。
上記オイゲニインを植物から抽出して得る場合、抽出方法、抽出条件については特に限定はない。抽出溶媒としては、水又は熱水の他、アルコール類(メタノール及びエタノール等)、酢酸エチル、n−ヘキサン若しくはアセトン等の有機溶媒や、これらの有機溶媒と水又は熱水との混合溶媒等を用いることができ、通常は、水又は熱水とアルコール類との混合溶媒が用いられる。例えば、水−メタノール混合溶媒や、水−エタノール混合溶媒等が挙げられる。また、上記水又は熱水とアルコール類との混合溶媒を用いる場合、アルコール類の割合は、通常20〜90体積%、好ましくは30〜70体積%、更に好ましくは40〜60体積%である。また、抽出の際の抽出溶媒のpHは通常3〜7、好ましくは4〜6、更に好ましくは4〜5である。抽出温度は特に制限されないが、常温又は加熱抽出が好ましい。常温抽出であれば、例えば、原料を水−メタノール混合溶媒等の溶媒に浸漬し、1〜5日間程度室温にて放置することにより、抽出することができる。加熱抽出の場合、加熱温度としては通常40〜100℃、好ましくは50〜80℃、更に好ましくは50〜70℃である。加熱温度をかかる範囲とすることにより、抽出を効率的に行うことができるので好ましい。
上記抽出物等から上記オイゲニインを精製する方法には特に限定はなく、必要に応じて種々の方法で精製することができる。例えば、上記抽出物について、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、及びベンゼン等の極性又は無極性有機溶媒を用いた溶媒分画操作によって有効成分を濃縮し、更にSephadex LH20及びHW40F等のゲル、SP850、SP825、HP20、及びHP21等の合成樹脂を用いたクロマトグラフィーにより、チロシナーゼ阻害活性の高い画分を集め、更に数回Inertsil PREP−ODS(内径10×250mm)等のHPLC用逆相カラムを用いた逆相高速液体クロマトグラフィーにより、目的とする上記オイゲニインを得ることができる。その他、アルミナカラムクロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフイー等の適当な分離精製により精製することもできる。
本発明のメラニン生成抑制剤は、上記オイゲニインを有効成分として含有するものであれば、その形態に特に限定はない。例えば、液状、固形状、粉末状、顆粒状、造粒した造粒状等とすることができる。例えば、液状物としては、凍結乾燥等の公知の方法により乾燥した固形物や粉末物を水若しくはエタノール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコール等の有機溶媒、又はこれらの混合溶媒に添加して得られる溶解液又は分散液等が挙げられる。また、本発明のメラニン生成抑制剤は、本発明の作用効果を阻害しない限り、品質維持等の目的のために、上記オイゲニイン以外の他の成分を含有していてもよい。
本発明のメラニン生成抑制剤は、メラニン生成抑制作用及び美白作用に優れていることから、各種飲料、食品、化粧品、入浴剤等に添加することができる。これにより、飲料、食品、化粧品、入浴剤にメラニン生成抑制作用及び美白作用を付与することができる。よって、本発明のメラニン生成抑制剤は、飲料、食品、化粧品にメラニン生成抑制作用及び美白作用を付与するための化粧品素材や飲食品用添加剤として好適に用いることができる。本発明のメラニン生成抑制剤を飲料、食品、化粧品、入浴剤に添加する場合、その添加量は、上記オイゲニインの含有量として通常0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.1〜8質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である。上記範囲とすることにより、メラニン生成抑制作用及び美白作用に優れると共に経済的であることから好ましい。
本発明の飲食品用添加剤及び飲食品は、本発明のメラニン生成抑制剤を含有する。
本発明の飲食品としては、固形食品、クリーム状及びジャム状の半流動食品、ゲル状食品、飲料等の他、これらに添加する食品添加物、食品素材等が挙げられる。本発明の飲食品用添加剤及び飲食品は、界面活性剤、甘味料(人工甘味料)や公知の食品原料に添加、混合することにより得ることができる。本発明の飲食品として具体的には、例えば、酒、炭酸飲料、果実飲料、コーヒー、紅茶、茶、乳酸菌飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、飴、ガム、菓子、パン、麺類等に好適に用いられる。
本発明の化粧品素材及び化粧品は、本発明のメラニン生成抑制剤を含有する。
本発明の化粧品素材の形態は特に限定はなく、必要に応じて種々の形態を適宜選択することができる。例えば、本発明の化粧品素材の形態は、本発明のメラニン生成抑制剤と同様に、液状、固形状、粉末状、顆粒状である本発明のメラニン生成抑制剤を水、エタノール、プロピレングリコール等の水系溶媒に溶解する等により得られる液状の他、本発明のメラニン生成抑制剤を乾燥させたり、あるいは吸液性粉末に含浸させる等により得られる粉末品、造粒等により得られる造粒品、打錠成形等により得られる錠剤、及びマイクロカプセル等が挙げられる。勿論、本発明の化粧品素材は、本発明の作用効果を阻害しない限り、その他の物質を含んでいてもよい。例えば、本発明のメラニン生成抑制剤が粉末品、造粒品の場合、製造における計量を容易にするために、水溶性に富んだコーンスターチ等の増量剤等を添加することができる。また、その他の美白成分を含んでいてもよい。
また、本発明の化粧品の形態としては、例えば、液状(化粧水、乳液、分散液等)、パウダー状、スプレー状、ゲル状、クリーム状等が挙げられる。液状の化粧料の場合、本発明の機能性素材に加え、流動パラフィン等の炭化水素系油、オリーブ油、小麦胚芽油、ナッツ油、トウモロコシ油、米糠油、米胚芽油、ハトムギ油、ホホバ油、及びブドウ種子油等の植物油、スクワラン及び馬油等の動物油、その他のオイル、並びにゲルマール変性エタノール等の低級エタノールの1種又は2種以上を適宜、配合することにより得ることができる。また、ゲル状の化粧料の場合、これらのオイルやエタノールに加え、CMC等のセルロース誘導体、PVP、カルボキシビニルポリマー、及びカラギーナン等の増粘剤の1種又は2種以上を配合することにより製造することができる。更に、クリーム状の場合、流動パラフィン、ワセリン、蜜ロウ等の油分だけであっても良く、これらの油分と水とを界面活性剤で乳化したものであってもよい。また、乳化タイプとしては、W/O乳化型、O/W乳化型のいずれでもよい。
本発明の化粧品として具体的には、例えば、カオリン、タルク、酸化亜鉛、オリーブ油、水溶性ラノリン、グリセリン、精製水等のうちの1種又は2種以上を含む化粧クリーム成分に、本発明のメラニン生成抑制剤を加えてなる化粧クリームや、濃グリセリン、トリメチルグリシン、メチルパラベン、dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、マルチトール、銅クロロフィリンナトリウム、エタノール、精製水等の1種又は2種以上を含む化粧水成分に、本発明のメラニン生成抑制剤を加えてなる化粧水等が挙げられる。その他、例えば、石鹸、洗顔料、乳液、オーデコロン、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、日焼け・日焼け止めオイル、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック等の各種皮膚化粧料等が挙げられる。
本発明の化粧品素材及び化粧品は、本発明のメラニン生成抑制剤を含有し、且つ、本発明の作用効果を阻害しない限り、その他の物質を含んでいてもよい。例えば、従来、化粧料に添加されている公知の物質を添加することができる。具体的には、例えば、界面活性剤、油剤、アルコール、PH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等の1種又は2種以上を必要に応じて適宜配合してもよい。
本発明の入浴剤は、本発明のメラニン生成抑制剤を含有する。
本発明の入浴剤の形態については特に限定はなく、液状、固形状、粉末状、及び顆粒状等とすることができる。また、本発明の入浴剤は、適宜の包装材により包装されていてもよい。かかる包装材の材質については特に限定はなく、例えば、紙、プラスチックフィルム、水溶性高分子、金属フィルム、ガラス、木材、繊維布、及び不織布等が挙げられる。より具体的には、例えば、上記プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びポリスルホン等が挙げられる。これらの有機高分子は、他の有機重合体を少量共重合をしたり、ブレンドしたりしてもよい。また、これらのプラスチックフィルム上に金属又は無機酸化物薄膜層が形成されたガスバリア性フィルムでもよい。また、上記水溶性高分子として具体的には、例えば、(1)寒天、デンプン、ゼラチン、海草類や植物の粘質物、タンパク質等の天然高分子、(2)メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース、デンプン誘導体等の半合成高分子、(3)ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ塩及び(メタ)アクリル酸エステル共重合物のアルカリ塩、(メタ)アクリル酸エステル共重合物のアルカリ塩、(メタ)アクリル酸共重合物のアルカリ塩、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、マレイン酸変性ポリビニルアルコール、及びイタコン酸変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール又はその誘導体、マレイン酸共重合物のアルカリ塩、並びにポリビニルピロリドン等の合成高分子等が挙げられる。
また、本発明の入浴剤は、本発明の作用効果に影響を及ぼさない限り、本発明のメラニン生成抑制剤以外の他の成分を含有させることができる。かかる他の成分としては、例えば、油性成分、界面活性剤、ビタミン類、アミノ酸類、タンパク質分解酵素、色素、香料、保存料、発泡性成分(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及びセスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩の1種又は2種以上、あるいは、これらと有機酸〔例えば、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸等〕との併用)、等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)チロシナーゼ阻害成分の単離
乾燥バラ(ロサ・センチフォリア又はロサ・ガリカ)の花びら200gを破砕し、50%(V/V)メタノール4000mlを加えて室温にて1日浸漬抽出した。ろ過により固形物を除去した後、得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥することにより、50%メタノール抽出物を約46gを得た。次いで、該50%メタノール抽出物を10倍量の水に懸濁した後、水と等量のヘキサンを添加し、ヘキサン層と水層に分配した。そして、水層を分画し、該水層に水飽和n−ブタノールを水層の3倍量加え、n−ブタノール層を分画後、凍結乾燥することにより、凍結乾燥品を得た。
上記凍結乾燥品を50%メタノールに溶解し、この溶液をセファデックスLH−20カラムクロマトグラフィーに供し、50%メタノールで溶出・分画した。得られた各溶出画分について、後述の方法によりチロシナーゼ阻害率(%)を調べ、阻害率の高い画分を集めて凍結乾燥後、水に溶解し、この溶液を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供した。分離条件は以下の通りである。
カラム:「Inertsil PREP−ODS」(10×250mm)
移動相:15%アセトニトリル、流速:4ml/minとした。
検出:254nmにおける吸光度を測定することにより検出した。
(2)チロシナーゼ阻害作用の評価
上記方法により得られた溶出画分について、以下の方法により、チロシナーゼ阻害率を測定した。
10%牛胎児血清を含むDMEM培地を用いて、96穴マイクロプレートの各ウェルにB16メラノーマ細胞を5×10個/ウェルの密度で播種し、24時間、37℃、5%COの条件下にて培養した。1%トリトンX−100を含むリン酸緩衝液(50mM、pH6.8)50μlにて細胞を溶解した後、1%L−DOPA50μl及び上記方法により得られた各溶出画分50μlを添加し、37℃にて3時間インキュベートした。その後、生成したメラニンの量を、405nmの吸光度を測定することにより求めた。チロシナーゼ阻害率(%)は、上記各溶出画分未添加の場合のメラニン生成量に対する割合として、以下の式により求めた。そして、チロシナーゼ阻害率が50%を示す時の試料濃度(mg/ml)を求め、これに基づいてチロシナーゼ阻害作用を評価した。その結果を表1に示す。
チロシナーゼ阻害率(%)={1−(T−T)/(C−C)}×100
T;上記各溶出画分添加の吸光度
;上記各溶出画分添加のブランクの吸光度
C;上記各溶出画分未添加の吸光度
;上記各溶出画分未添加のコントロールのブランクの吸光度
Figure 2005281262
そして、得られた溶出画分(8画分)のうち、チロシナーゼ阻害率の最も高い画分(HPLC−P5画分〔HPLC後得られたピークの5番目の画分〕)を、MS及びNMRにより同定した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 2005281262
(3)メラニン阻害作用の評価
試料として、オイゲニイン及びアルブチンを使用した。
10%牛胎児血清を含むDMEM培地を用いて、6穴マイクロプレートの各ウェルにB16メラノーマ細胞を2×10個/ウェルの密度で播種し、24時間、37℃、5%COの条件下にて培養した。その後、上記各試料を含む培地と交換し、同条件下にて7日間培養した。その後、細胞をトリプシン処理により剥がし、マイクロチューブに回収後、遠心分離(1000rpm、5分)して細胞ペレットを調製した。
メラニン産生の程度は、得られた細胞ペレットの白色化の度合いを目視にて判定した。対照(試料未添加時の場合)の色調を「±」とし、これに比較してやや白色の場合を「+」、明らかな白色化の場合を「++」、顕著な白色化の場合を「+++」として評価した。また、細胞毒性は、毒性なし(対照の細胞ペレットとほぼ同体積の細胞量)を「++」、弱毒性(対照の細胞ペレットの約2/3の細胞量)を「+」、中毒性(対照の細胞ペレットの約1/2の細胞量)を「++」、強毒性(対照の細胞ペレットの約1/3以下の細胞量)を「+++」として評価した。その結果を以下の表3に示す。
Figure 2005281262
表1より、成分の精製に伴い、IC50が低下していることが分かる。この結果から、成分の精製が進むことにより、チロシナーゼ阻害作用が顕著に上昇していることが分かる。そして、表2に示すように、チロシナーゼ阻害作用に優れたHPLC P5画分より得られた化合物の化学構造をMS及びNMRにより調べたところ、当該画分に含まれているのは、分子式C412926、分子量938のオイゲニイン(上記化学式(1)参照)であることが確認された。更に、表3より、得られたオイゲニインのメラニン生成抑制作用について調べたところ、オイゲニインは細胞毒性もほとんど認められず、また、チロシナーゼ阻害剤と知られ、美白化粧品素材として用いられているアルブチンよりも高いメラニン生成抑制作用が認められた。
以上より、オイゲニインは優れたチロシナーゼ阻害作用及びメラニン生成抑制作用が認められ、優れた美白効果を奏することが分かる。
(4)配合クリームでの効果試験
以下に記載の方法によりクリームを調製し、美白効果を調べた。
表4に記載の成分Aを70℃に加温して混合した。また、表4に記載の成分Bを70℃に加温混合した。そして、70℃に保ちながら成分Bに成分Aを加えて乳化した。冷却後、表4に記載の成分Cを添加し、攪拌して試験品のクリームを得た。対照品として、試験品のオイゲニインを精製水に替えて調製したクリームを用いた。
25〜55歳の女性20名をパネラーとし、毎日朝と夜の2回、洗顔後に顔面を左右に分け、一方に試験品のクリームを、他方に対照品のクリームを各適量塗布した。試験は12週間行い、塗布による美白・美肌効果を以下の評価基準に従って7段階で評価し、その合計点を評価点とした。評価の結果を表4に併記する。
3点:試験品の方が非常によい。
2点:試験品の方がよい。
1点:試験品の方がややよい。
0点:差がない。
−1点:対照品の方がややよい。
−2点:対照品の方がよい。
−3点:対照品の方が非常によい。
Figure 2005281262
表4より、評価点は38点であり、パネラーあたりの平均値は1.9であった。かかる結果より、本発明のメラニン生成抑制剤を含むクリームである試験品は、対照品に比べて優れた美白・美肌効果を奏することが分かる。
(5)その他の化粧品及び食品の製造例
以下に記載の成分を混合することにより、本発明のメラニン生成抑制剤を含む化粧品及び飲食品を調製した。
(A)化粧水
Figure 2005281262
(B)美容液
Figure 2005281262
(C)乳液
Figure 2005281262
(D)入浴剤
Figure 2005281262
(E)飲料
Figure 2005281262
(F)飴
Figure 2005281262
(G)錠剤
Figure 2005281262
(H)ソフトカプセル
Figure 2005281262
尚、本発明では、上記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記組成物の形態は、通常、水溶液若しくは原液等の液状であるが、これに限らず、この抽出物を吸液性粉末に含浸させた粉末品、造粒した造粒品、増量剤等他の粉末成分を配合した錠剤、又はマイクロカプセル等とすることができる。また、これらの水溶液、粉末品等を所定容器に充填してなる商品形態、またこれ単独で使用するか他剤(水溶液のもの、油性液のもの若しくは粉末を問わない。)に配合して使用するかについても特に限定されず、例えば、ポーション型でもよいし、他形状容器に充填してもよいし、粉末品をスティック状容器(袋)に充填したものでもよい。更に、従来の清涼飲料水、ドリンク剤、乳製品、油剤化製品等に配合、分散して使用してもよい。尚、この分散は油中水型、水中油型を問わない。また、他の栄養成分(例えば、各種ビタミン類、カルシウムイオン成分、鉄イオン成分等)、薬効成分、調味成分、匂い成分等を配合してもよい。これらのうち、特に水溶性成分が好ましい。均一に溶解した商品とすることができるからである。
本発明は、優れたメラニン生成抑制作用を有することから、美白組成物及び該美白組成物を含有する化粧品に適用することができる。例えば、本発明は、飲料、食品、化粧品、医薬品等の分野に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 下記化学式(1)で表されるオイゲニインを有効成分として含有することを特徴とするメラニン生成抑制剤。
    Figure 2005281262
  2. 上記化学式(1)で表されるオイゲニインは、バラ、ダイコン草、丁香、芍薬又は牡丹から抽出して得られるオイゲニインである請求項1記載のメラニン生成抑制剤。
  3. 請求項1又は2記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする化粧品素材。
  4. 請求項1又は2記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする化粧品。
  5. 請求項1又は2記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする飲食品用添加剤。
  6. 請求項1又は2記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする飲食品。
  7. 請求項1又は2記載のメラニン生成抑制剤を含有することを特徴とする入浴剤。
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