JP7024874B2 - 検査システム、検査方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1には、鉄道車両の台車中心上の車体床面での左右振動加速度のピーク周波数とその振幅の大きさとを2クラス分類識別器に入力して学習させることにより、鉄道車両の不具合を検出することが記載されている。特許文献2には、鉄道車両の各台車に配置される1つの加速度センサにより測定された加速度から、鉄道車両の不具合を検出することが記載されている。
特許文献5には、前後方向力の測定値を用いて、通り狂い量を導出することが開示されている。前後方向力は、輪軸と、当該輪軸が設けられている台車との間に配置される部材に生じる前後方向の力である。
以上のように、従来の技術では、鉄道車両が正常であるか否かを正確に判定することが容易ではないという問題点がある。
<<鉄道車両>>
まず、各実施形態で例示する鉄道車両について説明する。図1Aは、鉄道車両の概略の一例を示す図である。図1Bは、台車枠および軸箱の一例を示す図である。図1Cは、鉄道車両の車体の下方の部分の構成の一例を示す図である。尚、図1A、図1B、図1Cにおいて、鉄道車両は、x軸の正の方向に進むものとする(x軸は、鉄道車両の走行方向に沿う軸である)。また、z軸は、軌道20(地面)に対し垂直方向(鉄道車両の高さ方向)であるものとする。y軸は、鉄道車両の走行方向に対して垂直な水平方向(鉄道車両の走行方向と高さ方向との双方に垂直な方向)であるものとする。また、鉄道車両は、営業車両であるものとする。尚、各図において、○の中に●が付されているものは、紙面の奥側から手前側に向かう方向を示し、○の中に×が付されているものは、紙面の手前側から奥側に向かう方向を示す。
図1Cでは、台車12bにおける輪軸13dに対する構成要素のみを示す。その他の輪軸13a~13cに対する構成要素も図1Cに示すものと同じもので実現される。
尚、鉄道車両自体は公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
以下の各実施形態では、前後方向力の測定値を用いる。そこで、前後方向力について説明する。前後方向力は、軸箱支持装置18a、18bを構成する部材に生じる前後方向の力である。軸箱支持装置18a、18bは、輪軸13a~13b(13c~13d)と、当該輪軸13a~13b(13c~13d)が設けられる台車12a(12b)との間に配置される。軸箱支持装置18a、18bを構成する部材は、軸箱17a、17bを支持するための部材である。
軸箱支持装置が、モノリンク式の軸箱支持装置である場合、軸箱支持装置は、リンクを備えており、軸箱と台車枠とがリンクにより連結されている。このリンクの両端にはゴムブッシュが取り付けられる。この場合、前後方向力は、1つの輪軸の左右方向の端にそれぞれ1つずつ取り付けられる2つのリンクのそれぞれが受ける荷重の前後方向の成分のうち、相互に逆位相となる成分になる。また、リンクの配置および構成により、リンクは、前後方向、左右方向、上下方向の荷重のうち主に前後方向の荷重を受ける。従って、例えば、各リンクに歪ゲージを1つ取り付ければよい。この歪ゲージの測定値を用いて、当該リンクが受ける荷重の前後方向の成分を導出することにより、前後方向力の測定値を得る。また、このようにすることに替えて、リンクに取り付けられたゴムブッシュの前後方向の変位を変位計で測定してもよい。この場合、測定した変位と当該ゴムブッシュのバネ定数との積を、前後方向力の測定値とする。軸箱支持装置が、モノリンク式の軸箱支持装置である場合、前述した、軸箱を支持するための部材は、リンクまたはゴムブッシュになる。
また、ここでは、軸箱支持装置の方式が、モノリンク式、軸はり式、および板バネ式である場合を例に挙げて、前後方向力を説明した。しかしながら、軸箱支持装置の方式は、モノリンク式、軸はり式、および板バネ式に限定されない。軸箱支持装置の方式に合わせて、モノリンク式、軸はり式、および板バネ式と同様に、前後方向力を定めることができる。
また、以下では、説明を簡単にするために、1つの輪軸について1つの前後方向力の測定値が得られる場合を例に挙げて説明する。即ち、図1に示す鉄道車両は、4つの輪軸13a~13dを有する。従って、4つの前後方向力T1~T4の測定値が得られる。
次に、第1の実施形態を説明する。
(知見)
本発明者らは、前後方向力の測定値を用いることにより、台車枠16と輪軸13a~13dまたは車体11との間に配置される部材が正常であるか否かを正確に検査することができることを見出した。当該部材は、以下の(a)または(b)の何れかである。
(a) 当該部材は、台車枠16と輪軸13a~13dまたは車体11との間において、台車枠16と輪軸13a~13dとの少なくとも一方と、直接または他の部材を介して接続される部品である。
(b) 当該部材は、台車枠16と輪軸13a~13dまたは車体11との間において、台車枠16と車体11との少なくとも一方と、直接または他の部品を介して接続される部材である。
本発明者らは、鉄道車両の走行時における運動を記述する運動方程式を、前後方向力T1~T4を用いて表現すると、台車12a、12bの運動を記述する運動方程式において、検査対象部材の特性や動きの変化が、前後方向力T1~T4に反映されることを見出した。
添え字tは、台車12a、12bを表す。添え字t(のみ)が付されている変数は、台車12a、12bで共通であることを表す。添え字jは、台車12a、12bを識別するための記号である。従って、添え字jが付されている運動方程式は、台車12a、12bのそれぞれについて存在する(2つの運動方程式により表現される)。
添え字bは、車体11であることを表す。
また、変数の上に付している「・・」、「・」はそれぞれ、2階時間微分、1階時間微分を表す。
尚、以下の運動方程式の説明に際し、必要に応じて、既出の変数の説明を省略する。また、車体11の運動を記述する運動方程式には、検査対象部材の変化が、前後方向力T1~T4に反映される部分がない。そこで、ここでは、車体11の運動を記述する運動方程式の説明を省略する。
台車12a、12bの横振動(左右方向における運動)を記述する運動方程式は、以下の(1)式で表される。
台車12a、12bのヨーイングを記述する運動方程式は、以下の(2)式で表される。
Cwxは、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の減衰係数である。b1は、軸箱支持装置18a、18bの左右方向における間隔の1/2の長さを表す(1つの輪軸に対して左右に設けられている2つの軸箱支持装置18a、18bの左右方向における間隔は2b1になる)。ψwi・は、輪軸13aまたは13cのヨーイング方向における角速度である。ψtj・は、台車12aまたは12bのヨーイング方向における角速度である。Kwxは、軸箱支持装置18a、18bの前後方向のバネ定数である。ψtjは、台車12aまたは12bのヨーイング方向における回動量(角変位)である。
k´0は、ヨーダンパのゴムブッシュの剛性である。b´0は、台車12a、12bに対し左右に配置された2つのヨーダンパの左右方向における間隔の1/2を表す(台車12a、12bに対し左右に配置された2つのヨーダンパの左右方向における間隔は2b´0になる)。ψyjは、台車12a、12bに対し左右に配置されたヨーダンパのヨーイング方向における回動量(角変位)である。k0は、ボルスタアンカ支持剛性である。b0は、ボルスタアンカの中心間隔の1/2を表す。k´´2は、空気バネ22a、22bの前後方向のバネ定数である。b2は、台車12a、12bに対し左右に配置された2つの空気バネ22a、22bの左右方向における間隔の1/2を表す(台車12a、12bに対し左右に配置された2つの空気バネ22a、22bの左右方向における間隔は2b2になる)。
台車12a、12bのローリングを記述する運動方程式は、以下の(3)式で表される。
c1は、軸ダンパの上下方向の減衰係数である。b´1は、台車12a、12bに対し左右に配置された2つの軸ダンパの左右方向における間隔の1/2を表す(台車12a、12bに対し左右に配置された2つの軸ダンパの左右方向における間隔は2b´1になる)。c2は、空気バネ22a、22bの上下方向の減衰係数である。φaj・は、台車12aまたは12bに配置された空気バネ22a、22bのローリング方向における角速度である。
k3は、空気バネ22a、22bの有効受圧面積の変化による等価剛性である。
以上が、台車12a、12bの運動を記述する運動方程式である。
輪軸13a~13dの横振動を記述する運動方程式は、以下の(4)式で表される。
輪軸13a~13dのヨーイングを記述する運動方程式は、以下の(5)式で表される。
(22)式の右辺の1つ目の破線で示す部分は、左右動ダンパ23の剛性量を表し、同式の右辺の2つ目の破線で示す部分は、空気バネ22a、22bの左右方向における剛性量を表す。従って、左右動ダンパ23の剛性量や、空気バネ22a、22bの左右方向における剛性量が変化すると、その影響は、前後方向力T1~T4に現れる。尚、剛性量は、バネ定数に対応する。
従って、軸箱17a、17bの前後方向におけるダンピング量・剛性量、空気バネ22a、22bの上下方向におけるダンピング量、左右動ダンパ23のダンピング量、空気バネ22a、22bの上下方向における剛性量、および空気バネ22a、22bの左右方向における剛性量の少なくとも1つが変化すると、その影響は、前後方向力T1~T4に現れる。
(27)式の右辺の破線で示す部分は、軸箱支持装置18a、18bの前後方向、左右方向の剛性量を表す。従って、軸箱支持装置18a、18bの左右方向の剛性量、および、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の剛性量の少なくとも1つが変化すると、その影響は、前後方向力T1~T4に現れる。
図3は、検査装置300の機能的な構成の一例を示す図である。図4は、検査装置300のハードウェアの構成の一例を示す図である。
図4において、検査装置300は、CPU401、主記憶装置402、補助記憶装置403、通信回路404、信号処理回路405、画像処理回路406、I/F回路407、ユーザインターフェース408、ディスプレイ409、およびバス410を有する。
ユーザインターフェース408は、オペレータが検査装置300に対して指示を行う部分である。ユーザインターフェース408は、例えば、ボタン、スイッチ、およびダイヤル等を有する。また、ユーザインターフェース408は、ディスプレイ409を用いたグラフィカルユーザインターフェースを有していてもよい。
出力部304は、例えば、通信回路404および信号処理回路405と、画像処理回路406、I/F回路407、およびディスプレイ409との少なくとも何れか一方を用いることにより実現される。
データ取得部301は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを所定のサンプリング周期で取得する。これにより、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値の時系列データが得られる。前後方向力の測定方法は、前述した通りである。以下の説明では、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値を、必要に応じて、検査測定値と称する。
記憶部302は、検査部303による判定に必要な情報を記憶する。
本実施形態では、記憶部302は、正常な鉄道車両を検査区間において走行させることにより正常な鉄道車両において事前に測定された検査区間の各位置における前後方向力T1~T4の測定値を予め記憶する。以下の説明では、正常な鉄道車両を検査区間において走行させることにより正常な鉄道車両において事前に測定された前後方向力T1~T4の測定値を、必要に応じて、基準測定値と称する。ここで、正常な鉄道車両とは、検査対象部材を含め、車両基地等で行われる検査において異常が確認されていない鉄道車両や、新品の鉄道車両(営業運行を開始する前の鉄道車両)をいう。後述する本実施形態の手法で検査する前に、車両基地等で行われる検査により検査対象の鉄道車両に異常がないことを確認した場合、当該鉄道車両を正常な鉄道車両として、当該鉄道車両において基準測定値を得てもよい。
検査部303は、検査対象の鉄道車両の検査対象部材を検査する。検査部303は、その機能として判定部303aを有する。
<判定部303a>
本実施形態では、判定部303aは、検査測定値と、基準測定値とを比較した結果に基づいて、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常であるか否かを判定する。
判定部303aにおける処理の具体例を説明する。
記憶部302には、検査区間の各位置における基準測定値が、鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度毎に分類されて記憶されている。判定部303aは、検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、検査装置300が搭載されている検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度と同じ内容で分類されて記憶部302に記憶されている基準測定値を選択する。検査装置300が搭載されている検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度は、検査装置300に対して予め設定されているものとする。
一方、検査区間の各位置における基準測定値の選択ができた場合、判定部303aは、検査測定値を測定した時刻における鉄道車両の走行位置を特定する。検査測定値を測定した時刻における鉄道車両の走行位置は、GPS(Global Positioning System)を用いて当該時刻における鉄道車両の位置を検出することにより得られる。また、当該時刻における鉄道車両の走行位置は、鉄道車両の各時刻における速度の積算値等から求めてもよい。
出力部304は、検査部303により判定された結果を示す情報を出力する。具体的に出力部304は、検査部303により、検査対象部材が正常ではないと判定された場合には、そのことを示す情報を出力する。このとき、出力部304は、正常ではないと判定された検査対象部材が、台車12a、12bの何れに属する部材であるかを示す情報も併せて出力する。また、検査部303により、検査区間では検査ができないと判定された場合、そのことを示す情報を出力する。出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
本発明者らは、検査区間を走行する鉄道車両において、検査対象部材が正常でなくなると、前後方向力T1~T4の測定値が正常な場合の値から変化することをシミュレーションにより確認した。ここでは、検査対象部材として、左右動ダンパ23およびヨーダンパ24a、24bを例に挙げて説明する。
図6は、鉄道車両が正常であると想定した場合の前後方向力T1~T4の測定値(基準測定値)に関するシミュレーションの結果の一例を示す図である。ここでは、鉄道車両が270km/hで検査区間を走行するものとした。
図7は、前側の台車12aの左右動ダンパ23が故障したと想定した場合の前後方向力T1~T4の測定値に関するシミュレーションの結果の一例を示す図である。図7では、前側の台車12aの左右動ダンパ23の減衰係数を正常時の0.5倍としてシミュレーションを行った結果を示す。
図12は、前側の台車12aの左側のヨーダンパ24aが故障したと想定した場合の前後方向力T1~T4の測定値に関するシミュレーションの結果(図9)と、鉄道車両が正常であると想定した場合の前後方向力T1~T4の測定値に関するシミュレーションの結果(図6)との差分を示す図である。
また、検査区間は、検査対象の鉄道車両の全運行区間としてもよいし、一部の運行区間としてもよい。図11~図12に示すように、直線軌条よりも曲線軌条の方が、検査測定値および基準測定値の差が大きくなる。そこで、検査区間に曲線軌条が含まれるようにするのが好ましい。また、鉄道車両が可及的に一定の速度で走行する区間を検査区間とするのが好ましい。
次に、図13のフローチャートを参照しながら、本実施形態の検査装置300における処理の一例を説明する。
ステップS1301において、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入るまで待機する。検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、処理は、ステップS1302に進む。処理がステップS1302に進むと、判定部303aは、記憶部302から、検査区間の各位置における基準測定値のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを探索する。
記憶部302に記憶されている、検査区間の各位置における基準測定値のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、検査速度と同じ種類、検査区間、検査速度で分類されている基準測定値が、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものとして最優先で選択される。
この判定の結果、検査区間の各位置における基準測定値のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを記憶部302から探索することができない場合、処理は、ステップS1304に進む。
一方、ステップS1303の判定の結果、検査区間の各位置における基準測定値のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを記憶部302から探索することができた場合、処理は、ステップS1305に進む。処理がステップS1305に進むと、データ取得部301は、検査測定値を取得する。
次に、ステップS1307において、判定部303aは、ステップS1305で取得した検査測定値と、ステップS1306で読み出した基準測定値との差の絶対値を算出する。
処理がステップS1310に進むと、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たか否かを判定する。この判定の結果、検査対象の鉄道車両が検査区間を出ていない場合、処理は、ステップS1305に戻る。そして、検査対象の鉄道車両が検査区間を出るまで、ステップS1305~S1310の処理が繰り返し実行される。そして、ステップS1310において、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たと判定されると、図13のフローチャートによる処理が終了する。
以上のように本実施形態では、検査装置300は、正常な鉄道車両において事前に測定された前後方向力T1~T4の測定値(基準測定値)と、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値(検査測定値)とが乖離している場合に、検査対象の鉄道車両における検査対象部材が正常でないと判定する。検査対象部材のバネ定数および減衰係数の少なくとも一方は、鉄道車両の運動を記述する運動方程式において前後方向力T1~T4に影響を与えるものである。従って、前後方向力T1~T4は、検査対象部材のバネ定数および減衰係数の少なくとも一方が異常であるか否かを評価する指標となる。このような指標を用いて、検査対象部材のバネ定数および減衰係数の少なくとも一方が異常であるか否かを判定する。よって、検査対象部材が異常であるか否かを正確に判定することができる。
<第1の変形例>
本実施形態では、基準測定値の瞬時値と検査測定値の瞬時値とを比較する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、基準測定値の移動平均値と検査測定値の移動平均値とを比較してもよい。
本実施形態では、検査測定値および基準測定値の差の絶対値が閾値を上回るか否かが判定される度に、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常でないことを示す情報を出力する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、検査測定値および基準測定値の差の絶対値が閾値を上回ることが所定の回数継続した場合に、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常でないことを示す情報を出力してもよい。また、検査測定値および基準測定値の差の絶対値の検査区間における積算値が閾値を上回るか否かを判定してもよい。この場合、当該積算値が閾値を上回る場合に、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常でないことを示す情報を出力してもよい。このようにする場合には、検査対象の鉄道車両の検査区間の走行が終了した後に、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常でないことを示す情報が出力される。また、第1の変形例と第2の変形例を組み合わせてもよい。例えば、基準測定値の移動平均値と検査測定値の移動平均値との差の絶対値が閾値を上回ることが所定の回数継続した場合に、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常でないことを示す情報を出力してもよい。
また、検査測定値が得られたときの軌道の状態と、基準測定値が得られたときの軌道の状態とが近い場合に限り、検査を行うようにしてもよい。例えば、基準測定値を得たときに、検査区間の各位置における通り狂い量を特許文献5に記載のようにして算出する。その後、検査測定値を得たときに、検査区間の各位置における通り狂い量を特許文献5に記載のようにして算出する。そして、同じ位置における通り狂い量の差の絶対値が、予め設定されている閾値を上回った場合には、検査測定値が得られたときの軌道の状態と、基準測定値が得られたときの軌道の状態とが近くないとして、検査を中止してもよい。また、そのことを示す情報を出力してもよい。
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、前後方向力T1~T4の測定値をそのまま比較する場合を例に挙げて説明した。前後方向力T1~T4は、加速度等に比べれば、ノイズ等の影響は小さい。しかしながら、前後方向力T1~T4の測定値の信号成分から、前後方向力T1~T4の測定値に含まれる本質的な信号成分を抽出するのがより好ましい。そこで、本実施形態では、このようにする手法について説明する。このように本実施形態は、第1の実施形態に対し、前後方向力T1~T4の測定値に対して、本質的な信号成分を抽出する処理を行った上で比較を行う点が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1~図13に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本発明者らは、本質的な信号成分を抽出するためのモデルとして、自己回帰モデル(AR(Auto-regressive)モデル)を修正したモデルを考案した。そして、本発明者らは、このモデルを用いて、前後方向力の測定値から本質的な信号成分を抽出することに想到した。以下の説明では、本発明者らが考案したモデルを、修正自己回帰モデルと称する。これに対し、公知の自己回帰モデルを、単に自己回帰モデルと称する。以下、修正自己回帰モデルの一例について説明する。
自己相関行列Rを特異値分解する。自己相関行列Rの成分は、対称である。従って、自己相関行列Rを特異値分解すると以下の(35)式のように、直交行列Uと、対角行列Σと、直交行列Uの転置行列との積となる。
行列Σsおよび行列Usを行列成分で表現すれば、以下の(38)式のようになる。
本実施形態の検査装置300は、以上の知見に基づいてなされたものである。
図14は、検査装置300の機能的な構成の一例を示す図である。検査装置300は、その機能として、データ取得部301、記憶部302、検査部303、および出力部304を有する。
データ取得部301は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを所定のサンプリング周期で取得する。これにより、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値の時系列データが得られる。前後方向力の測定方法は、前述した通りである。
そこで、本発明者らは、前述した修正自己回帰モデルを用いて、前後方向力の測定値の時系列データから本質的な信号成分を抽出することに想到した。
記憶部302は、修正後基準測定値を予め記憶する。修正後基準測定値は、基準測定値を、修正自己回帰モデルを用いて修正したものである。第1の実施形態で説明したように、基準測定値は、正常な鉄道車両を検査区間において走行させることにより正常な鉄道車両において事前に測定された前後方向力T1~T4の測定値である。正常な鉄道車両の意味するところは、第1の実施形態で説明したのと同じである。
まず、前後方向力の測定値のデータyと、予め設定されている数M、mと、に基づいて、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを生成する。
次に、自己相関行列Rの複数の固有値σ11~σmmのうち、それらの平均値以上の値を有するs個の固有値σ11~σssを、修正自己回帰モデルの係数αを求めるのに利用する自己相関行列Rの固有値として選択する。
次に、前後方向力の測定値のデータyと、固有値σ11~σssと、自己相関行列Rの特異値分解により得られた直交行列Uと、に基づいて、(40)式を用いて、修正自己回帰モデルの係数αを決定する。
検査部303は、その機能として、周波数成分調整部1401および判定部1402を有する。
<周波数成分調整部1401>
周波数成分調整部1401は、修正自己回帰モデルを用いて、検査対象の鉄道車両から得られる前後方向力の測定値のデータyの時刻kにおける予測値y^kを導出する。以下の説明では、検査対象の鉄道車両から得られる前後方向力の測定値のデータyの時刻kにおける予測値y^kを、必要に応じて、修正後検査測定値と称する。
判定部1402は、第1の実施形態の<判定部303a>の説明において、基準測定値を修正後基準測定値に置き換えると共に検査測定値を修正後検査測定値に置き換えることにより実現することができる。従って、ここでは、判定部1402の詳細な説明を省略する。
出力部304は、第1の実施形態の出力部304と同じ機能を有する。従って、ここでは、出力部304の詳細な説明を省略する。
次に、図15のフローチャートを参照しながら、本実施形態の検査装置300における処理の一例を説明する。
ステップS1501において、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入るまで待機する。検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、処理は、ステップS1502に進む。処理がステップS1502に進むと、判定部1402は、記憶部302から、検査区間の各位置における修正基準測定値のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを探索する。ステップS1502の探索の方法は、ステップS1303における探索の方法において、基準測定値を修正後基準測定値に置き換えることにより実現することができる。従って、ここでは、ステップS1502の探索の方法の詳細な説明を省略する。
処理がステップS1504に進むと、出力部304は、当該検査区間では検査ができないことを示す検査不能情報を出力する。そして、図15のフローチャートによる処理が終了する。
次に、ステップS1510において、判定部1402は、ステップS1508で導出された修正後検査測定値と、ステップS1509で読み出した修正後基準測定値との差の絶対値を算出する。
処理がステップS1513に進むと、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たか否かを判定する。この判定の結果、検査対象の鉄道車両が検査区間を出ていない場合、処理は、ステップS1505に戻る。そして、検査対象の鉄道車両が検査区間を出るまで、ステップS1505~S1513の処理が繰り返し実行される。そして、ステップS1513において、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たと判定されると、図15のフローチャートによる処理が終了する。
以上のように本実施形態では、検査装置300は、前後方向力の測定値のデータyから、自己相関行列Rを生成する。検査装置300は、自己相関行列Rを特異値分解して得られた固有値のうち、それらの平均値以上の値を有するs個の固有値を用いて、前後方向力の測定値のデータyを近似する修正自己回帰モデルの係数αを決定する。従って、前後方向力の測定値のデータyに含まれる信号成分のうち、検査対象部材が正常であるか否かによって変化する信号成分を強調することができるように、係数αを決定することができる。検査装置300は、時刻kにおける前後方向力の予測値y^kを、このようにして係数αが定められた修正自己回帰モデルに、その時刻よりも前の時刻k-l(1≦l≦m)の前後方向力の測定値のデータyを与えることにより算出する。従って、カットオフ周波数を予め想定することなく、前後方向力の測定値のデータyから、本質的な信号成分を抽出することができる。従って、検査対象部材が正常であるか否かをより一層正確に判定することができる。
また、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
次に、第3の実施形態を説明する。第1、第2の実施形態では、前後方向力T1~T4の測定値の各時刻における大きさを比較する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、前後方向力T1~T4の周波数特性を用いて、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常であるか否かを判定する場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態は、第1、第2の実施形態に対し、前後方向力T1~T4の瞬時値に代えて、前後方向力T1~T4の周波数特性を用いる点が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1、第2の実施形態と同一の部分については、図1~図15に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
(28)式で与えられる計測データの予測値y^kの予測誤差xkが白色雑音になるという性質を使うと、修正自己回帰モデルは白色雑音である予測誤差xkを入力とし、データの実測値ykを出力とする線形時不変システムとみなせる。従って、以下の手順で周波数特性の算出式を導出することができる。以下の説明では、修正自己回帰モデルを線形時不変モデルとみなしたものを、必要に応じて、単にシステムと称することにする。予測誤差xkは、以下の(41)式で表される。
図46は、検査装置300の機能的な構成の一例を示す図である。
図46において、検査装置300は、その機能として、データ取得部301、記憶部302、検査部303、および出力部304を有する。
データ取得部301は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを所定のサンプリング周期で取得する。これにより、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値の時系列データが得られる。前後方向力の測定方法は、前述した通りである。
記憶部302は、検査区間の各位置において、正常な鉄道車両における修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4を予め記憶する。正常な鉄道車両の意味するところは、第1の実施形態で説明したのと同じである。
前後方向力T1~T4の測定値の時系列データから(40)式を用いて修正自己回帰モデルの係数αが決定される。修正自己回帰モデルの周波数特性は、修正自己回帰モデルの係数αに基づいて、(45)式を用いることにより導出される。
後述するように本実施形態では、検査区間の各位置において、検査対象の鉄道車両の修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4と、正常な鉄道車両の修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4とを比較する。以下の説明では、正常な鉄道車両における修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4を、必要に応じて基準周波数特性H1~H4と称する。検査対象の鉄道車両の修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4を、必要に応じて、検査周波数特性H1~H4と称する。検査区間は、鉄道車両の走行区間のうち、検査周波数特性H1~H4と基準周波数特性H1~H4との比較を行う区間を指す。
検査部303は、その機能として、係数導出部1601、周波数特性導出部1602、および判定部1603を有する。
<係数導出部1601>
係数導出部1601は、修正自己回帰モデルの係数αを導出する。修正自己回帰モデルの係数αは、第2の実施形態で説明したものである。
係数導出部1601は、サンプリング周期が到来するたびに、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値のデータyを用いて以下の処理を行う。
まず、係数導出部1601は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値のデータyと、予め設定されている数M、mと、に基づいて、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを生成する。
次に、係数導出部1601は、自己相関行列Rを特異値分解することで、(35)式の直交行列Uおよび対角行列Σを導出し、対角行列Σから自己相関行列Rの固有値σ11~σmmを導出する。
次に、係数導出部1601は、前後方向力T1~T4の測定値のデータyと、固有値σ11~σssと、自己相関行列Rの特異値分解により得られた直交行列Uと、に基づいて、(40)式を用いて、修正自己回帰モデルの係数αを決定する。尚、修正自己回帰モデルの係数αは、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値のデータyのそれぞれについて個別に導出される。
周波数特性導出部1602は、係数導出部1601により導出された修正自己回帰モデルの係数αに基づいて、(45)式を用いて、検査周波数特性H1~H4を導出する。
判定部1603は、検査周波数特性H1~H4と、基準周波数特性H1~H4とを比較した結果に基づいて、検査対象の鉄道車両の検査対象部材が正常であるか否かを判定する。
出力部304は、第1の実施形態の出力部304と同じ機能を有する。従って、ここでは、出力部304の詳細な説明を省略する。
第1の実施形態で説明したシミュレーションで得られた前後方向力T1~T4の測定値を用いて、修正自己回帰モデルの周波数特性を導出した。ここでは、(28)式のmを1500とした。また、サンプリング周期を0.002sとした。
図17A、図17Bは、左右動ダンパ23が故障したと想定した場合の採用固有値数を示す図である。図17Aは、前側の台車12aの左右動ダンパ23が故障したと想定した場合を示す。図17Bは、後ろ側の台車12bの左右動ダンパ23が故障したと想定した場合を示す。
また、図17A、図17Bにおいて、「正常」は、鉄道車両が正常であると想定した場合の採用固有値数を示す。図17Aにおいて、「LD故障_前」は、前側の台車12aの左右動ダンパ23が故障したと想定した場合の採用固有値数を示す。図17Bにおいて、「LD故障_後」は、後ろ側の台車12bの左右動ダンパ23が故障したと想定した場合の採用固有値数を示す。
図18は、鉄道車両が正常であると想定した場合の修正自己回帰モデルの周波数特性を示す図である。図19は、前側の台車12aの左右動ダンパ23が故障したと想定した場合の修正自己回帰モデルの周波数特性を示す図である。図20は、後ろ側の台車12bの左右動ダンパ23が故障したと想定した場合の修正自己回帰モデルの周波数特性を示す図である。
次に、図21のフローチャートを参照しながら、本実施形態の検査装置300における処理の一例を説明する。
ステップS2101において、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入るまで待機する。検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、処理は、ステップS2102に進む。処理がステップS2102に進むと、判定部1603は、記憶部302から、検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを探索する。
ステップS2103の探索の方法は、ステップS1303における探索の方法において、基準測定値を基準周波数特性H1~H4に置き換えることにより実現することができる。従って、ここでは、ステップS2102の探索の方法の詳細な説明を省略する。
この判定の結果、検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを記憶部302から探索することができない場合、処理は、ステップS2104に進む。
一方、ステップS2103の判定の結果、検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを記憶部302から探索することができた場合、処理は、ステップS2105に進む。処理がステップS2105に進むと、検査装置300は、所定のサンプリング周期(の開始時刻)が到来するまで待機する。所定のサンプリング周期(の開始時刻)が到来すると、処理はステップS2106に進む。処理がステップS2106に進むと、データ取得部301は、現在のサンプリング周期における検査測定値を取得する。
処理がステップS2113に進むと、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たか否かを判定する。この判定の結果、検査対象の鉄道車両が検査区間を出ていない場合、処理は、ステップS2105に戻る。そして、検査対象の鉄道車両が検査区間を出るまで、ステップS2105~S2113の処理が繰り返し実行される。そして、ステップS2113において、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たと判定されると、図21のフローチャートによる処理が終了する。
以上のように本実施形態では、検査装置300は、検査対象の鉄道車両から得られる修正自己回帰モデルの周波数特性と、正常な鉄道車両から得られる修正自己回帰モデルの周波数特性とが乖離している場合に、検査対象の鉄道車両における検査対象部材が正常でないと判定する。このようにしても、第1、第2の実施形態と同様に、鉄道車両における検査対象部材が正常であるか否かを正確に判定することができる。
また、本実施形態においても、第1~第2の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
次に、第4の実施形態を説明する。第1~第3の実施形態では、検査対象部材の何れかが異常であるか否かを検査する。これに対し、本実施形態では、前後方向力T1~T4の測定値を用いて、検査対象部材の1つであるヨーダンパが異常であるか否かを検査する場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と第1~第3の実施形態は、検査対象部材をヨーダンパに限定したことによる構成および処理が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1~第3の実施形態と同一の部分については、図1~図21に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図22は、検査装置300の機能的な構成の一例を示す図である。検査装置300は、その機能として、データ取得部301、記憶部302、検査部303、および出力部304を有する。
データ取得部301は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを所定のサンプリング周期で取得する。本実施形態では、入力データには、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値に加えて、車体11の左右方向における加速度の測定値、台車12a、12bの左右方向における加速度の測定値、および輪軸13a~13dの左右方向における加速度の測定値が含まれる。これにより、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値、車体11の左右方向における加速度の測定値、台車12a、12bの左右方向における加速度の測定値、および輪軸13a~13dの左右方向における加速度の測定値の時系列データが得られる。各加速度は、例えば、車体11、台車12a、12b、および輪軸13a~13dにそれぞれ取り付けられた歪ゲージと、当該歪ゲージの測定値を用いて加速度を演算する演算装置とを用いることにより測定される。尚、加速度の測定は、公知の技術で実現することができるので、その詳細な説明を省略する。
記憶部302は、正常な鉄道車両を検査区間において走行させることにより正常な鉄道車両において事前に測定された検査区間の各位置における角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、および角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2を記憶する。ここで、本実施形態では、検査区間は、直線軌条の区間から選ばれるのが好ましい。
角変位差ψy1-ψt1は、台車12aに配置されたヨーダンパのヨーイング方向における回動量(角変位)ψy1から、台車12aのヨーイング方向における回動量(角変位)ψt1を減算したものである。角変位差ψy2-ψt2は、台車12bに配置されたヨーダンパのヨーイング方向における回動量(角変位)ψy2から、台車12bのヨーイング方向における回動量(角変位)ψt2を減算したものである。
本発明者らは、台車12aにおけるヨーダンパ24a、24bが正常でなくなると、(46)式~(47)式における{ψy1・-ψb・}、{ψy1-ψt1}が正常時の値から乖離することを見出した。同様に、本発明者らは、台車12bにおけるヨーダンパ24a、24bが正常でなくなると、(46)式~(47)式における{ψy2・-ψb・}、{ψy2-ψt2}が正常時の値から乖離することを見出した。
本実施形態では、検査角速度差ψ y1 ・-ψ b ・、ψ y2 ・-ψ b ・と基準角速度差ψ y1 ・-ψ b ・、ψ y2 ・-ψ b ・とを比較すると共に、検査角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2と基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2とを比較する。検査区間は、鉄道車両の走行区間のうち、これらの比較を行う区間を指す。ただし、第1~第3の実施形態では、検査区間は、直線軌条であっても曲線軌条であっても、それらの双方を含んでいてもよい。これに対し本実施形態では、検査区間は、直線軌条の区間であるのが好ましい。検査区間の各位置は、基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2が得られたときの鉄道車両の走行位置から得られる。鉄道車両の走行位置は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて各時刻における鉄道車両の位置を検出することにより得られる。また、鉄道車両の走行位置は、鉄道車両の各時刻における速度の積算値等から求めてもよい。
ここで、通り狂い量yR、角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2の導出方法の一例を説明する。本実施形態では、特許文献5に記載の手法により、通り狂い量yR、角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2を導出する場合を例に挙げて説明する。ここで、特許文献5の手法について簡単に説明する。
特許文献5では、以下の(48)式に示す変数を状態変数とし、以下の(49)式~(65)式の運動方程式を用いて状態方程式を構成する。
観測方程式および状態方程式を、カルマンフィルタに適用し、データ取得部301により取得された入力データを用いて、(48)式に示す状態変数を決定する。カルマンフィルタは、観測変数の測定値と計算値との誤差が最小または当該誤差の期待値が最小になるように状態変数を導出するフィルタ(即ち、データ同化を行うフィルタ)の一例である。カルマンフィルタ自体は、公知の技術で実現することができる。これらの状態変数から、角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2が導出される。従って、(48)式において、ψy1・およびψy2・を状態変数に更に含めるのが好ましい。
検査部303は、その機能として、状態変数決定部2201、差導出部2202、および判定部2203を有する。
<状態変数決定部2201>
状態変数決定部2201は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、観測方程式および状態方程式を、カルマンフィルタに適用し、データ取得部301により取得された入力データを用いて、(48)式に示す状態変数を決定する。
差導出部2202は、状態変数決定部2201により導出された状態変数と、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値とに基づいて、検査区間の各位置において、通り狂い量yR、検査角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、検査角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2を導出する。
判定部2203は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、記憶部302に記憶されている、基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2から、検査装置300が搭載されている検査対象の鉄道車両に対応する、基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2を選択する。基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2を選択する方法は、例えば、第1の実施形態の<判定部303a>の説明において、基準測定値を、基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2に置き換えることにより実現することができる。従って、ここでは、基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・および基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2の選択の方法の詳細な説明を省略する。また、検査区間の各位置における基準測定値の選択ができない場合、判定部2203は、当該検査区間では、検査ができないと判定する。
出力部304は、検査部303により判定された結果を示す情報を出力する。本実施形態では、具体的に出力部304は、検査部303により、ヨーダンパが正常ではないと判定された場合には、そのことを示す情報を出力する。このとき、出力部304は、正常ではないと判定されたヨーダンパが、台車12a、12bの何れに属するヨーダンパであるかを示す情報も併せて出力する。また、検査部303により、検査区間では検査ができないと判定された場合、そのことを示す情報を出力する。出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
以下、直線軌条の検査区間を走行する鉄道車両において、台車12aの左側および右側に配置されたヨーダンパが正常でなくなると、検査角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、検査角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2が、それぞれ、基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2から変化することをシミュレーションにより確認した。尚、左右方向の両側において前述した運動方程式を構築することにより、左右方向の両側のそれぞれにおいて、前述した状態変数および通り狂い量yRを算出した。また、ここでは、鉄道車両が270km/hで検査区間を走行するものとした。
また、図24に示すように、通り狂い量yRの推定値と実測値は精度良く一致していることが分かる(図24の上の図を参照)。そして、故障したヨーダンパが配置される台車12aにおける前後方向力T1、T2の正常時からの乖離は、通り狂い量yRの予測結果に影響していないことが分かる(図24の真ん中および下の図を参照)。
また、図26に示すように、台車12bにおける角速度差ψy2・-ψb・に比べ(図26の下図を参照)、故障したヨーダンパが配置される台車12aにおける角速度差ψy1・-ψb・が、正常時から大きく変化することが分かる(図26の上図を参照)。
次に、図27のフローチャートを参照しながら、本実施形態の検査装置300における処理の一例を説明する。
ステップS2701において、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入るまで待機する。検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、処理は、ステップS2702に進む。処理がステップS2702に進むと、判定部2203は、記憶部302から、検査区間の各位置における基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2のうち、検査対象の鉄道車両に対応するものを探索する。
一方、ステップS2703の判定の結果、検査区間の各位置における基準角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、基準角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2のうち、検査対象の鉄道車両に対応するものを記憶部302から探索することができた場合、処理は、ステップS2705に進む。処理がステップS2705に進むと、データ取得部1301は、入力データを取得する。
次に、ステップS2707において、差導出部2202は、ステップS2206で決定された状態変数と、検査測定値とを用いて、通り狂い量yRと検査角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・と検査角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2とを算出する。
以上のように本実施形態では、検査装置300は、正常な鉄道車両において事前に算出された角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2と、検査対象の鉄道車両において算出された角速度差ψy1・-ψb・、ψy2・-ψb・、角変位差ψy1-ψt1、ψy2-ψt2とが乖離している場合に、検査対象の鉄道車両におけるヨーダンパが正常でないと判定する。従って、前後方向力T1~T4を用いることにより、ヨーダンパが正常であるか否かを正確に判定することができる。
また、前後方向力T1~T4の測定値について、第2の実施形態のようにして、前後方向力T1~T4の測定値に含まれる本質的な信号成分を抽出して用いてもよい。
また、本実施形態においても、第1~第3の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
次に、第5の実施形態を説明する。第1~第3の実施形態では、検査対象部材の何れかが異常であるか否かを検査する。第4の実施形態では、検査対象部材をヨーダンパに限定する。これに対し、本実施形態では、前後方向力T1~T4の測定値を用いて、検査対象部材の1つである軸箱支持装置18a、18bの前後方向の剛性が異常であるか否かを検査する場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と第1~第4の実施形態は、検査対象部材を軸箱支持装置18a、18bに限定したことによる構成および処理が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1~第4の実施形態と同一の部分については、図1~図27に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
まず、本発明者らが得た知見について説明する。
本発明者らは、前後方向力の測定値を用いることにより、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の剛性が正常であるか否かを正確に検査することができることを見出した。
Kwxは、軸箱支持装置18a、18bの前後方向のバネ定数である。Cwxは、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の減衰係数である。b1は、軸箱支持装置18a、18bの左右方向における間隔の1/2の長さを表す(1つの輪軸に対して左右に設けられている2つの軸箱支持装置18a、18bの左右方向における間隔は2b1になる)。ψtjは、台車12aまたは12bのヨーイング方向における回転量(角変位)である。ψwiは、輪軸13a~13dのヨーイング方向における回動量(角変位)である。ψtj・は、台車12aまたは12bのヨーイング方向における角速度である。ψwi・は、輪軸13a~13dのヨーイング方向における角速度である。
(70)式を変形すると、以下の(71)式が得られる。
図28は、検査区間における軌条20a、20bの曲率の一例を示す図である。図28において、距離0は、検査区間の開始地点を示す(このことは他の図でも同じである)。図28は、鉄道車両が走行方向に向かって右回りに走行していることを示す。
本実施形態は、以上の知見に基づいてなされたものである。
図30は、検査装置300の機能的な構成の一例を示す図である。
図30において、検査装置300は、その機能として、データ取得部301、記憶部302、検査部303、および出力部304を有する。データ取得部301は、その機能として、軌道情報取得部3001および車両情報取得部3002を有する。検査部303は、その機能として、バネ定数導出部3003、周波数成分調整部3004、および判定部3005を有する。
軌道情報取得部3001は、鉄道車両の走行中に、軌道情報を、所定のサンプリング周期で取得する。軌道情報には、1/Ri(輪軸13a、13b、13c、13dの位置での軌条20a、20bの曲率)と、1/Ri・(輪軸13a、13b、13c、13dの位置での軌条20a、20bの曲率の時間微分値)と、yRi(輪軸13a、13b、13c、13dの位置での通り狂い量)と、φraili(輪軸13a、13b、13c、13dの位置での軌条20a、20bのカント角)とが含まれる。輪軸13a、13b、13c、13dの位置は、鉄道車両の走行位置から特定される。鉄道車両の走行位置(現在位置)は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて各時刻における鉄道車両の位置を検出することにより得られる。また、鉄道車両の走行位置は、鉄道車両の各時刻における速度の積算値等から求めてもよい。
車両情報取得部3002は、鉄道車両の走行中に、車両情報を、所定のサンプリング周期で取得する。車両情報には、Ti(前後方向力)と、ψtj(台車12a、12bのヨーイング方向における回転量(角変位))と、ψwi(輪軸13a~13dのヨーイング方向における回動量(角変位))と、ψtj・(台車12a、12bのヨーイング方向における角速度)と、ψwi・(輪軸13a~13dのヨーイング方向における角速度)とが含まれる。
車両情報取得部3002は、Ti(前後方向力)の測定値を、所定のサンプリング周期が到来するたびに得る。Ti(前後方向力)の測定の方法は、前述した通りである。
車体11の横振動(左右方向における運動)を記述する運動方程式は、以下の(72)式で表される。
・車体のヨーイング
車体11のヨーイングを記述する運動方程式は、以下の(73)式で表される。
車体11のローリングを記述する運動方程式は、以下の(74)式で表される。
バネ定数導出部3003は、軌道情報取得部3001により取得された「1/Ri(輪軸13a、13b、13c、13dの位置での軌条20a、20bの曲率)、および1/Ri・(輪軸13a、13b、13c、13dの位置での軌条20a、20bの曲率の時間微分値)」と、車両情報取得部3002により取得された「Ti(前後方向力)、ψtj(台車12a、12bのヨーイング方向における回転量(角変位))、ψwi(輪軸13a~13dのヨーイング方向における回動量(角変位))、ψtj・(台車12a、12bのヨーイング方向における角速度)、およびψwi・(輪軸13a~13dのヨーイング方向における角速度)」と、予め検査装置300に記憶されている「a(台車12a、12bに設けられている輪軸13a・13b、13c・13d間の前後方向における距離の1/2)、b1(軸箱支持装置18a、18bの左右方向における間隔の1/2の長さ)、およびCwx(軸箱支持装置18a、18bの前後方向の減衰係数)」とを(71)式に代入して、Kwx(軸箱支持装置18a、18bの前後方向のバネ定数)を導出することを、所定のサンプリング周期が到来するたびに行う。尚、直線軌条においては、1/Ri(輪軸13a~13dの位置での軌条20a、20bの曲率)と、1/Ri・(輪軸13a~13dの位置での軌条20a、20bの曲率の時間微分値)は「0」になる。
図31に示すように、バネ定数Kwxの時系列データが安定せず、バネ定数Kwxの時系列データには、鉄道車両が正常であるか否かを判定するのに資する成分(本質的な成分)以外のノイズ成分が含まれることが想定される。そこで、周波数成分調整部3004は、バネ定数導出部3003により導出されたバネ定数Kwxのノイズ成分を除去し、バネ定数Kwxの本質的な周波数成分を抽出する。周波数成分調整部3004は、ローパスフィルタやバンドバスフィルタにより、バネ定数Kwxのノイズ成分を除去することも可能ではあるが、カットオフ周波数を設定することが容易ではない。
ここでは、前述した修正自己回帰モデルの説明における物理量は、バネ定数Kwxになる。バネ定数Kwxの値は、鉄道車両の状態に応じて変動する。そこで、まず、鉄道車両を軌道20上で走行させて、バネ定数Kwxについてのデータyを得る。得られたデータy毎に、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを求める。この自己相関行列Rについて(35)式で表される特異値分解を行うことによって自己相関行列Rの固有値を求める。
まず、周波数成分調整部3004は、バネ定数Kwxのデータyと、予め設定されている数M、mと、に基づいて、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを生成する。
次に、周波数成分調整部3004は、自己相関行列Rの複数の固有値σ11~σmmのうち、s個の固有値σ11~σssを、修正自己回帰モデルの係数αを求めるのに利用する自己相関行列Rの固有値として選択する。前述したように本実施形態では、周波数成分調整部3004は、自己相関行列Rの複数の固有値σ11~σmmのうち、最大の固有値σ11を、修正自己回帰モデルの係数αを求めるのに利用する自己相関行列Rの固有値として選択する。
図34に示す計算値は、輪軸13aの軸箱支持装置18aの前後方向の剛性が劣化したことを想定した場合の前後方向力T1~T4の測定値に関するシミュレーションの結果(図29の故障のグラフ)を用いて導出したバネ定数Kwxから得られる修正後バネ定数Kwxの時系列データを示す。
図33~図35に示す計算値を得る際には、係数a、bを、それぞれ、「0.5」、「1.5」とした。また、図33~図35に示す諸元値は、正常な鉄道車両における軸箱支持装置18a、18bの前後方向のバネ定数(前述した数値解析の際に設定するKwx)を示す。
一方、図34に示すように、輪軸13aに対する軸箱支持装置18aの前後方向の剛性が劣化すると、直線軌条の区間Aと曲線軌条の曲率が一定の区間Bとにおいて、当該軸箱支持装置18aにおける修正後バネ定数Kwx1が、諸元値に対して大きく低下することが分かる。
また、図35に示すように、輪軸13bに対する軸箱支持装置18bの前後方向の剛性が劣化すると、直線軌条の区間Aと曲線軌条の曲率が一定の区間Bとにおいて、当該軸箱支持装置18bにおける修正後バネ定数Kwx2が、諸元値に対して大きく低下することが分かる。
図37Aの各欄に示す値は、諸元値を「1」とした場合の各修正後バネ定数Kwx1~Kwx4の、直線軌条の区間Aにおける値である。図37Bの各欄に示す値は、諸元値を「1」とした場合の各修正後バネ定数Kwx1~Kwx4の、曲線軌条の曲率が一定の区間Bにおける値である。諸元値は、正常な鉄道車両における軸箱支持装置18a、18bの前後方向のバネ定数(前述した数値解析の際に設定するKwx)である。
図37A、図37Bにおいて、「正常」は、鉄道車両が正常であると想定した場合の前後方向力T1~T4の測定値に関するシミュレーションの結果(図29の正常のグラフ)を用いて導出したバネ定数Kwxから得られる修正後バネ定数Kwxの値であることを示す。
判定部3005は、各サンプリング周期において周波数成分調整部3004により導出された修正後バネ定数Kwxが導出されるたびに、当該修正後バネ定数Kwxと基準値とを比較した結果に基づいて、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の剛性が劣化しているか否かを判定する。本実施形態では、記憶部302には、当該基準値が記憶される。
尚、修正後バネ定数Kwxと基準値とを比較していれば、判定部3005における判定の方法は、前述した方法に限定されない。例えば、各輪軸13a~13dに対する基準値を、諸元値としてもよい。また、判定部3005は、曲線軌条においては、輪軸13b、13dに対する修正後バネ定数Kwx2、Kwx4を、当該輪軸に対する基準値で割った値が、閾値を下回るか否かを判定しないようにしてもよい。
出力部304は、判定部3005により判定された結果を示す情報を出力する。具体的に出力部304は、判定部3005により、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の剛性が正常でないと判定された場合には、そのことを示す情報を出力する。このとき、出力部304は、前後方向の剛性が正常でない軸箱支持装置を示す情報も併せて出力する。出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
次に、図38のフローチャートを参照しながら、本実施形態の検査装置300における処理の一例を説明する。尚、図38のフローチャートの開始の前に、所定の区間(例えば営業区間(始発駅から終着駅までの区間))において正常な鉄道車両を走行させて、ステップS3801~S3806の処理を実行しておく。この処理により、鉄道車両が正常である場合の各輪軸13a~13dに対する修正後バネ定数Kwxの値が導出される。記憶部302は、鉄道車両が正常である場合の各輪軸13a~13dに対する修正後バネ定数Kwxの値を、各輪軸13a~13dに対する基準値として記憶する。図38のフローチャートは、記憶部302への記憶が終了した後に、当該鉄道車両を、当該所定の区間において走行させている間に実行されるものとする。また、当該所定の区間の各位置における軌条20a、20bの曲率、通り狂い量、カント角等の軌道情報や、図38のフローチャートによる処理で必要な情報((1)式~(5)式、(56)式~(59)式、(72)式~(74)式における定数等)も、図38のフローチャートの開始の前に、検査装置300に記憶させているものとする。
次に、ステップS3805において、検査装置300は、バネ定数Kwxの数が、m個(例えば、1500個)以上あるか否かを判定する。この判定の結果、バネ定数Kwxの数がm個以上ない場合には、修正バネ定数Kwxを導出するためのデータがそろっていないため、処理はステップS3801に戻る。そして、次のサンプリング周期におけるバネ定数Kwxを導出するための処理が行われる。
次に、ステップS3809において、検査装置300は、検査を終了するか否かを判定する。この判定は、鉄道車両が走行する前記所定の区間の走行が終了したか否かによって行うことができる。また、オペレータによる検査装置300に対する入力指示に基づいて行うこともできる。
以上のように本実施形態では、検査装置300は、軌道情報(1/Ri、1/Ri・、φraili)と、車両情報(Ti、ψtj、ψwi、ψtj・、ψwi・)とに基づいて、軸箱支持装置18a、18bの前後方向のバネ定数Kwxを導出する。検査装置300は、軸箱支持装置18a、18bの前後方向のバネ定数Kwxを用いて、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の剛性が正常であるか否かを判定する。従って、軸箱支持装置18a、18bの前後方向の剛性が正常であるか否かを正確に判定することができる。
本実施形態では、或る輪軸に対する修正後バネ定数Kwxを、当該輪軸に対する基準値で割った値が、閾値を下回るか否かが判定されるたびに、軸箱支持装置の前後方向の剛性が正常でないことを示す情報を出力する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、或る輪軸に対する修正後バネ定数Kwxを、当該輪軸に対する基準値で割った値が、閾値を下回ることが所定の回数継続した場合に、当該輪軸に対する軸箱支持装置の前後方向の剛性が正常でないと判定して、そのことを示す情報を出力してもよい。また、或る輪軸に対する修正後バネ定数Kwxを、当該輪軸に対する基準値で割った値が、検査区間の全部または一部において閾値を下回る頻度が所定の値を超えた場合に、当該輪軸に対する軸箱支持装置の前後方向の剛性が正常でないと判定して、そのことを示す情報を出力してもよい。これらの具体的な判定条件は、閾値の設定や検査区間の軌道情報との兼ね合いで十分な判定の確度が得られるものを選択すればよい。また、これらの判定の結果に基づく情報を出力するタイミングは、当該判定の直後に限定されない。例えば、検査の終了後に、これらの判定の結果に基づく情報を出力してもよい。
また、本実施形態においても、第1~第4の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
次に、第6の実施形態を説明する。第1~第5の実施形態では、検査対象部材が鉄道車両の部品である場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、検査対象部材が鉄道車両の車輪14a~14dである場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と第1~第5の実施形態は、検査対象部材を車輪14a~14dに限定したことによる構成および処理が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1~第5の実施形態と同一の部分については、図1~図38に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、検査装置300は、車輪14a~14dの状態の異常の有無の一例として、踏面勾配の異常の有無を判定する。まず、踏面勾配について説明する。
図39は、踏面勾配の一例を説明する図である。図39は、走行中の鉄道車両において、輪軸13aに配置されている車輪14a、14fが、軌条20a、20bと接触している様子を概念的に示す図である。図39では、基準位置にある車輪14a、14fを破線で示し、走行中の車輪14a、14fを実線で示す。例えば、車輪14a、14fの左右方向(y軸方向)における中間の位置が、軌条20a、20bの左右方向(y軸方向)における中間の位置と一致するような位置に車輪14a、14fがある場合に、車輪14a、14fは、基準位置にあることになる。この場合、車輪14a、14fは、位置31a、31bで軌条20a、20bに接触する。
図41は、踏面勾配γiが正常値(例えば設計値)である場合の前後方向力T1~T4の測定値の時系列データの一例を示す図である。図42は、踏面勾配γiのそれぞれが正常値(例えば設計値)に対して2倍になった場合の前後方向力T1~T4の測定値の時系列データの一例を示す図である。図43は、軌条20a、20bの曲率1/Rの一例を示す図である。図41および図42に示す前後方向力T1~T4の測定値の時系列データは、図43に示す曲率1/Rを有する軌条20a、20bを鉄道車両が走行しているときに得られたものである(図41および図42に示す横軸の時間と、図43に示す横軸の時間は対応する)。尚、ここでは、鉄道車両が86自由度を有するものとして、270km/hrで走行する鉄道車両の走行をシミュレーション(数値解析)した結果を測定値と見なして示す。尚、鉄道車両が86自由度を有する場合、鉄道車両が21自由度を有する場合に比べ、鉄道車両の走行時における運動を記述する運動方程式の数は、65個増える。従って、鉄道車両が86自由度を有するものとして、鉄道車両の走行をシミュレーションすれば、鉄道車両の走行を高精度に再現することができる。
前後方向力T1~T4の測定値の時系列データの違いをより明確に検出するために、本発明者らは、踏面勾配γiが正常値(設計値)である場合と、踏面勾配γiが正常値(設計値)に対して2倍になった場合のそれぞれについて、前後方向力T1~T4の測定値の時系列データから、第3の実施形態で説明した修正自己回帰モデルの周波数特性を導出した。自己相関行列Rから抽出する固有値の数sを2として、(28)式のmを1500とした。また、サンプリング周期を0.002sとした。
図44~図45において、縦軸の「H1」、「H2」、「H3」、「H4」は、それぞれ、輪軸13a、13b、13c、13dについての、(45)式に示す修正自己回帰モデルの周波数特性の値(信号強度)であることを示す。また、各図において、グラフ内に示す数字は、信号強度のピークの値が大きくなる周波数を、向かって左側から順に並べて示す。例えば、図44の一番上の図(H1)には、「1.1,1.4,0.8,1.7,4.7」と示されている。これは、信号強度のピークの値が最も大きくなる周波数が、1.1Hzであり、2番目に大きくなる周波数が1.4Hzであり、3番目、4番目、5番目に大きくなる周波数が、それぞれ、0.8Hz、1.7Hz、4.7Hzであることを示す。
以上のように本発明者らは、検査対象の鉄道車両から得られる修正自己回帰モデルの周波数特性と、正常な鉄道車両から得られる修正自己回帰モデルの周波数特性とが乖離している場合に、検査対象の鉄道車両における車輪14a~14fの踏面勾配γiが正常でないと判定することができるとことを見出した。本実施形態の検査装置300は、以上の知見に基づいてなされたものである。
図46は、検査装置300の機能的な構成の一例を示す図である。
図46において、検査装置300は、その機能として、データ取得部301、記憶部302、検査部303、および出力部304を有する。
データ取得部301は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを所定のサンプリング周期で取得する。これにより、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値の時系列データが得られる。前後方向力の測定方法は、前述した通りである。
記憶部302は、検査区間の各位置において、正常な鉄道車両における修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4を予め記憶する。正常な鉄道車両の意味するところは、第1の実施形態で説明したのと同じである。修正自己回帰モデルの周波数特性は、第3の実施形態で説明したものである。
検査部303は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値に基づいて、当該鉄道車両の車輪14a~14fの状態を検出する。本実施形態では、検査部303は、鉄道車両の車輪14a~14fの状態として、踏面勾配γiが正常か否かを検出する。検査部303は、その機能として、係数導出部4601、周波数特性導出部4602、および判定部4603を有する。
係数導出部4601は、修正自己回帰モデルの係数αを導出する。修正自己回帰モデルの係数αは、第2の実施形態で説明したものである。
ここで、(36)式に示す自己相関行列Rから抽出する固有値の数sは、例えば、自己相関行列Rの固有値の分布から決定することができる。
本実施形態では、前述した修正自己回帰モデルの説明における物理量は、前後方向力T1~T4になる。前後方向力T1~T4の値は、鉄道車両の状態に応じて変動する。そこで、まず、鉄道車両を軌道20上で走行させて、前後方向力T1~T4についてのデータyを得る。得られたデータy毎に、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを求める。この自己相関行列Rについて(35)式で表される特異値分解を行うことによって自己相関行列Rの固有値を求める。
まず、係数導出部4601は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値のデータyと、予め設定されている数M、mと、に基づいて、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを生成する。
次に、係数導出部4601は、自己相関行列Rを特異値分解することで、(35)式の直交行列Uおよび対角行列Σを導出し、対角行列Σから自己相関行列Rの固有値σ11~σmmを導出する。
周波数特性導出部4602は、係数導出部4601により導出された修正自己回帰モデルの係数αに基づいて、(45)式を用いて、検査周波数特性H1~H4を導出する。
判定部4603は、検査周波数特性H1~H4と、基準周波数特性H1~H4とを比較した結果に基づいて、検査対象の鉄道車両の車輪14a~14fの踏面勾配γ1~γ4が正常であるか否かを判定する。
以下に判定部4603における処理の具体例を説明する。
判定部4603は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度毎に分類されて記憶部302に記憶されている、基準周波数特性H1~H4から、検査装置300が搭載されている検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度と同じ内容で分類されて記憶されている修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4を選択する。検査装置300が搭載されている検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度は、検査装置300に対して予め設定されているものとする。
一方、検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4の選択ができた場合、判定部4603は、検査周波数特性H1~H4を導出した時刻における鉄道車両の走行位置を特定する。検査周波数特性H1~H4を導出した時刻における鉄道車両の走行位置は、GPS(Global Positioning System)を用いて当該時刻における鉄道車両の位置を検出することにより得られる。また、当該時刻における鉄道車両の走行位置は、鉄道車両の各時刻における速度の積算値等から求めてもよい。
判定部4603は、以上の判定を、検査対象の鉄道車両が検査区間に入ってから出るまでの間、検査周波数特性H1~H4が得られる度に繰り返し行う。
出力部304は、判定部4603により判定された結果を示す情報を出力する。具体的に出力部304は、判定部4603により、検査対象の鉄道車両の車輪14a~14fの踏面勾配γiが正常ではないと判定された場合には、そのことを示す情報を出力する。このとき、出力部304は、正常ではないと判定された踏面勾配γiが、輪軸13a~13dの何れに属する車輪の踏面勾配であるかを示す情報も併せて出力する。また、判定部4603により、検査区間では検査ができないと判定された場合、そのことを示す情報を出力する。出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
次に、図48のフローチャートを参照しながら、本実施形態の検査装置300における処理の一例を説明する。
ステップS4801において、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入るまで待機する。検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、処理は、ステップS4802に進む。処理がステップS4802に進むと、判定部4603は、記憶部302から、検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを探索する。
ステップS4803の探索の方法は、ステップS1303における探索の方法において、基準測定値を基準周波数特性H1~H4に置き換えることにより実現することができる。従って、ここでは、ステップS4802の探索の方法の詳細な説明を省略する。
この判定の結果、検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを記憶部302から探索することができない場合、処理は、ステップS4804に進む。
一方、ステップS4803の判定の結果、検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4のうち、検査対象の鉄道車両の種類、検査区間、および検査速度に合うものを記憶部302から探索することができた場合、処理は、ステップS4805に進む。処理がステップS4805に進むと、検査装置300は、所定のサンプリング周期(の開始時刻)が到来するまで待機する。所定のサンプリング周期(の開始時刻)が到来すると、処理はステップS4806に進む。処理がステップS4806に進むと、データ取得部301は、現在のサンプリング周期における検査測定値を取得する。
次に、ステップS4810において、判定部4603は、検査対象の鉄道車両の修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4を導出した時刻における鉄道車両の走行位置を特定する。そして、判定部4603は、特定した検査対象の鉄道車両の走行位置に対応する基準周波数特性H1~H4を、ステップS4802で探索された検査区間の各位置における基準周波数特性H1~H4から読み出す。そして、判定部4603は、特定した検査周波数特性H1~H4と、読み出した基準周波数特性H1~H4との類似度が閾値を上回るか否かを判定する。ここでは、基準周波数特性H1~H4との類似度が閾値を上回る検査周波数特性H1~H4に対応する車輪14a~14f(輪軸13a~13d)の踏面勾配γ1~γ4が正常でないものとする。
処理がステップS4812に進むと、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たか否かを判定する。この判定の結果、検査対象の鉄道車両が検査区間を出ていない場合、処理は、ステップS4805に戻る。そして、検査対象の鉄道車両が検査区間を出るまで、ステップS4805~S4812の処理が繰り返し実行される。そして、ステップS4812において、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たと判定されると、図48のフローチャートによる処理が終了する。
以上のように本実施形態では、検査装置300は、前後方向力T1~T4の測定値のデータyから、自己相関行列Rを生成する。検査装置300は、自己相関行列Rを特異値分解して得られた固有値のうち、最大の値を有する固有値を用いて、前後方向力T1~T4の測定値のデータyを近似する修正自己回帰モデルの係数αを決定する。検査装置300は、決定した係数αを用いて、修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4を導出する。検査装置300は、正常な鉄道車両において事前に測定された前後方向力T1~T4の測定値から導出される修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4と、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値から導出される修正自己回帰モデルの周波数特性H1~H4とを比較する。検査装置300は、比較の結果に基づいて、検査対象の鉄道車両における車輪14a~14fの踏面勾配γiが正常であるか否かを判定する。従って、撮像手段やセンサを地上に配置することなく、鉄道車両の車輪の状態を検査することができる。これにより、撮像手段やセンサが設置されていない箇所においても、鉄道車両の車輪の状態を検査することができる。本実施形態に示す例では、踏面勾配γiが正常であるか否かを判定することができる。また、前後方向力T1~T4の測定値は、歪みゲージ等で得られるので、特許文献3、4に記載の技術で用いられるセンサや撮像手段に比べて低コストで、鉄道車両の車輪の状態を検査することができる。
本実施形態のように、修正自己回帰モデルの周波数特性を導出すれば、踏面勾配γiが正常であるか否かによる周波数特性の差異を強調することができるので好ましい。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、前後方向力T1~T4の測定値をフーリエ変換することにより、前後方向力T1~T4の測定値のパワースペクトルを導出してもよい。
また、本実施形態においても、第1~第5の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
次に、第7の実施形態を説明する。第6の実施形態では、鉄道車両の車輪14a~14fの状態として、鉄道車両の走行中の踏面勾配γiの値を導出せずに、踏面勾配γiが正常か否かを検出する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、このようにせずに、前後方向力T1~T4の測定値を用いて、鉄道車両の走行中の踏面勾配γiの値を導出する。このように、本実施形態と第6の実施形態とは、鉄道車両の車輪14a~14fの状態を検出する方法が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1~第6の実施形態と同一の部分については、図1~図48に付した符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図49は、検査装置300の機能的な構成の一例を示す図である。
図49において、検査装置300は、その機能として、データ取得部301、記憶部302、検査部303、および出力部304を有する。
データ取得部301は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを所定のサンプリング周期で取得する。
本実施形態では、入力データには、車体11の左右方向における加速度の測定値の時系列データ、台車12a、12bの左右方向における加速度の測定値の時系列データ、および輪軸13a~13dの左右方向における加速度の測定値の時系列データが含まれる。各加速度は、例えば、車体11、台車12a、12b、および輪軸13a~13dにそれぞれ取り付けられた歪ゲージと、当該歪ゲージの測定値を用いて加速度を演算する演算装置とを用いることにより測定される。尚、加速度の測定は、公知の技術で実現することができるので、その詳細な説明を省略する。
データ取得部301は、例えば、前述した演算装置との通信を行うことにより、入力データを取得することができる。
検査部303は、検査対象の鉄道車両において測定された前後方向力T1~T4の測定値に基づいて、当該鉄道車両の車輪14a~14fの状態を検出する。本実施形態では、検査部303は、検査対象の鉄道車両の車輪14a~14fの状態として、踏面勾配γiを導出する。検査部303は、導出した踏面勾配γiに基づいて、踏面勾配γiが正常か否かを検出する。検査部303は、その機能として、フィルタ演算部4901、踏面勾配導出部4902、周波数成分調整部4903、踏面勾配補正部4904、および判定部4905を有する。
フィルタ演算部4901は、データ取得部301により取得された入力データと、状態方程式と、観測方程式と、を用いて、データ同化を行うフィルタを用いた演算を行うことにより状態変数(状態方程式で推定値を決定すべき変数)の推定値を決定することを、所定のサンプリング周期で行う。本実施形態では、特許文献5に記載の手法により、状態変数の推定値を決定する場合を例に挙げて説明する。状態変数の推定値を決定する方法は、特許文献5に記載されているので、ここでは、特許文献5の手法について簡単に説明し、その詳細な説明を省略する。
また、フィルタ演算部4901は、(10)式~(13)式により、輪軸13a~13dのヨーイング方向における回動量(角変位)ψw1~ψw4の推定値を導出する。
踏面勾配導出部4902は、輪軸13a~13dのヨーイング方向における回動量(角変位)ψw1~ψw4の推定値と、(48)式に示す状態変数と、輪軸13a~13dにおける前後方向力T1~T4の測定値とを、以下の(77)式~(80)式に与えることにより、輪軸13a~13dにおける踏面勾配γi(γ1~γ4)を導出することを所定のサンプリング周期で行う。(77)式~(80)式は、輪軸13a~13dのヨーイング方向の運動を記述する運動方程式に基づくものである。
図50A、図50Bは、輪軸13aにおける修正前踏面勾配γ1の時系列データの一例を示す図である。図50Aは、踏面勾配γiが正常値(例えば設計値)である場合の修正前踏面勾配γ1の時系列データの一例を示す。具体的に図50Aは、踏面勾配γiが正常値(例えば設計値)である場合の前後方向力T1~T4の測定値の時系列データ(図41)を用いて、前述したようにして導出される修正前踏面勾配γ1の時系列データを示す。図50Bは、踏面勾配γiのそれぞれが正常でない場合の修正前踏面勾配γ1の時系列データの一例を示す。具体的に図50Bは、踏面勾配γiが正常値(例えば設計値)でない場合の前後方向力T1~T4の測定値の時系列データ(図42)を用いて、前述したようにして導出される修正前踏面勾配γ1の時系列データを示す。
<周波数成分調整部4903>
図50Aおよび図50Bに示すように、修正前踏面勾配γiの時系列データが安定せず、修正前踏面勾配γiの時系列データには、踏面勾配γiの値を決定するのに資する成分(本質的な成分)以外のノイズ成分が含まれることが想定される。そこで、周波数成分調整部4903は、踏面勾配導出部4902により導出された修正前踏面勾配γiのノイズ成分を除去し、踏面勾配γiの本質的な周波数成分を抽出する。周波数成分調整部4903は、ローパスフィルタやバンドバスフィルタにより、修正前踏面勾配γiのノイズ成分を除去することも可能ではあるが、カットオフ周波数を設定することが容易ではない。
第2の実施形態では、物理量の時系列データyの物理量は、前後方向力であるが、本実施形態では、踏面勾配γi(修正前踏面勾配γi)である。
本実施形態では、修正自己回帰モデルにおける物理量は、踏面勾配γi(修正前踏面勾配γi)になる。踏面勾配γi(修正前踏面勾配γi)の値は、鉄道車両の状態に応じて変動する。そこで、鉄道車両を軌道20上で走行させて、踏面勾配γi(修正前踏面勾配γi)についてのデータyを得る。得られたデータy毎に、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを求める。この自己相関行列Rについて(35)式で表される特異値分解を行うことによって自己相関行列Rの固有値を求める。
周波数成分調整部4903は、修正前踏面勾配γiのデータyと、予め設定されている数M、mと、に基づいて、(32)式と(34)式とを用いて自己相関行列Rを生成する。
次に、周波数成分調整部4903は、自己相関行列Rの複数の固有値σ11~σmmのうち、s個の固有値σ11~σssを、修正自己回帰モデルの係数αを求めるのに利用する自己相関行列Rの固有値として選択する。前述したように本実施形態では、周波数成分調整部4903は、自己相関行列Rの複数の固有値σ11~σmmのうち、最大の固有値σ11を、修正自己回帰モデルの係数αを求めるのに利用する自己相関行列Rの固有値として選択する。
そして、周波数成分調整部4903は、修正自己回帰モデルの係数αと、修正前踏面勾配γiのデータy(の実績値)と、に基づいて、(28)式により、修正前踏面勾配γiのデータyの時刻kにおける予測値y^kを導出する。このようにして修正前踏面勾配γiのデータyは修正される。以下の説明では、以上のようにして周波数成分調整部4903により修正された修正前踏面勾配γiを、必要に応じて、修正後踏面勾配γiと称する。
本実施形態では、修正後踏面勾配γiの精度を高めるために、第1の倍率と第2の倍率との関係を、輪軸13a~13d毎に予め調査する。第1の倍率は、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、当該検査対象の鉄道車両の修正後踏面勾配γiの計算値の倍率(=γi/γ0)である。第2の倍率は、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、当該検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの実測値の倍率(=γi/γ0)である。このような第1の倍率と第2の倍率との関係を検査装置300の内部または外部の記憶媒体に予め記憶する。第1の倍率と第2の倍率との関係は、例えば、以下のようにして得られる。
第1の倍率と、第2の倍率との関係を導出する際には、検査対象の鉄道車両、または、検査対象の鉄道車両と同じ種類の鉄道車両を用いる。また、第1の倍率と、第2の倍率との関係は、検査区間毎に導出するのが好ましい。
図53は、踏面勾配補正情報の一例を示す図である。図53において、縦軸の計算値は、第1の倍率に対応する。横軸の実測値は、第2の倍率に対応する。図53において、グラフ5301は、輪軸13aに対する踏面勾配補正情報を示す。グラフ5302は、輪軸13bに対する踏面勾配補正情報を示す。グラフ5303は、輪軸13cに対する踏面勾配補正情報を示す。グラフ5304は、輪軸13dに対する踏面勾配補正情報を示す。
以上のようにして、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率が決定される。
判定部4905は、踏面勾配補正部4904により決定された、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率が、予め設定された範囲内であるか否かを判定する。この範囲は、例えば、踏面勾配の値が、踏面勾配の基準値γ0に対し、どの位ずれていれば、正常でないと見なすかによって定められる。
この判定の結果、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率が、予め設定された範囲内である場合、判定部4905は、当該踏面勾配γiは正常であると判定する。一方、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率が、予め設定された範囲内でない場合、判定部4905は、当該踏面勾配γiは正常ではないと判定する。
記憶部302は、判定部4905において、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率と比較される範囲を記憶する。
出力部304は、判定部4905により判定された結果を示す情報を出力する。具体的に出力部304は、判定部4905により、踏面勾配γiが正常でないと判定された場合には、そのことを示す情報を出力する。このとき、出力部304は、踏面勾配γiがどの輪軸のものであるかを示す情報も併せて出力する。また、出力部304は、踏面勾配γiの値も併せて出力する。出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
次に、図54のフローチャートを参照しながら、本実施形態の検査装置300における処理の一例を説明する。
ステップS5401において、検査装置300は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入るまで待機する。検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、処理は、ステップS5402に進む。処理がステップS5402に進むと、検査装置300は、所定のサンプリング周期(の開始時刻)が到来するまで待機する。所定のサンプリング周期(の開始時刻)が到来すると、処理はステップS5403に進む。
一方、ステップS5409の判定の結果、正常でない踏面勾配γiがない場合(即ち、全ての踏面勾配γiが正常である場合)、処理はステップS5410を省略してステップS5411に進む。
以上のように本実施形態では、検査装置300は、検査対象の鉄道車両の車体11、台車12a、12b、および輪軸13a~13dの左右方向における加速度と、前後方向力T1~T4の測定値と、変換変数e1~e4の実績値とを、カルマンフィルタに与えて状態変数を導出する。検査装置300は、当該状態変数に含まれる台車12a、12bのヨーイング方向における回動量(角変位)ψt1~ψt2と、変換変数e1~e4の実績値とを、用いて、輪軸13a~13dのヨーイング方向における回動量(角変位)ψw1~ψw4の推定値を導出する。検査装置300は、輪軸13a~13dのヨーイングを記述する運動方程式に、状態変数と、前後方向力Tiの測定値と、輪軸13a~13dのヨーイング方向における回動量(角変位)ψw1~ψw4の推定値とを代入して、踏面勾配γiを導出する。従って、撮像手段やセンサを地上に配置することなく、鉄道車両の車輪の状態として、踏面勾配γiが正常であるか否かだけではなく、本実施形態では、踏面勾配γiの値を検査することができる。
また、本実施形態では、検査装置300は、踏面勾配γiが上限値を上回る場合、当該値を当該上限値とし、下限値を下回る場合、当該値を当該下限値とする。従って、踏面勾配γiの値をより一層安定させることができる。
また、本実施形態では、検査装置300は、予め求めておいた計算値と実測値との対応関係である踏面勾配補正情報を用いて、踏面勾配γiを補正するので、踏面勾配γiをより一層正確に導出することができる。
本実施形態では、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率が、予め設定された範囲内でないと判定されるたびに、踏面勾配γiが正常でないことを示す情報を出力する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率が、予め設定された範囲内でないことが所定の回数継続した場合に、踏面勾配γiが正常でないと判定して、そのことを示す情報を出力してもよい。また、検査区間の全部または一部において、検査対象の鉄道車両の踏面勾配の基準値γ0に対する、検査対象の鉄道車両の踏面勾配γiの倍率が、予め設定された範囲内でない場合に、踏面勾配γiが正常でないと判定して、そのことを示す情報を出力してもよい。これらの具体的な判定条件は、閾値の設定や検査区間の軌道情報との兼ね合いで十分な判定の確度が得られるものを選択すればよい。また、これらの判定の結果に基づく情報を出力するタイミングは、当該判定の直後に限定されない。例えば、検査の終了後に、これらの判定の結果に基づく情報を出力してもよい。また、第6の実施形態においても、本変形例のようにしてもよい。
次に、第8の実施形態を説明する。
第1~第7の実施形態では、鉄道車両に搭載した検査装置300が、検査対象部材が正常であるか否かを判定する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、検査装置300の一部の機能が実装されたデータ処理装置が、指令所に配置される。このデータ処理装置は、鉄道車両から送信される前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを受信し、受信した入力データを用いて、検査対象部材が正常であるか否かを判定する。このように、本実施形態では、第1~第7の実施形態の検査装置300の何れかが有する機能を、鉄道車両と指令所とで分担して実行する。本実施形態と第1~第7の実施形態とは、このことによる構成および処理が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1~第7の実施形態と同一の部分については、図1~図54に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
データ収集装置5510a、5510bは、同じもので実現することができる。データ収集装置5510a、5510bは、データ取得部5511a、5511bと、データ送信部5512a、5512bとを有する。
データ取得部5511a、5511bは、データ取得部301と同じ機能を有する。即ち、データ取得部5511a、5511bは、データ取得部301と同様に、前後方向力T1~T4の測定値を含む入力データを取得する。第1~第4の実施形態と第6~第7の実施形態では、入力データには、前後方向力T1~T4の測定値が含まれる。第5の実施形態では、入力データには、軌道情報(1/Ri、1/Ri・、φraili)および車両情報(Ti、ψtj、ψwi、ψtj・、ψwi・)が含まれる。
データ送信部5512a、5512bは、データ取得部5511a、5511bで取得された入力データを、データ処理装置5520に送信する。本実施形態では、データ送信部5512a、5512bは、データ取得部5511a、5511bで取得された入力データを、無線通信により、データ処理装置5520に送信する。このとき、データ送信部5512a、5512bは、データ収集装置5510a、5510bが搭載されている鉄道車両の識別番号を、データ取得部5511a、5511bで取得された入力データに付加する。このようにデータ送信部5512a、5512bは、鉄道車両の識別番号が付加された入力データを送信する。
<データ受信部5521>
データ受信部5521は、データ送信部5512a、5512bにより送信された入力データを受信する。この入力データには、当該入力データの送信元である鉄道車両の識別番号が付加されている。
データ記憶部5522は、データ受信部5521で受信された入力データを記憶する。データ記憶部5522は、鉄道車両の識別番号ごとに入力データを記憶する。データ記憶部5522は、鉄道車両の現在の運行状況と、入力データの受信時刻とに基づいて、当該入力データの受信時刻における鉄道車両の走行位置を特定する。データ記憶部5522は、特定した走行位置の情報と当該入力データとを相互に関連付けて記憶する。尚、データ収集装置5510a、5510bが、鉄道車両の現在の走行位置の情報を収集し、取集した情報を入力データに付加してもよい。
データ読み出し部5523は、データ記憶部5522により記憶された入力データを読み出す。データ読み出し部5523は、データ記憶部5522により記憶された入力データのうち、オペレータにより指定された入力データを読み出すことができる。また、データ読み出し部5523は、予め定められたタイミングで、予め定められた条件に合致する入力データを読み出すこともできる。本実施形態では、データ読み出し部5523により読み出される入力データは、例えば、鉄道車両の識別番号および走行位置の少なくとも何れか1つに基づいて決定される。
以上のように本実施形態では、鉄道車両に搭載されたデータ収集装置5510a、5510bは、入力データを収集してデータ処理装置5520に送信する。指令所に配置されたデータ処理装置5520は、データ収集装置5510a、5510bから受信した入力データを記憶し、記憶した入力データを用いて、検査対象部材が正常であるか否かを判定する。従って、第1~第7の実施形態で説明した効果に加え、例えば、以下の効果を奏する。即ち、データ処理装置5520は、入力データを任意のタイミングで読み出すことにより、任意のタイミングで、指令所が管理している各鉄道車両の検査対象部材が正常であるか否かを判定することができる。
本実施形態では、データ収集装置5510a、5510bからデータ処理装置5520に入力データを直接送信する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、クラウドコンピューティングを利用して検査システムを構築してもよい。
その他、本実施形態においても、第1~第7の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
尚、特許文献5の明細書および図面の内容を全てここに援用することができる。
Claims (34)
- 車体と台車と輪軸と軸箱と軸箱支持装置とを有する鉄道車両の検査対象部材を検査する検査システムであって、
前記鉄道車両を軌道上で走行させることにより測定される前後方向力の測定値を含む入力データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記前後方向力の測定値を用いて、前記検査対象部材を検査する検査手段と、を有し、
前記前後方向力は、前記軸箱支持装置を構成する部材に生じる前後方向の力であり、
前記部材は、前記軸箱を支持するための部材であり、
前記前後方向は、前記鉄道車両の走行方向に沿う方向であり、
前記検査対象部材は、前記台車の台車枠と前記輪軸との間に配置される部材、前記台車の台車枠と前記車体との間に配置される部材、および車輪のうちの、少なくとも1つであり、
前記検査対象部材が前記車輪を含む場合、前記検査手段は、前記車輪の踏面勾配を少なくとも検査することを特徴とする検査システム。 - 前記検査手段は、前記取得手段により取得された前記前後方向力の測定値を用いて、前記検査対象部材が正常であるか否かを判定する判定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
- 前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記前後方向力の測定値と、正常な前記鉄道車両に対する前記前後方向力の測定値と、を比較した結果に基づいて、前記検査対象部材が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の検査システム。
- 前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記前後方向力の測定値と、正常な前記鉄道車両に対する前記前後方向力との差に基づいて、前記検査対象部材が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項2または3に記載の検査システム。
- 前記検査手段は、前記前後方向力の測定値の信号に含まれるノイズが低減されるように、当該前後方向力の測定値の信号の周波数成分を調整する周波数成分調整手段を有し、
前記判定手段は、前記周波数成分調整手段により周波数成分が調整された前記前後方向力の測定値に基づいて、前記検査対象部材が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の検査システム。 - 前記周波数成分調整手段は、前記前後方向力の測定値の時系列データを用いて、修正自己回帰モデルにおける係数を導出し、前記係数を用いて、前記前後方向力の測定値を修正することにより、当該前後方向力の測定値の信号の周波数成分を調整し、
前記修正自己回帰モデルは、前記前後方向力の実績値と、当該実績値に対する前記係数と、を用いて、前記前後方向力の予測値を表す式であり、
前記係数は、第1の行列を係数行列とし、自己相関ベクトルを定数ベクトルとする方程式を用いて決定され、
前記自己相関ベクトルは、時差が1からmまでの前記前後方向力の測定値の時系列データの自己相関を成分とするベクトルであり、
mは、前記修正自己回帰モデルで用いられる前記前後方向力の値の数であり、
前記第1の行列は、1以上且つm未満の数であるsに対して、第2の行列Σsと、第3の行列Usと、から導出される行列UsΣsUs Tであり、
前記第2の行列Σsは、自己相関行列のs個の固有値と対角行列Σとから導出され、
前記第3の行列Usは、前記s個の固有値と直交行列Uとから導出され、
前記自己相関行列は、時差が0からm-1までの前記前後方向力の測定値の時系列データの自己相関を成分とする行列であり、
前記対角行列は、前記自己相関行列の固有値を対角成分とする行列であり、
前記自己相関行列の固有値は、前記自己相関行列を特異値分解することで導出され、
前記直交行列は、前記自己相関行列の固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であり、
前記第2の行列は、前記対角行列の部分行列であって、前記s個の固有値を対角成分とする行列であり、
前記第3の行列は、前記直交行列の部分行列であって、前記s個の固有値に対応する固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であることを特徴とする請求項5に記載の検査システム。 - 前記判定手段は、正常な前記鉄道車両に対する前記前後方向力の測定値の時系列データと、前記周波数成分調整手段により周波数成分が調整された前記前後方向力の測定値の時系列データと、を比較した結果に基づいて、前記検査対象部材が正常であるか否かを判定し、
前記正常な前記鉄道車両に対する前記前後方向力の測定値の時系列データは、正常な前記鉄道車両における前記修正自己回帰モデルと、正常な前記鉄道車両に対する前記前後方向力の測定値の時系列データとを用いて周波数成分が調整された時系列データであることを特徴とする請求項6に記載の検査システム。 - 前記検査手段は、前記前後方向力の測定値の時系列データを用いて、修正自己回帰モデルにおける係数を導出する係数導出手段と、
前記修正自己回帰モデルの周波数の分布を示す周波数特性を、前記係数導出手段により導出された前記係数を用いて導出する周波数特性導出手段と、を有し、
前記修正自己回帰モデルは、前記前後方向力の実績値と、当該実績値に対する前記係数と、を用いて、前記前後方向力の予測値を表す式であり、
前記係数導出手段は、第1の行列を係数行列とし、自己相関ベクトルを定数ベクトルとする方程式を用いて、前記係数を導出し、
前記自己相関ベクトルは、時差が1からmまでの前記前後方向力の測定値の時系列データの自己相関を成分とするベクトルであり、
mは、前記修正自己回帰モデルで用いられる前記前後方向力の値の数であり、
前記第1の行列は、1以上且つm未満の数であるsに対して、第2の行列Σsと、第3の行列Usと、から導出される行列UsΣsUs Tであり、
前記第2の行列Σsは、自己相関行列のs個の固有値と対角行列Σとから導出され、
前記第3の行列Usは、前記s個の固有値と直交行列Uとから導出され、
前記自己相関行列は、時差が0からm-1までの前記前後方向力の測定値の時系列データの自己相関を成分とする行列であり、
前記対角行列は、前記自己相関行列の固有値を対角成分とする行列であり、
前記自己相関行列の固有値は、前記自己相関行列を特異値分解することで導出され、
前記直交行列は、前記自己相関行列の固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であり、
前記第2の行列は、前記対角行列の部分行列であって、前記s個の固有値を対角成分とする行列であり、
前記第3の行列は、前記直交行列の部分行列であって、前記s個の固有値に対応する固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であり、
前記判定手段は、前記周波数特性導出手段により導出された周波数特性を用いて、前記検査対象部材が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の検査システム。 - 前記判定手段は、前記周波数特性導出手段により導出された前記修正自己回帰モデルの周波数の分布を示す周波数特性と、正常な前記鉄道車両における前記修正自己回帰モデルの周波数の分布を示す周波数特性とを比較した結果に基づいて、前記検査対象部材が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
- 前記s個の固有値は、前記自己相関行列の固有値のうち、前記自己相関行列の固有値の平均値以上の値を有する固有値であることを特徴とする請求項6~9の何れか1項に記載の検査システム。
- 前記検査対象部材は、軸箱、左右動ダンパ、ヨーダンパ、空気バネ、軸箱支持装置のうち少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の検査システム。
- 前記検査対象部材は、ヨーダンパであり、
前記検査手段は、前記取得手段により取得された前記前後方向力の測定値に基づいて、角速度差および角変位差のうち少なくとも何れか1つを導出する差導出手段と、
前記差導出手段により導出された前記角速度差および前記角変位差のうち少なくとも何れか1つを、正常な前記鉄道車両に対する値と比較した結果に基づいて、前記ヨーダンパが正常であるか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記角速度差は、前記ヨーダンパのヨーイング方向の角速度と、前記車体のヨーイング方向の角速度との差を表すものであり、
前記角変位差は、前記ヨーダンパのヨーイング方向の角変位と、前記台車のヨーイング方向の角変位との差を表すものであり、
前記ヨーイング方向は、前記軌道に対し垂直な方向である上下方向を回動軸とする回動方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の検査システム。 - 前記入力データは、前記前後方向力の測定値と、前記車体、前記台車および前記輪軸の左右方向の加速度の測定値とを含み、
前記検査手段は、前記入力データと、状態方程式と、観測方程式と、を用いて、データ同化を行うフィルタを用いた演算を行うことにより、前記状態方程式で決定すべき変数である状態変数を決定する状態変数決定手段を有し、
前記差導出手段は、前記状態変数決定手段により決定された前記状態変数を用いて、前記角速度差および前記角変位差のうち少なくとも何れか1つを導出し、
前記左右方向は、前記前後方向と、前記軌道に対し垂直な方向である上下方向との双方に垂直な方向であり、
前記前後方向力は、前記輪軸のヨーイング方向の角変位と、当該輪軸が設けられる前記台車のヨーイング方向の角変位との差に応じて定まる力であり、
前記ヨーイング方向は、前記上下方向を回動軸とする回動方向であり、
前記状態方程式は、前記状態変数と、前記前後方向力と、変換変数と、を用いて記述される方程式であり、
前記状態変数は、前記車体の左右方向の変位および速度と、前記車体のヨーイング方向の角変位および角速度と、前記車体のローリング方向の角変位および角速度と、前記台車の左右方向の変位および速度と、前記台車のヨーイング方向の角変位および角速度と、前記台車のローリング方向の角変位および角速度と、前記輪軸の左右方向の変位および速度と、前記鉄道車両に取り付けられている空気バネのローリング方向の角変位と、前記鉄道車両に取り付けられるヨーダンパのヨーイング方向の角変位と、を含み、前記輪軸のヨーイング方向の角変位および角速度を含まず、
前記ローリング方向は、前記前後方向を回動軸とする回動方向であり、
前記変換変数は、前記輪軸のヨーイング方向の角変位と前記台車のヨーイング方向の角変位とを相互に変換する変数であり、
前記観測方程式は、観測変数と、前記変換変数と、を用いて記述される方程式であり、
前記観測変数は、前記車体、前記台車、および前記輪軸の左右方向の加速度を含み、
前記検査手段は、前記観測変数の測定値と、前記前後方向力の測定値および前記変換変数の実績値を代入した前記状態方程式と、前記変換変数の実績値を代入した前記観測方程式と、を用いて、前記観測変数の測定値と計算値との誤差または当該誤差の期待値が最小になるときの前記状態変数を決定し、
前記変換変数の実績値は、前記前後方向力の測定値を用いて導出されることを特徴とする請求項12に記載の検査システム。 - 前記入力データは、車両情報を含み、
前記車両情報は、前後方向力の測定値と、前記台車のヨーイング方向における角変位および角速度と、前記輪軸のヨーイング方向における角変位および角速度とを含み、
前記検査手段は、前記取得手段により取得された前記車両情報に基づいて、前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数を導出するバネ定数導出手段と、
前記バネ定数導出手段により導出された前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数に基づいて、当該軸箱支持装置の前後方向の剛性が正常であるか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記ヨーイング方向は、軌道に対し垂直な方向である上下方向を回動軸とする回動方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の検査システム。 - 前記入力データは、軌道情報を含み、
前記軌道情報は、前記輪軸の位置での軌条の曲率と、前記輪軸の位置での軌条の曲率の時間微分値とを含み、
前記バネ定数導出手段は、前記取得手段により取得された前記車両情報と、前記取得手段により取得された前記軌道情報とに基づいて、前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数を導出することを特徴とする請求項14に記載の検査システム。 - 前記バネ定数導出手段は、前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数が上限値を上回る場合には、当該軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の値を当該上限値とし、前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数が下限値を下回る場合には、当該軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の値を当該下限値とすることを特徴とする請求項14または15に記載の検査システム。
- 前記上限値および前記下限値は、正常な前記鉄道車両の前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数に基づいて設定されることを特徴とする請求項16に記載の検査システム。
- 前記検査手段は、前記バネ定数導出手段により導出された前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の信号に含まれるノイズが低減されるように、当該軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の信号の周波数成分を調整する周波数成分調整手段を有し、
前記判定手段は、前記周波数成分調整手段により周波数成分が調整された前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数に基づいて、当該軸箱支持装置の前後方向の剛性が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項14~17の何れか1項に記載の検査システム。 - 前記周波数成分調整手段は、前記バネ定数導出手段により導出された前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の時系列データを用いて、修正自己回帰モデルにおける係数を導出し、導出した前記係数を用いて、前記バネ定数導出手段により導出された前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数を修正することにより、当該軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の信号の周波数成分を調整し、
前記修正自己回帰モデルは、前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の実績値と、当該実績値に対する前記係数と、を用いて、前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の予測値を表す式であり、
前記係数は、第1の行列を係数行列とし、自己相関ベクトルを定数ベクトルとする方程式を用いて決定され、
前記自己相関ベクトルは、時差が1から前記修正自己回帰モデルで用いられる前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の数であるmまでの前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の時系列データの自己相関を成分とするベクトルであり、
前記第1の行列は、1以上且つm未満の数であるsに対して、第2の行列Σsと、第3の行列Usと、から導出される行列UsΣsUs Tであり、
前記第2の行列Σsは、自己相関行列のs個の固有値と対角行列Σとから導出され、
前記第3の行列Usは、前記s個の固有値と直交行列Uとから導出され、
前記自己相関行列は、時差が0からm-1までの前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数の時系列データの自己相関を成分とする行列であり、
前記対角行列は、前記自己相関行列の固有値を対角成分とする行列であり、
前記自己相関行列の固有値は、前記自己相関行列を特異値分解することで導出され、
前記直交行列は、前記自己相関行列の固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であり、
前記第2の行列は、前記対角行列の部分行列であって、前記s個の固有値を対角成分とする行列であり、
前記第3の行列は、前記直交行列の部分行列であって、前記s個の固有値に対応する固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であることを特徴とする請求項18に記載の検査システム。 - 前記s個の固有値は、最大の値を有する固有値であることを特徴とする請求項19に記載の検査システム。
- 前記取得手段は、前記鉄道車両の運動を記述する運動方程式に基づく数値解析を行うことにより、前記台車のヨーイング方向における角変位および角速度と、前記輪軸のヨーイング方向における角変位および角速度とを導出することを特徴とする請求項14~20の何れか1項に記載の検査システム。
- 前記判定手段は、前記軸箱支持装置の前後方向のバネ定数と基準値とを比較した結果に基づいて、当該軸箱支持装置の前後方向の剛性が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項14~21の何れか1項に記載の検査システム。
- 前記検査手段は、前記車輪の踏面勾配と、前記前後方向力との関係を示す関係式と、前記取得手段により取得された前記前後方向力の測定値とを用いて、前記車輪の踏面勾配を導出する踏面勾配導出手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の検査システム。
- 前記関係式は、前記輪軸のヨーイング方向の運動を記述する運動方程式に基づく式であり、
前記ヨーイング方向は、前記軌道に対し垂直な方向である上下方向を回動軸とする回動方向であることを特徴とする請求項23に記載の検査システム。 - 前記踏面勾配導出手段は、前記関係式により導出された前記車輪の踏面勾配が所定の上限値を上回る場合には、当該前記車輪の踏面勾配の値を当該上限値とし、前記関係式により導出された前記車輪の踏面勾配が所定の下限値を下回る場合には、当該車輪の踏面勾配の値を当該下限値とすることを特徴とする請求項23または24に記載の検査システム。
- 前記検査手段は、前記踏面勾配導出手段により導出された前記車輪の踏面勾配に含まれるノイズが低減されるように、当該車輪の踏面勾配の周波数成分を調整する周波数成分調整手段を更に有することを特徴とする請求項23~25の何れか1項に記載の検査システム。
- 前記周波数成分調整手段は、前記踏面勾配導出手段により導出された前記車輪の踏面勾配の時系列データを用いて、修正自己回帰モデルにおける係数を導出し、導出した前記係数を用いて、前記踏面勾配導出手段により導出された前記車輪の踏面勾配を修正することにより、当該車輪の踏面勾配の信号の周波数成分を調整し、
前記修正自己回帰モデルは、前記車輪の踏面勾配の実績値と、当該実績値に対する前記係数と、を用いて、前記車輪の踏面勾配の予測値を表す式であり、
前記係数は、第1の行列を係数行列とし、自己相関ベクトルを定数ベクトルとする方程式を用いて導出され、
前記自己相関ベクトルは、時差が1からmまでの前記車輪の踏面勾配の時系列データの自己相関を成分とするベクトルであり、
mは、前記修正自己回帰モデルで用いられる前記車輪の踏面勾配の数であり、
前記第1の行列は、1以上且つm未満の数であるsに対して、自己相関行列のs個の固有値と対角行列Σとから導出される第2の行列Σsと、前記s個の固有値と直交行列Uとから導出される第3の行列Usと、から導出される行列UsΣsUs Tであり、
前記自己相関行列は、時差が0からm-1までの前記車輪の踏面勾配の時系列データの自己相関を成分とする行列であり、
前記対角行列は、前記自己相関行列を特異値分解することで導出される前記自己相関行列の固有値を対角成分とする行列であり、
前記直交行列は、前記自己相関行列の固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であり、
前記第2の行列は、前記対角行列の部分行列であって、前記s個の固有値を対角成分とする行列であり、
前記第3の行列は、前記直交行列の部分行列であって、前記s個の固有値に対応する固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であることを特徴とする請求項26に記載の検査システム。 - 前記s個の固有値は、最大の値を有する固有値であることを特徴とする請求項27に記載の検査システム。
- 前記検査手段は、前記周波数成分調整手段により周波数成分が調整された前記車輪の踏面勾配を、予め記憶されている踏面勾配補正情報を用いて補正する踏面勾配補正手段を有し、
前記踏面勾配補正情報は、前記車輪の踏面勾配の実測値と、前記車輪の踏面勾配の計算値との関係を示す情報であることを特徴とする請求項26~28の何れか1項に記載の検査システム。 - 前記検査手段は、前記車輪の踏面勾配の検査として、前記車輪の踏面勾配が正常であるか否かを少なくとも検査し、
前記検査手段は、前記車輪の踏面勾配の値に基づいて、前記車輪の踏面勾配が正常であるか否かを判定する判定手段を有することを特徴とする請求項23~29の何れか1項に記載の検査システム。 - 前記検査手段は、前記車輪の踏面勾配の検査として、前記車輪の踏面勾配が正常であるか否かを少なくとも検査し、
前記検査手段は、前記前後方向力の測定値の時系列データを用いて、修正自己回帰モデルにおける係数を導出する係数導出手段と、
前記修正自己回帰モデルの周波数の分布を示す周波数特性を、前記係数導出手段により導出された前記係数を用いて導出する周波数特性導出手段と、
前記周波数特性導出手段により導出された前記周波数特性を用いて、前記車輪の踏面勾配が正常であるか否かを判定する判定手段と、を更に有し、
前記修正自己回帰モデルは、前記前後方向力の実績値と、当該実績値に対する前記係数と、を用いて、前記前後方向力の予測値を表す式であり、
前記係数導出手段は、第1の行列を係数行列とし、自己相関ベクトルを定数ベクトルとする方程式を用いて、前記係数を導出し、
前記自己相関ベクトルは、時差が1からmまでの前記前後方向力の測定値の時系列データの自己相関を成分とするベクトルであり、
mは、前記修正自己回帰モデルで用いられる前記前後方向力の値の数であり、
前記第1の行列は、1以上且つm未満の設定された数であるsに対して、第2の行列Σsと、第3の行列Usと、から導出される行列UsΣsUs Tであり、
前記第2の行列Σsは、自己相関行列のs個の固有値と対角行列Σとから導出され、
前記第3の行列Usは、前記s個の固有値と直交行列Uとから導出され、
前記自己相関行列は、時差が0からm-1までの前記前後方向力の測定値の時系列データの自己相関を成分とする行列であり、
前記対角行列は、前記自己相関行列の固有値を対角成分とする行列であり、
前記自己相関行列の固有値は、前記自己相関行列を特異値分解することで導出され、
前記直交行列は、前記自己相関行列の固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であり、
前記第2の行列は、前記対角行列の部分行列であって、前記s個の固有値を対角成分とする行列であり、
前記第3の行列は、前記直交行列の部分行列であって、前記s個の固有値に対応する固有ベクトルを列成分ベクトルとする行列であることを特徴とする請求項1または2に記載の検査システム。 - 前記判定手段は、前記周波数特性導出手段により導出された前記修正自己回帰モデルの周波数の分布を示す周波数特性と、正常な前記鉄道車両における前記修正自己回帰モデルの周波数の分布を示す周波数特性とを比較した結果に基づいて、前記車輪の踏面勾配が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項31に記載の検査システム。
- 車体と台車と輪軸と軸箱と軸箱支持装置とを有する鉄道車両の検査対象部材を検査する検査方法であって、
前記鉄道車両を軌道上で走行させることにより測定される前後方向力の測定値を含む入力データを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された前記前後方向力の測定値を用いて、前記検査対象部材を検査する検査工程と、を有し、
前記前後方向力は、前記軸箱支持装置を構成する部材に生じる前後方向の力であり、
前記部材は、前記軸箱を支持するための部材であり、
前記前後方向は、前記鉄道車両の走行方向に沿う方向であり、
前記検査対象部材は、前記台車の台車枠と前記輪軸との間に配置される部材、前記台車の台車枠と前記車体との間に配置される部材、および車輪のうちの、少なくとも1つであり、
前記検査対象部材が前記車輪を含む場合、前記検査工程は、前記車輪の踏面勾配を少なくとも検査することを特徴とする検査方法。 - 車体と台車と輪軸と軸箱と軸箱支持装置とを有する鉄道車両の検査対象部材を検査することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記鉄道車両を軌道上で走行させることにより測定される前後方向力の測定値を含む入力データを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された前記前後方向力の測定値を用いて、前記検査対象部材を検査する検査工程と、をコンピュータに実行させ、
前記前後方向力は、前記軸箱支持装置を構成する部材に生じる前後方向の力であり、
前記部材は、前記軸箱を支持するための部材であり、
前記前後方向は、前記鉄道車両の走行方向に沿う方向であり、
前記検査対象部材は、前記台車の台車枠と前記輪軸との間に配置される部材、前記台車の台車枠と前記車体との間に配置される部材、および車輪のうちの、少なくとも1つであり、
前記検査対象部材が前記車輪を含む場合、前記検査工程は、前記車輪の踏面勾配を少なくとも検査することを特徴とするプログラム。
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