JP2012058208A - 鉄道車両の状態監視システムおよびそれを用いた鉄道車両の状態監視方法 - Google Patents

鉄道車両の状態監視システムおよびそれを用いた鉄道車両の状態監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 各台車につき1個の少ないセンサ数で異常振動を捉え鉄道車両の不具合を検知する、鉄道車両の状態監視システムを提供する。
【解決手段】 鉄道車両の状態監視システムにおいて、鉄道車両1の上下動系走行装置の診断を行うための鉄道車両1の各台車2に配置される1つの加速度センサ11と、軌道の不具合の診断を行うための特定の軸箱に配置される加速度センサ12とを備え、鉄道車両の不具合を検知する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、簡素化したセンサによる鉄道車両の状態監視システムおよびそれを用いた鉄道車両の状態監視方法に係り、特に鉄道車両の不具合の発生を監視する鉄道車両の状態監視に関するものである。
従来、鉄道車両は、安全性や乗り心地の維持のために定期的に営業運用から外され工場での分解検査が行われる。このような分解検査に加え、走り装置の状態監視を常時行えば、安全性や乗り心地の質が向上できると考えられる。鉄道車両の状態監視は、日本では1980年代から始まり(下記非特許文献1参照)、最近では盛んに行われている(下記非特許文献2,3参照)。
鉄道車両の状態監視を行う際、多くのセンサや複雑な機構を使うシステムを用いると、初期費用がかかるばかりでなく、将来にわたりメンテナンスコストがかかるという問題が生じる。そのため、機能を落とさずできる限り簡素なシステムを提供すれば営業車両に使用され易いと考えられる。
中栄周三, 伏屋一雄, 石原知明, 「脱線検知装置の試験」, 鉄道総合技術研究所速報, No.82−1002(1982) 金子健一, 三須弥生, 斎藤憲司, 平林健一, 河田直樹, 「脱線検知装置の開発(車体振動による検知法とその検証)」,J−Rail 2002,pp.131−134(2002) 金子健一, 三須弥生, 斎藤憲司, 平林健一, 河田直樹, 「脱線検知装置の開発(軌条からの落下検知法とその検証)」,J−Rail 2002,pp.135−138(2002) 森川真人, 山下高賢, 川鍋哲也, 国見敬, 須田義大, 洪介仁, 王文軍, 「乗り上がり脱線の予知検知に関する研究」,J−Rail 2008(2008) 脱線事故技術調査委員会, 「事故原因調査試験(9A−3−2)」,脱線事故技術調査委員会報告付属資料, No.16,pp.71−85(1972) 脱線事故技術調査委員会, 「事故原因調査試験(4A−6−2)」, 脱線事故技術調査委員会報告付属資料, No.17,pp.182−196(1972) 城取岳夫, 安永年広, 「省センサによる鉄道車両の状態監視の可能性について」, 日本機械学会2009年度年次大会,pp.407−408(2009) 城取岳夫, 安永年広, 「鉄道車両の多様な安全性や不具合の検知が可能な監視診断法の基礎検討」,J−Rail 2009,pp.607−610(2009)
上記したように、従来の鉄道車両の状態監視は、多数のセンサを必要とするものであり、初期費用だけでなくメンテナンスコストもかかってしまうといった問題があった。
本発明は、上記状況に鑑みて、各台車につき1個の少ないセンサ数で異常振動を捉え鉄道車両の不具合を検知する、鉄道車両の状態監視システムおよびそれを用いた鉄道車両の状態監視方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕鉄道車両の状態監視システムにおいて、鉄道車両の上下動系走行装置の診断を行うための鉄道車両の各台車に配置される1つの加速度センサと、軌道の不具合の診断を行うための特定の軸箱に配置される加速度センサとを備え、鉄道車両の不具合を検出することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記鉄道車両の上下動系走行装置が車輪であることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記鉄道車両の上下動系走行装置が軸ダンパであることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記鉄道車両の上下動系走行装置が空気ばねであることを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記空気ばねが軸ばねであることを特徴とする。
〔6〕鉄道車両の状態監視システムにおいて、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて軸受の異常を検知することを特徴とする。
〔7〕鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の速度、軌道状態毎のピーク加速度と走行時のピーク加速度を正負でそれぞれ比較し、前記ピーク加速度に基づいて鉄道車両の異常を検知することを特徴とする。
〔8〕上記〔7〕記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記ピーク加速度が標準偏差の3倍を外れる場合には鉄道車両の脱線を含む鉄道車両の異常であると判断することを特徴とする。
〔9〕上記〔7〕記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記標準偏差の数10倍を外れる場合には重大異常事態であると判定し、緊急停車することを特徴とする。
〔10〕上記〔7〕記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記正のピーク加速度の絶対値より負のピーク加速度の絶対値が大きい場合には脱線の可能性が高いと判定することを特徴とする。
〔11〕鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて車輪の異常を検知することを特徴とする。
〔12〕鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて軸ダンパの異常を検知することを特徴とする。
〔13〕鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて空気ばねの異常を検知することを特徴とする。
〔14〕上記〔13〕記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記空気ばねが軸ばねであることを特徴とする。
〔15〕鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて軸受の異常を検知することを特徴とする。
本発明によれば、センサ数を極力抑え、簡素化したシステムとすることにより、鉄道車両の状態監視を設備費用とメンテナンスコストを低減して行うことができる。
本発明の鉄道車両の状態監視システムの模式図である。 本発明に係る通常走行時の車体上下加速度波形を示す図である。 本発明に係る通常走行時の車体加速度の正のピーク周波数の頻度分布を示す図である。 本発明に係る通常走行時の車体加速度の負のピーク周波数の頻度分布を示す図である。 本発明に係る脱線走行時の車体上下加速度を模擬した波形図である。 本発明に係る砂利路面を走行した場合の加速度センサによる波形図である。 本発明に係る車輪異常がない台車枠の加速度を基準にした、車輪異常がある台車枠の加速度波形の振幅比を示す図である。 車体を剛体と仮定した17自由度の1車両モデルの模式図である。 本発明に係る軸ダンパに異常のある場合を含む、走行速度275km/h時の軸箱上下加速度を基準とした台車枠の上下加速度の周波数応答を示す図である。 本発明に係る軸ダンパに異常がない場合の台車枠加速度を基準に、軸ダンパのオイルが不足した場合とオリフィスが詰まった場合の台車枠の加速度の振幅比を示す図である。 本発明に係る空気ばねに異常のある場合を含む、走行速度275km/h時の軸箱上下加速度を基準とした台車枠の上下加速度の周波数応答を示す図である。 本発明に係る空気ばねに異常がない場合の台車枠の加速度を基準に、オリフィス欠損やオリフィスの組み付け忘れが生じた場合とオリフィスが詰まった場合の台車枠の加速度波形の振幅比を示す図である。 本発明に係る軸ダンパのオイル漏れの「経過」を監視する例(その1)を示す図である。 本発明に係る軸ダンパのオイル漏れの「経過」を監視する例(その2)を示す図である。
本発明の鉄道車両の状態監視システムは、鉄道車両の上下動系走行装置の診断を行うための鉄道車両の各台車に配置される1つの加速度センサと、軌道の不具合の診断を行うための特定の軸箱に配置される加速度センサとを備え、鉄道車両の不具合を検出する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の鉄道車両の状態監視システムの模式図である。
この図において、1は鉄道車両、2は台車、3は軸箱加速度センサ12が取付けられる第1の車軸〔なお、軸箱加速度センサ12は、第1の車軸3に限定されるものではなく、第1の車軸3以外の一つの車軸もしくは複数の車軸に設けるようにしてもよい〕、4は第2の車軸、5は第3の車軸、6は第4の車軸、11は台車2に配置される加速度センサである。
本発明の状態監視システムでは、図1に示すように、各台車2に加速度センサ11を備える。さらに、診断の確実性向上と監視項目を増やすために、特定の軸に、軸箱加速度センサ12を備えることができる。
従来の研究(上記非特許文献2,3)では、しきい値を超えた加速度の頻度や現在と直前の加速度積算値を比較する方法などが提案されている。一方、鉄道車両が275km/hで走行した場合には1秒間に76m以上、100km/hで走行した場合も1秒間に27m以上進むことから、本発明では、高速域の脱線を検知する方法を検討した。その結果、「走行速度と軌道状態が特定されれば、正や負のピーク加速度の大きさは概ね特定される」と考え、走行速度段(例えば10km/h刻み)と軌道状態グループ(例えば線区等級)毎にピーク加速度の統計的な平均値と標準偏差値のデータベースを予め作成しておき、これと走行した際のピーク加速度を逐次比較することにより脱線を検知することとした。統計的な値を用いてしきい値を決めることは、従来の研究で扱われていないが、しきい値を超える事態の発生確率などを数値的に議論できる。それゆえ本発明では統計的な値を用いたしきい値を採用した。なお、ピーク加速度は、高速に判定するために、走行速度に応じた一定時間毎(例えば走行速度30km/h程度で、0.25秒毎)に算出する。
本発明の検討対象は客車の脱線検知であるが、貨車を使用した脱線試験結果が入手できたため、これを参考にした。台車構造等の違いはあるが、通常時と脱線時のピーク加速度の比較で判定をするので問題はないと考えた。
脱線時の走行速度が9km/hであったので、同速度の通常走行時の最大車体上下加速度と比較するのが理想的であるが、脱線試験で使用した貨車の同速度のデータを入手することができなかった。そこで通常走行時のデータとして同様な2軸ボギー貨車の走行速度60km/hのデータを使用する。
はじめに統計的な考察の前提となる2軸ボギー貨車の通常走行時の車体上下動のピーク加速度(上記非特許文献5参照)の分布を調べる。
図2は本発明に係る通常走行時の車体上下加速度波形を示す図であり、横軸は時間〔s〕、縦軸は加速度〔m/s2 〕を示す。また、図3は通常走行時の車体加速度の正のピーク周波数の頻度分布を示す図、図4は通常走行時の車体加速度の負のピーク周波数の頻度分布を示す図である。図3及び図4において、横軸は加速度〔m/s2 〕、縦軸はピーク周波数の頻度〔回数〕を示している。
図2の波形のピーク加速度を一定時間毎に算出し、度数分布に表した結果をそれぞれ図3と図4に示している。サンプル数が100程度と十分とは言えないが、図3に示す正のピーク加速度は正規分布、図4に示す負のピーク加速度は、対数正規分布やF分布を使うのが好ましいと考えられる。また、通常走行時の平均値と標準偏差を表1に示す。
Figure 2012058208
図5は本発明に係る脱線走行時の車体上下加速度を模擬した波形図である。この図において、横軸は時間〔s〕、縦軸は加速度〔m/s2 〕である。
上記した非特許文献6を参考に、脱線走行時の車体上下加速度を模擬した波形を図5に示す。ただし、ここでの加速度軸は下向きが正方向である。この波形を通常走行時と同様に処理し、標準偏差を比較した結果を表2に示す。
Figure 2012058208
この表2において、σは正常走行加速度の標準偏差である。脱線走行時は、通常走行時の標準偏差を大きく外れることが分かる。
また、図5では、正のピーク加速度より負のピーク加速度の絶対値が大きい波形が持続する。これは、砂利やまくらぎにより車輪が上方向に衝撃的な力を受けることによると考えられる。
図6は本発明に係る砂利路面を走行した場合の加速度センサによる波形図である。この図において、横軸は時間〔s〕、縦軸は加速度〔m/s2 〕である。
図5における波形が砂利やまくらぎの影響によるものであることを確認するために、荷役台車に加速度センサを取付け、砂利路面を走行した。図6に示す上下加速度は、図5と同様に正のピーク加速度より負のピーク加速度の絶対値が大きい波形が持続した。このことから、正のピーク加速度より負のピーク加速度の絶対値が大きい波形は、鉄道車両の台車構造によるものではなく、車両が脱線した際に砂利やまくらぎにより車輪が上方向に衝撃的な力を受けている脱線時の特徴的な波形であることが確認できた。
さらに、まくらぎの間隔が一般的に25mあたり34本から44本であることと脱線時の走行速度が9km/hであったことを考慮すると、実験車両の車輪は、0.30秒から0.23秒毎にまくらぎ上を通過したと考えられる。図5中の負のピーク加速度の時間間隔は0.25秒程度で、車輪のまくらぎ通過時間と一致する。よって、まくらぎと車輪の衝突により負のピーク加速度が生じたと考えられる。このことから車輪のまくらぎ通過時間やスラブ盤通過時間を考慮することで脱線検知の精度を上げることができると考えられる。
以上より、脱線の検知方法を提案する。
(i)速度、軌道状態毎のピーク加速度と走行時のピーク加速度を正負でそれぞれ比較し、通常状態(例えば標準偏差の3倍つまり3σ以内)を外れる際には車両に脱線を含む何らかの異常があるとして警告を発し、標準偏差の数十倍外れる場合には緊急事態を告知する。
(ii) 特に、正のピーク加速度の絶対値より負のピーク加速度の絶対値が大きく、発生間隔が走行速度でのまくらぎやスラブ盤等の通過時間と一致すると脱線の可能性が高いことを告知する。
以上は車体の加速度についての議論であったが、台車枠の前後方向中心付近は、軸箱から車体へ加速度が伝達する経路の途中にあるため、台車枠でも同様の観測ができ、台車枠の前後方向中心付近での検知も可能であると考えられる。
次に、台車部品の不具合例として、車輪の異常を挙げる。車輪の異常には、重量アンバランスや異常摩耗などがある。異常摩耗とは例えば、ブレーキにより車輪レール間で滑走が生じ、車輪が真円でなくなることである。
まず、異常摩耗車輪を装着した車両の走行試験データを参考に、異常がある場合とない場合の台車枠の疑似加速度波形を作成した。検知方法については、以前提案した参照軸箱加速度を基準とした応答倍率による方法(上記非特許文献7,8参照)も考えられるが、ここでは別の方法として健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比による方法を提案する。
図7は本発明に係る車輪異常がない台車枠の加速度を基準にした、車輪異常がある台車枠の加速度波形の振幅比を示す図である。図7において、横軸は周波数〔Hz〕、縦軸は振幅比〔(m/s2 )/(m/s2 )〕である。29Hzに1.5倍程度の高い振幅比が見られる。この時の車両の走行速度は275km/hで、車輪直径860mmなので車輪一回転の時間と29Hzの周期が一致する。車輪異常の全てではないが、アンバランス、偏摩耗には車輪一回転毎に特異な振動を出すものが多く、走行速度を加味し、このように健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とすることでこれらの車輪の異常を検知することが可能であると考えられる。この異常を検知する方法は、異常を検知する方法(1)でまとめて後述する。
次いで、軸ダンパ、空気ばねの減衰機能の不具合を挙げる。軸ダンパのオイル漏れ、オリフィス詰まりあるいは、オイルダンパに比べ頻度が低いが空気ばねのオリフィス欠損、組み付け忘れ、異物による詰まりが生じれば、乗心地、安全性に影響を与える。
軸ダンパ、空気ばねの不具合は、減衰機能以外にも考えられるがここでは、減衰機能の不具合に限って説明する。また以下では、数値シミュレーションにより検知方法を検討する。図8は車体を剛体と仮定した17自由度の1車両モデルの模式図であり、モデルはこれを使用した。
図9は本発明に係る軸ダンパに異常のある場合を含む、走行速度275km/h時の軸箱上下加速度を基準とした台車枠の上下加速度の周波数応答を示す図である。図9において、横軸は周波数〔Hz〕、縦軸は周波数応答〔(m/s2 )/(m/s2 )〕である。5Hzから8Hzの台車枠の共振周波数帯に違いはあるが、特に顕著なのは、共振周波数より高い周波数帯域である8Hz以上である。そこで、この周波数帯域で判別するのが良いことが分かる。これは以前提案した参照軸箱加速度を基準とした応答倍率による方法(上記した非特許文献7,8参照)であるが、別の方法として健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比による方法をここでは提案する。この異常を検知する方法は、異常を検知する方法(6)でまとめて後述する。
軸ダンパに異常がない場合の台車枠加速度を基準に、軸ダンパのオイルが不足した場合とオリフィスが詰まった場合の台車枠の加速度の振幅比を図10に示す。図10において、横軸は周波数〔Hz〕、縦軸は振幅比〔(m/s2 )/(m/s2 )〕である。7.5Hz付近の両者の線が交差している周波数より高い周波数で差が顕著になる。よって特にこの周波数帯域を比較することが軸ダンパ不具合の原因を判定し易くなると考える。この異常を検知する方法は、異常を検知する方法(2)でまとめて後述する。
一方、空気ばねに異常のある場合を含む、走行速度275km/h時の軸箱上下加速度を基準とした台車枠の上下加速度の周波数応答を図11に示す。図11において、横軸は周波数〔Hz〕、縦軸は周波数応答〔(m/s2 )/(m/s2 )〕である。1.4Hz付近の車体の共振と連成する台車枠の共振周波数帯においても違いはあるが、特に顕著なのは、3Hzから8Hzの周波数帯域である。よって、この周波数帯域で判別するのが良いことが分かる。ここでも、参照軸箱加速度を基準とした応答倍率による方法(上記非特許文献7,8参照)とは別の方法として健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比による方法を提案する。この異常を検知する方法は、異常を検知する方法(6)でまとめて後述する。
空気ばねに異常がない場合の台車枠の加速度を基準に、オリフィス欠損や組み付け忘れが生じた場合とオリフィスが詰まった場合の台車枠の加速度波形の振幅比を図12に示す。図12において、横軸は周波数〔Hz〕、縦軸は振幅比〔(m/s2 )/(m/s2 )〕である。空気ばねの不具合の場合、1Hzから10Hz付近の広い周波数帯で差がある。特に図10と図12を比較すると、車体と台車の連成に起因する1.4Hz付近が大きく異なるので、台車枠に1つのセンサでも軸ダンパの問題と空気ばねの問題を区別することができることが分かった。この異常を検知する方法は、異常を検知する方法(2)でまとめて後述する。
また、健全状態から時々刻々不具合状態に変わりつつある経過も重要な不具合に関する情報として活用することができる。ここで、時々刻々とは数ミリ秒から数カ月を指す。例えば、図13に示すようにピークの経過が振動的でなく、一方的に変化しているならば異常もしくは不具合が進行していると考える。
具体的には、図13や図14のように、「経過」を見ていく。ここで、時間の長さは数秒〜数カ月のいずれでもよい。例えば、軸ダンパのオイル漏れの場合、飛び石などにより穴があれば、すぐ油量が減少するし、パッキンが摩耗したような場合に数カ月をかけて油量が減少する。このように経過を見ることによって、異常であることをより確実に判定することができる。
以下に各種の異常の検知方法について説明する。
(1)自台車の健全時のデータと比較する。
Figure 2012058208
Figure 2012058208
(2)同時に走行している1編成中の他台車と比較する。
他台車が健全であることが前提であり、運用上は台車同士の総当たりの結果で判断する必要がある。
H(f)=Xi(f)/Xj(f) …(2)
ただし、i≠jである。
(3)同時に走行している1編成中の他台車の平均と比較する。
Figure 2012058208
ただし、i≠j(つまり平均に自台車を含めない)、Nは1編成中の台車総数である。
(4)自台車の軸箱と台車の加速度の比を健全時と現在とで比較する。
Figure 2012058208
Figure 2012058208
(5)上記(4)でUk (f)が自台車でなく、1編成中の1つもしくは複数の任意な軸箱である場合。
Figure 2012058208
Figure 2012058208
(6)自台車の軸箱と台車の加速度比(周波数応答関数)を健全時と現在で比較する。上記(4)のように関数比〔H(f)〕とせずそれぞれのR(f)の違いを局所で考える。
Figure 2012058208
異常が、オイル不足とオリフィス詰まりの2種だとすると、上記(6)は健全であるので、3本の線図となるが、それ以外は健全が分母に使われてしまうので、図10のように2本の線図となる。
上記したように、1台車に1個程度の少ないセンサで車両状態を監視するシステムの構築のために、検知できる事象とそのセンサを取り付ける位置について検討した。その結果、脱線、車輪の異常、軸ダンパ、空気ばねの減衰特性異常について1台車枠に1個の上下加速度センサで検知できることがわかった。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の鉄道車両の状態監視システムは、設備費用とメンテナンスコストを低減するために、極力簡素化したセンサによる鉄道車両の状態監視システムとして利用可能である。
1 鉄道車両
2 台車
3 第1の車軸
4 第2の車軸
5 第3の車軸
6 第4の車軸
11 台車に配置される加速度センサ
12 軸箱加速度センサ

Claims (15)

  1. 鉄道車両の上下動系走行装置の診断を行うための鉄道車両の各台車に配置される1つの加速度センサと、軌道の不具合の診断を行うための特定の軸箱に配置される加速度センサとを備え、鉄道車両の不具合を検出することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  2. 請求項1記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記鉄道車両の上下動系走行装置が車輪であることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  3. 請求項1記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記鉄道車両の上下動系走行装置が軸ダンパであることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  4. 請求項1記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記鉄道車両の上下動系走行装置が空気ばねであることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  5. 請求項1記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、前記空気ばねが軸ばねであることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  6. 鉄道車両の状態監視システムにおいて、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて軸受の異常を検知することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  7. 鉄道車両の速度、軌道状態毎のピーク加速度と走行時のピーク加速度を正負でそれぞれ比較し、前記ピーク加速度に基づいて鉄道車両の異常を検知することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  8. 請求項7記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記ピーク加速度が標準偏差の3倍を外れる場合には鉄道車両の脱線を含む鉄道車両の異常であると判断することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  9. 請求項7記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記標準偏差の数10倍を外れる場合には重大異常事態であると判定し、緊急停車することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  10. 請求項7記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記正のピーク加速度の絶対値より負のピーク加速度の絶対値が大きい場合には脱線の可能性が高いと判定することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  11. 鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて車輪の異常を検知することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  12. 鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて軸ダンパの異常を検知することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  13. 鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて空気ばねの異常を検知することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  14. 請求項13記載の鉄道車両の状態監視方法において、前記空気ばねが軸ばねであることを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
  15. 鉄道車両の状態監視方法において、鉄道車両の健全時の自台車や他台車の台車枠上下加速度を基準とした振幅比に基づいて軸受の異常を検知することを特徴とする鉄道車両の状態監視方法。
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